霜後桃源記  

安心、安全と美味しさへのこだわり
そんな「こだわりの農業ブログ」を毎日更新
主役の妻は生産部長、夫は営業部長兼雑用係

鶏卵高騰は適正価格へのステップ

2023-02-02 07:35:33 | 家畜
 鳥インフルの蔓延により全国で1,235万羽(1月31日現在)が殺処分されてい
る。
   それに昨年来の飼料価格の高騰も加わってスーパー等の鶏卵価格が5割以上
も値上がりしている。
   我が家が産直で販売している「平飼い卵」も1月から2割ほど値上げしたが、
これは決して連動値上げではない。
   本来の「コストに見合った適正価格」に近付けたもので、いずれは「更なる
価格是正」をしたいと思っている。

 「平飼い」は鶏舎の中を元気に動き回っている鶏が品質のいい「美味しい
卵」を産むことが期待できる飼育法だが、「手が掛かる」のが難点で赤字経営
が常態化している。

   都市部では無農薬栽培の野菜を高値で販売することが可能だが、田舎では
「売れ残るだけ」なので通常栽培の野菜と同価格で販売せざるを得ないが、
こだわりの「平飼い卵」も同様となっている。
  そのため、規模拡大による価格競争に対応出来ない小規模事業者は悉く淘汰
され、我が家のような零細事業者は皆無に近い。

 現時点では、循環型農業や自家消費用に資するための「やや趣味的色彩の強い
養鶏事業」となっているが、いずれはコストに見合った適正価格で販売できる
時代が来るものと期待している。
 そして、昨日の新聞記事を読み、その意を強くすることが出来た。

    なお、日本の養鶏業の9割超がアニュマルウェルフェアに反している点に
ついては、以前に当ブログでも指摘していたので今回は割愛した。

(一年越しとなった鶏糞堆肥の搬出を昨日から再開)

毎日新聞「余禄」(2023.2.1)
 2月4日の立春を目前にした今の時期は七十二候の「鶏始乳(にわとりはじめ
てとやにつく)」。秋から冬に休産する鶏が日照時間の変化を感じ取り、卵を
産み始める意味だ。といっても養鶏場の鶏は年中、卵を産むからその季節感は
過去のものだ▲「1週間に4個として1年で約200個」「1万個に近い卵を食べた
勘定になる」。作家の向田邦子さんが40年以上前の随筆で「考えただけでもそ
ら恐ろしい」と書いている▲驚く数字ではない。現在の1人当たり年間消費量
は340個でメキシコに次ぐ世界2位。鶏は毎日1個しか卵を産めないから、需要
を満たすために1億8000万羽もの採卵用の鶏が飼われている▲向田さんは卵か
けご飯が好物だったそうだ。今ではTKGの略称もあり、依然人気が高い。近年
はシンガポールや香港でも日本からの輸入卵で作る卵かけご飯が人気を博して
いる▲そんな「卵大国」が遅れているのが家畜にストレスを与えない「アニマ
ルウエルフェア(動物福祉)」だ。欧米では鶏を閉じ込めないケージフリーの
卵生産が主流になりつつあるが、コストが高くつくこともあり日本は低水準に
とどまる。普及を妨げようと鶏卵汚職事件も起きた▲鳥インフルエンザの流行
などで世界的に卵が高騰している。米国はケージフリー化の影響もあり、12個
1000円の地域もある。悩ましいが「物価の優等生」の地位が揺らいでも鶏本位
が時代の流れだろう。
 どうせなら「鶏始乳」の季節感が復活するのも悪くない。
コメント (2)
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