shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

涙の工務店 / 浪花可憐

2009-07-16 | Cover Songs
 今の時代、レコードなどというモノは完全に趣味の範疇に属するもので、音楽に拘りのない一般ピープルからすれば全く無価値な存在である。私も「このデジタル時代にレコードに何千円も払うなんてアホちゃう?」と面と向かって言われたことがある。まぁ何千円どころか何万円も払ってレコードを買いまくった私なんかその人からすれば大アホ(笑)なのだろうが、要するにそんな骨董品みたいな物を一部のコレクターが大枚叩いて買い求める、そういう特殊な世界なのだ。だから中古レコード価格の相場はそういったコレクター市場における “需要と供給の原理” で決まると言っていい。この場合の需要というのはその盤の人気度を指し、供給というのは稀少性を指す。レコードの場合は更にここにコンディションという重要なファクターが絡んでくるのだが、一昔前まではこれら3要素で価格相場が大体決まっており、中古レコード店の間でも暗黙の相場みたいなものが存在していたように思う。
 しかし21世紀に入ってインターネットが普及し、誰もがネットオークションを利用して販売価格を自由に設定出来るようになるともう中古盤の相場なんてあってないようなもので、呆れるようなぼったくり価格を設定するセラーが現れたり、逆に金の力にモノを言わせて落札するビダーが出てきたりで、もうムチャクチャである。昨日取り上げたソニー・クラークの「クール・ストラッティン」のオリジナルLPなんか先月のヤフオク落札価格が25万円!!! CDなら1,200円なのにね...(>_<) 私はラッキーなことにそのような無秩序状態に突入する直前に欲しい盤はほとんど手に入れてしまっていたのでよかったが、一歩間違えればオリジナル盤を諦めるか、それとも底無しの泥沼にハマリ込むかの二者択一を迫られていたことだろう。
 CDの場合、LPと違って歴史が浅いせいもあり、オリジナル盤云々という発想もなければコンディションの大差もない(少々の傷は研磨したらしまいやもんね...)ので価格が高騰することは滅多にないが、ヤフオクやアマゾン・マーケットプレイスを見ていると時々とんでもない値段が付いているものがある。80~90年代に数千枚プレスされ、すぐに廃盤になってそれっきり再発ナシという、いわゆる入手困難盤である。そのような盤は普通知名度が低く(だからプレス枚数が少ない...)、ほとんど売れなかった(だからすぐに廃盤になった...)ものが殆どなので需要も低いはずなのだが、何らかのきっかけで人気が出ると数少ないブツの争奪戦が始まってしまう。
 この「涙の工務店 / 浪花可憐」も “知る人ぞ知る” 的存在の超マイナー盤だった。96年発売でプレス枚数は約5,600枚、ほとんど売れずに在庫が残っていたようだ。それが2004年になって「トリビアの泉」で “カーペンターズの関西弁バージョンのCDがある” と取り上げられ、一夜にして完売してしまったらしい。トリビアという人気番組による宣伝効果、日本人の大好きなカーペンターズという素材、そんな由緒正しいカーペンターズをよりにもよって関西弁で歌うという斬新な発想(というかバカバカしさ...)、そしてMAXI SINGLE というお手頃価格も相まって一夜にして完売となったのだろう。実は私もこの番組を見てすぐにアマゾンで注文したおバカなミーハーの一人(笑)なのだが、翌日見ると在庫切れになっており、しかもアマゾンCD部門の売り上げで1位になっていた。その後何かの機会でたまたまこの盤のマーケットプレイスでの値段を見てビックリ... 何とレンタル落ちの分際で48,000円という恐るべきプレミア価格。アホや...(>_<)
 内容は①「世界のてっぺんで (Top Of The World)」、②「好きやった あんた (Superstar)」、③「郵便屋の兄ちゃん (Please Mr.Postman)」、④「あのエエ頃 もっかい (Yesterday Once More)」の全4曲。発想の原点は直訳ロックで有名な王様の「深紫伝説」あたりだろうと思うが、原詞の意味を汲み取った上で関西弁に訳しているのもワザありだし、私が何よりも感心したのはその関西弁を実に巧くメロディーに乗せているところ。特に②の出だしで “Long ago ~♪” をいきなり “むっちゃ前~♪” とやってるのにはワロタ(^o^)丿 浪花可憐という匿名性の高いこの女性ヴォーカリストは特に声がカレンに似ているというわけではないが、見事な訳詞のおかげもあってか、替え歌感覚で気持ち良さそうに歌っており、それがこの盤を更に親しみやすいものにしている。
 トリビアでは③を除く3曲が流れたが、私が一番気に入ってるのはその③で、バック・コーラスをも含めて細部に至るまで丁寧に作り込まれたサウンド・プロダクションが実にエエ感じ。ビートルズをパロッた王様の「カブトムシ外伝」ヴァージョンに迫る見事なカーペンターズ・パロディーだ。
 デビュー・シングル「涙の乗車券」にカーペンター(大工さん)を引っ掛けた「工務店」というのも楽しいし、浪花の可憐(カレン)という当て字のセンスも悪くない。もしも中古店で安く売られているのを見た、聞いた、買ったということになればそれなりに盛り上がれるというものだろう。しかし血眼になって探し回ったりネットオークションで大枚叩いて買うようなものでは決してないと思う。

トリビア - カーペンターズの関西弁バージョンのCDがある
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Cool Struttin' / Sonny Clark

2009-07-15 | Jazz
 モダン・ジャズの世界においてブルーノートというレーベルは抜群の人気を誇るいわば別格の存在で、ブルーノートと言うだけで中古盤価格が高騰することもザラである。まさに猫も杓子もブルーノート、みたいな雰囲気なんである。確かにリハーサルを執拗に重ね、満足いかないセッションは丸ごとボツにして完璧な音源だけを製品化するという徹底したプロフェッショナリズムといい、名録音エンジニアであるルディ・ヴァン・ゲルダーが録った迫力満点のサウンドといい、ブルーノートでは他のレーベルとは激しく一線を画すポリシーが貫かれていた。更にレコード・ジャケットに関しても、天才デザイナー、リード・マイルスの斬新な意匠は、中身の音楽を表現しながらそれ自体が独立したアートとして鑑賞に耐えうるほど素晴らしいもので、私なんかブルーノートと言えば中身の音楽よりもジャケットの方が好きなくらいなのだ。
 このようにいいことずくめに見えるブルーノートだが、だからと言って何でもかんでも全ての作品が傑作なワケがない。ブルーノートには “1500番台神話” というのがあって、レコード番号が1500番台(大体53年~58年ぐらいまでの間に録音された盤)のレコードを過大評価する傾向があるが、中には毎回似たようなメンバーでテーマ部分だけをテキトーに決め、後は各自のソロ回しで長尺曲をでっち上げてお茶を濁しているように聞こえる “ナンジャラホイ盤” もある。そんなものまで十派一絡げにしてあれも名盤これも名盤だなどという無責任極まりない音楽ジャーナリズムに踊らされてはいけない。又、新主流派やモード・ジャズが大嫌いな私にとっては62年以降(大体4100番以降かな...)の盤はグラント・グリーンやアイク・ケベックのような一部の例外を除けば聴きたいとも思わないし、第一持っていない。つまり私は他のジャズ・ファンほどブルーノートを神格視してはいないのだ。
 しかしそんな私でも思わず “まいりました!” と平伏すしかないくらい圧倒的に、超越的に素晴らしいレコードがこのレーベルには数十枚(←めちゃくちゃ多いやん!)存在する。その代表格とも言うべき傑作がソニー・クラークの「クール・ストラッティン」なのだ。
 まずはこの洒落たジャケット・デザインに注目である。ロングタイトのスリット入りスカートから覗くスリムな脚はニューヨークの街を気取って歩く、つまりクールにストラットするキャリア・ウーマンを想わせる。これこそまさに “音が聞こえてきそうなジャケット” ではないか!音楽だけでなくジャケットをも含めたトータルなパッケージ商品としてLPレコードを捉えていたブルーノートならではの逸品だ。
 このアルバムを聴いて一番インパクトがあるのはジャッキーマクリーンの泣きのアルトだろう。どの曲を聴いてもリーダーのクラークは脇役に回っているように聞こえるが、アルバム全体を支配するこの黒々とした空気は紛れもなくクラークの世界。オーバーファンクに堕すことなく、独特の哀愁を帯びたタッチの中に適度に洗練された黒っぽさを感じさせるプレイこそが彼の真骨頂なのだ。
 タイトル曲の①「クール・ストラッティン」は曲調が “まるで誰かが気取って歩いている感じ” ということでこの名が付いたというミディアム・テンポのナンバーで、ジャッキー・マクリーンとアート・ファーマーが奏でるユニゾンのテーマからファンキーな薫りがプンプン漂い、冒頭の数フレーズでもうクラーク独自の黒い世界に引き込まれてしまう。ジャズ喫茶で大いにウケたのも十分頷ける1曲だ。
 ②「ブルー・マイナー」は日本人好みのする哀愁を湛えたマイナー調のナンバーで、どこか翳りを秘めた華やかさはファンキー・ジャズそのものだ。熱気溢れる演奏で煽りまくるリズム・セクションと共に、身をよじるようにして入魂のソロを聴かせるマクリーンが圧巻だ。サビがもろビギン・リズムなのはご愛嬌。
 ③「シッピン・アット・ベルズ」はマイルス・デイビスのオリジナル曲で、フロント陣を気持ち良く歌わせるクラークのバッキングが絶妙だ。ただ、他の曲が素晴らしすぎるせいもあるが、テーマ・メロディーの旋律性が薄く曲としての魅力に乏しいので、その分各ソロイストの手腕に頼らざるを得ないように聞こえる。
 私が最も好きな④「ディープ・ナイト」のみスタンダード・ソングで、ブラッシュを基調にしたピアノトリオでスタートし、やがてそこにファーマーのペットやマクリーンのアルトが絡んでいくというこれ以上ないハードバップの理想的なスタイルで演奏が進行していく。特にフィリー・ジョーのスリリングなブラッシュ・ワークが圧巻で、彼の大ファンである私としてはもう嬉しくてたまらない(^o^)丿 又、クラークのシングル・トーンを中心にしたコロコロ転がるようなピアノといい、ファンキーな黒っぽさを見事に演出するファーマーとマクリーンのフロント陣といい、この1曲にハードバップのエッセンスがギュッと凝縮されている。個人的には全ブルーノート曲の中で一番好きな演奏かもしれない。
 彼はわずか31才で亡くなってしまった夭折のピアニストだが、彼の名はこの「クール・ストラッティン」と共にジャズの歴史に燦然と輝いている。ジャズという音楽が存在し続ける限りその輝きを失わない、永遠に色褪せぬ傑作中の傑作だ。

Sonny Clark: Deep Night
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Hooray For The Star Sisters

2009-07-14 | Cover Songs
 常日頃から何でもかんでも気に入った音楽を手当たり次第に聴いていると、時系列がグチャグチャになり、先にカヴァー・ヴァージョンを聴いてその後でオリジナルへと辿り着いたりとか、モダンなヴァージョンからそのルーツとも言うべき創始者たちの音楽へと遡ったりということが結構多い。昨日取り上げたアンドリュース・シスターズも実を言うと最初は「素敵なあなた」だけしか知らず、まぁ別にそれでエエわいとタカをくくっていたのだが、ある時スターズ・オンのCDに入っていた「アンドリュース・シスターズ・メドレー」を聴いてビックリ(゜o゜) 心の琴線をビンビン震わせるような美旋律を持った名曲の波状攻撃に完全KOされたのだ。ちょうど2001年頃だったと思うが、それからはメドレーで歌われていた名曲の数々を本家アンドリュース・シスターズのヴァージョンで集めまくり、改めて本家の偉大さを知った次第。世の中、何が幸いするか分からない。
 すっかりスター・シスターズが気に入った私は他の音源もないものかと色々調べてみて、1988年にポニー・キャニオンからちゃーんとCDが出ていたことを突き止めた。13年前か... 当然廃盤である。当時はまだパソコンを持っていなかったので足で探すしかない。早速その週の大阪猟盤ツアー(当時は毎週末、京阪神のレコ屋巡りをしていた...)のトップ・プライオリティ扱いで探し回ったところ、ミナミのフォーエヴァー・レコードで運良く発見!ほとんど売れなかったであろうこのマイナー盤をファースト・トライでゲット出来たのはホンマにラッキーだった。しかも500円という捨て値である。確かにこんなCD探してるヤツあんまりおらんわな...(>_<) こういうエエ買い物はいつまでたっても忘れられないものだ。その後、海外のネット通販で12インチ・シングルも入手、LPサイズのジャケットはやはり雰囲気があってエエもんだ(^o^)丿。
 スター・シスターズの3人は元々オランダでそれぞれソロ歌手として活躍していたものを、83年にスターズ・オン45で味をしめた敏腕プロデューサ、ヤープ・エガーモントの要請でアンドリュース・シスターズに扮して歌ってほしいと言われ、テレビ番組用に1回限りのつもりでトリオを組んでパフォーマンスをしたところ大反響を呼び、 “是非とも80年代のアンドリュース・シスターズとして、そのパフォーマンスを新録音で再現してほしい” という声に応えてレコード化されたのがこの「アンドリュース・シスターズ・メドレー」であり、そこに「マリリン・モンロー・メドレー」やボスウェル・シスターズ・スタイルで歌う「アレキサンダーズ・ラグタイム・バンド」といった懐かしのヒット曲を数曲加えてリリースされたCDが「フーレイ・フォー・ザ・スター・シスターズ」なのだ。
 他の曲もそれなりに雰囲気があってエエのだが、やはりスターズ・オン・スタイルで駆け抜けるアンドリュース・シスターズのノンストップ・スウィング・メドレーが最高だ。曲は「ブギウギ・ビューグル・ボーイ」、「サウス・アメリカン・ウェイ」、「素敵なあなた」、「イン・ザ・ムード」、「ラム・アンド・コカコーラ」、「ティコ・ティコ」、「セイ・シ・シ」、「ペンシルヴァニア65000」、「ジョセフ・ジョセフ」、「ティピ・ティン」、「真珠の首飾り」、「ホールド・タイト・ホールド・タイト」、「ビヤ樽ポルカ」、「二人の木陰」、「ムーンライト・セレナーデ」、「オー・ママ」、「タキシード・ジャンクション」、「ピストル・パッキン・ママ」、「ペンシルヴァニア・ポルカ」、「イエス・マイ・ダーリン・ドーター」、「ハッピー・デイズ・アー・ヒア・アゲイン」、「アメリカン・パトロール」、「チャタヌガ・チュー・チュー」、「イン・ザ・ムード」と、全24曲約17分にわたって繰り広げられるアンドリュース・シスターズ・ショーの再現は圧巻で、ノスタルジックでダンサブルなビッグバンド・コーラスを聴かせてくれる。
 モデルとなったアンドリュース・シスターズは第2次世界大戦時代に、数多くのヒット曲を残しており、当時彼女らが行った軍将兵慰問のためのツアーも大盛況だったという。そんな時代の雰囲気が伝わってくるようなビデオ・クリップも見ているだけで楽しくなってくる。
 最近の楽曲はどうも薄味で心に残る旋律性がないとお嘆きの我が同志のみなさんにぜひオススメしたいスター・シスターズ... やっぱりナツメロはエエなぁ... (≧▽≦)

The Star Sisters - Andrews Sisters Medley

素敵なあなた / アンドリュース・シスターズ

2009-07-13 | Standard Songs
 独特の哀愁を帯びたジューイッシュ(ユダヤ系)・メロディーにはどこか昭和歌謡の旋律と相通じるものがあり、ロシア民謡なんかと同様に我々日本人の心に深~く染み入ってくる。そんなユダヤ系スタンダード・ソングの中でも私がダントツに好きなのがこの Bei Mir Bist Bu Schon (素敵なあなた)である。
 遙か昔、テレビの深夜番組で世良譲トリオがこの曲を演奏していたのを聴いてその旋律が頭から離れなくなり気になっていたところ、偶然映画のワンシーンで③を見て “ヴォーカルもエエなぁ...” ということになり、本格的にこの曲の入ってるCDを探し始めたのが事の始まりだった。決定版は何と言ってもアンドリュース・シスターズだろうが、めちゃくちゃエエ曲なのにあまり歌ってる人がいないというのはやはり歌詞が英語じゃないからだろうか?今ではインスト・歌入りを問わず、この曲が入っていれば見境なく買ってしまう超愛聴曲だ。

①Benny Goodman
 正直言ってリーダーのベニー・グッドマンはどうでもいい。ヒステリックに吹き荒れるクラリネットはどうも苦手だ。ここで聴くべきは何と言ってもバンド・シンガー、マーサ・ティルトンの温かみ溢れる癒し系ヴォーカル。ノイズの向こうから聞こえてくるその歌声はノスタルジックなムード満点だ。
Bei mir bist du schrn, Benny Goodman, live 16/1/1938


②Andrews Sisters
 やはり「素敵なあなた」と言えばアンドリュース・シスターズ。彼女らは代名詞と言っていいこの曲を何度もレコーディングしているが、やはりこのオリジナル・ヴァージョンがベスト。当時としては大変モダンな感覚を持ったヴォーカル・グループであったことがよく分かる素晴らしいハーモニーだ。
Bei Mir Bist Du Schon-The Andrew Sisters


③桃井かおり
 薬師丸ひろ子主演映画「メインテーマ」でジャズ・シンガーに扮した桃井かおりが歌っていたヴァージョン。内容の薄い(というかワケの分からない)この映画の中で唯一圧倒的な存在感を示していたのが彼女がジャズのスタンダード・ナンバーを歌うシーンで、中でも雰囲気抜群のこの曲は出色の出来だった。
素敵なあなた 桃井かおり Bei mir bist du schrn


④Puppini Sisters
 これぞ21世紀に蘇ったアンドリュース・シスターズ!プッピーニ・シスターズの一糸乱れぬ3部のハーモニーはもうお見事という他ない。間奏で聞かれるマヌーシュ・ライクなギター・ソロは絶品だし、さりげないヴィブラフォンも効いている。何よりも演奏全体が思いっ切りスイングしているのがいい。この曲の隠れ名演と言えるだろう。
The Puppini Sisters - Bei mir bist du schon


⑤Cat Lee & Co.
 マヌーシュ・スウィングの新譜で久々に感銘を受けたのがこのフィンランドのヘルシンキから現れた4人組キャット・リー & Co.である。とにかくザクザクかきむしるようなギターを中心としたスイングこそがマヌーシュの生命線!それをこの演奏は如実に物語っており、心にビンビン響いてくる。
Bei Mir bist Du Shoen by Cat Lee & Co

Live In Bucharest / Michael Jackson

2009-07-12 | Rock & Pops (80's)
 マイケル・ジャクソンのDVDは数多いビデオ・クリップを集めて編集したものが主流であり、ライブ映像は極めて少ない。80年代以降、彼は“ヴィクトリー・ツアー”、“バッド・ツアー”、“デンジャラス・ツアー”、そして “ヒストリー・ツアー” と、大きなライブ・ツアーを4度行っているというのに、オフィシャルなコンサート・ライブ映像は92年の “デンジャラス・ツアー” ブカレスト公演(@ルーマニア)を収めたこのDVD「マイケル・ジャクソン・イン・ブカレスト」だけなのだ。
 ステージ下からマイケルが一気に飛び出す冒頭の演出はスーパーボウルの時と同じ、じっと立っているだけでもうスーパースターのオーラが出まくりだ。彼がサングラスを取ると同時に②「ジャム」のイントロが響き渡る。得意のムーヴを織り交ぜながらステージ上を激しく動き回るマイケル... お世辞抜きでめちゃくちゃカッコイイ!要所要所でドッカンドッカンと上がる火柱もコーフンを盛り上げる。バック・ダンサーたちと並んで激しく歌い踊る③「ワナ・ビー・スターティン・サムシン」を見ていると、口パクを使わずに生で歌いながらあれほどのダンスをこなしてしまうマイケルの体力は驚異的だと思ってしまう。じっくり聴かせる④「ヒューマン・ネイチャー」でクールダウンした後は、前半のクライマックスと言うべき⑤「スムーズ・クリミナル」だ。ステージ上にマイケルのシルエットが浮かび上がると会場のヴォルテージは最高潮に。それにしても映画「ムーンウォーカー」で魅せたあの神パフォーマンスをステージ上で再現するとは思わなんだ。もうカッコ良すぎて言葉も出ない(゜o゜)  これを見ればなぜ世界中の人々が彼に夢中になったのかがよくわかる。
それにしてもあの無重力ダンスは一体どーやってるんやろ?
 かな~り長いイントロでマイケルの体力回復を待った後、⑥「アイ・ジャスト・キャント・ストップ・ラヴィン・ユー」ではサイーダ・ギャレット役の女性ヴォーカリストとのデュエットで熱唱を聴かせてくれる。そして彼女がパッと消えてしまう唐突なエンディングに続いて唄われるのは⑦「あの娘が消えた」... もうさすがという他ない。観客の女性の一人をステージに上げて抱きしめる演出もお見事だ。 “古い曲を昔のやり方で歌うよ!” の掛け声に続いて⑧「アイ・ウォント・ユー・バック / ザ・ラヴ・ユー・セイヴ」というジャクソン5メドレーだ。4人のバックダンサーを兄弟たちに見立てて懐かしい振り付けで歌い踊るマイケルにシビれまくる(≧▽≦) 続いて歌われる名曲⑨「アイル・ビー・ゼア」で会場が一体となって大きく揺れる光景は感動的だ。
 ここからが中盤のクライマックス、泣く子も踊るモンスター・アルバム「スリラー」からのヒット曲つるべ打ちである。⑩「スリラー」ではステージ上に置かれた棺から4人の蛍光色ゾンビが登場、更に無数のスケルトンも加わって例のダンスを踊りまくる。途中マイケルも狼男に変身し、最後はマジックさながらにマイケルが消えてしまうというイリュージョン。あれっ、と思っていると聴きなれた⑪「ビリー・ジーン」のイントロと共にマイケルが再登場、モータウン25で魅せた華麗なムーンウォークを披露する。昔誰かが Nobody moves like Michael Jackson! と言っていたが、まさに60億分の1の天才にしか出来ないようなカッコ良いパフォーマンスだ。
 ステージ上のスクリーンに「ブラック・オア・ホワイト」の通称 “パンサー・パート” のダンス映像が流れた後、お色直しをしたマイケルは⑫「ワーキン・デイ・アンド・ナイト」でソウルフルな歌声を聴かせてくれる。金色の上着に水色のパンツはどう見ても合ってないけど...(笑) 本日2度目のイリュージョンで消えたマイケルが⑬「ビート・イット」のイントロと共にラダーに乗って客席上方から現れると会場はもう興奮のるつぼだ。おぉ、しっかり例の赤いジャンパーと黒パンツに着替えているではないか!間奏のギター・ソロではライオンみたいな金髪ヘアーがカッコイイ女性ギタリスト、ジェニファー・バートンがデビルマンのオバケみたいな電飾を背負って登場、ギターから緑色の光線を空に向かって放射するという凄い演出が圧巻だ。後半はお約束のウエストサイド・ストーリー・ダンスで魅せてくれる。いや~もう最高ですわ(^o^)丿
 又々長~いブレイクに続いて⑭「ウィル・ユー・ビー・ゼア」のスピリチュアルなヴォーカルを聴かせた後(ゴスペル隊の青いターバンが妙に気になる...)、大ヒット曲⑮「ブラック・オア・ホワイト」で会場は割れんばかりの大歓声に包まれる。しかしこの金髪ギタリスト、めちゃくちゃ絵になります(笑) バレリーナみたいな少女の球技ダンスから⑯「ヒール・ザ・ワールド」へとなだれ込み、観客はライターの火を灯して一体となって揺れている。ラスト曲⑰「マン・イン・ザ・ミラー」ではグラミー・パフォーマンスを彷彿とさせるソウルフルな歌声でこの驚異のショーを締めくくる。まさに絶唱と呼ぶにふさわしい入魂のステージだ。歌い終わると今度は宇宙服に身を包み、ロケット噴射で空中に舞い上がり飛び去っていく(当然スタントマンに入れ替わっているが...)という最後の最後までエンターテイメントに徹したプロフェッショナリズム溢れるステージだ。
 このようにコンサート自体は素晴らしすぎて言葉も出ないのだが、このDVDの映像編集に関しては大きな問題がある。カメラ・アングルを頻繁に切り替えすぎるのだ。特にコンサート前半はマイケルのパフォーマンスの最中にカメラを切り替えて観客を映すというド素人以下の編集がなされており、そのために気が散ってせっかくの神パフォーマンスに集中出来ない。これにはホンマにイライラさせられる。デンジャラス・ツアーでもヒストリー・ツアーでもいいから、もっと見やすいカメラ・ワークで処理された映像がいつかDVD発売されることを切に望みたい。
 このステージ・パフォーマンスを見れば彼がなぜ史上最高のエンターテイナーと言われるのかが分かるはずだ。時代を切り開き、奇跡と神話を創造したスーパースター、マイケル・ジャクソン... こんな凄い人はもう2度と現れないだろう。

Michael Jackson - Beat It Live 1992 Bucharest! (RIP Michael Jackson)

P-Legend Vol. 2 / ザ・ピーナッツ

2009-07-11 | 昭和歌謡
 昨日に続いて “「ザ・ピーナッツ / P-Legend THE PEANUTS DVD BOX」、今日はそのDisc 2「さようならザ・ピーナッツ」完全版である。アマゾンの解説に “さよならコンサートの模様を収録” と書いてあったので最初はてっきり「さよなら公演」(ザ・ピーナッツ側の希望で当初ライブLPリリースが中止されたといわれている伝説のコンサート)の映像かと思っていたのだが、実際はTBSで放送された特別番組「さようならピーナッツ」というスタジオ・ライブの方の映像(これは “コンサート” じゃないよ!)だった。こちらは過去にCSで放送されたり、又「ザ・ピーナッツ・ラストデイト」としてLDやVHSで発売されたりした際には収録されていなかった30分余りの映像を追加収録した完全版で、これはこれでめちゃくちゃ嬉しい。
 ショーは①「可愛い花」でスタートする。これまで様々な宮川アレンジで楽しませてくれたこの曲だが、この粋でジャジーなアレンジは最高だ。 “最後の思い出として精一杯歌わせていただきます...” の言葉から間髪を入れずに始まる②「情熱の花」の“ララララァ~♪” は鳥肌モノ。このコーラス・ハーモニーは唯一無比の素晴らしさだ。いきなりの大ヒット曲3連発に圧倒される③「.恋のバカンス」、何十回何百回聴いても飽きない素晴らしいメロディーとハーモニーだ。懐かしさ溢れるメロディーをしっとりと聴かせる④「ローマの雨」にも涙ちょちょぎれる。純日本的なメロディーが心に染み入る⑤「心の窓に灯を」に続く⑥「ふりむかないで」は私の大好きな曲で、二人で向き合って歌うその様はまるで鏡に向かって歌っているような錯覚を覚えてしまう。このカメラ・ワークはお見事!の一語に尽きる。そして来たっ!!! 昭和歌謡史に燦然と輝く宮川泰屈指の名曲⑦「銀色の道」である。この曲の良さが分かる日本人に生まれて良かったなぁ... と思わせてくれるキラー・チューンだ。続いてまっ白いドレスで歌うのは“パヤ、パヤ パヤ♪” でおなじみ⑧「恋のフーガ」、いつもより少しだけテンポを落としてじっくりと歌い上げている。
 ⑨「オールディーズ・メドレー」はヴァケイション~恋の日記~アイドルを探せ~夢みるシャンソン人形~ボーイ・ハント~電話でキッス~ノック・オン・ユア・ドア~可愛いベイビー~ハロー・メリー・ルー~ダイアナ~シェリー~ミスター・ベースマン~ジョニー・エンジェル~ブーベの恋人~君は我が運命~渚のデイト~ロコモーション~メロンの気持~レモンのキッス~そよ風にのって~恋の片道切符~悲しき16才~ネイビー・ブルー~悲しき雨音~砂に消えた涙~悲しき街角~イエスタデイと、60年代日本のカヴァー・ポップス史を凝縮したような選曲の14分に及ぶ大メドレーで、途中からは伊東ゆかりや中尾ミエを加えた4人で歌い踊るのだが、正直言ってこの二人は要らない。テレビというのは何かというと下らないアイデアを投入して “変わったこと” をしたがるものだが、ここでも余計なゲストなど呼ばずピーナッツ二人だけのハーモニーでオールディーズ名曲の数々を聴かせてほしかった。
 師匠の宮川さん自ら “カッコ良いブギウギ・リズムを使った自信作” と語る⑩「浮気なあいつ」ではザ・ピーナッツにしか表現できないようなユーモア溢れる世界が展開される。ラスト・シングルだからといって湿っぽくならず、ノリノリのアップテンポ・ナンバーというのがいい(^o^)丿 ⑪「男と女」、⑫「ワン・ノート・サンバ」、⑬「トルコ行進曲」の3曲では宮川さんのピアノと谷啓のトロンボーンをバックに粋なスキャットを聴かせてくれて、これが又めちゃくちゃシックでカッコエエのだ。
 二人が大好きだという⑭「愛のフィナーレ」に続く⑮「ラバー・カムバック・トゥー・ミー」はエド・サリバン・ショー出演時のアレンジで、ザ・ピーナッツを知り尽くした宮川さんならではのユニークな構成になっている。⑯「ザッツ・ア・プレンティ」、⑰「ホエン・ユー・スマイル」、⑱「ブギウギ・ビーグルボーイ」、⑲「イマジネーション」、そして⑳「プラウド・メアリー」(尾崎紀世彦は不要!)と、エンターテイメントの粋を凝らしたステージの後は、 (21)「ディア・ハート」(22) 「帰り来ぬ青春」というなかにし礼のバラッド2連発でじっくりと聴かせる。特に(22)の歌詞は自分たちの半生を歌ったもので、 “何かに糸ひかれ 目隠しされたまま 私達は唄ってきた” や “さよなら姉さん さよなら妹 二人で一人の人生ともお別れ” といったフレーズを聴くとファンとしては複雑な気持ちになってしまう。
ラスト曲にいく前にゲストから花束を送られ、その花を1本1本宮川師匠を始めとするバック・バンドのメンバーに渡して回る二人... 何気にエエ光景だ。そして彼女らの愛する祖父が見守る中、ラストの(23)「ウナ・セラ・ディ東京」を涙ながらに歌い切って幕となる。これは邦楽史上最高のデュオ、ザ・ピーナッツの最後の姿を捉えた、ファンなら絶対に持っていたい永久保存版DVDだ。

ザ・ピーナッツ / ふりむかないで

P-Legend Vol. 1 / ザ・ピーナッツ

2009-07-10 | 昭和歌謡
 私はネット上で既発の音源を探し当てて出来るだけ安く手に入れるのは得意なのだが、その一方で新譜情報には滅法弱い。新聞・雑誌の類はまったく読まないしテレビもほとんど見ないので、頼りはヤフーのニュース欄のみである。だからこのザ・ピーナッツ50周年企画DVDが発売になることも知らなかった。しかし持つべきものは友人である。私の“昭和歌謡好き” “ザ・ピーナッツ・マニアぶり” を知る同僚のKさんが「今度ザ・ピーナッツのDVDが出るって新聞に出てたよ!」と教えて下さったのだ。「えっ、マジっすか??? それはえらいこっちゃ!!!」と寝耳に水の私はすぐにアマゾンで検索... “「ザ・ピーナッツ / P-Legend THE PEANUTS DVD BOX」ただいま予約受付中” とある。2枚組ボックスセットで、Vol. 1が「シャボン玉ホリデーからモスラまで」、Vol. 2 が「さようならピーナッツ完全版74分」だとぉ...??? しかも30p豪華ブックレット付きってか...??? これは絶対に買わねばならない(>_<) “ザ・ピーナッツ関係は全部イク” 宣言をしている私はその場で即予約した。(←なんかこのパターン多いよな...)
 ということで今日はまずそのVol.1、「シャボン玉ホリデーからモスラまで」を取り上げたい。60年代前半当時はまだ今のようなプロモーション・ビデオという発想は浸透していなかったが、このディスクにはそんな中製作されたクリップの数々と、「シャボン玉ホリデー」を始めとする懐かしいテレビ放送の映像が収録されている。①③⑤は昨年出た「ザ・ピーナッツ・メモリーズBOX」のボーナスDVDで既出だが、それ以外はほとんどが初めて見るお宝映像が満載だ。
 まずは①「恋のフーガ」、②「恋のロンド」、③「愛への祈り」とモノクロのクリップが続くが、いかにも60’sというユニークなファッションに身を包み、噴水のそばで歌い踊る①がインパクト大。②は家族連れでごった返す遊園地で撮影されており、物珍しそうにカメラを覗き込む一般ピープルの姿が微笑ましい。揺れるオットセイの人形も気になるなぁ...(>_<)   何故か屋外で撮られた④「インタビュー」は二人でお互いの性格分析をするという面白い企画なのだが、お二人の人間性が滲み出るような好感の持てる映像だ。⑤「可愛い花」は私が去年大騒ぎしていた “ボッサ・スイング・ヴァージョン” という67年音源を使ったカラー映像で、通りに面した花屋さんで歌う二人の姿が何ともゆったりした昭和の雰囲気を醸し出している。⑥「チャオ」はテレビ・ショーで植木等と共演した時の激レア映像で、3人のエンターティナーぶりが存分に発揮されている。クッサクサの昭和歌謡路線が全開の⑦「離れないで」もやはり歌いながら歩く二人の姿を追っただけの単純な作りだが、ファンとしてはこのような映像が存在しただけでも感涙モノなのだ。
 曲も映像も何となく見覚え聞き覚えのある⑧「シャボン玉ホリデーのテーマ」に続く⑨「メドレー」は “南京豆売り~可愛い花~悲しき16才~情熱の花~ふりむかないで~恋のバカンス~ドミニク” を短く繋いだメドレーで、こんな映像が残っていただけでも凄いことだ。⑩でクレージーの面々とショートコントを演じる二人の器用さには脱帽だ。この二人、その気になれば何でも出来るんやね。
 このディスクで一番嬉しかったのが⑪「鈴懸の径」で、和製「ディア・オールド・ストックホルム」とでもいうべき昭和の大名曲をザ・ピーナッツの歌声で聴けるとは思わなんだ(^o^)丿 鈴木章治の哀愁舞い散るクラリネットも絶品で、二人のハーモニーと相まってもうこれ以上ないくらい素晴らしい「鈴懸」が堪能できる。⑫「スターダスト」は二人が得意としていたスタンダードで、後半のハナ肇との絡みにも余裕で対応している。
 ⑭「モスラの歌」ではインファントの娘を演じる二人が懐かしい。ある意味ザ・ピーナッツの代表曲のひとつと言っていいだろう。CDではこの曲だけ浮いてしまうことが多いのだが、こういう編集のDVDなら全然OKだ。⑮「恋のオフェリア」は②同様どこかの遊園地で撮影されたと思しきPVで、円形ボートに乗って歌う二人に興味津々の一般客の姿がのどかな世相を反映している。
 総天然色(笑)のクリップ⑯「情熱の花」は67年発表のニュー・アレンジ・ヴァージョンで、山や海で寛ぐ二人の姿が捉えられている。これはファンにとっては中々嬉しい映像だ。目の覚めるような真っ赤なドレスで歌う⑰「恋のバカンス」はTBS「さようならピーナッツ」出演時のもの。ということはDisc 2 に入ってるのと全く同じ映像なワケだが、何でダブって収録したのかは意味不明だ。ラストの⑱「恋のフーガ(英語ヴァージョン)」は過去の様々な映像をフラッシュバックさせながらDCレトロなダンス・リミックス・ヴァージョンに仕上げたもので、5分30秒にわたる力作に仕上がっている。映像編集にかなり力が入っており、この総集編的クリップはファン必見の映像だと思う。

すずかけの道 鈴木章治、ザ・ピーナツ、安田伸
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ビキニスタイルのお嬢さん / ブライアン・ハイランド

2009-07-09 | Oldies (50's & 60's)
 “パッパッパッパッパ ラッパッパッパッパ...”というあまりにも有名な女性コーラスから始まるこの曲を初めて聴いたのはまだ高校生だった頃のこと、ケイシー・ケイサムのアメリカン・トップ40をベースにした湯川れい子さんのヒットチャート番組がラジオ関西でオンエアされていて、その中でジングルとしてこのコーラス部分が使われていたのだ。だから単純な私はまさかこれが曲の一部だとは思わず、“パッパッパッて... 面白いジングルやなぁ...(^.^)”と感心していた。だから後日別のラジオ番組のオールディーズ特集でブライアン・ハイランドのこの曲をフル・ヴァージョンで聞いた時は目からウロコ状態で、 “へぇ~、そういうことやったんか!” と妙に感心したものだった。 “初めてビキニの水着を着たので恥ずかしくて更衣室から出られない...” という歌詞から若い女の子のことを歌ったものだと思ってしまうが、実は作詞家のポール・ヴァンスが黄色い水玉模様のビキニを着てビーチで遊んでいた2才の自分の娘を見てこの歌詞を思いついたとのこと。因みに作曲はシェリー・フェブレーの「ジョニーエンジェル」を書いたリー・ポックリス。愉快な歌詞といい、キュートな曲調といい、甘~い歌声といい、もう絵に描いたような60'sオールディーズ・ポップスの名曲である。ということで今日は「ビキニスタイルのお嬢さん」大会でいきます!

①Brian Hyland
 50年代に一世を風靡したロカビリー・ブームに翳りが差し始めるのとちょうど入れ替わるように台頭してきたドリーミーな甘いポップスの先陣を切って1960年に全米№1に輝いたこの曲を歌っていたのは当時16歳のブライアン・ハイランド。まさにオールディーズ・クラシックスの定番と言っていい名曲名演だ。
Brian Hyland - Itsy Bitsy Teenie Weenie Yellow Polka Dot Bikini


②Connie Francis
 子供達の歌声を大胆にフィーチャーし、アネットと化したコニー・フランシスが歌うチャーミングなヴァージョン。カーペンターズの「シング」はこのスタイルを踏襲・発展させたものではないか。イントロが「可愛いベイビー」に傾きかけるも辛うじて踏みとどまるところがこれまた楽しい。
Connie Francis - Itsy Bitsy Teenie Weenie Yellow Polka Dot Bikini


③Lill-Babs
 スウェーデンの女性歌手リル・バブスが母国語でカヴァーしたレアなヴァージョン。スウェーデン語って何か発音がドイツ語に似ていて巻き舌が結構キツく聞こえることが多く、私の大好きなモニカ・ゼタールンドなんかもう、曲によっては聴いててこっちが叱られてるような錯覚に陥ってしまう(笑)
Lill-Babs - Itsy Bitsy Teenie Weenie Yellow Polka Dot Bikini


④Dalida
 “悲しき天使大会” にも登場したフレンチ美女、ダリダ(もう “ダリダって誰だ?” なんて言わないでね...)のヴァージョンも大好きで、特に “アン、ドゥ、トロワ”ってとこがフレンチしててエエなぁ(←何のこっちゃ!)
dalida-Itsy bitsy petit bikini


⑤Bombalurina
 90年の夏にイギリスで3週連続№1に輝いたボンバルリーナの大胆不敵なカヴァー・ヴァージョン。原曲のチャーミングなメロディーを活かしながらアップテンポのダンス・ナンバーに仕上げたところが勝因か。音楽は理屈抜きで楽しけりゃそれでエエのだ!さすがはイギリス、このハジけ方がタマランなぁ...
Bombalurina - Itsy Bitsy Teeny Weeny Yellow Polka Dot Bikini


【オマケ】こんなんもありますけど...(^o^)丿
タモリ3 23 テキヤスタイルのお兄さん・ダニー池田とパラゾールキング
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Art Pepper Meets The Rhythm Section

2009-07-08 | Jazz
 “オーディオ” という言葉は iPodや音楽ダウンロードが主流になりつつある今のご時世では死語に近いかもしれない。しかしケータイ電話で音楽を聴いている高校生とかを街で見かけると正直、世も末やなぁと思ってしまう。私は1曲でも多く自分の趣味嗜好に合った音楽を見つけることが生き甲斐なのだが、貧相な音では折角の名曲名演を存分に愉しむことが出来ない。要するに少しでも良い音で聴きたいのだ。特に通電していないアコースティックなサウンドが主体になるジャズにおいては音の良し悪しが非常に重要で、同じ音源であっても再生環境によって名演に聞こえたり駄演に聞こえたりするものだ。具体的に言うとベースがギリギリと軋み、ブラッシュがシャッシャッと瀟洒な音をたて、テナーがスススと深~い音を出し、ピアノがコロコロ転がるようにスイングしなければいけない。
 私は10年ほど前に行ったオーディオ・ショーで最新の大型スピーカーを聴いて衝撃を受け、それまでそれなりに満足して聴いていたケンウッドのヨンキュッパ・スピーカーからのグレードアップを真剣に考え始めた。ちょうどその頃ジャズにハマリ出していた私は大胆にも “真空管アンプ+超大型スピーカー” を購入しようとヴィンテージ・オーディオの名店 “オーディオ南海西田辺店” へと出かけて行った。
 店内に入ると巨大なスピーカーが所狭しと並べられていた。EMT、ガラードのアナログプレイヤーにマッキンのアンプなんかもゴロゴロしており、まるでクラシック・オーディオショーのようだった。内心ビビリながら店主の尾崎さんに「デカいスピーカーと真空管アンプが欲しい」「ECM系の透明感溢れるキレイキレイな音ではなく、50年代ブルーノート系のガツンとくるヤクザな音でジャズを聴きたい」「特にベースとブラッシュの音を愉しみたい」とこちらの希望を告げると、何通りかの組み合わせで音を聴かせて下さるという。そこで私は持参した試聴用リファレンス盤を何枚かかけていただいたのだが、その中でそれぞれの組み合わせの特徴を最もリアルに暴き出したのがこのコンテンポラリー・レーベル屈指の名盤「アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション」だった。
 50年代ジャズ・レーベルといえばブルーノートが有名だが、ルディー・ヴァン・ゲルダーの録った迫力満点のいわゆる “ブルーノート・サウンド” は聴いている分には面白くても、実際の生の楽器の音とは程遠い “作られた音” だった。それに対し、西海岸のコンテンポラリー・レーベルのロイ・デュナンの録る音は楽器のディテイルの鮮明さやナチュラルな音場感を重視し、私の知る限り最も自然な楽器の音色を円盤に封じ込めていた。
 そのコンテンポラリー・レーベルの中でも一二を争うこのアルバムは、ウエスト・コースト・ジャズの№1アルト奏者であるアート・ペッパーが、イースト・コーストで当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったマイルス・デイビス・クインテットの “ザ・リズム・セクション”(唯一無比の、という意味を込めた敬称として定冠詞 the を付けてこう呼ばれた)と共演したレコードで、ペッパーのプレイはバックの3人の素晴らしいプレイに触発されて、他ではあまり聞かれないほどハードな一面をのぞかせながら、インプロヴァイザーとしての凄味を見せつけている。
 そんな火花散る他流試合セッションの模様を最もスリリングに描写したのが「マッキントッシュ240+アルテック・ヴァレンシア」の組み合わせだった。それまで奥のほうに引っ込んでいたペッパーが前へ出てきたのだ。マイルスのリズム隊と闘うペッパーが左側に “立って” いた。これは凄い!!! さすがは60年代ジャズ喫茶で活躍した銘機である。マッキン240が巨大な38cmウーファーを楽々と動かし、チェンバースのベースが活き活きと躍動している。中高音域を受け持つホーンも抜群で、フィリー・ジョーのシンバルがカツン!と気持のいい音をたてる。ペッパーのアルトも実に柔らかい音で、それまで何百回聴いたかわからないくらい耳ダコのはずの演奏に聴き惚れてしまった。その後も何枚かリファレンス盤をかけてもらったのだが、このペッパー盤を聴いた段階で「マッキン+ヴァレンシア」の買いを決めたようなものだった。
 内容に関しては “粋でカッコイイ” 演奏のアメアラレで、ジャズ初心者が聴いてもベテランが聴いても愉しめると思う。①「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」のイントロでガーランドのピアノにフィリー・ジョーのドラムがリズムを刻むところからもう鳥肌モノだ。ヴォーカルではヘレン・メリル、インストではこのペッパー盤がこの曲の決定的名演だろう。このアルバムは①が素晴らしすぎるので他の曲があまり話題に上らず不憫この上ないのだが、ミディアムで気持ち良くスイングする②「レッド・ペッパー・ブルース」、ペッパーの繊細なプレイに瞠目の③「イマジネーション」、フィリー・ジョーのブラッシュ・ワークがカッコ良すぎてクラクラする④「ワルツ・ミー・ブルース」、アップテンポで吹きまくるペッパーの十八番⑤「ストレート・ライフ」、チェンバースのベースが唸りをあげて爆走する⑥「ジャズ・ミー・ブルース」、煽りまくるフィリー・ジョーのドラミングに乗ってペッパーが舞う⑦「ティン・ティン・デオ」、イントロを聴いているとまるで「クッキン」を聴いているかのような錯覚に陥ってしまう⑧「スター・アイズ」、平凡なテーマと非凡なアドリブの対比の妙が見事な⑨「バークス・ワークス」と、どれもこれも素晴らしい演奏だ。
 尚、このLPのオリジナル盤はモノラルよりもステレオ(ジャケットにデカデカとSTEREOの文字が踊ってるS-7018)の方が断然音が良い。アナログ・プロダクションズから再発された重量盤もエエ音しとったし、このアルバムは “音良し内容良しジャケット良し” と三拍子揃ったモダン・ジャズの大名盤だと思う。

Art Pepper-You'd Be So Nice to Come Home To

ビートルズのボックスセットを予約した (^o^)丿

2009-07-07 | The Beatles
 Time flies. とはよく言ったもので、あの「ビートルズ全アルバムリマスター決定!!!」という衝撃のニュースからもう3か月が経とうとしている。9/9のXデーまであと2か月の辛抱なんである。最近になってようやく詳細がわかってきたのでそろそろ “輸入盤にするか国内盤にするか” とか “どこで予約するか” といったことを考えなくてはいけない。私は全部買うつもりでいるのでバラ売りは除外し、ステレオとモノラルそれぞれのボックスについて、ネットCD通販の大手で比較検討してみよう。(7/7現在での表示価格)
【Beatles Long Card Box with Bonus DVD・ステレオ16枚組】
《輸入盤》
  amazon 「この商品の注文受付開始時にEメールでお知らせします」
  amazon UK 142.7ポンド(送料込みで約22,500円)
  HMV 22,594円(マルチバイ) 27,112円(1点買いの場合)
  楽天ブックス 28.269円
《国内盤》
  amazon    35,800円
  HMV     35,800円
  楽天ブックス 記載なし
【Beatles In Mono・モノラル13枚組】
《輸入盤》
  amazon   「この商品の注文受付開始時にEメールでお知らせします」
  amazon UK  177.48ポンド(送料込みで約27,850円)
  HMV  25,981円(マルチバイ) 31,176円(1点買いの場合)
  楽天ブックス 32,307円(残りあと12個)
《国内盤》
  amazon     39,800円
  HMV      39,800円
  楽天ブックス 記載なし
 まずステレオBOXに関して、輸入盤BOXのボーナスDVDが日本の機器で再生可能かどうかについては「NTSC方式でリージョン・オール」ということなので問題なし。国内盤に関しては詳細未定とのことだが、多分使い回しの対訳とツマラン解説が付くのだろう。ハッキリ言って国内盤を買う意味がない。
 次にモノラルBOXに関して、「CD、紙ジャケから外箱に至るまでその全てが日本プレスのヨーロッパ経由で全世界に流通」するとのことなのでまずは一安心。こちらもステレオ盤同様に国内盤に関しては詳細未定とのこと。東芝は輸入盤との差別化に頭を悩ませていることだろうが、せいぜい対訳と解説、それに英文ライナーの全訳が付く程度だろう。上記の価格差を考えるとモノBOXもステレオBOXと同様に国内盤なんて考えるに値しない。
 よってステレオ、モノ両セットともに輸入盤で買うことに決定!残る問題は “どこで買うか” だが、そんなモン安けりゃいいに決まっている。そこで注目したいのがHMVの “輸入盤CD2点で25%オフ” という超太っ腹キャンペーンだ。特に今回のようなBOX SET の場合、原価が高いので少しの割引率でも買い値が大きく違ってくる。ましてや25%オフということは1/4オフということ... つまり数千円単位の値引きになるワケだ。これはデカイ!!! ステレオBOXはamazon UKから直接買うのとほぼ同額、モノBOXに至ってはこっちの方が安いのだ。HMVのライバルである日本amazonの詳細は未定だが、せいぜい楽天ブックスよりも少し安い程度だろう。これはもうHMVのキャンペーンに便乗するしかない。BOX2つで予約するもよし、何でもエエから安い輸入盤とセットにして予約するもよし、ただしこのキャンペーンは7/8(水)までなので購入を考えてる人は急ぎましょう!それにしても国内盤(75,600円)と輸入盤(48,575円)の価格差が27,025円って...(>_<)

The Beatles - Help! (Mono)


The Beatles - Sgt Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise) (Mono)

Rhythm Nation / Janet Jackson

2009-07-06 | Rock & Pops (80's)
 ジャネット・ジャクソンは前作「コントロール」から5曲連続してシングルを全米トップ5に送り込み、それまでの “ジャクソン・ファミリーの末っ子アイドル” というイメージを払拭し、 “ダンス・ミュージック界を代表するスーパースターの一人” としてそのキャリアを歩き始めた。ただ、あのアルバムはあくまでも彼女にとっての出発点にすぎず、彼女が思いっ切りやりたい事をやった、という感じを強く抱かせてくれたのは89年暮れリリースされたこの「リズム・ネイション1814」である。
 このアルバムは前作に引き続いてジャム&ルイスをプロデューサーに起用しサウンド面での充実が図られた。アルバム・タイトル「リズム・ネイション」が示すように徹底して当時最先端のリズムであるミネアポリス・サウンドを極めた感があったし、又、ヴィジュアル面でも大きく進化し、前作の “へぇ~、マイケルの妹も踊れるんや...(゜o゜) 中々上手いやん(^.^)” 的な評価から “うわっ、ジャネットのダンス、めっちゃカッコエエわ(≧▽≦)” へと世間の評価を高める要因となった同名のビデオクリップ集では圧倒的なダンス・パフォーマンスを披露して視聴者の度肝を抜いた。その甲斐あってか、このアルバムからは前作を軽く上回る7曲のトップ5ヒットを輩出、その内4曲が全米№1に輝くというウルトラ・メガ・ヒットぶりで、その2年前に出た兄の「バッド」に勝るとも劣らない素晴らしいチャート成績だ。
 このアルバムを特徴付けているのは各曲の間をインタールードと称する短い間奏曲でつなぎ、アルバム1枚を一つの大きな流れの中で捉えてもらおうという、いかにもCD時代らしい手法で全12曲65分を一気呵成に聴かせることに成功している。又、歌詞の面でもそれまでの単なるラヴ・ソング一辺倒から脱却し、様々な社会問題に言及するなど、著しい成長の跡が窺えるのだ。
 このアルバムからのリード・シングル⑧「ミス・ユー・マッチ」(1位)は前作「コントロール」を上回る凄まじいまでの衝撃性を内包していた。ヘヴィーなリズム・セクションが生み出す弾むようなビートに乗ってジャネットが歌い始めると聴いてるこちらの身体も自然と動いてしまう。それはもう “めちゃくちゃカッコイイ!” という言葉しか思いつかないぐらいのキラー・チューンだった。
 セカンド・シングルになったアルバム・タイトル曲②「リズム・ネイション」(2位)はアップテンポなダンス・ナンバーで、刺激的なサンプリング音が乱舞する中、幾重にも重ねられた重厚なサウンドをバックに、実にテンションの高いヴォーカルを聴かせるジャネットが最高だ。
 実にキャッチーなサード・シングル⑭「エスカペイド」(1位)は愛らしいメロディーを持ったポップ・ファンクで、 “曲は甘く、演奏は辛く” を地で行くジャネットの新境地。間奏で聞けるジャネットの “ミネアポリス!” という弾むような掛け声がすべてを物語っている。全米1位獲得も当然だろう。
 ⑫「オールライト」(4位)は前作で言うと「あなたを想う時」的な疾走感溢れるダンス・ナンバーで、彼女の余裕すら感じさせるノリノリな歌いっぷりが圧巻だ。彼女が大好き!と公言するハウス・ミュージックのエッセンスを取り入れながら彼女にしか作れないポップなサウンドに仕上げている。
 ⑱「カム・バック・トゥ・ミー」(2位)は前作の「急がせないで」を彷彿とさせるスローバラッドでジャネットのヴォーカルの表現力が増した分、完成度はこっちの方が上だろう。サウンド・プロダクションも凝っている。 “どこかで聞いたことがあるような気がするのに中々思い出せない” 類のメロディーも秀逸だ。
 ⑯「ブラック・キャット」(1位)はヘヴィーなギターが炸裂するハードロックなダンス・ナンバーで、リズミカルでありながらメロディアス、ヘヴィーでありながらダンサブルというアンビバレンスが見事に表現されている。これは兄マイケルが「ビート・イット」や「ダーティ・ダイアナ」で採った手法を踏襲したもので、アルバムに幅を持たせることに成功している。
 上記のシングル曲以外では④「ステイト・オブ・ザ・ワールド」がめちゃくちゃカッコイイ(^o^)丿 ミネアポリス・ファンクのオイシイ所を濃縮還元したようなイカした曲で、うねるようなリズムが生み出すグルーヴは快感の一語に尽きる。シングル・カットしていたら確実にトップ5入りしそうなナンバーだが、後にボビー・ブラウンやジョニー・ギルといったニュー・エディション一派がこのグルーヴをアダプトして大ヒットを飛ばしている。
 マイケル亡き今、彼のスピリットを受け継げるのは彼女しかいないだろう。辛いとは思うが一日も早くショックから立ち直って天国の兄が嫉妬するぐらいカッコイイ曲を聴かせてほしいものだ。

Janet Jackson ? Miss You Much ? ~HQ~


天才兄妹最後の共演↓
michael jackson scream,HD

Control / Janet Jackson

2009-07-05 | Rock & Pops (80's)
 先週ロスのシュライン・オーディトリアムで開催されたB.E.T.(ブラック・エンターテイメント・テレビジョン)アウォード授賞式にジャネット・ジャクソンが登場し、涙をこらえながら兄の死について語る姿をYouTube で見た。この前アップした93年グラミー賞の映像の中でプレゼンターとして敬愛する兄と仲睦まじいところを見せていた彼女だけにその心中察するに余りある。
 彼女は82年に “ジャクソン・ファミリーの末っ子” としてレコード・デビューしたが、いかにも “お子様ランチ” なサウンドで、 “マイケル以外のジャクソンは全然アカンなぁ...” というのが正直な感想だった。そんな彼女が大変身を遂げたのが86年にリリースされたサード・アルバム「コントロール」である。
 アルバムからの先行シングルとしてカットされた③「ホワット・ハヴ・ユー・ダン・フォー・ミー・レイトリー」(全米第4位)はそれまでのふやけた音作りとは激しく一線を画す先鋭的なダンス・ナンバーで、私は初めてラジオでこの曲を聴いた時にそのあまりのカッコ良さ(後半部のうねりまくるピアノなんかもう最高!)にシビレまくったのを覚えている。それもそのはずでこのアルバムをプロデュースしているのはジミー・ジャム&テリー・ルイスというミネアポリス・ファンク・サウンドを得意とする二人だったのだ。元々プリンス直系のタイムというグループのメンバーだった彼らは “80年代のギャンブル&ハフ” と言われるほどのプロデューサー・チームで、当時のミュージック・シーンでは “ダンスフロア・ヒット製造工場” として機能していた。そんな彼らの音楽的志向がジャネットの求めていた方向性とピッタリ一致し、マジックが生まれたのだろう。しかしまだこの時点ではその後の大ブレイクは予想もできなかった。
 セカンド・シングル②「ナスティ」(全米第3位)も連続ヒット、プリンス・サウンドの “一番オイシイ部分” を巧く抽出してジャネットにふりかけ、彼らの専売特許といえる分厚いリズムで包み揚げて一丁上がりという感じのサウンド・プロダクションが斬新だった。 “私のファースト・ネームはベイビーなんかじゃないわ。ジャネットよ。ミス・ジャクソンと呼んでちょうだい!” と歌う彼女にはもはやかつての “ヤング・アイドル” の面影はカケラもなく、我々はジャクソン・ファミリーから2人目のスーパースターが誕生する瞬間を目の当たりにしようとしていた。
 サード・シングル⑥「ホエン・アイ・シンク・オブ・ユー」は前2曲よりもアップテンポで軽快なノリが大衆に受け、彼女初の全米№1に輝いた。楽曲としてはそれほどのものとは思えないが、やはり時代の流れが彼女を後押ししていたように思う。アルバムも既に№1になっており、 “ジャム&ルイス&ジャネット” というトリオの黄金時代の幕開けを予感させた。
 4枚目のシングルはアルバム・タイトル曲の①「コントロール」で、 “私がまだ17歳だった頃は周りに言われるままにやってきたけど、それはもう遠い昔のこと。これからは自分ですべてをコントロールしていくわ。” という歌詞に自我に目覚めた彼女の自信が見てとれる1曲だ。メロディーよりもリズムに重きが置かれたせいかチャート上の成績は5位止まりだったが、そのサウンドの弾けっぷりがめっちゃ気に入っていて、自分的には③と共にアルバム中で最も気に入っているナンバーだ。
 5枚目のシングル⑧「急がせないで」はウエストコーストAOR風味のスロー・バラッドで、これがまた全米2位という凄まじさ。この時期はもう “出せば売れる” 状態だった彼女だが、ダンス・ナンバー以外でもヒットを出せたというのはその後のことを考えると結構大きかったように思う。
 このレコードは全米で600万枚を超えるセールスを記録したモンスター・アルバムで、彼女にとっては売り上げとかチャート成績以上に、音楽面において自らのキャリアの転換点となった重要な1枚だ。

What Have You Done For Me Lately 'Live' by Janet Jackson & The Time



Singles / My Little Lover

2009-07-04 | J-Rock/Pop
 洋楽邦楽を問わず、最近のヒット曲には心にグッとくるものがない。邦楽はサザンが活動を休止してしまった今、心して聴くべきはB'zと竹内まりやだけになってしまった。洋楽に至ってはもう何もない。まぁ自分の感覚が今という時代に合わないだけなのだろうが、それにしても薄味というか、心に残るメロディーを持った曲が皆無に等しい。要するにどれを聴いてもみな同じに聞こえてしまうのだ。それに比べて60's~80'sの洋楽ポップスや昭和歌謡は一度聴いたら忘れられないようなメロディーの宝庫で、何十年経っても楽しく聴けるエバーグリーンな魅力を備えていた。今から考えると実に魅力的なメロディーやリズムに満ち溢れた素晴らしい時代にチャートを追いかけながら日々を過ごせて本当にラッキーだったと思う。
 このマイ・リトル・ラヴァーとの出会いはもう十年以上も前になるが、CS放送の音楽番組をつけっ放しにしながら何か他の事をしていた時のこと。判で押したように同じようなリズムやコード進行の曲が続く中、たまたま③「Hello Again ~昔からある場所~」がかかった。そのどこかで聞いたような懐かしさ溢れるサウンドに耳が吸い付き、一瞬にして心を奪われてしまったのだ。生粋のビートルズ・ファンである私にとって、ビートルズの新曲が望めない今、ビートルズの遺伝子を受け継いだミュージシャン達の生み出すビートリィなサウンドには抗しがたいモノがあり、この曲もまるでビートルズの「フリー・アズ・ア・バード」を初めて聴いた時と同じようなノスタルジックな感覚を呼び覚ましてくれた。鬼才プロデューサー小林武史の紡ぎ出すキャッチーなメロディー、ツボを心得たアレンジ、そして細部にまでマニアックな拘りを見せるサウンド・プロダクションの素晴らしさは言うまでもないが、この曲の持つ甘酸っぱい雰囲気を生んでいるのは紛れもなくリード・ヴォーカルakkoの歌声である。歌の上手さとか、そういった物差しでは測れない、ついつい惹き込まれてしまう不思議な魅力を湛えたヴォーカルだ。彼女が1人称で歌う “僕” がこの曲のテーマである少年性を見事に表出しており、誰の胸にもある懐かしい少年時代への憧憬を掻き立てる。とにかくこれはJ-Popsにもこんな素晴らしい楽曲があることを私に教えてくれた、メロディー良し、歌良し、演奏良しと三拍子揃った90年代J-Pops屈指の大名曲だ。
 その後もマイラバは、マイケル・ジャクソンの「ブラック・オア・ホワイト」みたいなリフを始めとする90's風デジタル・ビートでビートルズの「フライング」をコーティングしたようなサウンドの中に akkoの柔らかい歌声が溶け込んで生み出される不思議なグルーヴに心魅かれる④「ALICE」、ストロベリー・フィールズを彷徨うアンニュイなakkoの歌声と中~後期ビートルズの音世界を徹底的に再現したサウンドの絡みが郷愁を誘う⑤「NOW AND THEN ~失われた時を求めて~」、マーサ・ディヴィス率いるモーテルズの「サドンリー・ラスト・サマー」を想わせるような80'sポップ・エッセンスの濃縮還元サウンドがたまらない⑥「YES ~free flower~」と、クオリティーの高いシングルを連発、そのサウンドの隅々にまで小林武史の天才が如何なく発揮されている。
 ⑦「ANIMAL LIFE」は私が③と並んで気に入っているキラー・チューンで、彼らの言葉を借りれば “頭ん中が真っ白になるぐらいの分厚い爆音ギターによるグラム・ロック”。その “ギター版ウォール・オブ・サウンド” と言ってもいいサウンドにakkoの猫なで声がバッチリ合っていてマイラバの新しい魅力が全開だ。エンディングはビートルズ「ヘルプ」への愛だろう。尚、この曲のPVはクローン化したakkoが4人のバンドになるのだが、ロバート・パーマー「恋におぼれて」のパロディーみたいで面白かった。
 ブラスを大きくフィーチャーし、浅草サンバ・カーニバルに和太鼓が乱入して無法地帯と化したインターナショナル盆踊り大会(?)のようなノリで爆裂ドラムがガンガン盛り上げる骨太ポップ・チューン⑧「Shuffle」は生音とデジタルの巧妙な合わせ技。小林武史のポップ・センスここに極まれりといえる名曲名演だ。ダリル・ホール「ドリームタイム」とZARD「負けないで」を示談にしてマイラバが美味しいとこを全部持って行ったような⑨「空の下で」、原点回帰的なセルフ・カヴァー・モードで久々のビートリィなサウンドに涙ちょちょぎれる⑩「DESTINY」と、名曲名演のアメアラレとはこのことだ。
 このベスト・アルバム「シングルス」はそんなマイラバ全盛期のヒット曲満載の超お買い得盤(^o^)丿 現在は小林もグループを離れakkoのソロ・プロジェクトとして活動しているようだが、是非とも又ビートルズDNAを受け継いだプロデューサーと組んでその唯一無比の歌声で楽しませてほしいものだ。

Hello, Again ~昔からある場所~ My Little Lover



Television's Greatest Hits 70's & 80's

2009-07-03 | TV, 映画, サントラ etc
 先週マイケル・ジャクソンが亡くなってから早くも1週間が過ぎた。彼への想いはこのブログに書き綴ったが、同じ日に亡くなったファラ・フォーセットの死も又私には大きなショックで、彼女のことをボーッと考えていたらチャーリーズ・エンジェル(映画の元になった70年代のテレビ・シリーズの方です)に行きつき、懐かしさが込み上げてきた。
 私は昔から外国のテレビドラマが大好きだった。日本のドラマって脚本に深みがないというか、予定調和というか、どれも似たり寄ったりでイマイチ面白みに欠けるのだが、海外、特にアメリカのドラマはストーリー展開ひとつとっても次元が違うほど面白く、俳優さんたちのキャラも立っていた。私が一番好きなのはスタートレック・シリーズで、中でも「宇宙大作戦」、「ザ・ネクスト・ジェネレーション」、「ディープ・スペース・ナイン」、「ヴォイジャー」の4シリーズ計605話はすべてストーリーを覚えてしまうくらい何度も繰り返し見た。
 そうそう、「ダラス」にもハマッたなぁ...(≧▽≦) 70年代から80年代初めにかけて全米で13年間に亘って放送され、最高視聴率が50%を超えた全米ドラマ史上に残る屈指の名作で、テキサスの石油王ユーイング一族の愛憎劇や権力抗争を通して人間の微妙な心の綾が見事に描かれていたし、シーズンの最後に劇的な幕切れを用意して次のシーズンへの期待を持たせるいわゆる“クリフハンガー方式”を定着させたのもこのドラマである。特に主人公のJRがオフィスで何者かに撃たれたところで終わった第2シーズンの衝撃的な幕切れには度肝を抜かれたものだ。
 この2作品を別格とすれば、あとは刑事モノ、探偵モノが圧倒的に多かった。私の中学・高校時代、日曜夜の10:30から読売テレビ系でこの種の海外ドラマが入れ替わり立ち替わり放送されていて、私はそれらのシリーズを欠かさずに見ていた。「ロックフォードの事件メモ」を始めとして「華麗な探偵ピート&マック」、「ベガス・私立探偵ダン・タナー」、「地上最強の美女・バイオニック・ジェミー」、そして「地上最強の美女たち!チャーリーズ・エンジェル」など、挙げていけばきりがない。特に「チャーリーズ・エンジェル」には我が愛しのファラ・フォーセットがジル役で出ており(第1シーズンのみ)、その美しさにすっかり魅了された私は毎週日曜の晩にジルに会えるのが楽しみだった。
 これらの海外ドラマの魅力の一つに音楽面での完成度の高さがあった。特にオープニングのテーマ曲は耳にこびりついて離れないキャッチーなものばかりで、1分ちょっとで多くの人々の心をつかむ絶妙なアレンジがなされていた。適当なBメロやCメロ、それに歌詞を用意できれば大ヒットしそうな曲も何曲かあったので “勿体ないなぁ~” と思いながら自分でオムニバス・テープを作って楽しんでいたのだが、ある時ミナミのタワーレコードで「テレビジョンズ・グレイテスト・ヒッツ 70's & 80's」という盤を見つけた。
 そこには上記の番組の主題歌の多くが収録されていただけでなく、他にも「スピード・レイサー」(懐かしさ全開の日本アニメ「マッハGO GO GO」のUSヴァージョン)、「ラバーン&シャーリー」、「探偵ハート&ハート」、「特攻野郎Aチーム」、「刑事スタスキー&ハッチ」、そして知る人ぞ知る名作「ヒル・ストリート・ブルース」なんかも入っていて海外ドラマ・ファンの私には涙ちょちょぎれる内容だった。ヤン・ハマーで全米№1になった「マイアミ・ヴァイスのテーマ」まで入っている。これであと「ナイトライダー」、「エアーウルフ」、「ハイテク武装車バイパー」(←これカッコイイです!)が入ってたら完璧だったのにね...(>_<)
 もう一つ嬉しかったことは、日本未放送ドラマ音源で良い曲を何曲か見つけたこと。中でも「バーナビー・ジョーンズ」という番組主題歌が絶品で、英文ライナーによると私立探偵モノらしいのだが、これが実に印象的なメロディーを持った曲で、演奏もダイナミックで中々カッコイイのだ。エエ曲やなぁ...と感心しながらよくよく見ると作曲したのは「ナポレオン・ソロのテーマ」(ベンチャーズもアルバム「バットマン」で演ってましたネ)を書いたジェリー・ゴールドスミス。う~ん、さすがですな(^.^)
 話がファラ・フォーセットから大きく逸れてしまった(>_<) 彼女はマイケルのように一つの時代を作った大女優ではないかもしれない。しかしYouTubeに無数にアップされている彼女へのトリビュート映像とその死を悼むコメントの数々が、彼女が如何に大衆から愛された存在であったかをハッキリと物語っている。Rest In Peace, Angel...

Charlie's Angels: Ultimate Opening Credits


Viper intro 4


Barnaby Jones TV show theme song

Tendres Annees 60 / Marie Laforet

2009-07-02 | European Pops
 私は仕事をしている時以外は家にいようが車に乗っていようが四六時中音楽を聴いており、殆ど音楽漬けと言っていいような生活を送っているが、その一方で映画の知識は非常に乏しい。もちろん映画が嫌いというわけではなく、ただ単に集中力が2時間もたない(笑)だけなのだが、見ていて頭を使うような難しい映画は基本的に苦手である。そんな私だから仲間内で映画の話題になると、タイトルといい俳優の名前といい知らないことだらけで全くついていけない(>_<) 音楽好きの人はほぼ例外なく映画にも詳しいので、いつもつんぼ桟敷に置かれてペニーレーンでバーボン状態になるし、ましてやそれが昔のヨーロッパ映画ときた日にゃあもうハラホロヒレハレ~(笑)になってしまう。
 初めてマリー・ラフォレの名前を耳にしたのは数年前のこと、G3で私がフランス・ギャルやシルヴィ・バルタンに熱を上げていると、901さんやplincoさんが “60年代のフレンチ・ポップスやったらマリー・ラフォレなんか気に入るんとちゃう?アラン・ドロンの「太陽がいっぱい」に出てた女優さんやけど、映画「赤と青のブルース」のタイトル曲とかエエよ。” と薦めて下さったのだ。「赤と青のブルース」?知らんなぁ... 「太陽がいっぱい」?聞いたことあるようなないようなタイトルやなぁ... アラン・ドロン?... 名前はイヤッちゅーほど聞いて知ってるけど実際に映画を見たことないしなぁ... とか思いながらネット検索して試聴してみると、これがもうめちゃくちゃカッコ良い!いわゆるひとつのジャジーなサウンドをバックに歌う粋なフレンチ・ポップスで、いっぺんに気に入ってしまった。早速ヤフオクでこの曲の入っている「Tendres Annees 60」という安価なベスト盤を発見、何とボブ・ディランの「風に吹かれて」やアニマルズの「朝日のあたる家」なんかのカヴァーも入っている。これは大ラッキーだ(^o^)丿 
 フレンチ・ポップスを聴く上で何が鬱陶しいと言ってフランス語ほど鬱陶しいものはない(←フレンチ・ポップスからフランス語を取ったらフレンチ・ポップスちゃうやん!)。音楽ジャンキーにとって曲のタイトルが全く読めないのはかなり不便なことで、とにかく意味も発音も全く分からないのでどの曲がどれだったかが全然覚えられないのだ。だから常日頃はバカにしている邦題が付いていたりすると地獄で仏に会ったような気持ちになるのだが、残念ながらこのCDは輸入盤なのでそれも諦めるしかない。
 届いたCDでまず聴いたのが彼女を知るきっかけとなった①「赤と青のブルース(セントロペ・ブルース)」だ。素人っぽさ全開の囁きヴォーカルが逆に抗しがたい魅力を発散し、全編を通して効果的に使われているヴィブラフォンの涼しげな音色と律儀にリズムを刻むギターのザクザク音が耳に残る名曲名演だ。フォンタナから出たシングル①のB面にあたる②「タンブルウィード」で聴けるフランス・ギャルそっくりの歌声にビックリ(゜o゜) 他の曲ではそんなことないのに、 “タンブルウィード、タンブルウィード~♪” のリフレイン・パートなんかギャルが歌ってると言われても信じてしまいそうなくらいにそっくりだ。それにしても①が2分19秒で②が1分42秒と、シングルAB面併せて4分というのもコスト・パフォーマンス高いなぁ...
 ③「Tu Fais Semblant」はフランソワーズ・アルディ路線の実にシックなフレンチ・ポップスで、ラフォレのイメージにピッタリの曲。女優さんの余技とはとても思えない雰囲気抜群のヴォーカルが素晴らしい!⑤「メリー・アン」ではアニー・フィリップの「片道切符と入場券」を彷彿とさせるたどたどしく儚いヴォーカルがたまらない。
 ⑥「風に吹かれて」ではそれまでとは違った歌い方というか、1語1語をかなりしっかりと歌っており、説得力が格段にアップしている。この人は曲によってかなり歌い方を変えているようで⑦「朝日のあたる家」では「悲しき天使」と「ドナ・ドナ」を足して2で割ったようなロシア民謡ちっくな演奏をバックに哀愁舞い散るヴォーカルを披露する。凄いなぁと感心していると次の⑧「L'amour en fleurs」は再びアニー・フィリップ路線に逆戻り。⑨「Qu'est-ce qui fait pleurer les filles?」では癒し系ヴォーカルで聴く者を優しく包み込み、⑩「Ils s'en vont sur un nuage」ではシャンタル・ゴヤのようなアンニュイな歌声を聴かせてくれる。ビートルズの「夢の人」を想わせるフォーキーな⑭「Viens sur la montagne」ではシェイラの影響が見え隠れ。いやはや何とも器用なシンガーだ。
 このマリー・ラフォレという人は他にもサイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」とか「コンドルは飛んでいく」なんかの名カヴァーもあるので、フレンチ・ポップスの底無し沼にハマりたい方は是非どーぞ!!!

Saint Tropez Blues, par Marie Laforet St et Jacques Higelin


怪しい映像発見!右端のマトリョーシカ人形がウルトラマンに出てきた宇宙人にそっくりやなぁ... などと思って見ていると、さりげなくゲンスブールが出てたりします(笑)
Marie Laforet - Ivan, Boris & Moi