shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ペルーの「赤盤」2種聴き比べ

2021-09-29 | The Beatles
 B-SELSの9/26付「日記」で取り上げられていたペルーの「赤盤」を買った。実を言うとペルーの「赤盤」は既に持っていたのだが、Sさんの「日記」を読んで、同じペルー盤でも全くの別物らしいことが分かったのだ。
 「日記」によると B-SELS の「赤盤」は全面 UKマザーでジャケも全面コーティングとのことだが、私がネットで買ったペルーの「赤盤」は手書きの独自マトで(←型番の横に COPIA と彫られており、不思議に思って調べてみたらラテン語で“複製”っていう意味やった...)ジャケにもコーティングは一切施されていない。
 しかし何よりも引っ掛かったのはSさんが“力強い良い音だ” と褒めておられたこと。私の手持ちの「赤盤」は確かに音はデカいが硬質で潤いのないパサついた音で、私の好きな音ではない。しかし一番問題なのは「I Want To Hold Your Hand」の途中で急に音がガラッと変わってしまったり、曲間部分で他の曲の転写のような音がハッキリと聞こえたり、「Ticket To Ride」のイントロ部分で片チャンネルがオフになったりと、聴いててイライラするような要素が満載なことだ。こんな不良品、よぉリリースしよったなぁ... と呆れるレベルなんである。ローカル・リカットに当たり外れがあるのは重々承知しているが、これほど酷いハズレ盤に当たることは滅多にない。とまぁそんなワケで、「日記」を見た翌々日に B-SELS へ行ってきた。

 私:今日は「日記」に書いてはったペルーの「赤盤」を聴かせて下さい。
 Sさん:えっ? shiotchさん確か「赤盤」持ってはったんじゃ...
 私:私のは何か偽物っぽいんですわ。音がおかしいんです。ブートちゃうかと疑ってしまうレベルですよ。
 Sさん:そうなんですか...
 私:「日記」に書いてはったUKマザーの盤って Deep Groove あります?
 Sさん:はい、ありますよ。
 私:やっぱり。私のは無いですもん。何か偽物臭がプンプンしますわ...
 Sさん:じゃあとりあえずウチのを聴いてみましょう。
 私:(A①「Love Me Do」が流れる...)おぉ、エエじゃないですか! 1つ1つの音がシャキッとしてますね。
 Sさん:ちょっとチリチリ言いますけどキズは無いんですよ。
 私:溝の奥に埃でもたまってるんですかね?
 Sさん:よ~く見ると薄っすらとビニ焼けしてるでしょ? 南米の盤って高温多湿で盤とビニールがくっついちゃうんですよ。シールド盤でもビニ焼けありましたからね。
 私:確かにありましたねぇ。
 Sさん:コレなんかまだマシな方で、サンドイッチ・カヴァーなんて密閉されてますもんね。
 私:ハハハ、確かに。でも私はこの程度のチリパチなら全然問題ないですよ。
 Sさん:A④「She Loves You」A⑤「I Want To Hold Your Hand」と続く怒涛のヒット曲...
 私:スピーカーからエネルギーが迸り出るのが目に見えるようです。これは凄い!
 Sさん:いやぁ、ホンマによぉ出来たLPですね。
 私:何と言っても最初に聴いたのがコレですから。
 Sさん:凄いところから入ったんですね(笑)
 私:(B①「A Hard Day’s Night」の“ジャーン!!!” を聴いて...)おぉ、これは強烈!
 Sさん:エエですねぇ...(^.^)
 私:12弦ギターの音が瑞々しいです。エンディングのアルペジオなんかもう煌めいてますやん。UKの初回マト盤も持ってますけど、こっちの方がパワーを感じますね。
 Sさん:同じ UK マザーでもさすがのペルー盤ということですね。
 私:C①「Help!」のジョンの叫びも強烈やなぁ...
 Sさん:この面も音がしっかりしてて言うことなしですね。
 私:C③「We Can Work It Out」も力が漲ってます。
 Sさん:良いですねぇ、ホンマに。
 私:D①「Nowhere Man」、もうたまらんたまらん(≧▽≦)  引き込まれますねぇ、このジョンの声。
 Sさん:素晴らしいです、この音。
 私:このペルー盤、ステレオでもこれだけの迫力が出せるというお手本のような音作りですよ。
 Sさん:(満面の笑みで頷く)
 私:それにしても「Nowhere Man」から始まって「Michelle」「In My Life」「Girl」「Paperback Writer」「Eleanor Rigby」と続く曲の並び、もう神すぎますよ!!!  ジョンとポールっていう2人の天才がバチバチと火花散らしてる様子が見事に音溝に刻まれてますね。
 Sさん:いやぁ~、もう圧倒されます。
 私:良い音で聴くと良い音楽が更に素晴らしく聞こえるという絶好の例ですね、このペルー盤。私の偽物盤(笑)の方は明らかに腰高なサウンドですが、こちらの本物盤は遥かにどっしりとしてて重心の低いサウンドです。これいただきますわ。
 Sさん:えっ、いいんですか?
 私:もちろんです! これ聴いてしもうたらもうあんなブートまがいのアホバカ盤聴けませんわ。

「Wings Greatest」ペルー盤

2021-09-25 | Paul McCartney
 前回取り上げた「Abbey Road」の東南アジア盤を B-SELS で買った日の夜のこと、いつものように寝る前に B-SELS の「日記」をチェックしたところ、ほんの数時間前までペルー盤の話で一緒に盛り上がっていたSさんが新たなペルー盤をしれーっと(笑)出品されていた。
 そのレコードというのがウイングスのベスト盤「Wings Greatest」で、例によって例のごとく “期待を裏切らない、ペルー独特の力強い音だ。盤質もなかなか良い。キズらしいキズと言えば、「LET’EM IN」に1か所あるくらいで、それも大きな支障はない。全体を通じて綺麗な盤だ。LPに入っていない「ANOTHER DAY」「LIVE AND LET DIE」「HI HI HI」「MULL OF KINTYRE」など、これで聴くとサイコーだ。” と大絶賛されているのだ。
 シングル盤でしか聴けないウイングス黄金期のきら星のごときヒット曲の数々を、今ハマっているペルー盤の真空管カッティングの濃厚な音で聴けるとあればこれはもう買うシカない。私はすぐに B-SELS へ行き、このレコードを手に入れた。商品説明ポップには “超レア! ペルーオリジナル 独自カッティング すばらしい音!! 全体的にキレイな盤で音はすばらしい!” という煽り文句が並んでいる。超コンサバ・グレーディングを旨とするSさんの言葉に誇張は一切ない。

 私:コレ聴かせて下さい。
 Sさん:もちろん!(A①「Another Day」がかかる...)どうですか?
 私:おぉ、いきなり全開じゃないですか!
 Sさん:良いでしょ?
 私:ポールのよく歌うベースが前面に出てきて実に気持ちいいですし、ベースの音自体にも深みが感じられてこれはもうタマランですよ。
 Sさん:UKシングルではベースが重い感じなんですが、コレは引き締まった音してますね。
 私:ポールの闊達なベースラインがペルーの音作りと絶妙にマッチしてます。
 Sさん:そう思います。
 私:私はこの音めっちゃ好きです。まるでリード・ベースですよ。ポールのファンにはタマラン音作りです。
 Sさん:仰る通りですね。
 私:このA③「Live And Let Die」、花火が上がりそうなくらいのド迫力ですね。ポールの声も瑞々しいです。
 Sさん:コレはホンマに凄いです。
 私:A④「Junior’s Farm」、コレもヤバい...
 Sさん:強烈な音ですね。
 私:この「Wings Greatest」っていうアルバム、“音” だけでこんなにコーフンしたのは生まれて初めてですよ。自分史上最高の「Wings Greatest」です。
 Sさん:この音を聴いたらみんなこのアルバムが好きになりますよ。
 私:いやぁ、ペルー盤蒐集にますます拍車がかかりそうです。
 Sさん:ハハハ...
 私:このA⑥「Band On The Run」、音楽を前へ前へと押し進めていく圧倒的なドライヴ感が気持ち良すぎ... (≧▽≦)
 Sさん:この曲がこの音で聴けるという... まさに理想的ですよね。
 私:ホンマにそうですね。こんな音で聴きたかってん、っていう...
 Sさん:じゃあ次B面いきますね。
 私:B面も絶好調ですね。期待を裏切りません。
 Sさん:B②「Hi Hi Hi」も凄い音...
 私:自然と身体が揺れちゃいますね。これマジでヤバいですよ。
 Sさん:B③「Let ‘Em In」にコキズがあるんですよ。
 私:注意して聴くと確かに数回 “ブッ” といいますが、音のデカさの中に埋没してて殆ど気にならないレベルですよ。キズですら圧倒してしまうペルー盤おそるべし!
 Sさん:B④「My Love」いいですねぇ...
 私:リッチで濃厚な音ですね。それとこのB⑤「Jet」、音の密度が濃いですね。
 Sさん:濃い濃い...(笑)
 私:まさしく真空管効果ですよね。
 Sさん:そうやと思います。
 私:こんなB⑥「Mull Of Kintyre」、初めて聴きました。ゾクッとしますね。とにかくこの音の厚みは言葉に出来ないほど凄いです。
 Sさん:コレは絶対に気に入っていただけると思うてました。
 私:最高ですよ。仕事の疲れも吹き飛びましたわヽ(^o^)丿

「Abbey Road」東南アジア盤

2021-09-21 | The Beatles
 B-SELSで「Abbey Road」の東南アジア盤を手に入れた。東南アジア盤というのはシンガポール、マレーシア、香港の三国共通盤のことで、UKマザーを使ってシンガポールでプレスされており、ガイド本「アナログ・ミステリー・ツアー」で湯浅氏が “音の鮮度が高く、まるでUKの若いプレスを聴いているかのような印象” と高く評価されているのを読んで興味を持っていたのだが、これまでイタリアやらウルグアイやらトルコやらで忙しくて(笑)東南アジアまで手が回らなかったのだ。
 ところが先日 B-SELS の日記のコラムを見るとSさんがこのシンガポール・プレスの「Abbey Road」を取り上げて “並の UK盤より遥かに良い状態で音も素晴らしい” とべた褒めされている。自分は今ペルー盤祭りの真っ只中だが、音にうるさいSさんが絶賛する「Abbey Road」となると話は別。こーなったらペルーとシンガポールの二刀流で行ったるわい!と心に決めた私は早速B-SELSへ聴かせてもらいに行った。

 私:今日は日記に書かれていたシンガポールの「Abbey Road」を聴かせて下さい。
 Sさん:おぉ、それはそれは。ぜひ聴いていって下さい。ヘタな UK盤の5倍くらい音良いですよ。さすがに盤質の良い UKのスタンパー1桁盤には負けるかもしれませんが...
 私:盤質の良い UK 1桁盤なんて滅多にお目にかかれませんやろ。
 Sさん:とにかくこれほど盤質の良い「Abbey Road」は中々無いですよ。
 私:すごい自信ですね。なんかワクワクしてきました。
 Sさん:(A①「Come Together」を聴き終えて... )どうですか?
 私:コレはビックリです。曲間ノイズほぼゼロの「Abbey Road」を聴ける幸せ♡
 Sさん:ありがとうございます。
 私:A②「Something」もA③「Maxwell's Silver Hammer」も個々の楽器の音がめちゃくちゃ瑞々しいですね。
 Sさん:何と言ってもA面はマザー1ですからね。
 私:ホンマにエエ音ですね。思わず聴き入ってしまいます。
 Sさん:さっきshiotchさんが仰ったようにこれほど盤質の良いスタンパー1桁盤なんて中々無いでしょうね。
 私:B①「Here Comes The Sun」ってオーディオ再生的には非常に難しい曲やと思うんですけど、これは繊細さと力強さの両方を兼ね備えて高い次元で見事に両立させた素晴らしい音ですね。いやぁ、これは参りました。
 Sさん:50年前のレコードがこの状態で残っていること自体すごいですよ。
 私:このB面はマザー8ですけど十分すぎるくらい良い音ですね。やっぱり「Abbey Road」は盤質こそが大正義なんですね。
 Sさん:B③「You Never Give Me Your Money」のイントロのピアノの音がキレイでしょう?
 私:はい、こんなんもう笑うしかないですよ。
 Sさん:そしてこのメドレー...
 私:B⑩「The End」のエンディング、もうタマランですね。動から静へのコントラストに涙ちょちょぎれますわ。コレ、いただきます!
 Sさん:いつもありがとうございます。
 私:こちらこそ感謝感謝ですよ。いやぁ、今日はホンマにエエもん聴かせてもらいました。来て良かったですわ(^.^)

「Help!」ペルー盤

2021-09-17 | The Beatles
 私のレコード蒐集は一旦火が付くと一気に燃え上がり、ぺんぺん草も生えないくらいの焼け野原になるまで買い尽くすというのがいつものパターンだ。最近ではウルグアイ盤やトルコ盤がそうだが、その音に惚れたら自分が納得いくまで徹底的に極めないと気がすまない。
 先日 B-SELS で買ってきた「RAM」のペルー盤の音に完全KOされた私は、いつものように早速ペルー盤蒐集に向けての情報収集を開始した。その結果わかったのは「Please Please Me」から「Rubber Soul」までは黒レーベルが 1stプレスで、66年の「Revolver」から青/黒の通称 “電波レーベル” に切り替わったということ。値段の方はセラーや盤質によって千差万別だが、ウルグアイの時と同様に南米の国からということで送料が$30~$40とバカ高く、お金の面で結構厳しくなりそうだ。
 まぁ地球の裏側から送ってもらうのだからしゃあないと言えばしゃあないのだが、“送料だけで5,000円近くも払うなんてアホらしいなぁ... それだけでLP1枚買えるやん... 何とかペルー盤を安ぅ買えへんやろか...” と考えていて、ふと“国内から買うたら送料安ぅなるやん!” と思いつき、試しにヤフオクを見てみると、なんと「Help!」の黒レーベル盤が NM で8,000円というお値打ち価格で出ているではないか! しかもラッキーなことに同じセラーがゼップの「Ⅳ」のペルー盤も同時に出品しており、私は千載一遇のチャンスとばかりにそれら2枚を速攻でゲット。送料は1枚当たり350円だ(^.^)
 ヤフオクで買うもう一つのメリットはエディション違いの盤や針飛び盤をつかまされる確率がかなり低いことで、1stプレスと再発の区別すらつかないド素人セラーが跋扈する Discogs で買うよりは遥かに安心・安全なのだ。今回の「Help!」にしても「Led Zeppelin Ⅳ」にしても “概ね良好” という説明通りの盤質で、ペルー盤の良さを存分に楽しむことができた。私はこの成果を師匠のSさんにも聴いてもらおうと思い、早速 B-SELS に持って行った。

 私:今日は面白いレコード持って来ましたで。
 Sさん:(私が差し出した盤を見るや否や)ハッハッハッ... ペルー盤ですやん!!!
 私:そうです。「RAM」があまりにも良かったもんでつい...
 Sさん:UKマザーですね。早速聴きましょう。
 私:センターレーベルが PMC表記 で STEREO っていうのがペルーならではですね(笑) どうですか、この音?
 Sさん:良いですね! 元気がある音です。
 私:でしょ?
 Sさん:普通のUK盤よりも音がふわーっと広がるような感じがします。
 私:同じUKマザーなのに、そのへんがアナログの面白いところです。この音作りは「Help!」のA面の曲と相性バッチリですね。
 Sさん:A④「I Need You」のギターなんか特にそうですね。さすがはペルー盤だけあって、非常に音が良いですね。
 私:“ふわーっと加減” が絶妙で、音を聴いてていつのまにか音楽に引き込まれてるんですよ。
 Sさん:そうそう、音楽を聴く楽しさが伝わってきますね。
 私:それにしてもエエ音してますね。
 Sさん:プレスが良いですよね。
 私:はい、買って大正解でした。
 Sさん:いやぁ、ペルー盤さすがじゃないですか! 特にB面は盤質がとっても良くてクリアーな音が余計に良く聞こえます。
 私:ですよね。
 Sさん:1965年当時のペルーのステレオ盤なんてプレス数はすごく少ないと思うんですけど、この溝の状態の良さを考えるとかなり丁寧に聴かれていたことがわかります。
 私:ペルー盤の鳴りの良さは私の好みにピッタリなんで、頑張って集めようと思うてますねん。
 Sさん:それは楽しみです。

「Rubber Soul」イスラエル盤

2021-09-12 | The Beatles
 私は三度のメシよりもラウド・カットが好きな人間である。出来ることならば「With The Beatles」や「Rubber Soul」だけでなく、ビートルズの、いや、世に出ているロックのレコードがすべてラウド・カットで聴けたら最高なのに... と考えるくらいの “ラウド・カット中毒” だ。
 そんな私のレーダーに引っ掛かってきたのが8/22付のB-SELSの日記で取り上げられていた「Rubber Soul」のイスラエル盤。その「Rubber Soul」イスラエル・オリジナルのモノラル盤はUKメタル・マザー使用でマトリクスは4/4、つまりラウドカットではなく通常盤の方であるにもかかわらず、ラウドカット盤をすでに何枚もお持ちの常連さんがそのイスラエル盤マトリクス4を聴いて驚かれたほどのド迫力で、UKのマト1ラウドカット盤を思わせるほど音に力があると、あのSさんが大絶賛されていたのだ。
 イスラエル盤なんて音のショボい「Hey Jude」と例の緑がかったジャケットの「Magical Mystery Tour」の2枚しか持っておらずそれまでほとんど眼中になかったのだが、ラウドカットとなると話は別。もちろん「Rubber Soul」のラウドカット盤は何枚か持ってはいるが、同じUKマザーでもビニールやらプレスやらの違いで再生音も変わってくるので、これはえらいこっちゃ案件である。ぜひとも自分の耳で聴いて確認しなければ... ということで、その “ラウドなマト4盤” を聴かせてもらいにB-SELSに行ってきた。
 お店でいつものようにコーヒーをご馳走になりながら “聴いてみたいレコードがありますねん...” と切り出すと “どれですか?” と仰ったので “「Rubber Soul」のイスラエル盤です。例のラウドなヤツですよ。” と答えたところ、“あぁ、なるほど。ラウドカット好きのshiotchさんには是非聴いていただきたいレコードです。” と実に嬉しそうだ。
 早速A①「Drive My Car」から聴かせていただく。いきなりイントロのギターが凄まじい勢いでスピーカーから飛び出してきて度肝を抜かれる。もちろんラウドな音を予想して身構えてはいたのだが、出てきた音はこちらの予想の遥か斜め上をいく爆音で、“これがホンマにマト4の音か???” と思わずにはいられないエグイい音である。
 それからベースの音がこれまた強烈で、ただ単に音がデカいだけでなく音そのもののクオリティーも高いし、更にそれが曲の中でバランスを崩すことなく絶妙なさじ加減でパワーアップされているのだから恐れ入る。音楽性を損なわずにベースの音で感銘を与えるという、非常に高度な音作りがなされているのだ。
 A①が終わり、“めっちゃエエですね!!!” と興奮気味に言うと、Sさんはニッコリ笑ってサムズアップされた。残念なことにその日はあまり時間が無くてここで一旦打ち切り、その2日後に再びB-SELSに行って続きを聴かせていただいたのだが、溝の状態がとても良いせいか気になるチリパチ音はほとんど無く、難関と言われる最内周のA⑦「Michelle」も破綻なくしっかりと再生された。
 UKマザーの「Rubber Soul」はA面に比べてB面の方が鮮烈な音が聴けることが多いが、このイスラエル盤も同様で、B①「What Goes On」でラウドな音の塊がお店のスピーカーから迸り出る瞬間の気持ち良さを何と表現しよう? B②「Girl」のジョンの歌声の生々しさは鳥肌モノだし、B③「I'm Looking Through You」のキレッキレのギターの音も強烈だ。ラストのB⑦「Run For Your Life」の圧倒的なグルーヴに酔いしれた後、私はいつものように “これいただきます!!!” と即決で購入を決めた。
 家に帰って自分のシステムでUKマト1ラウドカット盤(スタンパーは両面GA)と聴き比べてみたところ、音圧に関してはさすがに少しだけマト1盤が上回っていて低音もマト1盤の方が下の下まで出ているが、逆にイスラエル盤の方が低音のスピード感で勝っており、聴感上のバランスも良いように感じられた。要するに重低音を採るかスピード感を採るかということになるのだが、私にとってはどちらも魅力的な音なので甲乙付け難い。どうしてもどちらか一方を選べと言われれば僅差でUKマト1盤ということになるが、UKマザーとはいえイスラエルのマト4盤の分際で(笑)絶対王者たるUKマト1盤と互角に渡り合ったことがこのレコードの実力を雄弁に物語っているように思う。大好きな「Rubber Soul」を各国盤の様々な音作りで楽しめるというのはビートルズ・ファンにとって究極の贅沢なのかもしれない。

「RAM」ペルー盤

2021-09-07 | Paul McCartney
 少し前のことになるが、いつものようにB-SELSの「日記」に目を通すと、Sさんが「RAM」のペルー盤を紹介されていた。ペルー盤??? 私は南米の国で自信を持って識別できるのはブラジルくらいで、ペルーなんて “ブラジルのそばにある細長~い国” というイメージしかなく、チリと全く区別がつかないというのが正直なところ。
 「日記」の内容を読むとSさんはそのペルー盤の音を “他にない音だ。素晴らしい、素晴らしい、素晴らしい音だ。” と “素晴らしい” という形容詞3連発で大絶賛されており、「RAM」を無人島レコードの最右翼として溺愛している私としてはこれはエライコッチャである。
 それともう一つ、私はB-SELSでSさんから色んな種類の各国盤を聴かせていただいて、南米の盤は独自のチューブ・カッティングのせいか私好みの濃厚で力強い音で鳴る確率が高いということを体験的に知っている。つい最近もエイジアの1stアルバムのペルー盤がアホみたいに安かったので試しに買ってみたらめちゃくちゃ凄い音が聴けたので、この「RAM」も多分 “当たり” に違いないと考え、早速B-SELSに聴かせてもらいに行った。
 お店に入って挨拶もそこそこに “「RAM」のペルー盤聴かせて下さいっ!!!” とお願いすると Sさんは嬉しそうに “ぜひ聴いて下さい。” と仰ってレコードをターンテーブルにセットされた。テーブルの上に置かれた商品紹介のポップに目をやると “素晴らしい音! 音に力があります。大変音の良い盤です。真空管と思われる迫真の音をぜひ聴いて下さい。” とべた褒めである。う~ん、これは楽しみだ(^.^)
 アルバム1曲目A①「Too Many People」のイントロが店内に響きわたる。そう、ただ単に音が “鳴っている” のではなく、まさしくスピーカーから “迸り出る” という感じでドバーッと勢いよく音の塊がすっ飛んでくるのだ。うわぁ~、こいつは凄い... いや、凄すぎる!!! 思わずSさんに“凄いっすね!” と言うと我が意を得たりという感じでいつもの満面の笑み(^.^)  A②「3 Legs」、A③「RAM」と、曲が変わってもその豪快な音は変わらずで、特にA③「RAM」のような軽快な曲ですらウクレレのストロークに力感が感じられるのだからこいつはたまらない(≧▽≦) 
 「日記」にも書かれているように両面1曲目に塩ビ焼けがあって少しだけチリパチいうにはいうが、楽曲部分の音圧がエグいので少々のチリパチなど軽く笑い飛ばしてしまう。というか、この程度のノイズが気になる人はレコードを諦めてCDでも聞いてればいいのだ、などと憎まれ口の一つも叩きたくなるくらい私には盤質良好に感じられた。結局二人ともほぼ無言両面を聴き終わり(←だからいつもの会話形式じゃないんです...)、B⑥「Back Seat Of My Car」の余韻に浸る間もなく “これ下さい!!!” と迷わず購入を決めた。
 B-SELSのオーディオ・システムで良い音がした盤は間違いなくウチのシステムで聴いても良い音がする。今回も家に帰ってすぐに2階に直行してこのペルー盤を聴いたのだが、リスニングルーム全体が地鳴り鳴動せんばかりのラウドな音がスピーカーから飛び出してきて大満足!!! 大好きな「RAM」を全身で浴びるように聴く喜びは priceless だ。

B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820-Day 1-5 Complete Box

2021-09-04 | B'z
 私が聴く音楽はその9割以上がビートルズを中心とする洋楽なのだが、日本人アーティストで新譜が出たら必ず買うのがB'zである。私は洋邦問わず1990年代以降の音楽は生理的に受け付けないので今の音楽シーンとは完全に絶縁状態。そんな中にあって唯一例外的に聴くのが彼らであり、私がこよなく愛する古き良きクラシック・ロックの伝統に則った “歌謡ロック” を聴かせてくれる貴重な存在なのだ。
 彼らの真骨頂はハードロック・バンドの王道と言えるライヴにあると思うのだが、このコロナ禍でツアーが行えなくなったこともあって、去年の11月に東京の Zepp Haneda で5週にわたって行われた無観客配信ライヴを敢行。その時の模様を完全収録したのがこの「B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820-Day 1-5 Blu-ray Complete Box」だ。
 これまで何度か書いてきたように私は音楽であれ映像であれ “配信” という形態が嫌いで “どうせ半年もしたらブルーレイで出るやろ...” と余裕をかましていたのだが、ちょっと油断していた隙に予約受付が始まってしまい、気が付いた時には時すでに遅しで完全受注生産限定のボックス・セットが予約完売してしまっていたという大失態...(+_+) 藁にもすがる思いでアマゾンを見ると、転売ヤーどもが定価の3~4割増しで出品しておりブチギレ。3万円もするボックス・セットが即完売だなんてどうもおかしいと思っていたが、どうやらこいつらが買い占めていたようだ。このクサレ外道どもが!!! さすがに4万円も払う気にはなれないので私は泣く泣くこのボックス・セットを一旦諦めた。
 しかし待てば海路の日和ありとはよくぞ言ったもので、8月半ばにたまたまアマゾンで過去の閲覧商品を調べていた時にこの商品の値段が定価と同じになっているのを見つけてビックリ。どうやら強気な価格設定が仇になって値崩れを起こしたようで、慌てたアホバカ転売屋どもが必至で売り抜けを図っているところに偶然出くわしたのだ。う~ん、ラッキー! というわけでわたしはこのボックス・セットをほぼ定価で買うことが出来でまずはメデタシメデタシだった。
 ブツは先週の土曜に届いたのだが、宅急便のおっちゃんから箱を受け取ると異様に重くてビックリ。梱包を解いて中身を取り出すと、あの「Wing Over America」のスーパーデラックスエディションに負けないスーパーヘビー級で、予想以上のデカさにもビックリ。まるで分厚い卒業アルバムみたいな(笑)超堅牢なつくりのボックスセットになっている。ただ、見ようとするたびにいちいちこの巨大なディスクケースを開けるのは面倒くさいので、ディスクをすべて取り出して薄型のプラケースに移し替えた。これはボックスセットすべてに言えることだが、デカけりゃいいってものでもない... もうちょっと日常使いの利便性を考えてもらいたいものだ。
【開封動画】B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820-のCOMPLETE BOXが規格外の大きさでマジでビビりました!!


 外箱に関してはこのように?マークを付けざるを得ないが、中身の方は文句の付けようのない素晴らしさ。彼らの代表曲を5つの時代(ERA)に分けた年代順のセットリストで5週連続して行われたスタジオ・ライヴなのだが、とにかく熱いのだ!!! 無観客ということでオーディエンスとのコール・アンド・レスポンス抜きの曲間MCには手探り状態のところもあるが、稲葉さんのヴォーカルは久々のライヴということでキレッキレだし、松ちゃんのギターも安定感抜群で、これを数万人収容の大会場で見たかったなぁ... という思いを強く抱かせる素晴らしいステージだ。
 ただ、特典ディスクに関してはこちらの期待が大きかったせいもあるかもしれないが正直言ってイマイチという感じ。メンバーのPCR検査の様子だとかソーシャルディスタンスがどうとか、何かコロナ関連の映像が随所に挿入されているが、ハッキリ言ってファンとしてはどうでもいいことで、あのNHK特番「B'zメガヒットの秘密」やWOWOW特番「Only Two」のようにもっと音楽にフォーカスした濃い内容にしてほしかった。だから余程のコアなファン以外は特典ディスクなんか気にせずに単品で揃えた方が安上がりで良いと思う。
 とまぁこのように少々の不満はあるものの、これら5枚のディスクに封じ込められた彼らの熱いライヴ・ステージを目にすればそういった類の苦言は瞬時にして木端微塵に砕け散る。ファン歴26年の私なんかもう久々に彼らの元気な姿を見れただけでも感無量で、30年以上にわたってよくもまぁこれだけクオリティーの高い曲を次から次へと作り続けてきたものだなぁと感心してしまった。このコロナ禍が収束したら、ぜひとも実際のライヴ会場で何万人のオーディエンスと共にこれらの名曲の数々を浴びるように聴いてみたいと思う。
B’z “5 ERAS” Day1-5 DIGEST