shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Beatles (German Record Club Issue: J 033)【Chair Cover】

2017-04-24 | The Beatles
 先月は「リヴォルヴァー」の独ゴールド・オデオン盤に東独“バグパイプ・カヴァー”盤と2枚立て続けにドイツ関連でハズレ盤を買ってしまったが、その程度のことで凹んでいてはレコード・コレクターはやっていけない。実は4月に入って上記2枚の失敗を補って余りある逸品をゲットしたのだ(^o^)丿 そのレコードというのがドイツ・レコード・クラブ・イシュー・シリーズの第1弾で、マニアの間で “チェア・カヴァー” と呼ばれている1枚である。
 ドイツのレコード・クラブ・イシューと言えば以前取り上げた “バルーン・カヴァー” 盤が有名だが、この “チェア・カヴァー” 盤もビートルズ・レコード・コレクターの間では負けず劣らずの人気盤。このレコードの存在を知ったのは半年ほど前のことで、ちょうど横野正憲氏のレコード・コレクション・サイト(←めちゃくちゃ重宝してます...)で “バルーン・カヴァー” について調べていた時に同じレコード・クラブ・イシュー盤として紹介されているのを見て “おっ、こんなジャケット初めて見たわ... デゾ・ホフマンやん!” と興味を引かれたのがそもそものきっかけだった。
 そこでいつものように発作的に eBayやDiscogsで検索してみたところ、€300~€400 というとんでもない値付けにビックリ(゜o゜)  横野氏の解説によると、このレコードは1964年にドイツ・レコード・クラブが通販用レコードとして製作したもので、クラブ会員のみが入手できたとのことなのだが、わずか数百枚ほどしかプレスされなかったという超稀少盤らしいのだ。
 “欲しいけど、さすがに4万も5万も出せんなぁ...(>_<)” ということでその時はそれで終わったのだが、先月末に職場で仕事の合間に eBay を色々見ていて(笑)このレコードが BUY IT NOW €120で出品されているのを偶然発見、その時はあまり時間がなく商品説明がすべてドイツ語だったこともあって “家に帰ったらすぐに翻訳サイトで調べて盤質が良かったら即決や!” とウキウキしながら仕事に戻った。
 急いで仕事を済ませて速攻で帰宅した私はすぐにeBayをチェック。ところがいくら検索しても私が目を付けたレコードはどこにもない。“6 watching”という表示が出ていたので “さてはもう売れてしもうたんか...(>_<)” とガックリしながらも念のためにpopsikeで確認したところ、どこにも売れた形跡はない。何だか狐につままれたような気分だ。まだセール日は数日残っていたはずなのだが、ひょっとするとセラーが途中で引き上げてしまったのかもしれない。
 諦めきれない私は商品説明にあった単語を出来る限り思い出してググってみることにした。半日前にネット上にあったページならまだキャッシュが残っているはずだ。結果はまさにビンゴ!で何故か ebay.de(イーベイ・ドイツ)に行きついたのだが、そこには “このセラーは4月5日まで休暇中で、今は一切の取り引きはできません” という旨のことが書かれてあった。休暇って... 何やそれ(>_<) とりあえずまだ売れてなかったんや...と胸をなでおろしながら商品説明を翻訳サイトにかけてみると “Accoustically: M−, Optically: G... scratches cannot be heard”とのこと。M−とGって何か差があり過ぎる気もするが、私としてはたとえ見た目が満身創痍のスリキズ盤でも音にさえ出なければ大丈夫。送料もドイツからということで€10と格安だ。私はこのレコードを絶対に手に入れてやろうと心に決め、このセラーの出品リストをお気に入りに登録し、彼が休暇から戻って活動を再開するのを一日千秋の思いで待った。
 ところが4月5日を過ぎて“休暇中”の表示は消えたのに、このセラーはいつになっても活動を再開する気配がない。私は “何をグズグズしとるねん、はよ再出品せえよ!” と焦りながら1日に数回リストをチェックするが、何日たっても出品数は0のままだ。セラー復帰から10日が過ぎ “もうアカンかな~” とほぼ諦めかけていた金曜日の夕方のこと、仕事から帰ってリビングにパソコンを持ち込み、ナイター中継が始まるまでの暇つぶしにeBayチェックをしていたところ、いきなり私の目にあのデゾ・ホフマンのジャケット写真が飛び込んできたのだ。おぉ、ついに来たか!!! と大コーフンした私は速攻で BUY IT NOW をクリックし、ペイパルの支払いを済ませた。いや~執念深く毎日チェックしてきた甲斐があったというものだ。“チェア・カヴァー” ゲットで1週間の疲れも吹き飛び、ついでにタイガースも憎っくきカープを粉砕して(笑)ルンルン気分の週末になった(^.^)
 イースター休暇を挟んで(←ホンマに休暇の好きなセラーやわwww)火曜にドイツで発送したブツが翌月曜には日本に到着するという郵便屋の鑑とでもいうべきドイチェ・ポストさんの優秀さに感謝しつつ届いたばかりの盤をターンテーブルに乗せる。確かに細かいスリ傷は目につくものの、セラーの説明通り音に出ないものばかりで全く問題ない。
 1964年リリースのドイツ・ステレオ盤の音というのがどういうものか非常に興味があったのだが、実際に聴いてみると同時代のUKステレオともUSステレオとも違うサウンドで、UK盤と同様の “左右泣き別れ” 状態でありながら音が左右にフワ~ッと自然に広がる感じはドイツ独自のもの。かといってUS盤のような過剰なエコーはかけられていないので(←何故か「ロール・オーヴァー・ベートーベン」だけはエコーが強め...)聴いてて違和感を感じることも無い。ただ、私としてはふんわり感が強すぎてもう少しガツン!とくる感じが欲しい。
 そこで一計を案じた私はカートリッジをオルトフォンのSPUモノに替えてみた。ステレオ盤をモノ針で聴いてどこが悪い!というワケだ。結果は大成功で、不自然な“左右泣き別れ”感も“フワフワ”感も解消され、音のエネルギー感も明らかにアップといい事ずくめなのだ。ステレオ盤をモノ針で聴くと盤を傷めるという話をよく耳にするが、聴いてて気持ち良ければそれでエエやないかと思う。この盤をお持ちの方はモノ・カートリッジをぜひ一度お試しあれ(^.^)

The Beatles (Amiga 8 50 040)【Bagpipe Cover】

2017-04-09 | The Beatles
 “最近買ったハズレ盤”シリーズ(←このブログでは2回続くとシリーズ扱いです...)第2弾は東ドイツの国営レーベルAMIGAからリリースされたビートルズのレコードで、通称「バグパイプ・カヴァー」と呼ばれているレア盤だ。
 このレコードの存在を知ったのは半年ほど前のことだが、その時はインド盤やらデンマーク盤やらで忙しく、“へぇ~こんな盤もあるんや... ビートルズのレコードって世界中で色んなのが出てるんやなぁ...” 程度の印象しかなかった。しかしその後、例のDMM盤関連でドイツ盤について色々調べていた時にこのレコードの再発盤(1983年リリースで、樹木や石壁などの背景が写ってるヤツ)に関する記述を見つけたのだが、そこには “西側諸国に比べて技術面で遅れていた東ドイツならではの古い真空管システムでカッティングされた素晴らしい音で、音質重視のビートルズファンにオススメ” みたいなことが書いてあった。
 “技術面での遅れから古い真空管システムでカッティングされて素晴らしい音に仕上がった”の件を読んで、私はすぐにインド盤のことを思い出した。しかも “音質重視のビートルズファンにオススメ” ときたもんだ。一体どんな音がするのだろう?? うーん、コレは絶対に聴かねばならぬ... と猛烈に好奇心をそそられて eBayをチェックしてみると、再発盤は何枚も出ているのだがオリジナル盤は2枚だけで、そのどちらもが €110オーバーというニンピニン価格(>_<) どうせ買うのならオリジナル盤が欲しいが、いくらレア盤とはいえミズテン買いで15,000円も出す勇気はない。
 eBayがダメなら Discogs があるわい、ということで覗いてみたが、こっちはこっちでジャケットが無かったり盤質が Good や Poor のオンパレードだったりで全くハナシにならない。最後の頼みの綱は MusicStackである。どーかありますよーに... と思いながら検索してみると、何とオリジナル盤が €25で出ているではないか! 何でこんなに安いんやろ?と思ってセラーに確認すると裏ジャケが破れてて書き込みもあるからだという。私は表ジャケと盤質さえ良ければそれでいいので “送料込みでも3,000円台や、ラッキー!” と大喜びで買いを決めた。
 しかし好事魔多しとはよくぞ言ったもので、世の中そんなに甘くはなかった。届いた盤のジャケットをしげしげと見つめながら “これが世に言う「バグパイプ・カヴァー」というヤツか。中々珍しい写真使うてるやん...” と悦に入っているうちはよかったのだが、いざレコードに針を落としてみると喜びが一気に落胆に変わった。A面1曲目は「シー・ラヴズ・ユー」なのだが、イントロで大爆発を起こすはずのリンゴのドラム・ロールがこじんまりしていて“何じゃこりゃ??” と肩透かしを食らう。何だかまるでAMラジオでも聴いているかのようなこもった音でガッカリ(>_<) しかもピッチが狂っているので(2分台の曲で約4秒速い...)聴いててめっちゃ違和感がある。一体これのどこが “素晴らしい音” だというのか? “音質重視のビートルズファンにオススメ” だとぉ? オマエの耳は虫でも湧いとるんか! これに比べれば前回ボロクソにけなしたゴールド・オデオン盤の方がまだマシだ。
 思わず怒りの展開になってしまったが、不幸中の幸いは被害が3千円そこらですんだこと。こんなアホバカ盤に大枚叩かんでホンマによかったわ。まぁ各国盤LPの音質なんて実際に聴いてみなければ分からないし、それがマニアックな盤であればあるほど情報が限られており、私のように偽情報に騙される人間が出てくるのも十分あり得ること。ビートルズの各国盤に足を踏み入れるということは清濁併せ呑む度量と覚悟が必要ということなのだろう。
 ただ、私の場合は “良い音” を期待して買ったので裏切られた思いが強いが、このレコードは音質なんか一切気にせずに広~い心で “そーかそーか、コレがベルリンの壁の向こう側の人達がリアルタイムで聴いていたビートルズのレコードなんか... ” という考古学的な(?)感慨に耽りながら聴くのが正解なのかもしれない。

Revolver (German Export Gold Odeon盤) / The Beatles

2017-04-03 | The Beatles
 私は音の良いレコードに出会うとすぐに “そのレーベルの音はすべて良いに違いない...” という妄想を抱いてしまう単純な人間である。今までそれで何度も何度も煮え湯を飲まされてきたにもかかわらず、喉元過ぎれば何とやらで懲りもせずに “今度こそは...” という儚い夢を抱きながら同じレーベルのレコードを買い、その音の違いに愕然とさせられるという愚行を相も変わらず繰り返しているのだ。実はつい最近もビートルズ関連で一つやらかしてしまったので、今日はそんな “ガッカリ盤” について書こうと思う。
 去年の秋から冬にかけて色んな各国盤をガンガン買い漁った件は何度も書いたが、その時に巡り合った「サージェント・ペパーズ」のドイツ・オデオン盤(ゴールド・レーベル)がめちゃくちゃエエ音で、そのステレオ・ミックスの完成度の高さにすっかり惚れ込んだ私の脳内には “ゴールド・オデオン・レーベルのドイツ盤=高音質” という先入観が刷り込まれた。
 それから3ヶ月ほど経った今年の2月のこと、eBayの定期(?)検索で「リヴォルヴァー」のゴールド・オデオン盤がヒット、商品説明には “エクスポート仕様のドイツ製1stプレス” とある。もうこの文言だけでめっちゃ良い音がしそうな感じがするが(笑)、それが嬉しいことに $15というもってけドロボー価格で出ているのだ。送料込みでも3,000円ちょいで大好きな「リヴォルヴァー」の超高音質ステレオ・ミックス(←とその時点では思い込んでいた...)が聴けると思うと居ても立ってもいられなくなり、私は即買いを決めた。
 レコードが届くまでの1週間、私は “ゴールド・オデオン・レーベル盤を集めるんやったら次は「ラバー・ソウル」がエエかな...(^_^) 「プリーズ・プリーズ・ミー」めっちゃ高いやん...(*_*)  そういえば「ハード・デイズ・ナイト」は「アナログ・ミステリー・ツアー」の本でボロクソに書いてあったけど、そんなに音悪いんやろか... (゜д゜;)” などと考えを巡らしながら、頭の中はゴールド一色に染まっていった。
 そして待望の「リヴォルヴァー」が届いた。ゴールド・オデオンのレーベル・デザインって何か洗練されてるし白地に赤色の文字が映えててホンマにカッコエエなぁ... などとウキウキワクワクしながらレコードをターンテーブルに乗せる。1曲目は「タックスマン」だ。えっ? 何この覇気のない音...??? 全体的に音がこもってるし音圧は低いし音像は小さいしで、ロックンロールのエネルギーが全く感じられない。これではまるで出来の悪い国内盤ではないか! 曲が終わるたびに “次こそは...” と虚しい期待を抱くのだが盤の途中で急に音が良くなるなどという奇跡が起こるわけもなく、ヘタレな音のまま結局ラストの「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」まで聴き終えた。
 改めて「アナログ・ミステリー・ツアー」を見てみると、“カッティングレベルが低いのでUK盤のように最初の一発でハッとさせるような驚きはないが、マスターの音のグラデーションを丁寧に拾い上げてフラットに音盤化した、派手さはないが噛むほどに味わいが増す1枚” とある。ヴォリュームを上げて聴くようにと書いてあったのでやってみたが、ショボイ音が増幅されるだけで余計にストレスが溜まってしまう。モノは試しと同じステレオのUK 1stプレス盤をかけてみると、いきなりガツン!とくるパワフルな音で、やっぱりロックンロールはこうでなくっちゃ!と快哉を叫びたくなった。
 ということでこのドイツ盤「リヴォルヴァー」は隣室行きが決定、当然ながら他のゴールド・オデオン・レーベル盤蒐集計画など頭の中から消し飛んでしまった。先のガイド本に “ドイツ盤探究は危険すぎる” と書いてあったが、愚かにもそれを自ら体験するハメになってしまうとは...(>_<)  やっぱりUK盤が一番エエわ!