shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

【追悼】Jerry Lee Lewis のシングル盤特集

2022-10-30 | Oldies (50's & 60's)
 ジェリー・リー・ルイスが亡くなった。チャック・ベリー、リトル・リチャードに続いて、50'sロックンロール・ブームを牽引したレジェンド最後の生き残りだったジェリー・リーまでもが逝ってしまい、改めてAll Things Must Passを痛感している。今日はそんなジェリー・リー・ルイスの追悼・シングル盤特集だ。

①Whole Lotta Shakin' Going On (SUN 267)
 1956年末に出たデビュー・シングル「Crazy Arms」は不発に終わったものの、翌1957年3月にリリースされた2ndシングル「Whole Lotta Shakin' Going On」はジェリー・リーを一躍スターダムに押し上げる大ヒットとなり、全米3位、全英8位を記録した。彼の唯一無比と言ってもいい “バンピン・ピアノ・スタイル” が曲の良さを更に引き立ててごきげんなスウィング感を生み出している。実にカッコ良いロックンロール・クラシックスだ。
Jerry Lee Lewis -Whole Lotta Shakin Going On (Live 1964)


②Great Balls Of Fire (SUN:281)
 “火の玉ロック” の邦題で知られる1957年11月リリースの3rdシングル「Great Balls Of Fire」は全米2位、全英1位に輝いた、ジェリー・リーの代名詞と言ってもいい最大のヒット曲。前作で打ち出したスタイルに磨きをかけて “クレイジー・バンピン・ピアノ・ロッカー” としての名声を決定づけた記念碑的なナンバーだ。わずか1分50秒という短さで聴く者にこれほどのインパクトを与える曲には滅多にお目にかかれない。ロックンロール史上に燦然と輝く金字塔と言える名曲名演だ。
Jerry Lee Lewis - Great Balls Of Fire (Shindig)


③Breathless (SUN:288)
 超特大ヒット「Great Balls Of Fire」の後を受けて1958年2月にリリースされた4thシングル「Breathless」は全米7位、全英8位止まりと、チャート成績的には中ヒットといったところで前2曲には遠く及ばなかった。彼のピアノ・スタイルは良く言えばユニーク、裏を返せばワンパターンで、たたみかけるように疾走する曲想のナンバーでは向かうところ敵なしなのだが、イキそうでイカない(?)タイプのこういう曲では彼の持ち味が①②ほど活きていないように感じる。これはこれで私は結構好きなのだが...
Jerry Lee Lewis - Breathless (1958) - BETTER QUALITY


④High School Confidential (SUN:296)
 1958年4月にリリースされた5thシングル「High School Confidential」は幼妻との二重婚スキャンダルのせいもあってか全米21位が精一杯で、この頃からそれまでの勢いに翳りが見え始めたように思うが、曲の出来としては①②に次ぐカッコ良いロックンロール。左手でベース・ラインを弾き、右手で三連を駆使する彼のブギウギ・スタイルにピッタリのアッパー・チューンだ。
Jerry Lee Lewis - sings High School Confidential


⑤The Return Of Jerry Lee (SUN:301)
 6thシングル「The Return Of Jerry Lee」はナレーションと彼の過去のヒット曲の断片を組み合わせた摩訶不思議なシングル。曲というよりは自虐ネタを扱った短編ギャグ(?)という感じで、例えば “How do you feel about being back home?” というナレーションの問いかけに対して「Great Balls Of Fire」の一節 “Ooh it feels good” が流れるという、どこぞのラジオ番組の面白企画みたいなノリで、自らのスキャンダルをもネタにしているところが面白い。それにしてもこんなふざけたシングルをリリースしてしまうサン・レコードのオーナー、サム・フィリップスってある意味凄い人だと思った。
Jerry Lee Lewis - The Return of Jerry Lee


⑥I'm On Fire (Philips:BF1324)
 ジェリー・リーは1962年にサンを離れてマーキュリー・レコード傘下のスマッシュ・レーベルに移籍し、徐々にカントリー色を強めていくのだが、1964年に出た移籍第2弾シングル「I'm On Fire」(→私の手持ちはフィリップスからリリースされたUK盤)ではまだまだ元気にロックンロールをブチかましている。私は映画「Great Ball Of Fire」(1989年)のサントラ盤でこの曲の再演ヴァージョンを聴いて好きになったのだが、オリジナルに勝るとも劣らないエネルギッシュなプレイに驚かされたのをよく覚えている。
Jerry Lee Lewis - I'm On Fire


【おまけ】2006年にジェリー・リーがアルバム「Last Man Standing」でジミー・ペイジを迎えてカバーしたのがこの「Rock 'n' Roll」だ。憧れのレジェンドとの共演で気合い十分のペイジがノリノリでプレイしているのが微笑ましい。
Jerry Lee Lewis "Rock 'n' Roll" (featuring Jimmy Page on guitar)

「Shaved Fish」ペルー盤

2022-10-23 | John Lennon
 無能な日本政府と日銀のせいで円安に歯止めがかからず、ついに$1が150円を突破したこともあって、海外から好き放題にレコードを買おうという気はさすがに失せたが、それでもまだ未入手の各国盤に関しては細々とeBayでチェックを続けている。これまで1日に数回は見ていたのが最近では数日に1回のチェックで済ますあたりにヤル気のなさが表れているが、この前久々に “おぉ、これは!” と思える盤が出品された。それがこの「Shaved Fish」のペルー盤である。
 「Shaved Fish」はビートルズ解散からハウス・ハズバンドとしてセミ・リタイアするまでの70年代前半のジョンの代表曲を集めたベスト盤だが、私の知る限りではビートルズ・ファンはジョンのソロというと「ジョンたま」か「イマジン」一辺倒で、このアルバムなんか完全に黙殺されている印象が強い。それはおそらく “ベスト盤”、つまりは所詮 “寄せ集め”盤 ということでオリジナル・アルバムよりも1段も2段も下に見られているせいではないかと思うのだが、他の凡百のアーティストたちの、それこそヒット曲を寄せ集めただけのベスト盤とは違い、ジョンのこのアルバムに限って言えば、曲の配置が絶妙なせいか、前後の曲が有機的につながって大きな流れのようなものを生み出し、ある種トータル・アルバム感覚で一気通聴できてしまう “一味も二味も違うベスト盤” なのだ。私にとってこんな凄いベスト・アルバムはビートルズの「赤盤」とこの「Shaved Fish」だけである。
 というワケで大好きなこのアルバムを各国盤の様々な音作りで楽しみたいと思って色々探しているのだが、このレコードに限らずジョンのソロ・アルバムはイスラエルとウルグアイを除けば超入手困難で、滅多に市場に出てこない。いや、そもそもリリースされたのかすらも怪しいぐらい手掛かり・痕跡がないのだ。
 各国盤の中でも私が特に力を入れているペルー盤に関しては、「Rock 'N' Roll」「Double Fantasy」「Live In NYC」しか持っていなかったので、今回この盤をeBayで見つけた時は久々にコーフンし、即決で BUY IT NOWした。ドルではなくユーロ仕立てで、たまたまその時の為替レートが €1=139円だった(→今はもう145円で草も生えない...)のもラッキーだったし、スペインのセラーから買ったおかげで送料がたったの €16ですんで大助かり。ペルーのセラーから買ったら送料だけで軽く$40~$50は取られるからだ。ペルー盤はスペインやポルトガルあたりのセラーが狙い目かもしれない。
 盤質表記は VG+で細かい説明は一切なかったのでちょっと不安だったが、届いたレコードはB面のセンターレーベルが破れている以外は特に問題はなく一安心。デッドワックスを確認すると、UK盤の倍ぐらいある大きなフォントで YEX 949 C / YEX 950 C とエッチングされた独自マトで期待が膨らむ。いつものようにハミングルの超音波クリーナーで丁寧にクリーニングしてかけてみると、盤はほぼノイズレスのNM状態で大喜び\(^o^)/ 音はUKオリジナル盤よりも遥かにヌケが良く、クリアーで溌剌とした印象だ。音圧も十分で音場も雄大そのもの。私的にはUK盤やUS盤の音は真っ当すぎるというか、いまいち大人し目に思えるので、ペルー盤のはっちゃけた音作りの方が好きだ。
 そんなペルー盤「Shaved Fish」で聴くジョンの70年代の名曲の数々はまるで新しい生命を吹き込まれたかのように活き活きと躍動し、私の心に訴えかけてくる。「Rock 'N' Roll」もそうだったが、ジョンのペルー盤ってホンマにヤバいですわ(≧▽≦)

The Beatles In Color Vol. 2 DVD

2022-10-16 | The Beatles
 各国盤蒐集が一段落した私が最近ハマっているのはこの前取り上げた初期ビートルズの “モノクロ映像のカラー化”シリーズ。ハリウッド・ボウルDVDで味をしめた私が次に目を付けたのが映画「A Hard Day’s Night」のソング・トラック・シーン(11曲)をすべてカラー化した「The Beatles In Color Vol. 2」というDVDだ。もちろんそれ以外にも1963年の10~12月に出演した3つのTV番組「Drop In」(4曲)、「Morecambe And Wise」(3曲)、「It’s TheBeatles」(4曲)の演奏シーンもカラー化されて入っている。国内盤LP「ステレオ!これがビートルズ Vol. 2」をパロった邦題「総天然色カラー!これがビートルズ Vol. 2」も遊び心があってニヤリとさせられた。
 この前も書いたように、ビートルズ映画の中では内容的にこの「A Hard Day's Night」が一番出来が良いと思うのだが、如何せんモノクロ映像というのが私にとってのネックだった。しかし今回のカラー化によってまるで新たな生命が吹き込まれたかのように画面狭しと躍動する若きビートルズの姿が楽しめて私としては大喜びだ\(^o^)/ しかも元々の映像が35ミリフィルムの映画だけあって「Hollywood Bowl」よりも遥かに見やすい。これまで何百回観たか分からないくらい大好きな「A Hard Day's Night」冒頭のファンに追いかけられるシーンもカラーで見ると全然インパクトが違う。
 カラー化の仕上がり具合で言うと、「If I Fell」と「She Loves You」の2曲が一番出来が良くて、ほぼ違和感なしに楽しむことが出来た。「I Should Have Known Better」と「Can't Buy Me Love」も少し落ちるが合格点だろう。逆に「And I Love Her」と「Tell Me Why」でメンバーの顔の一部が妖怪人間ベムみたいに青っぽくなるところはちょっと残念。まぁモノクロ映像で見るよりは遥かに見やすいので文句を言う筋合いではないのだが... 私にとっては80%以上の仕上がりのカラー映像の方が100%のモノクロ映像よりも遥かに親しみ易いのだ。
 さて、こーなってくると曲の演奏シーンだけでなくこの映画全編をカラーで観たくなってくるのが人情というもの。円谷プロが大金をかけてハリウッドのスタジオに依頼して完成させた「総天然色ウルトラQ」のことは前回書いたが、円谷に出来てアップルに出来ないワケがないではないか。何とか私の目の黒いうちに、アップルが更に進んだテクノロジーを駆使して「A Hard Day's Night」のオフィシャル・カラー完全版を出してくれますよーに...
The Beatles - I Should Have Known Better (live) [colorized]

The Beatles - If I Fell (scene from AHDN , rare audio) [colorized]

The Beatles - I'm Happy Just To Dance With You (AHDN scene) [COLORIZED]

The Beatles - Tell Me Why (live) [colorized, better audio version linked below]

The Beatles- A Hard Day's Night- Movie (1964) "Can't buy me love" Scene COLORIZED


 ついでに映画「A Hard Day's Night」以外の感想も書いておきたい。「Drop In」はスウェーデンの音楽番組で、ビートルズは1963年のスウェーデン・ツアー時にストックホルムのスタジオで「She Loves You」「Twist And Shout」「I Saw Her Standing There」「Long Tall Sally」の4曲を収録。カラー化の出来は90点ぐらいあげていいくらいのクオリティーで実に見やすい。それにしてもかぶりつきの超特等席でビートルズのライヴを拝めたファンは一生の思い出やろなぁ...
The Beatles - I Saw Her Standing There (Drop In TV show) [colorized]

The Beatles - Long Tall Sally (live Drop In Sweden show!) - [ UPSCALED HD *COLORIZED* ]


 「Morecambe and Wise Show」はイギリスのコメディアンであるモーカムとワイズがホストを務めるテレビ・ショーで、ビートルズは「This Boy」「All My Loving」「I Want To Hold Your Hand」の3曲を披露。「All My Loving」を歌うポールを笑顔で見やりながらリッケンをかき鳴らすジョンがめちゃくちゃカッコイイヽ(^o^)丿 又、「Moonlight Bay」でカンカン帽と縦縞ジャケットに着替えてお笑いヴァラエティに付き合うビートルズの姿も親しみ易くて面白い。こちらもカラー化の出来は90点を超える出来ばえと言っていいと思う。
The Beatles - Morecambe and Wise Show 1963 (colorized)


 「It's The Beatles」はリヴァプールのエンパイア・シアターでの演奏で、「I Want To Hold Your Hand」「Money」「Twist And Shout」「From Me To You」の4曲が収められている。真正面ではなくやや内側に向かって構えて歌い演奏しているジョンがカッコ良くて昔からこの映像は大好きだったのだが、それがカラーで見れるなんてホンマにありがたい。客席のファンが映る箇所は所々色調が変になるが(←別にどうでもエエけどね...)ステージ上のビートルズのカラー化は上記の2番組と同様に文句ナシの仕上がりだと思う。やっぱカラー映像で楽しむ初期ビートルズは最高やね(^o^)丿
The Beatles Money its the Beatles color

【隠れラウドカット】「Tug Of War」ポルトガル盤

2022-10-09 | Paul McCartney
 先日久々にB-SELSに行ってきた。8~9月はお店が休みだったり私が多忙だったりで中々行けなかったのだが、ラッキーなことにたまたま平日の昼からオフが取れたのでB-SELS詣でを決め込んだ。
 私:こんにちわ。
 Sさん:おぉ~、これはこれはshiotchさん。
 私:ホンマにお久しぶりです。コロナはもう大丈夫ですか。
 Sさん:ええ、もうすっかり元気ですよ。
 私:それはよかったです。来れない間もずーっと「日記」見てたんですけど、最近グアテマラとかニカラグアとかバルバドスとか、各国盤がホンマに凄いことになってますね。
 Sさん:ハハハ...
 私:1年前に盛り上がってたウルグアイやペルーやトルコが今ではめっちゃ普通に思えますもん(笑)
 Sさん:でもね、売れるのはほとんどUKオリジナルなんですよ。
 私:まぁそうでしょうね。パナマ盤がガンガン売れたらこわいですもん(笑)
 Sさん:だからUK盤の補充が追い付かなくて... 1枚出品するのにもやっぱりそれなりの時間がかかりますから。
 私:いつも1枚1枚丁寧にクリーニングして試聴してから出してはりますもんね。売れたら売れたでその分の商品の補充が大変なんや...
 Sさん:でも常連のみなさんがこうして来てくださると元気が出ます。
 私:そう言っていただけると嬉しいです。
 Sさん:最近はどうですか?
 私:いやぁ~、円安がヤバすぎてeBay見てもちょっと腰引けますね。DiscogsはDiscogsでβヴァージョンとかいうクソ見にくいレイアウトになったのでこっちは絶縁しましてん。
 Sさん:へぇ~
 私:今はもうすぐ出る「Revolver」のボックスがめっちゃ楽しみです。
 Sさん:なるほど...
 私:で、今日なんですけど、何かこう...魂を揺さぶられるようなラウドカット盤ないですか?
 Sさん:ラウドカットですか...(大笑い)
 私:はい、こちらでいただいたベネズエラの「赤盤」やイスラエルの「Abbey Road」みたいな知る人ぞ知る隠れラウドカット盤があればぜひ聴かせてほしいんですけど...
 Sさん:あぁ、それならエエのがあります!(と言ってエサ箱から1枚レコードを取ってこられて...)これです。
 私:へぇ~、「Tug Of War」のポルトガル盤ですか。
 Sさん:shiotchさん各国盤いっぱい持っておられるからポルトガルも既に制覇済みかもしれませんが...
 私:いえいえ、ポルトガル盤なんて1枚も持ってなかったと思いますよ... 多分。最近年のせいでボケてきてるので確かじゃあないですけど(笑)少なくとも「Tug Of War」は持ってないです。
 Sさん:それはよかった。聴いてみやはります?
 私:もちろん!ぜひお願いします。
 Sさん:(A①「Tug Of War」がかかる)どうですか?
 私:おぉ、これめっちゃエエですやん!(とサムズアップするとSさんニッコリ)
 Sさん:ポルトガルの独自カットなんですよ、これ。
 私:商品説明ポップに「大迫力!!」「スバラシイ音です!!」って書いてありますが、ホンマにこれは凄い音ですね。こんな音の「Tug Of War」、聴いたことないですよ。
 Sさん:(A面が終わってレコードを裏返しながら)B面はもっと凄いですよ!
 私:えぇ~、楽しみ♡
 Sさん:(B①「Ballroom Dancing」がかかる)どうですか?
 私:うわぁ、これはヤバい。各楽器の1音1音が強いですね。
 Sさん:(その後、B面がかかっている間、Sさんは他の常連さんの接客をされていて、私はひたすらその凄い音に集中。やがてBラス「Ebony And Ivory」が終了...)ね、凄いラウドカットでしょ?
 私:いやぁ、参りました。ポルトガル恐るべしですね。これ、いただきます!
 Sさん:よろしいんですか?
 私:もちろんです。こんな凄い音の「Tug Of War」が聴けるなんて思いもしませんでした。今日は来てよかったですわ。
 Sさん:ありがとうございます。そんなに喜んでいただけるとは。
 私:私の座右の銘は「三度のメシよりラウドカット」ですからね(笑) 早よ帰ってウチのシステムでも聴いてみたいので今日はこれで失礼しますわ。

 久々の収穫にウキウキしながら家に帰って早速聴いてみたのだが、まごうことなきラウドカットの音で大喜び\(^o^)/ 音がクリアーで、尚かつめっちゃ近いのだ。かぶりつきで聴く快感と言うか、これほどキレッキレの「Tug Of War」なんてちょっと他に記憶にない。躍動感に満ちたA②「Take It Away」や疾走感がヤバいB①「Ballroom Dancing」など、手持ちの「Tug Of War」LPの中でも三指に入る超高音質盤である。
 B-SELSは高価なUKオリジナル盤や珍しい各国盤だけでなく、こういう隠れ高音質盤もちゃーんと在庫してるところが凄いなぁと改めて感じ入った次第。ここでB-SELS関連の耳寄りな情報をひとつ:大阪方面から阪奈道路を東進し、奈良県庁を超えて交差点を左折→左折したところにある「奈良登大路自動車駐車場」は平日のみ2時間無料で停めれるので、遠方から車でB-SELSに来店される方には超オススメ。無意味な駐車料金数回分を浮かせてレコードを買うのがビートルマニアの生きる道だ。

P.S. お礼が遅くなりましたが、東京のWWさん、焼き菓子をどうもありがとうございました。おいしくいただきました。お心遣いに感謝感謝です。いつかB-SELSでご一緒できたらいいですね(^.^)

The Beatles At The Hollywood Bowl 1964 The Film In Color DVD

2022-10-02 | The Beatles
 1960年代前半以前に製作された映像作品は基本的に白黒だが、映画であれテレビ番組であれコンサートのライヴ映像であれ、私は白黒映像というのがどうも苦手である。イマイチ気持ちが入っていかないというか、とにかく積極的に “観たい” という気持ちになれないのだ。そういえば昔NHKで「ウルトラQ」をやっていた時に懐かしさから見てみたのだが、やはり白黒映像が自分に合わなくて途中で見るのをやめてしまった。その後、「総天然色ウルトラQ」というDVDをレンタルで偶然見つけて試しに借りてみたら白黒とはエライ違いで結構楽しめたので、やっぱり自分には白黒作品は合わへんのやなぁ... と改めて思ったものだった。
 ビートルズの映画も同様で、内容的には「A Hard Day's Night」の方が絶対に上だと思うのにどうしてもカラー作品の「Help!」ブルーレイの方に手が伸びてしまうのはそのせいだと思うし、ライヴ作品もほとんど「シェア・スタジアム」と「武道館」の二者択一みたいな状態で、モノクロの「ワシントンDC」や「エド・サリバン・ショー」DVDは一応持ってはいるけれどもあんまり観ない。
 ハリウッド・ボウル・コンサートに関して言うと、私が持っているのは大昔に買ったALL GREEN というレーベルのDVD。まだブート初心者だった私は “プレス盤やからきっと映像もキレイやろ...” と思って買ったのだが、そのDVDはクリアネスとは程遠い劣悪な白黒映像で、期待が大きかった分、めちゃくちゃガッカリしたのを今でもよく覚えている。それ以降、ハリウッド・ボウル関連の映像は完全スルー状態が続いていたのだが、前回のブログに貼り付けるハリウッド・ボウル・ライヴの音源を YouTubeで物色していたら、いくつかカラーの映像が出てきたのだ。
The Beatles - All My Loving Live At Hollywood Bowl 1964 (Colorized Video)

The Beatles - Hard Days Night (Hollywood Bowl Live) [colorized, alt audio]

(Colorized) The Beatles - She Loves You - Live At The Hollywood Bowl - August 23, 1964

 私の知る限り、初期ビートルズ関連の映像の大半は白黒であり、以前に YouTube で試験的にカラー化した「A Hard Day's Night」関連映像を見たことはあったものの、色調などの点でまだまだ技術的に発展途上の感は否めず、その企画そのものには大いに期待を抱きながらも “違和感なくカラーで楽しめるようになるのはまだもうちょっと先かなぁ...” というのが正直な感想だった。
 ところが今回見つけた映像はその時とは比べものにならないくらい見やすいカラー映像に仕上がっていてビックリ。私は “大好きなハリウッド・ボウル・ライヴを全編カラーで観れたら最高やん!” と思い立ち、ネットで色々調べて見つけたのが Valkyrie レーベルから出ているこの「The Beatles At The Hollywood Bowl 1964 The Film In Color」というDVDだ。このレーベルの商品を扱うお店はネット上に複数存在するのだが、ラッキーなことに私が見つけた BOARDWALK というショップがたまたま 25%オフ・セールをやっており、私は居ても立ってもいられずにこのカラーDVDを購入した。
 メーカー・インフォには “今までモノクロしか存在していなかった映像をカラー化したもの。最新AI技術を本格的に導入し自然なカラー化を実現。1964年8月23日ハリウッドボウル公演をカラーで見ることができる。元からカラー映像だったかと思ってしまうくらいの完成度で、これを見ると二度と白黒映像には戻れなくなる。” とある。実際にこの目で観てみた感想としては、所々青色がドギツ過ぎたり顔面が土気色っぽく見える箇所があって “元からカラー映像だったかと思ってしまうくらいの完成度” というのはいくら何でも自画自賛が過ぎると思うが、それでも私的には白黒映像よりは遥かに見やすくて、“これを見ると二度と白黒映像には戻れなくなる” というところには激しく同意。サンプル映像があるので興味のある方は↓を見て判断して下さい。
https://streamable.com/yypgy9

 敢えて難点を挙げると、ハリウッドボウル・コンサートに無関係な映像が結構含まれており、コンプリート版を期待して観ると肩透かし感がハンパない。元になったオリジナルの白黒フィルムの映像が不完全なので仕方がないのかもしれないが、それならそれでメーカー情報に一言あってもよさそうなものだ。実際、⑥「Roll Over Beethoven」の途中あたりからハリウッド・ボウルと以外の他会場でのライヴ映像がバンバン挿入されていてちょっと興醒めだし、⑦「Can't Buy Me Love」のアタマのMCでもポールが喋っている音声をバックにデンバー会場での演奏シーンが映っているのには違和感しかない。差し替えた音声(←これは非常に良い音!)に合わせて何とか映像の足りない部分を補完していくというコンセプトで作られているのはわかるが、せっかく "モノクロ作品のカラー化” という好企画を思いついたのだから、もうちょっとマシな編集にしてほしかった。
 更に⑧「If I Fell」ではインディアナポリス会場での同曲の演奏シーンが流れるし、⑨「I Want To Hold Your Hand」と⑫「Long Tall Sally」はハリウッド・ボウルでの演奏シーンはラスト十数秒ぐらいで、曲の大半はやはり無関係な映像だ。⑩「Boys」もハリウッド・ボウルとインディアナポリスとシカゴの演奏シーンをミックスして1曲に仕上げており、何とか完全版を作り上げようという編者の苦労は痛いほど伝わってくるのだが、それでもやはり “看板に偽りあり” のそしりは免れないだろう。
 結局ハリウッド・ボウルで演奏しているビートルズの姿をカラー映像で満喫できるトラックは、①「Twist And Shout」、③「All My Loving」、④「She Loves You」、⑤「Things We Said Today」、⑪「A Hard Day's Night」の5曲のみ。②「You Can't Do That」は編集がどうこうではなくオリジナルのフィルム自体がクソで、曲の前半でステージ上のビートルズを撮らずに客席で泣き叫ぶ続けるファンの姿をダラダラと撮っているのが意味不明。撮影者は一体何がしたいんや???
The Beatles You Can't Do That Live At Hollywood Bowl 1964 (Colorized Video)

 ということで、カラー映像自体は80点以上をあげたいくらいの満足のいく仕上がりだったが、ハリウッドボウル・ライヴの完全版をカラー映像で観れると思わせるようなミスリーディングな売り方が玉にキズ。まぁ上記のまともな5曲に関しては大満足なので、3,375円÷5で1曲当たり675円と考えれば文句は無い。⑥~⑩は飛ばすか、つけっぱなしでトイレ/コーヒー・タイムにしている。