shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Rubber Soul」 南ア盤に土下座(笑)した② m(__)m

2020-09-29 | The Beatles
 私:前に聴かせていただいた時からこの音がず~っと耳に残ってましてん。聴いててホンマに気持ちエエ音ですね。
 Sさん:立ち上がり上々ですね。これも「Help!」の南ローデシア盤と同じように音楽とピッタリ合った音作りです。
 私:そうなんですよ。UKのマト1ラウド・カットともマト4とも違う独自の音ですよね。
 Sさん:マト1とマト4の中間とでも言えばいいんでしょうか...
 私:そうそう、爆音とは違いますけど、メリハリのある音です。
 Sさん:ラウドすぎず、強弱をわきまえたとても良い音やと思います。
 私:マニアを集めたブラインド大会で“ラバソUK盤のマト2発見!!!” って言うて聞かせたら信じる人が出てくるんじゃないでしょうか。
 Sさん:ハハハハ...
 私:A④「Nowhere Man」、この曲もう好きすぎてたまりませんねん(≧▽≦)  竹を割ったような潔い音が気持ちエエです。
 Sさん:ギターの音がメタリックですね。ちょうど南ローデシア盤の「Dizzy Miss Lizzy」みたいな感じです。
 私:A⑥「The Word」もメタリック...
 Sさん:ホンマによく鳴りますねぇ、このレコード。
 私:A⑦「Michelle」、歪まずにこれだけの音が聴けたら上等ですよ。
 Sさん:B①「What Goes On」のメリハリも凄い!
 私:B②「Girl」のジョンのヴォーカルの説得力がハンパないですね。
 Sさん:音のバランスがとっても良いです。それと、ギターの音が良い意味で巧く味付けされていて、そのサジ加減が絶妙なんですよ。
 私:B③「I'm Looking through You」のノリが凄い... (≧▽≦)  思わず身体が揺れてしまいます。
 Sさん:B④「In My Life」のゆったり感の出し方も実に見事です。
 私:B⑤「Wait」、ギターとタンバリンのキラキラした感じがたまらんですね。
 Sさん:音に艶がありますね。
 私:ちゃんとUKらしさも残したうえでしっかりと個性を出しているところが凄いです。
 Sさん:ギターの高音部がキラキラしてて、B⑥「If I Needed Someone」の音なんかすごくいい感じです。とにかくギターの音は他の盤よりも良いですね。
 私:ノリ一発で聴かせてしまうB⑦「Run For Your Life」の凄さにも圧倒されます。
 Sさん:これ良いですねぇ...(とニッコニコ)(^.^)
 私:ところで、このレコードのマトリクスなんですが、何でA面にだけ枝番“-1”が入ってるんでしょうね? 確か南ア盤「Revolver」は逆にB面にだけ枝番“-1”が入ってて、そのせいで例の「トゥモネバ・リミックス11」が入ってると勘違いする人が多いんですよ。笑えるのはDiscogsの説明文にも「リミックス11」が入ってるって書いてあったこと。お前らちゃんと聴いてんのかよと...(笑)
 Sさん:南ア盤のは確かにノーマル・ヴァージョンでした。片面枝番の謎については私にもよく分からないんですよ。
 私:独自マトは奥が深いですねぇ。まぁそれはそれとして、これ売って下さい!!!
 Sさん:えぇぇ~、ホンマにぃぃぃ???
 私:ホンマのホンマです... ですですdeath(笑)! こんなエエ音の「Rubber Soul」、買わんかったら一生後悔しますわ。
 Sさん:いやぁ、まさか「With The Beatles」に続いてこれまで売れるとは思いませんでしたわ。shiotchさん、UK盤のラウドカットも持ってはるし...
 私:いえいえ、確かにUKマト1の音が一番好きなんですが、以前こちらでいただいたインド盤とか、この盤とか、それぞれ独自の良さがありますからね。ビートルズのレコードっていう最高の素材を色んな調理法、つまり音作りで味わえるのが各国盤蒐集の醍醐味だと思うんです。
 Sさん:なるほどねぇ... とにかくどうもありがとうございます。
 私:いえいえ、これまで南ア盤を散々バカにしてきたので、このレコードには土下座して詫びなければ...
 Sさん:ハハハ...
 私:冗談ちゃいますで。後期のステレオ盤は聴くに値しないですけど、少なくとも初期から中期にかけての南ア・モノラル盤はコレクタブル... 蒐集する価値が十二分にあると思います。次は南アフリカ盤と南ローデシア盤の聴き比べでもやろうかな...(^.^)

結局この日は「w1th the beatles 1L爆美音盤」と「Rubber Soul 南ア盤」の2枚をゲット。しめて25,800円也である。2枚ともウチのオーディオ・システムとの相性がドンピシャでめっちゃ気持ちの良い音で鳴ってくれるので、ここのところアホみたいにこの2枚ばかり聴いている。
 そういうワケで、すっかり南ア盤が気に入った(←ただし中期までに限る)私は、調子に乗ってレコード棚にアフリカ盤のコーナーを新設。まだローデシア3枚と南ア1枚の計4枚しかないが(←かったるい音の後期ステレオ盤2枚は隣室の “一生聴かないかもしんないコーナー” で静かに眠っている...)これからどんどん増えていきそうな予感がするのだ。君子は豹変するのである(笑) 私は心の中で “南ア盤さん、今までゴミ扱いして本当にゴミんなさい” とこれまでの非礼を詫び、そのことを教えてくれた「Rubber Soul」に深~く土下座したのだった m(__)m

「Rubber Soul」 南ア盤に土下座(笑)した① m(__)m

2020-09-26 | The Beatles
 前回はB-SELSで「With The Beatles」の爆美音盤を手に入れた話を書いたが、その日はそれだけでは終わらなかった。気合いを入れて4万円を下ろしていったにもかかわらず、お目当ての盤が1万円台で買えたこともあって財布にはまだ余裕がある。欲しかったレコードを首尾よく手に入れて調子に乗った私は南アフリカ繋がりで、お店にあったもう1枚の南ア盤である「Rubber Soul」をかけて下さいとSさんにお願いした。
 私がこれほどまでに南ア盤に拘ったのには理由がある。私の手持ちの南ア盤は「Let It Be」LP、「Hey Jude」LP、「Ebony And Ivory」シングルの3枚で、そのどれもがヘタレな生ぬるいサウンドだったせいもあって、私の脳内では“南ア盤 = 聴くに値しない” という偏見が形成されていった。当然このブログでもボロクソにこき下ろして、“今後一切南ア盤なんか買わない!” と完全無視を決め込んでいた。
 そんな私が“おっ?” と思って鋭く注目したのは7/29付のB-SELSの「日記」コラム。タイトルは「南アフリカ・オリジナル・モノラル3枚!」というもので、南ア盤に強烈な偏見を持ってバカにしていた私は “音にうるさいあのSさんが何でまた南ア盤なんかを... ???” と不思議に思って内容を読んだ。すると “UK盤とは異なる独自マトリクスのカッティングが素晴らしく、非常に快活かつ繊細な音作りが魅力的であり、時にUK盤を凌ぐのではないかと思われるほど。”“常連さんも HELP! がこれほどクリアかつ迫力ある鳴り方をしたことに驚いておられた。いや、実際すごい音だと思う。”と大絶賛されていたのだ。
 この時点ではまだ南ア盤に偏見を持っていたので半信半疑だったが、人一倍音に拘るビートルマニアのお三方が揃って褒めたということは動かし難い事実である。ひょっとするとハズレは後期のステレオ盤だけで初期のモノラル盤は当たりなのか? それとも「日記」にあった「A Hard Day's Night」「Beatles For Sale」「Help!」のカッティング・エンジニアがたまたま優秀だっただけなのか? う~ん、気になる気になる... こーなったらもう自分の耳で確かめるしかない。
 ということで先月B-SELSに行った時に “モノラルの南ア盤なら何でもいいですから聴かせていただけますか?” とお願いすると“じゃあ「Rubber Soul」を。”ということでかけて下さったのだ。その時はあまり時間が無かったのでSさんとゆっくり南ア盤談義をすることはできなかったが、そのレコードは私の浅はかな偏見を木っ端微塵に打ち砕くのに十分すぎるほどの高音質だった。
 それ以来ず~っと気になっていた「Rubber Soul」 南ア盤。「sGt. ステレオ 1G盤」と「w1th the beatles 1L爆美音盤」が決着したところでやっとお鉢が回ってきたというワケだ。商品説明カードを見ると、そこには“レア! 南アフリカ・オリジナル良盤 独自マトリクス 音良し!! モノラル” とあり、コンディション表記も “キズ少なし 盤質良く迫力ある音です” とのことでVG++ となっている。ジャケットは “コーティングはがれ ウラ名前書込み有り” で VG- だが、幸いなことに私は音さえ良ければ少々のジャケ不良など全く気にならない。
 “これもう1回聴きたかったんですよ。前に聴かせていただいた時めっちゃエエ音してたんで...” と言うと、Sさんは “基本的には南ローデシア盤と同じカッティングですからね。南アフリカ盤と南ローデシア盤の関係ってちょうどUK盤とアイルランド盤みたいなもので、南ローデシア盤の方がプレス枚数が極端に少ないというくらいの違いじゃないですか。” と仰る。なるほどねぇ... それなら南ア盤の音の良さにも合点がいく。今回は時間がたっぷりあるのでSさんと一緒にじっくりと試聴することにした。 (つづく)

w1th the beatles 1L爆美音盤ゲット\(^o^)/②

2020-09-20 | The Beatles
 私が開店と同時に買ったせいで結局誰の目にも触れることがなかった(笑)商品説明カードだが、そこには “驚きのラウドカット!!” の文字がデカデカと踊り、続く “B面スタンパー 1L”の 1Lの文字もやたらとデカい(笑) 盤質表記はコンサバにVG+となっていて “ヘアライン、ネイルあり、但しほとんど音に出ず” という但し書きが付いているのだが、“とにかく両面共すばらしい音。サイコ-です! ぜひ試聴を!!” という熱い文章からSさんのコーフンが伝わってくる。
 Sさんがレコードに針を落とされてお店のスピーカーから出てきた音は私の想像を遥かに上回る凄い音だった。Sさんが仰るようにA①「It Won’t Be Long」出だしのジョンの第1声 “It won’t be...♪” を聴いただけで全身に電流が走るようだ。それは私がこれまで聴いてきたラウド・カットの中でも間違いなく№1の素晴らしさで、ラウドなだけでなくそのラウドな音そのもののクオリティーが信じられないくらい高いのだから恐れ入る。だからSさんが日記に書かれているように「All My Loving」や「Till There Was You」のような曲で、凡百のラウド・カット盤との差が如実に出るのだ。
 しかしよくよく考えてみるとこのA面は何の変哲もない3桁スタンパー(マザーは1 6)なのだ。よほど大事に聴かれてきて溝の状態が良いのかとも思ったが、盤面を見ると結構スリキズが多くてお世辞にも丁寧に扱われてきたようには見えない。ひょっとするとたまたま何十枚(or何百枚)に一枚あるかないかの極上プレス盤に当たったのかもしれないが、なぜこれほど音が良いのかは分からない。まぁそのあたりがアナログの奥の深さなのだろう。
 B面はお待ちかねのスタンパー1桁 “1L” である。B①「Roll Over Beethoven」の例のイントロ、普通のラウドカット盤で聴くと鼓膜、いや、脳髄を突き刺すような鋭利な音の刃がすっ飛んできて耳が痛いくらいなのだが(←どんな音量で聴いてるねん...)この盤はちょっと違う。確かにジョージのギターの生々しい音がまるでラオウの北斗剛掌波のような怒涛の勢いでスピーカーから迸り出てくるのだが、耳は痛いどころかむしろ気持ちイイのだ。A面のところにも書いたようによほどプレスの状態が良いのだと思うが、とのかくこのレコードはラウドネスとクリアネスを高~い次元で両立している “恐ろしいほどハイ・クオリティなラウド・カット”盤なんである。
 B面を最後まで聴き終えた後、私はB-SELSにある他の「With The Beatles」高音質盤と比較してみたくなり、以前一度聴かせていただいてそのサバサバしたドライなサウンドに瞠目させられた南アフリカ盤をお願いして続きにかけていただいた。
 うん、確かに悪くない... いや、悪くないどころかむしろ独自マザー盤の中では大健闘していると言っていいくらいの良い音だと思うが、その前に聴いた1L爆美音盤(←さすがはSさん、上手いこと言わはりますね!)と比べるとその差は如何ともしがたい。特にB③「You Really Gotta Hold On Me」なんかこの南ア盤が凡庸に聞こえてしまうくらい歴然とした違いがあり(←もちろんこちらはラウド・カットではないのでそのハンデも考慮に入れた上での話...)、Sさんと思わず顔を見合わせて “さっきとエライ違いですねぇ...” と感心するやら呆れるやら...(>_<)  ただ、南ア盤の名誉のために言っておくと、これはあくまでもUK “1L” 爆美音盤と比べた結果であって、南ア盤単体で聴けばむしろほとんどの人が良い音だと誉めるだろう。昔のF1ドライバーに例えるならアイルトン・セナと同じチームで走ったゲルハルト・ベルガ―、今ならルイス・ハミルトンのポチをやらされてるバルテリ・ボッタスみたいな立ち位置で、とにかく比較対象が異次元すぎて割を食うハメになっているのだ。
 そんなこんなで連続して2枚の「With The Beatles」を聴き終え、私が即決で “この1L盤の方を売って下さい!” とコーフン気味に言うと “どうもありがとうございます!!! 2週連続で午前中に売れましたわヽ(^o^)丿” とSさんもニッコリ(^.^) しかもお値段は16,800円と良心的だ。こんな凄い音の盤を買って2万円でお釣りがくるなんてホンマにエエんかいな...(゜o゜)  コスパ最高である。 “いえいえ、お礼を言うのは私の方です。こんな凄いラウド・カット盤は初めてですよ。確かに “ラウド・カット大会” なるものが存在したら優勝候補の筆頭ですね(笑) 2週連続で土曜に早起きした甲斐がありましたわ。あ~、シアワセ...(≧▽≦)” と2人でキャッキャ言いながら更にビートルズ談義は続くのであった。

w1th the beatles 1L爆美音盤ゲット\(^o^)/①

2020-09-18 | The Beatles
 私の愛読書のひとつに「ラズウェル細木のときめきJAZZタイム」という本がある。中古レコード屋でエサ箱を漁るレコード・コレクターたちの狂態(?)を面白おかしく描いた音楽マンガなのだが、その中に「“廃盤狂想曲”または“エサ箱の前の懲りない面々”または“おめーの頭の中はレコードのことしか無いのか~っ!!”」というのがあって、レコード・コレクターの心情を鋭くえぐり出すそのエピソードの数々が他人事のように思えず、何度も読み返してしまうのだ。
 前回ここで取り上げた「sGt. ステレオ 1G盤」を買った時もまさにそんな感じで、お目当てのレコードを買うために早起きして開店と同時にお店に入り、狙った獲物を首尾よくゲットして狂喜しながら “ラズウェル漫画と同じでホンマにレコードのことしか頭にないなぁ...” と思わず自分をオーバーラップさせてニンマリしていた。
 それからちょうど1週間経って、同じ金曜の夜に“先週はコレでエエ思いしたなぁ...” と幸せに浸りながらB-SELSのHPをチェックすると、日記新着欄のトップに「w1th the beatles」の文字が躍っている。“えぇ~、またスタンパー1桁盤が入ったんかよ... 毎週立て続けに最初期盤を出すって一体どんな仕入れルート持ってんねん(゜o゜)” と驚きながら日記のコラムに目を通す。
 するとそこには “もし「ラウドカット大会」なるものがあったならこの盤は間違いなく上位に入るだろうと自負している” という強烈な煽り文句に始まり “レコードは音で勝負” “もう少し冷静になって書きたいが、この音を聴いて冷静になれと言う方が無理” “A面はよくある3桁スタンパーだが溝の状態がよほど良いのか、こちらの音も素晴らしいとしか言いようがない” “B面のマザー/スタンパーは堂々の1Lで、1曲目の「Roll Over Beethoven」から最後の「Money」まで本当に音が素晴らしく、ビックリしていただけると思う” とべた褒めである。私はSさんの「日記」のコラムを見る時はいつも “行間を読む” ようにしているのだが、あの冷静沈着なSさんがここまでコーフンされるということは、スタンパーのコード№だけでは推し測れない音の良さがあるにちがいないと確信した。
 「With The Beatles」といえば既にマト枝番-1Nのラウドカット盤を2枚持っているが、マザー/スタンパーは “2OA/1AH”(Jobete)と “3RDG/3GDA”(Dominion)ということで “いつかはスタンパー1桁盤を聴いてみたい!” と虎視眈々と狙っていたのと、5月に「With The Beatles」のB面1R盤が入荷した時に他のお客さんに先を越されて悔しい思いをしたリベンジの気持ちもあって、私は “このレコードは絶対に手に入れてやるぞ!” と強く心に決めたのだった。
 そういうワケで、週末の予定をすべてキャンセル ⇒ 早起きしてATM直行 ⇒ 開店と同時に入店、と先週末の「ペパーズ1G盤」の時と全く同じ行動を再び繰り返すことになったのだが、ここまでくると冗談抜きでラズウェル漫画を地で行くレコード・バカである。価格は2~3万円くらいだろうと予想したが、念のため4万円を下ろしてB-SELSへと向かう。途中、想定外の大渋滞にあって焦ったものの、何とか11時前にお店に到着。ドアを開けてお店に足を踏み入れるとSさんが先週以上に驚いた表情で “えぇ~、shiotchさん、一体どうしはったんですか???” と仰ったので、“2週連続でスタンパー1桁盤出して誘惑しといて、どの口が言いますねん...(笑)” と言いながら壁にかかっている「w1th the beatles」を手に取って “早速ですが聴かせてもらえますか?” とお願いすると満面の笑みで “こちらこそ、是非ともこれを聴いてもらいたいと思ってたんですよ。あんまり音が良いんで舞い上がってしまって冷静な判断が出来てるか心配になってきたんで、違う人の耳で聴いてほしかったんです。” とのこと。百戦錬磨のSさんにここまで言わせるとは一体どんな凄い音なのか、私は期待に胸が膨らませながら両耳に全神経を集中した。 (つづく)

sGt. ステレオ 1G盤ゲットヽ(^o^)丿②

2020-09-13 | The Beatles
 このsGt. ステレオ“1G”盤、盤質はVGでSさんが日記に書かれていたようにそこかしこにキズがあって見た目はあまりよろしくないが、ノイズはA①出だしの歓声SE部分でパチパチいうのと曲間ノイズが少し目立つくらいで十分許容範囲内だし、演奏が始まってしまえばほとんど気にならないレベルだ。そもそも私はビートルズの音楽を聴いているのであってノイズを聴きたいのではない。
 それにしてもさすがは“1G”盤だけあってもの凄い音がスピーカーから飛び出してくる。Sさんは “ステレオ盤なのに、まるでモノラル盤のような迫力のある音がする” と表現されたが実に的を得た描写だと思う。まるでマスターテープを聴いているかのようなニンバス盤の究極ハイ・ファイ・サウンドとは全く別物の、ヴィンテージな味わいのある濃厚なステレオ・サウンドだ。少なくとも60年代に存在した「ペパーズ」のステレオ・サウンドとしてはこのUK “1G”盤とドイツ・ゴールド・オデオン盤が最高峰だろう。
 A②でこれほど闊達に“歌う”ポールのベースは他の盤では中々聴けないし、A③でも岩のようなゴツゴツしたベースの音がスピーカーから転がり出てくる感じがたまらない。ニンバス盤ほどリアルではないにせよA④でシューン、シューンと音を立てるハイハット・シンバルの音は快感そのものだし、A⑤で聴けるリンゴのさりげないウルトラハイテクニック連発のドラミングにも言葉を失う。ポールの天才ここに極まれりという感じでリズムを刻む野太いベースラインが圧巻のA⑦もたまらんですわ(≧▽≦)
 “1A”のB面はA面よりも状態が良いVG++ で、チリパチ音はほとんど気にならない。私はインド音楽全開で抹香臭さが鼻につくB①が正直言って苦手なのだが、ニンバス盤やこの“1A”盤のように音がめちゃくちゃ素晴らしいと5分という長さを忘れてついつい聴いてしまうから不思議なものだ。ノホホンとした雰囲気が売りのB②ですらポールのぶっといベースのせいで他の盤よりもビシッと引き締まって聞こえるのが面白い。B③からB④、B⑤へとアップ・テンポで畳み掛ける怒涛の展開も“1A”の高音質で聴くとノリに拍車がかかったようでたまらんたまらん(≧▽≦)  それと、B④の動物の鳴き声SEが他の盤と違ってめっちゃリアルだとSさんが仰ったが確かにその通りで、やっぱりスタンパーの若い盤は一味も二味も違うわいと感じ入った次第。Sさんが “まるでビートルズのライヴを聴いているみたい” と形容されたB⑤の熱さはまさに悶絶モノの凄まじさだ(≧▽≦)
 B⑥は一時期、中間部の “アァ~♪”のパート をジョンが歌っているのかポールが歌っているのかビートルマニアの間で意見が分かれて喧々諤々の議論が交わされたことがあったが、ニンバス盤やこの“1A”盤で聴くとポールが歌っていることがよく分かるなぁと思っていたらSさんも全く同じ趣旨のことを言われたのでビックリ。CDや普通のアナログ盤ではよく分からなかったそういう微妙なニュアンスまで聴き取れるところにこの盤の凄さの一端を垣間見た思いがした。
 両面通して聴かせていただいた後、再度A面を聴かせていただき、意を決して “これ、いただきます!” と言うとSさんは “まさか開店前に売れるとは思いませんでした。” と大笑い。購入価格は39,800円で4万円という私の予想はほぼビンゴだったわけだが、“もし両面EXなら倍の値段を付けてたと思います。” というSさんの言葉を聞いて “8万円やったら多分買われへんかったな... この程度のキズで4万円引きやったらラッキーやわ。” と大喜びした。
 結局3時間ほどSさんとビートルズ談義で盛り上がった後、家に帰って改めて自分のシステムで聴いてみたが、お店で聴いた時と同様にめちゃくちゃ良い音で鳴ってくれて大満足。我がビートルズ・コレクションにまた1枚 “1G” 盤が増えて、望みうる最高の音質でビートルズの音楽を楽しめるのが何よりも嬉しい。Sさん、今回も良いレコードを売って下さってありがとうございました(^.^)

sGt. ステレオ 1G盤ゲットヽ(^o^)丿①

2020-09-11 | The Beatles
 先週の金曜の夜、いつものように B-SELS の HP を開くと、「日記新着」の欄に “sGt. ステレオ 1G!!!” という刺激的な煽り文句が踊っていた。ご存じのように B-SELS はマトリクス枝番だけでなく、マザー№ やスタンパー・コードにまで徹底的に拘って “良い音” を追求するアナログレコード専門店であり、最初期スタンパーの高音質盤が入荷するたび「日記」のコラムに “a hard day's n1Ght” や “w1Th THE BEATLES” のようなウィットに富んだタイトルを付けて新着盤を紹介されるのだが、今回の “sGt.” と大文字のGを見た瞬間、“ほぇ~(゜o゜) 「ペパーズ」のスタンパー G盤ってマジかよ...” と思わず鼓動が激しくなった。
 早速その「日記」に目を通してみると、“今日出品したのは、サージェント UK オリジナル・ステレオ初盤のA面 1G盤。なんとB面も 1Aという最初期盤。サージェントの 1G盤など滅多にお目にかかれるものではない。しかも 1G/1A という、この先巡りあうことができるかどうかわからない両面一桁盤。” と書いてある。これでコーフンしなければビートルマニアではない。
 「ペパーズ」と言えば去年の冬にモノラルのワイドスパイン “1P” 盤を、ステレオもちょうど1年ちょっと前に垂涎のニンバス盤を手に入れて大騒ぎした(笑)ばかりだが、ステレオのマト1初期盤に関しては盤質は良いもののスタンパー・コードが 2GMR / 1GAR という両面3桁盤しか持っていない。片面 1Gだけならまだしも裏面も 1Aという両面1桁盤などこれまで現物はおろかネットですら見たことがなかったし、Sさんが「日記」に書かれているように “この先巡りあうことができるかどうかわからない” わけで、これは貴重な最初期盤を手に入れる千載一遇のチャンスである。その週は仕事がめちゃくちゃ忙しかったこともあって土日は家でゆっくりしようと思っていたのだが、急遽予定を変更して土曜日の開店と同時にお店に入ってやろうと心に決めた。
 眠っていてもアタマの中はレコードのことで一杯だからなのか、翌朝は休みにもかかわらず朝8時に目が覚めた。私はキャッシュは銀行に入れっぱなしで買い物はほとんどクレジットカードですませているため、9時過ぎに ATMまで現金を下ろしに行かねばならない。さて、一体いくら用意すればいいのだろう? まぁ「ペパーズ」の激レア 1G盤ということでかなりの散財は覚悟しなければならないが “ややキズあり” というのも計算に入れ、過去のSさんの値付け傾向から推測して4万円を引き出して B-SELS へと向かった。
 開店時間である11時の10分前にお店の入っている雑居ビルに到着。汗まみれになって3階まで階段を上っていき、ドアにかけてある「Come In WE'RE OPEN」のプレートに目をやった瞬間、ひょっこりと Sさんが顔を出された。まるでハトが豆鉄砲を食らったかのようなビックリ顔で “shiotchさん、どうしはったんですか、こんな早くに???” と仰ったので “そんなん「ペパーズ」の 1G盤に決まってますやん(^.^)  「日記」のコラムに書いてはったヤツ。ひょっとしてもう売れちゃいましたか?” と訊くと “店に出したばかりですよ。そんなすぐに売れますかいな...(笑)” とのこと。壁面を飾ってまだ間もない「ペパーズ」の商品説明カードには “UK orig. stereo 完品。初盤まさかの 1G/1A !!” と書いてあり、心なしか “まさかの” の字体に力感が込められているように見える(笑) 私は “あ~よかった。早起きして来た甲斐がありましたわ。ぜひ聴かせて下さい。” とお願いし、いつものように2人で聴き始めた。 (つづく)

フィレス・レーベルのカナダ盤、更に2枚ゲット

2020-09-05 | Wall Of Sound
 レコードというのは不思議なもので、長い間ずーっと探していても中々見つからなかった盤が、1枚市場に出てくるとその後を追うようにドドッとまとまって出品されたりとか、一種の周期のようなものがあるように思えることがある。実際これまでに何度かそういう経験をしてきたし、近いところでは去年の秋から冬にかけてeBayで体験したビートルズ1G盤の怒涛のような出品ラッシュ(年が明けてからその波がパタッと止んでしまって1枚も出てこない...)なんかその最たるものだろう。
 長いこと探していたロネッツのカナダ盤をついに手に入れた話は前回書いたが、実はその1週間後に今度はフィレス・レーベルのもう一つの看板グループ、クリスタルズのカナダ盤がDiscogsに出品されたという通知がきたのだ。商品説明には盤質VG+~EXで£80という超お買い得価格だ。更にそのセラーの他の出品物もチェックすると、何ともう1枚フィレス・レーベルのオムニバス盤「Today’s Hits」のカナダ盤も出しているではないか! さすがにこちらは盤質がVGなせいか£20とかなり安くなっていて一抹の不安はあるが、このレコードのカナダ盤なんて他では見たことがないくらいレアなので、たとえ少々地雷臭がしようとも3,000円弱で買える(←2枚同梱で送料チャラやし...)なら御の字だ。私は喜び勇んで2枚とも購入した。
 この2枚はイギリスのセラーから買ったのだが、向こうのコロナ事情がよく分からないので(←最近は国内の新規感染者数しかニュースでやらへんけど、ヨーロッパはどーなってるんやろか...)届いたパッケージにエチルアルコールを吹きかけ、手袋をしてレコードを取り出す。もちろんレコード本体は超音波で洗浄し、ジャケットもアルコールを染ませた布でしっかりと拭いてからでないと安心できない。いつまでこんなクソ面倒くさいことせなアカンねんと愚痴の一つも言いたくなるが、こればっかりはどうしようもない。
 まず「Crystals Greatest Hits」から聴いていく。Bラス曲を除けば NMと言ってもいいくらい曲中ノイズが少ないのが嬉しい。そのBラス「Look In My Eyes」は少しノイズが目立つものの、幸いなことにあってもなくてもいいような凡庸な曲なので大して気にならない。肝心の音質だが、ロネッツのカナダ盤と同様にドライでシャープな音作りがされていて “これはこれでアリかな...” と思ったが、比較対象にUS青レーベル盤を引っ張り出して聴いてみたところ、その凄まじい音圧差にビックリ。カナダ盤を一般車とすれば、US盤はまるで重戦車だ。因みにこのアルバムはクリスタルズ名義にもかかわらず彼女らとは違うグループが歌っているトラックが入っているのだが、今の私のお気に入りはロネッツが歌っている「Hot Pastrami」と「Mashed Potato Time」だ。
Hot Pastrami

Mashed Potato Time


 次に「Today’s Hits」だが、見た目の擦れは多いものの音に出るような深いキズは無く、VGと呼ぶのは失礼なくらい良好なコンディションだ。私ならVG++かEX-をつけるだろう。音の方はやや線が細くてハイ上がりなサウンドで、重低音が轟きわたるUS青レーベル盤に比べると物足りない。「Crystals Greatest Hits」ほどの音圧差はないが、こちらもやはりUS盤の重厚なサウンドに軍配を上げざるを得ない。
 ということで今回手に入れた2枚のカナダ盤はさすがにUS盤には敵わなかったものの、盤質はそこそこ良いし、何より少ない出費で興味深い聴き比べができたのが一番の収穫で、これらのカナダ盤のおかげで(?)フィレスのUS青レーベル盤の音の凄さを改めて思い知らされた。フィレスはやっぱりUSオリジに尽きますな...(≧▽≦)
1963 HITS ARCHIVE: Then He Kissed Me - Crystals

1963 HITS ARCHIVE: Da Doo Ron Ron (When He Walked Me Home) - Crystals