shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「ホワイト・アルバム」のインド盤

2019-02-25 | The Beatles
 私がガイド本「アナログ・ミステリー・ツアー」をきっかけにビートルズのインド盤に興味を持ち、実際に手に入れて聴き始めたのは2年半ほど前のことで、もちろんこのブログでも「ラバー・ソウル」「リヴォルヴァー」「赤盤」「青盤」の4枚を取り上げたのだが、それ以降もソロ作品も含めて数枚をゲット、レコード棚にもインド盤のコーナーを新設するなどして楽しんできた。
 しかし最近は不漁続きで初期の盤は全く市場に出てこないし、仮に出てきたとしても $200とか $300とかいったボッタクリ価格でハナシにならない。「ラバー・ソウル」以降の盤は初期の盤よりは入手しやすい傾向にあるが、そんな中で唯一「ホワイト・アルバム」だけは超入手困難で、あの横野氏のHPにも載っていない。eBayでは $700とか $1,500 といった非現実的な値付けがなされており、とてもじゃないが堅気の人間が買える金額ではない。というワケでインドのホワイトは私にとってはまさに “インド盤最後の秘境” であり、“インド盤蒐集における最大の難関” として “万が一、手に入れることができたらめちゃくちゃラッキー” という、その程度の認識だった。
 私は全く期待せずに「ホワイト・アルバム」のインド盤を Discogs の“ほしい物リスト” に入れたままずーっと放置しておいたのだが、年明け早々にそんな私の元にDiscogs から “ほしい物リストのアイテム1点が出品されています。” というお知らせメールが届いた。インドのホワイト? どーせまたアホみたいな高値に決まっとるわ... と思いながら値段を見ると、何とたったの €140だ。まぁどーせ傷だらけのガチャ盤やろ... と思ってコンディション表記を見ると VGだったが、“most of the record sounds VG+” という補足説明が付いている。“photos available” とのことだったのでモノは試しと写真をメールで送ってもらったところ、予想に反して盤面はキレイそうだ。まだ一抹の不安はあったが、そうやって躊躇している間に誰かに買われてしまったらきっと後悔するだろうと考えた私は腹をくくって「注文する」をクリック。ギリシャのセラーということで送料は €12とリーズナブルで、日本円にして約18,000円で買うことができた。
 このインド盤「ホワイト・アルバム」のセンターレーベルに描かれているリンゴは一目でインド盤とわかるユニークなもので、特に裏面のホワイト・アップルのデザインなんかいかにもインドという感じのおおらかさで描かれており、思わず頬が緩む。それと、私はこれまで全く気付かなかったのだが、この盤を B-SELSの Sさんに見せたところ、じーっとレーベル面を凝視しておられたので “どうしたんですか?” と尋ねると、“レーベル面の文字が一字一句全部手書きですよ、これ!” とのこと。そんなアホな... と思いながらも自分の目でチェックしてみると、確かに同じ文字なのに微妙に違うものがいくつかあってビックリ。印字と見間違うくらいに細かい文字をレーベル面にびっしりと書いたインド人も凄いが、それを一瞬にして見破ってしまった Sさんの眼力もこれまた凄い。さすがは “レコードのプロ” である。
 「アナログ・ミステリー・ツアー」の中ではこのインド盤の評価はイマイチで、“他のタイトルでは驚くような音を聴かせていたインド盤ではあるが、本作だけはなぜか精彩を欠く印象。” とある。ただ、本に掲載されているのはディスク1(つまりAB面)のみマト末尾に T1 が付いたローカル・リカットというセットだが、私が手に入れたのはディスク1両面に加えてディスク2の表も併せた計3面(ABC面)のマト末尾がそれぞれ T3/T1/T1 のいわゆるローカル・リカットで、4面のみ UKマザー使用のマト1になっているセット。本によるとローカル・リカットの音は “今一つ新鮮さがなく”、その一方で UKマザーの音は “ガサツな雰囲気” とあるが、何を言いたいのかイマイチよく分からない。そもそもガサツって一体どんな音やねん???  とまぁこのようにガイド本の評価は低いが、果たして私の「ホワイト・アルバム」は良い音で鳴ってくれるのだろうか???  (つづく)

【爆裂ラウドカット】Wings Over America オール -1U盤

2019-02-20 | Paul McCartney
 私は「オーバー・アメリカ」のラウドカット疑惑(?)にオトシマエをつけるため、盤が届いた2日後に早速 B-SELS を訪ねた。“UK盤「オーバー・アメリカ」のマト・オール1盤を手に入れたんですけど、一緒に聴きませんか?” と言うと店主のSさんは目を輝かせながら(笑)“ぜひ!” と2つ返事でOKして下さった。
 私は比較対象にもう1枚の「オーバー・アメリカ」も持参しており、まずはマトの差が大きくてデッドワックスの幅も異なるC面で試してみようということで聴き比べスタート。この面はご存じのとおり「ピカソズ・ラスト・ワーズ」「リチャード・コーリー」「ブルーバード」「アイヴ・ジャスト・シーン・ア・フェイス」「ブラックバード」「イエスタデイ」と続くアコースティック・セットなので、アコギをこよなく愛するSさんがどのような反応をされるかを興味深く見守っていると、一言も発せずにずーっと目を閉じて聴き入っていたSさんが「ブラックバード」で “高音の伸びが全然違いますね! いや~、コレは凄いですわ!” とコーフン気味におっしゃった。
 そこで一つのアイデアが浮かんだ。私が持参した“1/1/1/1/1/1” と “1/2/3/2/1/1” に加えて、お店にある「オーバー・アメリカ」のUK盤2枚“2/1/1/1/1/1” と “2/2/2/1/1/1” を併せた計4枚の中から選んで比べてみようというのだ。これにはSさんも大賛成で、まずはC面に的を絞ってマト2、マト3と順に聴いていく。因みにデッドワックスの幅の件だが、お店にあった定規でそれぞれ計ってみると、マト1とマト2が1.5cmでマト3が2.3cmだった。となると理論的にはマト1とマト2は同じ音がすることになる。
 ところが聴いてみた結果はお店のマト2(2/1)の方が私のマト1(1/1)よりもおとなしく感じられたのだからアナログは奥が深い。続いて聴いた私のマト3(3/2)もそれなりに良い音なのだが、やはりマト1の後に聴いてしまうと物足りなく感じてしまう。一通り聴き比べが終わると、Sさんが “「ブラックバード」をもう1回いいですか?” とおっしゃったので(←この曲が大好きだそうです...) “何度でも気のすむまでどうぞ!” とエンドレス試聴に突入(笑)  結局1時間半ほどC面を繰り返し聴いて、“1/1 >> 2/1 ≒ 3/2” という結論に達し、“じゃあ次はA面に行きましょう。” ということになった。
 C面が“アコースティック・サイド”ならA面はバリバリのロック・サイドである。マトは1と2しかないが、同じマト1でも 1/1盤と1/2盤に違いがあるのかどうかにも興味があったので、こちらも私が持参した 1/1盤と1/2盤、そしてお店の2/1盤の計3枚を聴き比べることにした。
 まず 1/1盤だが、ライヴ始まりの歓声の大きさからして明らかに違う。それまで聴いてきた「オーバー・アメリカ」を数万人収容の巨大スタジアムとすれば、この1/1盤は武道館か国技館クラスのアリーナである。それぐらい音が近いのだ。そしてA①「ヴィーナス・アンド・マース」が始まり、メドレーの「ロック・ショウ」に突入した瞬間の爆裂感には2人とも思わず身をのけぞらせた(←これホント!)。Sさんは “今まで聴いた中で最高の「オーバー・アメリカ」です!” と大喜びで、“まるでハードロック・バンドのライヴを聴いているみたい” とおっしゃったが、実に上手い例えである。確かに、気が付くと2人とも軽くヘッドバンギングしていた(笑)
 更に驚いたのは「ジェット」の冒頭部分のホーンの厚みが全然違うことで、音の押し出し感がハンパない。もう一つの大きな違いはドラムの音で、他のマトの盤では奥に引っ込んでいたジョー・イングリッシュが前に出てきて、まるでレッドブルを一気飲みしたかのような(←これこそまさに Gives You WINGS!!!)豪快なドラミングを聴かせてくれるのだ。Sさんも “スネアがスコーン!と突き抜ける感じが全然違いますね!” と満面の笑み。とにかく音が近いので、まるでスタジオ・ライヴを聴いているかのような錯覚に陥ってしまう。A⑤「メディスン・ジャー」でもポールの“よく歌う” 闊達なベース・ラインがまるでヘビー級ボクサーのボディーブローのようにズンズン腹に響いてめっちゃ気持ちイイ(^o^)丿 “コレはどう聴いてもラウドカットでしょ!” とおっしゃったので “やっぱりそう思いますか。僕もそう思ったんですけど自信がなくて... でもこれで確信に変わりました。これは間違いなくラウドカットですね!” と言いながらB面に行く。
 B①「メイビー・アイム・アメイズド」のポールのヴォーカルが実に力強い。バックのコーラスの広がり方も一回り大きく感じるし、ジミーのギター・ソロも一歩前へ出てきて弾いているような感じ。更にB②「コール・ミー・バック・アゲイン」の音密度の濃さには2人とも “おぉ~!!!” と声を上げてしまったほどで、とにかく音がスカスカなイメージのあった「オーバー・アメリカ」とは全く別物の、熱いライヴの音像が我々2人の前に屹立しているのだ。ここからはあくまでも私とSさんの想像だが、UK盤「オーバー・アメリカ」のディスク1だけマト1/1盤が極端に少ないのは、ちょうど「ラバー・ソウル」モノのマト1盤と同じ理由で発売後すぐに差し替えが行われたからではないか。この仮説が正しければ諸々の音の違いがすべて説明がつくのだが...
 1/1盤の次は 1/2盤だ。同じマト1なので 1/1盤と1/2盤のA面は同じ音がするはずなのだが、聴いてみた結果は1/1盤の圧勝で、これには2人ともビックリ。スタンパー・コードが 1/1盤の「P」に対して1/2盤は「GDP」とかなり開きがあるのでそのせいではないかというのがSさんの推測だが、なるほどそれなら筋が通る。スタンパー・コードが2桁までと3桁ではかなり音が違うらしいので、ましてや1桁と3桁ならその差は歴然だ。
 最後に 2/1盤を聴いてみたが、こちらはスタンパー・コードが「1G」で、マト2の中では最初期盤ということになる。聴いてみた結果は 1/2盤とほとんど変わらずで、3枚比較の最終結論としては “1/1 >>> 1/2 ≒ 2/1”だった。“いやぁ~、「オーバー・アメリカ」のラウドカット、最高ですわ。帰ったら神棚に飾ろうかな...(^.^)” と言うと Sさんも “エエもん聴かしてもらいました!” と大いに喜んでおられた。
 結局3時間にわたって同じレコードを何度も何度も聴きまくったワケだが、時の経つのを忘れるほど楽しい至福のひと時で、私もSさんもホンマにビートルズが好きなんやなぁと改めて実感。そもそも B-SELS でUS盤にハマらなければこのマト・オール1・リアル 1st プレス盤を買うこともなかったワケだし、「オーバー・アメリカ」のUKオリジナル盤のマト違い4種類をじっくり聴き比べできる場所だって日本中探してもそんなにないだろう。ここ数ヶ月の充実したレコード・ライフを考えると、このお店には足を向けて寝れない。そんなレコ屋が地元の奈良にある幸せ... priceless (≧▽≦)

【試聴盤データ】上段がマトリクス枝番、下段がマザー番号とスタンパー・コード
① 1U   1U   1U   1U   1U   1U
  3P   2RR   1TT  2AO   5TO  2RR

② 1U   2U   3U   2U   1U   1U
 4GDP 1GRA  1GHD  4GHA   3PD  3OO

③ 2U   1U   1U   1U   1U   1U
 1G   2GR   1GD  1GR   1MD  3RL

④ 2U   2U   2U   1U   1U   1U
 2MD  2TT  2GGP  5GGP  3GM  2OG

「Wings Over America」マト・オール -1U のUK盤ゲット

2019-02-17 | Paul McCartney
 「Wings Over America」の US盤を買った話はこの前書いたが、家に帰って手持ちの UK盤を引っ張り出してきて両者の音を聴き比べたりジャケットの細かいデザインを比較したりしていた時に、ふと “俺の UK盤「オーバー・アメリカ」ってマトはどーなってたっけ?” と思ってチェックしてみると、“1U/2U/3U/2U/1U/1U” だった。
 私はビートルズ及び各メンバーのソロのレコードは可能な限りマト番の若い盤を買うことにしており、このレコードに関しては購入当時に参考にしていた「Beatles' Vinyl Made in UK」というガイド本(←監修は和久井光司氏)に “初版のマトリクス・ナンバー末尾は全面とも「-1」だが、それはサンプル盤のみという説もある。” と書いてあったのでサンプル盤を探してみたが全然見つからず、仕方なく盤質の良いアーリー・プレス盤を買ってお茶を濁したまま、気が付けば10年以上の年月が過ぎ去っていたのだ。
 現在持っている盤はコンディションが良いのでそれなりの良い音で鳴ってくれてはいるが、こーなってくると “ひょっとするとマト・オール1盤やったらもっと生々しい音が聴けるんちゃうやろか?” とついつい考えてしまうのがコレクターの哀しい性というもの。というワケで今回のUS盤祭りが引き金になり、再びUK 1stプレスのマト・オール1盤を探してやろうと思い立った。
 そういえば B-SELS で US盤を買った時、店頭在庫に “2U/1U/1U/1U/1U/1U” (←惜しい!!!)というマトでスタンパーもめっちゃ若い UK盤があったので、“まずコイツを買ってディスク2を差し替え、更にディスク1が “1U/1U” の盤をどこぞから探してきて再度差し替える...” という2段階作戦も考えたのだが、生来面倒くさがり屋の私は “どーせならオール 1U盤を探して1発で解決したろ...” と考え、早速 Discogs と eBay で検索してみたところ、1Uの含有率(?)は20~30%ほどでマトは 2Uや 3Uのものが多く、中には 4Uなんて盤も珍しくない。特にディスク1(YEX963/964)の 1U/1U盤はめちゃくちゃレアらしく1枚も出ていない。
 “やっぱり滅多に出てけぇへんサンプル盤を気長に待つしかないか...” と半ば諦めながらもダメ元で eBayのローカル・サイトをチェックしたところ、何と eBay UKでマト末尾がオール 1Uの盤を発見! ジャケットは VGでスパインが少し傷んではいるものの、盤質は EX- なので問題ない。念のために “ホンマにマトが全部 1Uやったら買うからもう一回確認してくれへんか?” というメッセージをセラーに送ったところ、“I can confirm the matrix numbers are correct.(マト番確認したよ。)” という返事が返ってきたので即落札。結局送料込みで£25、日本円にすると約3,500円(←イギリスの EU離脱騒動のおかげでこの時は£1=138円だった...)ぽっきりで買うことができた。
 届いた盤を確認するとサンプル盤のステッカーは貼ってなかったので、バラで買って組み合わせたという可能性はあるものの、和久井氏の言う “マト末尾全面「-1」はサンプル盤のみ” という説は怪しくなってくるが、果たして真相は如何に...? で、気になる音質を確認するために、まず一番差が大きいであろうC面(1U vs 3U)で手持ちの盤と聴き比べてみることにした。
 早速両方の盤を取り出してみたところ、一目でデッドワックス部分の幅が違うことに気が付いた。“え~ 何で???” と思って計ってみると、1U盤が 1.5cmなのに対し 3U盤は 2.3cmもあるのだ。理論的にはデッドワックスの幅が狭い方が情報量が多いので音が良いことになるが、そういった要素も含めて興味津々である。
 実際に盤に針を落として聴いてみたところ、手持ちの UK盤はもちろんのこと、この前取り上げた LAプレスの US盤やリマスターCD、それにハイレゾ音源も含めてこれまで聴いてきたありとあらゆる「オーバー・アメリカ」とは明らかに違うごっつい音がスピーカーから飛び出してきてビックリ(゜o゜)  私が「オーバー・アメリカ」に対して抱いている音のイメージは “音が遠い” というネガティヴなものだったが、このリアル 1stプレス盤はとにかく音圧が高くてめっちゃ音が近い。例えば A②「レット・ミー・ロール・イット」のリッケン・ベースの音なんてもう凄味を感じるぐらいの重低音で、ズシリ、ズシリとまるで軍隊の行進のようなのだ。これではまるで “ラウドカット” ではないか! しかし私の知る限り、「オーバー・アメリカ」にラウドカット盤が存在するなんて話は聞いたことがない。不安に思った私は B-SELS にこの盤を持ち込んで確かな耳を持つ店主のSさん(←やっぱり楽器を弾く人は耳が違います...)と一緒に検証することにした。 (つづく)

ポールの2018ドーム・ボックス

2019-02-15 | Paul McCartney
 去年の12月中頃だったか、予約しておいたポールの両国ボックスがもうすぐ届くということで “しめしめ、これでクリスマスの3連休を心ゆくまでポール三昧で満喫できるわい...(^.^)” とほくそ笑んでいた私の元へ、今度はドーム・ボックス予約受付のメールが届いた。東京ドーム2日間+ナゴヤドームの計3公演分のサウンドチェック+本番を IEMマトリクスと単一指向性マイクによるオーディエンス録音で 3×3 + 3×3 = 18枚、更に東京ドーム初日の前日に非公開で行われたリハーサルも IEMマトリクス録音で収録した2枚を加えたCD 20枚組セットで、お値段は何とビックリの48,000円だ。
 最初のうちは、オフィシャルの「ワイルド・ライフ」と「レッド・ローズ・スピードウェイ」スーパー・デラックス・エディションが同時に買えてしまうという、まるで人をバカにしたようなボッタクリ価格を見て思わず “誰が5万円も出すねん、アホか!” と鼻で笑っていたのだが、その数日後に届いた両国ボックスの凄まじいまでの高音質に完全 KOされてすっかり頭に血が上ってしまった私は “自分が参戦したナゴヤドームはやっぱり最高の音で手元に残しておきたいし、東京ドーム2日間分の音源も(←自分が行ってないコンサートなので思い入れがなく、EVの先行盤 CDとピカデリーの DVDしか買ってない...)高音質で手に入るならまぁエエか...” と考え、衝動的に予約ボタンをクリック。両国ボックスに続く前言撤回だが、君子は豹変するのである。ボックスの発送は大晦日だったが、何と1月1日のお昼に我が家に届いた。クロネコさん、元旦から仕事してくれてありがとう!
 聴いた感想としては両国ボックスの時と全く同じで、“ドーム3公演 + 前日リハ” を捉えたマトリクス音源のスーパーウルトラ高音質がとにかく凄いの一言! これだけでも大枚を叩いた価値があるというものだ。因みに前回取り上げた両国ボックスのマトリクス盤は LH盤とそれほど変わらないレベルだったが、このドーム・ボックスに関しては前日リハといいナゴド本番といい一聴して分かるレベルで LH盤を軽く凌駕しており、ハッキリ言ってこれ以上望めないんじゃないかと思えるぐらい素晴らしい。お金に換算すると「本番 IEM 12,000円×3 + 前日リハと各日サウンドチェック IEM 3,000円×4 = 48,000円」という感じ。オーディエンス録音盤は論ずるに値しないのでパス(笑)
 で、まず10/30の非公開リハーサルだが、本番ではついに演らなかった「アイ・ドント・ノウ」を何度も何度も試していたりとか、“イチバン!” という掛け声を「カム・オン・トゥ・ミー」のイントロに持ってくるアレンジを煮詰めていく過程(←Good idea! とか言ってる...)が聞けたりとかで、ファンとしてはあの完全無欠なエンターテインメント・ショーに向けての試行錯誤の様子が垣間見れて非常に興味深いものがある。尚、“イチバン!”は余程気に入ったとみえて、このリハの最中に何度も連呼しているのが微笑ましい。又、「ヒア・トゥデイ」を一部崩して歌ったり(←いくらリハとはいえ、これはちょっと興醒め...)、「オブラディ...」のサビの部分の掛け声を “brahhh!” と誇張するか否かの打合せなんかもバッチリ聴けて面白い。リハの最後をポールが “それでは明日もまたここ東京ドームでお会いしましょう~♪” とDJ風のノリでシメるところも最高にカッコ良かった。
 本番ステージでも、例えば 11/8のナゴヤドームで「マイ・ヴァレンタイン」の時にステージ後方スクリーンがフリーズしてしまうというトラブルがあったが、曲の間奏に入った時にポールが “フィルムをどーたらこーたら...” と指示を出している声も微かに聞こえるし(2:32あたり)、10/31の東京ドーム初日の同曲前の MCで Nancy をわざと“ナンシィ”とカタカナ風に発音しておきながら歌う前に自分でウケて吹き出してしまうところとかもバッチリ捉えられており、オーディエンス録音盤では全く気付かないような細かい音まで聞けて実に面白い。
 結局今回のボックス2セットで約6万円の出費となったワケだが、ビートルズ関連では金に糸目は付けない主義の私としては最高音質のマトリクス音源を手に入れることができただけで満足(^o^)丿 ただし、両国と名古屋だけでいいというなら、イヤモニ・マトリクス録音は両国を LH盤で名古屋を TJ盤、オーディエンス録音は両国を Moonchild盤で名古屋を Supersonoic盤で揃えれば、8,000円でお釣りがくるコスパ最強の組み合わせになると思う。

ポールの両国 “でらサイコー” ブート決定戦

2019-02-11 | Paul McCartney
 ポールの両国ライヴの IEMマトリクス盤のベストは EVで決まりだが、オーディエンス録音盤となるとまさに群雄割拠というか、各ブート・メーカーがしのぎを削っているという感じで、私の知る限りでは “圧勝盤” というのは存在しない。ライヴから3ヶ月が経ってもうこれ以上新しいブツがリリースされる可能性はほとんどなくなったので(←まさか TJとか出ぇへんよな...)、今回は私が買い漁った両国オーディエンス録音盤の中から極私的 “でらサイコー” ブートを選んでみようと思う。
 それではまず最初にそれぞれの盤の簡単なインプレッションを購入順に書いてみたい。(このブログは個人の感想であり、各ブートの優劣を保証するものではありません... 笑)
①Ryogoku 2018(Uxbridge)
 私が最初に手に入れた両国ブートは LHの傍系 CD-Rレーベルである Uxbridgeから出たこの盤。CD-Rということであまり期待せずに聴いたのだが、2階席からの録音とは思えないようなサウンドにビックリ。もちろんサウンドボードも裸足で逃げ出す... というタイプの録音ではないが、リアリティー溢れる臨場感が絶品で、実際に会場で聴いた音を思い起こさせてくれる、とでも言えばいいのか、とにかく見事なバランスで録音されている私的お気に入り盤だ。インフォに“聞き心地が抜群!” とあったが、まさに言い得て妙だと思う。

②Freshen Up Ryogoku Kokugikan 2018(Piccadilly Circus)
 ピカデリーのブートは当たり外れが激しい。最近は2015年、2017年と安定して良かったので大いに楽しみにしていたのだが、残念ながら今回は私の好みとは違う平板な音作りになっており、他の両国ブートのレベルの高さやコスパを考えると正直ちょっとキツい。DVD裏ジャケの “One On One Japan Tour” という信じがたい誤表記も含め、今回のピカさんは一体どうしたのだろう???と心配になってくる。ただ、直近3回の来日で全公演の DVDを出してくれているのはココだけだし(←今回のマルチカメラは切り換えが多すぎて見にくかったけど...)、ポールに関してはガチなレーベルなので、次回に期待したいと思う。

③Freshen Up At Ryogoku Kokugikan Omnidirectional Source(Empress Valley)
 ハイエンド無指向性マイクを使って録音されたエンプレス・バレイの先行発売盤。前にも書いたように両国ボックスに入っている単一指向性 MK4マイクと同じ場所で録音されており、音もほとんど変わらない。何故か EVのオーディエンス録音は周りに喋ったり騒いだりするアホな客が居合わせる不幸なケースが多いが、今回のこの両国オーディエンス盤に関しては標準語でボソボソ喋る男の低い声(←キモい...)以外はほとんど気にならない。それよりも、私にはエコーが強すぎてポールのヴォーカルに距離感を感じてしまうのが最大のネックで、悪くはないが私好みの音ではなかった。

④Ryogoku Kokugikan 2018(Lighthouse)
 ライトハウスのこの盤は生々しい音が実に気持ちいい。後で分かったことだが、以下の⑤~⑧までみんなコレと同音源(←「1985」アタマの部分に“デカいデカい...”とそれこそデカい声のお喋りが入っている部分を聞けば明らか)だったのにはビックリだ。インフォには “さる高名なテーパーがネット上に上げた音源を直接提供されたもの” とあるので、他レーベルのものはすべてネットからダウンロードした同音源をそれぞれリマスターしたものということになるわけだ。録音位置は「桝席 正 13側」とのことなので私のすぐ後ろで録音されたことになるが(←ということは「1985」が終わった直後の “バ~ン ドォンザ ラァ~ン♪” っていうアホ声はまさか...)、リアリティーと臨場感を非常に高い次元でバランスさせた名録音だと思う。

⑤ポール・マッカートニー at 両国国技館(Nanker Records)
 LHの④と同じ音源で、リマスタリングによる違いもほとんどない。まぁいじる必要がないほど元の録音が優れているということなのだろう。CD-R盤なので他レーベル同音源プレス盤があればコレを買う必要は全くない。

⑥Ryogoku Kokugikan Mein Show(Phoenix Record)
 ヤフオクやメルカリで短期間に売りまくった謎のレーベル。興味本位に買ってみたら発送元は北海道だった。CD-R盤だがメディアは太陽誘電製という拘りブート。これもやはり LHの④と同じ音源だが、LH盤よりもやや臨場感が強い音作りだと感じた。

⑦Live At Ryogoku Kokugikan(Supersonic Masters)
 この Supersonic Masters も今回初めて登場した未知のレーベルだが、家内制手工業で作ったような⑥とは違い、れっきとしたプレス盤。これも LHの④と同じ音源だがリマスタリングによって更にリアリティーが増しており、今回の聴き比べでは一番私好みの音に仕上がっていた。Supersonic盤は名古屋もこれと同様に音圧と臨場感を高いレベルで両立させた高音質な仕上がりで、今回の来日ブートではちょうど2015年の SNEみたいな超お買い得のレーベルだと思う。大推薦!!!

⑧One Night In A Sumo Arena(Moonchild Records)
 Moonchild Records というのは EVと同じく西新宿のブラインド・フェイスというブート屋が作っており、独自音源で差別化を図る EVとは違って、ネットでダウンロードした音源を1,000円で売ることに特化した価格破壊型廉価盤レーベルだ。これもやはり LHの④と同じ音源だが、入念なリマスタリングでかなりオンな音に仕上がっている。何よりも面白いのは同じ BF系列でありながら、皮肉にもハイエンドマイクを使った EVのオーディエンス録音盤を軽く凌駕してしまったこと。他レーベルも含めて、コスパを考えればコレが断トツの№1だろう。

⑨Ryogoku Kokugikan 2018 Definitive Master(Uxbridge)
 ほとんどの両国ブートが出揃った12月後半に LHが Uxbridgeレーベルからリリースした CD-R盤。LH自身のプレス盤④や IEM盤、それに EVのボックスの後でコレを出す意味がよく分からなかったが、どうやら “2階正面ロイヤルボックスの真後ろという特異な録音ポジション” というのがウリらしい。インフォには “ステレオ感が強い” とか “マイルドなサウンド” とか書いてあったので(←まさに “物も言いよう”ですな...)おおよその見当はついていたが、実際に聴いてみると音が遠くてやっぱりなぁ... という感じ。それより何よりこの盤の最大の問題点は近くに大声で遠吠えしまくる観客がいることで、とてもじゃないがスピーカーの大音量では聴いていられない。ハッキリ言ってハズレとしか言いようがないナンジャラホイ盤だった。

ということで、上記9枚の中では私は①④⑦⑧がお気に入り。④⑦⑧は①と比べると音の近さという点で一日の長があるので、元々同じ音源でリマスタリング違いの④⑦⑧がトップ3入賞ということになるが、どれか1枚となると非常に難しい。敢えて書けば「あまり音をいじってなくて聴きやすい④」「音圧アップで迫力満点の⑦」「リマスタリングでオンな音像を作り上げた⑧」という感じで、ここまでくると後はもう個人の音の好みの範疇になるだろう。私としては僅差で⑦の Supersonic Masters を両国オーディエンス録音の “でらサイコー” ブートと認定したい。
      

ポールの両国ボックス

2019-02-09 | Paul McCartney
 日本のブートレッグ業界にエンプレス・バレイ(←以下EVと略す)というメーカーがある。ポールの来日公演ブートでは、EVはまず無指向性マイクを使ったオーディエンス録音盤を出して様子を窺い、他のメーカーの盤がほぼ出揃ってポール祭りが一段落した頃に “満を持して” と言う感じで、サウンドボードに迫る生々しさを誇る IEM(In-Ear Monitor、略してイヤモニ)マトリクス音源盤と単一指向性マイクを使ったオーディエンス録音盤をセットにして詰め込んだ高額なボックス・セットをリリースする、というのがここ数年のリリース・パターンになっている。
 私は2013年と2015年武道館の EVボックスは買ったが、2017年のは買わなかった。EVの(というか、タッグを組む Xavelの、と言った方がいいかも...) IEM録音技術は群を抜いて凄いのでマトリクス盤単独で出してくれれば迷わず “買い” なのだが、先行発売オーディエンス録音盤とほとんど変わらない音質の単一指向性マイクによるオーディエンス録音盤とセットにした抱き合わせ販売、更に熨斗紙やら何やらといったどーでもいいボックスの装丁に凝って値段を吊り上げるという姑息な売り方を見て、いくら何でもコスパが悪すぎると考えたからだ。だから今回も EVに関しては先行発売のオーディエンス録音盤だけ買って、ボックスは見送るつもりだった。
 しかし、その時の気分次第で本能の趣くままに生きるのが私という人間であり、言うことやることが二転三転するのは日常茶飯事...(笑) いつもブートを通販で買っている Kent から両国ボックス発売のお知らせメールが届いたのは確か12月の半ば頃だったが、ちょうど色んなメーカーから出ている両国ブートを聴いたりリトグラフを額に入れて飾ったりして気持ちが盛り上がっていたのと、ボーナス直後で気持ちが大きくなっていた(笑)こともあって、“他でもない両国の記念やし、1万円ちょっとやったらまぁエエか...” という軽いノリでこの両国ボックスを注文してしまった。
 ボックスが届いて真っ先に聴いたのはもちろんマトリクス盤である。しかも今回は“ステージ上に設置されたモニタリング用スピーカーのステレオ・ライン音源、複数のステレオIEMソースなどを正真正銘プロ・ユースの機材を用いてステレオ・ミックス” とインフォに書いてあったので(←ライン音源て... ホンマかいな)一体どんな音に仕上がっているのか興味津々だった。
 はやる気持ちを抑えながらプレイヤーにセットしてボタンを押すと、スピーカーから飛び出してきたのは私の予想を遥かに上回る生々しいサウンドで、生半可なオフィシャル・ライヴ盤なんか軽く超えてしまうんじゃないかと思えるぐらいのスーパーウルトラ高音質。一番の魅力は何と言っても生のライヴ会場や普通のオーディエンス録音盤では聞き取れないような細かい音まで驚くほどクリアーに聴けるところで、大袈裟ではなくこのマトリクス音源はブートレッグの概念を完全に覆してしまうほどの凄い音だと思った。
 因みにこれより先に出たライトハウス(←以下LHと略す)のイヤモニ録音盤と聴き比べてみたところ、どちらも高音質で実にハイ・レベルなライヴ・サウンドなのだが、後出しのEVの方がマスタリングにじっくりと時間をかけただけあって、より腰の据わった押しの強いサウンドに仕上がっている。ドームとは違って非公開で行われた当日のサウンドチェック(←10/30の非公開リハーサルの時と同じく「アイ・ドント・ノウ」に時間を割いてた...)の録音に関しても同様だ。ただ、両者の差はそれほど大きなものではないので、コスパを考えればLH盤に軍配が上がるだろう。
Paul McCartney - I Don't Know [Rehearsal at Kokugikan, Tokyo - 05-11-2018]


 オーディエンス録音盤の方はやはり先行発売盤と同じ位置で録音されたと思しき音源で、「カム・オン・トゥ・ミー」が終わった後に “東京ドームがどーたらこーたら...” という男の低いボソボソ声(←コイツほんまにウザい... お喋りがしたかったらどこか他所でやれ!)が入ってるところとか、全く同じ。マイクは違えども高音を強調してエコーを深めにかけた音作りも同じで、私にはあまり違いが分からなかった。まぁこれは十分想定の範囲内だったのでやっぱりなぁ...という感じ。
 というワケで、まともな経済感覚の持ち主であればLH盤一択だと思うが、私のように “半分ビョーキ” レベルのビートルマニアにとってはこの両国ボックス・セットの IEMマトリクス音源は一聴の価値があると思う。抱き合わせのオーディエンス録音盤をオマケと考えても、「本番のマトリクス盤10,000円 + サウンドチェックのマトリクス盤2,800円 = 12,800円」と考えれば納得の逸品なのだ。

The Rooftop Concert Definitive Edition / The Beatles

2019-02-03 | The Beatles
 ルーフトップ・コンサートが我々ビートルズ・ファンにとって特別なのは、もちろん彼らのラスト・ライヴ(それも2年半ぶり!)というメモリアル的な側面や、ビルの屋上でライヴ演奏を行い最後は警官が登場して映画のクライマックスを迎えるというアイデアの斬新さもあるかもしれないが、何と言ってもトゥイッケナム・スタジオであれほど険悪な雰囲気だったビートルズの4人が諸々のいさかい事を一旦脇に置き、“良い音楽を作る” という一点に集中して世界一のロックンロールバンドとしての底力を存分に見せてくれたというのが一番の理由ではないかと思う。特にあれほどこの企画に否定的だったジョージが実に楽しそうに(←もうノリノリですやん!)ギターを弾いているのを見ると、こちらまで何だか嬉しくなってくる(^.^)
 そんな大人気のルーフトップ・コンサートだけにブートレッグも色んなレーベルからリリースされており、かく言う私もイエロードッグに始まってミスタークローデルにムーンチャイルドとCDだけでも3種類持っていたし、何と言ってもHMCから出た「レット・イット・ビー」の決定版と言うべきサントラ盤があるので、先週ライトハウスのHPの告知で “最大限ステレオで収録されたルーフトップ・コンサートの新作が出る” と知った時も “またかいな...” という感じで正直あまりピンとこなかった。
 私の注意を引いたのはむしろそれに付属するDVD-Rの方だった。映画のシーンから通行人のインタビュー場面及びその音声を編集によって完全にカットし、違和感なく演奏に集中して見れるとのことだったのでコレは面白そうだと思い、結局ボーナス・ディスク目当てでこの「The Rooftop Concert Definitive Edition」を購入。こういう “グリコのオマケ” 的商法がライトハウスの強みの一つだと思うが、ファンとしてはボーナスであろうが何であろうが楽しめればそれで良いのである。尚、このブートは発売1週間で300枚を完売したようで(←このメーカーの品薄煽り商法はいつものことだが、それにしても今回は驚異的なハイペース...)さっきヤフオクを覗いたら4倍のプレミアが付いて1万円にまでハネ上がっていたのにビックリ。どうせそのうち “海外から奇跡の50セット緊急入荷” すると思うのだが...(笑)
 届いたブツでまず手に取ったのは当然オマケDVD-Rの方で、早速視聴開始。映像は非常にキレイで HMC盤DVDと比べても何ら遜色のないレベル。これがオマケ扱いでエエんかいな。そして問題の通行人インタビューのシーンだが、①「ビートルズは曲も良いし歌も上手い、愛すべきグループだ」と褒めちぎる老紳士、②「何のつもりなの!」とヒステリックに叫ぶオバハン、③「仕事疲れも忘れるわ」と喜ぶ美人OLさん、④「場所が場所ならいい音楽だが、ここには合わない」とあくまでも冷静沈着なビジネスマン、⑤「フェンタァースティック!」と大絶賛のケバいおねーさんたち、⑥「タダで聴けてラッキー」と喜ぶノーテンキなおっちゃん、⑦「あれ新曲?いいね」と気さくに答えるタクシーの運ちゃん... という個性溢れる7人衆(?)のインタビュー・シーンをすべて、音声はインタビューの入っていない同音源をアフレコさせ、映像は野次馬がビル屋上を見上げるシーンに差し替えるかバッサリとカットするかして、実にうまいこと編集で消してあるのだ。
 だからこれまではポールの歌声に酔いしれていると突然オバハンの例の叫び声で “そうそう、コレは映画なんや...” と現実に引き戻されていた「アイヴ・ガット・ア・フィーリング」が、この神編集のおかげでビートルズの歌と演奏に集中できるので、観ている方としてはストレスなく楽しめるというワケだ。こんなボーナス・ディスクがタダで付いてくるのだから、⑥のおっちゃんではないがホンマに得した気分だ。
  

 あまり期待していなかった(←失礼!)CDの方もフタを開けてみれば私の予想を上回る出来で、トータル45分というのもちょうどいい長さだし、何よりも音質が素晴らしくて実に聴きやすい。確かにカメラA、B1、C、Dと(←ビタミンかよ...)全音源を収録するのも意義があることかもしれないが、少なくとも普通にルーフトップ・コンサートを良い音で楽しむのなら現時点ではこのLH盤がベストだと思う。
 尚、一連のゲットバック・セッションを題材にしたビートルズの新作映画が製作されるというニュースがルーフトップ・コンサート50周年記念日の1月30日に発表された。クイーンの大ヒット映画「ボヘミアン・ラプソディ」がラストのライヴ・エイドのシーンにクライマックスを設定して作られていたように、ビートルズの新作映画もラストのルーフトップ・セッションで大団円を迎えるという作りになるであろうことは容易に想像がつくが、ポールとジョージの口論とかヨーコの存在といったダーク・サイドの部分をどのように描くのかが大いに気になるところ。ただ、クイーンの二匹目のドジョウを狙って美談で塗り固めた安易なエンターテインメント作品にするのだけはやめてほしいと思う。
NEW Beatles "Let It Be" movie is NOT the project we expected!


【おまけ】1984年の4月14日深夜にテレビ放送された「レット・イット・ビー」で①の老紳士の字幕が “解散はつらいだろうが、あの4人には個性がある。” となっていたのだが、誤訳にも程がある...(>_<)  1969年1月30日時点でビートルズの解散を知っているとは、この爺さんは未来から来たタイムトラベラーか?