shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

レット・イット・ビー音頭 / 上々颱風

2021-06-27 | Beatles Tribute
 先日「日本極道戦争」というVシネマを見ていた時のこと、たまたま青森のねぶた祭りのシーンがあって、それを見ながら “そういえば長いこと祭りとか盆踊りとか行ってへんなぁ... ” などと考えていたら、突然頭の中で上々颱風の「レット・イット・ビー音頭」が鳴り出した。この手のことはしょっちゅうで、例えばパトカーのサイレンを聞いただけで「Mr. Moonlight」が、夕陽が沈むのを見れば「Fool On The Hill」が脳内再生されてしまう...(でしょ?)
 そういうワケで今回は祭りのイメージが「レット・イット・ビー音頭」(←正式名称は「Let It Be」だが、私の中では「レット・イット・ビー音頭」で定着しているwww)に繋がったわけだが、DVDを見終わった後もそのメロディーが頭から離れなかったので、結局CD棚を引っ掻き回してこの曲が入っている「The Exotic Beatles Part 3」を発掘。久々に、本当に久々にちゃーんと聴いたのだが(←このパターン結構多い気がする...)、やっぱりコレは笑撃のケッ作だ。
Let It Be・上々颱風Shang Shang Typhoon Live in '93


 上々颱風は1990年代から活動している日本のバンドで、ツイン女性ヴォーカルに民族音楽楽器を大きくフィーチャーした琉球色の濃いその無国籍ミュージックは実にユニーク。そんな彼らが1991年にリリースしたセカンド・アルバムでカヴァーしたのがビートルズの「Let It Be」だった。
 しかし邦楽の情報に疎かった私はそのカヴァーはおろか彼らの存在すら知らず、初めてこの傑作カヴァー・ヴァージョンを聴いたのはそれから十数年経ってからのこと。ちょうどビートルズのカヴァーを色々と集めまくっていた時にたまたま「From Us To You」や「The Exotic Beatles Part 3」といったコンピ盤で上々颱風によるカヴァーを聴いてめちゃくちゃ気に入ったというワケだ。
 このカヴァー・ヴァージョンの魅力は、ゴスペル色の強い原曲を換骨奪胎し、それに沖縄民謡風のアレンジを施して再構築してあるところで、それが見事にオリジナリティー溢れるエキゾチックなワールド・ミュージックとして屹立しているのが凄い。私見だが、同じビートルズ系 “音頭” の先輩格である金沢明子の「イエロー・サブマリン音頭」よりもカヴァー曲としての完成度は高いのではないか。特に “れでぃびぃ~... れでぃびぃ~...♪” のリフレインで大盛り上がりの後半部の気持ち良さは筆舌に尽くし難く、コブシを効かせながらこの曲を歌う快感がわかる日本人に生まれて良かったと思っている。原曲と同じピアノのイントロではなく、敢えてギター・ソロ前の間奏のフレーズから曲をスタートするという斬新なアレンジもニクイですな...
 それと、絶妙な意訳を施した歌詞も実に秀逸で、曲のイメージを崩さずに原曲のメッセージを上手く日本語にしてあるところが凄い。あの“When I find myself in times of trouble, Mother Mary comes to me...” という英詞を “いつでも神様が見つめているよ、だから泣かないで...” と訳すところなんか唸ってしまうし、“Speaking words of wisdom, let it be” のパートを“不思議なことば... れりび~♪” と大胆に訳してしまうセンスも素晴らしい。
 尚、この曲にはアルバム・ヴァージョンとシングル・ヴァージョン(通称“ニュー・ヴァージョン)があり、前者は「The Exotic Beatles Part 3」に、後者は「From Us To You」にそれぞれ収録されているのだが、原曲と同じくヴァージョン違いで楽しめるというのも嬉しい。私的にはアジアン・テイストに溢れレイド・バックしまくりのアルバム・ヴァージョンの方を聴くことが多い。
上々颱風 Let it be (アルバム・ヴァージョン)

上々颱風 Let it be (シングル・ヴァージョン)


 ということで心の広~いビートルズ・ファンに超オススメの上々颱風「レット・イット・ビー音頭」。昔のようにマスクを外してコロナを気にせずにこの曲で盆踊りを楽しめる日が一日でも早く来てほしいと思う今日この頃だ。

「(Just Like) Starting Over」トルコ盤プロモ12”シングル

2021-06-20 | John Lennon
 トルコ盤を買い始めてから約3ヶ月が経ったが、ジョン・レノンのソロ・アルバムには滅多にお目にかかれない。どのアルバムがリリースされているのかさえも正確には分からないのだが、とにかく市場に出てこないのだ。やっぱり辺境盤の蒐集は一筋縄ではいかんなぁ... などと考えながら持久戦を覚悟し始めていた時、Discogs に「Double Fantasy」のトルコ盤が出品された。私は “おぉ、ついにきたか...” と小躍りしながら即決。盤質VG++で$20だった。
 2週間後に届いたアルバムを早速チェック。ジャケットは“Contains the Hit Song: (Just Like) Starting Over”というシールを貼った原盤をカラーコピーした薄っぺらいもの。盤を見るとめっちゃデッドワックス部分が広くて、不思議に思いながらセンター・レーベルを確認したところ、真ん中上部にデカデカとYOKO ONOの文字が...(゜o゜)  え~っ、まさか中身違いでヨーコのレコードが入ってるんじゃあるまいな... と焦りながら裏面を見ると今度は JOHN LENNON と書いてある。 “おぉ、これってひょっとしてオリジナルの「Double Fantasy」を解体してジョンのトラックをA面に、不要なヨーコのトラックをB面に分けてくれてるんか??? さすがはトルコ、最高やん(^.^)” と一瞬喜んだ(←アホ)のも束の間、よくよく見るとA面が「Starting Over」でB面が「Kiss Kiss Kiss」となっている。これはつまり2トラックの12”シングルが中身違いで入っていたということだ。
 すぐに “ちゃんとした中身を送らんかい!” とセラーにメールをすると相手は“中身違いに気が付かなくてごめんなさい。代替品がないのですぐに返金します。レコードはそちらで処分して下さい。” と平謝り。Discogsセラーのレベルの低さに慣れっこになっている私はぬか喜びして損したという気持ちをグッと抑え、タダで稀少なトルコ盤プロモ12”シングルが手に入ったと前向きに考えることにした。
 そこでとりあえず手持ちのUS盤12”シングルとの聴き比べを敢行、マトもデッドワックスの幅も違うので当然音作りも違う。これは面白そうやな... と思った私はついでにインド盤(アルバム)とUK盤(7”シングル)をB-SELSへ持って行きSさんと一緒に聴き比べをすることにした。

 Sさん:今日はポールの誕生日なんで朝からずーっと「Band On The Run」を何回も聴いてたんですよ。やっぱりポールのレコード持ってこられたんですか?
 私:いや、持って来たのはジョンなんです...
 Sさん:えーっ、何でまた...
 私:最近手に入れたレコードはこれだけなもんで...
 Sさん:ポールの誕生日にジョン・レノンとは...(笑) で、レコードは何ですか?
 私:これです。(と言ってレコードを見せ、中身違い云々の経緯を説明する)
 Sさん:なるほど。このジャケなら確かに間違いますよ。(と言いながらレコードをかける)中々良いじゃないですか。
 私:いかにもトルコ盤、っていう感じの武骨な音でしょう。
 Sさん:ええ。じゃあ今度は同じ12インチのUS盤いきましょうか。
 私:トルコは独自カッティングでしたけど、このUS盤は音もかなり違うでしょ?
 Sさん:確かに。音圧もこっちの方が高いですし、いかにもプロモ盤っぽい音ですね。
 私:溝の幅もUS盤の方が広いです。
 Sさん:同じ33回転でも盤面を贅沢に使ってるせいか音の迫力が違います。
 私:でもトルコの方が聴き疲れしない音ですね。
 Sさん:じゃあ次、インドいってみましょか。
 私:音が小さいですね。
 Sさん:プロモ盤はどうしても音圧が高めなので聴き比べる時はこっちのヴォリュームを上げてやらんといけませんね。もう一度かけましょう。
 私:おぉ、かなり印象が変わりましたね。これはいい(^.^) US盤はちょっとシャープすぎて損してるかな。
 Sさん: 元々そういう音作りなんでしょう。インドは音量上げても全然うるさくないですね。
 私:3ヶ国それぞれ個性があって面白いですね。ついでにUKの7インチも聴きましょか。
 Sさん:ええ、いいですよ。
 私:う~ん、やっぱりこれが一番聴き慣れた音ですね。デフォルトというか...
 Sさん:ビートルズ関連の7インチでは確かこのレコードだけ基本的に全世界同一音質のはずです。ほら、ここを見て下さい。日本盤にも同じ刻印が入ってました。
 私:へぇ~、知らんかったです。勉強になりました。今日聴いた中ではどれが一番良かったですか?
 Sさん:インド盤です。ヴォリューム上げた時の音、凄く良かったです。
 私:私も同じです。ホンマにエエ音してましたね。
 Sさん:それにしてもトルコがわざわざ12インチのプロモ盤作ったということ自体が不思議です。一体何のためにこのプロモ盤を作ったんでしょうね? その意図が分からないです。わざわざ独自カッティングまでして...
 私:確かに。まぁ神秘の国トルコらしいじゃないですか(笑)
 Sさん:ハハハ...
 私:しかし「Starting Over」1曲でこれだけ盛り上がれるとは...
 Sさん:それもよりにもよってポールの誕生日に...
 私:すみませんねぇ、空気読まずに...(笑)
 Sさん:あっ、そうそう、例の映画「Get Back」が劇場公開せずに6時間モノのドキュメンタリーとして11月にディズニー・プラスで配信になるってニュース、聞きましたか?
 私:えぇ~っ(゜o゜)、ホンマですか???
 Sさん:コロナのせいで劇場公開しても集客が見込めへん可能性があるからディズニーが配信に切り替えるらしいって書いてあったんですよ。
 私:配信だけって何じゃいそれは!!! せやからディズニー嫌いやねん。スター・ウォーズもダメにしよったし、今度はビートルズまで...(怒)
 Sさん:もしも配信だけやったら全然盛り上がらないですよ。
 私:そんなもん、映画館の大画面と配信のショボい画面とでは月とスッポン以上の違いがありますやん。確かに6時間もあるのは嬉しいですけど、それはそれでディレクターズ・カット扱いにしてブルーレイのスーパーデラックス・エディションに入れてくれたらエエんですよ。そもそも配信なんて録画して好きな時に観ることもできひんし、画面が急に一時停止して観れんくなったりするし。せやからネット配信って大嫌いなんですよ。もうめっちゃショックですわ。ずーっと楽しみにしてたのに...
 Sさん:それに配信なんてファンしか観ないじゃないですか。
 私:そらそうですよ。もしホンマに映画なくなってしもうたら、あのクソネズミ会社は絶対に許さへん!!! ミッキーマウスの首を切り落として燃やしたりますわ。

ウルグアイの「赤盤」3種聴き比べ

2021-06-13 | The Beatles
 私が常日頃お世話になっているビートルズ専門店B-SELSが今週の木曜日、6月17日で開店3周年を迎えられる。初めてお店を訪れたのはちょうどポールの両国公演を間近に控えた2018年の秋だったが、その時はまさかこれほど親しくお付き合いさせていただくことになろうとは夢にも思わなかった。スタンパー1桁盤やら未知の各国盤など、このお店との出会いのおかげでその存在を知った超高音質盤も多い。店主のSさんにはいくら感謝しても足りないくらいだ。
 B-SELSで教えていただいた音の良い各国盤と言えば南ローデシア盤やトルコ盤が思い浮かぶが、手に入れた枚数で言えばウルグアイ盤が断トツに多い。ビートルズ本体やメンバーのソロだけでなくゼップやクイーンといった他のアーティストのアルバムも含めるとトータルで100枚近く買いまくったが、大雑把に言ってその3/4くらいが真空管を使った独自カッティングならではの高音質盤で、UKオリジナル盤とはまた違った濃厚な味わいの音が聴けて大満足! それもこれもレコードを買う時には先入観抜きで実際に音を聴いて購入を決めるというB-SELISM(?) のおかげである。
 私がウルグアイ盤に傾倒したきっかけは「McCartney Ⅱ」や「Band On The Run」といった一連のポールのソロ・アルバムだったが、私がSさんも呆れるくらいウルグアイ盤蒐集にのめり込んでいく決定打となったのが今日取り上げる「The Beatles 1962-1966」、つまりウルグアイの「赤盤」だった。「赤盤」と言えば私が初めて買ったビートルズのレコードであり、そういう意味で思い入れもハンパないのだが、そういった私的な事柄を超えた次元でウルグアイの「赤盤」の音は私を魅了した。
 「赤盤」マニアの私はこれまでインド、デンマーク、スウェーデン、ニュージーランド、イタリア、ベネズエラと様々な国の「赤盤」を買い集めて聴き比べてきたが、このウルグアイの「赤盤」はそれらの中でも頭一つ抜けていると言ってもいいくらい音が良い。具体的に言うと、真空管カッティングならではの中域の分厚い音が聴け、低音域は重低音よりもスピード感重視で切れ味抜群、音の抜けやバランスがとても良くて実に聴きやすいサウンドなのだ。又、他国の「赤盤」によくみられる “トラックごとの音質差” がほとんどないのも嬉しい。
 Discogsによるとウルグアイの「赤盤」には大きく分けて3種類のレーベル・デザインの盤が存在するようなのだが、結果的に私は3枚全部を入手できたので、今回はそれらの細かな違いについて購入順に書いていきたいと思う。
 まず最初に手に入れたのは1975年プレスの“Small Apple Logo”盤で、マトは機械打ちでそれぞれ YEX 905 / YEX 906、YEX 907 / YEX 908 となっており、なぜかSide-2の YEX 906 だけ消そうとした痕跡がある。盤の重量はディスク1が141gでディスク2が121gだ。音質的にはクリアーでクリスプ、スピード感溢れるサウンドが楽しめて文句ナシで、特に「Paperback Writer」の圧倒的なドライヴ感はUK盤をも凌ぐほど凄い。ウルグアイの「赤盤」を狙うならコスパ抜群のこのヴァージョンがオススメだ。尚、この“Small Apple Logo”レーベル盤には更にレーベル・デザインに2~3種類のマイナーなヴァリエーションがあるようだが、私は考古学的な視点からレコードを買っているわけではないのでさすがにそれらを全部集めようとは思わない。
 ということで本来なら最初に買った“Small Apple Logo”レーベル盤で大満足のはずだったのだが、残念なことにディスク2の盤質がイマイチだったこともあって、安くて盤質の良い盤に買い直そうと思って探していたところ、Discogsで他のウルグアイ盤を買おうとした時に偶然そのセラーが「赤盤」も出しているのを見つけ、$20という安さと送料アップ無しという好条件に負けて一緒に購入した。
 しかし届いた盤を見てみるとレーベルは私が意図した “Small Apple Logo” ではなく“Large Apple Logo”の盤だった。まぁDiscogsのセラーのレベルなんて所詮その程度のものと思っていたのでそれほど驚きはしなかったし、ウルグアイではなくアメリカのセラーだったこともあって盤はピッカピカ(^.^) マトを見ると“Small Apple Logo”盤とは違い、手書きで 05307-AR2 4-1-3/ 05307-BR2 4-1-1、05308-AR2 4-1-1-/ 05308-BR6 8-1-1 となっており、盤の重さはディスク1が147gでディスク2が144gだ。送り返すのも面倒くさいし、これはむしろカッティング違いの比較ができて面白いかもと思った私は早速聴き比べを開始した。
 一聴してわかったことは両者の音作りにはハッキリした違いがあるということ。具体的に言うと“Large Apple Logo”盤の方がより整然とした音がするのだが、ハチャメチャなエネルギー感(?)では “Small Apple Logo”盤の方一日の長があるのだ。もちろんこの“Large Apple Logo”盤単体で聴けば何の不満も感じないだろうしむしろ平均点を遥かに超える音質優良盤だとすら思うが、2種類を聴き比べてしまうとやはり “Small Apple Logo”盤の方に軍配を上げてしまう。これはあくまで個人の音の好みの問題だろう。とまぁこのように興味深い聴き比べも出来たことだし、ウルグアイの「赤盤」に関しては一応これで打ち止めにするつもりだった。
 しかし、それから1ヶ月ほど経って今度は eBayにウルグアイのプロモ白レーベル盤がドバーっと出品された。ウルグアイのプロモ盤ってどんな音がするんやろ?と興味を引かれた私は早速入念に出品リストのチェックを開始したのだが、その中にこの「赤盤」があり、しかも驚いたことに「APPLE RECORDS」という大文字活字体の盤(EX)と「Apple Records」という筆記体の盤(VG)の2種類の白レーベル「赤盤」が同時に出ていたのだ。自他共に認めるレコード・バカの私でもさすがに両方買う気にはなれなかったので、盤質表記の良かった大文字活字体盤の方を購入。同じタイトルの3枚目購入に $50はちょっと痛いが、白レーベル盤に対する好奇心が自制心を上回ってしまった。尚、後でわかったことだが、この白レーベル盤は通称 “Emergency Label” と呼ばれるもので、工場に通常の Apple Label が無かったため急遽作成したレーベルで少数出荷したものらしい。
 届いた盤を手に取ってみてまず驚いたのは盤の軽さで、ディスク1が106gでディスク2が121gと超軽量級。マトは“Small Apple Logo”盤と全く同じ機械打ちで、それぞれ YEX 905 / YEX 906、YEX 907 / YEX 908 となっており、Side-2の YEX 906 を消そうとした痕跡も同じだ。
 手に持った時の軽さから “薄っぺらい音がしたら嫌やなぁ...” と一抹の不安を感じながらレコードに針を落としたが、スピーカーから聞こえてきたのはそんな不安を吹き飛ばすような元気溌剌としたサウンドで、基本的には “Small Apple Logo”盤と同じと言っていい音作りだが、おそらくこちらの方がスタンパーが若いのか、そして溝の状態も抜群に良いのだろうが、よりクリアーでドライヴ感溢れるサウンドが楽しめた。何よりも音の芯がしっかりとしており、押し出し感がハンパないのがめちゃくちゃ嬉しい。ウルグアイの「赤盤」を3枚も買うバカは私ぐらいだと思うが、個人的にはこれは買って大正解だった(^o^)丿

「A Hard Day's Night」ステレオ 1G/1G盤

2021-06-07 | The Beatles
 私はビートルズUKオリジナル・マザー/スタンパー1Gの盤を求めて毎日ネットをチェックしているが、先日「A Hard Day's Night」ステレオの両面1G盤という凄いブツがeBayに出品された。最初期プレスを意味する 1G だけでも超レアなのに、それが両面ともとなるとこれは私のような1G信者コレクターにとってはスーパーウルトラ級の大事件。しかもそのレコードというのが片面1Gですら滅多に出てこない「A Hard Day's Night」なのだからこれはえらいこっちゃである。見つけたのはちょうど寝る前のルーティーン・チェックの時で、確か真夜中の3時を回っていたと思うが、“A Hard Day's Night 1G Stampers” というタイトルを見た瞬間に眠気が吹き飛び、思わず “おぉ!” と叫んでしまった(笑)
 上ずる気持ちを抑えながら値段を見ると£40だったが、驚いたのはそれがオークション・フォーマットのスタート価格ではなく BUY IT NOW、つまりセット・プライスでの販売だったこと。これはつまりこの激レア盤を約6,000円、送料込みでも8,000円ちょっとで、早い者勝ちで手に入れれるということを意味している。そんな甘い話があるわけない... 絶対に何かあるに違いない... と思いながら盤質表記を見ると案の定 Good、つまり G だったのだ。同じGでも1GのGは後光が差すほどありがたいが、盤質GのGは最低最悪(←もちろん Fair や Poor は論外...)がっかりのGなんである。
 あ~、やっぱりね... と思いながら説明文を読んでみると、“スリキズかなり多め。スピンドル・ホールを見てわかるようにかなり聴き込んだ盤。” とあり、更に聴感インプレッションとして “かなりシャープでクリアーなサウンド。盤全体を通してチリパチはあるが曲間ノイズがほとんど。針飛びは無し。” と書いてある。
 私は基本的に VG以下の盤は買わないことにしているが、「A Hard Day's Night」の両面1G盤などという超稀少盤に今後出会える確率なんて何百分の一あるかないかだろうし、今こうやって逡巡している間にも誰かに買われてしまうかもしれない。何せライバルは世界中にいるのである。迷っている時間の余裕などない。私はセラーの “Quite a sharp and clear sound” という言葉に賭けてみようと心に決め、BUY IT NOW ボタンをポチったのだった。
 届いた盤はセラーの言うように満身創痍状態だったが、致命的なキズは無さそうだ。私はドキドキしながらレコードをターンテーブルに乗せ、針を落とした。おぉ、全然イケるではないか。確かに無音部分ではチリパチいうが、音楽が始まってしまえばほとんど気にならないレベルで、私的にはGどころかVG+と言ってもいいくらいで十分合格点だ。音は密度が濃くパワフルそのもので、躍動感に溢れている。これが1Gの音なのか... いやマジでスゴイいわ...(≧▽≦)  私は小躍りしたくなるくらい嬉しくなり、この喜びをSさんと分かち合おうと早速このレコードをB-SELSへ持って行った。

 私:今日は久々に超大物を持って来ましたで。
 Sさん:「A Hard Day's Night」のステレオですね... (と言いながらスタンパーをチェック...)えっ、両面1G???
 私:はい。
 Sさん:(無言ながら満面の笑み...)
 私:その笑顔を見れただけで持って来た甲斐がありましたわ。
 Sさん:(A①「A Hard Day's Night」が始まるとニッコニコでサムズアップ... 曲が終わると大拍手... マスクから覗く目がいかにも嬉しそうだ。)
 私:喜んでいただけて良かったです。
 Sさん:このA②「I Should Have Known Better」、ハーモニカもギターも音に艶があって良いですね! 艶々してます(とニッコニコ)。
 私:煌びやかな「A Hard Day's Night」はこういう音で聴くに限りますね。
 Sさん:A④「I'm Happy Just To Dance With You」、音が濃厚ですね。
 私:そうそう...
 Sさん:音の背景が埋め尽くされてる感じです。
 私:このA⑥「Tell Me Why」はエグいです(笑) ジョンのヴォーカルは 1G効果テキメンですね。音像がデカくて圧力ハンパないです。
 Sさん:こういうアップテンポの曲は特に凄いです。
 私:圧倒されますね。
 Sさん:音が何て言うかステレオなんですけどあまり広がらずにモノラルみたいにカタマリで飛んでくるような感じです。
 私:B①「Any Time At All」、これヤバいですよ!
 Sさん:凄い迫力です。
 私:言葉を失うとはこういうのを言うんでしょうね。
 Sさん:B③「Things We Said Today」のギターがめっちゃ良い音ですね。ギラギラしてます。
 私:B⑥「I'll Be Back」のサウンドの厚みが凄い...
 Sさん:1G盤の凄いところは最内周に来てもパワーやクオリティーが落ちへんことですね。他のステレオ盤やったらこんな音出ぇへんと思いますよ。
 私:まぁ盤の見た目はアレですけど、幸いなことにほぼ曲間ノイズだけですんでますからね。
 Sさん:溝の状態が良いんでしょう。大当たりですね。
 私:はい、これ盤質G表記のおかげで1万円せぇへんかったですからね。ホンマにラッキーでしたわ(^o^)丿
 Sさん:探したら両面1Gってあるんですねぇ...
 私:買うかどうか一瞬迷ったんですけどね... 買って大正解でした。何かもう今年の運を全部使い果たしたような感じですわ(笑)