shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Lez ZeppelinⅠ

2013-03-30 | Led Zeppelin
 2回にわたってゼッパレラを大特集してきたが、その流れでいくと次は当然レズ・ゼッペリンだ。彼女達の2nd アルバムは「レズ・ゼッペリンⅠ」というタイトルが付けられており、“セカンドなのにワンとはこれいかに???” と言いたくなるが、ギタリスト兼バンド・リーダーのステフが下のインタビューで(5分8秒あたりから) “私達の2枚目のアルバムはゼップの原点、つまりファースト・アルバムに立ち返ろうと思ったの。それもオリジナルに限りなく忠実な形でね。だから彼らが当時使っていたのと同じヴィンテージ機材を使ってアナログ・レコーディングしたのよ。” と答えているように、何とゼップの1st アルバムを曲順から個々のソロに至るまで微に入り細にわたって完全再現しようという大胆不敵なコンセプトの下で制作されているのだ。
Lez Zeppelin - Interview and Live Concert


 ここで話は少し逸れるが、このアルバム・コンセプトの話を聞いた私は、PCM放送の「ジャズ道場破り」という番組で行われた日本チャーリーパーカー協会会長の辻バード氏とジャズ喫茶の名物オヤジである寺島靖国氏の対談を思い出した。辻バード氏が言うには、「ジャズという音楽形式はクラシック音楽がそうであるように一定のピークを越えてすでに歴史を終えている。今はその終わった形式を再現する芸術として残っている。前の人を乗り越えて新しい峰を作っていくという動きはもうない、つまり過去の偉大な人を超えようとしてももう越えられないということ。ただ、再現だからダメだというのではなく、その再現の仕方に無限の可能性があると思う。だから新人の矢野沙織に僕が期待するのは、パーカーの曲をパーカーと同じアドリブで、パーカーと同じ音色・リズム感で全く同じように吹くことなんです。」とのこと。(←この発言に対して感情的に反論する寺島氏との “かみ合わない論争” がもうめちゃくちゃ面白くって、私の音楽仲間内ではこの辻バードvs寺島論争の話題で盛り上がることが多い...)
 確かにジャズのCDはワケの分からない新譜よりも50年代モダンジャズの再発盤の方が遥かに売れているという現状を鑑みても辻バード氏の発言は的を得ているし、21世紀に入ってからのゼップを始めとする70~80年代の王道ロック、いわゆる “クラシック・ロック” というジャンルの盛り上がりを考えればロックもジャズ同様の状況にあると言えるのではないかと思う。つまり辻バード氏発言の “ジャズ” を “ロック” に、“パーカー” を “レッド・ゼッペリン” に、 “矢野沙織” を “ゼップのフォロワー達” にそれぞれ置き換えてみると、まさにこの「レズ・ゼッペリン1」というアルバムの存在意義が明確に浮かび上がってくるのだ。
 このアルバムがリリースされたのは2010年なのだが、当時はラモーンズや昭和歌謡で忙しかったし(笑)日本盤のダサいイラスト・ジャケを見てイマイチ食指が動かずにスルーしていた。しかし去年の春頃だったと思うが、USアマゾンでたまたま目にしたゼップ関連商品の中にこのアルバムのUS盤が紹介されており、ゼップの1stと同じく飛行船ビンデンブルグ号の爆発炎上写真を巧く使った意味深なジャケット(←初めて見た時はクソワロタ。コレに比べたら日本盤のジャケはホンマにセンス無いなぁ...)が気に入って今度は即買いを決めた。
 肝心の演奏内容の方は、今回ギタリストのステフ以外のメンバーを一新して臨んだというだけあってドラムスとベースのリズム隊が強化されており、彼女達のこのアルバムにかける意気込みが伝わってくるような見事な完コピぶりだ。逆に言えばもう一ひねり欲しいというか、彼女達なりの個性の主張があまり感じられず面白みに欠けると言えなくもないが、ヴォーカルがパーシーの金属的なハイトーンとは違って低くて太い女性の声なので、その点では新鮮な感覚で聴ける。聞くところによるとペイジ本人がレコーディングに立ち会ってサウンド・プロダクションに関してアドバイスしたとのことだが、何にしても先の “再現芸術” という観点から言えば文句なしに素晴らしい仕上がりである。
グッドタイムズバッドタイムズ

ハウメニーモアタイムズ


 ⑦「コミュニケイション・ブレイクダウン」は彼女達のデビュー・アルバムにも収録されていたので早速両方のヴァージョンを比較してみたのだが、1st の方がノリ一発で一気呵成に突っ走るという感じのラフでハードな演奏でライヴ感に溢れるダイナミックな音作りになっているのに対し、この2nd の方はよりオリジナルに忠実に再現することに重点が置かれており、1stに比べると幾分抑制が効いた音作りになっている。よくぞまぁここまで...と感心するのは2ndの方だが、破天荒なカッコ良さに魅かれて何度も聴きたくなるのは1stの方だ。又、前々回アップした同曲のゼッパレラ・ヴァージョンとの聴き比べも一興だろう。
Lez Zeppelin Communication Breakdown film by Dean Holtermann


 ゼップのトリビュート・バンドにとっての試金石ともいえる「幻惑されて」も必聴だ。丁寧に作り込んだスタジオ録音ヴァージョンとは言え、オリジナルの雰囲気をここまで見事に再現されるとそのマニアックなまでの拘り具合いに脱帽するしかない。この調子で「Ⅱ」「Ⅲ」「Ⅳ」...とゼップのオリジナルを順番に再現していってくれたらそれはそれで画期的というか、ある意味前人未到の偉業ではないかと思うので、ファンとしては是非とも実現してほしいものだ。尚、下に貼り付けたライヴ映像ではゼッパレラのグレッチェン・メンと同じように、ギタリストのステフがまるでペイジが憑依したかのような華麗な手さばきでお約束の “弓弾き” を披露(5分22秒~)している。
 メジャー・レーベルから2枚のCDを出し知名度でも先行するレズ・ゼッペリンとインディーズ所属ながら地道なライヴの積み重ねで猛烈に追い上げるゼッパレラ... №1ゼップ・トリビュート・レディース・バンドの座を巡る熱き女の戦い(?)が見ものである。
Lez Zeppelin - live Mannheim 2007 - b-light.TV production

A Pleasing Pounding / Zepparella

2013-03-26 | Led Zeppelin
 今日もゼッパレラ・ネタでいこう。彼女達のことをネットで色々調べてみたところ、バンドの創設メンバーはドラマーのクレメンタインとギタリストのグレッチェン・メンの二人で、彼女達はゼッパレラ結成前は AC/DC のレディース・トリビュート・バンドである AC/DShe (←このバンド名ワロタ...)で活動していたとのこと。クレメンタインがフィル・ラッドをパロッた “フィリス・ラッド”、グレッチェンがアンガス・ヤングをパロッた “アグネス・ヤング(笑)” を名乗ってブイブイいわしていたらしい。これ↓がその頃のライヴの様子だが、ギブソンSGを抱えスクールガール・ファッションに身を包んでアンガスになりきるグレッチェンの姿が拝める超お宝映像だ。
AC/DShe "United States" Whole Lotta Rosie.m4v


 そんな二人がゼッパレラを結成したのは2004年のことで、当初はヴォーカリストとベーシストを固定しない practice project として活動していたという。やがてヴォーカルのアンナ・クリスティーナ、ベースのニラ・ミネロクをパーマネント・メンバーに迎えて制作されたのが先述の2枚のライヴ CD というわけだ。私はこの第1期ゼッパレラのラインナップこそがベストだと思っているが、残念ながらアンナとニラは他のプロジェクトに参加するために2010年末にバンドを離れており、現在のメンバーはヴォーカルがノエル・ドーティ(←声質がロックよりもポップス向きやと思う...)、ベースはアンジェリン・サリス(←顎のラインがジョーンジーに似てるかも?)だ。
 前回書いたように彼女達の1st アルバム「Live at 19 Broadway」は首尾よく手に入れることが出来たのだが、2nd アルバム「A Pleasing Pounding」の方は残念ながらアマゾンの日・米・英のどこを見ても鬼のようなプレミア価格になっていて全く手が出ない。MP3ダウンロードは大嫌いだし(←ありがたく試聴だけはさしてもらいました...)伝家の宝刀 eBay にも出ていない。最後の手段として世界中のレコード店やコレクターが出品しているグローバル・オンライン・マーケットをいくつか当たってみると、ラッキーなことに GEMM というサイトに「Pleasing Pounding」が1枚だけ出ていた。それも $12.50 という良心的なお値段でだ。わかる人にはわかると思うが、このようにあの手この手を使いながら入手困難盤を安く手に入れることが貧乏コレクターのささやかな喜びなのだ(←後になって知ったのだが、これらのCDは彼女達のHPで$20で買えるようだ...)。
 届いたCDはデジパックになっており、What Are Records? というこれまた聞いたことのないインディーズのレコード会社名が記されている。手作り感漂うメディア(←今回はちゃんとした銀色で正規プレス盤ぽいけど...)といい、レーベル面外周の “Led Zeppelin Forever” といい、作りは「Live at 19 Broadway」と同じである。中身の方は2007年9月7日のレッド・デビル・ラウンジ(サンフランシスコにある有名なライブハウス)におけるライヴ・レコーディング。オープニングの①「移民の歌」は唯一前作とかぶっている曲だが、2年の月日が経っているだけあって、同じ曲なのにこちらの方が遥かに演奏の出来が良い。
 デビュー・アルバムと比較して感じたことは、バンドとしての演奏力の向上だけではない。良い意味で選曲が渋いのだ。「コミュニケイション・ブレイクダウン」「胸いっぱいの愛を」「ハートブレイカー」「移民の歌」「ブラック・ドッグ」「ロックンロール」といった初期の代表的なナンバーが中心だった前作とは違い、このアルバムでは中期の作品が多く選ばれており、さながら “裏ベスト” 的な様相を呈しているのだ。中でも全9曲中の約半分にあたる4曲がアルバム「フィジカル・グラフィティ」から選ばれているところに注目したい。何よりも嬉しかったのは彼女達が②「シック・アゲイン」や⑤「カスタード・パイ」といった私の愛聴曲を演っていること。特に大好きな②ではオトコ顔負けの骨太な演奏を聴かせてくれており、彼女達を単なるレディースのコピバンと侮っていると驚倒すること間違いなしだ。
Sick Again - Zepparella

Zepparella - Led Zeppelin's - Custard Pie - On Stage In Tahoe -


 10分を超える⑦「イン・マイ・タイム・オブ・ダイング」も大熱演だ。この曲ってゼップの中でもカヴァー難易度がかなり高い “体育会系” のナンバーだと思うのだが、このグルーヴ感溢れる演奏を聴けば彼女達がいかに気合いの入ったコピーバンドか分かるだろう。「フィジカル・グラフィティ」以外のナンバーでは⑨「ジ・オーシャン~ブリング・イット・オン・ホーム」が出色の出来。うねる様なグルーヴを生み出すことによってゼップ独特のあの空気感を上手く再現しているのだ。セクシーな美女4人組が見かけとは裏腹に野太いサウンドでゼップを豪快にカヴァーする... 何ともまぁ痛快ではないか! このノリであの難曲中の難曲「アキレス・ラスト・スタンド」を始めとして本家が「祭典の日」ライヴで取り上げなかった曲なんかもゼッパレラ流の解釈でどんどんカヴァーして聴かせてくれたら最高だろう。ゼップのDNAをしっかりと受け継いだアマゾネスの飛行船ゼッパレラ号の今後が大いに楽しみだ。
Zepparella - In My Time of Dying (Rockfest, September 8, 2012)

ZEPPARELLA performing - "BRING IT ON HOME" at the NUGGET in Sparks Nevada, Lake Tahoe Music

Live At 19 Broadway / Zepparella

2013-03-22 | Led Zeppelin
 「祭典の日」DVDが届いて来る日も来る日もゼップ漬けだった去年の暮れに YouTube でゼップ関連の映像を色々チェックしていた時のこと、たまたま関連動画の中に女性ヴォーカリストがマイクを握りしめて写っているものがあった。興味を引かれてクリックすると、白い衣装を身に纏ったレディース・バンドがゼップの「ホェン・ザ・レヴィー・ブレイクス」を演奏しており、これがもうめちゃくちゃカッコ良くて私は画面にくぎづけになってしまった。まずはコレ↓を見てほしい。
Led Zeppelin When The Levee Breaks by Zepparella


 彼女達のバンド名は “ゼッパレラ”、コピーが難しいと言われるゼップ独特のグルーヴを絶妙なタイム感覚でもってセクシーな美女4人組がものの見事に再現しているのだから驚くなと言う方が無理というものだ。威風堂々といった感じでゼップの難曲を楽々と歌いこなすヴォーカリストはブルースハープを吹く姿も中々様になっているし、ペイジばりにスライド・バーを上下させるギタリストはめっちゃ美人で色っぽい。ハッキリ言って私の好みのタイプだ(^.^) ちょっと地味なベーシストは寡黙な仕事人と言った感じでその佇まいはジョーンジーを彷彿とさせるののがある(笑) そして最もインパクトが強かったのがドラムのネーチャンで、髪を振り乱し(←闇姫の “忍法髪あらし” かよ...)小さな身体全体を躍動させながらまるでボンゾが憑依したかのような爆裂ドラミングを聴かせてくれるのだ。カメラワークも文句なしの素晴らしさでバンドのカッコ良さを見事に捉えており、最近見た中で最も衝撃的で印象に残るビデオクリップだ。
 これはエエもん見つけたわいと大コーフンしながら YouTube で彼女達の動画を片っ端から検索して見つけたのがこの「幻惑されて」だ。あれ?ヴォーカリストが違う人だ... こっちの方が新しいみたいなのでメンバーチェンジがあったんだろうか? だとしたら残念だ(>_<) 声質がゼップの曲にイマイチ合ってないし、醸し出すグルーヴ感も上記の「レヴィー・ブレイクス」のヴォーカリストとは雲泥の差があるからだ。ベーシストも「レヴィー...」とは別人だ。コピバンにも人事異動はつきものなのか。しかしそのハンデを補わんと八面六臂の活躍を見せているのが例の美人ギタリストで、何と本物ばりに弓弾きを披露(4分29秒~)、一転してアップテンポで駆け抜ける後半部(7分50秒~)でも鎖を解き放たれた犬のように奮然と疾走を開始する。美人で色っぽくてカッコイイ... これ以上何を望めばいいのだろう? ドラムのネーチャンは相変わらずの全身全霊プレイでバンドを猛プッシュ... 特に9分22秒あたりからのドラミングには鬼気迫るモノがある。ゼッパレラを支えているのは間違いなくこの二人だと確信した。
Zepparella Dazed and Confused


 すっかり彼女達に魅せられた私は早速アマゾンでCDをチェック、「Live At 19 Broadway」と「A Pleasing Pounding」という2枚のアルバムが出ているようなのだが、何とこれが2枚とも1万円を超えるニンピニン・プレミア価格(>_<)  CD1枚に1万円以上出すアホがおるんかいな? “CDは安く買ってナンボ” が信条の私は日本がダメならアメリカがあるわいと USアマゾンで検索、こちらも日本ほどではないが$50以上とか結構なお値段のものが多い。そんな中、「Live at 19 Broadway」の方に1枚だけ$16の盤を発見して即ゲット(^o^)丿 いやぁ、ネットってホンマにありがたいわ。
 届いたのは BonnyBoy Records という聞いたことも無い名前のインディーズ盤で、メディアも一見 CD-R と見間違えそうな自主制作盤っぽいものだ。レーベル面の外周には Led Zeppelin Forever と書かれており、このあたりにも彼女達のゼップ愛が感じられる。内容は2005年10月28日にサンフランシスコ近郊にあるフェアファックスという町のナイトクラブ、19 Broadway で行われたライヴをレコーディングしたもので、パーフェクトなコピーを目指したスタジオ録音の「レヴィー・ブレイクス」や「幻惑されて」とは違い、ノリ一発といった感じで突っ走るラフでアグレッシヴな演奏が楽しめる。オトコ顔負けの強烈なエネルギーの奔流が圧巻だ。以前このブログで取り上げた「レズ・ゼッペリン」もそうだが、アメリカの女性ロッカーってホンマにゼップが好きやなぁ...
Zepparella, Communication Breakdown, May 2010

Zepparella Lemon Song
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Cinnamon Ⅱ

2013-03-18 | Led Zeppelin
 ゼップ・カヴァー曲特集も一段落したので、今度はコピバン特集でいこう。ゼップぐらいの大物になるとコピー・バンドは世界中にゴマンといるだろうが、CDを出せるほどの人気・知名度を誇るバンドはそうそういない。そんな数少ない精鋭バンドの中でも私が特に気に入っているのが名古屋のエレクトリック・レディ・ランドというライヴハウスを拠点に活動しているシナモンである。
 彼らは1972年のゼップ2度目の来日公演をきっかけに “究極のゼップ・ライヴ再現バンド” を目指して結成され、かれこれ40年以上も活動している筋金入りのコピバンなのだが、何と言っても凄いのがそのマニアックなまでの拘りようだ。本家ゼップと同じ楽器・機材を使い、膨大な数のブートレッグを徹底的に聴き込んで分析・研究し、 “○年○月○日のどこそこでのライヴ・ヴァージョンで...” という感じでMCから細かいミストーンまで完全に再現しているのだから本当に恐れ入る。ここまでくるともう単なる “コピー” というよりも “芸” の域だと思うのだが、とにかく “真のゼップ・オタク” の名に恥じない気合いの入りようで、有象無象のコピバンとは激しく一線を画する存在なのだ。因みに彼らはこれまで何度もアメリカでライヴを行っており、イギリスのブートレッグ・ビートルズとのカップリング・ツアー(←想像しただけで笑えてくる...)は大ウケだったらしい。
CINNAMON - Rock And Roll @Electric Lady Land 名古屋 2009/12/12


 そういえば20年ぐらい前だったか、関西テレビで深夜にゼップの名を冠した番組をやっていて、動物園のライオンや池の魚に無理やりゼップを聴かせたり(←ラジカセを水中に沈めてた...)、ミナミの街頭でゼップのCD販促活動をやったり、食いだおれの人形をジミー・ペイジに変身させたりと、いかにも関西ローカルらしいおバカな企画満載で大笑いした記憶があるのだが、そんなカルトな番組の中でゼップの “奏法講座” みたいなコーナーを担当していたのがこのシナモンだった。確か前ドラマーのボンゾウさん(笑)だったと思うが、 “ゼップを歌う時はとりあえず「マママママ...」とか「プッシュ! プッシュ!」とかのフレーズを入れとけばそれらしく聞こえる” という趣旨のことを仰ってたのを聞いて “なるほどなぁ...” と大いに納得した記憶がある。
 コピー・バンドというのはあくまでもオリジナル・アーティストの “音” を忠実に再現することによってファンの心の隙間を埋めるためにのみ存在しているのであって、極論すれば “コピバン聴くぐらいなら本物聴くわ...” ということになる。だからたとえ地方のライヴハウスなどではそれなりにウケていても実際に CD を出せるようなケースは非常に稀だと思うのだが、シナモンは私の知る限りこれまでに6枚ものCDをリリースしている。1st がクリソツ・オリジナル、2nd と3rd がゼップ・メドレー、4thから6thまでがライヴ盤という内容で、中でも一番よく聴くのが抱腹絶倒のゼップ・メドレーが楽しめる 2nd アルバムだ。
 このCDはゼップの4枚目に倣ったのかジャケットにバンド名もタイトルも記されておらず、本家をもじった4つのシンボル(蛇、魚、バナナ、水鳥?)が描かれている。内容は約28分間にわたる怒涛のゼップ・メドレーで、サントラ盤を意識したのか(?)アタマにわざわざオーディエンスの歓声をかぶせた「ロックンロール」や間奏部で「バトル・オブ・エヴァーモア」や「ノーバディーズ・フォルト・バット・マイン」「イン・ジ・イヴニング」「ケラウズランブラ」といったゼップ曲のフラグメンツが次々と現れる「胸いっぱいの愛を」など細部に至るまで実にマニアックに作り込まれており、ゼップ・ファンなら思わずニヤリとさせられること間違いなし。曲目は以下の通りだ;
 Rock And Roll
 Living Loving Maid
 Communication Breakdown
 Whole Lotta Love
 Rock And Roll
 Out On The Tiles
 Black Dog
 Kashmir
 The Rain Song
 All My Love
 Tangerine
 The Song Remains The Same
 Rock And Roll
 The Song Remains The Same
 The Rover
 Sick Again
 Trampled Underfoot
 The Wanton Song
 Dancing Days
 Misty Mountain Hop
 Since I've Been Loving You
 I Can't Quit You Baby
 Dazed And Confused
 Communication Breakdown
 Good Times Bad Times
 Nobody's Fault But Mine
 The Ocean
 Moby Dick
 Heartbreaker
 Living Loving Maid
 Rock And Roll
 Stairway To Heaven
これら32曲が卓越したテクニックと絶妙な音楽的センスで何の違和感も感じさせることなく繋げられているのだから凄いと言う他ない。まさにゼップの曲を知り抜いた彼らだからこそ出来た珠玉のメドレーであり、ちょうど「スターズ・オン45」や「フックト・オン・クラシックス」のようなノリでゼップの名曲群を気軽に楽しめるというゼップ・ファンにはたまらない1枚なのだ。
シナモン


【おまけ】Jimmy SAKURAI氏率いるこの↓MR.JIMMY というバンドもかなり凄いです。是非生で見てみたいなぁ...
MR.JIMMY live@CROCODILE
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「ロックンロール」カヴァー特集② ~隠れ名演編~

2013-03-14 | Led Zeppelin
 「ロックンロール」カヴァー特集パート2は、名演にもかかわらず様々な理由で意外と見落とされがちな “隠れ名演編” でいってみます。

①Jerry Lee Lewis
 これはジェリー・リー・ルイスが2006年にリリースした「ラスト・マン・スタンディング」というアルバムの冒頭を飾っていたトラックで、50年代に活躍した御大ジェリー・リーがゼップの「ロックンロール」をカヴァーするだけで凄いことなのに、何と本家のジミー・ペイジがギターで共演しているというのだからこれはもう感涙モノ(≧▽≦) 大胆不敵なロカビリー・アレンジによってゼップのオリジナルが原形をとどめないぐらいデフォルメされており、まるで「ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイン・オン」に「ロックンロール」の歌詞を乗せた替え歌みたいに思えるぐらいジェリー・リー色に染め上げられているのだが、コレはコレで大いにアリやなぁと思えるユニークなカヴァーになっている。とても71歳とは信じられないぐらいガンガンとピアノを連打しながら全盛期と変わらない元気な歌声を聴かせるジェリー・リーは老いてますます盛んという感じだし、偉大なる先輩を立てながら嬉々としてノリノリのソロを聴かせるペイジのプレイも素晴らしい。例えるならファン・マヌエル・ファンジオがターボもアクティヴサスも知ったこっちゃないと言わんばかりにマクラーレン・ホンダやウイリアムズ・ルノーを豪快にスライドさせながらセナやマンセルとバトルを楽しんでいる、といった按配だ。それにしてもジェリー・リーに last man standing(周りがバタバタと倒れていく中、最後まで生き残った最強の男)とは付けも付けたりといえる名タイトルだ。
Jerry Lee Lewis "Rock 'n' Roll" #featuring Jimmy Page on guitar#


②Van Halen
 1986年にヴォーカルがデイヴ・リー・ロスからサミー・ヘイガーに交代してリリースしたアルバム「5150」が初の全米№1に輝き、ノリにノッていた新生ヴァン・ヘイレンのニュー・ヘイヴン公演の模様を収録したDVD「ライヴ・ウィズアウト・ア・ネット」のラストで演奏されていたのがこの「ロックンロール」だ。ゼップ屈指のハイスピード・チューンをエディー・ヴァン・ヘイレンの超絶ライトハンド奏法で聴ける幸せを何と表現しよう? そういえば彼らがあの衝撃的なデビュー・アルバムを引っさげてロック・シーンに登場した時、音楽誌では “80年代のツェッペリン” という形容詞が頻繁に使われていたし、サミーとエディーが初めて共演した「ファーム・エイド」でもこの曲が演奏されていたっけ。まぁそれはそれとして、単なる音符の羅列の速射砲に過ぎない有象無象の速弾きギタリスト連中とエディーとの決定的な違いはその歌心溢れるプレイにあり、バカッ速くてしかもメロディアスというところが天才と呼ばれる所以だろう。とにかくドライヴ感抜群のエディーのプレイで聴く「ロックンロール」は筆舌に尽くしがたい素晴らしさだ。又、地元の地名に引っ掛けて “ニュー・ヘイレン!” を連呼するサミーは早くも完全にバンドに溶け込んでおり、将来ケンカ別れすることになるとはとても思えないぐらいの一体感を感じさせるパフォーマンスで楽しませてくれる。アメリカン・ハードの王道ここにあり!と啖呵の一つも切りたくなるようなカッコイイ「ロックンロール」だ。
Van Halen-Rock and Roll (Live Without A Net-1986)


③Double Trouble
 故スティーヴィー・レイ・ヴォーンのバック・バンドを務めていたダブル・トラブルが2001年に様々なゲスト・ミュージシャンを迎えてリリースしたアルバム「ビーン・ア・ロング・タイム」に入っていたのが何とゼップの「ロックンロール」だった。盤石のリズム・セクションに加えてスーザン・テデスキの伸びのある姐さんヴォーカルとレイ・ヴォーンの直系フォロワー、ケニー・ウェイン・シェパードの火の出るような熱いギターをフィーチャーしてバリバリにカッコ良いカヴァーに仕上げている。特にケニーの骨太ギター・サウンドはまるで墓場からレイ・ヴォーンが蘇えってきたかのようで、SRVの大ファンの私としては涙ちょちょぎれるヴァージョンなのだ。
Double Trouble (ft. Susan Tedeschi) Rock And Roll


④Gotthard
 「移民の歌」の時にも取り上げた90年代で唯一のお気に入りバンド、ゴットハードが1994年にリリースしたセカンド・アルバム「ダイアル・ハード」にボートラとして収録されていたのがコレ。基本的には原曲に忠実なアレンジなのだが、その豪快でガッツ漲るノリノリ&キレキレの演奏はスリルとスピード感に溢れ、ロック不毛の90年代という時代にあって鮮烈な輝きを放っている。曲のアタマとラストに「ブラック・ドッグ」のフレーズを挿入するニクい演出はまさに技アリ!といった感じで、ゼップへの愛情が感じられる素晴らしいカヴァーになっている。「移民」といいこの曲といい、初期ゼップの曲を楽々と歌えるスティーヴ・リーのロック・ヴォーカリストとしてのポテンシャルの高さは特筆モノだ。
Gotthard - Rock & Roll (Led Zeppelin Cover)


⑤Skid Row, Scorpions, Cinderella featuring Jason Bonham
 1989年8月12、13日の2日間にわたってモスクワのレーニン・スタジアムにボンジョヴィ、モトリークルー、オジーオズボーン、スコーピオンズ、シンデレラ、スキッドロウといった錚々たる顔ぶれを集めて行われたモスクワ・ミュージック・ピース・フェスティヴァルにおいて、両日ともに最後のシメとして若き日のジェイソン・ボーナムをスペシャル・ゲストに迎えてオールスター・ジャム・セッションで演奏されたのがこの「ロックンロール」だ。モトリーのヴィンスとスキッド・ロウのバズの2人がフロントを務めている方が初日、バズとスコーピオンズのクラウスというツートップにシンデレラのトム・キーファーが絡んでいく方が2日目(←マネジメントとのトラブルからモトリーはこの日のジャムには不参加)の映像で、伸びのあるハイトーン・ヴォイスで大活躍のバズにヤクザなヴォーカルで対抗するヴィンス、そして圧倒的な声量を誇るクラウスと、ハードロック・ファンにとっては見所満載のセッションなのだが、私的には “男性版ジャニス・ジョップリン” こと、トム・キーファーのソウルフルなヴォーカルに心揺さぶられる。それにしてもこんな凄いメンツ、よう集めたなぁ...
Sebastian Bach and Motley Crue - Rock N' Roll #Live in Moscow, Russia, 12.08.1989# -

Sebastian Bach and Scorpions - Rock N' Roll #Live in Moscow, Russia, 13.08.1989# -


【おまけ】久々の素人さんシリーズですが、とても5歳児とは思えない豪快なドラミングに驚かされます(゜o゜)
Rock and Roll (Led Zeppelin) Ethan 5 years old

「ロックンロール」カヴァー特集① ~女性ヴォーカル編~

2013-03-10 | Led Zeppelin
 ゼップのカヴァー特集第5弾はハードロック史に燦然と輝く不朽の名曲「ロックンロール」、まずはパート1として女性ヴォーカル編からいってみます。

①Sheryl Crow
 2003年に彼女の故郷であるオハイオ州デイトンで行われたライヴの模様を収めたDVD「カモン・アメリカ2003」のラストを飾っていたナンバーがこの「ロックンロール」だ。シェリル・クロウというと1993年のデビュー・アルバム「チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ」しか持っておらず、ヒット・シングルの「オール・アイ・ウォナ・ドゥー」に代表されるリラクセイションに満ちたグルーヴィーなサウンドというイメージが強かったので、YouTubeで「ロックンロール」のカヴァーを探していてコレを見つけた時は “あのシェリル・クロウがゼップをカヴァーしてるんか?” と狐につままれたような感じだったが、実際に映像を見てみるとコレがもう我が目を疑うくらいの圧倒的なパフォーマンスでビックリ... USAな衣装を身に纏い、裸足でグランドピアノの上に飛び乗って身体をくねらせながらオーディエンスを煽りまくる姿がめちゃくちゃカッコ良く、ロックに不可欠なエネルギーとスピード感がビンビン伝わってくる。とにかく熱いのだ。ゼップ・ファンならギタリストを左右対称に映し出す粋な映像処理にもニヤリとさせられるだろう。
Sheryl Crow " Rock And Roll " #High Quality#


②Stevie Nicks
 シェリル・クロウのゼップ・カヴァーにもビックリしたが、ある意味それ以上に衝撃的だったのがフリートウッド・マックの “妖精” スティーヴィー・ニックスが歌う「ロックンロール」だ。この曲が入っている彼女のオールタイム・ベスト盤「クリスタル・ヴィジョンズ」に付いていた彼女のライナーノーツには、ゼップは彼女のカレッジ時代からの超お気に入りロック・バンドだったこと、ずっとこの曲をレコーディングしたかったが周りから “絶対に無理” と言われて余計にこの曲を歌いたいと思うようになったこと、2006年のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルでシックのナイル・ロジャースとこの曲を演ってステージ袖で聴いていたロバート・プラントに褒められたのが生涯最高の想い出の一つになったことなど、興味深いエピソードがが綴られている。下に貼り付けたのは2007年のライヴ映像だが、ややぽっちゃり体型になったもののドスの効いたべらんめぇヴォーカルは相変わらず健在で、その溌剌とした歌いっぷりはとても還暦目前(!)とは思えないくらいエネルギーに満ち溢れている。
Stevie Nicks - Rock and Roll


③Heart
 ゼップのカヴァー特集で最多出場を誇るハートだが、私が初めて聴いたハートのゼップ・カヴァーが「グレイテスト・ヒッツ・ライヴ」に入っていたこの「ロックンロール」だった。アルバム収録ヴァージョンは1980年のシアトルでのライヴの時のもので、まだ巨大化してヒグマみたいな体型になる前の、若かりし頃のアン・ウィルソンの突き抜けるようなハイトーン・ヴォイスが炸裂! まさに怖いモノ無しといった感じで疾走するウィルソン姉妹の姿は理屈抜きのカッコ良さに溢れている。尚、このアルバムにはもう1曲、ビートルズの「アイム・ダウン~ロング・トール・サリー」のメドレーがライヴ・ヴァージョンで収められており、そちらもハートの魅力満載の素晴らしいカヴァーに仕上がっている。
Heart Rock'n Roll 1982

Heart - I'm Down/ Long Tall Sally (Live)


④SHOW-YA
 アンとナンシーのウィルソン姉妹率いるハートがアメリカの “女版ゼップ” なら、日本のカウンターパートはこの SHOW-YA だろう。ライヴのオープニングSEに「移民の歌」を好んで使っていることからも分かるように、彼女達はゼップの遺伝子を受け継ぐ正統派ガールズ・ロック・バンドだ。ロスのロキシー・シアターでのライヴの模様を収めた「ディスタンス・オン・ゼア・ウェイ -1990 イン LA-」という DVD に入っているこの曲でもパンチの効いた寺田恵子のヴォーカルが楽しめて言うことナシ(^.^)  バンドが一体となって全力で突っ走る様は痛快そのものだ。
SHOW-YA ROCK'N ROLL


⑤Lita Ford
 これは“70年代ロックを80年代ロック・ミュージシャンによって90年代に蘇らせよう” というコンセプトの下、80年代にホワイト・スネイクやキングダム・カムといった “歌モノ・ハードロック” のプロデューサーとして名を馳せたキース・オルセンが中心となって作り上げた日本企画によるゼップ・トリビュート盤「ステアウェイ・トゥ・ヘヴン」(1997)に入っていたもので、元ランナウェイズのギタリスト、リタ・フォードがオリジナルに忠実なアレンジで活きの良いヴォーカルを聴かせてくれる。ドラムの音が少々軽いのが玉にキズだが、リタとティム・ピアースのツイン・ギターは聴き応え十分だ。
Lita Ford - Rock and Roll (Led Zeppelin cover)

Rock And Roll / 桃姫BAND

2013-03-06 | Led Zeppelin
 少し前のことになるが、YouTubeでパープルの「ハイウェイ・スター」のカヴァーを色々探していた時に偶然見つけた “Momohime BAND” というのがめっちゃ気に入り、 “桃姫バンドっていかにもインディーズっぽいバンド名やけど、聞いたことないなぁ...” と思いながらネットで調べてみてビックリ... 何とあの尾崎亜美の覆面バンドではないか! しかも元ミカ・バンドの小原礼を始めとして錚々たる顔ぶれのミュージシャンたちを従えて60~70年代の洋楽ロックの名曲をカヴァーしているのだからこれはエライコッチャである。
 尾崎亜美といえば私がまだ中学生の頃に資生堂のCM(←小林麻美、タマランなぁ...)で流行った「マイ・ピュア・レディー」が大好きで、当時買ったLPは今でも大切に持っている。あの頃は確か “ポスト・ユーミン的な女性シンガー” という位置付けだったように思うが、このライト感覚のポップな歌謡ボッサを聴けばとてもじゃないが彼女がパープルやゼップを歌う姿なんて想像すら出来ないだろう。
資生堂 マイピュアレディ 高画質


 しかしそんな彼女がそれから約15年経った1992年に全曲洋楽ロックのカヴァーというアルバム「初陣」を制作、そしてそのラストを飾っていたのが何とゼップの⑨「ロックンロール」だったのだ。ボンゾがリトル・リチャードの「キープ・ア・ノッキン」にインスパイアされて出来たという例のドラムのイントロ部分はちょっとアレだが、唸りを上げるギターをバックに “これがあの尾崎亜美なのか?” と驚くぐらいワイルドでカッコ良いヴォーカルを聴かせてくれる亜美タンに驚愕させられる。いや、これホンマに凄いです(≧▽≦)
Rock And Roll

こちら↓はTV番組で小原礼&奥田民生と共演した時の貴重な映像。和服姿でゼップを歌うか...(^.^)
Led Zeppelin - Rock and Roll Vocal,Ami Ozaki Bass,Ray Ohara Guitar,Tamio Okuda


 このアルバムを知るきっかけとなった③「ハイウェイ・スター」のカヴァーもめちゃくちゃカッコイイ(^o^)丿 ジョン・ロードを想わせるイントロのオルガン・パートからもう一気にアクセル全開という感じで高いテンションを保ちながら一気呵成に突っ走る。彼女の歌声はとにかく迫力満点で、あのジャニス・ジョップリンを彷彿とさせるバリバリのロック・ヴォーカルだ。しかもただシャウトするだけでなく豊かな表現力で原曲の魅力を巧く引き出しているところが素晴らしい。
Momohime BAND - Highway Star


 ステッペン・ウルフの②「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」はファンキーなアレンジが実に新鮮でエエ感じ。後半部では小原礼との夫婦デュエットも聴けるという至れり尽くせりのナンバーだ。ジェファソン・エアプレインの⑤「サムバディ・トゥ・ラヴ」やドナ・サマーの⑦「ホット・スタッフ」でも変幻自在といった感じでグルーヴィーなヴォーカルが炸裂、尾崎亜美のシンガーとしての魅力ここに極まれり、と言いたくなるようなキラー・チューンが満載だ。
 この前取り上げた大橋純子盤もそうだが、大好きな70's洋楽ロックのカヴァー・ヴァージョン探しを通して1枚また1枚と愛聴盤が増えていくのがとにかく楽しい。洋邦問わず、ワケのわからん音楽だらけの新譜を聴こうという気はサラサラないが、古い音源の中からこういう素敵な盤との出会いがあるからまだまだ音楽ファンはやめられませんな...(^.^)
Born To Be Wild

Somebody To Love

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「移民の歌」カヴァー特集

2013-03-03 | Led Zeppelin
 3月になってもゼップ祭りはまだまだ続きまっせー(笑) ということで「天国への階段」「カシミール」「ブラック・ドッグ」に続くカヴァー特集第4弾は「移民の歌」です。

①Karen O
 これは先日 moondreams さんに教えていただいた映画「ドラゴン・タトゥーの女」のオープニングを飾っていたカレンOが歌う「移民の歌」カヴァーだ。私は任侠モノ以外の映画にはからきし疎くその存在すら全く知らなかったのだが、YouTube で初めて聴いてめちゃくちゃ気に入ったので早速このブログで取り上げることにした。moondreams さん、ありがとうございます!
 この曲のキモは一気呵成に突っ走るその圧倒的なスピード感に尽きると思うのだが、カレンOのこのカヴァーは卓越した映像処理との相乗効果もあって観る者の目を画面に釘付けにすること間違いなしで、この曲を使ったティーザー予告編も映画のオープニング・タイトルもそれ自体で完結したミュージック・ビデオとして十分通用する逸品に仕上がっているところが凄い。ただ、トレント・レズナー&アティカス・ロス名義の3枚組サントラ盤はこの「移民の歌」以外のトラックはいかにもサントラといった感じの全くワケの分からん代物ばかりなので、ロック・ファンはこの曲のみをmp3でダウンロードするだけで十分だと思う。
『ドラゴン・タトゥーの女』予告編

The Girl with the Dragon Tattoo - Immigrant Song (Title Sequence) [HQ]


②Gotthard
 私は好き嫌いが非常にハッキリしていて、陰々滅々とした90年代ロックを “聴くに値しないもの” として蛇蝎の如く嫌っているのだが、ゼップの「移民の歌」カヴァー繋がりで出会ったこのゴットハードというスイスのハードロック・バンドは例外中の例外で、そのバリバリにハードでありながら歌心を忘れないキャッチーなサウンドは私の嗜好のスイート・スポットをビンビン直撃してくる。後から知ったのだが、このバンドにエイジアの2代目ギタリスト、マンディー・メイヤーが一時期在籍していたのにもビックリ(・o・) やっぱり80年代の薫りのするメロディアスなハードロックはエエなぁ...(^o^)丿
 彼らの「移民の歌」カヴァーは1996年の3rdアルバム「G」のボートラでも聴けるが、下に貼り付けたのは2005年のチューリッヒでのライヴの模様を収めたDVD「メイド・イン・スイッツァランド」からのもので、その圧倒的なステージ・パフォーマンスはハードロック・ファン必見の素晴らしさ。好きなバンドのカヴァー・ヴァージョン探しの中で新たなお気に入りバンドを見つけれてラッキーだ。
Gotthard - Immigrant Song (Live - Made In Switzerland)


③王様
 前回の「黒い犬」に続いて又々王様である。今回も “船を漕いだ~ オールを漕いだ~♪” とオリジナルに忠実な直訳ロックで大いに笑わせてくれるのだが、個人的にめっちゃツボだったのが要所要所で炸裂する “ハイ!” という合いの手(←アンタは吉幾三か...)だ。後半部の “ヨイショ、ヨイショ...” という掛け声にもクソワロタ(^o^)丿 サウンドが少々薄っぺらくて軽いのが玉にキズだが、ゼップのスタジオ・テイクにはなかったギター・ソロを挿入したライヴ感溢れるアレンジは秀逸。尚、この曲は以前取り上げた「鉛の飛行船伝説」ではなく、オリジナル・アルバム未収録曲として初期のベスト盤「王様の恩返し」に入っているのでマニアは要注意だ。
王様 - 移民の歌


④Ann Wilson
 この曲のカヴァーは原曲に忠実にアップテンポで演奏されるケースがほとんどだが、それじゃあ当たり前すぎて面白くないとばかりに(?)前代未聞のスローテンポでこの曲に挑んだのがゼップを知り尽くしたアン・ウィルソン姐御である。2007年にリリースされた彼女のソロ・アルバム「ホープ&グローリー」の中で一番衝撃的だったのがこの重厚なゼップ・カヴァーで、何よりもまず原曲の後半部から、しかもアカペラでスタートするという大胆不敵なアレンジに意表を突かれる(゜o゜)  凡百のヴォーカリストなら間が持たないであろうスローテンポでも聴かせてしまうのはパワフルで説得力抜群なアンの歌唱の恐るべき吸引力ゆえだろう。黒い衣装に身を包んだアン・ウィルソンって、なんか中世の魔女みたいな妖しい雰囲気やなぁ...
Heart - Inmigrant Song - 2007


⑤Great White
 グレイト・ホワイトの「移民の歌」は全曲ゼップ・カヴァーで固めた1999年リリースのライヴ・アルバム「グレイト・ゼッペリン」収録のヴァージョンが最高だが、「リカバリー・ライヴ」(←米英日でそれぞれ収録曲が異なるので要注意!)に入っていた1986年のスタジオ録音テイクも捨て難い。本家プラントが1973年に喉の手術をして超絶ハイトーンを出せなくなって以降、最もオリジナルに近い金属的なヴォーカルを再現しているのがグレイト・ホワイトのジャック・ラッセルだと思う。それにしても彼らのゼップ・カヴァーの本気度はハンパないなぁ... (≧▽≦)
Great White - Immigrant Song