shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ディア・オールド・ストックホルム / スタン・ゲッツ

2009-07-20 | Standard Songs
 民謡と言うと日本人にとっては「佐渡おけさ」や「ソーラン節」、「おてもやん」といったイメージが先行してしまい誤解を招きかねないが、あれはあくまでも日本の民謡であり、英語でいえば Folk Song、つまり民衆の間で昔から親しまれてきた歌のことを指している。だから外国の民謡と言うのは当然日本のものとは全く違う、そのお国柄を反映したものになる。
 私はジャンルを問わず、哀愁を感じさせてくれるマイナー調の曲が大好きで、このブログでもこれまで「悲しき天使」や「パルナスの歌」(笑)、「素敵なあなた」といった哀愁舞い散るロシア民謡やユダヤ民謡を取り上げてきた。しかしもう一つ、ロシア、ユダヤと並ぶ世界三大民謡(←ウソです!)であるスウェーデンを忘れてはいけない。そんなスウェーデン民謡の中でもダントツに好きな曲がこの「ディア・オールド・ストックホルム」(原題は “Ack Varmeland, Du Skona”)。この曲は51年にテナー・サックスのスタン・ゲッツが取り上げて以来ジャズ・スタンダードとして定着、数々の名演を生み出してきた屈指の名曲で、私の “この曲は全部集めたる!” 癖の第1号となった記念すべきスタンダード・ナンバーなのだ。

①Stan Getz
 “ディア・オールド・ストックホルムの2大名演” といえば、聴く者の魂を震わせる「バド・パウエル・イン・パリ」と、哀愁舞い散るゲッツのこのヴァージョン。零れ落ちるようなピアノのイントロからもう名演の薫りが立ち込めている。テーマとアドリブの境界を全く感じさせずに伸びやかで美しいフレーズを紡ぎ出していくゲッツの歌心溢れるプレイが最高だ。
Dear Old Stocholm


②Miles Davis
 スタン・ゲッツがジャズ界に紹介したこのスウェーデン民謡をカッコ良いモダン・ジャズに仕立て上げたのが当時最高のジャズ・コンボの一つだったマイルス・デイビス・クインテット。特に前半のフィリー・ジョーのブラッシュ・ソロはカッコ良すぎてもう鳥肌モノ。KYなコルトレーンを自らの引き立て役として活用したマイルスの繊細なソロが絶品だ。
Miles Davis - Dear Old Stockholm


③Donald Byrd
 ②が世に出て以降、この曲を演奏するジャズメンは大なり小なりアレンジ面でマイルス・ヴァージョンの影響を受けているように思うのだが、ドナルド・バードのこのパリ・オリンピアでのライブもその傾向が強い。特にダグ・ワトキンスの力強いベース・ソロが聴き所。ボビー・ジャスパーが奏でるテナーの音色は低音の魅力が横溢だ。
Donald Byrd - Dear Old Stockholm (Short Version)


④西条孝之助
 スタン・ゲッツをリスペクトする西条孝之助の2004年赤坂bフラットでのライブ。プレイの端々にゲッツからのダイレクトな影響を感じさせるフレーズが多発するが、そこが逆にこの人の良いところ。ゲッツの初演から半世紀を過ぎ、遠く離れたこの日本で淡々と “ストックホルム” を演奏する西条の心に去来するものは何なのだろう?
Dear Old Stockholm@西条孝之助


⑤Monica Zetterlund
 スウェーデンを代表する№1美人歌手モニカ・ゼタールンドがスウェーデン語でスウェーデン民謡のこの曲を歌うという、もうこれ以上は考えられない “究極のストックホルム”。 彼女の歌唱からは言葉の壁を越えて伝わってくるモノがありゾクゾクさせられる。この曲のヴォーカル・ヴァージョンは非常にレアで、私はモニカしか知らない。
Monica Zetterlund - Ack Varmeland, Du Skorna
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