shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Osaka Ramones / Shonen Knife

2012-10-30 | Ramones
 私は少年ナイフの大ファンである。10年ぐらい前だったか、カーペンターズ・トリビュート・コンピ盤の中の1曲「トップ・オブ・ザ・ワールド」を聴いてそのケレン味のないストレートなロックンロールに惚れ込んだ私は彼女らのCDをガンガン聴きまくり、更に彼女らを経由してそのルーツであるラモーンズへと辿り着いた。特に2007年にリリースされたアルバム「Fun! Fun! Fun!」に収録されていた「ラモーンズ・フォーエヴァー」という曲は、ラモーンズ最後のジャパン・ツアーのオープニング・アクトを務めた少年ナイフからの愛情とリスペクトに溢れたラモーンズ・トリビュート・ソングとして忘れ難い。
Ramones Forever - Shonen Knife


 そんな少年ナイフが昨年7月に結成30周年を記念してリリースしたアルバムがこの「大阪ラモーンズ」だ。彼女らはこれまで「アイ・ウォナ・ビー・セデイテッド」と「スージー・イズ・ア・ヘッドバンガー」(ライヴ)の2曲をカヴァーしているが、今回はアルバム1枚丸ごとラモーンズ・カヴァーというからこれはもうエライコッチャである。しかもアマゾンで調べてみると日本盤とUS盤でジャケットが違うのだ。日本盤は 1stアルバム「ラモーンズの激情」のパロディー、US盤は3rdアルバム「ロード・トゥ・ルーイン」のパロディーになっており、私はパロジャケとしての完成度が高い後者(←メンバーのバックに描かれた大阪城と通天閣が笑えます...)を購入した。それに音楽利権ヤクザJASRACのマークを見るだけで虫唾が走るので、日本盤は出来るだけ買いたくないし...(笑)
 全13曲、どこを切っても会心のロックンロールが飛び出してくるこのアルバムだが、どれか1曲と言われれば⑧の「サイコ・セラピー」がサイコーだ(笑) ラモーンズ史上屈指のスピード感を誇るこの曲を少年ナイフは難なくカヴァー、文句の付けようがない疾走系ロックンロールになっており、その凄まじいまでのエネルギー・レベルと圧倒的なテンションの高さはもうさすがという他ない。
Psychotherapy - Shonen Knife


 なおこ以外のメンバーが歌っている曲が入ってるのもこのアルバムの大きな特徴だ。ベースのりつこが歌う⑥「シーナ・イズ・ア・パンクロッカー」とドラムスのえみが歌う⑨「KKK・トゥック・マイ・ベイビー・アウェイ」(←バックのコーラス・ワークがこれまた絶品!!)がその2曲なのだが、どちらもその歌声がめちゃくちゃ曲に合っており、なぜこれらの曲を選んだのかという必然性を感じさせるヴォーカルが楽しめる。声質と曲想のマッチングを鋭く見抜いた彼女たちの慧眼はさすがという他ない。
Sheena Is A Punk Rocker - Shonen Knife

Shonen Knife - The KKK Took My Baby Away


 カヴァー・アルバムにとっての成否を決める選曲面での大きな特徴は、①「ブリッツクリーグ・バップ」、②「ロックンロール・ハイスクール」、⑤「ロッカウェイ・ビーチ」といったバリバリのラモーンズ・クラシックスに混じって④「シーズ・ザ・ワン」や⑦「スキャッターガン」、⑪「チャイニーズ・ロック」といった隠れ名曲が選ばれていることで、このあたりにも彼女達の “筋金入りのラモーンズ・マニア” としての拘りが表れている。そんな中で私が特に気に入ったのが③「ウィー・ウォント・ザ・エアウェイヴズ」で、原曲のヘヴィーなグルーヴを飄々としたいつものナイフ節で見事に再現しているところが素晴らしい(^.^)
 ロックンロールの初期衝動を体現したラモーンズの音楽をストレートにカヴァーしたこのアルバムを愉しむのに理屈は要らない。ラモーンズの遺伝子を受け継ぎ、ピュアなロックンロールを聴かせてくれる少年ナイフにとって、まさに “原点回帰” といえる1枚だ。.
Shonen Knife: We Want the Airwaves (Cover)

「ゼン・ ヒー・キスト・ミー」特集

2012-10-25 | Wall Of Sound
 前回 “キッス版音壁” として取り上げた「ゼン・シー(or ヒー)・キスト・ミー」はフィレス・レーベルの中でも三指に入る愛聴曲。ちょうどいい機会なので今回はこの曲の聴き比べ特集をやることにした。

①Beach Boys
 私がこのビーチ・ボーイズ・ヴァージョンの存在を知ったのは90年代の半ば頃のこと。東芝から出ていた 2 in 1 CDシリーズの「ビーチ・ボーイズ・トゥデイ&サマー・デイズ」を聴いていた時にいきなり例のイントロが流れてきてビックリ(゜o゜)  曲名を見ると「ゼン・アイ・キスト・ハー」とある。 “彼女が私にキス...” が “僕が彼女にキス...” というようにタイトル中の代名詞が逆なので気付かなかったが、まさしく “あの曲” である。目からウロコとはまさにこのことで、それまで自分が親しんできたキッス・ヴァージョンがこのBB5版のアレンジを下敷きにしていたと知り、フィル・スペクターの遺産がビーチ・ボーイズ(ブライアン・ウィルソン)を通してキッスにまで受け継がれていたことにアメリカン・ポップスの奥の深さを思い知らされた。
 このBB5ヴァージョンもキッスと甲乙付け難い名カヴァーで、彼らお得意のコーラス・ハーモニーが優しく寄り添ってくるところなんかマジで鳥肌が立つぐらいゾクゾクさせられるし、筋金入りのスペクター・マニアとして知られるブライアンだけあって、カスタネットの使い方などその見事なアレンジ&サウンド・プロダクションには唸ってしまう。ビーチ・ボーイズというとどうしても “車”“サーフィン”“女の子” をテーマにしたノーテンキなヒット曲か、あるいは「ペット・サウンズ」のようなシリアスなアルバムばかりに注目が集まりがちだが、この曲のようにアルバムの中にひっそりと(?)収められているカヴァー曲を原曲と聴き比べてみるのも一興ではないだろうか?
The Beach Boys - Then I Kissed Her


②Rachel Sweet
 レイチェル・スウィートは70年代後半にイギリスのスティッフ・レーベルからリリースした作品が有名だが、私的には80年代初めにコロムビアに移籍して発表した「アンド・ゼン・ヒー・キスト・ミー」が一番好き。彼女の激甘ロリータ・ヴォイスはスペクター・サウンドとの相性も抜群で、この曲を「ビー・マイ・ベイビー」との豪華メドレーで歌う様は水を得た魚のようだ。彼女にはトレイシー・ウルマンみたいな感じでもっとこのキュートでレトロな “60'sアメリカン・ポップス路線” を極めてほしかったな...
Rachel Sweet - And Then He Kissed Me, Be My Baby (Ronettes,Crystals) (1981) HD


③Asobi Seksu
 この曲のカヴァーを色々と集めていて出会った中でも異色中の異色がこのレコード。Asobi Seksu って口に出すのも恥ずかしいユニット名だが(笑)、そのサウンドは実にユニークで面白い。深く歪ませたギターのフィードバック・ノイズと洗練された囁き系女性ヴォーカルのコントラストが生み出す浮遊感のあるサウンド(←こういうスタイルの音楽をシューゲイザーというらしい...)がとても耳に心地良く、ほのぼのとした原曲のメロディーとの出会いによって、クールでありながらどこか温か味を感じさせるカヴァーになっている。
Asobi Seksu - And Then He Kissed Me


④Martha & The Vandellas
 マーサ&ザ・ヴァンデラスといえばリンロンがカヴァーした「ヒート・ウェイヴ」やミック・ジャガー&デヴィッド・ボウイがカヴァーした「ダンシング・イン・ザ・ストリーツ」、そしてアルバム「カム・アンド・ゲット・ジーズ・メモリーズ」のゆるかわいいジャケットがすぐに思い浮かぶが、彼女らがこの「ゼン・ヒー・キスト・ミー」を歌っているのはYouTubeを見るまで知らんかった(>_<) オリジナルのクリスタルズと聴き比べてみると、音作りの点でフィレスとモータウンというそれぞれのレーベル・カラーの違いがハッキリと出ていて面白い。
MARTHA and THE VANDELLAS then he kissed me


⑤Crystals
 最後はやはりフィル・スペクターがプロデュースしたクリスタルズのオリジナルで締めたい。1963年8月にリリースされたこの曲は最高位が3週連続全米6位というチャート成績だったが、私は全米1位になった「ヒーズ・ア・レベル」よりも断然こっちの方が好き。アンプのヴォリュームを上げると文字通りまるで壁のように屹立して聴く者に迫ってくるこの音の厚み、最高ではないか! リヴァーブの効いたドラム・サウンドの深~い響きといい、激しく打ち鳴らされるカスタネットの波状攻撃といい、私はこの曲にフィル・スペクターによる “ウォール・オブ・サウンド” の完成形を見る思いがする。やっぱり本家本元の音壁は最高だ(^o^)丿
Then He Kissed Me - The Crystals


【おまけ】YouTubeで偶然見つけたこの動画、歌ってるのは日系イタリア人シンガーの Sayaka Alessandra嬢。ルックスも声も私のストライクゾーンやん!と思いながら見ていると、0分29秒あたりから何やら彼女の後ろでチョロチョロする姿が...(笑) このワンちゃんの動き、めっちゃ可愛いなぁ... o(^-^)o
Then He Kissed Me (The Crystals cover)
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Love Gun / Kiss

2012-10-21 | Hard Rock
 このブログで “音壁” といえば “ガールズ” に決まっているが、今日は音壁は音壁でもガールズではなく胸毛系ロッカーによるスペクター・トリビュート・ネタである。私が初めてフィル・スペクターの名前を耳にしたのはもちろんビートルズの「レット・イット・ビー」だったが、あのアルバムは既に出来上がったテープに彼が後から手を加えたという特殊なケースであって、決してスペクター本来の “ウォール・オブ・サウンド” ではない。彼の真骨頂は何と言っても60's前半のフィレス・レーベルの作品群にあり、そういう視点で見ると、私にとっての音壁初体験はロネッツでもクリスタルズでもなく、何とあのキッスだった。
 当時中学生だった私はリアルタイムでいきなり「キッス・アライヴ」の洗礼を受けたバリバリのキッス・ファンで、「デトロイト・ロック・シティ」や「ブラック・ダイアモンド」、「ロックンロール・オールナイト」といった痛快無比なロックンロールを聴いて大いに盛り上がっていた。そんな中、1977年にリリースされたのがアルバム「ラヴ・ガン」で、私は行きつけのレコ屋に予約しておいて発売日に速攻で買って帰り、ドキドキしながらターンテーブルに乗せた。(←中高時代は大抵このパターンやったな...)
 アルバムは期待通りの素晴らしさで “やっぱりキッスはエエのぉ...(^.^)” と悦に入っていたのだが、中でも一番インパクトが強かったのがラストに収められていた⑩「ゼン・シー・キスト・ミー」という曲だった。このアルバムのほとんどの曲はグリッター・サウンド系のヌケの良いロックンロールなのに何故かこの曲だけは明らかに異質なサウンドだったので、不思議に思って解説を読んでみるとフィル・スペクターがプロデュースしたクリスタルズというガール・グループのカヴァーとのこと。キッスならではのポップ・センスでフィル・スペクターを解釈した “キッス版ウォール・オブ・サウンド” がすっかり気に入った私は、あのキッスにこういう演奏をさせてしまうフィル・スペクターという存在に改めて興味を抱くようになったのだった。そういう意味でも私にとっては忘れ難い1曲であり、あれから35年経った今聴いても耳が吸い付く名曲名演だ。
Kiss then she kissed me


 B面1曲目に収められたアルバム・タイトル曲⑥「ラヴ・ガン」もレコードが擦り切れるぐらいよぉ聴いたなぁ... 何と言ってもマシンガンの発射音を模した “デデデデン デデデデン!!!” というイントロはインパクト抜群だし、エース・フレーリーの必殺リフとシンプルでありながら歌心溢れるソロ(←ユニゾンのとこなんかもうシビレまっせ...)なんかもう絶品!!! ポール・スタンレーのカッコ良さここに極まれりと言いたくなるような野性味溢れるヴォーカルも文句ナシで、彼らの最大の魅力である親しみやすくて哀愁感漂う歌メロに涙ちょちょぎれるキラー・チューンだ。とにかくハードでありながらメロディアスにロックするという、アメリカン・ハード・ロックのお手本のようなナンバーで、私的にはキッス・トップ3に入れたい(←ひょっとすると一番好きかも...)超愛聴曲だ。
KISS - Love Gun キッス - ラヴ・ガン


 タイトル曲を差し置いてアルバムからの1st シングルに選ばれた②「クリスティーン・シックスティーン」もめっちゃ好き(^o^)丿 ピアノにベースが寄り添いギターが絡みつくようにスタートするカッコ良いイントロといい、初期ビートルズを想わせるコーラス・ハーモニーといい、単調な旋律の繰り返しが生み出すグルーヴ感といい、3分間の中に “キッスらしさ” が凝縮されたようなキャッチーなナンバーだ。尚、ギター・ソロのフレーズはこの曲のデモに参加していたエディー・ヴァン・ヘイレンが考えたものをエースがそのまま使ったらしい。
kiss - Christine sixteen (Love gun)


 この他にもディープ・パープルの「バーン」を裏返しにしたような勢いのあるロックンロール①「アイ・ストール・ユア・ラヴ」、エースの脱力ヴォーカルが病み付きになる④「ショック・ミー」、底抜けにポップで楽しい⑤「トゥモロー・アンド・トゥナイト」、タイトなアメリカン・ロックンロール⑨「プラスター・キャスター」など、名曲が目白押し。確かアルバムのおまけとして “KISS LOVE GUN” と書かれた紙鉄砲が付いており、BANG! と大きな音をさせて喜んでいた自分が懐かしい(^.^)
 このアルバム以降、メンバー間の確執が表面化しバンドは活動休止を宣言、ソロ・アルバムを制作してガス抜きをするも結局ピーターとエースが脱退し、 “キッスが最もキッスらしかった時代” は終焉を迎えるのだが、そういう意味でもこの「ラヴ・ガン」はキッスの全盛期である “第2期キッス3部作” のラストを飾る名盤としてロック・ファンには必聴の1枚だと思う。
KISS Shock Me The Last KISS DVD (HD)
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Romantist Taste 2012 / The Yellow Monkey

2012-10-16 | J-Rock/Pop
 確か9月の初め頃だったと思うが、ネットの音楽ニュースを見ていて “The Yellow Monkey、デビュー曲「Romantist Taste」を新たな装いで11年8か月ぶりのシングルとして緊急発売!!!” という記事が目に留まった。それによると、メジャー・デビュー20周年を記念して全アルバム曲&ミュージック・ビデオの一斉配信を開始することが決まり、その際にデビュー曲の「Romantist Taste」をニュー・ミックスで出したら面白そうだということになったという。
 ここで私は一瞬 “イエロー・モンキーも今流行りのリマスター再発かいな...” と思ったのだが、その先を読んでみるとどうやら単なる音圧増強リマスターではないらしい。何とオリジナル・ミックスを担当したエンジニアを中心に4人のメンバー立会いの下でニュー・ミックスが作られ、更にあのテッド・ジェンセンがマスタリングを担当したというからこれはエライコッチャである。
 ファンの人の中には “テッド・ジェンセンって一体誰やねん???” という人が少なくないかもしれないが、この人はビリー・ジョエルを始めとして、イーグルスからマドンナ、ノラ・ジョーンズ、メタリカに至るまで、幅広いジャンルで数多くの名作のマスタリングを手掛けてきた巨匠エンジニアなんである。スカスカのサウンドでチープな味わいが売りだったデビュー曲がニュー・リミックス&リマスターでどう変身するのか... コレはファンとしては非常に興味深いところだ。
 しかしこのシングルの真価はむしろその豪華すぎるボーナス・トラックにある。近々リリースされるDVD「TRUE MIND "NAKED"」から何と12曲ものライヴ音源が収められているのだ(゜o゜)  収録曲は②「SPARK」、③「FOUR SEASONS」、④「熱帯夜」、⑤「ROCK STAR」、⑥「嘆くなり我が夜のFantasy」、⑦「太陽が燃えている」、⑧「LOVE COMMUNICATION」、⑨「JAM」、⑩「THIS IS FOR YOU」、⑪「悲しきASIAN BOY」、⑫「FATHER」、⑬「空の青と本当の気持ち」で、②~⑨は1996年7月21日のNHKホール公演から、⑩~⑬は1996年1月12日の日本武道館公演からの音源だ。
 それにしても1,050円のシングルに、バンドとして1番脂が乗っていた1996年のライヴ・ツアーからほとんどライヴ盤1枚分に相当する12曲がボートラ、つまりオマケとして付いてくるというのは、例えるなら「ラヴ・ミー・ドゥ」のニュー・ミックス・シングルのボートラとしてシェア・スタジアムや日本武道館のライヴ音源がそっくり丸ごと入っているようなもの... もうどっちがボートラか分からん主客転倒状態だが、私も含めてこのシングルの購入者のほとんどはこっちが本命なのではないだろうか。イエロー・モンキー・サイドからすればニューDVD「TRUE MIND "NAKED"」のプロモーションを兼ねた戦略商品なのだろうが、音楽史上最強のコスパを誇るシングルであることだけは間違いない。
 届いた盤はちょうど NORMA のジャズ CD を想わせるような質素な紙ジャケCDで、歌詞カードは①の「Romantist Taste 2012」のみ。早速聴き比べてみたのだが、フェード・インでスタートしてネチネチと攻めてくるオリジナル・ヴァージョンとは違い、イントロからいきなりガツン!とくるヤクザな音に圧倒される。とにかく各楽器の重厚さが格段に増しており(←特にリズム隊!)、大蛇がとぐろを巻くような野太いグルーヴがたまらんたまらん(≧▽≦)  これはもうアンプのヴォリュームを上げて大音量で聴くしかない。
Romantist Taste 2012


 吉井さんの “よぉこそ~” で始まるスーパーウルトラ疾走系チューン②「SPARK」、アグレッシヴなギター・リフの波状攻撃にアドレナリンがドバーッと出まくる④「熱帯夜」、思わず身体が動いてしまうノリノリの⑤「ROCK STAR」、王道を行く爽やか系ポップンロール⑦「太陽が燃えている」といったアッパー・チューン中心で息をもつかせぬ展開の前半から、イントロを聴いただけで涙ちょちょぎれる⑨「JAM」やこの時期のライヴでしか聴けないレアな⑫「FATHER」といった感動系ナンバーで盛り上がる後半まで、まさに“中期イエロー・モンキーのライヴ・ベスト” 的な内容になっている(^o^)丿
 曲ごとにフェード・アウトしていたり、唐突な感じで始まるトラックもあったりで、ちゃんとした流れのある “ライヴ盤” とは言えないが、彼らの公式ライヴ盤は「SO ALIVE」だけだから、今回のこの太っ腹すぎるシングルはイエロー・モンキーのファンにとっては絶対に買い!の1枚だと思う。
SPARK ( LIVE )

[LIVE] THE YELLOW MONKEY - ROCK STAR

JAM

傑作マッシュアップ・リターンズ・アゲイン! ~Go Home Productions特集~

2012-10-13 | Mashup
 イギリスを拠点に活動するプロデューサー兼リミキサー兼DJ、マーク・ヴィドラーによるプロジェクトである Go Home Productions は以前取り上げたオーストラリアの Wax Audioと並ぶお気に入りのマッシュアップ・アーティスト。Wax Audio 同様、そのHPで様々な作品を無料ダウンロードできるというのも嬉しい。ということで、今日は完成度の高いマッシュアップを次々と連発して楽しませてくれる Go Home Productions の特集です。

①「Imagine」(John Lennon)+「Band On The Run」(Paul McCartney & Wings)
 ビートルズのマッシュアップはたくさんあるが、ソロ作品となると目ぼしいものは結構少ない。使えそうなネタが一杯あるのになぁ...と思っていた矢先に出くわしたこの作品、ジョンの「イマジン」のバック・トラックのテンポを上げ、そこにポールの「バンド・オン・ザ・ラン」のヴォーカル・トラック(←こちらは逆にテンポを少し下げてある...)を組み合わせるという大胆不敵なアイデアが痛快そのもの。曲のテンポをいじるという裏ワザには賛否両論あるだろうが、ジョンとポールの映像をサイド・バイ・サイドで配した涙モンのビデオも含め、私はこの「イマジン・ザ・バンド」が大好きだ。
Go Home Productions "Imagine The Band" (Lennon/Wings)


②「Downtown」(Petula Clark)+「Octopus's Garden」(The Beatles)
 最初この「ダウンタウン・オクトパス」というタイトルを見た時、 “いくら何でも合うわけないやろ...” と思ったが、実際に聴いてみてビックリ(・o・)  まるでビートルズをバックにペトゥラ・クラークが歌っているかのような自然な仕上がりで、リンゴの刻むリズムとペトゥラのヴォーカルが見事にシンクロしているし、エンディングの処理なんてこれ以上ないと思えるくらい完璧にキマッているのだ。この組み合わせを思いつきマッシュアップの楽しさ溢れる傑作に仕上げた職人さんのセンスに脱帽である。
Go Home Productions - Downtown Octopus (Petula Clark vs The Beatles)


③「Sultans Of Swing」(Dire Straits)+「I Can't Stand Losing You」(The Police)
 ダイアー・ストレイツとポリスという、まるでプリンス・トラストを絵に描いたような(?)このマッシュアップ、今やロック・クラシックスと言ってもいい「悲しきサルタン」のイントロに続いて出てくるのはマーク・ノップラーのディラン的酔っ払い唱法ではなくスティングの甲高い歌声なのだが、これがもう驚異的というしかないシンクロ率(゜o゜)  スティングをゲスト・ヴォーカルに迎えた「マネー・フォー・ナッシング」の大ヒットで耳が慣れているせいかもしれないが(←ライヴ・エイドでも共演してたし...)、ほとんど何の違和感も感じずにスーッと聴けてしまうのが凄い。ただ、中間部にポリスの「ウォーキング・オン・ザ・ムーン」を挿入したのは上手の手から水が漏れたというか、ハッキリ言って蛇足だと思うのだが...
Go Home Productions "I Can't Stand Sultans Of Swing"


④「2000 Light Years From Home」(Rolling Stones)+「Get It On」(T.Rex)
 アルバム「サタニック・マジェスティーズ」に収録されていたこの「2000光年の彼方に」という曲はストーンズ・ナンバーの中でも異色中の異色だが、サイケな雰囲気横溢のこの曲にマーク・ボランの「ゲット・イット・オン」のヴォーカル・トラックが被さると相乗効果で妖しさが倍増、ビートルズの映画「マジカル・ミステリー・ツアー」(←明日14日の深夜にフジテレビ系で完全ノーカット放送やるらしいですな...関テレはやらんみたいやけど...)にぴったりハマりそうなトリップ感満点の映像も含めて実にクールな仕上がりで、私的にはマッシュアップの隠れた名作だと思っている。
Go Home Productions "2000 Light Years From Bolan" Rolling Stones-T.Rex


⑤「Baba O'Riley」(The Who)+「Like A Virgin」(Madonna)
 Go Home Productions の作品を YouTube で検索していてこの「ヴァージン・オライリー」というタイトルを見つけた時は “まさか...” “ありえへん...” と思ったが、タイトルを恐る恐るクリックしてみるとやっぱりザ・フーとマドンナだった(・o・) しかし、しかしである。いざ聴いてみるとコレが結構イケるのだ。両者のビデオ・クリップを並列し、マドンナがクネクネと身をよじらせて歌う横でロジャーやピートが暴れ回るという構図には思わず笑ってしまうが、こんな奇想天外な組み合わせをシンクロさせてしまうGo Home Productions ってマジで凄いと思う。でもコレを聴いたらピートは何て言うのかな???
Go Home Productions "Virgin O'Riley"

傑作マッシュアップ・リターンズ!

2012-10-10 | Mashup
 音壁ガールズ・ネタも一段落したので、今日は久々にマッシュアップ特集やります(^o^)

①「Land Of Confusion」(Genesis)+「Beat It」(Michael Jackson)
 私はフィル・コリンズのスロー・バラッドの熱心な聴き手ではないが、彼の暑苦しいヴォーカルが活きるアップテンポの曲は大好き。中でもジェネシス名義でリリースされたこの「ランド・オブ・コンフュージョン」は今の混沌とした世界を予見したかのようなシニカルな歌詞といい、レーガン、ホメイニからウィー・アー・ザ・ワールドに至るまで、80年代を代表する有名人のパペットたちが登場するインパクト抜群のビデオ・クリップ(←カダフィーがカットされとる...)といい、彼の最高傑作の一つと信じて疑わないが、何よりも気に入ったのはそのロック・フィーリング溢れるサウンドだった。当然「ビート・イット」との相性はバッチリで、スティーヴ・ルカサーのエッジの効いたギター・リフをバックに “フィル・コリンズは侠でござる!” と啖呵の一つも切りたくなるような緊張感漲るヴォーカルが楽しめる(^o^)丿 とにかく2つの曲が信じられないぐらい見事に溶け合っており、とてもマッシュアップとは思えない驚異のシンクロ率を誇る大傑作だ。
Beat of Confusion (Genesis vs Michael Jackson) - Land of Confusion / Beat It Mashup


②「Ring Ring」(ABBA)+「Hanging On The Telephone」(Blondie)
 アバの曲はサンプリング、マッシュアップ・ネタの宝庫だが、歌詞の “電話つながり” に目を付けたこの「リング・リング」とブロンディーの「ハンギング・オン・ザ・テレフォン」のマッシュアップも期待を裏切らない素晴らしい出来ばえで、そのウキウキワクワクするようなポップなサウンドに身を委ねれば気分はすっかり70年代だ。それにしてもアグネッタもフリーダもデボラ・ハリーもみんな若いなぁ...
ABBA vs. Blondie - Hanging On The Ring Ring [MUSIC VIDEO]


③「Walk Like An Egyptian」(Bangles)+「Are You Gonna Be My Girl」(Jet)
 このジェットというバンドの事は全然知らないが、モータウン・ビートを巧く使ったこの曲は中々エエ感じで、私が大好きなバングルズの「エジプシャン」との相性もバッチリ。エッジの効いたギター・リフはパワー全開という感じだが、一番心に残るのはやっぱり全編を支配する「エジプシャン」の間奏の口笛と“オゥ エィ オゥ~♪” コーラスですな...(^.^)
Jet VS The Bangles - Are You Gonna Be My Egyptian (mashup)


④「Running Up That Hill」(Kate Bush)+「Sign Of The Times」(Prince)
 ケイト・ブッシュもプリンスも私的には “孤高の天才” というイメージで共通する部分があるのだが、そんな二人の曲を実に巧く組み合わせたマッシュアップがこれ。この組み合わせを思いついてこれだけの作品に仕上げた職人さんに脱帽である。アクの強い二人の曲が見事に溶け合い、不思議な音世界を作り上げているところを聴くべし。
Sign o' That Hill (Prince + Kate Bush Mashup by Wax Audio)


⑤「Ain't Talkin' 'Bout Love」(Van Halen)+「The Poker」(Lady GaGa)
 私はレディー・ガガの曲をちゃんと聴いたことがまだ一度もないのだが、以前取り上げたストーンズの「悪魔を憐れむ歌」といい、このヴァン・ヘイレンといい、ロック・クラシックスと組み合わせるマッシュアップの素材としては面白い。それにしてもガガのヴォーカルよりも遥かに “歌ってる” エディーのギターってやっぱり凄いわ... (≧▽≦)
Ain't Talkin' 'Bout Poker

小林可夢偉、鈴鹿で初表彰台\(^o^)/

2012-10-08 | その他
 小林可夢偉がついにやった!!! 今日行われたF1日本GP で並み居る強豪たちを抑えて見事に自身初の表彰台をゲットしたのだ。鈴鹿での日本人表彰台は1990年の鈴木亜久里以来で(←セナ・プロが1コーナーで絡んでクラッシュしたあのレースね...)、何と22年ぶりの快挙である。音楽とVシネマとF1だけが楽しみの私としてはこの大ニュースをブログで取り上げないワケにはいかない。
 今日の可夢偉はとにかく冷静沈着でキッチリと仕事をした。まずは不安視されていたスタートをばっちりキメて、 “フレンチ・ミサイル” 、 “サーキットの通り魔” 、 “オープニングラップの狂人” などの異名を取るロマン・グロージャンの特攻を難なくかわし、中盤以降は1周コンマ5秒は速いマクラーレンのジェンソン・バトンとの熾烈なバトルを制して(←あびる優vs道端ジェシカの代理戦争やな...)堂々の3位フィニッシュ(^o^)丿 タイヤ選択がスベッたとかピット戦略がコロンだとかではなく、トップチームとのガチンコ勝負で堂々と勝ち取った表彰台というところに価値がある(o^-')b
 それにしてもオープニングラップは危機一髪だった。これまでもチームメイトのキミ・ライコネンとチャンピオン争いをしているフェルナンド・アロンソやルイス・ハミルトンといったライバル達を特攻で片っ端から撃墜してきたグロージャン... 今回は可夢偉の隣の4番グリッドからスタートするということでグロージャン・ミサイルのとばっちりを受けないかと内心ヒヤヒヤものだったが、好スタートを切った可夢偉に抜かれたマーク・ウェバーが代わりに撃墜されたということで、一歩間違えればスパの二の舞になっていたかもしれないと思うとゾッとする。
 グロージャンはレース後のインタビューで “横に並んだペレスに気を取られて前をちゃんと見ていなかった...” とほざいたらしいが、250キロ・オーバーでコーナーに突っ込んで行くのに前見てへんて... ホンマにアブナイ奴っちゃのう(>_<) この流れで行くとひょっとして次の標的はセバスチャン・ベッテルか???  とにかく5戦を残して僅か4点差という大接戦のチャンピオンシップのカギを握るかもしれないこの男、まさに問答無用の仕事師である。
 話を可夢偉に戻そう。最初のピット・アウト直後にトロ・ロッソに前を塞がれてフェラーリのマッサに先行を許してしまったのが悔やまれるが、非力なザウバーのマシンでバトンの猛追を何とか抑えきったその熱い走りにはゾクゾクさせられたし、2台がテール・トゥ・ノーズ状態でゴールした時は思わず快哉を叫んでしまった。
 レース終了後、興奮のるつぼと化したグランド・スタンドから自然と湧き起ったカムイ・コールの中、ポディウムで晴れやかな笑顔を見せる可夢偉。今年は様々な不運が重なってストレスの溜まるシーズンだっただけに、表彰台で喜びを爆発させる彼の姿を見ていて私は思わず目頭が熱くなった。偉大な夢を可能にする男、可夢偉がいつか表彰台の真ん中に立って勝利のシャンパンをあびるように(!)飲む姿を是非とも見てみたいものだ。



【おまけ】これはひどい...(゜o゜)
Romain Grosjean Crash Compilation

東京天使 / エンジェルス

2012-10-03 | Cover Songs
 さいとうみわこの名曲「ロンリー・スターダスト・ダンス」のカヴァーをきっかけにエンジェルスというグループの存在を知り、色々調べていくうちに彼女達が「東京天使」というアルバムを1枚出していることが分かった。全18曲すべてがオールディーズの日本語カヴァーというだけでも実にユニークなアルバムだが、何よりも凄いのがその選曲だ。カヴァーされている原曲は以下の通り;
 ①「The Rain, The Park And Other Things」(The Cowsills)
 ②「The Loco-Motion」(Little Eva)
 ③「Bobby's Girl」(Marcie Blane)
 ④「Crying In A Storm」(Emy Jackson)
 ⑤「I Had A Dream I Was A Beatle」(Donna Lynn)
 ⑥「Good-Bye」(Mary Hopkin)
 ⑦「Holiday」(Bee Gees)
 ⑧「Glad All Over」(Dave Clark Five)
 ⑨「Theme From The Monkees」(Monkees)
 ⑩「Stop The Music」(Hitmakers)
 ⑪「Gimme Some Lovin'」(Spencer Davis Group)
 ⑫「For Your Love」(Yardbirds)
 ⑬「The Legend Of Xanadu」(Dave Dee Group)
 ⑭「In My Room」(Walker Brothers)
 ⑮「Born To Be Wild」(Steppenwolf)
 ⑯「Paint It Black」(Rolling Stones)
 ⑰「Ruby Tuesday」(Rolling Stones)
 ⑱「One」(Three Dog Night)
 とまぁこのように、リトル・エヴァやマーシー・ブレーンのようなアメリカン・ポップスに混じってスペンサー・デイヴィス・グループやヤードバーズといった硬派な曲たちを女性アイドル・グループが日本語で歌っているのだ。怖いもの見たさとでも言えばいいのか、俄然このアルバムを聴いてみたくなった私はいつものようにアマゾンとヤフオクで検索、アマゾンでは3,500円オーバーという廃盤プレミア付きのニンピニン価格だったが(←誰が買うねん!!!)、ヤフオクで善良な一般ピープルが300円という “持ってけドロボー価格” で出品しておられたのを運よくゲットできた。
 そもそもこのエンジェルスというユニットは元ワイルドワンズの渡辺茂樹氏が手掛けた “若い世代へ向けてのオールディーズ啓蒙プロジェクト” みたいなモンで、ライナーノーツにも氏自らがその趣旨の事を書いている。又、曲によって訳詞者は違うがアレンジは全曲渡辺氏が担当しており、彼女らのヘタウマ・ヴォーカルをを巧く活かした絶妙な仕上がりになっている。彼はキャンディーズのバックバンド MMP の中心メンバーとしても活躍した人で、ライヴにおけるキャンディーズの洋楽カヴァー曲のセットリストを考えれば、このアルバムの渋~い選曲にも大いに納得がいく。
 アルバム冒頭を飾るカウシルズの①からもうエンジェルスならではの親しみやすい下町ポップス・ワールドが全開だし、それに続くガール・ポップ・クラシックスの定番②もノリノリで言うことナシ。洋楽に混じってエミー・ジャクソンの④が入っているのも面白い。しかし私にとって一番インパクトが強かったのはデイヴ・クラーク・ファイヴの⑧で、ドカドカとラウドに響き渡るドラミングを再現したイントロといい、サビの “I'm feelin'... glad all over♪” を “Welcome to... Magical Venus Land♪” と変えて歌ってしまうチカラワザといい、痛快無比なカヴァーになっている。これ、ホンマにオモロイわ(^o^)丿
Magical Venus Land


 「愛を下さい」という竹を割ったような直訳邦題(←アンタは菅野美穂か!)が笑える⑪や後半部の転調にのけぞる⑫、ハードボイルドな味付けがエエ感じの⑮(←これを聴くと空耳の “いつものラーメン♪”を思い出してしまう...)など、アルバム後半に進むにつれてますますロック色が強くなっていくが、やはり何と言ってもストーンズの⑯が出色の出来。ジェフリー・ダウンズ降臨!と言わんばかりに初期エイジアを想わせるようなバックの演奏は意外にもエンジェルスの素朴な歌声と相性抜群で、この渡辺アレンジにはもう唸るしかない(≧▽≦)
黒く塗れ


 バブルガム・ポップ・チューンでは⑨が最高だ。私はこれを聴くとどうしても「タイガースのテーマ」を思い出してしまうのだが、かつてモンキーズやタイガースが “アイドルのアンセム” としてファンを魅了したこの名曲のエンジェルス・ヴァージョンも彼らに勝るとも劣らないハジケっぷりで、ウキウキワクワクするようなカヴァーに仕上がっている。
 80年代の終わりにアダ花のように咲いて散っていったB級アイドル・グループ、エンジェルスの「東京天使」というこのアルバムはシリアスな音楽ファンからは見向きもされないかもしれないが、漣健児の流れを汲むクオリティーの高いカヴァー・ポップス集として気楽に楽しめる1枚だと思う。
エンジェルスのテーマ

【おまけ】ジュリー、男の私が見てもめちゃくちゃカッコエエわ...(^.^)
最後のウエスタンカーニバル タイガース