shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Exotic Beatles - Part One

2009-07-25 | Beatles Tribute
 英語に “exotic” という単語がある。辞書で引くと(1)外来の、外国産の (2)異国風の、エキゾチックな (3)珍しい、風変わりな... とある。つまりこのCDのタイトルである「エキゾチック・ビートルズ」というのは、イギリス人から見て外国産、又は異国風でなおかつチョット変わったビートルズ・カヴァー集ということだ。まぁ収録曲の数々を見れば “チョット変わった” どころかよくぞここまで集めたよなぁ... と感心するくらいの選りすぐりの珍品ばかりなのだ。
 そんなクセモノ揃いのこのアルバムはいきなりワケのわからないトラック①からスタート、ハッキリ言って酔っぱらいのオッサン(イギリスの下院議員らしい...)の鼻歌である。先が思いやられるわ...(>_<) ②「イエロー・サブマリン音頭」は日本が世界に誇れるモンド・カヴァーの傑作で、Wikipediaによると80年代以降はビートルズの楽曲著作権保護が強化され、それまでOKだった替え歌が認められなくなった(だから王様は「カブトムシ外伝」であぁするしかなかったのね...)らしいが、この曲を聞いたポールが例外的に歌詞の変更を伴ったカヴァーを許可してくれたとのこと。さすがはポール、人間の器がデカイわ(^o^)丿 尚、裏ジャケには“Yellow Submarine Ondo – In the Japanese Folk Style” と紹介されている(笑)
 ③「ルーシー・イン・ザ・スカイ」は初代スタートレックのカーク船長(ウイリアム・シャトナー)による芝居がかった朗読だ。
 スポック:“船長、おやめになった方がよろしいのではないかと...”
 カーク:“やかましい、この耳のとがった化け物め!副長を解任してやる!”
などというやり取りがあったかどうかは知らないが、とにかくスタートレック・ファンとしては穴があったら入りたいくらい恥ずかしくなる1曲だ。尚、この曲のビデオクリップ(作るなよそんなもん!)はめちゃくちゃ面白いパロディーの傑作なのだが、YouTubeでは残念ながら “著作権者の申し立てにより” 音声トラック部分が削除された無音のクリップしか見れない。親会社のGoogle 動画では見れるのに、一体どーなってるねん?著作権法だか何だか知らんけど、特にUMG(ユニヴァーサル)系は全部アウトっぽい。そんなことやってるからCD売れへんねん。タダで宣伝できるのに... アホな会社や。
 ④「恋する二人」は初めてまともな歌と演奏が聴けてホッとさせられる。イタリア語で歌うビートルズ・カヴァー・バンドなのだが、オラオラ系の女性バック・コーラスがチープな薫りをプンプンさせててエエ感じだ。⑤「彼氏になりたい」は英語による歌詞の解説に続いて様々な国のカヴァーバンドの演奏の断片が挿入されており、そのアタマにあの東京ビートルズの「キャント・バイ・ミー・ラヴ」が入っていたのにはビックリ(゜o゜) 各国語で聴くビートルズ・カヴァーもオツなもん... かな???
⑥「ペニー・レイン」はかなりポップで楽しい歌と演奏で、さりげないサイケな味付けも◎。⑦「シー・ラヴズ・ユー」は聴いてビックリの本格的フラメンコで原曲を見事なまでに換骨堕胎、かきならされるギターと響き渡る手拍子でスパニッシュな雰囲気が濃厚に立ち込める。⑧「カム・トゥゲザー」は完全なレゲエ・ヴァージョンで、少し前に雨後のタケノコのように量産されていた “レゲエ・ビートルズ” (←どの曲を聴いてもみんな同じに聞こえるんよね...)の先駆的作品だ。
 クルーナー・スタイルの⑨「ステップ・インサイド・ラヴ」、自動演奏オルガンによる⑩「イン・マイ・ライフ」、どっかのアマチュア・グリー・クラブみたいな男性コーラス隊による⑪「ホエン・アイム・64」と徹底的に忍耐力を試されたところで、やっとスペインのロス・ムスタングスによるストレートアヘッドな解釈の⑫「プリーズ・プリーズ・ミー」でホッと一息つける。普通のコピー・バンドの演奏がこんなに素晴らしく聞こえるなんて...(笑)
 マダガスカル(ってどこ?南米?アフリカ?アジア?)の子供バンドによる⑬「ゼアズ・ア・プレイス」はともかく、ポルトガル語で聴くビートルズが妙に耳に残る⑭「今日の誓い」やカテリーナ・ヴァレンテの正統派ヴォーカル(イタリア語)による⑮「フール・オン・ザ・ヒル」の2曲は十分聴くに値するマトモなトラックだと思う。⑯「ペイパーバック・ライター」は L⇔R という日本のバンドらしいが、あれば聴くが無くてもさして困らない類の1曲。演奏にイマイチ惹きつける力が足りないように思う。⑩と同じオルガンによる⑰に続いて⑱「抱きしめたい」はシタールによるアップテンポな演奏(笑)で、さすがにこれはインパクトが大きい。ただ、2回3回と繰り返し聴きたくなるかどうかは疑問だが...(笑)
 オッサンのしゃべり⑲、スペイン語による凡庸な歌唱⑳に続いていよいよ本盤最大の衝撃、もとい笑撃がやってくる。犬、猫、ニワトリの鳴き声によって歌われ(?)る (21)「恋を抱きしめよう」だ。人呼んでビートル・バーカーズ(“吠える” は英語で bark)だとぉ?ナメてんのか?こんなん聴いてたらホンマのバカになってしまう。以前ビートル・バーカーズのCD-Rを車内に持ち込んで運転しながら聴いたことがあったが、ドライヴィングに集中出来ずにすぐにやめてしまった(>_<) こんなことで事故ったらそれこそバーカだ(笑)
 めっちゃ訛ったラップくずれみたいな(22)「アイ・アム・ザ・ウォルラス」、オルガン再々登場の(23)、マレーシアの完コピ・バンド(何語かワカラン)による(24)「アイル・ビー・バック」、モーグ・シンセサイザーが奏でる(26)「グッド・ナイト」と、もうこの文章を書く気も萎えてくるようなトホホなエンディングだ。それと、アルバム・ジャケットのリンゴのイラスト、もーちょっと何とかならんかったんか?
 このように変わった音源ばかり収録されているけれど、ゲテモノという一言で片付けてしまうのはちょっともったいない。これはものすごーく心が広くてシャレのわかる超ビートルマニア向けの、かな~り笑えるモンド・カヴァー・アルバムだ。

↓こんなアホなもん、よぉ作るわ(>_<)
Beatles Barkers - We Can Work It Out
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