スタンダード・ソングというのは、1920年代から1950年ぐらいまでのいわゆるティン・パン・アレー・ソングや、ブロードウェイ・ミュージカル、映画音楽といった、 “古き良きアメリカン・ポピュラー・ソング” のことで、ガーシュウィンやコール・ポーター、ジェローム・カーン、アーヴィング・バーリンといった作曲家たちが書いた名曲の数々を様々なシンガーやミュージシャンによってそれぞれ独自の解釈で歌われ、演奏されてきた。つまりテンポ設定ひとつとっても急速調でいくのか、ミディアムでスイングするのか、バラッドで攻めるかによって同じ曲であっても聞いた印象がガラリと変わってくるし、ビッグ・バンドをバックにガンガン歌うかスモール・コンボを従えてジャジーに歌うか、ちょっと肩の力を抜いてボサノヴァ風に歌うかetc、アレンジによっても違いが生じやすい。だからスタンダード・ソングを聴く一番の楽しみは何と言っても “聴き比べ” にあると言える。
そんなスタンダード・ソングの中で私の超お気に入りの一つが「ラヴァー・カムバック・トゥ・ミー(恋人よ我に帰れ)」、通称ラバカンである。YouTubeにはスタン・ゲッツやベン・ウェブスターといったインスト・ヴァージョンの目ぼしいヤツがアップされてないので、ここでは主にヴォーカルものを取り上げてみた。
①Mildred Bailey
この曲の古典的名唱といえばミルドレッド・ベイリーだ。ラバカンは彼女の代表曲の一つで、私が知る限りでもデッカ、サヴォイ、そしてコロムビアと様々なレーベルで録音しておりそれぞれ甲乙付け難い素晴らしさなのだが、ここにアップされてるのはその中でも最も有名な1938年のコロムビア・レコーディングのもの。肩の力の抜けた自然な唱法で歌詞に秘められた女の情感を見事に表現しきっているのは凄いとしか言いようがない。3分6秒からの “Oh lover, oh lover” の独特の節回しもたまらない(≧▽≦)
恋人よ我に帰れ ~ミルドレット・ベイリー
②Nat King Cole
ビッグ・バンドをバックにアップテンポでスイングするという、その後のスタンダードな流れを作った名アレンジはビリー・メイによるもので、そのアレンジの素晴らしさを倍増させるようなスインギーな歌声を聴かせているのが最高の男性ジャズ・シンガー、ナット・キング・コールという、これはもう絵に描いたような名演だ。彼をお手本と仰いでいた美空ひばりは「ひばりジャズを歌う」でも「ジャズ&スタンダード」でもこの曲をこれとほぼ同じアレンジで取り上げ、彼女なりのオマージュを捧げている。
Lover Come Back To Me - Nat King Cole
③Patti Page
パティ・ペイジといえば「テネシー・ワルツ」でキマリ、みたいなイメージがあるが、実際の彼女はジャズでもポップスでも歌いこなせるバリバリの実力派シンガー。このラバカンはノリノリのビッグ・バンド・アレンジでスインギーに歌っている。リズムへの乗り方なんかもう堂々たるものだ。2分6秒から入ってくる手拍子も時代を感じさせて実にエエ感じ。70年代以降の音楽が忘れてしまった単純な楽しさが横溢しているアレンジだ。
LOVER COME BACK TO ME ~ Patti Page
④ザ・ピーナッツ
日本が誇るスーパー・デュオ、ザ・ピーナッツがあのエド・サリヴァン・ショーに出演(1966年9月)した時の貴重な映像。こんなお宝映像まで見れるなんて、ホンマにYouTube さまさまですね(^.^) 宮川先生入魂の新アレンジ(他のアレンジはすべて却下されたらしい...)で得意の超高速シャバダバ・スキャットを披露する彼女らの堂々とした姿が実にカッコイイ(^o^)丿
恋人よ我に帰れ
⑤美空ひばり
1979年放送のTBS系音楽番組「サウンド・イン・S」の映像で世良譲のピアノをバックに歌い始める美空ひばり... いやはや凄い組み合わせだ。歌の途中から入ってくるしばたはつみ、その心意気は買うが、勇気と無謀とは違う。ひばりと並んで歌うというのは自殺行為に等しい。余裕の自然体で黒人顔負けのスイングを披露するひばりに対し、くずしたりリキんだりワメいたりしながら何とかして偽の感動を作ろうとしているように聞こえるその歌声は、引き立て役にすらなっていない。次元が違うとはこのことだ。
Standard medley
そんなスタンダード・ソングの中で私の超お気に入りの一つが「ラヴァー・カムバック・トゥ・ミー(恋人よ我に帰れ)」、通称ラバカンである。YouTubeにはスタン・ゲッツやベン・ウェブスターといったインスト・ヴァージョンの目ぼしいヤツがアップされてないので、ここでは主にヴォーカルものを取り上げてみた。
①Mildred Bailey
この曲の古典的名唱といえばミルドレッド・ベイリーだ。ラバカンは彼女の代表曲の一つで、私が知る限りでもデッカ、サヴォイ、そしてコロムビアと様々なレーベルで録音しておりそれぞれ甲乙付け難い素晴らしさなのだが、ここにアップされてるのはその中でも最も有名な1938年のコロムビア・レコーディングのもの。肩の力の抜けた自然な唱法で歌詞に秘められた女の情感を見事に表現しきっているのは凄いとしか言いようがない。3分6秒からの “Oh lover, oh lover” の独特の節回しもたまらない(≧▽≦)
恋人よ我に帰れ ~ミルドレット・ベイリー
②Nat King Cole
ビッグ・バンドをバックにアップテンポでスイングするという、その後のスタンダードな流れを作った名アレンジはビリー・メイによるもので、そのアレンジの素晴らしさを倍増させるようなスインギーな歌声を聴かせているのが最高の男性ジャズ・シンガー、ナット・キング・コールという、これはもう絵に描いたような名演だ。彼をお手本と仰いでいた美空ひばりは「ひばりジャズを歌う」でも「ジャズ&スタンダード」でもこの曲をこれとほぼ同じアレンジで取り上げ、彼女なりのオマージュを捧げている。
Lover Come Back To Me - Nat King Cole
③Patti Page
パティ・ペイジといえば「テネシー・ワルツ」でキマリ、みたいなイメージがあるが、実際の彼女はジャズでもポップスでも歌いこなせるバリバリの実力派シンガー。このラバカンはノリノリのビッグ・バンド・アレンジでスインギーに歌っている。リズムへの乗り方なんかもう堂々たるものだ。2分6秒から入ってくる手拍子も時代を感じさせて実にエエ感じ。70年代以降の音楽が忘れてしまった単純な楽しさが横溢しているアレンジだ。
LOVER COME BACK TO ME ~ Patti Page
④ザ・ピーナッツ
日本が誇るスーパー・デュオ、ザ・ピーナッツがあのエド・サリヴァン・ショーに出演(1966年9月)した時の貴重な映像。こんなお宝映像まで見れるなんて、ホンマにYouTube さまさまですね(^.^) 宮川先生入魂の新アレンジ(他のアレンジはすべて却下されたらしい...)で得意の超高速シャバダバ・スキャットを披露する彼女らの堂々とした姿が実にカッコイイ(^o^)丿
恋人よ我に帰れ
⑤美空ひばり
1979年放送のTBS系音楽番組「サウンド・イン・S」の映像で世良譲のピアノをバックに歌い始める美空ひばり... いやはや凄い組み合わせだ。歌の途中から入ってくるしばたはつみ、その心意気は買うが、勇気と無謀とは違う。ひばりと並んで歌うというのは自殺行為に等しい。余裕の自然体で黒人顔負けのスイングを披露するひばりに対し、くずしたりリキんだりワメいたりしながら何とかして偽の感動を作ろうとしているように聞こえるその歌声は、引き立て役にすらなっていない。次元が違うとはこのことだ。
Standard medley