shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

クイーンの京セラドーム公演に行ってきた①

2020-01-30 | Queen
  一昨日の火曜日、クイーンの京セラドーム公演に行ってきた。今回は初めての “同行募集” によるチケット購入のため、万全を期して京セラドームに向かったつもりだったが、あろうことかそんな肝心な時にケータイの充電池不良によるトラブルが発生し、チケットを持っている相手さんと連絡が取れなくなったのだ(>_<) ケータイごときに金を使うのが嫌で未だに10年前のガラケーを使っている報いなのかもしれないが、よりにもよってライヴの待ち合わせ時に壊れるとは...(*_*)
 時間は刻々と過ぎ、待ち合わせ時間を1時間過ぎても会うことが出来ず、一時は絶望しかけたのだが、とっさの思いつきでサービスカウンターに泣きつき、4Fのイオンモバイルのお店で充電させてもらって何とか相手のOさんと連絡がつき、開演30分前の6時半にようやく入場できたのだった。それにしてもあの時のドコモの若い店員さん、クイーンのスウェット着た50過ぎのオッサン(←つまり私)に “お願いです、充電させて下さい!!!” と切羽詰った表情で詰め寄られてめっちゃビビっとったなぁ...(笑) 次からはスイカのヘルメットかぶっていこ...
がんばれ!牛乳当番 小島ばにら


 とまぁこのように大事な大事なライヴの前にやらかしてしまった私だったが、他のチケ流メンバーさんたちがみんなめっちゃ親切で、憔悴しきっていた私を温かく迎え励まして下さった。聞くところによるとクイーン・ファンの仲間意識というのは相当強いらしく、クイーン好きと分かった瞬間から友人と認められるとのこと。これをその筋では “Q友” と言うらしい(笑) 私はやっと会えた安堵感とQ友たち(←全員妙齢のご婦人です)の優しさ、そして何よりもこれから生でクイーンが観れる喜びで、入場時にはすっかり元気になっていた(←単純!)。
 さて、いよいよ第4ゲートから入場だ。“クイーン公演の入場時は身分証明の提示を求められる”という前評判とは裏腹に、“カメラとかレコーダー類は持っていませんか?” “はい持ってません” “どーぞ” という簡単なやり取りだけでカバンの中を見せることもなく入場。ただ、金属探知機で全身をサーッとスキャンされたのにはビックリした。ワシらはテロリストちゃうぞ(笑) 私達の席は3塁側のS席で、アリーナ席とかなり近い目の高さながら傾斜がついているので視界良好だし、サイドと正面のちょうど中間あたりの位置なのでステージが非常に見やすい。これってめちゃくちゃエエ席やん! Oさんホンマにありがとうヽ(^o^)丿
          

 ルンルン気分で周りを見渡すと、女性の数が圧倒的に多い。それも50代以上と思しき女性が多い(←そう言えばドーム前のイオンでも京セラドームでも女性用トイレに気の遠くなるような長蛇の列が出来ており、みなさん目が血走っておられた...)のだ。世界的にブレイクする前からクイーンを追っかけ支え続けてきた筋金入りのファンたちなのだろう。因みに我がQ友Oさんも初来日公演を観に行ったというガチのファンで、フェイヴァリット・アルバムに「クイーンⅡ」を選ぶという猛者である。
 そんなこんなで開演時間の7時を10分ほど過ぎると場内の照明が暗くなり「Innuendo」のテーマをバックにステージ上の黄金に輝くクイーン・ロゴがせり上がっていく。そしてドームにあの聞き慣れた「Now I'm Here」のリフが響き渡り、ステージ上に設置されたまっ赤な幕がゆっくりと開き、ギターを持ったカーリーヘアのシルエットが浮かび上がると(←何このクソカッコ良い演出!!!)場内のヴォルテージは一気に最高潮へ! さぁ、ロックンロール・パーティーの始まりだ。 (つづく)
          

【おまけ】早速京セラドーム公演のダイジェスト映像がYouTubeにアップされました。皆さん仕事が早い!
【4K】2020 1 28 QUEEN+Adam Lambert Live Digest Japan Osaka Dome

新春音壁祭り②

2020-01-24 | Wall Of Sound
 フィレス・レコードといえばもちろんUS盤がオリジナルになるが、ビートルズの各国盤蒐集で味をしめた私は “他の国の音壁も聴いてみたい” と思い立ち、早速 Discogsで調べてみた。すると驚いたことにリアルタイムで出ていたフィレスの各国盤はUK、カナダ、オーストラリアといった英語圏のみで、ビートルズのようにインド盤やらブラジル盤といった珍盤レア盤の類は存在しなさそうなのだ。しかし逆にターゲットが狭まったことで “せめてUK盤とUS盤の聴き比べくらいはやってみたい...” という興味が湧いてきた。
 そこで早速ネットでUK盤のデータ集めを始めたのだが、海外セラーの説明には “Killer sound... better than US press!”(素晴らしい音... US盤よりも凄いで!)とあるし、ヤフオクの某セラーも “これを聴いてしまうとUS盤には戻れない” と、どこを見ても高評価のオンパレードだ。それもそのはずで、フィレスのUK盤は高音質で有名なロンドン・レコードが “AMERICAN SERIES” と銘打ってリリースしていたプラム・レーベルだった。
 このシリーズは私もジェリー・リー・ルイスやリトル・リチャード、エディ・コクランといった50'sロックンロールからクリス・コナーやクラーク・シスターズといったジャズ・ヴォーカルに至るまで10枚近く持っているが、そのどれもが確かにUS盤よりもクリアーでクリスプなサウンドなのだ。これは是非とも聴いてみたい。いや、聴かねばならぬ!
 ということで私はフィレス・レコードの7枚の中でプラム・レーベルのUK盤が出ている「He’s A Rebel」「Presenting The Fabulous Ronettes featuring Veronica」「A Christmas Gift For You」の3タイトルにターゲット・ロックオン。で、早速手に入れたのが私にとってポールの「RAM」に次ぐ無人島ディスクの最右翼と言っても過言ではないスーパーウルトラ愛聴盤のロネッツで、NM盤が£60(≒8,500円)なら超お買い得と言えるのではないか。このレコードはUS盤薄青レーベル、OZ盤黒レーベルの2枚を所有しているが、このUK盤との聴き比べがめっちゃ楽しみだ。
 次に手に入れたのはクリスタルズの「He’s A Rebel」で、この時点ではまだUSオリジナル盤すら持っていなかったため私にとってこのタイトルの最初の1枚になったのだが、VG+ 盤をロネッツと同じ£60(≒8,500円)でゲット。完成前夜の初期ウォール・オブ・サウンドがUKロンドン・レコードの手によってどのような音に仕上げられているのか興味津々だ。
 最後に買ったのが前回書いたMintなUS盤を手に入れたばかりの「A Christmas Gift For You」で、VG+ 盤を£45(≒6,400円)でゲット。これはUS 1stプレス、US 2ndプレス、そしてUK盤の三つ巴聴き比べが楽しみだ。結局3枚トータルで£165、送料込みでも1枚当たり1万円を切る値段で買えて、1年を締めくくるに相応しいお得な買い物だった(^.^)
 3枚とも年明け早々に届いたので簡単な感想を書いてみたい。まずはUK盤「Presenting The Fabulous Ronettes featuring Veronica」だが、さすがはロンドン・レーベルだけあってスペクターの意図したであろうウォール・オブ・サウンドのコアの部分を尊重しながらもよりクリアーなサウンドに磨き上げたという印象。特に「I Wonder」で聴けるロニーのヴォーカルは絶品だ。それに対してオリジナルであるUS盤薄青レーベルは良い意味での “古めかしさ” が濃厚に立ちこめるコテコテのウォール・オブ・サウンド。“古き良きモノラル・サウンド” で音壁をとことん堪能したいならUS盤、スペクターの音壁を高音質で楽しみたければUK盤、ということになるだろうか。因みにOZ盤黒レーベルは音圧はやや低めながらUK盤の音を更にモダンな方向に振ったような感じで、まるでステレオ・カートリッジで聴いているかのようなあっさり系のサウンドだ。大好きなロネッツ盤をこれからはその時の気分で三者三様の色んな音で聴けると思うと嬉しくてたまらない(≧▽≦)
The Ronettes - Be My Baby - live [HQ]

The Ronettes-I Wonder


 「He’s A Rebel」は聴き比べ対象が無いのでUK盤単独の感想になるが、音の傾向としては上記のロネッツ盤と同じで、籠りのないクリアーなウォール・オブ・サウンドが展開する。特にフィル・スペクターの代名詞と言っても過言ではない怒涛のカスタネット攻撃が堪能できる「Uptown」のインパクトは凄まじい。こーなってくるとやはりUS盤薄青レーベルを手に入れて聴き比べをやってみたくなるが、どっかに安ぅ売ってへんかなぁ...
He's A Rebel - The Crystals

1962 HITS ARCHIVE: Uptown - Crystals


 「A Christmas Gift For You」もめちゃくちゃ音が良くて大喜びなのだが、1ヶ所だけ音に出る小キズがあるのが残念(>_<) 比較対象のUS 1stプレスがノイズレスのMint盤ということでどうしても音質よりも盤質の差に耳がいってしまうのだ。このレコードも私的溺愛盤なので今後もしUKのMint盤を見つけたら衝動買いしてしまうかもしれない。因みにUS盤の薄青1stプレスと黄2ndプレスを聴き比べたところ、1stプレスの方がエコーの響きが深くて音場も広く感じるが、その違いはごく僅かなので、コスパを考えれば黄色い2ndプレスで盤質の良いのを買うのが一番賢明かもしれない。
 フィル・スペクターって何年か前に知り合いの女優を射殺したとかで今はまだ服役中(←ネットで調べたら禁固19年って書いてあった...)だったはずだが、まぁこれだけ素晴らしい作品を遺したのだから恩赦か何かで許したってもエエんちゃうかと思ったりもする。でもそうすると又トチ狂って誰かを撃ち殺してまうかもしれんからやっぱりアカンか... (笑)

新春音壁祭り①

2020-01-19 | Wall Of Sound
 今年のお正月休みはひたすらレコード洗浄に明け暮れてピッカピカになった盤を聴きまくり、“おぉ、このレコードこんなにエエ音しとったんか...” と再発見した盤も少なくなかったが、そんな中でも特にインパクトが大きかったのがフィレス・レコード、つまりフィル・スペクターが60年代初めに設立した自主レーベルからリリースされたロネッツやクリスタルズのレコードだった。
 フィレス・レコードと言えば何年か前にコンプリートCDボックスが出ており、音壁マニアの私はもちろん速攻で買ったのだが、残念なことに音が薄っぺらくてガッカリ。眼前に分厚い音壁が屹立せずして何のフィル・スペクターか! 私はCDのヘタレな音を聴いて “やっぱりウォール・オブ・サウンドはオリジナル盤に限るわ...” と痛感させられたのだった。
 フィレスのレコードは1stプレスが薄い青色のセンター・レーベルで、2ndプレスになるとレーベルの色が黄色に変わるのだが、この薄青1stプレスというのは非常に数が少なく、良い状態の盤を手に入れようとするとウン万円の出費を覚悟しなくてはならない。フィレス・レーベルから出ているレコードはクリスタルズ3枚、ロネッツ1枚、ボブBソックス&ザ・ブルージーンズ1枚、それら所属アーティストたちの寄せ集めコンピ盤2枚の計7枚。貧乏コレクターの私が持っている薄青1stプレスはクリスタルズのベストとロネッツの2枚だけで、それにコンピ盤2枚の黄2ndプレスを併せた計4枚でフィル・スペクターのリアル・ウォール・オブ・サウンドを楽しんできたが、 “7枚全部を薄青1stプレスで揃えたいなぁ...” という野望(?)は常に頭から離れなかった。
 今回の “手持ち盤一斉洗浄” で久々にこれらのフィレス盤を聴いて、チリノイズのほぼ無くなった音壁に改めて感銘を受け、禁断の “フィレス熱” が再燃。試しにDiscogsを覗いてみたところ、そこでとんでもない盤を発見した。盤は「A Christmas Gift For You」という例のクリスマス・コンピ盤なのだが、何とその薄青1stプレスの、しかもあろうことかMint(←未使用のこと)状態の盤が$150で出ていたのだ!
 先ほども書いたように私はこのレコードの黄2ndプレス盤を既に持っており、VG+状態だったものを徹底洗浄してNM状態で聴けるようになったばかりだったこともあって一瞬どうしようかとためらったのだが、“MINT ORIGINAL 1963 MONO PRESSING. BLUE LABEL. UNPLAYED DEADSTOCK. Crisp and Bright Cover no wear other than crease to top right corner. Warehouse find...ARCHIVAL Condition..total time machine deal.”(1963年に出た青レーベル・モノ盤の未使用デッドストック。倉庫で発見した“記録保存用”コンディションで、まるでタイムマシンを手に入れるような超お買い得品です。)という商品説明を読んで、理性が木っ端微塵に吹き飛んだ。なるほど、time machine dealとは実に上手い表現だ。それにコレを逃せばフィレスの1stプレスをMint状態で手に入れるチャンスなんて二度と巡ってこないだろう。そう考えた瞬間、私はこのレコードをカートに入れていた。
 更に“倉庫で発見ちゅーことはひょっとして他にもあるんちゃうやろか...” という予感が頭をよぎり、そのセラーの他の出品物を検索してみたところ、私が睨んだ通りコンピ盤「Today's Hits」の薄青Mint盤も売りに出ており、クリスマス盤と同じく “倉庫で発見したデッドストック” と書いてある。この盤はこれまで黄レーベル盤しか見たことがなく、薄青レーベルなんて夢のまた夢という認識だったのだが、そのMint盤が$190で手に入るとなればそんな千載一遇のチャンスを逃す手はない。私は他の誰かに先を越される前に買わねばと大慌てでこの盤もカートに入れ、2枚まとめて速攻オーダーした。
 でっかいパッケージが届いたのはそれから1週間たったクリスマスの日で(←これホント!)梱包を解いておそるおそるレコードを取り出すと、ジャケットも盤もピッカピカ(^o^)丿 う~ん、これは確かにタイムマシン・ディールである。私は1年の最後の最後になってとんでもないお宝を2枚も手に入れることができたことをレコードの神様に感謝した。
 そしていよいよ筆おろしならぬ “針おろし” である。カートリッジを買い替えといてホンマによかったわぁ... と胸をなでおろしながらまずはクリスマス盤に針を落とす。ほぼ無音状態からいきなり濃厚一発官能二発という感じのウォール・オブ・サウンドが眼前にドドーン!と現れ、生々しいダーレン・ラヴのヴォーカルが炸裂。これは凄い... いや凄すぎる!!! 確かに黄レーベル盤の音もめちゃくちゃ良かったが、この薄青レーベル・ミント盤の音はそれすらも凌駕する巨大な音壁を目の前に打ち立てたのだ。これが “音の鮮度” というやつか... そう、例の「Please Please Me」1G盤で体験したアレと同じだ。AB両面併せて35分間がアッという間に過ぎ去っていく。続いてかけた「Today's Hits」でもクリスマス盤同様の鮮烈なウォール・オブ・サウンドを堪能し、私にとっては最高のクリスマスになった。
 アメリカ音楽の聖地メンフィスの倉庫の片隅で埃をかぶっていた2枚のレコードが、遥か離れたこの日本の奈良という地で長~い眠りから覚め、フィル・スペクターが56年前に音溝に刻み込んだウォール・オブ・サウンドを見事に再現する... そこに何か不思議な縁のようなものを感じるし、これこそまさにレコード・コレクションの醍醐味やなぁ... などと感慨に耽りながら音壁三昧している今日この頃だ。
Various Artists - A Christmas Gift for you from... - Full Album

「スネークマンショー」&「増殖」

2020-01-16 | Paul McCartney
 ちょうど今から40年前の今日、ウイングス初の日本公演のために成田に到着したポール・マッカートニーが大麻不法所持で逮捕された。“寝ても覚めてもビートルズ” だった高2の私にとってポール・マッカートニーという人はまさに “現人神” と言ってもいい存在。そんなポールをナマで見れるのが楽しみで楽しみで、私はなけなしの小遣いを叩いてチケットを買い、1月28日のフェスティバルホールのコンサートを一日千秋の思いで待っていた。あの日、学校から帰ってきてテレビをつけたらちょうど晩のニュースをやっていて、手錠をはめられたポールの姿が目に飛び込んできた時は一瞬時が止まったような感じでアタマの中が真っ白になった。
 しかし私は公演中止のショックよりもポールが留置場に入れられていることの方が心配で、数日間拘留された後無事釈放されて国外強制退去になった時はむしろホッとしたというのが正直なところだった。その後、2月の寒空の下、新大阪にあったウドー音楽事務所までチケットの払い戻しに行ったのだが、払い戻し窓口のちょうど真横で幻となった来日公演のパンフレットを売っており、返金されたお金はその場でパンフに化けたのだった(笑)
 それから数ヶ月して「マッカートニーII」がリリースされ、例の「Frozen Jap」という曲のタイトルが物議を醸したが、私にとってポール逮捕の記憶を何よりも鮮明に思い出させるのは伊武雅刀と小林克也をフィーチャーしてシュールな笑いを追求したアルバム「スネークマンショー」の中に入っていた「はい、菊地です」という寸劇で、 “ポール逮捕をネタにすんなよ...” と思いながらもそのバカバカしいまでの面白さにハマってしまい、何度も何度も繰り返し聴いたものだった。まぁ “寒空に鼻水垂らして、なけなしの小遣い叩いて切符買った” 一人としては今聴いても高2の冬にタイムスリップしてしまう。
 私にとっては後輩刑事が “先輩、イギリスと戦争するつもりですか!” と菊地を制しながら小声で(笑)“すみません、私にも1枚お願いします...” と自分もサインをもらおうとするくだりが一番のツボ。“さっきカツ丼とってやったら喜んで食っとりました...” って、ポールがカツ丼食ってる姿を想像しただけで何だか笑えてきて、ポール逮捕のショックで凹んでいた私は何となく救われたような気がした。
 それにしてもこんなコントが成立するのって音楽界ではポールぐらいしかいないのではないか。警視総監がサインを欲しがるほどの人気と知名度を誇るスーパースターなんてどう考えても他にはちょっと思いつかない。ミック・ジャガーやフレディ・マーキュリーでは貫目が足らんし、やっぱりビートルズは格が違うなぁと改めて感じ入った次第。
Snakeman Show - はい、菊地です


 スネークマン/ YMO 関連のポール・ネタではもう一つ、YMOの10インチLP「増殖」に入っていた「ナイス・エイジ」の間奏部分に挿入された福井ミカ(←言わずと知れたサディスティック・ミカ・バンドのヴォーカル)のナレーション “ニュース速報;22番は今日で1週間経ってしまったんですけれども、でももうそこにはいなくなって、彼は花のように姿を現します... Coming up like a flower...”(←22番とはポールの拘置所内での番号)も忘れられない。「増殖」リリースの2ヶ月前に出たばかりのポールの最新シングル「Coming Up」のフレーズをさりげなく挟み込むあたりはさすがYMOだ。
Nice Age - YMO


【おまけ①】ワシが初めて「スネークマンショー」を知ったのはのぉ、ラジオ番組で偶然耳にした「スター・ウォーズ」のパロディーじゃった。色んな方言が飛び交う「帝国の逆襲」の吹き替えをやっとったんじゃがのぉ、こいつがまたえっとぉオモロぉて、カセットに録音して擦り切れるほど聴いたもんじゃった。「スター・ウォーズ」シリーズは何ちゅーてもよぉ、クソネズミに買収される前のⅠ~Ⅵが最高なんじゃ。ワシみたいな「仁義なき戦い」好きの「スター・ウォーズ」ファンじゃったら何回聴いても笑いが止まらんのじゃけぇ、かばちたれちょらんといっぺん聴いてみてつかいや。
スネークマンショー 仁義なき帝国の逆襲 方言篇


【おまけ②】「スネークマンショー」の代表作と言えばコレ。レコードやCDに入っている音声のみのヴァージョンももちろん面白いが、2人がテレビの「ドレミファドン」に出た時の貴重な映像(←“ヤングに話題集中のスネークマンショー” というテロップが時代を感じさせますな...)がYouTubeにアップされていたので是非ご覧あれ。尚、後半に入っている西城秀樹と桑田佳祐によるレコード店ヴァージョンもめっちゃオモロイ(^.^)
スネークマンショー これなんですか?


【おまけ③】「スネークマンショー」の隠れ名作としてイの一番に頭に浮かぶのが、選挙カーがちり紙交換カーに徐々に洗脳されていく「正義と真実」。伊武雅刀と小林克也の名人芸がジワジワきます...(^.^)
正義と真実/スネークマンショー

「Beatles For Sale」UKモノとステレオの最初期盤

2020-01-11 | The Beatles
 私がハマっているスタンパー・コード1桁盤というヤツは毎日ネットをチェックしていても中々出てこない。マトリクスまで書いてくれるセラーの数は最近になって少しずつ増えてきたように思うが、さすがにマザー/スタンパー・コードとなると、そこまで明記してくれるセラーは稀だし、何よりもまずブツの数自体が非常に少ないのだ。
 不思議なことに、そういったレア盤が市場に出るときは何故かまとまってドバーッと出ることが結構多く、先月も「Beatles For Sale」のモノとステレオ、「Help」モノ、「Please Please Me」ステレオの計4枚のスタンパー・コード1桁盤がほぼ同時期にeBayに出品され、“もしも全部取れたら来月の支払いどないしよ???” と贅沢な悩みを抱えたものだった。
 幸いなことにそれら4枚すべてをゲットでき、支払いも何とかなりそうなのだが、今日はその中から「Beatles For Sale」の2枚を取り上げよう。まずは先に届いたステレオ盤をB-SELSに持って行った時の話から...

 私:今日は「For Sale」ステレオの両面1G盤でっせ。
 Sさん:両面1Gって、こりゃまたスゴイの手にれはりましたねー。おぉ、A①「No Reply」、めちゃくちゃクリアーですね。これは素晴らしい...
 私:盤質がエエからスタンパーの若さが引き立つんでしょうね。
 Sさん:(A②「I'm A Loser」のイントロでうんうんとうなずくと曲の途中でかぶりつきの席へと移動し、首を振り振りリズムを取りながら)めちゃくちゃ良い音ですね~、声もギターも。
 私:A③「Baby's In Black」も音が澄んでますよ、これ。A④「Rock And Roll Music」の質感が良いですね。
 Sさん: A⑤「I'll Follow The Sun」ですけど、こういう曲で一番ハッキリ差が出ますよね。私はギターの音が好きなんですけど、これは本当にキレイな音がしますね。さすがは 1G!
 私:音溝の状態が抜群に良いんでしょう。
 Sさん:当時ちゃんとステレオ針で聴いてたんでしょうね。
 私:そうそう、ビートルズの黄パロ・ステレオって時々溝がモノ針でやられてる盤ありますもん。
 Sさん:B①「Eight Days A Week」のクラッピングの音が違いますね... 特に良いですね、これ。聴く前 “1G盤ってどれくらい良い音するんかなー?” って思ってたら本当に期待通りの音でした。
 私:ギター好きのSさんが純粋にギターの音を楽しむには最高のアルバムじゃないスか?
 Sさん:(B③「Honey Don't」を聴いて“ほぉ~”と感心しながら)キレイな音やなぁ...
 私:B⑤「I Don't Want To Spoil The Party」ってビートルズの曲の中でもわりと地味な存在だと思うんですよ。でもこれを聴いたら評価が爆上げになるんとちゃいますかね。
 Sさん:これだけギターがエエ音しとったら、これはもうジョージのアルバムって言ってもいいですね。モノラル盤ではジョンの声ばっかり目立ってましたけど、このステレオ盤はジョージのギターが一番目立ってます。ギター・ソロの方ばかりに耳が行ってしまいますからね。
 私:ギターが縦横無尽に鳴ってますもんね。ジョージが活き活きとプレイしているのがよくわかります。
 Sさん:ジョージのギターをここまで聴かせる盤って他にないですよ。
 私:1GのGはジョージのGということで...(笑)

尚、その数日後に届いた「Beatles For Sale」モノラル盤はスタンパーが 1G/1RM だったが、盤質がほぼミント状態の極美盤ということもあって、最初からほぼノイズレス状態。こんなトップ・コンディションの盤には滅多に出会えないのでもう嬉しくってたまらない。これも後日超音波洗浄してから B-SELSに持って行ってSさんに聴いていただいたのだが、曲間の無音部の静けさに開口一番 “静かやなぁ...” と驚かれ、曲が始まると “ギターの煌めきが違いますねー、やっぱり....” とニコニコしながら聴いておられた。結局2人ともほぼ無言で全曲聴き終わった後、Sさんの発した“う~ん、スゴイですね。ブラボーです。” という言葉と、何よりもその満面の笑みがすべてを物語っていた。

荻野目ちゃんのシングル盤特集②

2020-01-08 | 昭和歌謡・シングル盤
前回に引き続き、今日も荻野目ちゃんのシングル盤特集です。

①ストレンジャーtonight / Bus Stop
 シングル盤というのはもちろんA面目当てで買うのが普通だが、B面に予期せぬ名曲が入っていると何だかめっちゃ得した気分になれる。荻野目ちゃんでいうとこの「ストレンジャーtonight」のシングルがまさにそれで、カップリング曲があのホリーズの大名曲「Bus Stop」のカヴァーなのだから涙ちょちょぎれる。オールディーズならではの極上のメロディーをいつになくしっとりと歌い込む荻野目ちゃんのヴォーカルはファン必聴だ。そしてそんな名カヴァーに負けないくらい素晴らしいのがA面の「ストレンジャーtonight」で、まるで一筆書きで描いたような流麗なサビのメロディーがめっちゃ気持ちイイ。80'sモロ出しのシンセ・サウンドで飾り立てられたダンス・ビートが郷愁を誘う名曲名演だ。
15 ストレンジャーtonight

BUS STOP / 荻野目洋子


②湘南ハートブレイク
 風雲急を告げるようなこの大仰なイントロを初めて聴いた時は “何やこれ、エイジアやんけ!” と大笑い。やがてドラムが加わり、さぁここでジェフリー・ダウンズのシンセが高らかに鳴り響くぞ~と身構えていると、こちらの予想に反して聞こえてくるのが何の変哲もないギターで(←せめて “Don't Cry” のスティーヴ・ハウみたいに大仰に弾いてくれたらオモロかったのに...)、あっという間に現実に引き戻される。考えすぎかもしれないが、曲のキーもジョン・ウェットンの声に合ってるように思うので、エイジア・ヴァージョンを頭に描きながら聴く(←そんな奴おらんやろwww)のも一興だ。冗談はさておき、シングル曲としてのクオリティーは抜群に高く、昭和歌謡の伝統に則った哀愁舞い散るメロディー展開は秀逸そのもの。荻野目ちゃんのシングルの中では一二を争う名曲だと思う。
荻野目洋子 湘南ハートブレイク


③ねえ
 「湘南ハートブレイク」以降のシングルはどれもこれもメロディーが薄味でサウンド・プロダクションもインパクトに欠け、私的にはシングル曲としてのクオリティーがイマイチという感じだったが、この曲は一聴して耳に残るキャッチーな仕上がりだ。それもそのはず、この曲は80'sポップスのオイシイ所をかき集めて作られた痕跡がそこかしこに見え隠れしていて、私のような洋楽ファンはそれだけで親しみが湧く。曲想はずばりボウイ&ジャガーの「Dancing In The Street」('85)で、MARRSの「Pump Up The Volume」('87)直系のハウス・ビートと「Joshua Tree」('87)期のU2を想わせる煌びやかなギター・サウンドをバックにクネクネと踊りながら歌う荻野目ちゃんが最高だ。
19 ねぇ


④コーヒー・ルンバ
 私はこの「コーヒー・ルンバ」という曲が大好きで、このブログを始めた当初に特集した記憶があるが、数あるカヴァー・ヴァージョンの中でも原曲である西田佐知子のイメージが強いこの曲を換骨奪胎し、バリバリのダンス・ミュージックに仕上げたこの荻野目ちゃん・ヴァージョンが断トツに気に入っている。和製マドンナと言っても過言ではないくらい抜群のリズム感で歌い踊る彼女の姿が楽しめるミュージック・ビデオ(←90年代邦楽ビデオにありがちな押しつけがましいアホバカ映像処理が鬱陶しいが...)も良いが、復帰後のライヴで魅せる全くブランクを感じさせないキレッキレのダンス・パフォーマンス(←志村けんのパロディーは何度見ても笑える,,,)も最高だ。やっぱり荻野目ちゃんはエエなぁ... (≧▽≦)
荻野目洋子 コーヒー・ルンバ

荻野目ちゃんのシングル盤特集①

2020-01-05 | 昭和歌謡・シングル盤
 生来面倒くさがり屋の私はレコード棚の整理という根気がいる作業は正直あまり好きではない。しかし日々増え続けるレコードを床に放置するワケにもいかず、正月休みを利用して、シングル棚の増設・整理をすることにした。無音状態での作業は嫌なのでBGMにエエやろとたまたま手元にあった荻野目ちゃんのシングル盤をかけたのだが、これが逆効果で懐かしい彼女の歌声にすっかり耳が釘付けになってしまい、結局その日はレコード整理を放っぱらかして彼女のレコードを聴いたりDVDを見たりして実に有意義な(笑)1日を過ごすことになった。特に最近はビートルズしか聴いていなかったので久しぶりに聴く邦楽はめっちゃ新鮮! そういえばこのブログで荻野目ちゃんを取り上げたことはなかったように思うので、今回は彼女のシングル盤の中から特に気に入っている曲を特集することにした。ビートルズ・ファンのみなさん、すんませんな... このブログは何でもアリですねん(^.^)

①ダンシング・ヒーロー
 荻野目ちゃんの代表曲と言えばもちろんコレ。私にとっては80's J-Popsの3指に入る大名曲だ。この曲は日本のソングライター・チームが彼女のために書き下ろしたオリジナル曲ではなく、イギリスの女性シンガー、アンジー・ゴールドの「Eat You Up」という曲に日本語詞を付けてカヴァーしたもので、一過性音楽に過ぎないディスコ・ナンバーだった原曲に見事なアレンジを施して十分時の試練に耐えうるJ-Popsの名曲へと昇華させているところが凄い。彼女の伸びやかなヴォーカルとの相性も抜群で、えも言われぬ高揚感を生み出しているし、2014年のリメイク・ヴァージョンで採用されたユニークな振り付け(←“バード・ダンス”っていうらしい...)もめっちゃ楽しい。2年ほど前に高校生のダンス・コンテストがきっかけで “バブリー・ダンス” のアンセムとしてこの曲が脚光を浴びたことはまだ記憶に新しいが、30年という時を経ての再ブレイクが彼女のアーティスト・パワーの凄さを物語っている。アラフィフとはとても信じられないような美しさでキレッキレのダンスを披露する荻野目ちゃんは私にとって永遠のアイドルなのだ。
AEY853 ダンシング・ヒーロー③ 荻野目洋子 (1985)190825 vL HD


②六本木純情派
 “荻野目洋子”でYouTube検索すると、オートコンプリートで「六本木心中」(→それはアン・ルイスやろ...)の方が「六本木純情派」より上に来るのが笑えるが、まぁどちらも80年代半ばの大ヒット曲なのでごっちゃになるのもしゃあないか。因みにこのタイトルは、当時六本木に出来たばかりの全日空ホテルで製作スタッフが新曲の打ち合わせをしていた時に彼女の事務所の社長が “ここは六本木だから「六本木〇〇」にしよう” と発案して決まったという。何ちゅーテキトーな決め方しとるねん... と呆れてしまうエピソードだが、ヒット曲の裏側というのは案外そういうものなのだ。この曲は彼女のキャリアにおいて非常に重要な意味を持つシングルで、「ダンシング・ヒーロー」でユーロビート歌謡の頂点を極めた彼女が “一発屋” に終わることなく、古き良き昭和歌謡のテイストを巧く取り入れながら更にビートを強調した、いわゆるひとつの “ダンス・ビート歌謡” のディーヴァとして力強い一歩を踏み出すことになった、エポックメイキングな1曲だ。レイ・チャールズの「Unchain My Heart」を裏返しにした様なクールなAメロからサビの“Who are you...” へとなだれこんで一気に盛り上がるパートがたまらなく好きだ。
荻野目洋子 六本木純情派(2018年12月)


③湾岸太陽族
 50年代日本の若者風俗を指す「太陽族」という言葉を80年代において復活させたのは81年にアルバム「ステレオ太陽族」を出したサザンの桑田だと思うが、それを更に世間一般にまで浸透させたのは間違いなくこのシングルだろう。「六本木純情派」といい、「湘南ハートブレイク」といい、タイトルに地名の入った荻野目ちゃんのご当地ソングにハズレ無しだが、この「湾岸太陽族」もまた然り。極論かもしれないが、突然変異的な大ヒット曲「ダンシング・ヒーロー」を別格とすれば、彼女の真価はこの3曲にあると言っても過言ではないと思う。80年代ポップスらしい煌びやかなデジタル・サウンドを身にまとってはいるが、メロディー・ラインは昭和歌謡の王道を行くマイナー調路線で、その哀愁舞い散る曲想と彼女のヴォーカルが絶妙なマッチングをみせている。エディー・ヴァン・ヘイレンとリック・デリンジャーとスティーヴ・ルカサーを足して3で割ったような(?)ギター・ソロが80's洋楽で育った私にはたまらんです(≧▽≦)
荻野目洋子 湾岸太陽族


④さよならの果実たち
 筒美京平という人はまさに天才という言葉が相応しい作曲家で、60年代後半に日本の音楽界にアレンジ革命を起こし、その後70年代、そして80年代と第一線でヒット曲を連発するその天才ぶりは “日本のポール・マッカートニー” と言っても過言ではない孤高の存在だ。そして京平先生が初めて手掛けた荻野目ちゃんのシングルがこの「さよならの果実たち」で、他の80年代筒美作品と同様にアレンジは他の人に任せて自分は作曲に専念するというスタイルを取っている。作詞は “80年代の阿久悠” 的ヒットメーカーの売野雅勇で、彼の得意とする “マイナー調のビート・ミュージックにカッコイイ音感のフレーズを乗せていく” という手法が筒美メロディーと見事にマッチし、荻野目ちゃんのクールな魅力を引き出すのに成功している。尚、この曲に続いてリリースされたシングル「北風のキャロル」も売野&筒美コンビの作品で、そちらもこの「さよならの果実たち」と甲乙付け難いクオリティーの名曲だ。
14 さよならの果実たち

「Sgt. Pepper's...」Widespine & 1P 盤

2020-01-01 | The Beatles
 あけましておめでとうございます。2020年は何と言っても「Let It Be」50周年で盛り上がりそうですし、ひょっとするとポールが2年ぶりに来日するかもしれないので新年早々気合いが入ってます。今年もこれまで通り、ひたすら自分の好きな音楽の道を極めていきたいと思いますので、宜しければこの “音楽極道ブログ” にお付き合いくださいm(__)m
 さて、2020年の1発目もまたまたUKオリジナルのスタンパー1桁盤である。ブツは「Sgt. Pepper's...」のモノラル盤で少し前にeBayに出品されたものだが、マザー/スタンパー・コードが “1GL/1P” という最初期プレスであることに加え、ジャケットがコレクター垂涎のワイドスパイン(背表紙の広い)仕様だと商品説明に書いてある。普通ならすぐに売れてしまいそうなものだが、BUY IT NOW £140という値付けで盤質はヴィジュアル・グレードでVGとなっており、“Many light marks and hairlines”(軽い擦れや細い傷がいっぱい)という説明を見てコレクター諸氏も二の足を踏んだのか、ずっと売れずに残っていた。
 私としては “1GL/1Pの音” には大いに魅かれるが、かと言って盤質がイマイチではせっかくの鮮度の高さが台無しである。これが VG+なら即決もアリだが、それよりワンランク低いVG(≒ダメージ有り)というのは購入を決める上で一番迷ってしまう悩ましいグレードなのだ。
 そこで私はセラーに “こっちは大金を払うんやから実際にプレイチェックしてもっと詳細な情報をよこせ。” とメールしたところ、その翌日に “Much better than its visual grade. No sticks or skips. All in all a decent playing copy.”(見た目よりもずっと良い音。針飛びなし。総合的に言ってそこそこ良い盤。)という返事が返ってきた。私はコレを読んで一か八かの賭けに出る決心がついたのだが、折角なのでここはひとつ強気で押してやろうとダメ元で1割引きの£126でオファーしてみたところすんなりとOKが出て、結局送料込みでも2万円弱で買えたのでラッキーだった。
 それから1週間後にレコードが届いた。ジャケットはめっちゃしっかりしていて状態が良く、初めて手にするワイドスパインのマッシヴな作りに大コーフン! 手持ちの通常盤が背幅5mmなのに対し、こちらは8mmなのだが、たかが3mmと侮るなかれ、レコード棚に並べてみるとその差は一目瞭然で、ワイドスパイン盤はその隣に並んでいる2枚組「White Album」と遜色ない分厚さで存在感を主張しているのだ。
        

 さて、次はいよいよ気になる盤質だ。レコードを取り出してさっと目視でチェックしたところ、確かにセラーの言うとおり細かいスリキズがいっぱいあって見た目はイマイチだが、音に出るような深い傷は無さそうだ。あとは実際に聴いてみるだけだったが、その前に念のためにマザー/スタンパー・コードを確認したところ、驚きの事実が発覚... B面はセラーの説明通りの “1P” だったが、 A面は何と “1GL” ではなく“4AL” ではないか! 何じゃいこれは??? 私は一瞬我が目を疑った。しかし何度見返してもデッドワックスの9時方向に刻まれた数字は無慈悲な “4” のままで、決して “1” には見えない。ハッキリ言って騙されたような気分だ。
 テンションMAXから一気に奈落の底へ突き落されたかのような(←そんな大袈裟な...)暗~い気持ちでとりあえず “1P” のB面に針を落とすと、スピーカーから飛び出してきたのは “さすがは1桁スタンパー!!!” と小躍りしたくなるようなキレッキレの骨太サウンドで、若干のチリパチ音はあるものの、この程度のノイズなら超音波洗浄でキレイに取れそうだ。「A Day In The Life」が終わって盤をひっくり返し、今度は “4AL” のA面にいく(←何ちゅー聴き方や...)。こちらもB面ほどではないにせよかなり生々しい音で、“これが1GLの音ですよ” と言われれば信じてしまいそうなクオリティーの高いモノラル・サウンドだ。
 とりあえず超音波洗浄を施して再度プレイチェックしてみたところすっかりチリパチ音が消え、VGだったものが2ランクも3ランクも上の EX+ / NM レベルの美音盤に大変身。やっぱりレコード・クリーニングって大事やわ(^.^) その日はちょうど B-SELSに行こうと思っていたので早速この届いたばかりの「ペパーズ」を持参することにした。以下、その時の会話;
 私:今日は「ペパーズ」の“1P”盤持ってきましたで。
 Sさん:おぉ、これはめちゃくちゃ状態の良いワイドスパイン・ジャケットですね! 凄いなぁ...
 私:ワイドスパイン・ジャケットってそんなに価値があるんですか?
 Sさん:そりゃぁもう... 特にこんなに状態の良いワイドスパインなんて滅多に出てきませんよ。これだけでも “万” の価値がありますね。
 私:ひょえ~、そんなこととは露知らず... 実はA面のマザーが商品説明の “1” やのうて “4” やったんで落ち込んでましてん。
 Sさん:そんな贅沢な... それに音もすごく良いじゃないですか! この音でワイドスパインならマザーが“4”だろうが何だろうが関係ないですよ。
 私:確かにそうなんですけど、商品説明と違うものを送ってきよったんでね... 何か騙されたような気分になりましてん。
 Sさん:でも良い音してますよ。
 私:おっしゃる通りですね。手持ちのスタンパー3桁盤と聴き比べたんですが、こっちの方が全然エエ音でしたわ。
 Sさん:でしょ? それに何度も言いますが、このワイドスパイン・ジャケットって押しつぶされてへしゃげてるのがほとんどなので、これだけしっかりしてるヤツはめっちゃ貴重ですよ。
 私:なるほど。それによくよく考えてみれば私は “良い音”を求めてレコードを買ってるんであって、決して“若いマザー/スタンパー・コード”が目的じゃないですもんね。本末転倒になってましたわ、お恥ずかしい...
 Sさん:いやいや、お気持ちはよく分かりますよ。
 私:いや、これでスッキリしましたわ... それにしてもエエ音してますなぁ...(笑) これ、ハッキリ言って “モノのニンバス盤” って呼んでもいいくらいの高音質です。
 Sさん:ハハハ、確かに。それにしてもエエ買い物しやはりましたなぁ... 毎度のことながら、良いレコードを手に入れる shiotchさんの “引きの強さ” には驚かされます。
 私:いやいや、こちらこそコレクター道を踏み外しそうになってたところを正して下さって感謝感謝です。頑張ってまたエエ盤手に入れますわ!