shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

赤盤青盤のアイルランド盤

2020-06-28 | The Beatles
 私はアイルランド盤のガッツ溢れる音が大好きで、ビートルズ関連の盤が出ていると必ず買うようにしている。もちろん基本的にはUKマザーの音なのだが、プレス枚数が極端に少ないせいか、鮮度の高い音が楽しめて意外な掘り出し物に出会えることが多いのだ。このブログでもジョンの「ロックンロール」「サムタイム・インNYC」やポールの「バンド・オン・ザ・ラン」「バック・トゥ・ジ・エッグ」などを取り上げてきたが、今年に入ってついに本家ビートルズのアイルランド盤を入手した。ちょうど新型コロナで国際郵便網が麻痺する直前の3月初めに買ったのだが、それが今回取り上げる「The Beatles 1962-1966」と「The Beatles 1967-1970」の2枚で、どちらも同じセラーから立て続けに落札。赤盤が€34.85で青盤が€36.85... 2枚組のベスト盤2セットで送料込みでも1万円以下という安値で買えて大喜びだ。私はいつものようにこのレコードをB-SELSに持ち込んだのだが、時間の関係で赤盤のみの試聴となった。
 私:今日はアイルランドの赤盤を聴きましょう。マトは3/4/3/3/ですが、4面共にI.R.L.の刻印があります。どうですか、この音?
 Sさん:しっかりした音ですね。いやぁ、カッコイイです。
 私:私はこの音好きですね。ただ、「Please Please Me」や「All My Loving」の左右泣き別れステレオではヴォーカルが演奏に負けちゃってるのが惜しいですけど。
 Sさん:演奏はどれもめっちゃパワフルですね。それと、「And I Love Her」のバランスはすごく良いと思います。
 私:UK盤とちゃんと聴き比べたワケじゃないですが、どの曲も芯のある音で良いですね。
 Sさん:ロック色が強いですね。やっぱりプレス枚数の少なさが効いてるのかな。
 私:おぉ、この「Help!」の躍動感はハンパないですね。
 Sさん:「We Can Work It Out」はタンバリンに耳が行っちゃいます。この音作りはユニークですね。
 私:次の「Day Tripper」もそうですよ(笑)
 Sさん:特にこういうロック系の曲がいいですね!
 私:それにしても赤盤って国によって音が全然違いますね。
 Sさん:そうそう、まずマトが違いますからね。
 私:私はこの “ロックな赤盤” 大好きです。Side-4はどうでしょう? 感じ変わりますかね?
 Sさん:「Michelle」のギターの音が違いますね。
 私:バラッドでもドライで辛口というか、ハードボイルド路線を貫徹してますし、イケイケの「Paperback Writer」なんてアイルランド盤にドンピシャの音ですよ。
 Sさん: 確かに... (笑)。バック・コーラスの影が薄くてとにかくギターがガンガンきますね。コレは凄い!
 私:「Eleanor Rigby」のアグレッシヴなストリングスもエグい...(笑)
 Sさん:ホンマにアグレッシヴですねぇ。
 私:「Yellow Submarine」のアコギも元気元気!
 Sさん:UK盤と同じハリー・モスのカッティングなのに、何だかDMM録音盤を聴いてるみたいです。
 私:音が生々しいですよね。
 Sさん:良い意味で、カッティング・エンジニアの意思をよく伝えてくれるレコードですね。
 私:お気に召したようでよかったです。持ってきた甲斐がありましたわ。

尚、B-SELSで一緒に聴けなかった「The Beatles 1967-1970」の方も同傾向の音作りで「Lady Madonna」や「Back In The USSR」、「Ob-La-Di, Ob-La-Da」なんかもうノリノリのイケイケ・サウンドが気持ち良かったし、盤質が良いせいもあってか「Here Comes The Sun」がめっちゃ生々しい音で聴けて嬉しかった。これはエエ買い物しましたわ (^o^)丿

「Let It Be」の 2U-2G盤

2020-06-22 | The Beatles
 ピーター・ジャクソンが監督したビートルズのドキュメンタリー映画「The Beatles: Get Back」の劇場公開が来年の8月へと1年延期になったというニュースが飛び込んできた。今の世界の現状を考えるとこればっかりはどうしようもないが、ファンとしては楽しみが少し先に延びただけとポジティヴに受け止めて前に進むしかない。ポール来日の夢も吹っ飛んでしまったし、習金平とWHOのヒゲメガネだけは絶対に許せへんわヽ(`Д´)ノ
 そんな新型コロナ・パンデミックのせいで今年の前半は海外オークションには目ぼしいレコードがほとんど出てこなかった。しかしその一方でB-SELS では4月に「Rubber Soul」のインド盤、5月に「A Hard Day's Night」の南ローデシア盤と、月1枚のペースでレアな高音質盤を手に入れることができてめちゃくちゃエエ思いをさせていただいた。ついこの間も凄い盤を1枚購入させていただいたので、今日は B-SELS祭り第3弾としてそのレコードについて書きたいと思う。
 そのレコードというのは「Let It Be」のUKオリジナル盤。ジャケ裏のリンゴは緑でA面はマト3U & マザー/スタンパー 2GRDと一見どこにでもありそうな2ndプレスなのだが、問題なのはB面で、マトが2Uでマザー/スタンパーは何と驚異の2Gだ! しかも盤質極上のピッカピカ盤なのだからこれはエライコッチャである。
 そもそも「Let It Be」というアルバムはA面に「Across The Universe」と「Let It
Be」、B面に「The Long And Winding Road」とバラッドの超名曲が3曲も入っているのが大きな魅力なのだが、悲しいことに何故かこれら3曲にキズがついていることが多く、気持ち良くイントロを聴いている時にいきなりバチバチとノイズが入るとせっかくの静謐なムードが台無しになってしまう。しかもレコード針がノイズを拾いやすいステレオということもあって、1枚丸ごと気持ち良く聴けるNM盤を探すだけでも一苦労なのに、それで尚且つ若いスタンパーの盤を見つけるとなるとこれはもう至難の業なのだ。
 職業柄これまでに何十枚何百枚と「Let It Be」UKオリジナル盤を聴いてこられたSさんにも尋ねてみたが、ボックス・セットに入っている裏ジャケ赤リンゴの最初期盤でさえもスタンパー・コードが2桁のものばかりでスタンパー1桁の盤にはお目にかかったことがないと仰っていた。私もこの1年ほどビートルズのUKオリジナル・スタンパー1桁盤が出てこないかなぁと毎日のように海外オークションをチェックしているが、この「Let It Be」だけは一向に出てくる気配がない。
 しかしこのようにネットを駆使して探し回っても見つからなかったそんなスーパーウルトラ激レア盤が何と 地元奈良のB-SELS にあったのだからまさに灯台下暗しである。その店頭ポップには “レア中のレア!! B面初回2U、スタンパー2G美盤、スゴイ音です。” とあり、“2G” を指して “これがどれくらい貴重かおわかりいただけますでしょうか?” と書かれている。これを見てコーフンしなければレコード・コレクターではない。
 私は壁面を飾っていたこのレコードを指差して “これ聴かせて下さいっ!!!” とやや上ずった声で(笑)お願いし、いつものように2人で試聴開始。A面はごく普通の3Uでスタンパー・コードも3桁なのだが、盤質が良いせいかめちゃくちゃ良い音で鳴る。3Uでこれやったら2U/2GのB面は一体どれほど凄いねん?とワクワクしながらB面にいく。おぉ、何という生々しい音なのだろう!!! 「I've Got A Feeling」のベースの音が超ヤバい(≧▽≦) しかし一番ビックリしたのは「The Long And Winding Road」で、こんな凄い音でこの曲のオーケストラのサウンドを聴いたのは生まれて初めてだ。“凄いっスねぇ、この音...” と言うと“そうなんですよ。私もビックリしました...” とSさん。「For You Blue」のグルーヴも「Get Back」の凄まじいノリもキズ一つない “2Gサウンド” で再生されてただただ圧倒されるばかり... (≧▽≦) ただ、悲しいことにこの日はキャッシュの持ち合わせがなく、後ろ髪を引かれる思いでお店を出た。
 しかし家に帰ってからもお店で聴かせていただいた “あの音” が忘れられず、その日から数日間は悶々としながら毎日を過ごすことになった。ちょうど南ローデシア盤を買ったばかりでレコード資金が底をついていたのだ。だがしかし、ここで思わぬ臨時収入が舞い込んだ。そう、例のコロナ給付金10万円である。私は奈良市の振り込み開始日である6/10から毎日仕事帰りにATMをチェックしていたのだが、それが6/16になってやっと(←遅いっ!!!)振り込まれたのだヽ(^o^)丿 おぉ、これで2G盤が買えるわい!と大喜びした私は早速その翌日の仕事帰りにB-SELSへと直行した。尚、この日はちょうどB-SELSの開店記念日だった。
 私:こんばんは。開店2周年おめでとうございます。
 Sさん:ありがとうございます。今日は平日なのにどうされたんですか?
 私:お店の記念日を一緒にお祝いしようと思いまして。それに例の2G盤が気になってまして、もう一度聴かせていただきたかったんです。比較対象に手持ちの2U/3U盤も持ってきましたのでお願いできますか?
 Sさん:もちろんいいですよ。(まず持参した盤をかけていただく)これはA面が2UでB面が3Uなんですね... A面のマザーが1っていうのは貴重ですよ。
 私:手持ちの赤リンゴ2U/2U盤はちょっとキズがあるのでこっちばっかり聴いてしまうんです。このレコードは盤質が命ですからね。
 Sさん:確かに...。B面も良い音してますね。
 私:でもこの「The Long And Winding Road」はやはりそれなりというか、3Uの音ですよね。この前聴かせていただいた2U/2Gの異次元サウンドとは明らかに違いますもん。じゃあいよいよ2G盤のB面をかけてもらえますか?
 Sさん:いいですよ... どうですか?
 私:いやぁ、やっぱり違いますよ。「I’ve Got A Feeling」も「One After 909」も、押しの強さが一枚も二枚も上ですね。躍動感が違います。
 Sさん:いよいよ「The Long And Winding Road」です。
 私:うわぁ... オーケストラのこの臨場感はこれまで聴いたことがないものです。音像が立体的というか目の前にフワ~ッと広がるように立ち現われますね。それと、ポールの声も明らかに違います。薄皮を1枚剥いだような感じですよ。
 Sさん:これがスタンパー“G” の音なんですね。凄いなぁ...
 私:この高揚感は他の盤ではちっと味わえませんし「Get Back」のグイグイくる感じもハンパないですね。参りました。
 Sさん:ボックス・セットの赤リンゴ盤でもスタンパー2桁のしか聴いたことがありませんが、これほどの音はしてませんでした。盤質という要素も大きいですが、やっぱり “G” は別格なんですね。
 私:これいただきます!
 Sさん:いつもありがとうございます。
 私:いえいえ、こちらこそいつも良いレコードを売っていただいて感謝感謝です。今日は来てホンマによかったですわ。

【祝!B-SELS 2周年】「Rubber Soul」のインド盤1stプレス!

2020-06-17 | The Beatles
 奈良が世界に誇るビートルズ・アナログ・レコードの名店 B-SELS が今日6月17日で開店2周年を迎える。このお店は “ビートルズを少しでも良い音でお客さんに聴いてほしい” という素晴らしい信念をお持ちの店主Sさんがマザー/スタンパーの若い盤や高音質な各国盤に力を入れた品揃えをされており、この2年の間に音の良い掘り出し物のレコードを何十枚と買わせていただいた。Sさん、ホンマにいつもありがとうございます。そしてこれからもどうぞ宜しくお願い致しますm(__)m
 今年上半期に買ったアナログ・レコードは新型コロナの影響もあって例年よりも少なく、さっき数えてみたらちょうど60枚だったのだが、そんな中で最も音の良かったTop 3が「White Album」の1G/1G盤、前回取り上げた「A Hard Day's Night」の南ローデシア盤、そして少し前に B-SELS で買った「Rubber Soul」のインド盤で、何とトップ3中の2枚が B-SELS 購入盤なんである。ということで今回はB-SELSに敬意と感謝を込めてそのインド盤「Rubber Soul」を取り上げよう。
 あれはまだコロナウイルスが猛威を振るっていた4月半ばの事で、お店HPの4/14付の「日記」でSさんが「RUBBER SOUL INDIA!」というタイトルでこのレコードのことを取り上げられたのを目にしたのがそもそものきっかけだった。「Rubber Soul」のインド盤はモノラル盤もステレオ盤(←A面だけローカル・リカット)も両方とも持っていた私は一体どんな感想を書かれているのだろうと興味津々でそのコラムを読み始めた。
 “『RUBBER SOUL』のインド・オリジナル・ステレオ盤を出品した。”という書き出しで始まり、“特に「NORWEGIAN WOOD」のジョージのシタールをインド盤で聴きたい!ということで人気のインド盤であるが...” と、ここまではごく普通の導入部だったが、その後に続く “B-SELSに出品したのは、両面ともUKマザーの盤。” という一行で私のテンションは急上昇した。
 ただでさえ絶対数の少ないインド盤はたまにオークションで見かけてもそのほとんどが怪しいローカル・リカット盤で、その音質もピンからキリまで玉石混交状態というのが正直なところ。私の経験上では “玉” よりも “石” をつかむ確率の方が高いように思うのだが、その数少ない“玉” に該当するのがUKマザーのインド盤で、これまでも「White Album」や「Revolver」でその音の素晴らしさを実感していた私は “これはエライコッチャ!” とコーフンしながらそのコラムを読み進めた。
 すると“R/Gという最初期スタンパー” で “盤質が素晴らしく”“本当に良い音がする” と書かれている。お店でかけたらお客さんが “すごい音ですね!” と何度も褒めちぎっておられたとのこと。これはどう考えても私の持っているローカル・リカット盤とは次元の違うスーパーウルトラ高音質盤に違いない。そう考えるといてもたってもいられなくなり、私は平日にもかかわらずその翌日に B-SELS に行くことにした。比較対象として手持ちのローカル・リカット盤(2ndプレス)を携えて...
 実を言うとこの時はちょうど車が故障していて(←BMWってホンマによぉ壊れよるわ... しかも修理代が32万ってナメとんのか! その金でレコードが何枚買えると思うてんねん、この糞ドイツ車が!!!)、電車で通勤するのは鬱陶しいというだけの理由でたまたま有休を取っていたのだが、ちょうど新型コロナのパンデミック真っ最中ということもあって、他の乗客がみんな保菌者に見えて(笑)めちゃくちゃ怖かった。しかしこのインド盤「Rubber Soul」だけはどんな危険を冒してでも(←そんな大袈裟な...)一刻も早く手に入れたいと思い、勇躍B-SELSへと向かったのだった。
 平日の真昼間に来店した私を見てSさんはとても驚いておられたが、“「日記」に書かれてたインド盤ってまだありますか?” と尋ねると “そんなすぐに売れますかいな... ただでさえコロナでヤバい時期やのに...(笑)” と笑いながら早速かけて下さった。以下は2枚続けて聴いた後の会話;
 私:同じインド盤ステレオなのに音作りがかなり違いますね。
 Sさん: 2ndリカット盤の方がラウドですね。ベースがブーン、ブーンいってる...
 私:でも1st UKマザーの方が遥かに自然な音ですよ。続けてかけると“こんだけ違うねんな...(゜o゜)” って思いましたもん。
 Sさん:1stの後で聴くと2ndは高域がちょっとうるさく感じますね。
 私:A③「You Won't See Me」なんて違いがハッキリ出てましたよ。1stの方は安心できる聴き慣れた音という感じがしました。それにしても盤質エエですね~
 Sさん:イヤなキズがほとんどないでしょ(←と嬉しそう...)
 私:2ndの方は聴き疲れするというか、あまりヴォリュームを上げたくないけど、1stの方は全然大丈夫です。心と身体に沁みてきますね。2ndは1stに比べて音の世界が狭く感じます。
 Sさん: ステレオの定位も違いますね。
 私:それにしてもこのB①「What Goes On」、いきなりコレはブッ飛びますね
 Sさん:文句のつけようがない、素晴らしい音です。
 私:めっちゃ生々しいですね。
 Sさん:B⑤「Wait」なんて各楽器がとってもクリアーで濁りのない音ですね。
 私:B⑦「Run For Your Life」の音のバランス、もう最高!!!
 Sさん:UKから行ったメタルマザーが3/2ならこれがインドの最初期盤ですよ。
 私:いやぁ~、これは凄かったです。怖い思いをして(笑)来た甲斐がありましたわ。これ、買います。
 Sさん:ありがとうございます。こんなに早く売れるとは思いませんでした。
 私:これ聴いたらもうリカット盤は聴けませんね。それくらい素晴らしい音ですよ。この前売っていただいた「Revolver」といい、去年大発見した「Imagine」といい、インド盤って時々とてつもない美音を聴かせてくれますよね。ホンマに奥が深いですわ...(≧▽≦)

「A Hard Day's Night」南ローデシア盤

2020-06-11 | The Beatles
 私は小学校の頃から地理が大の苦手で、この年齢になっても世界の国名とか地名とかはチンプンカンプンである。そんな私が “南ローデシア” という地名を初めて目にしたのは例のガイド本「アナログ・ミステリー・ツアー」で、その中に「ビートルズ・フォー・セール」の南ローデシア盤というのが載っているのを見つけて“南ローデシアってどこやろ? 東ヨーロッパかいな?” と思ってググってみたら何とアフリカ...(゜o゜)  ただ、その時はへぇ~アフリカねぇ... ぐらいの印象しかなく、聴いてみたいという気持ちもあまり起こらなかった。
 そもそも私はアフリカでプレスされたレコードに対して良い印象を持っていない。過去に「ヘイ・ジュード」や「レット・イット・ビー」、「エボニー・アンド・アイボリー」の南アフリカ盤が発する眠たい音にブチギレて叩き割りたくなったことがあり、それ以降アフリカ・プレスの盤は完全スルーを決め込んできたのだ。「フォー・セール」の南ローデシア盤には湯浅学氏が “独自のドライな解釈で捉えたローデシアのカッティング・エンジニアは相当なものなのではないか” と高い評価を与えておられたが、アフリカ盤アレルギーの強かった私は軽く読み飛ばし、その後は南ローデシアという言葉もすっかり忘れていた。
 そして先々週の土曜日、奈良のコロナ感染者数も0が続くようになったのでようやく巣篭り生活(←ただ単に自分の身が可愛かっただけなので“自粛”じゃないです...笑)をやめて久々にB-SELSを訪れたところ、壁面を飾るレコード群が以前来た時と結構変わっており、その中で最も私の注意を引いたのが「ア・ハード・デイズ・ナイト」の南ローデシア盤だった。その店頭ポップには “激レア!” “最難関の南ローデシア” “このレコードはかなり良い音がします!!” と、控えめな性格のSさんにしては刺激的な煽り文句が並んでいた。
 私は咄嗟に “聴いてみたいな...” と思ったが、まずはSさんとの久々の再会を喜び合い、怒涛のようなビートルズ・トークの応酬(笑)で盛り上がって、それが一段落したところでSさんが “何かかけましょう” と仰って壁面を眺めまわし、私が “南ローデシア” と言おうとしたその瞬間にサッと手にされたのが「ア・ハード・デイズ・ナイト」の南ローデシア盤だったのだ。“今、それをお願いしようと思うてましてん。何でもお見通しですね(笑)” と言うと、“これ結構良い音がするので聴いてもらおうと思ってたんです。” とのこと。早速二人で試聴を開始した。
 Sさんがレコードに針を落とすと、A面1曲目の「A Hard Day's Night」の例のイントロ “ジャーン!” からもうエンジン全開でビートルズのポップな音が弾けるようにスピーカーから勢いよく飛び出してきてビックリ(゜o゜) 同じアフリカでも南アとは正反対の、実に溌剌とした元気な音だ。60年代モノラル・サウンドの一番オイシイ部分をギュッと凝縮したような感じとでも言えばいいのか... とにかく聴いててめっちゃ気持ちがエエんである。
 私はコーフンを抑えきれず Sさんに “これ、めちゃくちゃエエじゃないですか!” と言うと “良いでしょ?” と実に嬉しそう。「I Should Have Known Better」や「I'm Happy Just To Dance With You」といったアップ・テンポの曲にピッタリの音作りなのだが、驚いたことに「If I Fell」や「And I Love Her」といったスロー・バラッドも実に良い味を出していて、思わず聴き入ってしまったほど(≧▽≦)  この日は母親を迎えに行かねばならなかったので残念ながらここで強制終了になってしまったのだが、家に帰ってからもお店で聴かせていただいた “あの音” が頭から離れず、“これはもう買うしかないな...” と思った私はその翌週の金曜日に仕事を終えてからATMでお金をおろし、B-SELSへ直行。“前の続きを聴かせて下さい!” とお願いしたら Sさんも快諾して下さり、試聴を再開した。
 私:う~ん、やっぱりエエなぁ...
 Sさん:UK盤と比べると音圧はやや低めですが、少しだけヴォリュームを上げてやるとかなり良い音で鳴りますね。
 私:まさに60年代の音、という感じです。
 Sさん:UK盤より哀愁ありますね。
 私:そうそう、何か魅かれるんですよ。
 Sさん:私もです。
 私:この音作りって、華やかなアイドル・ポップスとしてのビートルズ・ミュージックが開花した「A Hard Day's Night」にドンピシャです。その前の「With The Beatles」ともその後の「Beatles For Sale」とも微妙に違う、まさに「A Hard Day's Night」のための音ですよ。逆に「Revolver」以降のアルバムには合いませんよね。
 Sさん:そうですね。「Sgt. Pepper's」なんか絶対合わない。
 私:そういう意味ではこの盤を切った南ローデシアのビートルズ担当エンジニアの感性とその技術力はかなりのモンだと思います。
 Sさん:盤質も奇跡的なくらい良いですもんね。アフリカのレコードでこれだけキレイなのも珍しいです。
 私:おぉ、「Any Time At All」の躍動感がハンパないッスね。
 Sさん:こんなに喜んでいただけるなんて、紹介した甲斐がありました。
 私:この前帰ってからずーっとこのレコードの事ばかり考えていて、“もし売れてしもうてたらどないしよ...(>_<)” って気が気じゃなかったんです。
 Sさん:南ローデシア盤なんて誰が買いますの! そんなん狙ってるの、shiotchさんぐらいのもんですよ(笑)
 私:そんなもんですかねぇ... まぁ確かによっぽど思い入れが強くないと買いませんわね、南ローデシア盤なんて。
 Sさん:ハハハハ...
 私:とにかくこれ売って下さい。
 Sさん:毎度ありがとうございます...(^.^)

尚、これですっかり味をしめた私は Discogsで「Help!」の南ローデシア盤を見つけて衝動買いしてしまった。どんな音で鳴るのか、今から大いに楽しみだ。

ブライアン・メイ “レッド・スペシャル” 腕時計が届いた(^o^)丿

2020-06-04 | Queen
 1月に予約しておいたセイコーとブライアン・メイとのコラボレーション腕時計がついに届いた。この2~3ヶ月ほど、新型コロナのせいで海外オークションのレコード市場が停滞気味なこともあって、欲しかったブツが届いた時のあのワクワクドキドキ感を久々に、ホンマに久々に味わえて大喜びだ(^o^)丿
 このコラボ企画の事を知ったのはクイーン京セラドーム公演の1週間ほど前のこと。ネットでクイーン関連のニュースを色々見ていた時にたまたま“レッド・スペシャルを想わせるブライアン・メイ&セイコーのコラボ腕時計登場” という記事を見つけたのがきっかけだった。私は常日頃からレコード以外にはほとんどお金を使わないので腕時計もホームセンターで買った980円の安物で十分満足していたが、“レッド・スペシャル” モデルの腕時計ってどんなんやろ?という好奇心からその記事を見たところ、これがもうめちゃくちゃカッコ良くて一目惚れ♡  あの名器 “レッド・スペシャル” のウッディな質感をものの見事に再現しており、クイーンのファンなら身につけたくなること間違いなしの逸品に仕上がっているのだ。
 お値段を見ると税込みで63,800円だ。980円の時計(笑)をしている人間が何を血迷ってんねん!と言われそうだが、カッコエエもんはカッコエエのである。レコードであれ、時計であれ、それを所有することでテンションが上がりハッピーな気分になれるのなら63,800円の出費は十分にアリではないか... そう考えた私はすぐにセイコーのHPで詳細を確認し、このモデルを扱う近隣の販売店に片っ端から電話をしまくったのだが、驚いたことに奈良、大阪、京都、兵庫と、近畿圏の時計屋は軒並みソールド・アウト。限定数9,000本ということで1件当たりの割り当てはごくわずかだったようだが、既に “絶対欲しいモード” に突入していた私としては意地でもここで引き下がるワケにはいかない。
 実店舗がダメならネットで買うたるわいと、今度はセイコーHPに載っていた “オンライン・ショップ” のリンクを片っ端からクリックしてみたが、どこもかしこも Sold Out で全くお手上げである。これってもしかして転売屋が買い占めてて、5月の発売日になってからヤフオクやらメルカリやらにプレミア付きの価格でドドーッと出てくるパターンなんかな... などと考えながら次の作戦を考える。私は諦めが悪いのだ。
 もうこーなったらグーグル先生に頼るしかないとの結論に達した私は“Seiko 5 Sports / Brian May / SBSA073... ” と思いつくままに検索ワードをブチ込んでググってみたところ、日本製の高額な腕時計を海外バイヤー向けに販売しているサイトを発見。転売ヤ-どもの魔の手もさすがにここまでは及んでいないようで、お目当てのブライアン・メイ・モデルもまだ “予約可” になっている。値段の方は$675と正規のルートで買うよりは少しお高いが、それでも十分に許容範囲内だ。私は迷わず買いを決めた。
 そしてそれから待つこと4ヶ月... 当初の発売日は5月15日だったが、新型コロナウイルスの関係で発売が2週間ほど延び、この日曜日にブツが届いたというワケだ。さっそく梱包を解き、ツアーの時にギターを運搬するフライトケースを模したボックスを開けると、レッド・スペシャルそっくりの深みのある赤い文字盤の時計がギターに見立てて収納されていた。おぉ、写真で見たのと同じ、いや、それ以上にカッコイイではないか! 手首に巻いてみるとこれまで経験したことがないくらいズッシリした重みが伝わってきて、見た目の重厚感もハンパない。うわぁ、これは最高やわ... と思いながらベルトを留めようとしてそこで手が止まってしまった。ベルトが長すぎて調節の仕方が全然わからないのである。高い金を払っておきながら手首に巻けませんでしたでは泣くに泣けない(*_*)
 取扱説明書にも書いてないし(←全然意味ないやんけ!)、途方に暮れかけた私が一縷の望みをかけて(←大袈裟な...)YouTubeで検索してみたところ、運良くセイコーのCEOがブライアンにこの時計をプレゼントして手に巻いてあげる動画を発見。そのシーンを拡大・コマ送りして何度も見返し、多分これであってるやろと思える装着方法に辿り着き、ようやくこの時計を身につけることができた次第。あ~しんどかった...(>_<)
 とまぁこのように最後の最後でちょっと苦労したが、これを身に付けていると気分が高揚して日々のしんどい仕事もブチギレずに何とか乗り切れている。これは思い切って買って大正解でしたわ(^o^)丿
セイコーウオッチ コラボパートナーQUEEN ギタリスト ブライアン・メイ 表敬訪問