shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Living Years / Mike And The Mechanics

2016-04-11 | Rock & Pops (80's)
 ヒット・チャートを賑わせるポップ・ソングの多くはポール・マッカートニーが言うところの Silly Love Songs であり、恋愛を始めとする他愛もない日常のアレコレを題材にした “流行歌” に過ぎないのだが、そんな中で聴く者の心の奥底に響く深~い歌詞を持った曲に出会うことが時々ある。私が聴く音楽の大半は洋楽だが、そういった名曲の数々は言葉の壁を越えて私の心に突き刺さるのだ。
 この「ザ・リヴィング・イヤーズ」という曲はジェネシスのマイク・ラザフォードがサイド・プロジェクトとして結成したマイク&ザ・メカニックスの2ndアルバムからのシングルで、1989年3月に全米1位に輝いた大ヒット曲だ。この曲を初めて聴いた時は “心に沁みるエエ歌詞やなぁ...” とひたすら感動していたのだが、まさかそれから27年経って自分がその想いを実際に経験することになろうとは夢にも思わなかった。
 あのバート・バカラックが絶賛したというその歌詞に描かれた “I wasn't there that morning when my father passed away... I didn't get to tell him all the things I had to say.” や “I just wish I could have told him in the living years.” といった心情は痛いくらいに良く分かるし、リード・ヴォーカルのポール・キャラックが “It's too late when we die to admit we don't see eye to eye.” とソウルフルに歌うパートなんかもう涙なしには聴けない。そんな説得力抜群のヴォーカルに絶妙なタイミングで絡んでくる壮大なコーラスも実に印象的で、温かみを感じさせるサウンド・プロダクションと相まってこの曲の名曲度アップに一役買っている。そこにはたかがポップ・ソングと侮れない素晴らしい音楽が屹立しており、音楽とは人類が生み出した最高の文化だと改めて実感させてくれるのだ。
マイク & ザ・メカニックス グラミー賞 1990 リヴィング・イヤーズ


 今はちょっと音楽を楽しめる気分じゃないので、気持ちの整理がつくまでしばらくブログの更新をお休みします。