shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

“BANNER STEREO” レーベルのOZ盤で聴く中期ビートルズ

2017-09-30 | The Beatles
 ダイソンのコードレス掃除機を買った。母親に敬老の日のプレゼントに何が欲しいか聞いたら「ダイソンの掃除機!!!」という答えが返ってきたので価格コムで最安値を調べてみてビックリ...(゜o゜)  他の国内メーカーのが1~3万ぐらいで買えるのに対し、ダイソンは5~8万円もするではないか! パナや東芝やったらアカンのかと問うと「吸う力が全然違うねん!ダイソン以外やったら要らんわ。」という(笑) それほど言うのならと近くの量販店に勤めてる知り合いに「何とか安ぅならへんか?」と頼むと、旧型をセールの目玉商品として出したのがまだ1台だけ残っているというのですぐさま直行し、定価56,000円のヤツを3,2000円でゲット。最新型は充電池が大きくなり稼働時間が伸びた分だけ重くなっているので、ウチ的には軽い旧型の方がありがたいし、価格コムの最安値より8,000円も安く買えたのが嬉しい。レコードであれ掃除機であれ、オイシイ買い物をした時は気分が良いものだ(^.^)
 そのダイソン・モーターヘッド(←ハードロック・ファンならこの名称だけでポイント高いでしょ?)を持って帰って早速使ってみたところ、まるでジェット機が離陸する時のようなキィーンという金属音と共にものすごい勢いで埃を豪快に吸いまくる。モノは試しとパナソニックのコード付き掃除機をかけてキレイになったはずの絨毯に使ってみたら、見る見るうちにダストボックスが一杯に...(゜o゜)  いやぁ~、これは看板に偽りナシの凄い掃除機だ。ヘッドがコンパクトで煩わしいコードもなくめちゃくちゃ軽いので、レコード棚に並んだLPの上に薄らと積もった埃(←これ昔から悩みの種でした...)も簡単に吸い取れるのがありがたい。今ではおかんよりも私の方が頻繁に使うぐらい気に入っているほどで、これで32,000円なら御の字だ。
 で、ここからが本題なのだが、前回取り上げたBANNER STEREO デザインのOZ盤がすっかり気に入った私はeBayのお気に入りに登録、“Beatles”に続けて“Australia”“Australian”“Aussie”“Aus”“OZ”それに“BANNER STEREO”と“PCSO”の7種類もチェックしなければならなくて面倒くさいのだが(←ニュージーランド盤は3種類で楽チンやのに...)、その甲斐あって同一セラーから一気に6枚をゲット! 5分おきに1枚また1枚とスナイプしていくのは何ともスリリングな体験だったが、幸いなことに6枚全部をトータルAU$366(日本円で約31,560円)で手に入れることが出来て大満足。ダイソンの掃除機1台の値段で OZ BANNER STEREO盤が一気に6枚も買えてめっちゃ嬉しい(^.^)
 今回ここで取り上げるのはそのうちの「ヘルプ」から「リヴォルヴァー」までの3枚で、音楽性が劇的に変化していった中期ビートルズのサウンドをオーストラリアのステレオ初回盤で一気聴きしてみようという企画。比較対象は前回同様UKイエロー・パーロフォン盤だ。

①Help! [PCSO-3071]
 今回 OZ BANNER STEREO盤を一気聴きしてみての第一印象は、アルバムによって当たり外れが結構激しいということ。前回取り上げた「プリーズ・プリーズ・ミー」は “当たり” の1枚だったが、その逆の “ハズレ盤” の筆頭に来るのがこの「ヘルプ!」だ。とにかく中低域が薄っぺらいスッカスカの音で(←特にA面が酷い...)このアルバムの一番の魅力である躍動感が全く感じられない。UK盤とは違う手彫りのマトリクスだったので恐らくOZ独自カットなのだろうと思っていたら案の定 “Cut locally from UK supplied tapes” という記述がスティーヴ・ホフマンのフォーラムにあったのでやっぱりなぁ...という感じ。とにかく音像は小さいし音圧は低いしで、BGMとして聞き流すのならまだ許せるが、スピーカーに対峙してアルバム1枚を聴き通す気にはなれないヘタレなサウンドだ。このOZ盤に続けてUK黄パロ盤を聴いてみたのだが違いは歴然で、“腹一杯ビートルズを聴いたぁ...(^o^)丿”という満足感に浸ることが出来た。

②Rubber Soul [PCSO-3075]
 これは良い! めちゃくちゃ良い!!! と思わず ! を3個も付けてしまったが、上記の「ヘルプ!」での体たらくが嘘のような高音質盤だ。“Pressed from UK supplied metal parts” というだけあって、A①のポールのベースなんて強靭そのものだし、続くA②のイントロの繊細なギターもバッチリで言うことナシ(^o^)丿 ビートルズの音楽が持つエネルギーを見事に音溝に封じ込めてあり、アルバム全体に力が漲っていて全帯域にわたって音のバランスも申し分なく、コクがあるのにキレもあるという感じの絶妙な音作りだ。マトを確認するとUK盤と同じ機械印字で枝番も同じ -2 / -2 。今回取り上げた3枚の中では一番音が良かったので、OZステレオ盤入門には最適の1枚と言えるだろう。

③Revolver [PCSO-7009]
 マトはUK盤と同じ機械印字で枝番も同じ -1 / -1 ということもあってUK盤と遜色のないガッシリと腰の据わったサウンドが楽しめる。上記の「ラバー・ソウル」ほどキレッキレというワケではないが、えてして緩く膨らみがちなポールのベースの音がキリリと引き締まっていて、A①なんか闊達なベースのラインが手に取る様に分かるのが凄い。A③A⑦B⑦のような “リヴォった” サウンドのドロドロしたカオス感の表現も秀逸だ。更にA②のアグレッシヴなストリングスといい、B②のシャープなギターといい、芯があってガツン!とくる音が大好きな私にとってはたまらない1枚だ。

【追記】ダイソンの掃除機、最初の1ヶ月ほどは喜んで使っていたが、使っていくうちに “ゴミ捨てがしにくい” という決定的な弱点が判明、段々使うのが鬱陶しくなってきてこの半年ほどは全く使っていない。これではまさに「大損」だ。結局ダイソン・キラーと呼ばれる米シャーク社の「ニンジャ・エヴォパワー」に買い替えたのだが、こっちはダイソンとは違ってめちゃくちゃ使いやすい。最初からこっちにしとけばよかった...

“BANNER STEREO” レーベルのOZ盤で聴く「Please Please Me」

2017-09-22 | The Beatles
 私は今でこそアナログ・レコード・コレクターの端くれとしてセンター・レーベルがどーのマトリクスがこーのといっぱしの口をきくようになったが、20年ぐらい前まではCDしか聴かない堅気の音楽ファンだった。そんな私にオリジナル盤だとか1stプレスだとかいった余計な概念(笑)を吹き込んで下さったのはジャズのオリジナル盤を扱うレコ屋のご主人たちで、CD vs オリジナル盤や 1stプレス盤 vs 2ndプレス盤など、実際に色んな聴き比べをさせていただいて耳を鍛え、乾いたスポンジのようにアナログ・レコードの知識を吸収していった。
 その後何年か経って本格的にビートルズのオリジナル盤を集め始めた時、これらの知識が大いに役立った。まぁジャズ・レコードのプレス枚数なんてビートルズの数百分の一かヘタをすれば数千分の一ぐらいだろうからマトリクス・ナンバーもヘッタクレも無いのだが、センター・レーベルのデザインの違いによって大体のプレス時期が分かるという仕組みは基本的に同じなので(←考古学者みたいなもんですな...)、ジャンルを問わずレコードを手に取るとイの一番にレーベルに目が行くようになってしまった。
 だからビートルズのレコードを見るようになっても、大ざっぱに言えばターゲットがブルーノートからパーロフォンに変わっただけで、ジャズの時と大きな違いはない。BN1500番台から4000番台前半の初回盤 63rd/New York にあたるのがイエロー・パーロフォンで当然それがメイン・ターゲットになり、Liberty/ UA にあたるシルバー・パーロフォンはリイシュー盤ということで完全に購入対象外。Lexington やゴールド・パーロフォンはさしずめ高嶺の花の垂涎盤といったところか。
 金パロの中でも特に稀少なのはステレオ盤の方で、eBayでは年に2~3枚ぐらいしか出てこないし、しかも£2,500~£5,500(日本円で約35~80万円!!!)という目の玉が飛び出るような高値で取り引きされている。貧乏コレクターの私にとっては所有することなど夢のまた夢なので、クラシックなデザインの “BANNER STEREO” レーベルは手の届かない憧れの存在として、見ただけでもうワクワクドキドキしてしまう(≧▽≦)
 そんな私が思わず “おぉぉ!!!” と唸ったのが半年ほど前のことで、アルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」のオーストラリア盤 1stプレスのセンター・レーベルを見てビックリ(゜o゜)  金文字ではなく銀文字という違いはあるが(しかもスピンドルホール周辺にゴテゴテと色んなロイヤリティ・スタンプ・マークが入ってはいるものの...)、全体のレーベル・デザインはまごうことなき“BANNER STEREO” だ。UK本家の “ゴールド” BANNER STEREO盤は金銭的に無理でも OZ版 “シルバー” BANNER STEREO盤なら何とかなりそうだ。その時以来私はこのレコードが安く手に入る機会を虎視眈々と狙っていたのだが、先月ついにAU$50で出品されているのを見つけて落札、送料込でも6,000円弱で手に入れることが出来てめちゃくちゃ嬉しかった。
 スティーヴ・ホフマンのフォーラムによると、オーストラリア盤「プリーズ・プリーズ・ミー」のステレオ盤がリリースされたのは64年の4月で、UK盤のメタル・マザーを使ってプレスされたとのこと。当然ながら1stプレスの金パロ BANNER STEREO は持っていないので、とりあえずUK黄パロのステレオ盤と比較試聴してみることにした。
 レコードの音は同じメタル・マザーからプレスしても、盤に使うビニールの質や重量、カッティング・エンジニアの腕、そしてプレス工場の違いといった様々な要素で変わってくるし、オーストラリア盤に対する世間一般の音質評価は結構高いものがあるので、どんな結果になるのか興味津々。重量盤信仰が抜けない私は聴き比べ時に盤の重さを量る習慣があるのだが(←一概に重けりゃ良いってモンでもないことは頭ではよーく分かってるんですけどね...)、今回はUK盤が160gなのに対し OZ盤は149 g とやや軽めだった。
 聴いてみた感想としてはどちらもめっちゃ良い音なのだが音の傾向が少し違う。UK盤の方がコンプが強くかけられているせいかゴツゴツした音の塊がガツン!とくる感じなのに対し、OZ盤の方は音がつぶれずに上の方までスッキリと伸びていて細部までよくわかるのだ。中低域のガッツ、押し出しの強さではUK盤に軍配が上がるが、全体的な音のバランスという点ではむしろOZ盤の方が聴きやすいと言えるかもしれない。私個人としてはどっちの音も捨てがたいので、今回レーベル・デザインに魅かれてOZ盤を買って大正解。それより何より、たとえそれが銀文字であっても、クラシックな BANNER STEREO デザインの「プリーズ・プリーズ・ミー」に針を落とす喜びは格別なのだ... (^o^)丿

ひばりジャズを歌う ~ナットキングコールをしのんで~ / 美空ひばり

2017-09-13 | Jazz Vocal
 常日頃愛聴しているというわけではないけれど、たまに取り出して聴いてみるとやっぱり凄いなぁ... と思わせるシンガーがいる。私にとって美空ひばりはちょうどそんな存在である。いわゆるひとつの “演歌” というジャンルが大の苦手な私は、「真っ赤な太陽」をはじめとする “ひとりGS歌謡” 路線の曲を除けば彼女のレパートリーの大半は聴く気になれないが、“ジャズ・シンガーとしての美空ひばり” は大好きで、スタンダード・ナンバーを歌わせたら日本人で彼女の右に出る者はいないとさえ思うぐらいその唯一無二のスイング感に惚れ込んでいる。
 私が持っている彼女のジャズ・ヴォーカル盤はナット・キング・コールへのトリビュート盤「ひばり ジャズを歌う」とコンピレーション盤「ジャズ&スタンダード」という2枚のCDで、ジャズ・ヴォーカルを聴き始めた頃にレコ屋のご主人から勧められて興味を持ったのだが、どちらも当時は廃盤状態だったこともあり、足を棒にして探し回ってやっとのことで手に入れた時の嬉しさは今でも忘れられない。
 そのCDを聴いてみて「スターダスト」や「ファッシネイション」、「慕情」のような悠揚迫らぬバラッドが上手いのは当然予想できたことなのでそれほど驚かなかったが、私が衝撃を受けたのは軽快にスイングする「ラヴ」や「ウォーキング・マイ・ベイビー・バック・ホーム」、「イッツ・オンリー・ア・ペイパー・ムーン」といったミディアム・テンポのナンバーで、日本人離れしたナチュラルなスイング感に耳が釘付けになったし、アップ・テンポの「ラヴァ―・カム・バック・トゥ・ミー」で聴かせるノリの良さにも圧倒され、美空ひばりという天才シンガーの凄みを再認識させられた。
IT'S ONLY A PAPER MOON(美空ひばり)

恋人よ我に帰れ(美空ひばり)


 とまぁこのように音楽的には申し分なかったのだが、正直言ってCDのマスタリングはイマイチ(>_<)  90年代に発売されたCDなのでヴォーカルが平板に聞こえるのは仕方ないにしても、ひばりのヴォーカルに対してバックのシャープス・アンド・フラッツの演奏が引っ込んで聞こえるのはいくら何でもいただけない。まるで歌と演奏が溶け合わずに乖離したまま平行線を延々と走っていくような感じで、バランスの不自然さが気になって音楽に100%のめり込むことが出来ないのだ。
 それから何年か経ってこの「ひばり ジャズを歌う」はコロムビアからアナログ重量盤LPという形で再発されたが、同じ重量盤再発シリーズで手に入れた弘田三枝子の「ミコ・イン・ニューヨーク」と「ミコ・イン・コンサート」がCDとあまり変わらない中途半端な音質だったこともあって購入は見送り。ミコたんの2枚はその後オリジナル盤LPを手に入れることが出来たのだが、その音質がめちゃくちゃ良かったこともあって、ひばりのジャズ盤もいつかはオリジナル盤を手に入れてやろうと心に決めた。
 しかし60年代邦楽のオリジナルLPを見つけるのは eBayやDiscogsを駆使してビートルズの各国盤を探すよりも遥かに難しい。そもそも世に出回っている数自体が圧倒的に少ないし、もし仮にオークションに出てきたとしても鬼のようなプレミアが付くことは必至。少なくとも今までにレコ屋の店頭で現物にお目にかかったことは一度もないし、ヤフオクでも年に2~3枚出るか出ないかという、まさに文字通りの “幻の名盤” だった。
 そんな “幻盤” が網に引っ掛かってきたのが3ヶ月ほど前のことで、登録しておいたヤフオク・アラートから届いたメールを見て “ついに来たか!!!” と大コーフンしたのだが、値段を見てビックリ(゜o゜)  49,800円て...??? アホらしゅうなった私はウォッチすらせずにスルーしたのだが、それからしばらくして又々アラートが... 同じブツが今度は1万円値下げして39,800円で再出品されたのだ。更にその数週間後には29,800円と、当初の強気が嘘のような大幅値下げだが、それでもまだまだ高すぎる。顔でも洗って出直してこい!と思って見ていたら、ついにスタート価格を 19,800円まで下げてきよった。2万円台前半までやったら思い切って “買い” やな... と思っていた私は満を持して参戦し、しつこいライバルを振り切って22,800円で落札に成功(^o^)丿  今年に限って言えば「Les Beatles 1965」に次ぐ高額な出費だが、かれこれ20年近く欲しくて欲しくてたまらなかった垂涎盤をやっとのことで手に入れることが出来た喜びは筆舌に尽くしがたい。
 届いた盤をターンテーブルに乗せて早速針を落とす。う~ん、コレは素晴らしい。ハッキリ言ってCDとは比べ物にならないぐらいのスーパーウルトラ高音質だ。60年代に作れたこの美音をテクノロジーが格段に進化した21世紀の再発盤でなぜ再現できないのか理解に苦しむ。何よりもまず美空ひばりの “声” が違う。人間の声をいかにリアルに再現するか… の成否を決する “中音域” の充実ぶりが月とスッポンで、CDに入っている彼女の声が二次元的で薄っぺらいのに対し、オリジナルLPの方は声に芯があって生々しく、目を閉じれば眼前にすっくと屹立する三次元的なヴォーカルの存在感に酔いしれることが出来るのだ。バックの演奏とのバランスもまったく問題なしで、CDのような違和感は感じない。結局レコードが届いた日の晩にAB面通して3回聴いてもまだ聴き足りないぐらい気に入ったのだが、これは大枚を叩いた甲斐があったというものだ。
 分厚くて奥行きを感じさせる美空ひばりの声の魅力をあますところなく音盤に刻み込んだこのレコード、今年も残すところあと4ヶ月を切ったが、“自分へのご褒美盤2017” はどうやらコレでキマリのようだ。

ヒット・パレード第2集 / 森山加代子

2017-09-04 | 昭和歌謡
 “やっと手に入れたレア盤” シリーズ第2弾は森山加代子だ。オールディーズ・マニアの私は和製カヴァー・ポップスも好きでよく聴くのだが、そんな中でも弘田三枝子と並んで愛聴しているのが森山のカヨたんで、彼女のレコードはシングル・アルバム共に出来るだけアナログ盤で手に入れるようにしてきた。シングルに関しては目ぼしいところはほぼ入手済みだったが、アルバムの方はレア度が高いのか完全制覇までにかなりの年月を要した。
 70年代に入って彼女が「白い蝶のサンバ」(←昔カラオケで歌詞の“蝶”のところを“ママ”に替えて歌ったらめっちゃウケた...)で再ブレイクする以前の、いわゆるひとつの “カヴァー・ポップス時代” にリリースしたアルバムは「リクエスト・タイム」「ヒット・パレード」「ヒット・パレード第2集」「ヒット・パレード第3集」の4枚で、そのすべてが10インチ・レコードだ。
 最初の2枚はネット・オークションでもよく見かけるし値段の方も3,000円を超えることはまずないが、「第2集」と「第3集」の頃になると人気に陰りがさしてきたのか市場にほとんど出回っておらず、オークションで見かけることも滅多にない。だからこの2枚に関しては長いことその存在すら知らず、4年前にヤフオクで「第3集」を初めて見て8,800円で運良く落札した時に、 “「第3集」があるんやったら「第2集」もあるに違いない...” と考え、それ以来ずーっと探していたものだ。
 彼女のアルバムは10インチ盤ということもあって収録曲は片面4曲ずつの計8曲で、洋楽ヒット曲の和製カヴァーと彼女独自の “言葉遊び系コミカル歌謡” 路線のヒット曲がうまく散りばめられているのが特徴だ。この「第2集」に収録されているカヴァー・ポップスは、コニー・フランシスの「ボーイ・ハント」のようなメジャーなヒット曲からシュー・マルムクヴィストの「ウェディング・ケーキ」のようなちょっとマニアックな曲まで、ヴァラエティーに富んだ選曲がなされているが、私のフェイヴァリット・トラックはアルマ・コーガンをカヴァーした「ポケット・トランジスター」で、カヨたんのユニークな声質が曲想と絶妙なマッチングをみせ、カヴァーとは思えないくらい自然な仕上がりの1曲になっている。
森山加代子 ポケット・トランジスター 1961 / Pocket Transistor


 一方、彼女のオリジナル曲では何と言っても「パイのパイのパイ」が出色の出来。“ラーメチャンタラ ギッチョンチョンデ パーイのパイのパイ~♪” という意味不明のフレーズが耳ついて離れなくなるキラー・チューンだ。「じんじろげ」を作詞した渡舟人が書いたユーモラスな歌詞は何度聴いても楽しいし、「アルプス一万尺」のメロディーをアダプトしたイントロから一気にジャジーな展開に持っていく中村八大のアレンジも素晴らしい。
森山加代子 パイのパイのパイ


 「ズビズビズー」も「パイのパイのパイ」と同じ言葉遊び系ソングで、歌の大半でズビズビ言いっ放しという摩訶不思議なナンバーだ。そのせいもあって、私はてっきり「じんじろげ」や「パイのパイのパイ」のヒットを受けて作られた彼女のオリジナル・ソングだと思い込んでいたのだが、今回手に入れたレコード裏面の作曲者のところを見ると「テュー」と書いてある。不思議に思って調べてみると、オリジナルは何とソフィア・ローレンで(1960年)更に驚いたことにあのジョージ・マーティンがプロデュースしているというではないか!!!  これはエライコッチャである。ビートルズを手掛ける前にはこんなんやってたんか... と私的にはメカラウロコ的な大発見だったのだが、肩の力の抜けたソフィアのヴォーカルが実に良い味を出しており、聴いてて思わず “ラッタッタ!” な気分になれること間違いなし。それにしてもカヨたんの「ズビズビズー」が実はカヴァー・ポップスやったなんて、ホンマに夢にも思いませんでしたわ...(゜o゜)
森山加代子 ズビズビズー 1961 / Zoo Be Zoo Be Zoo

Sophia Loren - Zoo Be Zoo