shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

映画「Get Back」最高でした!①

2021-11-29 | The Beatles
 ピーター・ジャクソン監督の3部作「Get Back」を見終え、今コーフン状態でこの文章を書いている。ここのところペルー盤やイスラエル盤といった各国盤にかまけていた私も先週あたりから「Sweet Apple Trax」を始めとする「Get Back」関連ブートレッグ音源づくしの生活にシフトし、心の準備万端で11月25日を迎えたのだが、今回の「Get Back」の素晴らしさは私の予想を遥かに超えるものだった。
 映画「Get Back」の約8時間分の映像を観て何よりも嬉しかったのは、1969年1月2日から31日までのビートルズの生の姿を時系列に沿って間近で見ることによって自分も彼らのリハーサルやミーティングに同席して追体験しているかのような高揚感を味わえたこと。珠玉の名曲の数々が “原石” の状態から徐々に磨き上げられ、最後には極上のブリリアントカットに仕上げられていく様はまさにビートルズ・マジックと呼ぶに相応しいもので、そのプロセスを映像付きで見られる日が来ようとは... (≧▽≦)  長生きはするモンである。
 当然メンバー間の人間関係のネガティヴな側面も浮き彫りになっており、中でもショッキングだったのがパート1後半(Day7: 1/10)の “ジョージ脱退” の場面。リンゼイホッグ版「Let It Be」で例のポールとジョージの口論のシーン(Day3: 1/6)は何百回も見てきたが、この映画の “もうバンドを辞める!” とジョージがブチギレた場面(Day7: 1/10)はその何倍も衝撃的(>_<) 「Get Back」のギターにあれこれ注文を付けるポールに対して “You need Eric Clapton.(クラプトンを呼べよ)” と辛辣に言い返すジョージ、そんなジョージの方をあまり見ずにジョンの方ばかり見て話すポール(←これ一番あかんやつ...)、場のピリピリした空気を読まずに好き勝手やるジョン、そんな状況に困り果てた様子のリンゴと、ファンとしては観ていていたたまれなくなるようなシーンの連続である。
 トドメはジョージが “もうバンドを辞める。NMEに広告でも出して代わりを探せよ。” という捨て台詞を残して立ち去るところ。3人になってしまったビートルズが心の動揺を隠すかのようにヨーコを入れてムチャクチャに歌い演奏するシーンはめっちゃ痛々しかった。もちろん事の詳細は藤本国彦氏の名著「ゲット・バック・ネイキッド」で読んで歴史的事実として知ってはいたが、実際に映像として見せられるとかなりショッキングだ。
 スタジオにいたモーリンに “A7とD7とG7のコードを覚えればバンドに入れるよ。” とジョークを飛ばすポールも “ジョージの楽器を山分けしようぜ。” と憎まれ口を叩くジョンもその言葉とは裏腹にかなり狼狽しているのが画面から伝わってくる。パート1のエンディングではジョージに去られて傷ついた3人が肩を寄せ合って互いを励まし合うような場面が実に感動的で、ピーター・ジャクソン監督の演出さすがやなぁと思わず唸ってしまったが、そのバックに流れるのがジョージの「Isn't It A Pity」で、歌詞の内容があまりにもその場の状況にぴったり合いすぎていて観ているこちらも胸に迫るものがあった。 (つづく)

「Band On The Run」ボリビア盤

2021-11-19 | Paul McCartney
 去年 B-SELSでウルグアイ盤の音の良さを教えていただいて以来、ウルグアイからたくさんレコードを買って楽しんでいるが、何度も取り引きをするうちにあるセラーと親しくなり、色々と便宜を図ってもらえるようになった。送料をかなり安く抑えてくれるのももちろんありがたいが、何よりも嬉しいのは普通なら目視だけで済ます盤質チェックを、実際にレコードに針を落として聴いてもらい、盤の状態を詳細に教えてもらえること。ウルグアイ盤で一番困るのは針飛びなので、彼のおかげで安心してウルグアイからレコードを買えるようになった。
 そして先日、eBayで彼の出品リストをチェックしていて前々から探していた「Led Zeppelin I」と「The Works」(Queen)のウルグアイ盤を発見。ニンマリしながら更にリストを見ていくとウルグアイ盤以外のレコードも色々出品しているようで、その中にポールの「Band On The Run」のボリビア盤があったのだ。ボリビアって... アフリカちゃうんけ??? などと思いながら(←リベリアと間違えてた... 各国盤蒐集って地理の勉強になりますな... )ネットで調べてみると何と南米ではないか!
 最近 B-SELSでペルーやアルゼンチンのレコードを買っていることもあって南米のレコードに興味津々の私は “他のレコードと一緒に送ってもらったら実質送料タダみたいなモンやし、この機会を逃したらクソ高い送料を払って買うハメになるかもしれん...” と考え、このレコードも購入候補としてセラーに盤質チェックをお願いすることにした。
 彼の返事は “私が数ヶ月前に買ったUSリマスター盤より良い音。盤の状態はVG++。” だったが、興味を引かれたのはその続きで、“このレコードに関して興味深いのはレーベルのアップル・デザインが通常の表裏逆になっていること、そしてBラス曲「1985」のエンディングで例の “バ~ン ドォン ザラァ~ン♪” リプリーズが入ってなくて曲がその前に終わってしまうことで、こんなの初めて聴いた...” とのこと。レーベルのアップル表裏逆パターンはウルグアイ盤「Shaved Fish」で経験済みなので別に驚くほどのことではないが、「1985」のリプリーズ無しはさすがにアカンやろ... などと思いながらも “まぁそれならそれで一度聴いてみたいな...” という好奇心にかられ、結局ゼップやクイーンと一緒に購入した。$50だった。
 3枚届いた中で真っ先にターンテーブルに乗せたのはもちろん「Band On The Run」のボリビア盤だ。リプリーズの無い「1985」って一体どんな感じなんやろなぁ? という好奇心で頭が一杯の私は表裏逆なのを忘れて緑リンゴ面を上にして置いてしまい、いきなりB①「Mamunia」がかかってビックリ(笑) やっぱり「1985」は最後に聴かないと「Band On The Run」を聴いた気がしないので(←でしょ?)白リンゴ面を上にしてもう一度針を落とす。
 おぉ、ボリビアの独自カッティング、シャープな音で中々エエ感じやん...(^.^)  A①「Band On The Run」もA②「Jet」もドライヴ感抜群で実に気持ちが良い。圧巻はA④「Mrs. Vandebilt」のアコギの音と例の “ホッ ヘイ ホー!” コーラスで、ボリビア盤の切れ味抜群な音作りが生み出す凄まじいグルーヴは快感そのものだ。B面も絶好調で、“おっ、B④「Helen Wheels」も入っとるやん... (^.^)” とラス前までは上機嫌で聴いていた。
 さて、いよいよ問題のB⑤「1985」である。私はてっきりリプリーズ・パートだけが欠落しているものと思い込んでいたのだが、実際に聴いてみるとメイン・パート後半の一番盛り上がっていくところ(4分20秒あたり)でさっさとフェイドアウトしてしまうという許し難い暴挙... 何じゃこりゃぁ!!!
 何もそこまで怒らんでも... と思われるかもしれないが、野球に例えるなら9回裏2アウト満塁一打サヨナラの場面でテレビ中継が終わってしまう(←ネット配信中継なら例のクルクルが表示されて画面が止まってしまう...)ようなもの。これは「Band On The Run」という天下の大名盤に対する冒涜以外の何物でもない。もしも「天国への階段」や「ボヘミアン・ラプソディ」がエンディングの1分前にフェイドアウトしてしまったらゼップやクイーンのファンは絶対に許さないだろう。
 ということで思わず怒りの展開になってしまったが、よくよく考えてみれば一番怒っていいのはこのようなまがい物の「Band On The Run」を本物と信じ、ずーっと騙され続けてきたボリビアのポール・ファンたちかもしれない。80年代に入って音楽媒体がレコードからCDに移行して、初めてちゃんとした「Band On The Run」を聴いた彼らはさぞかし驚いたことだろう。
 各国盤蒐集は、ピッチがおかしいレコードに出くわしたりとか、フランス盤の「Come Together」、イタリア盤の「I Want You」、トルコ盤の「Morse Moose And Grey Goose」、そしてこの「1985」のように我が耳を疑いたくなるような “やらかし盤” に遭遇したりとか、確かにリスクが無いとは言い切れない。しかし意表を突くラウドカットやオリジナル盤では聴けない真空管カッティングの音に感動するなど、それ以上に得るものが多いのもこれまた事実。そういう意味でもビートルズ関連の各国盤蒐集ではこのような珍盤を広~い心で受け入れる度量が必要なのかもしれない。
Nineteen Hundred And Eighty Five (Remastered 2010)

「A Collection Of Beatles Oldies」ペルー盤

2021-11-16 | The Beatles
 私にとってビートルズのベスト盤と言えば何はさておき中学時代に擦り切れるほど聴いた「赤盤」である。それに比べて「Oldies」というレコードはビートルズの現役時代にリリースされた唯一のベスト盤であるにもかかわらず、そもそもこのアルバムに愛着がないせいか、手持ちの盤はUKモノとUKステレオ、デンマーク盤、それにウルグアイ盤の4枚しかないし、肝心のUK盤の音のキレがイマイチなこともあって、ターンテーブルに乗ることは滅多にない。
 3ヶ月前にB-SELSで買ったペルー盤「RAM」の音に一撃KOされてビートルズ関連のペルー盤蒐集を決意した私はこれまでと同じようにネットで片っ端から探し始めたのだが、ペルー盤自体あまり市場に出回っていないこともあって最初はかなりの苦戦を強いられた。そんな時にいきなり網に引っ掛かってきたのが「Oldies」のペルー盤(ステレオ)だったのだ。
 う~ん... よりにもよって「Oldies」かぁ...(+_+)  本音を言えばオリジナル・アルバムが欲しかったのだが、この際贅沢は言っていられない。とりあえずビートルズの歌をペルー盤の濃厚な音作りで聴ければエエか... と考えた私は$30という値段の安さもあって購入を決意。他のレコと一緒に買ったので送料の点でもおいしい買い物だった。
 先ほど書いたように「Oldies」は肝心かなめのUK盤の音がシャキッとしないので、大元がアカンのやからペルー盤だけエエ音するはずがないやろとあまり期待せずに届いたレコードのマトリクスを確認すると、UKマザーではなく手書きの独自マトである。しかもUK盤と比べてデッドワックス部分が1.5cmも狭いのだ。おぉ、これはひょっとすると生まれて初めて「Oldies」をエエ音で聴けるかもしれん... と急にテンションが上がってきて、ワクワクしながらレコードに針を落とした。
 ところが出てきた音は期待したほどの独自性が感じられない凡庸なものでちょっとガッカリ(+_+)  まぁ絵に描いたような “左右泣き別れ” ステレオはしゃあないにしても、ややハイ上がりで他のペルー盤のような中低域のガッツが感じられないのが一番の問題だ。盤の見た目は何の問題もないのだが、ひょっとするとウチのオルトフォン丸針との相性が悪いのか...(*_*) 私は “次のトラックから改善するかも...” という淡い期待を抱きながら聴き進んだが最後までずっとそのまんまだった。う~ん、困った。
 そこで私は一計を案じた。ステレオ針がダメならモノ針があるではないか。ダメ元でいっぺん試してみようと思い立った私はすぐにカートリッジを付け替えて、もう一度A面トップから聴き始めた。するとどうだろう、さっきまでとはまるで別のレコードのように活き活きと鳴り始めたではないか! さすがに最近B-SELSで買ったイスラエル盤やベネズエラ盤のラウドカットほどではないものの、ステレオ針の時とは雲泥の差の力強いサウンドである。なぜこんな凄い音が出るのかはわからないが、何て言うか、オーディオのスイートスポットをピンポイントで捉えたかのようなそんな轟音だ。もちろんステレオ盤をモノ針で聴くのは邪道というのは百も承知だが、ステレオであれモノラルであれ、リスナーが気持ちよく聞けさえすればそれでいいのだ。
 それにしてもこの元気の良い鳴りっぷりは何なのだろう? 同じモノラルのUKオリジナル盤を遥かに凌ぐダイナミックなサウンドで、初期ビートルズならではの強烈なエネルギーがビンビン伝わってきて気持ち良いことこの上ない。A①「She Loves You」からラストのB⑧「I Want To Hold Your Hand」に至るまで、息つく暇もなく一気呵成に駆け抜けるビートルズのロックンロール・ワンダーランド、レノン=マッカートニー名曲絵巻、掟破りのUSチャート独占、サウンドの大海原、アックスボンバー三つ又の槍の如き破壊力である。少なくとも私の手持ちの「Oldies」の中では別格と言える音だ。
 ということでこのペルー盤「Oldies」、私にとってはステレオ盤としての価値は無いに等しいが、モノラル・カートリッジの使用で十分すぎるほどの存在感を発揮してくれた。あれほど疎遠だったこのアルバムが頻繁にターンテーブルに乗るようになったのだから各国盤っていうのはホンマにオモロイですな(^.^)

「Yellow Submarine」UK ステレオ “1R” 盤

2021-11-13 | The Beatles
 最近の私は “ペルー盤”“イスラエル盤” そして “ゲットバック・セッション”の三大祭りで大忙しだったのだが、先日そんな私の間隙を突くように(?) UKオリジナル・ステレオの「Yellow Submarine」スタンパー “1R” 盤が eBay に出品された。たとえどんなに各国盤に熱を上げていようが、UKオリジナルの最初期スタンパー盤は私にとっては未来永劫トップ・プライオリティ、つまり最優先事項である。何を隠そう「Please Please Me」から「Let It Be」に至るまで、UKオリジナル・アルバムすべてのスタンパー1桁盤を入手して毎日ビートルズ三昧して過ごすのが私の究極の夢なのだ。
 「Yellow Submarine」のUK初期スタンパー盤といえばちょうど1年ほど前にB-SELSで “「Hey Bulldog」最強決定戦” というのをやった時に、お店の “1O” 盤と手持ちの “1GO” 盤(←セラーが1桁盤と勘違いして送ってきたもので、その後返品済み)の聴き比べをさせていただいて、スタンパー5番目と15番目の音の違いに唖然とさせられたのをよく覚えているが、今市場に出ているものはそれをも凌ぐ2番目という超最初期スタンパーを使った “1R” 盤である。しかも盤質はEX! もうこれ以上は考えられないと思えたあの “1O” 盤を超える音で「Hey Bulldog」が聴けるかもしれないと思うともう居ても立っても居られない。これ以上となるともう “1G” 盤しか存在しないことになるが、この先盤質の良い “1G” 盤を確実に入手できる保証なんてどこにもないワケで、千載一遇のチャンスと言うべき今回の “1R” 盤は是が非でも獲らねばならない。腹を括った私は渾身の一撃入札を敢行し、首尾よく£107でゲットした。
 このレコードは他のセラーから買ったイスラエル盤やペルー盤と同日に届いたのだが、当然真っ先に超音波クリーニングを施してターンテーブルに乗せた。スピーカーに対峙して音が飛び出してくるのを待っていると、A①「Yellow Submarine」がこれまで聴いたことがないようなリアリティーでもって鳴り始めた。ラウドカットなので当然音はデカいが、それより何より音の世界が驚くほど広いのだ。聴く者を包み込むようなアコースティック・ギターの音は雄大そのものだし、リンゴの声もめっちゃナチュラルに響く。う~ん、これが “1R盤” の音なのか... 私は1曲目から度肝を抜かれた。
 2曲目のA②「Only A Northern Song」を聴いて私はこの曲を見直した。ビートルズの、いやジョージの楽曲の中ですらかなり地味な存在の曲だと思うのだが、この盤で聴くとジョージが意図したサイケな音世界がしっかりと表現されて実に面白いのだ。リンゴのドラムの音もめちゃくちゃシャープで、やっぱりビートルズは最高の音で聴かなアカンなぁと改めて思い知らされた。
 3曲目のA③「All Together Now」を聴くと今でも2013年京セラドームのあの楽しかったステージが目に浮かんでくるが、このレコードで聴けるアコギのザクザク刻むストローク音は快感の一言に尽きる。まるでジャンゴ・ラインハルトのアコギを聴いているかのような凄まじいグルーヴ... う~ん、これはたまらんたまらん(≧▽≦)
 そしていよいよ我が最愛のA④「Hey Bulldog」である。B-SELSで聴かせていただいた “1O” 盤のブルドッグはSさんも私も100点満点を付けるくらい凄かったが、結論から言うとこのブルドッグはそれすらも凌駕して110点、いや120点を付けたくなるほど凄い、いや、凄すぎる。他のブルドッグが霞んでしまうくらい突出した “強烈無比な音” が生み出す凄まじい “ノリ” が超気持ちイイ(≧▽≦)  とにかくこれまで聴いてきた中で文句なしに最高最強の“ブルドッグ”だ。私にとってはこの1曲だけで£100以上の価値がある。
 A⑤「It’s All Too Much」もヤバい。「Tomorrow Never Knows」と同じくドローン効果による渾然一体感がこの曲の一番の面白さだと思うのだが、各楽器の音が “強い” ので、そのドロドロ感に拍車がかかって気持ち良いことこの上ない。この曲に散りばめられたオマージュやパロディの断片が有機的につながって、えもいわれぬグルーヴを生み出しており、それらがエンディングに向かって最高に盛り上がりながら収斂していく様は圧巻だ。
 ラストのA⑥「All You Need Is Love」は曲調のせいかさすがにA③A④ほどサウンド面での衝撃性はないが、それでもポールの闊達なベース・ラインが手に取るように楽しめるのはさすがの “1R効果” と言うべきか。スタンパーが若いとベースの音が一皮剥けたようにこんなにクリアーになるのかと感心させられた。
 というワケで、この “1R盤”は大枚をはたいて買って大正解だった。Discogs のアホバカ・セラーにぬか喜びさせられた1年前のリベンジを果たせて気持ちがスキッとしたのもあるが、これからずーっとこの音で「Hey Bulldog」を聴いていけるというのが何よりも嬉しい。UK最初期スタンパー盤は中々市場に出てこないが、これからも数少ないチャンスを確実にモノにしてやろうと決意を新たにした。とりあえず大好きな「ブルドッグ」をもっかい聴こ(^.^)
The Beatles - Hey Bulldog (Promo video)

「Let It Be」50th Anniversary Edition LP

2021-11-08 | The Beatles
 先月リリースされた「Let It Be」の50周年記念盤は6枚組の「スーパーデラックス・エディション」と単品アナログLPの2種類を購入したが、一番よく聴いているのはやはりアナログLPの方だ。ついに陽の目を見たグリン・ジョンズ版「Get Back」や未発表音源も悪くはないが、私的には何と言ってもジャイルズ・マーティンによって新たにミックスされた本編の音作りが一番面白かったし、同じ本編音源でもCDよりLPの方が音が良かったのでついついLPばかり聴いてしまうのだ。ブルーレイ・オーディオに関しては相変わらずよくわからないのでとりあえず保留。まぁ10年後ぐらいにはちゃんと理解・再生できるかな...(笑)
 この50周年記念シリーズは去年の「Abbey Road」の本編の音作りが私にはイマイチに感じられたので(←未発表音源はめっちゃ面白かったけど...)フィル・スペクター版のオリジナルやネイキッドなど様々な音作りの盤が出ている「Let It Be」はどうなることかと期待半分不安半分というのが正直なところだったが、結論から言うと今回の「Let It Be」は一連のリミックス・シリーズでは4年前の「Sgt. Pepper’s」と同じくらい興味深く楽しめた。このブログにも自分なりの感想を書こうと思ったが、その時にふと “どうせならSさんと一緒に聴いて、その時のやり取りを載せた方が面白いんちゃうか” と思い立ち、B-SELSに持っていくことにした。

 私:今日はこれを一緒に聴こうと思って持ってきました。
 Sさん:あっ、それまだ買ってないんです。映画「Get Back」が配信になってしまってからどうも気持ちが乗らなくて。そのうち聴ければいいかな... って思ってたので今日聴けるのは嬉しいです。
 私:おぉ、それはちょうどよかった。早速聴きましょう。結構面白いですよ(^.^)
 Sさん:(A①「Two Of Us」を聴きながら)かなり低音が出てますね。てゆうか、これはちょっとやり過ぎですよ。どうしてもバスドラに耳がいっちゃう... A②「Dig A Pony」も低音が強いですね。
 私:確かにスペクター版のオリジナルに比べると低音ヤバいくらいに出てますね(笑) このA③「Across The Universe」はどうですか? 私は今回のリミックスで印象がかなり変わったんですけど...
 Sさん:ジョンの声がハッキリしてますね。ただ、コーラスの方もデカくなっているので、個人的にはジョンの声に絞った方がいいんじゃないかと思いました。
 私:この曲って色んなヴァージョンが出ててそれぞれ賛否両論あると思うんですけど、今回のヴァージョンを聴いて改めてスペクター・ヴァージョンの良さがわかったような気がします。この曲はホンマに深いですよ。
 Sさん:A④「I Me Mine」はジョージの声がハッキリしてて良いですね。オリジナルはバックが派手すぎたので...(笑)
 私:このA⑥「Let It Be」は間奏のギター・ソロが熱いですね。ここはすごく気に入ってます。
 Sさん:でもエンディングのギターが隠れがちなのが物足りない...
 私:あっ、それは私も全く同感です。何でもっと大きくミックスしなかったのか不思議ですよ。
 Sさん:ホントにここは残念ですよね。
 私:それにしても低音がホンマによぉ出てますね。この低音の量感、何かに似てるなぁと思ってよくよく考えたら、私が今ハマってるイスラエル盤なんですよね。どうりで気に入るワケですわ...
 Sさん:ハハハ...
 私:どのトラックもオリジナルとの違いがよぉわかってホンマに面白いです。じゃあB面いきましょか。
 Sさん:(B①「I’ve Got A Feeling」を聴きながら)これは好き!
 私:ビリー・プレストン効果が強調されていてスワンプ・ロック色が濃いですね。めっちゃアーシーなミックスになってて気持ちエエです。
 Sさん:B②「One After 909」、これは全然違いますね。ドンチャン、ドンチャンっていうリズムに変わってしまっててオリジナルのスリリングな感じが出てないです。このアルバムの中では一番好きなトラックなだけにちょっと残念ですね。
 私:フェイヴァリット・トラックの改悪は許せないと...(笑)
 Sさん:そうです!(とキッパリ)
 私:このB③「The Long And Winding Road」のミックス、何かポールに忖度したような音作りになってません?
 Sさん:アハハ...
 私:この曲のミックスにはジャイルズも気ぃ遣ったんやろなぁ...
 Sさん:ハッハッハッ...(と大笑い)
 私:B④「For You Blue」、今回のニュー・ミックスで一番気に入ってるのがこれなんです。この曲の泥臭さを際立たせるような優れたミックスになってると思います。
 Sさん:これは良いですね!
 私:でしょ?
 Sさん:「For You Blue」って良い曲なのにアルバムの中で埋もれてしまってたんですが、それを聴かせるような音にしてくれましたね。
 私:ジャイルズ、エエ仕事しましたよ。
 Sさん:前回の「Abbey Road」は変に音の出方が変えられてたように思ったんですが、この「Let It Be」は確かに音の出方は変わってるけど、より丁寧に作り込んでありますね。細部の音まで聴かせつつ名曲を現代に生き返らせるとこういう音になるのかな... って思いました。
 私:ビートルズの演奏にフィル・スペクターが60年代風の化粧を施したのがオリジナル版で、その化粧を落としてすっぴんにしたのがネイキッド、そしてジャイルズ・マーティンが現代風に化粧し直したのが今回のニュー・ミックス、っていう感じかな。
 Sさん:そうですね。
 私:さぁ、いよいよラストのB⑤「Get Back」です。
 Sさん:う~ん、確かに細部の音はよく聞こえて良いんですけど、ちょっと分離が良すぎて... 「Get Back」のボヤ~ッとした良い意味での “変な感じ” が無くなってしまってる...
 私:確かに。
 Sさん:何ていうかその... 哀愁のある “わびさび” が無くなってしまったような感じです。
 私:細部まで聞こえて良くなった部分とそうでない部分があるというのが実に面白いですね。さっきも言いましたけど、改めてスペクターの偉大さがわかった気がします。
 Sさん:重ねに重ねた音なんで、あまり分離しちゃうとダメなんですよ。あの混沌とした音がスペクターらしさなんですよ。
 私:いやぁ、今日は実に楽しかったです。
 Sさん:私もですよ。
 私:二人ともB①④が気に入ったっていうのが面白いです。「Let It Be」のギター・パートでも同じこと考えてましたし。同じビートルズ・ファン同士で意見が合うと何だかうれしくなっちゃいますね(^.^)
The Beatles - Let It Be | Special Edition Releases [Official Trailer]

ディズニープラスに問い合わせてみた(*_*)

2021-11-06 | The Beatles
 いよいよ映画「Get Back」の公開が迫ってきた。ただ、期待した劇場公開はやはり無しで、ディズニープラスでのネット配信だけになるようだ。ハッキリ言って配信という形態もディズニーという会社も大嫌いなのだが、背に腹は代えられない。私は不本意ながら1ヶ月間だけ入会するつもりでディズニープラスのHPを開いてみたのだが、アプリがどーとかドコモがこーとかごちゃごちゃ書いてあってスマホ嫌いの私にはイマイチよくわからない。何だかめんどくせーなぁ... と思いながらも大好きなビートルズのために我慢せねば... と気を取り直し、カスタマーサービスに電話して訊くことにした。
 電話したのは休日の朝だったが、40分ぐらい待たされた挙句、電話口に出てきたのがアジア系アクセントのネーチャンで、喋る日本語はめっちゃ怪しいし、こちらが何を言ってもあまり通じていない様子。あんだけ待たせといてこんなフィリピンパブまがいのオペレーターとか、ディズニーは日本人をナメとんのか! おかしな返事が返ってくるたびに “アナタ ニホンゴ ワカリマスカ?” と言いながら段々腹が立ってた私はついに “モウ ケッコウデス!” と言って電話を切った。
 しかしこのままでは「Get Back」が見れないので今度はチャットを使って問い合わせてみることにした。時間はちょうどお昼を回った頃だったが、待ち人数何と98人! 私はメシを喰ったりリビングの掃除をしたりして時間をつぶし、ようやく順番が回ってきた。ところが今度もまたJulioナントカという外人だ。ディズニーのサポセンには日本人はおらんのか? 私はとりあえず準備しておいた質問をコピペした。以下はその内容:
「4つ質問します。イエスかノーで答えて下さい。
 Q:無料お試しっていうのがあるってネットに書いてあったんですが今はもう無くなったんですか?
 A:イエス
 Q:月末締めとのことなので、11/1に入ろうが11/29に入ろうが11/30まで990円ということですか?
 A:ノー、もし11月1日を入会した場合は12月1日まです。11月10日を入会したら12月10日まです。(←原文ママ)
 Q:HPに「各種アプリから入会」って書いてあるんですけど、スマホとかアプリとかよくわからんので、普通にパソコンを使って入会してグーグルクロームで視聴できますか?
 A:イエス
 Q:支払い方法を見るとドコモ云々っていう説明が多いんですが、スマホ持ってない人間は普通にウェブからクレジットカード払い出来ますか?
 A:イエス」
呆れたことに、たったこれだけの情報を引き出すのに30分もかかったのだ。あ~あほくさ。
 結局その日は無能な外人2人を相手にしてわかったよーなわからんよーな中途半端な答えだったので、翌日の夕方にもう一度チャットに挑戦した。すると今度はたったの15人待ちで、しかもラッキーなことに日本人が担当だ。さっそく用意しておいた質問をコピペして回答を待った:
 Q:仮に11月25日に入会したとしたら、月額990円で12月25日まで見れるということですか?それとも月末〆切で5日間しか見れないのでしょうか? ネットを見ると「日割りには対応しておらず、締め日は月末なので、登録するなら月初めがおすすめです。いつ登録しても1ヶ月分の料金が発生するので、月末や月の途中に登録すると少し損をします。」と書いてあったのですが、先日こちらで尋ねると違うことを言われました。一体どちらが正しいんでしょうか?
 A:ドコモ決済払いであれば、月締めなので月初め登録がおすすめです。それ以外の支払いであれば、登録した日から一か月になります。
 Q:ネット配信という形態がいまいちよくわからないのですが、仮にある番組を配信開始の時間帯に見れなかったとして、例えば DAZN のようにその番組終了後はいつでもこちらの都合の良い時間帯に自由に見れるのですか?それともテレビのように再放送されるのを待たなければならないのでしょうか?
 A:DAZN と同様にその番組終了後はいつでも都合の良い時間帯に自由に見れるとのことです。
 Q:私はディズニーには何の興味も無くて、ただ11/25配信開始の「ビートルズ・ゲットバック」という映画を観たいだけですので、それでしたら11/25に入会して12/25まで繰り返し視聴するのが一番理にかなっているということで間違いないですか?
 A:さようでございます。
う~ん、やっぱり言葉が通じる日本人はエエなぁ...(笑)ということで私の疑問は完全に解決した。25日までまだまだ日があるので、ゲットバック・セッション関連の音源を聴きまくってバッチリ予習するとしよう。
「ザ・ビートルズ:Get Back」|予告編|Disney+ (ディズニープラス)

【脳天直撃音】「With The Beatles」ベネズエラ盤

2021-11-02 | The Beatles
 ここのところ B-SELS でラウドな音の盤ばかり買っている気がするが、性懲りもなくまたまた爆音盤を買ってしまった。きっかけはいつものように B-SELS の「日記」。そこでSさんは「With The Beatles」のベネズエラ盤を取り上げて “これは「大当たり」だ。” “針を落とした瞬間、とにかく聴いたことのないようなスゴイ音がする。” “この迫力、ヴォーカルの力強さ... これは「不良」の音だろう。裏ラウドカットだ。” と仰っているのである。まるで行間から音が聞こえてくるような文章だ。
 ベネズエラ盤と言えば半年ほど前に B-SELS で買った「赤盤」しか持っていないが、確かにあれもえげつないラウドカットで、初めてお店で聴かせていただいた時は腰を抜かしそうなくらいビックリしたのを今でもよく覚えている。 “三度のメシよりラウドカット” が信条の私としては、これはもう音を聴かずとも “買い” である。私は火曜の朝一で電話を入れて購入の意思を伝え(←めっちゃ笑われた...)仕事の予定をやり繰りして木曜の午後から有休を取って B-SELS へと向かった。

 私:一刻も早くベネズエラ盤が聴きたくて、昼から休んじゃいました。
 Sさん:ハハハ... でもお気に召すかどうか... 私は大好きな音なんですけど...
 私:百戦錬磨のSさんが “不良の音” って仰るなら間違いないですよ。
 Sさん:まぁとにかく聴いてみて下さい。ちょっと変わった音なので最初は違和感があるかもしれませんが、すぐに慣れると思います。
 私:(A①「It Won't Be Long」がかかる...)おぉ、コレは凄い!
 Sさん:つかみはOKですか?
 私:OKどころかめっちゃエエんですけど... 一体これのどこに違和感あるんですか?
 Sさん:本当に良いですか?
 私:大好きな音です。超アグレッシヴで。これは絶対に “買い” ですよ!
 Sさん:よかった...
 私:(A⑥「Till There Was You」がかかる...)バラッドでこのド迫力! 嬉しくて笑っちゃいますね、この音。
 Sさん:(めっちゃ嬉しそうにうなずく)
 私:てゆーか、これって言うほど “変わった音” なんですかねぇ?
 Sさん:やかましすぎるというか、B①「Roll Over Beethoven」なんて、ちょっとやりすぎやろ... っていう感じがするんです。
 私:いやいやいや、これこそまさにロックンロールの “あらまほしき音” ですよ!
 Sさん:何て言うか、音が破裂している感じです。これを最初に聴いた時はパンクのレコードみたいやと思いましたから。
 私:確かにめっちゃパンキッシュな音ですよね。ビートルズの原点である熱いロックンロールを見事に音溝に刻み込んだ音作り... 最高じゃないですか!
 Sさん:こんなに喜んでいただけるとは...
 私:このB⑥「Not A Second Time」なんてリンゴがジョン・ボーナムになっとる...
 Sさん:ハッハッハッ...(と大笑い)
 私: ボンゾで思い出しましたけど、この音ってボブ・ラドウィックがカッティングしたUS盤の「Led Zeppelin Ⅱ」(←RL刻印で有名な通称 “Hot Mix” 盤)に似てますね。あれも UK盤みたいな深みには欠けますが、その分ハードロックに全振りした凄まじいサウンドでした。この「With The Beatles」でもUKの1N盤との違いはその辺にあるように思えます。まぁどっちの音も好きですけどね...(笑)
 Sさん:なるほどねぇ。あっ、それと全体的にフェイドアウトがちょっと早いですね、このレコード。
 私:確かにそうですね。それにしてもこのB⑦「Money」、強烈やなぁ... 黒い皮ジャンを着たジョンがオラつきながら “カネよこせ!” って歌ってる感じ。“不良の音”、最高ですよ!