shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Budokan 2016 「1st Night」&「Final Night」/ Queen + Adam Lambert

2024-04-07 | Queen

 クイーンとアダム・ランバートの出会いは2009年に「アメリカン・アイドル」という “米国版スター誕生” みたいなTV番組にブライアンとロジャーがゲスト出演した時が最初で、アダムの歌声に惚れ込んだ二人が正式にクイーンへの参加を打診し、2012年からライヴ活動を始めて今に至るのだが、その当時の私は “クイーンはオリジナル・メンバー4人が揃ってこそ。他のヴォーカリストを迎えて活動を続けるのはちょっと違うんちゃうか...” と考えていたこともあって、2度の来日公演、すなわち2014年のサマソニも2016年の武道館もスルーしていた。
 しかしよくよく考えてみるとフレディーが亡くなった時点で “現役バリバリのロックバンド” としてのクイーンはその使命を終えているのであって、それ以降の “ブライアン&ロジャー+α” の活動は現役時代の名曲を再現する “最強のコピー・バンド”(←もちろん肯定的な意味で...)と考えればよいのではないか。ちょうどジョンもジョージもリンゴもいないポールのコンサートにファンがビートルズ・ナンバーを求めるのと同じことである。2020年に来日が決まった時はちょうど映画「ボヘミアン・ラプソディー」でクイーン熱が再燃していたこともあって、迷わずに京セラドームに足を運び、実際にアダムのステージを見て “こいつは本物や!” と己の間違いに気付いた次第。It's never too late to mend(改めるに遅すぎることはない)である。
 すっかり Queen + Adam Lambert という新ユニットが気に入った私が遅まきながら過去の来日公演の音源や映像を入手してチェックしたところ、今回のドーム・ツアーとはセトリやアレンジが微妙に違っており、特に2016年の武道館公演の出来が素晴らしかったので、2024クイーン祭りのスピンオフとして2枚のオーディエンス録音盤をこのブログで取り上げようと思う。
 2016年の武道館公演は9/21, 22, 23の3夜連続で行われたもので、セトリ面ではドラム・ソロ前のロジャーのヴォーカル曲が初日と最終日は「These Are The Days Of Our Lives」で2日目のみ「A Kind Of Magic」になっていることと、「The Show Must Go On」が2日目以降セトリ落ちしてしまったことが3日間での違いだ。今回の2024ツアーと比べてみると「Love Of My Life」と「Teo Toriatte」という鉄板アコースティック・セットは変わらないが、「Hammer To Fall」に続いて初期を代表するハードロック・ナンバーの一つである「Stone Cold Crazy」が演奏されているのが目を引く。私がクイーンで一番好きなのはアッパーなロックンロール・チューンなのでこれはめっちゃ嬉しいし、贅沢を言わせてもらえばここに「Keep Yourself Alive」と「Now I'm Here」、そして「Ogre Battle」(←一度でいいからアダム版空耳 “横目がスケベくさ~い” を聴いてみたい...)が加われば最高やろなと思った。
 アレンジ面では何と言っても「Somebody To Love」の後半部をアップテンポで畳みかけるところがめちゃくちゃ気に入っていて(←後で知ったが、この斬新なアレンジは2012年のモスクワ公演で既にやってた...)、オーディエンスの反応も抜群に良いし、贅沢を言わせてもらえば「ラプソディー・ツアー」でもこのアレンジでやってほしかった。又、「Tie Your Mother Down」の後半部でアダムがオーディエンスと掛け合いをして盛り上げるところもさすがという感じ。アダム・ランバート、恐るべしだ。
 この時のコンサートはクイーンにとって31年ぶり(!)の武道館ということでメンバーも興が乗ったのか実によく喋る3日間で、MCを聴いているだけでバンドとファンが作り上げた温かい空間が目に浮かんでくるようだ。特にアコースティック・セット時のブライアンの“セルフィー クダサイ!” で始まる “自撮り棒を使ったファンとの360° 撮影会”には心が和むし、最終日に武道館20回目というところを日本語で“12回!”と言い間違えるところなんかも(←日本人がtwelveとtwentyを間違えるのと同じやね...)実に微笑ましい。
【Audio】Day 2 - Queen+Adam Lambert Live at Budokan, Tokyo, Japan 9.22.2016


 ライトハウスがリリースしたこの「Budokan 2016 1st Night」と「Budokan 2016 Final Night」はどちらも音がめちゃくちゃ良くて、Xavel から出ている IEM マトリクス録音盤「Magnificent Budokan」をも軽く凌駕する高音質だ。商品説明によると2枚とも日本武道館の八角形空間ごしにステージと正対する録音の特等席とでもいうべき南側スタンドで録音されたもので、2階席で録られた「1st Night」の方は “「まるでサウンドボード」と呼んでしまったらむしろ失礼に思えるほどの超絶リッチなサウンド” で立体感が際立ち、1階席で録られた「Final Night」の方は “左右のバランスが均質で、正面からの楽音が突き抜けてくる絶妙なサウンド” で、ステージに近い分だけ楽音の太さで勝っているとのこと。私は6:4で「1st Night」の方に軍配を上げたいが、これはもう “好みの差” レベルの違いでしかないと思う。とにかくどちらもオーディエンス録音盤かくあるべし... と言いたくなるような高音質だ。

Queen + Adam Lambert 2024 来日公演 LH版CD 聴き比べ

2024-03-31 | Queen
 約1ヶ月にわたって続けてきたクイーン2024来日ブート祭りもいよいよ最終回。映像関連は決着がついたので、今回はライトハウスからリリースされた6枚のCDを聴き比べて “ライヴ・イン・ジャパン№1決定戦” をやってみよう。

①Osaka 2024
 LH恒例のオーディエンス録音シリーズでまず最初に出たのがコレ。この手の第一報版というのはたいてい “とりあえず聴ければいい” レベルの音の遠い録音だったり残響音キツめのスカスカ録音だったりというケースが少なくないのだが、これを聴いた時は良い意味で予想を裏切られた。ガッシリした骨太な音に適度のホール鳴りを伴った良好なバランスのオーディエンス録音で、「東京2日目」や「名古屋」が出るまではこればっかり聴いていた。当然ながらオーディエンス・ノイズも入っているが、アウアウ系の不快なものは皆無で、目立つのは「Bohemian Rhapsody」のイントロに被さるように入っているどっかのオッサンの咳ぐらいだ。
【私的評価】8.5点

②Tokyo 2024
 名古屋も札幌もすっ飛ばして「Osaka 2024」に続く第2弾としてリリースされたのが東京2公演をセットで収録した4枚組の「Tokyo 2024」だ。初日のDisc‐1, 2はオーディエンス録音としては平均的な部類で、残響音もまあまあ許容できるレベル。東京初日に関しては個人的な好みで言えば③よりもこっちが僅差で上回る。2日目のDisc‐3, 4は商品説明に“重低音が凄いド迫力サウンド” とあったので楽しみにしていたが、いくら何でもこれはトゥー・マッチ。確かに「Another One Bites The Dust」なんか聴いてて面白い面もあるが、“面白い音” と “良い音” は違うのだ。カーステかイヤホンで聴くにはちょうど良いのかもしれないが、ウチのマッキン+アルテックの組み合わせではどうにもバランスが悪くてとてもじゃないが2時間も聴いていられない。2~3曲つまみ聴きするのが極意。
【私的評価】初日6.5点、2日目6点

③Tokyo Dome 2024 1st Night
 オーディエンス録音の良し悪しを決める最も重要な要素の一つは “残響音” だと思うが、この「東京初日」盤はいわゆる “ドーム鳴り” と言われる残響音が耳について私は好きにはなれない。もちろん悪名高い(?)東京ドームでの録音なのである程度までは我慢するにしても、さすがにこれはちょっと耐え難い。②のDisc‐1,2 との比較試聴では、ダイナミズムで辛勝し、残響音のしつこさで惨敗した。同時リリースの「東京2日目」の出来が良すぎたので余計に印象が悪いのかもしれないが、私には “ギフト版に毛の生えた程度” にしか聞こえず、LHがこれをプレスしたのには正直びっくりした。
【私的評価】5点

④Tokyo Dome 2024 2nd Night
 宣伝文句に赤字でデカデカと “奇跡的超高音質録音!!” と書いてあったので “ま~たLHの自画自賛インフォが始まったか...” と眉に唾をつけて商品説明を見ていたが、届いた盤を実際に聴いてみると看板に偽りなしの、“本物中の本物” だった。“音は完全鉄壁でケチの付けようがなく” “オフィシャルSBDに生々しい拍手をちょっと付け足したような感じ”で “録音の難所といわれるあの東京ドームで超極太ド密着” な“無条件に鳥肌モノのサウンド” という説明通りの凄い録音。今のF1に例えるなら、1台だけ別カテゴリーと言われる異次元の走りで他を圧倒するレッドブルのフェルスタッペンみたいな “絶対王者サウンド” だ。
【私的評価】10点

⑤Nagoya 2024
 「東京2日目」がレッドブルのフェルスタッペンならこの「名古屋」はさしずめフェラーリのルクレール、つまり断トツの№1から少し離された第2集団のトップで、いわゆる “ベスト・オブ・ザ・レスト” というヤツだ。タッペン... じゃなかった「東京2日目」には及ばないものの、これ単品で聴けばオーディエンス録音としては十分すぎるくらい芯のあるオンな音で、これならティフォシ達も大満足だろう(笑) セトリ面でも唯一「Killer Queen」が入っているし、「Tie Your Mother Down」後のオーディエンスとの即興掛け合いも熱いしで、商品価値は抜群に高いと思う。
【私的評価】9.5点

⑥Sapporo 2024
 この「Sapporo 2024」は④⑤のような超優秀録音盤には敵わないものの、②③のようなイマイチ盤とは激しく一線を画すガッシリしたサウンドで、今のF1で言えばセカンド・グループでの安定した走りが光るアストンマーチンのアロンソ的な立ち位置だ。商品説明にあるように “あくまでホール鳴りも吸い込んだオーディエンスらしいサウンドではあるが、細部の微細部までくっきりハッキリ。芯もシャープで、ディテールが鮮やか。輪郭がキリッと美しく、その上で密度もたっぷりで十分に極太” な音だ。42年ぶりの“生”クイーンということで大盛り上がりの空気感がビンビン伝わってきて微笑ましい気持ちになれるオーディエンス・ノイズは大目に見てあげましょう。
【私的評価】8点

ということで今回の極私的“Queen + AL 2024ライヴ・イン・ジャパン№1決定戦” の結果は ④>⑤>①>⑥>>②>>③ となりました。

Nagoya & Osaka 2024【大阪編】/ Queen + Adam Lambert

2024-03-24 | Queen
 2024クイーン日本公演ブートレッグ祭り映像編の大トリは当然京セラドームである。2020年のラプソディー・ツアーの時は大阪公演だけロクな映像作品がなくてガッカリしたので、今回こそは!と祈るような気持ちで待ち構えていた私が手に入れたのはライトハウスから名古屋とのカップリングで出ている2種類のDVDと、PHOENIX という謎のレーベルから「Japan 2024 Kyocera Dome Osaka」というブルーレイの3枚。しかし残念なことにこのブルーレイというのが4種類の映像ソースの切り替えタイミングが素人レベルで、しかもその内の1つが超高角度からの豆粒映像という論ずるにも値しないアホバカ盤だったので即別室送り。スイッチングがヘタクソなマルチカメラはワンカメに激しく劣るという教訓を得た。

【Early Edition Disc 2(LH)】
 クイーンの京セラ公演の感想をこのブログにアップした時にライヴの動画をYouTubeで探したところ、一つだけ群を抜いて高画質で見やすい全編映像があったのでそれを貼り付け、“ひょっとしてライトハウスがコレをパクって商品化するんちゃうか...” と考えていたら、翌週の新作紹介に “ステージ中央を真っ正面に見据えつつ、超巨大スクリーンを丸ごと捉えた全景ショット” という行があり、“絶対にアレやろな...” と確信。届いた映像を観ると案の定だった。画面左上の表示が “2024.1.7 Wed OSAKA JAPAN” と日付を間違えたまま商品化しているのが笑えるが、その後しばらくして Universal の横やりで消されてしまったので(←ブライアンがインタビューで Universal のそういうやり方に苦言を呈してた...)ライトハウスさん、ディスク化してくれてありがとうだ。
 映像はアリーナ席真ん中あたりのほぼ真正面からステージ全体を捉えており、ほぼ固定アングルでバックの巨大スクリーンに映るステージの様子をまるごと見れるのが嬉しい。右スタンド席の私はステージを斜め目線でしか見れてなかったし、デジカメや双眼鏡や手拍子で忙しかったので(笑)、巨大スクリーンに映し出される迫力満点のマルチカメラ・プロショット映像や様々な工夫を凝らしたCG映像、そして目の覚めるような美しいライティングといった見どころをこの映像でバッチリ楽しめるのだ。例えばアンコールの「We Will Rock You」でスクリーンにロボットがいっぱい出てくるところがあるが、最後のブライアンのギターの轟音に合わせてヘッドの先から光線が出てロボット軍団を蹴散らすという仕掛けは恥ずかしながらこの映像を観て初めて知ったし、他にも“なるほど、そういうことやったんか...” という目からウロコ的な発見があって実に愉しい。画質も良いし(←YouTubeではもっと高画質だった気がするが、DVD化でダウンコンバートされたのかな...)、私的には非常に重宝している1枚だ。
    
    
    
    

【私的評価】
 ・画質:8.5
 ・音質:8
 ・カメラワーク:9
 ・総合満足度:9.5

【Definitive Edition Disc 2(LH)】
 4年前にこのブログでクイーン2020大阪公演のベスト・ブート決定戦というのをやった時に YouTube から “Queen and Adam Lambert, VIP OPERA BOXES VIEW” という映像を見つけてきて貼り付けたのだが(←例によってすぐに消された...)、この Definitive Edition の映像はまさにその全編ヴァージョンという感じのもので、開演直前にステージ上でスタンバイしているメンバーの様子とか、滅多に見られないレアな映像が(→「手をとりあって」の途中でロジャーが休憩からステージに戻ってくる様子もバッチリ!)拝める。メンバーとの距離も激近だし、カメラワークも落ち着いていて非常に見やすい。
 ただ、背面映像って2~3曲なら “おぉ、これは興味深い!” と楽しめるのだが、約2時間も観続けるとさすがに飽きてくるし、クイーンならではの絢爛豪華なライヴの醍醐味を味わうという点では正直物足りない。珍味食材がどう転んでもメイン・ディッシュにはなれないのと同じ理屈だ。有名な「Live Aid」映像の例を挙げるまでもなく、この手の舞台裏映像は正面からのクロース・ショットと上手く組み合わせてサブ映像として使ってこそ初めて活きてくると思うので、これはこれで大いにアリだが、Definitive Edition(決定版)と呼ぶのはちょっと違うだろう。京セラでも名屋編や東京編みたいな正面からの超絶クロース・ショットがあったらよかったのに...
    
    
    
    
【私的評価】
 ・画質:7
 ・音質:7
 ・カメラワーク:9.5
 ・総合満足度:7.5

Nagoya & Osaka 2024【名古屋編】/ Queen + Adam Lambert

2024-03-17 | Queen
 2024クイーン日本公演ブートレッグ祭りの後半戦は西日本の2公演。まずは名古屋からいこうと思うが、最初に出たのが「Nagoya & Osaka 2024」で、その2週間後に出たのが同タイトル別映像の“Definitive Edition”。タイトルからわかるようにどちらも大阪公演とのカップリングで老舗レーベルのライトハウスからリリースされたものだ。
 ツアー初日となるナゴドでのライヴは5回行われた今回の日本公演で唯一「Killer Queen」が演奏されたという点だけでも大変貴重だし、「Fat-Bottomed Girls」や「I Was Born To Love You」のセットリスト内での演奏順序も違っていて、大阪・札幌・東京公演とは又違った雰囲気が楽しめる。それでは早速2種類のナゴドDVDを比べてみよう。

【Early Edition Disc 1】
 「Nagoya & Osaka 2024」のDisc 1に収められた映像は何とアリーナ最前列からのスーパー・クロース・ショットで、“視界には前方客の姿がゼロ。撮影者とステージの間にいるのはセキュリティとカメラクルーのみ。「バンドと自分だけ」感覚は圧倒的で、まるで無観客のリハーサルに同席しているような独り占め感を味わえる...” という説明通りの凄い映像で、“最前列ってこんな見え方するんか...” と感銘を受けるレベル。花道での演奏を捉えたショットはさすがに最前列とはいかないが、それでも激近であることに変わりはなく、「Bicycle Race」でアダムが乗るバイクのリアナンバープレートのQALという文字がクッキリハッキリと読み取れる。カメラワークも抜群で、落ち着き払ってメンバーの動きを追いながらプロショットみたいな映像を連発してくるのだからもう参りましたと平伏すしかない。
 しかし好事魔多しとはよく言ったもので、所々にカットがあって曲の最中に急に数バース飛んでしまうのだ。「Hammer To Fall」で2ヶ所、「Another One Bites The Dust」で1ヶ所飛んでいるし、「Bicycle Race」もイントロの途中から始まっている... といった按配。曲中のカットを極端に嫌う私としては、撮影ポジションもカメラワークも完璧なだけに悩ましいところだ。
   
   
   
   
【私的評価】
 ・画質:9
 ・音質:7.5
 ・カメラワーク:10
 ・総合満足度:9

【Definitive Edition Disc 2】
 ライトハウスでは同じライヴでより優れた作品を後から出す時に “Definitive Edition(決定版)” というタイトルを付けるのがお約束で、こちらの商品説明にもハッキリと “最高峰を更新する新映像” “クオリティも個性も本作の方が強烈” “シンプルに名古屋No.1” と書かれている。撮影者は「SAPPORO 2024(のDisc 1)」や「TOKYO 2024(のDisc 2)」と同じ人物だということだが、撮影ポジションは最前列とはいかないものの、ステージに近いこともあってズームを多用する必要性がないからか非常にスムーズで安定したカメラワークで撮れており、観ていて全くストレスを感じさせない素晴らしい映像になっている。又、一瞬ブルーレイかと見間違うぐらい輝度の高いキレイな画質で、少なくとも映像という点においてはこれ以上を望むことはできないだろう。
 敢えて難を挙げれば音が時々大きくなったり小さくなったりするところがあるが、映像が素晴らしすぎて音量の変化などさして気にはならない。「Bohemian Rhapsody」のイントロが僅かに切れているが、それがなければ完璧な100点満点だっただろう。今回のブート祭りの№1は文句ナシにコレだ。
   
   
   
   
【私的評価】
 ・画質:10
 ・音質:6
 ・カメラワーク:10
 ・総合満足度:9.9

Tokyo 2024 & Sapporo 2024 / Queen + Adam Lambert

2024-03-10 | Queen

 クイーンの日本公演からほぼ1ヶ月が経ってブートレッグの方は一通り出揃った感があるが、今回はライトハウスから出た「Tokyo 2024」と「Sapporo 2024」を取り上げてツアー後半の札幌・東京を総括しようと思う。

①「Tokyo 2024」
 まず東京初日の模様を収めたDisc 1だが、観始めてすぐに前々回に取り上げたMOONSHINERレーベルのブルーレイ盤「Tokyo 2024 First Night」と全く同じ映像であることに気付いた。要するにどちらもネット上に公開された映像をパクって商品化しているということだが、先行ブルーレイ盤の短所だった「Don't Stop Me Now」の映像カット部分は巧妙に編集してあり、音声も別録音をシンクロさせるなどして観ていてあまり気にならないようにしてあるあたりはさすがLHという感じ。映像作品としてもコスパの点でもこちらの方が一枚上だ。
 東京2日目の Disc 2 は商品説明通りの “ステージ中央を真っ正面に見据えたポジションから撮ったプロショット的なド迫力映像” で、他の多くのブートのような “斜めから目線” ではなくド正面からのクロース・ショットが楽しめるところが凄い。惜しむらくはアレもコレも撮ろうとカメラを動かし過ぎて画面がブレる(or 揺れる)ところ。せっかくプロショット並みの真正面からのドアップ映像が撮れているのだから欲張らずにそのままにしていればいいものを、ズームをいじって引いたり寄ったりを繰り返すので、観ている方としてはライヴに集中できないのだ。この位置からDisc 1の撮影者が撮っていたら100点満点のスーパーウルトラ大傑作映像になったかもしれない。
   
   
【私的評価(Disc 2)】
 ・画質:9
 ・音質:8
 ・カメラワーク:7.5
 ・総合満足度:8.5

②「Sapporo 2024」
 異なる撮影者による2種類の札幌ドーム公演映像を収録したのがこの「Sapporo 2024」だ。Disc 1 は上記「Tokyo 2024」Disc 2 と同じ撮影者で、左側のアリーナ席からのズームによるドアップ映像が楽しめるという長所と、落ち着きのない(笑)カメラワークによる画面の揺れという短所も同じ。まぁ目が慣れてくれば画面の揺れは許容範囲内なので貴重な札幌公演のクロース・ショットが堪能できるメリットの方が大きいと言えるだろう。残念なのは、「Somebody To Love」の後半部がフェードアウトしてしまっていることと、「Bohemian Rhapsody」のイントロが切れていること、そして MCの一部も中途半端にカットされていることだ。ライヴのMCって結構重要だと私は考えているので、「Love Of My Life」前のブライアンのMC “サッポロノ ミナサン コンバンワ! オゲンキデスカ? ホントウネ!” をすっ飛ばしていきなり “ウレシイデス!” では ??? となるし、「Under Pressure」の後、アダムの “Roger Taylor, Ladies and Gentlemen” をカットしていきなり “And Brian May!” はどう考えても変。そのあたりの意味不明なカットがマイナスポイントだ。
   
   
【私的評価】
 ・画質:8.5
 ・音質:8
 ・カメラワーク:7
 ・総合満足度:8

 ディスク2はディスク1とは反対側の右のアリーナ席、おそらく前から2~3列目くらいの激近ポジションからの撮影で、前にいる数人の頭や手の影が映り込んでくる以外は余計なものは一切無いという実に羨ましい映像が楽しめる。そのままでも十分近いのでズームを多用する必要が無いせいか安定した観やすい映像になっており、商品説明にあった “現場の体験感をたっぷり味わえるリアル系の傑作” というのは実に上手い表現だと思った。音声の方も現場のリアル感がヒシヒシと伝わってくるオーディエンス録音で、特に「Love Of My Life」と「Teo Toriatte」の合唱(←ほぼ女性の声オンリーなので耳にやさしい...)は感動的。カットされているのはドラムソロ前のヤング・ロジャー(?)の演奏シーンぐらいで、ほぼライヴ全編をストレスなく楽しめるのも良い。1つの公演を全く性格の違う2種類の映像でカップリングして観る人が好きな方を自由に選べるというこの組み合わせの妙はさすが商売上手な LHと唸るしかなく、LH的には Disc 1 の方を “匠の撮影技で捉えたベスト映像” と持ち上げまくっているが、私的には Disc 2 の方が気に入っている。
   
   
【私的評価】
 ・画質:9
 ・音質:9
 ・カメラワーク:9
 ・総合満足度:9.5

Tokyo 2024 Final Night / Queen + Adam Lambert

2024-03-03 | Queen

 クイーンのブートレッグ祭り第2弾は「Tokyo 2024 Final Night」というブルーレイ。前回取り上げた「Tokyo 2024 First Night」と同じセラーから購入した。これはポールの2015 Out There Japan Tour や 2018 Freshen Up Japan Tour のライヴ・ブルーレイ盤で名を馳せた NANKER レーベルから出ているもので、この時点では今後何種類もリリースされるであろうライトハウス系のブートはまだ出ていなかったが、あのライヴの感動を自宅にいながら好きな時に再体験できて、しかも自分が観たアングルとは異なる映像が楽しめるライヴ・ブートは数が多ければ多いほど良いと思い即決した。
 商品説明には 1 Blu-ray-R + 1 DVD-R と書かれていたが、届いた商品を開けてみると4枚組で、“Disc 3 と Disc 4 は GIFT商品です。視界良好固定カメラでご覧になって頂けましたら幸いです。” と書かれた紙が入っていた。何となく得した気分だ。
 ポールのブルーレイでは画面の片隅に常時映し出されている犬のレーベル・マークがウザかったが、この盤ではそのような小細工は無い。商品説明に “2階席最前列から遮る障害物等一切なく、ワンカメ映像ながらスクリーン・ショットを中心に安定感のある極上映像” とあったが、確かに看板に偽りナシの高画質で、先行の「Tokyo 2024 First Night」とは違ってブルーレイならではの艶のある美麗映像が楽しめる。“超高音質音源に差し替えた” という音質は迫力満点で、“動画サイトなどに上がっている映像とは比較にならないハイ・クオリティな仕上がり” という宣伝文句にも納得の逸品だ。
 ライヴ映像作品というのは、ズームを駆使したメンバーのクロース・ショット、バックのスクリーンも含めたステージ全体を捉えたショット、そして大写しの専属プロショットが楽しめるスクリーン・ショットの組み合わせがその良否を左右すると言っても過言ではないが、ここではスクリーン・ショットをメインに据えた編集が見事にハマり、まるでテレビの公式ライヴ番組でも観ているかのような感覚で楽しめる。そういう意味で、このブルーレイは非常に良く出来た映像作品に仕上がっていると思う。ハッキリ言って、曲間のステージ暗転時に画面がふらつく以外には欠点らしい欠点は見いだせないというのが正直な感想だ。
 ギフト・ディスクは本編ディスクとほぼ同位置・同アングルからの固定映像で、バックの巨大スクリーンに映し出されるプロショット映像を存分に堪能したい時にピッタリだ。特に「Hammer To Fall」でのブライアンの一人時間差(?)映像や、「A Kind Of Magic」のゴージャスで煌びやかなスクリーン映像などは一見の価値ありだ。
   
   
   
   

【私的評価】
 ・画質:9
 ・音質:9
 ・カメラワーク:9
 ・総合満足度:9.5

Tokyo 2024 First Night / Queen + Adam Lambert

2024-02-25 | Queen
 クイーンは私にとって現役ミュージシャンの中ではポール・マッカートニーに次いで想い入れの強いアーティストであり、来日コンサートに行って大盛り上がりした後は、恒例のブートレッグ祭りになる。彼らの東京最終公演から1週間が経って各メーカーから様々な DVD やブルーレイがリリースされつつあるが、私は基本的にライトハウス系がメインで、それ以外はヤフオクで良さそうなのを見つけて買うことが多い。
 今回取り上げる「Tokyo 2024 First Night」はヤフオクで別の盤をチェックしていた時にたまたま見つけたもので、MOONSHINER という聞いたこともない怪しげなレーベル(→メニュー画面のデザインが NANKER RECORDS 盤と瓜二つだったので同一メーカーと考えて間違いない...)のブルーレイだ。
 商品説明文を読むと “ステージ花道付近からのド迫力な極上オーディエンス映像をブルーレイ-Rに完全収録 ” と書いてあり、私は “ステージ花道付近から” というパワー・ワードと送料込みで2,200円という安さに釣られて即決... したはずが、僅差でライバルに先を越されて “オークションに入札できませんでした” という表示が出てガッカリ。しかしこの手のブート業者は同一タイトルを複数回出品することが多いので気を取り直してお気に入りに入れておいたところ、早速その1時間後に出品されて待ってましたとばかりに即ゲット。結局クーポン使用で2,000円でこのブルーレイを手に入れることが出来た。
 ラッキーなことに3連休の初日に届いたので早速視聴してみたところ、撮影位置はステージに向かって右側のアリーナ席で、メーカー・インフォの通り花道真横からのショットが私的には実に新鮮(←こんなかぶりつきの座席でライヴ観たことないわ...)だ。画質の方はごくごく普通で、ライトの加減でブライアンの顔が茶色い埴輪みたいに映っていたりと、ブルーレイの長所を活かしたHD映像とは言い難いし、音質も凡庸そのもので、“良い音” と呼ぶには抵抗がある。
 しかしそういった些細な点を補って余りあるのが実にスムーズで巧みなカメラワークによる映像で、ほぼストレスフリーでクイーンの豪華絢爛なライヴを楽しめるのだ。私はこれまで様々なオーディエンス映像のブートDVDを観てきたが、結局一番大事なのはこの “ストレスを感じずに気持ち良く観れる映像であるか否か” の一点に尽きると思う。そういう意味でこのブートはトップクラスの映像作品と言えるだろう。
 ただ一つ欠点を挙げるとすれば、「Don't Stop Me Now」の途中(曲が始まって1:38秒あたり... 全体では 1:31:35~)で数秒間のカットがあることで、 'Cause I'm having a good time... からいきなり at all へ飛ぶので違和感がハンパない。もうちょっと目立たないように上手く編集してくれたらよかったのにとこの点だけが返す返すも残念だが、そこに目をつぶればこのブルーレイ盤は文句なしに “買い” だと思う。
   
   
   

【私的評価】
 ・画質:6
 ・音質:6
 ・カメラワーク:10
 ・総合満足度:8

圧巻!クイーン京セラドーム公演

2024-02-10 | Queen
 おとといの水曜日、仕事を昼から休んでクイーンの京セラドーム公演に行ってきた。前回のコンサートはちょうどコロナのパンデミックで大騒ぎになるギリギリ直前の2020年1月末だったので約4年ぶりの “おかえりなさい公演”(←クイーンと日本のファンで定期的に行ってる同窓会みたいなモンやね...)ということになる。今回もチケ流でスタンドS席のチケットを購入したが(→アリーナは後ろになった時にめっちゃ見にくいので嫌...)、送られてきたチケットの座席番号をネットで調べてみてもステージの位置が不明なのでイマイチよくわからない。当日入場してから(←入場時はバッグの口を開けてチラッと見せて終わり... 一眼レフとか大仰な機材だけを厳しくチェックしてた感じやった...)1塁側11ゲートってどこやねん... とマゴマゴしながらやっとのことで席に辿り着き、前を見るとめちゃくちゃステージに近くてビックリ。スタンド下段の絶妙な傾斜角と高さで実に見やすく、まだ開演1時間前だというのにもうそれだけでコーフンしてきた(笑)。


 今回のセットリストに関しては、結果から言うと2020年の大阪公演の30曲から4曲減って26曲。時間で言うと7時過ぎに始まって9時過ぎに終わるという約2時間のショーで、前回は確か公演終了が9時半を回っていたような記憶があるので時間的には短くなっている。セトリ落ちしたのは「Now I'm Here」「Seven Seas Of Rhye」「Keep Yourself Alive」「In The Lap Of The Gods... Revisited」「'39」「Doing All Right」「Dragon Attack」「I Want To Break Free」「Killer Queen」の9曲で、特に私が死ぬほど好きな「Now I'm Here」「Keep Yourself Alive」「'39」の3曲が姿を消したのがちょっと残念。逆にセット・インしたのが「Fat-Bottomed Girls」「Is Ths The World We Created」「A Kind Of Magic」の3曲で、中でも「A Kind Of Magic」がバックの映像処理や照明の素晴らしさも含めて出色の出来だった。
QUEEN+ADAM LAMBERT 2024 OSAKA “A Kind Of Magic”


 ショーのコンセプトとしては、前回が初期のアッパーなロックンロール・チューンのつるべ打ちから中盤のアコースティック・セット、そして後半は怒涛のヒット曲連発で締めくくるというシンプルな流れだったのに対し、今回は「Machines」の導入から「Radio Ga Ga」でコンサートが始まり、ちょうど「Sgt. Pepper's」のリプリーズのようにアンコールのラス前で再び「Radio Ga Ga」を短く再演するというちょっと凝ったコンセプトで、その結果「We Will Rock You」と「We Are The Champions」の間に「Radio Ga Ga」が割って入る形になり(←腕めっちゃ疲れた...)、バックの映像が新旧ロボット祭りになっていた(笑)。
 あと、特に印象に残っているのが「Teo Toriatte」の “和”の雰囲気を見事に表現したセットで(←あの瓦屋根良かったなぁ...)、クイーンが心底日本を愛してくれているのが伝わってきてめちゃくちゃ感動した。今回はアダム・ランバートも歌ってくれたのだが、やっぱりめちゃくちゃ上手い! というか、曲をしっかりと自家薬籠中のものとして情感込めて歌ってくれたのが何よりも嬉しい。まるでフレディーが憑依したかのようだ。曲の途中で音響トラブルが起きて音声がオフになるという珍しいアクシデントも消し飛ぶくらい会場が一体となって合唱する快感は筆舌に尽くし難い。名古屋のだけど、凄い映像がYouTubeにアップされてるので↓貼っときます。
【4K】QUEEN + Adam Lambert - Teo Torriatte (Let Us Cling Together) - Nagoya,Japan


 「Tie Your Mother Down」の凝ったアレンジにも驚かされた。曲の入りがイケイケなハードロック・チューンである原曲とあまりにも違っていて最初はピンとこなかったが、セカンド・コーラスからギアを一気に上げてアッパーでストレートアヘッドな演奏で一気に畳み掛けるところがめちゃくちゃ痺れた。クイーンはまだまだ進化する... という嬉しい現実を実感させてくれた名アレンジだ。
QUEEN+ADAM LAMBERT 2024 OSAKA “Tie Your Mother Down “


 大御所と呼ばれるクラシック・ロックのスーパースターたちのライヴというのは、その膨大な数のヒット曲の中からセトリを精選し、最先端の映像/音響技術を駆使して最高のエンターテインメント・ショーを観に来てくれたファンに提供することが第一だと思うのだが、そういう意味では今回のクイーンのコンサートはまさに非の打ちどころがない “完璧にパッケージ化された究極のロックンロール・ショー” として記憶に残る素晴らしいライヴだった。前回行ったから今回はどうしようかなぁと迷ってる人は是非観に行くことをオススメします。
 私の場合、昨年から勤め始めた新しい職場が糞以下でストレスが溜まりまくっていたこともあって、クイーンのライヴで久々にスカッとした気分を味わえて最高に幸せな気分だ。常日頃の鬱憤を晴らすにはやっぱりライヴが最高ですな。2時間ずーっと立ちっぱなしだったのでまだ右膝が痛いが、こんな高揚した気分が味わえるならそんな痛みすら心地良い。年齢を考えてもクイーンの来日は今回が最後という声もチラホラ聞かれるが、日本が大好きな彼らのことだから、ツアー引退前にもう1回ぐらいは来てくれるんじゃないかなぁと秘かに期待している。
QUEEN+ADAM LAMBERT THE RHAPSODY TOUR 2024.2.7 Wed 大阪京セラドーム


【おまけ】今回のラプソディー・ツアー2024は名古屋⇒大阪ときてこの後札幌(←何と42年ぶり!!!)⇒東京と続くのだが、これからライヴに行かれる方でグッズ購入を考えている方は出来る限り早目に行きましょう。大阪では②ワインレッド色Tシャツ、⑫ニット帽、⑭トートバッグが大人気でかなり早く売り切れになっていたが、中でもこのトートバッグが超スグレモノで、46cm×32cmしかもマチありと容量も大きくて生地もしっかりしており、ファスナーや内ポケットまで付いて2,500円というコスパ抜群のグッズなのだ。それと、ブライアンがステージで着用していた “和” の漢字Tシャツ(27)が超カッコ良くてライヴ終了後に再度物販テントに向かったのだが、周りのみなさんも同じ気持ちだったようでこればかり飛ぶように売れており、私はラスト2枚の内の1枚をゲットできてギリギリセーフ。因みにTシャツの着丈・身幅(→私はゆったり目が欲しかったのでXL: 75cm×56cm)が微妙な人はメジャー持参でその場で測らせてもらうと安心です。
          

各国盤頂上決戦⑤「A Night At The Opera」

2022-03-04 | Queen

 クイーンの各国盤は「Queen Greatest Hits」大特集をやる半年ほど前に「The Game」を取り上げたのが最初だが、その後「オペラ座の夜」の面白いヤツを手に入れたので、今回はそれも含めて「オペラ座」の各国盤を特集しようと思う。エントリーはUK盤の他にはビートルズの各国盤で実績抜群(?)のインド盤、ウルグアイ盤、イスラエル盤の4枚。US盤は音がショボすぎて各国盤の“頂上”を決める戦いに相応しくないのであえなく予選落ちとなった(笑)

①UK盤(YAX 5063-2 BLAIR'S / YAX 5064-3 BLAIR'S)
 「オペラ座」の UK 初版は両面マト2らしいが、私の持っているのは2/3盤。両面ともスタンパーは3桁だが、盤質がめちゃくちゃ良いせいもあってかなり凄い音で鳴ってくれる。例えばA①「Death On Two Legs」の出だしなんか色んな楽器が入れ代わり立ち代わり登場するので比較試聴には最適なパートだと思うのだが、このUK盤は “おぉ、これは凄いやん!” と思わず唸ってしまうくらいクリアーでクリスプなサウンドが楽しめるのだ。又、B④「Bohemian Rhapsody」のイントロ部分なんか “盤質こそが大正義” の最たるものだと思うが、この盤は余程音溝の状態が良いのか、チリパチ音のほとんど無い状態で(←これ結構貴重です!)あの万華鏡のようなコーラス・ワークを堪能できるのが嬉しい。

②インド盤(YAX 5063-1 / YAX 5064-1)
 インドの「オペラ座」のマトは UK 盤とは違うフォントの独自カッティング。ビートルズでこれまで何度も経験してきたようにインド盤の独自マトというのは大当たりか大ハズレかのギャンブル的な要素が強いのだが、この「オペラ座」に関する限りは最高に当たったのである\(^o^)/  まず手に持った感触がズシリと重く、“おぉこれは!” と思って重量を測ると、何と169gもあったのだ(→UK:122g、URY: 151g、ISR:115g)。次に盤面をパッと見て気が付くのはデッドワックスの狭さで、試しにA面の音溝の幅を測ってみると8.5cm(→他はすべて8cm)もあって、もうそれだけで期待が高まってくる。実際に聴いてみた音はと言うと、とにかく音圧が高く、各楽器のアタック音の強いことといったらオリジナルの UK 盤をも凌駕するほどで、ヴォーカルはめっちゃ近いし、ギターは切っ先鋭いナイフの如しだし、ドラムは豪快に爆裂するし、ベースはちゃんと存在を主張してるし、コーラスは分厚いしで、こんな凄い「オペラ座」はこれまで聴いたことがない。インド人もびっくりのスーパーウルトラ高音質盤だ。

③ウルグアイ盤(YAX-5063 / YAX-5064)
 ウルグアイ盤の「オペラ座」はジャケットにメンバー4人の星座をあしらった例の紋章ロゴが無く、白地にバンド名とタイトルだけというシンプル極まりないディフ・ジャケで、“クイーンのサージェント・ペパーズ” と言っても過言ではない絢爛豪華な中身を考えるとどうしても違和感を覚えてしまう。ウルグアイ人には理解できないかもしれないが、少なくとも私にとってアルバムというのはパッケージングも含めてのトータル作品なのだ。
 盤の方は UK とも US とも違う独自マトで、そのウォーミーで骨太なサウンドから判断するにおそらくチューブ・カッティングだろう。ブライアンのギターが目立っているものの、ジョンのベースはややおとなし目でロジャーのドラミングも律儀そのもの。基本的にバックの演奏とコーラスワークでフレディーのヴォーカルを引き立て、そこにブライアンが切り込んでいくという感じの音作りになっている。独自マトらしいユニークなサウンドと言えるが、そのあたりは好き嫌いがわかれるかもしれない。音圧も十分あるし他では聴けない音なので私的にはこれはこれで大いにアリだと思う。

④イスラエル盤(YAX 5063-4 Q BLAIR'S / YAX 5064-3 Q BLAIR'S)
 ウルグアイ盤「オペラ座」のジャケットは私的には NG だが、同じディフ・ジャケでもこのイスラエル盤「オペラ座」のジャケットは文句なしにカッコイイ(^o^)丿 これは UK 盤のインナー・スリーヴに使われた写真に例のロゴとアルバム・タイトルを組み合わせたもので(←よく見るとアルバム・タイトルの下にミミズが這ったようなヘブライ語が書いてある)、ジャケット・デザイナーのセンスの良さに感心してしまう。私なんかこのジャケットだけで買いを決めたほどだ。中身のサウンドも期待以上で、基本的にはUKマザーの音ながらベース・ラインがよく出ており、Q刻印が効いているのか(←他アーティストの盤にもあるので Queen の Q ではなさそうだ...)、イスラエル・プレスならではのタイトで引き締まった音が楽しめる。

【 最終結果:IND > UK > ISR > URY 】

「Queen Greatest Hits」各国盤特集③ ~独自系~

2022-02-13 | Queen
 「Queen Greatest Hits」各国盤特集の最終回はUKともUSとも違う独自選曲で我が道を行くドイツ、ウルグアイ、イスラエル、日本の4枚だ。

⑨ドイツ盤(78 044-A-0 / B-0)
 「Queen Greatest Hits」のドイツ盤はUK盤17曲に加えて「Spread Your Wings」まで加えた全18曲入りの超お買い得盤だ。片面それぞれ9曲ずつ入っているので音がショボいんちゃうかと思って聴いてみたところ、思っていた以上に重低音が響き渡ってビックリ(゜o゜)  A②「Another One Bites The Dust」のベースラインなんかズンズン腹にくる感じで気持ち良かった。
 それともう一つ、このドイツ盤の大きな特徴として、メンバー写真ではなく茶色地にただアルバム・タイトルが書かれているだけの味もそっけもないジャケットが挙げられる。12枚並べてみると1枚だけ異質な感じで、確かアバのベスト盤「Gold」もこんな感じだったと思うが、もーちょっと何とかならんかったんか?

⑩ウルグアイ盤(手書きでEMTV-30-A / -B)
 「Queen Greatest Hits」のウルグアイ盤の第一印象は音のデカさ、これに尽きる。繊細さとか倍音の美しさとかは二の次で(笑)とにかく大らかでごっつい音の奔流にのみ込まれる感じが独特な、他国の盤では味わえない音体験だ。細かいことは気にせずにクイーンのビッグ・ロックを楽しもうぜ!という感じの音作りで、B③「Now I'm Here」のロジャーのドラミングなんてまるで重戦車のようだし、A⑦「Don't Stop Me Now」やB①「Crazy Little Thing Called Love」なんかもう楽曲自体のノリに拍車がかかったような凄まじさで超気持ちイイ(^o^)丿
 もう一つの特徴は選曲・曲順がUK盤と微妙に違っていることで、裏ジャケの曲名がスペイン語なので気付かなかったが、A①「Bohemian Rhapsody」、A②「Another One Bites The Dust」と聴き進めていって、3曲目に「Killer Queen」がくるとばかり思っていたらいきなり「Love Of My Life」のライヴ・ヴァージョンがかなりの大音量で流れてきたのでビックリ(゜o゜)  これも各国盤蒐集の楽しみの一つと言えるだろう。因みにもしやと思って調べてみたら同じ南米のブラジルやアルゼンチンも同じ「Love Of My Life」入りだったが、一方でペルーやベネズエラ、コロンビアといった国々はUK盤と全く同じ選曲・曲順だった。他国ではA③にくることが多い「Killer Queen」はB⑤「Play The Game」とB⑦「Flash's Theme」の間のB⑥に追いやられており、代わりに「Seven Seas Of Rhye」が選曲から落とされている。

⑪イスラエル盤(EMTX -30 AQ / EMTV 30 B-3:)
 「Queen Greatest Hits」のイスラエル盤はUK盤の17曲に加えてAラスに当時の最新ヒット曲「Under Pressure」を収録したUKとUSの良いとこ取りハイブリッド選曲が売りだ。音作りの方向性としてはUKともUSとも違う中庸路線で無難なまとめ方をしてあるのだが、イスラエルならではのクリアーなベースラインは健在で、A②「Another One Bites The Dust」の押し出し感は中々のものだ。B面はA面と違ってUKマザーが使われており、A面よりもクリスプなサウンドになっているのが面白い。又、ジャケット右上にヘブライ語で何か書いてあるのも異彩を放っている。

⑫日本盤(P-6480E1 K1P 1-B-1 / P-6480E2 1-A-8)
 「Queen Greatest Hits」各国盤特集のラストを飾るのはもちろん私がリアルタイムで買って(←確か2,000円で曲がいっぱい入ってて大喜びした記憶がある...)擦り切れるほど聴きまくった日本盤だ。全17曲というのはUK盤と同じだが、「Bicycle Race」と「Seven Seas Of Rhye」が外され、代わりに「Under Pressure」と超目玉曲「Teo Toriatte」が収録されている。極私的な好みで言うと「Good Old-Fashioned Lover Boy」「Play The Game」「Flash's Theme」といったゆる~い曲の代わりに「Keep Yourself Alive」「Ogre Battle」「Tie Your Mother Down」といったオラオラ系(?)のハードロックを入れてくれれば最高なのだが(←「'39」も絶対に外せません!)まぁこの日本盤に関する限りは選曲がどーの音質がこーのなどという野暮なことは言わずに、彼らが日本のファンのために作ってくれた珠玉の名曲「手をとりあって」を思い入れ一発で聴くのがファンたる者の正しい姿なのかもしれない。
手をとりあって 和訳字幕付き クイーン Teo Torriatte (Let Us Cling Together) Queen 1979 Tokyo × Remastered 2011


【おまけ】クイーンといえば何はさておき空耳である。"横目がスケベくさい” や "ゴールじゃない” など笑撃の傑作が目白押しだが、最近気に入ってるのがこの「Don't Stop Me Now」で、いきなり “スープ吸ったの幾つですかぁ?” で大笑いし “カニ味噌バレンタイン” で腹筋崩壊... さすがにその発想はなかったわ(笑) “そーでもねぇ”にもクッソワロタ(^o^)丿
カオスな空耳に映像をつけて更にカオスにしたdon't stop me now

「Queen Greatest Hits」各国盤特集② ~US系~

2022-02-04 | Queen
 「Queen Greatest Hits」の各国盤には前回取り上げた17曲入りのUK系グループの他にもう一つ、曲数は2~3曲少ないものの、最新ヒット曲「Under Pressure」を収録したUS系グループがある。具体的に言うとUS、カナダの14曲収録盤と、それに「Tie Your Mother Down」を加えた15曲入りのオーストラリア、ニュージーランド盤だ。今日はそんなUS系の4枚を取り上げよう。

⑤US盤(B-16142-A10-RE 5E-564-A-10-SH-AR-RE+ / 5E-564-B-RE-ED-SP)
 私はビートルズから各国盤蒐集を始めたのでこのブログでもUS盤の音を一部の例外を除いてボロクソにけなしてきたが、クイーンのUS盤は一味違う。それも “悪くない” どころか “めちゃくちゃ良い” のだからアナログは面白い。もちろんUK盤の音も悪くはないが、少なくともこの「Queen Greatest Hits」に関する限り、曲数が少なくて音溝に余裕があるせいなのか、それとも両面に入っているSTERLING刻印のなせるワザなのか、とにかくUS盤の方がUK盤よりも遥かに力強い音がするのだ。音圧で言ったら2割増しぐらいパワーアップしている感じだし、音のクリアネスに関してもUS盤の方が勝っている。今回聴き比べた「Queen Greatest Hits」の中でもトップ・クラスと言えるサウンドだ。
 それともう一つ興味深いのがUK盤との選曲の違いだ。UK盤から「Good Old-Fashioned Lover Boy」「Seven Seas Of Rhye」「Save Me」といったポップな曲を外して「Keep Yourself Alive」というイケイケのアッパー・チューンを入れているのは何となくわかる気がするが、「Don't Stop Me Now」や「Now I'm Here」みたいなアメリカ人受けしそうなノリノリの曲まで外されているのが謎だ。どこをどう聴いてもオープニング・ナンバーのイメージしかないB⑦「Play The Game」をアルバムのラストに持って来る感覚も私には理解できない。

⑥カナダ盤(X5E-564-A / B)
 カナダ盤はUS盤と曲目曲順が全く同じなのでてっきりUS盤と同一マザーだと思っていたが、今回の特集でマトをちゃんと確認するとUSともUKとも違う独自マトだった。音の傾向はUS盤と同じくダイナミックでクリアーなサウンドと言ってよく、高中低と全帯域にわたって非常にバランスの取れた音作りだ。敢えてUS盤との違いを挙げればカナダ盤の方がやや音の重心が低く感じられることで、A③「Crazy Little Thing Called Love」なんかはスピード感重視のUS盤に対し、重厚感溢れるカナダ盤といった対比が楽しめる。私的にはUS、カナダそれぞれに良さがあって甲乙付け難いというのが正直なところだ。

⑦オーストラリア盤(♀ MX199181 5E564-1 / ♀ MX199182 5E564-2)
 オーストラリアとニュージーランドという2枚のオセアニア盤に共通する特徴はUS・カナダ盤でA面ラストに置かれていた「Under Pressure」がアルバムの締めくくりであるB面ラストにまわされ、その代わりに他のどの国の盤にも入っていない「Tie Your Mother Down」がAラスに入っていることだ。「A Day At The Races」からの1stシングルであるこの曲はブライアンが大暴れするゴリゴリの疾走系ハードロック・ナンバーで、私はこの曲が大好きなのでこの選曲はめちゃくちゃ嬉しいし、B面ラストに「Play The Game」ではなく「Under Presuure」が来るというのもアルバム全体として据わりが良い。US系のクリアー&ダイナミックなサウンドも素晴らしく、OZ盤は完全無欠... と言いたいところだが、どういうワケか「Tie Your Mother Down」がシングル・ヴァージョンではなくアルバム「A Day At The Races」のオープニングを飾る大仰なイントロ付きのアルバム・ヴァージョンが収録されており、A⑤「Fat-Bottomed Girls」→A⑥「Bicycle Race」と続いたアルバム全体の流れを分断してしまっているのが惜しい。

⑧ニュージーランド盤(5E 564 A / B)
 私にはオーストラリアとニュージーランドってほとんど兄弟国というイメージがあって、どうせOZ盤とNZ盤の中身も同じだろうと思っていたのだが、念のためにデッドワックスを見てみると全く違う独自マトでまずビックリ。アメリカとカナダの場合もそうだったが、これだから各国盤は面白い。実際に聴いてみるとこのNZ盤は他のどの国の盤よりも倍音がよく出ており、伸びやかで奥行きを感じさせるそのサウンドはクイーンお得意のコーラスワークと相まってまるで万華鏡のようなめくるめくクイーン・ワールドを出来させる。乱暴に言うとロック系の曲ならUS、ポップ系の曲ならNZの音が合うという感じだ。
 それと例の「Tie Your Mother Down」だが、OZ盤では場違いなアルバム・ヴァージョンが採用されていたのに対し、このNZ盤ではちゃーんとシングル・ヴァージョンが収録されているのにビックリ。これをさすがはNZと褒めるべきか、それともただ単にOZがアホなだけと切って捨てればいいのかはわからないが、とにかくこの一点だけをとってもOZ vs NZ対決はNZ盤の勝ちと言っていいと思う。
Queen - Tie Your Mother Down (Official Video)

「Queen Greatest Hits」各国盤特集① ~UK系~

2022-01-28 | Queen
 ちょうど2年前の今日1月28日、私は京セラドームへクイーンを見に行った。日本がコロナ禍に巻き込まれる直前ギリギリセーフの開催だったこともあって、今から思えば大ラッキー。楽しかったライヴの記憶は今も鮮明に脳裏に焼き付いている。せっかくなのでその2周年を記念してクイーンの各国盤を特集することにした。
 クイーンの各国盤で一番持ってる枚数が多いのが「Greatest Hits」だ。世にベスト・アルバム数あれど、このレコードほど1枚の中にそのアーティストの魅力をギュッと詰め込んだ盤を私は他に知らない。まさに安心ラクチン格安パックツアーみたいなノリでクイーンを手軽に楽しめる1枚なんである。因みにこのレコードはイギリスで最も売れたアルバムで、調べてみたら現時点で600万枚を超えているらしい。広大なアメリカならまだしも、人口の少ないイギリス国内だけで600万枚というのはとんでもない数字と言わざるを得ない。イギリス人にとっては“1家に1枚”的なレコードなのだ。
 このアルバムは “発売国によって収録曲や曲順が違う” というのが売りだったが、当時の私は “へぇ~そうなんや...” ぐらいの認識しかなく、日本盤のみに収録された「手をとりあって」を聴いて喜んでいた。それから40年が経って各国盤にハマり、その音作りの違いはもちろんのこと、当時は無関心だった独自選曲の面白さもわかってきたので、このレコードは各国盤特集にピッタリだと思ったのだ。まずは基本中の基本であるUK盤、およびUKと選曲が同じ国の盤からスタートしよう。

①UK盤(EMTV 30 A-1 / B-1), (EMTV 30 A-9 / B-6 )
 私はこのレコードのUK盤を2枚持っている。マトリクス/マザー/スタンパーについてまだ何も知らなかった超初心者の頃に買ったマト9/6盤と、その後 “マトの数字が小さい方が初版に近い” という知恵がついてから手に入れたマト1/1盤の2枚である。苦労して入手したそのマト1盤に初めて針を落とした時は、当然マト1とマト9では音の鮮度にエライ違いがあるだろうと大いなる期待を持って聴き始めたのだが、出てきた音は私の予想に反してマト9盤とあまり変わらないごく普通の音だった。A①「Bohemian Rhapsody」のイントロのベースの響きではむしろマト9盤の方がリアルに感じられたほどだ。その時は“そんなアホな... 何でやねん???” と納得がいかなかったが、それからだいぶ経ってからB-SELSでスタンパーの重要性を教えていただいてやっとその謎が解けた。マト1/1盤の方はマザー/スタンパーが 2-27 / 1-58(スタンパー・コードが数字というのはめっちゃわかりやすくてありがたい...)なのに対し、マト9/6盤のマザー/スタンパーは2-5 / 4-3と、両面とも一桁だったのだ。やっぱりスタンパーの若い盤の音は生々しいなぁ... と改めて感じ入った次第。まぁクイーンのレコードでスタンパー云々騒いでる人はあまりいないとは思うが、このレコードのUK盤を買うならマトに拘るよりも “1に盤質(←キレイな盤は思いの外少ないです...)、2にスタンパー” だと思う。

②アイルランド盤(EMTV 30 A-1 / B-1 IRL C), (EMTV 30 A-8: / B-8 )
 私はこのレコードのアイルランド盤を3枚持っている(笑) 1枚目と2枚目は共に盤質詐欺にあってジャリ盤をつかまされ、3度目の正直でやっと状態の良い盤を手に入れたのだ。まぁどちらも PayPal claim のおかげでお金が返ってきたので実質被害はなかったが、それでもやはりアホなセラーにいちいちクレームを入れるのがホンマに面倒くさかったし、トラブルが解決してお金が返ってくるまではめちゃくちゃ気分が悪かった。レコード蒐集も大変なのだ。
 しかし私はこのゴタゴタのおかげ(?)でアイルランド盤にはDiscogsに載っているマト8:/8盤以外にも マト1/1で デッドワックスの4時の位置に“IRL C” という刻印のある盤が存在することを知った。しかも興味深いことにマト1/1の盤よりもマト8:/8の方がダイナミックな音がするのだからアナログ・レコードの世界は奥が深い。UK盤も同傾向だったので、ひょっとするとこのレコードに関する限りマトの数字が小さければいいというものではなく、逆に「With The Beatles」のUKモノラル盤のように何度もカッティングを繰り返して音を整えていったのかもしれない。

③インド盤(EMTV 30 A-1A / B-1)
 インド盤のレコード番号はUK盤と同じEMTV 30だがマトの字体はUK盤と全く違うフォントの独自カットで、デッドワックスの面積もUK盤より狭い。肝心の音質に関しては独自カットの良さというのは感じられず、特にマト枝番1AのA面の方は高音域がイマイチ伸びていないし低音もモッサリしており、UK盤と比較するとスピード感に欠けて鈍重な印象だ。B面はA面よりも元気があってまだマシだが、それでもUK盤と比べるとあと一歩と言う感じは否めない。AB面に共通するこのインド盤最大の弱点は音が奥に引っ込んで歌も演奏も一列に並んでいるように聞こえることで、スピーカーから迸り出るような音を好む私には合わない音作りだ。B③「Now I'm Here」を聴いてロック魂を刺激されないというのはイカンでしょ...

④ジンバブエ盤(EMTV 30 A-8 / B-1)
 ジンバブエって一体どこやねん?と思われた方も多いと思うが、元をただせばビートルズの各国盤蒐集の時に出会ったアフリカの南ローデシアだ。で、アパルトヘイトを貫く白人政権だったローデシアが1980年に黒人政権になって改名したのがジンバブエということらしい。私がジンバブエという名前を初めて耳にしたのはスティーヴィー・ワンダーが1980年に出した「Master Blaster」という曲の歌詞 “Peace has come to Zimbabwe...♪” を聴いた時なのだが、なるほどそういう経緯があったんやね...
 まぁそれはさておき、まさかそれから40年経って自分がクイーンのジンバブエ盤を手にすることになろうとは夢にも思わなんだ。これを買ったのはただ単にビートルズの南ローデシア盤の音が良かったから国名が変わってもエエ音がするんちゃうかという好奇心からだ。マトはA面が8でB面が1というハイブリッド型(?)でUKマザーそのものの音がするが、プレス枚数の少なさのおかげなのか、かなり鮮度の高い音が楽しめる。特にB①「Crazy Little Thing Called Love」のジョンのベースやB②「Somebody To Love」のブライアンのギター・ソロなど、各楽器の音がグイグイ前に出てくるところが実に気持ちいいのだ。
Queen - Somebody to love (Live Hammersmith Odeon 1979) INCREDIBLE PERFOMANCE! (Sub Español)

各国盤頂上決戦③「The Game」

2021-07-25 | Queen
 私の場合、ビートルズ、ゼップとくれば次は当然クイーンだ。クイーンのインド盤とウルグアイ盤は色々と出ていて割と簡単に手に入ったのだが、トルコ盤に関しては私が調べた限りでは「The Game」しか出ていない。ということでインド盤、ウルグアイ盤、トルコ盤の三つ巴聴き比べ第3弾はクイーンの「The Game」でいきます。

①インド盤1stプレス
 インド盤の「The Game」には白地レーベルに文字だけというシンプルなデザインの盤と赤地レーベルにHis Master's Voiceのニッパー犬が描かれている盤の2種類のヴァージョンがあってネットで色々調べてみてもどちらが1stプレスかわからず、単価が安かったこともあって結局両方買ってみたのだが、UK初版と同じフォイル(銀箔)スリーヴを使っていてスタンパーの若い白レーベル盤(←1桁でした!)の方がどうやらインドの初版のようだ。
 実際に聴いてみるとこれがもう文句ナシの高音質(^o^)丿  音圧が高くて音のキレも素晴らしく、めちゃくちゃ鮮度の高い音が楽しめるのだ。例えばA②「Dragon Attack」なんかもう元気溌剌という感じで、調子に乗ってアンプのヴォリュームを上げていくと各楽器が乱舞しているかのような錯覚に襲われるほど。とにかく音が生々しいのだ。A④「Need Your Loving Tonight」もキレッキレで、そのドライヴ感に圧倒されること間違いなし。インド盤1stプレスがUKオリジナル盤とは又一味違った良い音で鳴るというのはビートルズで何度も体験したが、この「The Game」もその例に漏れない超高音質盤だった。

②インド盤2ndプレス
 ニッパー犬の赤レーベル盤はジャケットそのものの作りもインド盤2ndプレスによくある簡素なものだが、マトは1stプレスと同じものであり、私が手に入れた盤の音溝の状態がめちゃくちゃ良かったせいかもしれないが、1stプレス盤と遜色ないパワフルでエネルギー感に満ちたサウンドで鳴ってくれる。ビートルズではインド盤の2ndプレスにはハズレも少なくなかったが、少なくともクイーンのこのレコードに関する限りはプレス時期云々よりも音溝の状態の良い盤を選びさえすればめちゃくちゃ良い音が聴けるのではないかと思う。

③ウルグアイ盤
 ウルグアイ盤もインド盤と同じくUKともUSとも違う独自マトで、A①「Play The Game」からいきなりウルグアイならではの太~い音を聴かせてくれる。音場は雄大そのもので、聴く者を温かく包み込むようなそのサウンドが曲想とベスト・マッチ。いやぁ、これはたまりませんわ...(^.^) 特に中間部のギター・ソロはチューブ・カッティングならではの温かみのある野太い音で、ブライアンのレッド・スペシャルがこれほど甘~い音で鳴るのを私は聴いたことがない。ジョンのベースがゴムまりのように弾むA⑤「Crazy Little Thing Called Love」は実に気持ち良いし、ロジャーの爆裂ドラミングの一打一打が腹に来るB④「Coming Soon」もたまらんたまらん。有無を言わさぬド迫力で圧倒するインド盤に対し、個々の楽器の音色で聴かせるウルグアイ盤という按配だ。

④トルコ盤
 最後はポール、ゼップと素晴らしい音を聴かせてくれたトルコ盤だ。これまでに買ったトルコ盤がみんな良い音していたのでこのクイーン盤もさぞかし凄い音を聴かせてくれるんやろなぁと思いながら期待に胸を膨らませてレコードに針を落としたところ、スピーカーから出てきたのはこちらの予想とは裏腹のショボい音でガッカリ(*_*)  低音がどうとか高音の伸びがこうとかいう以前の、その埃っぽいヘタレな音は “ホンマにこれがトルコ盤???” と疑いたくなるほどの情けなさで、今年買ったレコードの中ではぶっちぎりのワースト1。こんなん聴くぐらいやったらまだ日本盤でも聴いてる方が遥かにマシだ。
 音そのものもダメだが何よりも許せなかったのはアルバムのラストを飾るクイーン屈指の名バラッドB⑤「Save Me」のエンディングのピアノの途中でフェイドアウトしてしまうこと。アルバムのラストであのピアノの余韻に気持ち良く浸ろうと思っているといきなりバッサリ急速フェイドアウトである。何たる暴挙!!! このMaxというレーベル自体怪しさがハンパないが、何にせよ、このレコードは論ずるに値しないガッカリ盤だった。

ブライアン・メイ “レッド・スペシャル” 腕時計が届いた(^o^)丿

2020-06-04 | Queen
 1月に予約しておいたセイコーとブライアン・メイとのコラボレーション腕時計がついに届いた。この2~3ヶ月ほど、新型コロナのせいで海外オークションのレコード市場が停滞気味なこともあって、欲しかったブツが届いた時のあのワクワクドキドキ感を久々に、ホンマに久々に味わえて大喜びだ(^o^)丿
 このコラボ企画の事を知ったのはクイーン京セラドーム公演の1週間ほど前のこと。ネットでクイーン関連のニュースを色々見ていた時にたまたま“レッド・スペシャルを想わせるブライアン・メイ&セイコーのコラボ腕時計登場” という記事を見つけたのがきっかけだった。私は常日頃からレコード以外にはほとんどお金を使わないので腕時計もホームセンターで買った980円の安物で十分満足していたが、“レッド・スペシャル” モデルの腕時計ってどんなんやろ?という好奇心からその記事を見たところ、これがもうめちゃくちゃカッコ良くて一目惚れ♡  あの名器 “レッド・スペシャル” のウッディな質感をものの見事に再現しており、クイーンのファンなら身につけたくなること間違いなしの逸品に仕上がっているのだ。
 お値段を見ると税込みで63,800円だ。980円の時計(笑)をしている人間が何を血迷ってんねん!と言われそうだが、カッコエエもんはカッコエエのである。レコードであれ、時計であれ、それを所有することでテンションが上がりハッピーな気分になれるのなら63,800円の出費は十分にアリではないか... そう考えた私はすぐにセイコーのHPで詳細を確認し、このモデルを扱う近隣の販売店に片っ端から電話をしまくったのだが、驚いたことに奈良、大阪、京都、兵庫と、近畿圏の時計屋は軒並みソールド・アウト。限定数9,000本ということで1件当たりの割り当てはごくわずかだったようだが、既に “絶対欲しいモード” に突入していた私としては意地でもここで引き下がるワケにはいかない。
 実店舗がダメならネットで買うたるわいと、今度はセイコーHPに載っていた “オンライン・ショップ” のリンクを片っ端からクリックしてみたが、どこもかしこも Sold Out で全くお手上げである。これってもしかして転売屋が買い占めてて、5月の発売日になってからヤフオクやらメルカリやらにプレミア付きの価格でドドーッと出てくるパターンなんかな... などと考えながら次の作戦を考える。私は諦めが悪いのだ。
 もうこーなったらグーグル先生に頼るしかないとの結論に達した私は“Seiko 5 Sports / Brian May / SBSA073... ” と思いつくままに検索ワードをブチ込んでググってみたところ、日本製の高額な腕時計を海外バイヤー向けに販売しているサイトを発見。転売ヤ-どもの魔の手もさすがにここまでは及んでいないようで、お目当てのブライアン・メイ・モデルもまだ “予約可” になっている。値段の方は$675と正規のルートで買うよりは少しお高いが、それでも十分に許容範囲内だ。私は迷わず買いを決めた。
 そしてそれから待つこと4ヶ月... 当初の発売日は5月15日だったが、新型コロナウイルスの関係で発売が2週間ほど延び、この日曜日にブツが届いたというワケだ。さっそく梱包を解き、ツアーの時にギターを運搬するフライトケースを模したボックスを開けると、レッド・スペシャルそっくりの深みのある赤い文字盤の時計がギターに見立てて収納されていた。おぉ、写真で見たのと同じ、いや、それ以上にカッコイイではないか! 手首に巻いてみるとこれまで経験したことがないくらいズッシリした重みが伝わってきて、見た目の重厚感もハンパない。うわぁ、これは最高やわ... と思いながらベルトを留めようとしてそこで手が止まってしまった。ベルトが長すぎて調節の仕方が全然わからないのである。高い金を払っておきながら手首に巻けませんでしたでは泣くに泣けない(*_*)
 取扱説明書にも書いてないし(←全然意味ないやんけ!)、途方に暮れかけた私が一縷の望みをかけて(←大袈裟な...)YouTubeで検索してみたところ、運良くセイコーのCEOがブライアンにこの時計をプレゼントして手に巻いてあげる動画を発見。そのシーンを拡大・コマ送りして何度も見返し、多分これであってるやろと思える装着方法に辿り着き、ようやくこの時計を身につけることができた次第。あ~しんどかった...(>_<)
 とまぁこのように最後の最後でちょっと苦労したが、これを身に付けていると気分が高揚して日々のしんどい仕事もブチギレずに何とか乗り切れている。これは思い切って買って大正解でしたわ(^o^)丿
セイコーウオッチ コラボパートナーQUEEN ギタリスト ブライアン・メイ 表敬訪問

Final Night In Japan 2020 Live At Nagoya Dome / Queen + Adam Lambert

2020-03-18 | Queen
 まず最初に私事で恐縮だが、先日転勤の内示が出た。今の職場には8年間もおっていい加減うんざりしてたし、次行くところは今よりもかなり近くて仕事もラクそうやしで、ハッキリ言ってめちゃくちゃ嬉しいヽ(^o^)丿  コロナで閉塞感がハンパなかった私にとって久々の良いニュース。これでますます音楽漬けの日々が送れそうだ。
 その音楽に関して言うと、ビートルズの最初期スタンパー盤が中々市場に出てこず(←ポンポン出てきたらそれはそれでビックリやけど...)、最近はクイーンのブートレッグを聴きながらオークションは息を潜めて様子見の状態だ。ということで今回もクイーンのブートレッグ... もうこーなったら “春のクイーン祭り” でもやったろか...(笑)
 前回は「映像編」ということでライトハウスが出している埼玉、大阪、名古屋の3枚を取り上げたが、じっくりと鑑賞するに値する映像ブートが埼玉オンリーという悲惨な状況に悶々としていた私は “ポールの時に競い合ってた他のブート屋さんは一体何をしとるんや???” と疑問に思い、色んなメーカーの名前を入れてググってみたところ、Nankerレーベルから埼玉と名古屋のブルーレイが出ている(←何で大阪だけ無いねん!!!)ことを発見。埼玉2日目は既に最高峰の①があってアレを超えることは多分ありえないし、埼玉1日目は説明文の “映像を織り交ぜたミックス編集” という表現に地雷臭しかしなかった(笑)ので、“基本的な映像はスタンド真正面からの撮影によるもので、もう1台の撮影カメラを補足用として使用” という名古屋の方を購入。今回のラプソディ・ツアーはセトリも演出もめちゃくちゃ素晴らしかったので、できるだけ埼玉以外もフル・ショウの映像で残しておきたいというのがファン心理というものだ。
 ここまで映像モノはハズレ率が高かったのでひょっとして Nankerもアカンかな... とブルーレイが届くまでは正直不安だったのだが、届いた盤を観始めた瞬間に“やったー\(^o^)/” という感じで大喜び。ちょうどステージとその後ろの巨大スクリーンがバッチリ映る絶妙な距離・角度からのハイビジョン映像でカットなしのフル・ショーが記録されており、まるでプロ・ショットのライヴ番組を見ているような気分にさせてくれるのがいい。LH埼玉盤をクロース・ショットの傑作とするなら、さしずめこちらはステージ・ショットの傑作というところか。
 ただ、一つ残念だったのは映像にシンクロさせたという音声で、メーカーは“最前列付近からの音圧豊かでステレオ感抜群の高品質な極上サウンドで収録したオリジナルマスター”と胸を張るが、テーパーの傍で “ホゥ ホウ!” と叫びまくるこのクソダサい奇声、LHが出している「Nagoya Dome 2020」と全く同じではないか! 2013ポールのEVSD盤や2015ポール武道館盤の時にも書いたように、私は女性の黄色い歓声やライヴの一体感を味わえる手拍子は大歓迎なのだが、この手の不快な自己陶酔型の奇声は大嫌いなので、1回聴いただけでウンザリして隣室行きになったLHの「Nagoya Dome 2020」と同じ音声が使われていてガッカリ(>_<)  まぁライトハウスもナンカーも基本的にはネット音源をパクって商品化するのが常套手段のブート屋なので他にマシな音源が無かったのだろうと推察するが、映像が素晴らしいだけにヴォリュームを上げられないのが返す返すも残念だ。
 とまぁこのように下品なオーディエンス・ノイズが玉にキズとはいえ、映像作品としてはLH名古屋2DVD-Rの “なんちゃってフル・ショウ” なんかよりも数倍楽しめるこのブルーレイ、クイーン好きにはたまらない傑作ブートだと思う。

【おまけ】名古屋公演の“Crazy Little Thing Called Love”の最中にブライアンのギターにトラブル発生し、ブライアンがギターを取り替えに行ってる間、アダムが“He's getting the other guitar, because he wants to get bluesy now~♪” と即興の歌詞でつなぐところがめちゃくちゃクールでカッコイイ! Nankerのブルーレイでは下のYouTube映像とは別の角度からこのハプニングのシーンがバッチリ撮れててめっちゃ面白かった(^.^)
20200130 QAL 名古屋公演でのハプニング