shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

傑作マッシュアップ特集4 ~吉幾三最強伝説~

2012-06-29 | Mashup
 前回マイケルと五分に渡り合った元祖和製ラッパー、吉幾三。彼の1984年のヒット曲「おら東京さ行ぐだ」のマッシュアップ作品がニコニコ動画で大ブレイクして Ikzo ブームを巻き起こしたのは今から4年前の2008年のことだが、それ以降も多くの作品がアップロードされている。動画共有サイトはまさに “農ミュージック・農ライフ” 状態だ。
 マイケル・ジャクソンに代表される80'sポップスを始めとして、ハードロック、プログレ、パンク、サントラからクラシックに至るまで、どんなジャンルの曲にもピッタリ合ってしまう吉幾三... マッシュアップ界では彼が世界最強かもしれない。ということで今日は色んなタイプのアーティストとのコラボ作品を集めてみた。

vs ハードロック
①「The Immigrant Song」(Led Zeppelin)
 Ikzo を王者ゼッペリンと合わしてみようという大胆不敵な発想が素晴らしい。ブロディーもビックリのスンクロ率だ。
IKZO X ZEP 「移民の歌」


vs サントラ
②「Ghostbusters」(Ray Parker Jr.)
 “じーさん ばーさん じーさん ばーさん...♪” で腹筋崩壊した(ノ^^)八(^^ )ノ Ikzo コラボ作品中でもトップ3に入れたい笑撃のケッサクだ。
吉幾三 ゴースト・バスターズ ghost busters ikzo


vs パンクロック
③「Anarchy In The UK」(Sex Pistols)
 この組み合わせを思いついた職人さんのセンスも凄いが、何にでも合う 驚異の汎用性にはもう脱帽するしかない。 Ikzo の存在こそパンクそのものだ。
【 IKZO 】 アナーキー・イン・ザ・JA 【 Sex Pistols 】


vs プログレ
④「Elephant Talk」(King Crimson)
 まさかまさかのクリムゾン。ロバート・フリップに是非とも聴かせたい珍品だ。
農具クリムゾン - 俺ら東京さ・エレファント・農具


vs ブリティッシュ・ロック
⑤「Radio Ga Ga」(Queen)
 マッシュアップ界の東西王者(笑)による夢の競演。Ikzo の “ガッ ガッ” をサウンド・コラージュ化してフレディーの歌声と見事に調和させてるのが凄い。
【マッシュアップ】 QUEEN×IKZO RADIO ががっ


【おまけ】vs クラシック
「March Of The Toreadors」(Bizet)
 もう何でもアリやな...(笑)
吉幾三フィルハーモニー交響楽団 (ニコニコ動画コメント付)
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傑作マッシュアップ特集3 ~マイケル追悼いくぞー編~

2012-06-27 | Mashup
 今日はマイケル・ジャクソンの名曲の数々に吉幾三の「おら東京さ行ぐだ」を組み合わせたマッシュアップの名作(迷作?)をご紹介。まさに “キング・オブ・ポップと元祖和製ラッパーのコラボがここに実現!” という感じなのだが、心の広~いマイケル・ファン限定ということで、思いっ切り笑って下さいませ(^.^)

①吉幾三 ×「Billie Jean」
 これ、面白すぎ(^o^)丿 イントロに絡む “あ それ!”“あ よいしょ!” の合いの手からもう Ikzo の独壇場! ヴォーカルもリズムにピッタリ合っててまったく違和感なし。それにしてもこの圧倒的なグルーヴ感は一体何なん?
吉幾三 × マイケルジャクソン IKUZO BILLY JEAN


②吉幾三 ×「Smooth Criminal」
 マイコーの “宿直!” に間髪を入れず “ハァ!” と返す Ikzo (0分25秒)に大笑い。世界的スーパースターとの競演でも遜色ない存在感を示す Ikzo の言葉の速射砲に圧倒される。星の数ほどある Ikzo コラボ作品(?)の中でもマイコーとの相性の良さは群を抜いているように思う。
俺らSmooth Criminalするだ【吉幾三×マイケル】PV


③吉幾三 ×「Remember The Time」
 この曲ではマイコーから主役の座を強奪し、全編に亘ってコテコテのグルーヴを炸裂させている Ikzo だが、それにしても驚異的なスンクロ率(←シンクロが訛った表現)だ。「おら東京さ行ぐだ」は1984年リリースだから、今から考えれば時代の遥か先を行っていた(?)ということになる。 “レーザーじいさん、レーザーばぁさん♪”(3分9秒)にはクッソワロタ(^o^)丿
IKZO vs Michael Jackson - Remember The Time(mashup)


④吉幾三 ×「Black Or White」
 この作品はマッシュアップはもちろんのこと、映像編集がめっちゃ面白い。田んぼで踊るマイコーとか、牛とゼロ・グラヴィティするマイコーとか、全編に職人さんのユーモアのセンスが溢れている。聴き終わった後、Ikzo の “ぐーるぐる♪” が文字通り頭の中でぐるぐるリフレインする傑作だ。
【マイケル】 Black or White or Ikuzo 修正版+おまけ 【IKUZO】.mp4


⑤吉幾三 ×「I Want You Back」
 モータウンは直訳すると “牛の町” ということで(←ウソつけ!)Ikzo との相性はバッチリ(^.^) 冗談はさておき、モータウン・サウンドとと津軽弁とラップが有機的に結びつき、時代も国籍もジャンルも超越した Ikzo ワールドが展開され、最終的にインターナショナル盆踊り大会へと収斂していく後半部の盛り上がりは圧巻の一言だ。映像編集のセンスも抜群で、凹んだ時でもコレを見ると元気になれる神動画(^o^)丿 YouTube とニコニコ合わせて60万近い驚異的なヒット数も納得のミラクルな作品だ。
JACKSON5 & IKUZO YOSHI(ジャクソン5&吉幾三)I Want You Back 俺ら東京さ行ぐだ

傑作マッシュアップ特集2 ~ロック・ポップス編~

2012-06-25 | Mashup
前回の「ビートルズ編」に続く “傑作マッシュアップ特集” の第2弾は「ロック・ポップス編」です。

①「Whole Lotta Love」(Led Zeppelin)+「Sex Machine」(James Brown)
 ジミー・ペイジのソリッドなリフに乗って JB の“ゲロッパ!” が炸裂する快感(≧▽≦) これがもうめちゃくちゃカッコ良くって脳内リフレインが止まらない。動画の出来も素晴らしく、その絶妙な映像編集にはもう唸るしかない。
James Brown vs Led Zeppelin - Whole Lotta Sex Machine


②「Super Trouper」(ABBA)+「Jump」(Van Halen)
 アバとヴァン・ヘイレンという水と油の組み合わせを見事にシンクロさせた名作。特に「ジャンプ」のイントロが入ってくるところ(0分15秒)なんてもう最高だし、アグネッタとフリーダの女性陣に負けじと “ジャンプ!” を連呼するデイヴにも大笑いだ。
ABBA vs VAN HALEN __ Super Jumper (Mashup by MadMixMustang) HQ


③「Stand By Me」(Ben E. King)+「Every Breath You Take」(The Police)
 マッシュアップにベンE.キングが出てくるとは思いもしなかったが、それにしてもただただ感心するしかないこの驚異的なシンクロ率! これはもう “面白さ” 云々という次元を遥かに超越して “アート” のレベルにまで達している。私は50~80年代の曲しか聴かないが、マッシュアップで音楽の楽しみ方の可能性がまだまだ広がりそうだ。
The Police vs Ben E King- MASH UP


④「We Will Rock You」(Queen)+「Back In Black」(AC/DC)
 クイーンと AC/DC というマッシュアップ界の2強対決にロバート・プラントが乱入! まさに名曲バトルロイヤル、マッシュアップ・ワンダーランド、サウンドの大海原、ヘッドバンギング数え歌、ひとり民族大移動、アックスボンバー三つ又の槍である。70年代ロックが好きな人に超オススメの逸品だ(・ω・)/
Rock in Black - Queen vs. AC/DC feat. Robert Plant & friends


⑤「Billie Jean」(Michael Jackson)+「Riders On The Storm」(The Doors)
 マイコーとドアーズって超意外な組み合わせだが、ハマり具合が絶妙だ(o^-')b 特にマイコーのグルーヴがジム・モリソンのメロウな歌声の魅力を引き立てているように感じられるのが面白い。こういう化学反応(?)があるからマッシュアップはやめられませんな。
Michael Jackson vs The Doors - Billie Jean on the Storm


【おまけ】「Sympathy For The Devil」(Rolling Stones)+「Born This Way」(Lady Gaga)
 もう何も言うことなし。アホらしすぎて笑えますwww
 Lady Gaga vs. The Rolling Stones - Sympathy For Gaga (Born This Way/Sympathy For The Devil Mash-up)

傑作マッシュアップ特集1 ~ビートルズ編~

2012-06-23 | Mashup
 YouTube で面白いものを見つけた。題して「Whole Lotta Helter Skelter」... タイトルからも分かるように、レッド・ゼッペリン「ホール・ロッタ・ラヴ」とビートルズ「ヘルター・スケルター」のマッシュアップである。マッシュアップというのは音源をトラックごとに解体し、まったく異なる曲同士を巧く組み合わせて新たな楽曲として再構築することで、ジョージ・マーティンの息子であるジャイルズ・マーティンがリミックスしたビートルズの「ラヴ」が真っ先に思い浮かぶ。しかしこの「ホール・ロッタ・ヘルター・スケルター」は異なるアーティスト同士の音源を組み合わせる “異種交配” マッシュアップ。意外な組み合わせを成功させて抜群のシンクロ率の高さを実現するには製作者のセンスが大きくモノをいう。
 私としては何と言ってもビートルズとゼッペリンという超大物同士の組み合わせに興味を引かれるし、全ビートルズ曲の中で最もハード&ヘヴィーな曲がハードロックの王者ゼッペリンとどう融合しているのかも楽しみだ。早速試聴してみるとコレがかなりの力作で、しかも製作者 soundhog のサイトで無料ダウンロード出来るというのも嬉しい。すっかり調子に乗った私は他にも色んな組み合わせのマッシュアップを YouTube で探し始めたのだが、これがもう笑撃のケッサクのオンパレードですっかりハマってしまった。ということで今日は「音壁祭り」をお休みして、「傑作マッシュアップ特集 ~ビートルズ編~」(←心の広いビートルズ・ファン限定です...笑)をどーぞ。

①「Helter Skelter」+「Whole Lotta Love」(Led Zeppelin)
まったく違和感を感じさせない自然な仕上がりで、ハードロックを歌うポールの凄味を再認識させられる。カヴァー・アートにもご注目(@_@)
Whole Lotta Helter Skelter


②「Paperback Writer」+「I'm A Believer」(The Monkees)
以前にこのブログでも取り上げたことがあるが、コレこそまさに私にマッシュアップの面白さを教えてくれた名作なのだ(≧▽≦)
Long Version of Paperback Believer: Beatles vs. Monkees


③「Come Together」+「Fat Bottomed Girls」(Queen)
ブライアン・メイのギター・リフとジョンのヴォーカルがめっちゃ合っててビックリ。クイーンって空耳とかマッシュアップに引っ張りだこですな(^.^)
Queen + The Beatles - Fat Bottomed Girls Come Together (Mashup)


④「Let It Be」+「No Woman, No Cry」(Bob Marley & The Wailers)
初めてコレを聴いた時、マジでイスから転げ落ちそうになった... 何たる脱力感www
Bob Marley vs The Beatles - Let It Be, No Cry - Mashup by FAROFF


⑤「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band」+「Paradise City」(Guns 'n' Roses)
ビートルズでヘッドバンギングっちゅーのも中々オツなもんです。それにしてもこんなん考えたん一体誰やねん...(笑)
The Beatles vs. Guns N Roses - Sgt. Pepper´s Paradise


【追加】
⑥「We Can Work It Out」+「Can't Get Any Harder」(James Brown)
凄いのを見つけました...ゴッドファーザー・オブ・ソウルとの夢の共演! めっちゃファンキーでグルーヴィーなビートルズです(^.^)
Beatles VS James Brown We Can Work it Out


⑦「In My Life」+「I Want You Back」(Jackson 5)
この曲とジャクソン5を組み合わせてしまう斬新な発想が素晴らしい。まさにまいったまいったマイケルジャクソンです。
Jackson 5 vs The Beatles - I Want You Back In My Life - Mashup by FAROFF
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Everlasting Love / 原めぐみ

2012-06-19 | Wall Of Sound
 全国一千万の音壁ファンのみなさん、こんばんは♪ 最近すっかりスペクタリアンと化してきた shiotch7 です。みながわ最高顧問のお墨付きコンピ名盤「音壁Japan」の紹介は終わっちゃいましたが、当ブログの “音壁まつり” はまだまだ続きまっせ。ということで、今日は「音壁Japan」を聴いて大ファンになった“音壁アイドル”、原めぐみたんの「Everlasting Love」でいってみよー(^o^)丿
 彼女は1980年にアイドル歌手としてデビュー、トリオ・レコードから「ボーイハント」と「見つめあう恋」の2枚のシングルを出した後ワーナーにアニメ・ソングを吹き込みソニーへ移籍、原江梨子名義で妖しげなエスニック演歌(?)を3枚出して引退したが、2008年に例の「音壁Japan」に「見つめあう恋」のB面曲「涙のメモリー」が収録されたのをきっかけに “音壁アイドル” として完全復活、翌2009年に18年ぶり(!)の新曲(及びそのモノラル・ミックス&カラオケ)に28年前の音壁ソング3曲(←当然ながら “音壁リマスタリング” されてます...)を加えた6曲入りミニ・アルバムがこの「EVERLASTING LOVE」というワケだ。
 まずはジャケットのメグミンにご注目! とても私よりも2つ年上とは思えない美しさ(←今時の言葉で “美魔女” と言うらしい...)で、いま一つ垢抜けなかったアイドル時代よりも遥かに輝いて見えるし、高く盛ったビーハイブ・ヘア(←“ミツバチの巣” の意味で、ロネッツのトレードマークとなったヘア・スタイル)を見ただけで音が聞こえてきそうな気がする。ジャケット左上の “...presenting the fabulous” なんてもろにロネッツの名盤「プレゼンティング・ザ・ファビュラス・ロネッツ」のパロディーだし、タイトル右下にはフィル・スペクターのPR (PHILLES RECORDS) ロゴの代わりに彼女が経営する輸入雑貨ショップ Grace Note のロゴを描くという凝りようだ。イエロー/レッドのフィレスなレーベル・デザインもマニア心をくすぐらずにはおかない。
 中身の方はフィル・スペクターの “あの音” が好きな人なら間違いなく気に入りそうな筋金入りのウォール・オブ・サウンドで、私は新曲の①「トビラ ~Everlasting Love~」を聴いて一発でKOされてしまったのだが、有象無象の使い捨て音楽が蔓延するこの21世紀のミュージック・シーンにおいて、よくぞまぁこれだけ魅力的なポップスを作れたものだと感心してしまう。2009年に1960年代の古き良きオールディーズを完全無欠な形で再現してやろうという発想が痛快だ。
 曲想としては「ヴァラエティー」~「クワイエット・ライフ」時代の竹内まりやに近く、そのダイナミックな音壁は名曲「もう一度」のサウンド・プロダクションをも凌駕せんばかりの勢いで眼前にそびえ立つ。メグミンの可憐な歌声も18年ぶりの復帰作とはとても思えないような好調ぶりで、まさに曲良し、ヴォーカル良し、演奏良しと三拍子揃ったキラー・チューンだ。この曲はモノラル・ミックス⑤や “ハイパー・ウォール・オブ・サウンド・オーケストラ” によるカラオケ・ヴァージョン⑥も収録されており、音壁好きにはたまらない構成になっている。サウンドの大海原に身を投げ出すようにして大音量で聴くべし(^ε^)♪
原めぐみ 「Everlasting Love」 最新PV


 ②「涙のメモリー」はアイドル時代2枚目のシングルのB面曲で、前回の「音壁Japan」で紹介済み。この曲があのコンピ盤に入っていなければ新曲①をも含めたその後の “復活した伝説の音壁アイドル” としての怒涛の展開はなかっただろうし、当然私が彼女の存在を知ることも無かったかと思うと、よくぞ収録してくれました!!! という感じ。オールディーズ・ファン、特にガールズ・ポップス・ファン御用達のこの曲は、作詞がメグミン本人で、作曲はジューシィ・フルーツの沖山優司だ。
 ③「離さないで(ドント・エヴァー・リーヴ・ミー)」は「ビー・マイ・ベイビー」や「ダ・ドゥー・ロン・ロン」、「リーダー・オブ・ザ・パック」といったガール・グループ・クラシックスを書いた名コンビ、ジェフ・バリー&エリー・グリニッチの作品で、オリジナルはコニー・フランシス64年のヒット曲。この曲は漣健児の訳詞でコニーが歌った日本語ヴァージョンも制作されており、メグミンによるカヴァーはこの漣ヴァージョンを基にして音壁アレンジを施したものだ。
 尚、これはシングルには入っておらず、落語家・三遊亭円丈(←一体どういう繋がりなんやろ???)のアルバム「リハビリテーション」のカセット版(!)のみに収録されていたという超レア音源で、「フェイヴァリッツ! 魅惑の60'sポップス・カヴァー」や「漣健児ソングブック」といったコンピ盤でしか聴けなかったものがこのCDで聴けるのだからメグミン・マニア(←いつからマニアになったんや...)としてはありがたい。長生きはするもんですなo(^-^)o
原めぐみ はなさないで

Connie Francis - Don't Ever Leave Me (English)


 ④「見つめあう恋(ゼアズ・ア・カインド・オブ・ハッシュ)」は言わずと知れたハーマンズ・ハーミッツのヒット曲で、カーペンターズの絶品カヴァーでもよく知られた名曲だが、これはその日本語カヴァーで、アイドル時代2枚目のシングルだ。訳詞の “水無月孔” とはジューシィ・フルーツのイリヤのことで、B面の「涙のメモリー」と共にジューシィ・フルーツ絡みのナンバーということになる。みながわ最高顧問ご指摘のように、「涙のメモリー」が「アイ・ワンダー」ならこの「見つめあう恋」のイントロはコテコテの「ビー・マイ・ベイビー」クローンという感じで、ウキウキするような音壁ガールズ・ポップスに仕上がっている。尚、この曲は「ミート・ザ・ブリティッシュ・ビート!」というコンピ盤でしか聴けなかったので、今回このアルバムに彼女のアイドル時代の音壁作品3曲がすべて収録された意義は大きい。今度は是非ともこの “一人ロネッツ” 路線でフル・アルバムを作ってほしいものだ。
Megumi Hara - Mitsumeau Koi with Picture Sleeve(sound only).flv
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音壁Japan (Pt. 3)

2012-06-16 | Wall Of Sound
 「音壁Japan」特集もいよいよ最終回だ。シーナ&ザ・ロケッツは私が高校生の時に音楽誌のレコード・レビューで彼らの 2nd アルバム「真空パック」が大絶賛されているのを見て興味を持ち、試しに何曲かエアチェックして聴いてみたらコレがもうめちゃくちゃカッコ良いガールズ・ロックで大コーフン(^o^)丿 当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったYMOのメンバーも参加しており、実にキャッチーなロックンロール・アルバムになっているのだが、中でも最もインパクトが強かったのがシングル・カットされた⑫「ユー・メイ・ドリーム」だ。
 この曲には細野晴臣が作曲とプロデュースで参加しており、素朴だったシナロケにポップな魔法をかけ、邦楽ガールズロック史上に残る名曲名演に仕上げている。エコー感はそれほど強くはないが、“スペクター印” の刻印を押しまくるかのように随所で鳴り響くカスタネットがとても印象的だし、「ユー・メイ」と「夢(ドリーム)」を引っ掛けた言葉遊び的な歌詞もユニークで面白い。何やかや言うても、シンセのバックでしっかりと自己主張する鮎川しゃんのロック・スピリット溢れるギターが最高ですたい(笑) ミカ直系のヘタウマ・ヴォーカリスト、シーナのハスキーでキッチュな歌声もガールズ・ロックにぴったりハマっとるとよ... (≧▽≦)
ユー・メイ・ドリーム シーナ&ザ・ロケット


 元スケバン刑事の浅香唯が4年間のブランクの後、YUI 名義でリリースしたカムバック作が⑬「Ring Ring Ring」だ。1980年代の邦楽は殆ど聞いてないに等しいので恥ずかしながら全盛期の彼女のヒット曲は1曲も知らないのだが、この曲はクセになる。ウキウキワクワクするような彼女の歌声が分厚~いウォール・オブ・サウンドとの相乗効果で高揚感を煽りまくり、ドラムスが轟きわたるイントロからその音圧に圧倒されっぱなし(≧▽≦) 特に凄いのはダイナミックレンジを狭く取ることによって中音域が分厚く張り出してくる “あの時代” のモノラル・サウンドを忠実に再現していることで、本アルバム収録作品中最も音壁度の高いナンバーになっている。スペクターの座右の銘である “バック・トゥ・モノ” を極めた感のあるこの安田信二というアレンジャーは筋金入りのスペクター・マニアと見た。こりゃタマランわいと調子に乗ってヴォリュームをガンガン上げていくと、詰め込まれたいろんな音が混然一体となって襲い掛かってきて快感そのものだ。ホンマによーやるわ(゜o゜)
【YUI】 Ring Ring Ring 【浅香唯】 Wall of Sound Japan


 渡辺満里奈の⑭「うれしい予感」はエコー感もバッチリで音壁度は高いのだが、残念ながら歌声にイマイチ聴き手を魅きつけるものがない。この人はTVタレントとしては好感度が高いが、歌手にはあまり向いてないと思う。
 以前このブログでも取り上げた岡崎友紀の⑮「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」は日本人が作った音壁アイドル・ポップスの最高傑作で、キュートな歌声、キャッチーなメロディー、ドリーミーなサウンドと文句の付けようのないキラー・チューン。プロデューサー、加藤和彦の天才ここに極まれり!と言いたくなる絵に描いたような3分間ポップスで、これ以上の名演があったら教えを乞いたいくらいの素晴らしさである。尚、この曲の入った同名アルバムは他にもシルヴィ・バルタン「アイドルを探せ」やローリング・ストーンズ「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」の傑作音壁カヴァーが収録されている大名盤なのだが、1994年に一度CD化されたっきりずーっと廃盤のままで、私はラッキーなことに7年ほど前にヤフオクでLPを、3年前にソニー・オーダーメイドファクトリーでCDをそれぞれゲットできたが、今現在アマゾンでは1万円前後のボッタクリ価格で取り引きされているようだ。シリア・ポールの「夢で逢えたら」もそうだが、こんな名盤を廃盤のまま放置しておくというのはレコード会社の怠慢以外の何物でもないと思う。
ドゥ・ユー・リメンバー・ミー


 大瀧詠一の⑯「青空のように」は「ロンバケ」前夜のナイアガラ・サウンドといった感じでドドンパ・リズムが面白い1曲だが、どうせならナイアガラ・サウンドの最高傑作「君は天然色」を入れて欲しかったところ。あの曲こそ究極のスペクター・オマージュだと思うのだが...
 モコ・ビーバー・オリーブの⑰「わすれたいのに」は1961年にパリス・シスターズがフィル・スペクターのプロデュースで出した「アイ・ラヴ・ハウ・ユー・ラヴ・ミー」の日本語カヴァーで、ウォール・オブ・サウンド完成以前にリリースされた原曲に合わせたかのようなあっさりめのサウンド・プロダクションだ。1曲目をシリア・ポールで始め、最後をオリーブ(←シリア・ポールの愛称)で閉めるという仕掛けにもニヤリとさせられる(^o^)
 以上全17曲、とてもヴァラエティーに富んだ内容で、知らない歌手や曲も一杯聴けて大満足。私は数曲を差し替え・追加して自家製CD-R「ザ・コンプリート・音壁Japan」を作って楽しんでいる。今回は “イントロが「ビー・マイ・ベイビー」してる” 曲が中心に選ばれているが、次回はもっとマニアックな選曲で「音壁Japan 2」を作って欲しいものだ。まぁそれはともかくとして、こんな素敵なコンピ盤を教えて下さったみながわ最高顧問に感謝感謝の大感謝!!! おかげさまで、仕事で溜まりに溜まったストレスも音壁CDを大音量で聴いてスッキリ解消、毎日充実した音壁ライフを満喫しております(^.^) これからも何卒よろしくご指導下さいm(__)m
モコ・ビーバー・オリーブ/わすれたいのに
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音壁Japan (Pt. 2)

2012-06-13 | Wall Of Sound
 先週アマゾンからCDが届いて以来すっかりヘビロテ状態のこの「音壁Japan」、音壁フリークのプロデューサー達が腕の見せ所とばかりに細部に至るまで “スペクター愛” に溢れるアレンジを施し、レコーディング・エンジニアが秘術を尽くして作り上げたウォール・オブ・サウンドの数々が楽しめて実に面白い。ということで今日も前回に引き続き「音壁Japan」パート2だ。
 ポニー・テールというグループの⑥「二人は片想い」(1976)は70年代初期の雰囲気を湛えた女性フォーク・デュオの歌声をウォール・オブ・サウンドでコーティングするという発想が実にユニーク。この手のグループは一歩間違えると “どれを聴いてもみな同じ” ような無個性ソングに堕してしまう危険性を内包しているが、ここでは深いエコーやカスタネットといったスペクター的な要素によってピリリとスパイスが効いているし、エコーがスベッただのカスタネットがコロんだだのという以前に楽曲の出来自体が素晴らしい。それもそのはずで、作詞作曲は荒井のユーミン様だ。この曲は6年後に歌詞やアレンジをガラッと変えて「昔の彼に会うのなら」と改題してアルバム「パール・ピアス」に収録されているので、興味のある方は聴き比べてみて下さい。それにしてもユーミンはホンマにエエ曲を書くなぁ... (≧▽≦)
ポニーテール/二人は片想い

昔の彼に会うのなら 松任谷由実


 杉真理という人は竹内まりやの初期の3枚のアルバムに曲を提供していたこともあってそのポップな作風は昔からよく知っていたが、この⑦「夏休みの宿題」でもウキウキするようなメロディー・センスは相変わらず健在で、クリスタルズ風ウォール・オブ・サウンドの影響を巧く消化しながらオリジナルなサウンドを作り上げている。一言で言えばフィル・スペクターがプロデュースしたマージー・ビートといったところか。
 多岐川裕美の⑧「酸っぱい経験」、コレはめっちゃ懐かしい!!! 1981年頃にカゴメ・トマトジュースのCMソングとして頻繁にテレビから流れてきた曲で、長いこと聞いてなくてすっかり忘れていたが、出だしの “シャ~ツゥの ボ~タン♪” のワン・フレーズを聴いてすぐに記憶がよみがえってきた。CMソングの威力ってやっぱり凄いですな。当時は何も考えずに聞いていたが、今改めて聴くとイントロなんかもう「ビー・マイ・ベイビー」そのまんま(笑)で、曲想やメロディー展開はこの曲の半年前に出た⑮「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」の影響を強く受けていると思うがエコー感は極めて薄く、サウンド的にはフィル・スペクターというよりもむしろ尾崎亜美や門あさ美といった当時のニューミュージック系女性シンガーを想わせるものがある。女優さんの余技だけあって歌の方は上手くはないが、イイ女がイイ曲を歌うというただそれだけで十分ではないかと思う。
酸っぱい経験 多岐川裕美


 太田裕美の⑨「恋のハーフムーン」は大瀧氏プロデュースとはいえ、このコンピ盤の中ではちょっと浮いているというか、 “スペクター度数” はかなり低いと思うのだがどうだろう? 曲としてはシングル向きというよりはむしろアルバム中の1曲という感じで、同じ大瀧プロデュース作品なら前作シングル「さらばシベリア鉄道」のインパクトには遠く及ばないと思う。
 私はこれまで40年近くの長きにわたって色んな音楽を聴いてきたが、偏った聴き方をしてきたせいか “有名アーティストなんだけど、実はまだ聴いたことがない” という歌手やグループも結構多い。シュガー・ベイブもそんな未聴有名アーティストのひとつで、山下達郎が在籍していたグループということしか知らない。今回このコンピ盤に収録された⑩「雨は手のひらにいっぱい」で初めて聴いたワケだが、正直言ってあまり印象に残らなかった。
 原めぐみの⑪「涙のメモリー」、コレめっちゃ好き!!! 彼女は80年代初めにデビューした元アイドル歌手で、一旦引退したものの、このコンピ盤発売を機に “音壁アイドル” (←何やそれ...笑)として完全復活、28年ぶりにコテコテのウォール・オブ・サウンドで完全武装した新作まで発表してしまったというから驚きである。この「涙のメモリー」は81年にリリースされた2枚目のシングル「見つめあう恋」のB面曲で、コレがもう絵に描いたような音壁ガールズ・ポップスなのだ。特に音壁お約束満載のイントロはロネッツの「アイ・ワンダー」を想わせるものがあり、イントロに続いてヴェロニカの “Mama said, before I'd grown~♪” という歌声が聞こえてきそうな錯覚に陥ってしまう。ストリングスの使い方なんかスペクターそのものだし、ハル・ブレイン直系の3連ドラムにも涙ちょちょぎれる。やっぱりウォール・オブ・サウンドはこうでなくっちゃ(^o^)丿 (つづく)
音壁アイドル 原めぐみ ♪涙のメモリー  Wall of Sound Japan
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音壁Japan (Pt. 1)

2012-06-10 | Wall Of Sound
 デフレパ祭りも宴たけなわ(?)だった先週のこと、当ブログ最高顧問のみながわさんからいただいたコメントでこの「音壁Japan」というCDの存在を知った。これまでも “さすらいのギター特集” や “キャロル・キング特集” のきっかけを作って下さり、イエイエや昭和歌謡の祭りでも色々と貴重な情報を下さったのだが、今回はフィル・スペクター関連である。ビートルズやキャンディーズ、ドリス・デイも含め、ホンマに趣味かぶりますな(^.^)
 このCDに関して “内容はタイトルから想像出来る通りのものです” と書かれていたが、それにしても凄いタイトルだ。オトカベ = Wall Of Sound って、そのまんまやん(笑) しかもその後にジャパンを付けて読むと、まるでX-JAPAN かサッカーの日本代表(←私はトルシエ・ジャパンしか知らんけど...)みたいな響きで何とも語呂が良い。
 ジャケットがこれまた面白く、白い壁をバックに「音壁Japan」という文字そのものを図案化したかのようなそのデザインは、ブルーノート・レーベルにおけるリード・マイルスの一連の作品に通じるものがあり、右上へ向かって歪曲させたタイトル文字はリー・モーガンの「ザ・ランプローラー」を思い起こさせる。収録アーティスト名の配置も何となくジャズのコンピ盤っぽい。
 内容の方はみながわさんが仰っているようにフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドの影響を強く受けた邦楽ソングを集めたコンピ盤で、どこを切ってもカスタネットが鳴り響き、深いエコーのかかったドラムスが轟きわたるという、スペクター・ファンにはたまらない1枚だ。どの曲も判で押したように「ビー・マイ・ベイビー」のクローンみたいなイントロで始まるというのが実に面白い(^o^)丿
 数多い音壁ソングの1曲目を飾るのは本CDの目玉と言うべきシリア・ポールの①「夢で逢えたら」だ。私にとってシリア・ポールと言えば中学生の頃、毎週土曜の午後にFMでやっていた「ポップス・ベストテン」という番組のDJのおねーさんという印象が強く、このレコードがリリースされた1977年当時はまさか彼女が歌も歌っているなんて夢にも思わなかった。彼女がこの曲を歌っていると知ったのは数年前だが(←遅い!!!)、彼女がモコ・ビーバー・オリーブのオリーブだとは今の今まで知らなかった(←恥)。因みにこのCDのラストにはモコ・ビーバー・オリーブの⑰「わすれたいのに」が入っており、曲の配置までしっかりと考え抜かれてるなぁという感じである。
 プロデュースはもちろん日本におけるウォール・オブ・サウンド実践の第一人者、大瀧詠一氏。親の仇でもとるかのような勢いで打ち鳴らされるカスタネット連打といい、音壁にはなくてはならない深~いエコーのかかったドラム・サウンドといい、大瀧氏を始めとする製作スタッフはさぞや楽しかったろうなぁ... と思わせる逸品だ。そんな分厚い音壁の中でフワフワと浮遊する彼女のヘタウマ彷徨ヴォーカルがこれまた絶品で、聴き手を夢見心地へと誘う絵に描いたような胸キュンポップスに仕上がっている。
 彼女のこのシングルはそんなに売れなかったようだが、その後女性シンガーを中心に数多くのアーティスト達にカヴァーされており、まさに “記録” よりも “記憶” に残る名曲の典型と言えるだろう。尚、このコンピ盤に入っているのはアルバムとはミックスが違うシングル・ヴァージョンの方を「音壁」用にリマスターしたものだ。
夢で逢えたら ~ シリア・ポール.wmv


 私は松田聖子という歌手が大の苦手。あの声と歌い方がどうしてもダメなのだ。まぁルックスが全然好みでないことも大きいけれど...(笑) ただこの②「一千一秒物語」は曲自体の良さとスペクター流のストリングス・アレンジのおかげでストレスなく聴けてしまうところがある意味凄い。
 佐野元春の③「SOMEDAY」の元ネタはブルース・スプリングスティーンの「ハングリー・ハート」だが(←間奏のサックス・ソロなんかモロにクラレンス・クレモンズしてます...笑)、フィル・スペクターを超リスペクトしているスプリングスティーンの作品中でもとりわけスペクター色の強い曲を模しただけあって、孫コピー(?)にあたるこの曲でも正調ウォール・オブ・サウンドが楽しめる。まぁ音壁云々を抜きにしても、この人の説得力溢れる歌声にはついつい引き込まれてしまうのだが。
 この「音壁Japan」で初めて聴いた曲の中で断トツに気に入ったのが須藤薫という女性シンガーの④「つのる想い」だ。この人のことは名前すら知らなかったが中々雰囲気のある歌い方で、その伸びやかな歌声は小西康陽一派が作り上げたコテコテのウォール・オブ・サウンドに見事に溶け込んでいる。それにしてもこのイントロ、もう笑うしかおまへんな(^.^) 3分32秒から炸裂する“ウォウ ウォウ ウォウ~♪” はヴェロニカへのオマージュか???
つのる想い  須藤薫


 ミポリンの⑤「世界中の誰よりきっと」が大ヒットした1992年当時、私は邦楽を全くと言っていいほど聴いていなかったが、この曲だけはテレビか何かで耳にしてそのあまりの素晴らしさに感激し、速攻でCDシングルを買いに走った覚えがある。「ビー・マイ・ベイビー」そのまんまの “ドン・ド・ドン♪” というドラムから始まり、カスタネットが鳴り響くというイントロは音壁アイドル・ポップスのお約束だが、この曲のキモは何と言っても3分間ポップスの王道を行くようなそのキャッチーなメロディー展開に尽きるだろう。中でもサビのハモリ・パートが好きで好きでたまらない。私にとっては90年代邦楽ポップスの中でも三指に入る大名曲だ。それにしてもミポリンってホンマに美人やなぁ... (つづく)
中山美穗 Miho Nakayama 世界中の誰よりきっと
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Songs From The Sparkle Lounge / Def Leppard

2012-06-06 | Hard Rock
 デフレパさんが止まらない(笑) 前回はドクロのだまし絵ジャケットが面白い「レトロ・アクティヴ」だったが、今回はカヴァー・アートに無頓着な彼らにしては珍しいパロジャケ(?)の「ソングス・フロム・ザ・スパークル・ラウンジ」を取り上げようと思う。
 このアルバムは2008年にリリースされたもので、間に傑作カヴァー集「イェー!」を挟んでいるとはいえ、オリジナル・アルバムとしては例の「Ⅹ」以来6年ぶりである。その前作「Ⅹ」はCD1枚を聴き通すことが苦痛なほど私の好みとはかけ離れた退屈極まりない内容だったし、90年代以降は「スラング」→「ユーフォリア」→「Ⅹ」→「イェー」というように駄盤と名盤が交互にやってくる傾向があったので、この新作には正直言ってあまり期待していなかった。
 そんな私の注意を引いたのがこのジャケット... 言わずと知れた「サージェント・ペパーズ」のパロジャケである。色使いや構図はどちらかと言えば「リンゴ」に近いものがあるが、ジャケットに登場するのがバンドのメンバーと世界の有名人(?)たちというコンセプトは「ペパーズ」そのもの。80~90年代のメンバーの写真が散りばめられている(←やっぱりユニオンジャックのタンクトップ姿のジョーが一番目立ってますな...)というのも「ペパーズ」同様、過去の自分達を葬り去ろうという発想なのかもしれない。
 メンバー以外の有名どころでは、モナリザや自由の女神、ツタンカーメンに芸者ガールなどがフィーチャーされており、アートの薫り横溢の「ペパーズ」のパロディーとしては中々興味深いチョイスだが、なぜかキッス・メイクをしたパンダや見ザル言わザル聞かザルの三猿なんかも登場する(←前列右隅でヴィヴィアンとクラッシュ・テスト・ダミーの間にいてるのはアジャ・コング... なわけないか)。探せば他にも色々と発見がありそうだが、CDの小さいジャケットはめっちゃ目が疲れるのでこの辺でやめとこう(笑)
 で、そんな意味深なジャケットの中に入っている音はと言えは、時間とお金をたっぷりかけて徹底的に音を作り込み、究極の完成度を目指すという従来の「ヒステリア」路線とは対極にある “シンプルでライヴ感溢れる骨太なロック・サウンド”。12年前に “脱・ヒステリア” を目指して失敗した「スラング」の教訓を見事に活かし、グランジ/オルタナのような一過性音楽にすり寄るのではなく、70年代の AC/DC のような王道ロックンロールをベースにしながら随所に伝統的なブリティッシュ・ロックのエッセンスを散りばめたのが功を奏しているように思う。
 個々の楽曲の中ではやはりシングル・カットされた②「ナイン・ライヴズ」が出色の出来。「アーマゲドン」や「プロミセズ」を想わせる明るいノリはまさに彼らならではだし、 “Let 'em roll, let 'em roll ~♪” の流れるようなメロディー展開も最高だ(^o^)丿 ロックンロール回帰を宣言するかのようにシャープでエッジの効いたギター・リフを前面に押し出し、更にこれでもかとばかりに息の合ったバック・コーラスでデフレパ印の刻印を押す... もうお見事!と言うしかない名曲名演である。尚、Aメロを歌っているのはティム・マッグロウといカントリー・シンガーで、Bメロからがジョー・エリット。日本盤CDにはボートラとしてマッグロウ抜きの “真正デフ・レパード・ヴァージョン” が収録されており、私がそちらを愛聴しているのは言うまでもない。
Def Leppard-Nine Lives (Def Leppard Only)


 跳ねるようなリズムが耳に残る③「カモン・カモン」はゲイリー・グリッターやスレイドを想わせるグラム・ロックで、彼らが愛した古き良きブリティッシュ・ロックへのオマージュとして胸を打つ。まさに前作のカヴァー集「イェー」での成果が見事に結実した1曲と言える。グラム・ロック特有のノリの良さに加えてメロディーも覚えやすく歌詞もシンプルなので、ライヴで大ウケしそうなナンバーだ。ていうか、演ってるメンバーが一番楽しんでたりして...(^.^)
Def Leppard Live - c'mon c'mon


 ビリー・ジョエルとは同名異曲の⑧「オンリー・ザ・グッド・ダイ・ヤング」はチープ・トリックっぽいメロディーと中期ビートルズっぽいサウンドが見事に溶け合ったキラー・チューンで、どこかの曲で聞いたことがあるようなフレーズが出るわ出るわのワンコソバ状態。ベテランの味と言ってしまえばそれまでだが、一段と円熟味を増したジョーのボーカルも説得力抜群だし、ノスタルジックな味わいを醸し出すコーラス・ワークにも涙ちょちょぎれる。とにかくビートルズ・ファンはコレを聴いてイスから転げ落ちて下さいな(^.^) 
Steve Clark Only The Good Die Young
 
 
 上記の曲以外にもクイーンの「ジェラシー」にそっくりな大仰バラッド④「ラヴ」、まさに1曲丸ごとデフレパ節といった感じの⑦「ハルシネイト」、バリバリ弾きまくるギターがたまらない疾走系ロックンロール⑨「バッド・アクトレス」、ヘヴィーなリズムとへヴィでグルーヴ感溢れるリフ展開が後期ゼッペリンを彷彿とさせる⑩「カム・アンダン」なんかが気に入っている。ボーナス・トラックを除けばトータル・ラニング・タイムはわずか39分だが、つまらん曲を無理やり詰め込んで60分も70分も聴かされるよりはこっちの方がよっぽど潔くて気持ち良い。
 このアルバムは「ヒステリア」の分厚いサウンド・プロダクションを期待して聴くと肩透かしを食うが、様々な試行錯誤を繰り返しながらも地道にライヴ活動を重ねることによって迷いを吹っ切り、原点回帰して新たなスタートを切ったデフレパのシンプルなロックンロールを楽しむのには恰好の1枚だ。

【おまけ】音楽とは何のカンケーもないけど、YouTube でこんなん見つけました。オモロイので貼っときます(^.^)
Pacman Frog catch some touch screen bugs.

Retro Active / Def Leppard

2012-06-03 | Hard Rock
 私はレコードであれ CD であれ、アルバム・カヴァーのデザインに拘る人間である。だからジャケットも何もない楽曲ダウンロードなどという今時のシステムは問題外。音楽はLPなりCDなりの器としてのカヴァー・デザインと中身の楽曲をトータルで楽しむのが当然と信じているので、音楽を聴くのにジャケット・イメージは不可欠だ。まぁケータイやMP3プレーヤーで音楽を聴くような今の若い世代にはダウンロードで十分なのかもしれないが...
 かく言う私も若い頃はそんなことは何も考えずにただ “ハイ、ポーズ!” 的なアーティストの写真で満足していた。しかしやがてジャズも聴くようになり、ベツレヘムのバート・ゴールドブラットやブルーノートのリード・マイルスといったジャケット・デザイナーが手掛けた作品の素晴らしさに開眼、アルバムをジャケット・デザインをも含めた一つのパッケージとして楽しむようになった。
 そういう目で改めて手持ちのロックLPを眺めてみると、「ラバー・ソウル」、「リヴォルヴァー」、「サージェント・ペパーズ」、「アビーロード」といった一連のビートルズ盤は言うに及ばず、フロイドの「狂気」やクリムゾンの「宮殿」、デレク&ドミノスの「レイラ」のように “聴かずして音が聞こえてくるような” ジャケット名盤が少なくない。特に60年代後半から70年代前半にかけてのいわゆる “ブリティッシュ・ロック黄金時代” にリリースされたアルバムには素晴らしいデザインの盤が多く、部屋のインテリアとしても最適だ。
 しかしハードロックのバンドは概してそういうことに無頓着なのか、エエなぁと思えるようなアルバム・カヴァーは極端に少ない。デフ・レパードも例外ではなく、どのアルバムもジャケット・デザインはイマイチだ。初期の2枚なんかほとんど印象に残らないようなトホホなデザインだったし、絶頂期の3枚もジャケットに関しては可もなし不可もなしという感じで中身の素晴らしさを全く反映していない。初のベスト盤「ヴォールト」や起死回生の大名盤「ユーフォリア」に至ってはホンマに売る気あんのか?と疑いたくなるような無味乾燥なデザインで、彼らのジャケット・センスを疑ってしまう。そんな中で私が唯一気に入っているジャケットがこの「レトロ・アクティヴ」である。
 最初このジャケットを見た時は一瞬 “ドクロかよ...” と呆れたのだが、よくよく見るとこれが “化粧鏡に映る女性” なのだ。目の錯覚を巧く利用した、いわゆるひとつの “だまし絵” というヤツなのだが(←元ネタはコレらしい...)、私はこういうセンス溢れるジャケット・デザインが大好きなんである。確かエアロスミスのベスト盤にもフランス人形を使ったドクロのだまし絵ジャケットがあったが、出来としてはこっちの方が遥かに洗練されていると思う。
 このアルバムはスティーヴ・クラーク在籍時代のシングルのB面や未発表曲などを集めた “アルバム未収録曲集” なのだが、単なる “企画盤” と侮ってはいけない。バンドに最も勢いがあった頃の曲ばかりなのでクオリティーの高さはハンパないし、ダークな曲から美しいバラッド、名曲カヴァーに疾走系ロックンロールと、非常にヴァラエティーに富んだ内容になっている。しかも新たにヴォーカル・パートを録り直したりギターを追加したりしてリミックスをやり直した完全な “ニュー・ヴァージョン” になっている曲がほとんどなので、元々のオリジナル・ヴァージョンとの聴き比べというマニアックな楽しみ方もできるのも◎。
 全14曲中で断トツに気に入っているトラックがスウィートの名曲をカヴァーした③「アクション」だ。彼らはスウィートの大ファンで(←2006年リリースのカヴァー・アルバム「イェー」でも「ヘル・レイザー」を取り上げている...)、その音作りにおいて多大な影響を受けていることは明らかだ。特にキャッチーなサビを強力なコーラスで歌うところなんかもうスウィート一子相伝の秘奥義(?)と言っても過言ではなく、この「アクション」でも本家に勝るとも劣らないくらい分厚いコーラス・ハーモニーを聴かせてくれる。ここに収録されているのはシングル「メイク・ラヴ・ライク・ア・マン」のB面に入っていたのとは違うニュー・ヴァージョンで、ピック・スクラッチを多用したアグレッシヴなギター・プレイやリック・アレンのたたみかけるような爆裂ドラミングによって更にパワーアップされ、まるでレップスのオリジナル曲かと思わせるくらいノリノリで迫力満点の演奏が楽しめる。コレは圧倒的に「レトロ・アクティヴ」収録のニュー・ヴァージョンの方が優れている。
Def Leppard - Action Official Music Video・1994


 元々アルバム「ヒステリア」用にレコーディングされたものの、アルバムの流れに合わないとの理由で外され(←確かにあの中にこの曲の居場所はないな...)シングル「アルマゲドン」のB面に入れられた⑩「リング・オブ・ファイアー」は疾走感バリバリのロックンロールでありながら、そこはかとない哀愁を感じさせる隠れ名曲。サビで “Are you ready, ready for burning~♪” とハモるところ、そしてそこに絡んでいく荒々しいギター・リフがたまらなく好きだ。ここに収められているのは「レトロ・アクティヴ」用にヴォーカル・パートを一部録り直してギターをオーヴァーダブし、ドラムスも入れ直したもので、ギター・リフがフェイド・インしてくる元のヴァージョンに比べ、いきなり鋭いナイフのようにアグレッシヴに切り込んでくるギターのイントロがめちゃくちゃカッコ良い。ドラムスのサウンドはエレクトリック・ドラムの元ヴァージョンもアコースティックな生ドラムのニュー・ヴァージョンもそれぞれの良さがあって甲乙付け難いが、私的には僅差でニュー・ヴァージョンに軍配を上げたい。こういう聴き比べってファンとしてはホンマに楽しいなぁ(^o^)丿
Def Leppard - Ring Of Fire


 ⑤「シーズ・トゥー・タフ」は「アドレナライズ」の日本盤のみに収録されていたボーナス・トラックで、最初聴いた時はジョーのヴォーカルといい、バック・コーラスの付け方といい、ギターのフレーズといい、どこを取ってもシンデレラのデビュー・アルバム「ナイト・ソングス」を想わせるメタル・サウンドでビックリ(゜o゜) ホンマに一瞬トム・キーファーが憑依してるんちゃうかと思ってしまうくらいハイトーンでシャウトしっ放しのジョー・エリオットが楽しめるという、今となっては非常に貴重なナンバーだ。ここでもやはり録り直したリック・アレンのドラムスが功を奏し、よりパワフルでダイナミックなナンバーへと昇華されている。私の経験では再レコーディングやリミックス(←リマスターじゃないよ...)すると大抵はロクな結果に終わらないものだが、このアルバムはここで取り上げた③⑩⑤以外にも随所でリ・レコーディング&リミックス効果が現れており、そういう意味でもレップス・ファンなら外せない1枚ではないかと思う。
Def Leppard - She's Too Tough