shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

DCC Compact Classics盤で聴く70年代ロック/ポップス特集

2014-06-29 | Rock & Pops (70's)
 ポールのDCC盤をすべて手に入れた私はDCCカタログに載っている他のアーティストのアルバムも聴いてみたくなり(←いつもの散財パターンやね...)、手広く網を張って1枚また1枚とゲットしていった。今日はそんな中からDCC盤のメインストリームである70年代ロック/ポップスの名盤を大特集だ。

【ヴァン・ヘイレン】
 DCC のカタログを見て真っ先に興味を持ったのがハードロック・ギターの聖典とでも言うべきヴァン・ヘイレンのデビュー・アルバム。スティーヴ・ホフマンのリマスタリングでハード&へヴィなVHサウンドがどう聞こえるのか興味津々だったのだが、「エラプション」におけるエディーの突き抜けるようなギター・サウンドはUSオリジナルLPにも負けない凄まじさだし、「ユー・リアリー・ガット・ミー」~「エイント・トーキン・バウト・ラヴ」~「アイム・ザ・ワン」と続くイケイケ・ノリノリ大爆裂ハードロック大会のカッコ良さはとても言葉では表現できない。ビールのCMキャッチコピーじゃないが、コクがあるのにキレがあるとでも言えばいいのか、エディーにしか出せないあの音色で聴かせる超速弾きプレイをものの見事に再現しているところが凄いのだ。いやはや、まったくスティーヴ・ホフマン恐るべしである。ヴァン・ヘイレン・ファン、いや、すべてのハードロック・ファン必聴の痛快無比な1枚だ。
Van Halen - You Really Got Me [DCC]


【リンダ・ロンシュタット・グレイテスト・ヒッツ Vol. 2】
 私が持っているリンロンのUSエレクトラ/アサイラム盤CDはどれもこれもプアーな音で、ヴォリュームを上げて聴こうという気がおきない代物だったので、DCCカタログにリンロンのグレイテスト・ヒッツを見つけた時は狂喜した。主に70年代のヒット曲を集めた「Vol. 1」も悪くはないが、私的にはリアルタイムで衝撃を受けた「シンプル・ドリームス」「リヴィング・イン・ザ・USA」「マッド・ラヴ」からのヒット曲を集めた「Vol. 2」により愛着を感じてしまう。サウンドの奥行き感や空気感までもバッチリ表現した「イッツ・ソー・イージー」、彼女の艶やかなヴォーカルを極上サウンドで堪能できる「ブルー・バイユー」、バンドが一体となって生み出す躍動感がハンパない「バック・イン・ザ・USA」、ねちっこいリズムが生み出すグルーヴが快感を呼ぶ「タンブリング・ダイス」など、リンロン・ファンにとってはたまらない逸品だ。
It's So Easy [DCC Ver.]


【スティーヴ・ミラー・バンド・グレイテスト・ヒッツ 1974-78】
 私はスティーヴ・ミラー・バンドの大ファンで、特に70年代半ばから80年代初め頃までの楽曲の充実ぶりは神憑ってさえいると思う。日本ではあまり人気が無いせいか彼のDCC盤はヤフオクでもアマゾンでも全然出てこずに苦労させられたが、eBay でチェコのセラーが大幅値下げしたのを運良く見つけて即決ゲット(^.^)  手持ちのUSマーキュリー盤CDはリンロンのアサイラム盤同様のヘタレなサウンドだったが、このDCC盤の音は期待以上の素晴らしさで、このバンドの身上とも言える圧倒的なドライヴ感を見事に表現している。「テイク・ザ・マネー・アンド・ラン」~「ロックン・ミー」~「セレナーデ」と続くあたりなんかもう快感!の一言に尽きるし「フライ・ライク・アン・イーグル」でギター&ハモンド&シンセが生み出すスペーシーなサウンドも実に気持ちエエのだが、私的ベスト曲はやはり唯一無比のグルーヴ感が楽しめる「ジェット・エアライナー」だ。
Jet Airliner [DCC Ver.]


【リンゴ】
 ビートルズ関連のDCC盤はポールの6枚以外ではこの「リンゴ」1枚しか存在しない。ジョンのソロはMFSL盤のみだし(←それもヨーコ監修によるリミックス版のマスターが使用されているらしい...)ジョージに至っては高音質リマスター盤が1枚も制作されていないのが残念だ。話を「リンゴ」に戻すが、彼のアルバムはベースの音がどうとかヴォーカルのリアリティがこうとかいった聴き方をしても始まらない。あれこれ考えずにただひたすらその親しみやすいヴォーカルを楽しめばいいのだ。スティーヴ・ホフマンはアナログらしい温かみがありそれでいて力強く濃厚なサウンドに仕上げることによってそんなリンゴの魅力を巧く引き出しており、特に「ユア・シックスティーン」や「オー・マイ・マイ」なんかもうお見事という他ないトラックになっている。ボートラとして「イット・ドント・カム・イージー」を含む3曲が入っているのも◎。とにかくビートルズ利権を独占したいアップルが、SACDにせよハイレゾにせよ、ビートルズ関連音源のリマスターを今後他社に許可することは考えにくいので、この「リンゴ」はファンとしては見つけ次第 “買い” の1枚だと思う。
You're Sixteen [DCC Ver.]


【ホテル・カリフォルニア】
 スティーヴ・ホフマンによると、イーグルスの代表作「ホテル・カリフォルニア」のリマスタリング作業は困難を極め、ブーミーな低音域を自分の思い描いたサウンドに仕上げるのにかなり苦労したという。 “もう二度と思い出したくない悪夢” のようなプロジェクトだったそうだ。その甲斐あってかこのDCC盤ではUSエレクトラ/アサイラム盤CDでは聴いたことがないような豊潤なサウンドがディスクに封じ込められている。手持ち盤聴き比べの結果、迫力の点ではUSオリジナルLPがベストだと思うが、何度も聴きたくなるのはこのDCC盤の方だ。タイトル曲におけるドン・ヘンリーのヴォーカルはより深みを増し、ギターの音色はえもいわれぬ愁いを帯びて響く。それでいてツインギターの絡みは切れ味抜群でドラムの押し出し感もしっかり表現されているのだから言うことナシだ。
Eagles - Hotel California - 1976 - DCC Remastered 1992


【マシン・ヘッド】
 DCC Compact Classics社は1992年から2000年までの約8年間で116タイトルの24KゴールドCDをリリース(GZSシリーズ)、その後Audio Fidelityへと社名を変え、2009年からHDCDエンコード(←何のこっちゃよーわからん...汗)したゴールドCDをリリースし始めたのだが(AFZシリーズ)、ニューDCCとでもいうべきAFから出たこの「マシン・ヘッド」を買った時はそんなこととは知らずに “何でケースがリフトロック式とちゃうんやろ?” と不思議に思ったものだった。この盤は何と言っても1曲目の「ハイウェイ・スター」の圧倒的なスピード感が聴き所なのだが、いざ実際に音を聴いてみて自分が期待していたサウンドとはかなり違っていたので拍子抜けしてしまった。何かフツーというか、DCC盤が持っていたアナログ的な空気感が希薄なのだ。誤解を恐れずに言えば “優等生的な音”... AFZシリーズはブンブン・ベースや飛び出すヴォーカル(笑)のような、DCCのGZSシリーズを初めて聴いた時の驚きやスリルに乏しいのだ。リマスタリングは同じスティーヴ・ホフマンなので、HDCDエンコードの影響なのか、マスタリング機材の違いなのか、あるいはその両方なのだろう。全7曲中で最も旧DCC的なサウンドを聴けたのが「スペース・トラッキン」で、バンドが一体となって生み出す破天荒なエネルギーがビンビン伝わってきて気持ち良かった。
Space Truckin' [DCC Ver.]
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DCC Compact Classics盤で聴く70年代ポール特集

2014-06-22 | Paul McCartney
 前回に続いて今日もDCC盤のポール特集だ。真空管を採用したマスタリング機材を使うことによってアナログ・レコードが持っていた温かみのあるサウンドをCDというメディアで再現することに情熱を注ぐエンジニア、スティーヴ・ホフマンがリマスターしたポールのシングル曲を「ウイングス・グレイテスト・アンリリースト」で聴いてその骨太サウンドの大ファンになった私は彼が手がけた他のポール盤も聴いてみたくなり、早速ネットでDCCのディスコグラフィーを調べてみた。
 その結果、 DCC Compact Classics シリーズで出ているポールのアルバムは「マッカートニー」、「ラム」、「レッド・ローズ・スピードウェイ」、「バンド・オン・ザ・ラン」、「ヴィーナス・アンド・マース」、「スピード・オブ・サウンド」の6枚ということが判明、「ワイルド・ライフ」と前回取り上げた「ウイングス・グレイテスト」はマスタリングが済んでいるにもかかわらず何故か未発売となってしまい、スティーブ・ホフマンの公式サイト上で公表れたテストCD-Rをコピーしたものがブートレッグとして(←当然ゴールドCDじゃないですが...)出回っているとのことだった。
 しかし1990年代にリリースされた初期のDCC盤はとうの昔に廃盤になっており、その音の良さもあってか中古市場でもビックリするような値段で取り引きされている。CD1枚に即決価格で$300~$600とか、呆れてモノも言えない。そこで私は eBayやヤフオク、アマゾンマーケットプレイスetcで網を張って辛抱強く待ち、3ヶ月ほどかかったものの上記の6枚すべてを比較的安く(約4,500~7,500円)入手することができた。
 これら6枚のホフマン・リマスター盤を聴いて感心したのは、どの盤も中低域が太く高域の伸びもナチュラルで、リミッターやコンプレッサー類を使って音をいじるということをしていないために柔らかくて温かみのある音でありながら一つ一つのアタック音は力強く表現されているという、アナログ・ライクな音作りに成功しているということ。ただ音圧を上げただけの凡百リマスター盤の類とはモノが違うのだ。とにかくウチの巨大スピーカーでヴォリュームをガンガン上げて聴いてもまったく聴き疲れのしない気持ちの良い音なので、アーカイヴ・コレクションのオフィシャル・リマスター盤を差し置いて(!)ついついこれらのDCC盤に手が伸びてしまう。
 DCC盤のような高音質盤は使用するオーディオ装置との相性も重要な要素だが、私の場合、プライマーのCDプレイヤー、マッキンの真空管アンプ、そしてアルテックの大型スピーカーという組み合わせがスティーヴ・ホフマンの作り出すサウンドとドンピシャにハマったという感じ(^.^)  他の装置でも同じように聞こえるという保証はないが、私なりに感じたそれぞれの盤の印象を書いてみたいと思う。

【マッカートニー】
 1曲目の「ラヴリー・リンダ」の最初の一音を聴いただけで “CDでこんな音が出せるのか!” と驚かされた。そのアナログライクな質感は2011リマスター盤を凌駕する素晴らしさ。アコギの音色がとにかく魅力的で、ポールのヴォーカルも実に生々しい。やはり人の声の再現は中域に尽きるということを再認識させられた。「メイビー・アイム・アメイズド」の入魂ヴォーカルも必聴だ。これら “リンダノタメニ カキマシター” な2曲を始め、どのトラックもシンプルな音作り故にホフマン効果が際立つ逸品に仕上がっている。
Paul McCartney - The Lovely Linda - McCartney - 1970 [24 Karat Gold Disc - 1992]


【ラム】
 我が最愛の「ラム」をホフマン・リマスターで聴ける喜びを何と表現しよう? とにかく全編を通して濃厚でリッチなサウンドに仕上がっており、メロディーの洪水とでも言うべき「ラム」の魅力を最大限に引き出している。改めてホフマンの音楽的センスの良さと腕の確かさ、そして何よりもマッカートニー・ミュージックに対する造詣の深さが分かろうというものだ。2012リマスター盤も悪くはないが、私としては豊潤なサウンドのDCC盤に軍配を上げたい。
Paul & Linda McCartney - Monkberry Moon Delight - RAM - 1971 [DCC Remaster - 1993]


【レッド・ローズ・スピードウェイ】
 この盤はアップテンポな曲が少なく一聴して地味に聞こえるが、そんな中で冒頭の「ビッグ・バーン・ベッド」の切れ味鋭いサウンドは既発のオフィシャル盤とは激しく一線を画するカッコ良さ(^o^)丿  B面ラストのメドレーの聴く者を包み込むような雄大なサウンドも聴き応え十分だ。ボートラで「Cムーン」「ハイ・ハイ・ハイ」「ザ・メス」「アイ・ライ・アラウンド」の4曲が入っているのも嬉しい。尚、この「レッド・ローズ・スピードウェイ」は他のDCCポール盤よりもレアらしく、総じて高めの値段で取り引きされている。
Big Barn Bed [DCC Ver.]


【バンド・オン・ザ・ラン】
 私がこれら6枚の中で最初に買ったのがこの「バンド・オン・ザ・ラン」なのだが、ぶっといベースがブンブン唸る「ミセス・ヴァンデビルト」を聴いて完全KOされ、“スティーヴ・ホフマン恐るべし” を痛感、その後DCC盤にハマるきっかけとなった記念すべき1枚だ。テンポ・チェンジから一気に加速するカッコ良さがたまらないタイトル曲、ノリ一発で突っ走る熱気ムンムンの「ジェット」、重心の低いグルーヴ感にゾクゾクさせられる「レット・ミー・ロール・イット」、スリリングな展開の波状攻撃がたまらない「1985」など、すべてが圧巻だ。
Mrs Vandebilt [DCC Ver.]


【ヴィーナス・アンド・マース】
 この盤は何と言っても「ヴィーナス・アンド・マース」から「ロック・ショー」へと移行する瞬間に音量が一気にハネ上がるパートが一番の聴き所。このガツン!とくる衝撃はハンパなく、コンプレッサーのかけられたオフィシャル音源と聴き比べればその凄まじさが実感できるだろう。「ワインカラーの少女」における重戦車のような低音の響きもたまらんたまらん... (≧▽≦)  終盤の「トリート・ハー・ジェントリー」~「ロンリー・オールド・ピープル」~「クロスロードのテーマ」と続く雄大な流れに身を任せるとまるで温泉に浸かっているかのように癒し効果満点で、日頃の疲れも吹き飛ぶというものだ。
ワインカラーの少女 [DCC Ver.]


【スピード・オブ・サウンド】
 この盤の一番の聴き所はやはり「心のラヴ・ソング」におけるポールの歌心溢れる自由闊達なベース・ラインに尽きるだろう。“ベースの音を骨太に再現することに命を懸ける問答無用の仕事人” ことスティーヴ・ホフマンのリマスタリングでこの曲を聴くだけで10年は若返れそうだ(笑) パワフルにロックする「ビウェア・マイ・ラヴ」のゴリゴリした押し出し感も手持ちの95年盤を軽く一蹴するカッコ良さだ。
心のラヴソング [DCC Ver.]
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Wings Greatest Unreleased / Paul McCartney

2014-06-14 | Paul McCartney
 私は “好きな盤は少しでも良い音で聴きたいし、そのためには金に糸目を付けない” という主義で、旧譜が “○○ビット・リマスタリングされ高音質で蘇える!” みたいな美辞麗句を纏って再発されるたびについつい買ってしまう。2009年のビートルズ・リマスター騒動しかり、ポールのアーカイヴ・コレクションしかりである。今のオーディオ装置にグレードアップして以来、 “自分好みの音” に徹底的に拘るようになったのだ。
 そんな旧譜再発において最終的な音の良し悪しは、何ビットというスペックでもSHMやGold Disc といった材質でもなく、ひとえにマスタリング・エンジニアの手腕にかかっているのではないかというのが私のこれまでの音楽体験、オーディオ体験を通して得た結論だ。マスタリングというのは簡単に言ってしまえば “ミックスダウンが済んだマスターテープを基にして、イコライザーやリミッターなどのエフェクター類を駆使して音響処理を行い、アーティストが意図したサウンドに仕上げていく作業” のことで、料理に例えるなら素材の良さを最大限に引き出すための最終的な味付けのようなもの。マスタリング・エンジニアの耳と感性によって、その作品全体の印象までもが大きく左右されるというワケだ。
 ひとえに “良い音” と言っても音の好みというのは十人十色なのだが、私的には “アナログ・オリジナル盤の持つナチュラルで生々しい音” が聴ければそれでOK。ベースがブンブン唸ってリスニングルームが地鳴り鳴動し、まるで目の前で歌っているかのようにヴォーカルがスピーカーから飛び出してくれば大満足だ。そんな私好みの音作りをしてくれるマスタリング・エンジニアがDCCコンパクト・クラシックスのスティーヴ・ホフマンとアナログ・プロダクションズのダグラス・サックスの二人で、共に真空管を採用したマスタリング機材を使っているというのが大きな特徴だ。そして最近ハマっているのがスティーヴ・ホフマンのマスタリングによる DCC Compact Classics シリーズで、先月の東京ツアーでも2枚ゲットしたことは前にも書いた通り。ポール・ロスの淋しさをブートとDCC盤で紛らわす毎日だ。
 実を言うと私がDCC盤を買い始めたのは今年に入ってからで、それまではこの手の “高音質盤” には懐疑的だった。昔オーディオショップで聴かせてもらったMFSL(Mibile Fidelity Sound Lab)盤がいかにもオーディオマニアが好みそうなキレイキレイな線の細い音であったことや、“最強音質”の謳い文句に騙されて買ったゴールドCD(←いわゆる純金蒸着というヤツですわ)をオリジナルLPを聴き比べてみてそのあまりのプアーな音に呆れ果てて思わず叩き割りたくなった苦い経験を持つ私としては、“MFSLと双璧を成す高音質盤” で “24 Karat Gold” が売りのDCC盤など聴いてみたいとも思わなかった。
 そんな私がDCC盤に瞠目したのは今年の1月に買ったポールのブートレッグ「ウイングス・グレイテスト・アンリリースト」がきっかけだった。DAPレーベルがオルタネイト・アーカイヴ・コレクション・シリーズの1枚としてリリースしたこのCDは、ディスク1が “マルチトラック・マスターからの初登場リミックスを中心にレア・バージョンをコンパイル” 、ディスク2が“DCCコンパクト・クラシックスからリリース予定がありながらお蔵入りとなった「ウイングス・グレイテスト」のオリジナル音源を収録” とのこと。2枚組で1800円というリーズナブルなお値段に釣られたというのもあるが(笑)、 “初登場” や “レア” といった謳い文句に弱い私はディスク1目当てにこの盤を買ったようなもので、ディスク2はオマケみたいなものと考えていた。
 実際に聴いてみるとディスク1には「アナザー・デイ」のアセテート・モノ・ミックスや「死ぬのは奴らだ」のクアドラフォニック(4チャンネル)・ミックスなんかが入っていてたまに聴く分には面白いが数回聴けばそれで十分で、日常聴きとなるとやはりオフィシャル音源に戻ってしまう。そんな中ではポールのヴォーカルがグッと前面に出てくるミックスでリアルな質感が楽しめる「マイ・ラヴ」や「夢の旅人」が印象に残った。尚、片チャン・イントロ(?)の「心のラヴ・ソング」やハイハット・イントロ付き「愛しのヘレン」、フェイド・アウトなしの「メイビー・アイム・アメイズド」ショート・ヴァージョンは以前取り上げた「DJサンプラー」に入ってたのと全く同じミックスだ。
マイラヴ


 ディスク2はDCCコンパクト・クラシックス社からリリース予定がありながらお蔵入りとなってしまった「ウイングス・グレイテスト」のオリジナル音源を収録したもので、スティーヴ・ホフマン公式サイトで公表されたテスト盤CD-Rからのマスター・コピーとのこと。最初はDCCの高音質盤がナンボのモンじゃいと思いながら聴き始めたのだが、1曲目に置かれた「アナザー・デイ」のポールの生々しいヴォーカルと地を這うようなベースの重低音にビックリ(゜o゜)  ポールの自由闊達に躍動するベース・ラインに耳が吸い付く「心のラヴ・ソング」や雄大なスケール感を感じさせながら爆走する「死ぬのは奴らだ」など、どの曲にも素晴らしいリマスタリングが施されており、私のDCC盤に対する偏見は木端微塵に吹き飛んだ。目からウロコとはまさにこういうことを言うだろう。
 このディスク2はどのトラックにもホフマン入魂のリマスタリングが施されていて必聴と言える素晴らしさなのだが、中でも私が一番気に入ったのが「ジュニアズ・ファーム」だ。爆裂するイントロに続いて怒涛の勢いで疾走するポールのベース音の凄さを何と表現しよう? 地を這うようにズンズン腹に来るこのベース・サウンドが聴けるだけでもこの盤を買った甲斐があるというものだ。
 ポールのアルバムはDCCから公式に6枚出ているが、それらのオリジナル・アルバムに入っていない「アナザー・デイ」「死ぬのは奴らだ」「ジュニアズ・ファーム」「幸せの予感」「夢の旅人」のホフマン・リマスタリング・ヴァージョンはこの盤でしか聴けない。そういうワケで、ポールのブンブン唸るベース音が好きなファンはこのディスク2だけでも持っている価値があると思う。
ジュニアズファーム
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東京レコ屋巡り弾丸ツアー (Pt. 4)

2014-06-05 | The Beatles
 気を取り直し、平積み台で見つけた「Washington Coliseum」DVDをしっかり手につかんで後ろを振り返ると、そこにビートルズのコーナーがあった。入口を入ってすぐ左にある棚だ。1枚ずつ丹念に見ていくが、とにかくこの店の品揃えは凄いの一言で、通販やオークションでも見たことがないような盤が何枚も並んでおり、再びテンションが上がってくる。DVDより一回り小さな青ケースのBD-R盤もあり、プロモ・クリップ集やポールとリンゴが競演した時のTV番組など、結構な種類がリリースされている。ブルーレイを導入した当時はイマイチ大画面になじめずにブチブチ文句ばかり言っていた私だが、あれから半年が経ちスカパー放送をコピーしたポールの日本公演盤も迷わずBD-Rをチョイス、今ではすっかりブルーレイ派の一員だ(←単純)。
 “へぇ~、ブートもいよいよブルーレイの時代になっていくんか...” と感心しながら1枚ずつチェックしていて見つけたのが、武道館の日の丸が大きくフィーチャーされた「Five Nights In A Judo Arena」、そしてSHEA! の赤い文字がひときわ目を引く「Live At Shea!」の2枚のBD-R盤だ。どちらもAMS(←Audience Master Series の略らしい...)という聞いたことのないレーベルで、値段は武道館が1,800円、シェアスタジアムが2,800円だ。
 私はビートルズの日本公演DVDを4種類ほど持っているのだが、そのどれもが帯に短しタスキに長しで、残念ながら “これしかない!” といえる決定版にまだ出会っていない。「アンソロジー」で7/1 ヴァージョンの超キレイな映像を見せられて以来、“アレが流出してブート化されたらエエのになぁ...” と一日千秋の想いで待ち続けているので、武道館ライヴの新作が出るたびにすわっと身構えてしまうのだ。お店のコメントには “画質は気持ち向上したかなぁという程度。結構楽しめます。” とある。行間を読めば “ブルーレイですけどあまり違いはないので大きな期待はしないでね...” ということか。これは多分今出回っているDVDと同じマスターテープのものに違いない。しかし買わずに店を出たら多分帰りの新幹線の中でめっちゃ気になって後悔するだろう。値段も安いし、ここは“買い”の一手だ。
 内容は「Off Stage」「6/30/66 Concert (test edit)」「7/1/66 Concert White Suits」「Concert At Budokan 1966」の4つのメニューから成っており、「Off Stage」は東京ヒルトンホテルでの記者会見の様子、「6/30/66 Concert (test edit)」は1988年に日本テレビ系列で再放送された時の映像だ。「7/1/66 Concert White Suits」と「Concert At Budokan 1966」も画質は手持ちのDVDの中で一番マシな Sgt.レーベルのものとトントンというレベルだった。まぁ現時点ではこれが限界ということで、あとはアップルが超高画質の正規盤を出してくれるのを待つしかないのだろう。
 一方、もう1枚の「Live At Shea!」には “大画面に最適! これまでの中で一番キレイです。大大大スイセン!” と、さっきの武道館ライヴのものとは明らかに違うハイテンションなコメントが付いており、値段も同じシリーズでありながら1,000円高い。これは絶対に“当たり”に違いないとコーフンしながらレジへと向かう。因みにシェアスタジアムのDVDはこれで4枚目だ(笑)
 内容は「Original ABC Master Film」「Remembering Shea Stadium」「Complete with Original Soundtrack」の3つのメニューから成っており、「Original ABC Master Film」はお店のコメント通り、大画面でもストレスを感じずに楽しめるレベル。“Full 1080 High Definition Direct from the ABC Master 35mm Film” というだけあって、既発盤DVDを凌駕する高画質だ。これはやはりFull 1080 HD 効果なのか。
 「Remembering Shea Stadium」は「アンソロジー」からシェアスタジアムのパートをそのまま収録したものだが、やはりHD効果なのか画質も音質も向上している。これを見てしまうと「アンソロジー」も完全BD化してほしくなってくるから困ったものだ(笑) 「Complete with Original Soundtrack」はSBD音源をベースにコンサートの完全再現を目指したもので、音声に合わせて映像をシンクロさせてあるのだが、オリジナル・フィルムではカットされていた「シーズ・ア・ウーマン」と「エヴリバディーズ・トライング・トゥ・ビー・マイ・ベイビー」の2曲も静止画を繋ぎ合わせて上手く処理してある。とにかく全編どこを取っても高画質なこの「Live At Shea!」は私にとってこの日最大の収穫だった。ブラインド・フェイス、めっちゃエエわー(^o^)丿
ビートルズアンソロジーTV版日本語字幕14


 BFを出た時はもう4時を回っており、帰りの新幹線の時間を気にしながらもう一度バットリを探すがやはり見つからない。もう一つストレンジラヴ・レコードというお店があるハズなのだが場所を調べてくるのを忘れたのでどこにあるのかサッパリわからない(>_<)  そうこうしているうちに雨や風が強くなってきたので西新宿ツアーはこれにて終了。明日が休みなら高田馬場や吉祥寺のユニオンにも行ってみたいが今週はまだあと2日残っているのであまり無茶は出来ない。しかもここでようやく気がついたのだが、久々の東京レコ屋巡りでコーフンしてまだお昼ご飯を食べていなかった。どこかで美味しいものでも食べて帰ろうと思い、東京駅へ向かう途中にあって何か食べれそうなお店があり、ついでにディスクユニオンに寄れそうな場所ということで、最後に御茶ノ水に寄ることにした。
 駅を出てすぐ向かいにあるユニオン御茶ノ水店は平凡な品揃えで特に見るべきモノは無し。一つ面白かったのはGreenApple のポール・ドーム公演SBD 1,000円盤の中古に4,917円の正札が付いて売られていたこと。他にもLHのギフト・アイテムのCD-Rが3,600円とか、原価を知っているだけに笑ってしまう。みなさん、ブートを買い取ってもらうならココですな(笑)
 店を出ると相変わらず小雨混じりの横風がきつくなってきた。このあたりであちこち廻ってもこれ以上収穫は期待できそうにないのでターゲットをレコ屋からメシ屋に切り替えて駅前通りを歩いていると、もう夕方の5時前だというのにまだランチタイムをやってる「浜勝」というとんかつ屋を発見。そこで690円の遅い昼食を取り、東京駅で嫌な顔一つせずに仕事を変わってくれたT君やチケットの一件でお世話になった職場の仲間たちに東京バナナ・キャラメル味(←これ絶品!)とすいーとぽてたまご(←これもめっちゃ美味でした)をお土産に買い、18時発の新幹線に飛び乗った。
 ほとんどの乗客が晩ごはん&爆睡している中、“早よウチ帰って大画面でシェアスタジアム見たいなぁ...” などと考えながら今日の戦利品を取り出してためつすがめつしていると、何だか少し元気が出てきた。武道館も長居も幻と消えてしまったが、また次があることを信じて頑張ろう... そんな前向きな気分になれただけでも東京へ行って良かったと思う。やっぱりレコ屋巡りほど楽しいモンはないわ。また東京行きたいなー(^.^)  (おわり)
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東京レコ屋巡り弾丸ツアー (Pt. 3)

2014-06-01 | The Beatles
 ライトハウスを堪能し、“やっぱり西新宿ってオモロイわー(^o^)丿” とウキウキしながらダイカンプラザから外に出ると雨はほとんどやんでいた。向かいのビルにある姉妹店の FUZ は水曜定休日なのでパス、次に目指すはバックトリップ・レコードだ。地図によるとこのあたりにあるはずなのだが、いくら探しても見つからない。そもそも今回の西新宿巡りは前日に武道館中止を知ってから急に思いついたものなので各店の下調べも不十分。ネットに載ってたラフな地図を頼りにセブンイレブン一帯をグルグル歩き回ったのだが、いくら探してもバットリを見つけることが出来ない。途方に暮れながらセブンの裏手をトボトボと歩いていると、突然目の前にグーグルの画像検索で見覚えのある青い看板が現れた。おぉ、これはライトハウスと並ぶ西新宿の雄(?)、ブラインド・フェイスではないか! 方向音痴の私はバットリを探していて道に迷い、偶然BFを見つけてしまったというワケだ。“地獄で仏に会ったよう” とはこのことか...(←そんな大袈裟な)
 お店に入ってまず気がついたのはお客さんが7~8人いてめっちゃ賑わっているということ。まるでバーゲン会場のような熱気だ。照明も明るく音楽も大音量で鳴っており、普通のレコ屋と全然変わらない。さっき行ったLHが暗くひっそりとした中で営業していたのと比べるとエライ違いだ。店内の中央には平積み台があって、ポールの「ピカソのの遺言~ゲッティング・クローサー」や例のスカパーSBD盤といった、greenAPPLE の1,000円シリーズがドーン!と無造作に積まれている。ひょっとしてGAってこのお店のレーベルなのか?などと考えていると、その横に64年のビートルズ・ワシントン・コロシアムのライヴDVDを発見。何とこれもレーベルはGAで、プレス盤でありながら1,000円という良心的な価格設定なんである。やっぱり東京は凄いですな。
               
 ワシントン・コロシアムののライヴの模様はオフィシャル盤「The First U.S. Visit」で3曲見れるがフル収録したものは持っていなかったのでラッキーだ。それにしても画質が抜群に良い(←何と「The First U.S. Visit」よりもキレイかった!)のにはビックリ。しかもこのコンサートは66年の武道館公演なんかと比べると月とスッポンぐらい気合いの入り方が違っており、白黒映像なのにグイグイ画面に惹き込まれていってしまう。特にリンゴのプレイは圧巻で、フロントの3人を背後から猛プッシュ(≧▽≦)、彼の爆裂ドラミングが起爆剤となってジョンもポールも(←汗びっしょり!)ジョージもノリノリのプレイを聴かせてくれ、熱狂するオーディエンスとの相乗効果で FAB4史上屈指の熱い演奏となっているのだ。本気を出した時のビートルズのライヴ・バンドとしての凄さがビンビン伝わってくるこのDVD、これがたったの1,000円やなんてホンマにエエんかいな?
The Beatles! washington coliseum compilation 11 february 50 years!


 これはエエもん見つけたわー(^.^)と悦に入っていると、さっきまでかかっていたストーンズが終わり、ポールの東京公演が店内に流れ始めた。曲は「エイト・デイズ・ア・ウイーク」... 例のSBD 1,000円盤だ。時計を見ると3時を回っている。“あ~、ホンマやったら今頃は武道館で「ヴィーナス・アンド・マース~ロック・ショウ~ジェット」で盛り上がってたはずやのに...(*_*)” と思うとめっちゃ切ない。“コンバン ニホンゴ ガンバリマス” というポールのMCがSBDのクリアな音で店内に虚しく響き渡った。 (つづく)
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