shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「聖域番外地」/ The Beatles

2024-06-30 | The Beatles

 今日6月30日は “ダーク・スーツの日” である。とはいってももちろん洋服の青山やアオキの宣伝ではない。このブログをお読みの方ならもうお分かりだと思うが、ビートルズ・ファンにはいくつかの “特別な日” があって、たとえば 1月30日は “ルーフトップの日”、8月15日は “シェア・スタジアムの日” という感じで、ファンはこれらの日にはそれぞれのライヴ音源を聴きながら “自分もその場に居合わせたかったなぁ...” と思いを馳せるのだ(←でしょ?)。来日公演に関してもそれは同じで、彼らが羽田空港に降り立った6月29日は “来日記念日”、濃いモス・グリーンのスーツ姿で武道館のステージに立った6月30日は “ダーク・スーツの日”、オレンジのストライプが入ったライト・グレーのスーツ姿でライヴを行った7月1日は “ライト・スーツの日” として日本のビートルズ・ファンの心に深く刻まれている。
 私もご多分に漏れず、この期間は武道館ライヴのDVDを観たりCDを聴いたりして過ごすのが当たり前になっている。ちょうど土用の丑の日にウナギを食べるようなモンである。映像に関しては手持ちの中では HMCの「Tokyo 1966」ブルーレイが一番キレイなので(→もっとキレイなのがあればぜひ教えて下さい... m(__)m)そればっかり観ているが、音源に関してはどれもこれも帯に短しタスキに長しで、私の知る限りではこれぞ!といえる決定版はこれまで無かったように思う。アップルからオフィシャル盤が出ない以上、我々ファンはブートレガーたちが手を変え品を変え自画自賛インフォと共に出してくる “自称” アップグレード・ヴァージョンに “あんまり変わり映えせんやろうけどやっぱり気になるから一応買っとこ...” とついついお金をつぎ込んでしまうのだ。
 今日ご紹介する「聖域番外地」もそんな1枚で、狙いすぎて見事にスベッた感のあるこのクッソダサい邦題はもしや Xavel では?と思ったらやはりそうだった(笑)。無駄の最たるものと言える “帯付き” というのも相変わらず。ライトハウスですら赤面しそうなこっ恥ずかしい自画自賛インフォはもはや様式美と言えるもので、 “これまで登場したいかなるブドーカン・ライヴとも異なる革新的なサウンド・バランスで捉えた会心作” とハイ・テンションな紹介文が笑わせてくれる。
 しかしそれに続く一文が心に引っ掛かった。曰く、 “6/30夜のステージと7/1昼のステージを収録した現存する最良の状態のサウンドボード・マスターを最新AIを用いてディミックス処理。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム、黄色い歓声といった複数のトラックに分離された素材を完璧なバランスのステレオ・サウンドに再構築。さらに入念なリマスター作業によって音を極限まで磨きあげた完全オリジナルの武道館ライヴで、各パートのセパレート&定位感はまさしく驚異的と形容するに相応しく、その明瞭な音像には誰もが驚かされることでしょう。” と書いてあるのだ。
 ジャイルズ・マーティンやピーター・ジャクソンが関わった一連のリマスター・プロジェクトの驚異的な成果を身をもって体験した者としては、あの武道館ライヴ音源を “最新AIを用いてディミックス処理したサウンド” とやらを何としても聴いてみたい... という衝動を抑えきれず、ヤフオクに送料無料で出ていた新品未使用盤を即決購入。知らん間に勝手に溜まってた PayPayポイントとクーポンを使ってほぼタダ同然で手に入れたので、これなら万が一ハズレでも腹は立たないし、もし当たりだったらめっちゃ得した気分に浸れるだろう。
 早速届いたCDを聴いてみる。まずは6/30からだが、確かにこれまで聴いてきた音とは一味も二味も違う立体的なサウンドで、おっ、これはなかなか... と思わせてくれる。良い意味で予想を裏切られて感心してるとアッという間に1ステージ35分が過ぎ去り、続けて 7/1に突入。こっちの方は更に音が良く、出るところは出て引っ込むところは引っ込むという音の奥行き感がしっかりと感じられるのだ。これまで聴いてきた武道館ライヴのモノラル音源を “平板な写真” とすれば、このディミックス・サウンドはさしずめ “出来の良い油絵” といったところか。とにかくこのCDは小さな音で聴くよりも大音量で聴いた方が違いがよくわかると思うし、是非とも大音量で聴くべきサウンドだと思う。スピーカーと対峙して聴くに十分値するというか、私的には少なくともハーフ・オフィシャル級の音でビートルズの武道館公演が楽しめる傑作ライヴ盤として “買って大正解!” だったと自信を持って言える逸品だ。
THE BEATLES - YESTERDAY (Nippon Budokan, Tokyo 1966-7-1) Audio

スペイン盤特集⑦「A Hard Day's Night」

2024-05-12 | The Beatles
 ビートルズのスペイン・オリジナル盤蒐集で最後の最後まで残った最難関盤が「A Hard Day's Night」だった。他のレコードはみんなスムーズに入手できたのに、この盤だけはありとあらゆるサイトを探してみても全く出てこない。痺れを切らした私は以前ビートルズのスペイン盤を買ったeBayのセラーにメールして “「ハード・デイズ・ナイト」のゴシック・オデオン・ロゴ(1stプレス)盤ありませんかねぇ?” と訊いてみたのだが、返ってきた答えは“Almost impossible to find even in Spain...”(スペイン本国でも見つけるのはほぼ不可能に近いで...)という絶望的なものだった。まぁ無いものはしゃあないので、私は手に入れられればラッキーぐらいの軽~い気持ちでそこら中のWant List に登録しておいた。
 すると先日、Discogsから “Want Listのアイテムが出品されたよ~♪” メールが来たので見てみると、何とこのレコードが €90で出品されているではないか! eBayでは過去15年間で3枚しか出品されておらず、そのどれもが数百ユーロで取り引きされていた稀少盤がたったの €90ってホンマかいな??? いつもならメールでセンター・レーベルの写真を送ってもらって確認するのだが、そんな悠長なことをやっている間にライバルに先を越されたら悔やんでも悔やみきれないので、“発送前に必ずセンター・レーベルが商品説明ページの写真と同じゴシック・オデオン・ロゴであることを確認して下さいね!” というメッセージを添えて購入した。
 それからちょうど2週間ほど経ってブツが届いた。あれから何の返答もなく普通に発送されたようなので私は “しめしめ、超の付くレア盤が安ぅ手に入ったわい...(^.^)” と楽しみにしていたのだが、いざレコードを取り出してみるとビッグ・オデオン・ロゴの 2ndプレス盤ではないか! “何じゃあ、こりゃあ!” と松田優作が憑依した私はすぐにセラーに怒りのメールを送ったのだが、いくら待っても返事は来ない。
 舐めたマネをしやがってと激オコ状態でペイパルに異議申し立てのクレームを起こすとやっと返事が来たのだが、ふざけたことにスペイン語でワケのわからんことを書いてきよったので “商品説明と違う物を送り付けてバックレるのは完全な詐欺行為。悪質セラーとしてオマエを訴えてペイパルで商売出来んようにしたるから覚悟せえ! それと今後二度とスペイン語なんかでメールしてくるな、ちゃんと英語で書いてこい!” とブチギレ・メールを返したところ、態度が180°変わって英語で謝罪メールが届いた。
 それでも最初は “半額返金しますので何とかそれで許してもらえませんか?” と虫のいいことを言うてきよったので、“2ndプレス盤に €45も払うアホがどこにおるんや? そっちが送料持って送り返して完全返金にするか、それともこっちが €20で引き取って残り €70を返金か、どっちかを選べ!” って返したらすぐに €70返金してきやがった。向こうからすれば身から出た錆とは言え、送料を往復2回分払うよりは大幅値引きの方がマシと考えたのだろう。私としてもこのクッソ忙しい時期にわざわざ郵便局まで行って送り返すのは面倒臭かったし、€20やったら 2ndプレスでもとりあえずの filler(埋め草、つなぎ)として許せる範囲内だったので手打ちにして訴えを取り下げ、ケースを終了することにした。
 とまぁこのようにスッタモンダの末に我がコレクションに加わったこのレコードだが、実際に聴いてみると実に鮮烈な音がしてビックリ(゜o゜)  そもそも「A Hard Day's Night」というレコードはA面アタマの “ジャーン!” とB面アタマの “バン!” に尽きると思うのだが、この盤はそのどちらもガツン!とくる音がして大喜び。盤質は VGで「And I Love Her」でややチリパチが目立つのが玉にキズだが、それ以外のトラックはキズなんて笑い飛ばしてしまうくらい豪快なモノラル・サウンドが楽しめた。
 まぁよくよく考えてみると「A Hard Day's Night」がリリースされた1964年というのはちょうどセンター・レーベルがゴシック・オデオン・ロゴからビッグ・オデオン・ロゴに切り替わった年で、プレス時期的にほとんど差がないことになる。しかも私が手にした盤は裏ジャケットのデザインが 1stプレスのものだったので、2ndプレスといってもその最初期のものであることは明白。つまり実質的には 1stプレス盤とほぼ変わらないということだ。不愉快な思いをして手に入れたレコードだが、最終的には数百ユーロ相当の稀少盤とほぼ変わらない爆音盤を1/10以下の値段で買えて結果オーライ。レコードの蒐集っていうのはホンマに一筋縄ではいかんもんですな。

901さんと久々のオフ会④

2024-05-07 | The Beatles

901さん:じゃあ次はいよいよ1Gお願いします
私:その前に、さっきバーデン・パウエルでステレオ針に変えたので、せっかくやからニンバス盤聴かはります? ビートルズのステレオ盤では一番音がエエやつです。
901さん:UKパーロフォンとは又違うんですか?
私:ニンバス盤は80年代にイギリスのオーディオ専門誌が企画した超高音質盤で、クラシック専門レーベルがカッティングから徹底した音質重視で作って通販のみの少数限定で発売されたレコードなんですよ。私がこれまで買った中で一番高かったですわ。
901さん:へぇ~、いくらしましたん?
私:20万ほどです。
901さん:ひょえ~(゜o゜)  それはぜひ聴かせて下さい。
私:【♪~】どうですか?
901さん:さすがにエエ音やねぇ... めちゃくちゃクリアーやわ。せっかくやからUKオリジナルの1stプレスの音も聴かせてもらえる?
私:もちろんです。【♪~】いかがでしょう?
901さん:これは又かなり違うねぇ... 何ていうか、これはこれで迫力あるよねぇ。
私:でしょ? どちらの音も捨て難いんですよ。
901さん:Shiotchさんがどちらも持ってはるの、よぉわかりましたわ。 
私:レコードによって色んな音が楽しめる贅沢がビートルズにはあるんですよ。
901さん:じゃあ次は 1G!
私:ずっと楽しみにしてはりましたもんね。お待たせしました。
901さん:ブログ読ませてもろうて、どんな音するんやろうかと思うてましてん。
私:じゃあまずは「Please Please Me」の金パロの両面1G盤から。
901さん:これはB-SELS ですか?
私:いえ、eBayで買いましてん。
901さん:高かったでしょう?
私:確か10万ちょっとで手に入れました。今やったら円安もあるから軽く倍以上するでしょうね。
901さん:$1=75円の頃が懐かしいねぇ。
私:ホンマにあの時代は良かったですよね。手当たり次第買いまくってました。eBay始めるのがあと10年遅かったらこんなにレコード買えてなかったと思います。
901さん:今は160円?
私:150円台後半です。全部アホバカ日銀のせいですわ。何だか腹立ってきたんで(笑)曲聴いて心を落ち着けましょう。(「I Saw Her Standing There」をかける)【♪~】
901さん:うわぁ、凄い音やなぁ...(と唖然とされてる901さん)。
私:じゃあ次はラウドカットの1Gいきますか?
901さん:あっ、それ(「RUBBER SOUL」を指して)ここで初めて聴かせてもろうた時にあまりの凄さに腰抜かしそうになったヤツですね。
私:そうそう、それです。
901さん:よぉ覚えてますよ。それまでマッカートニーのベースなんて気にも留めてなかったので、あれはホンマに衝撃的でした。
私:A面は1Gじゃないんですが、ここはやっぱり思い出の「Drive My Car」いきましょか。
901さん:【♪~】これこれ、このベースの音。ホンマにビックリしたなぁ、もう(笑)
私:じゃあ次は別のラウドカットの1Gいきましょう。「With The Beatles」です。
901さん:あっ、それ B-SELS へ2日連続でラウドカット盤を買いに行って店主の方が呆れてはったっていうヤツでしょ?
私:そうです(笑)
901さん:そりゃあビックリしやはったでしょうね...(笑)
私:あの時の Sさんの反応はよぉ忘れませんわ(笑)
901さん:じゃあその盤をお願いします。
私:一番エグいのいきましょう。(「Roll Over Beethoven」をかける)【♪~】どうですか?
901さん:絶対にその曲くると思うてました(笑) もの凄い迫力ですね。
私:私のパワーの源です。これ聴くとホンマに元気出ますよ。
901さん:凄い音やなぁ...(と言葉を失われる901さん)
私:じゃあ次はコレいきましょうか。「Beatles For Sale」を。
901さん:あっ、それちょっと地味なヤツですよね。
私:よくご存じですね。カントリーやロカビリー色が濃いです。(「Rock And Roll Music」をかける)【♪~】
901さん:いやぁ、コレも凄い迫力...
私:これ盤質がめちゃくちゃ良くてほとんどミント状態の盤なので、1Gの凄みが際立つんです。
901さん:(スピンドル・マークを確認しながら)ホンマにほとんど聴かれてないといっていいくらいキレイですね。
私:チリパチ皆無の1G盤が手に入ったのは奇跡に近いです。
901さん:いやぁ~、1G盤連発ですっかり満腹になりましたわ。又やりましょうね。
私:こちらこそ、ぜひお願いします。一緒に音楽聴きながら喋るのホンマに久しぶりなんですけど、全然ブランク感じひんかったです。今日はホンマに楽しかったです。是非又やりましょう!

ということで約5時間にわたって一緒にレコードを聴きまくって楽しいひと時を過ごし、大いにリフレッシュできた。やはり持つべきは同好の音楽友達。このブログをお読みの音楽好きの皆さんもこんな風にレコードを持ち寄って一緒に音を聴きながら音楽談義の花を咲かせるオフ会をされてみては如何だろう。自分1人で聴いているのとは又違った新たな世界が広がるはずだ。

スペイン盤特集⑥「Please Please Me」「With The Beatles」

2024-04-28 | The Beatles

 今日は久々のビートルズ各国盤、それも去年の末に“残すは初期3部作のみ” というところまでやっておきながらその後放置していたスペイン盤特集の続編である。スペイン盤というと例の各国盤ガイド本「アナログ・ミステリー・ツアー」で完全にシカトされているせいもあってかあまり話題に上らないが、私はイスラエル盤やペルー盤に比肩する高音質爆音盤として非常に高く評価している。
 去年の夏以降はそんなスペイン盤を1枚、また1枚と買い集めて楽しんできたのだが、稀少性や値段のせいでかなり入手に苦労したのが1963年から1964年にかけてセンター・レーベルに旧型のゴシック・オデオン・ロゴ(← UK盤で例えるとゴールド・パーロフォンみたいなモンです...)がフィーチャーされた「Please Please Me」「With The Beatles」「A Hard Day's Night」の3枚だった。これらのうち「A Hard Day's Night」だけはどこを探しても見つからずに長期戦を強いられたが、「Please Please Me」と「With The Beatles」は意外と簡単に手に入った。
 まず「With The Beatles」をヨーロッパ盤に強い CD and LPでスペインのセラーからゲット。€150という値段が高いか安いかは買う方の価値観次第だが、盤質がピッカピカの NMでビートルズの稀少な初期盤が買えるのだから私としては御の字だ。もう一方の「Please Please Me」はそれから数日後に偶然 eBay France(!)で見つけたもので、こちらは盤質 Exで €120というかなりリーズナブルなお値段で買うことが出来た。
 先に届いたのは「With The Beatles」の方で、スペインならではの独自マトの爆裂具合を UKマザーのラウドカットと比べてやろうとワクワクしながら盤に針を落としたのだが、出てきた音は予想とは正反対のヴィンテージ感溢れるサウンドでちょっと肩透かしを食らった感じ。UKマザーの音を鋭利なナイフとするなら、こちらはナタでぶった切るような、高音も中音も低音も意識させない大きな音の塊なのだ。端正で律儀そのものの音はいかにも60年代モノラルという感じなのだが、「Beatles For Sale」以降のスペイン・ビッグ・オデオン・ロゴのモノラル盤のようなキレッキレの爆裂感を期待すると “何これ?” となってしまう。「It Won't Be Long」も「Roll Over Beethoven」も UKラウドカットのように “風圧” で聴く者を圧倒するようなサウンドではないが、逆を言えば “音” よりも “音楽” を聞かせる狙いとでも言えばいいのか、とにかく素直で聴きやすい音作りであり、これはこれで決して悪い音ではない。要するに音作りのコンセプトが違うということだ。続いて届いた「Please Please Me」もやはり「With The Beatles」同様のヴィンテージなサウンドで、これがスペインのゴシック・オデオン・ロゴ盤の音なんだと納得した。
 それからしばらくして B-SELSへ行った時にたまたま「Please Please Me」のビッグ・オデオン・ロゴ、すなわち 2ndプレス盤を見つけたのでこれ幸いと試聴をお願いした。あの音が 1stプレスであるゴシック・オデオン・ロゴ盤特有のもので 2ndプレス盤はそれとは又違った鋭利な音がするのか、それともどちらも同じようにヴィンテージな音がするのかを確かめる絶好のチャンスだったからだ。はたしてお店のスピーカーから出てきた音は自宅で聴いている 1stプレス盤とほとんど同じ温かみのある音で、ごく一般的な “60年代モノラル・サウンド” のイメージに近い。どちらにせよ UKマザーのキレッキレの音とは対極にあることだけは確かなようだ。一緒に聴いていたSさんも “以前買っていただいた「Revolver」とはかなり音の傾向が違いますね。” と仰っていた。
 このようにスペイン盤の「Please Please Me」は 1stプレスも 2ndプレスも音は変わらないということが証明されたワケだが、各国盤で 1stプレスと 2ndプレスの聴き比べなんて中々出来ることではない。貴重な機会を提供して下さった Sさんに感謝感謝だ。

「Sgt. Pepper's」と「Venus And Mars」のフラット・トランスファー盤

2024-04-21 | The Beatles

 ビートルズ関連のブートレッグは前回取り上げた「Reunion Tracks 1994-2023」以外にも色々面白そうなのが出ていたのだが、その中でも一番気になったのが「Sgt.Pepper's」と「Venus And Mars」の “フラット・トランスファー” というヤツだ。
 最初は “フラット・トランスファー” というテクニカル・タームが何を意味するのかよくわからなかったが、「ペパーズ」の方の商品説明に “迫力をアップさせたりヒスノイズを目立たなくしたりというようにリリースに向けての手が加えられる前の、マスターテープありのままな状態を再現してくれる” と、また「ヴィーナス」の方に “「ペパーズ」の時よりも進化した70年代の録音機材を使って豊かな音で録音されたバンド・サウンドのアルバムなので余計に違いが解りやすい” と書いてあるのを読んで、音にイコライズやコンプレッサーといった手が加えられていない “すっぴん状態” のことではないかと考えた。おそらくフラット(均一)な状態のままトランスファー(移し換え)するということなのだろう。すっぴんのペパーズって面白そうやん... と興味を引かれた私は早速この2枚を注文した。
 欧州向けLPカッティング用38cm/sオープンリールマスターから一度コピーした1st Genリールよりデジタル化したというこの盤を実際に自分の耳で聴いてみた感想としては、確かにこれまでレコードやCDで聴いてきたオフィシャルのサウンドとは各楽器のバランスや聞こえ方が微妙に違う。
 まず「ペパーズ」の方だが、一番の特徴は各楽器の音色・響きがナチュラルなことで、特にリンゴの叩くドラムの音が一番わかりやすい。お化粧を施した “最終完成版” と聴き比べてみたが、ビートルズ好きなら “なるほど、これがすっぴんのペパーズか...” と興味深く聴けること間違いなし。オープンリール・テープならではの雄大な低音域との相乗効果なのか、苦手な「Within You Without You」もインドの抹香臭さが緩和されてゆったりと包み込まれるように気持ち良く聴けたのには我ながらビックリしたし、「When I'm Sixty-Four」が醸し出すのほほんとした雰囲気もよりリアルに伝わってきて実にエエ感じだ。
 「ペパーズ」はUKオリジナル盤をはじめ、ニンバス盤やドイツ盤、スペイン盤など高音質盤が目白押しだが、ちょうど独自マトの各国盤にUKマザーの音とは又違った魅力があるのと同じように、このフラット・トランスファー盤もマニアなら一聴の価値アリだと思う。同じ曲を様々な味付けのサウンドで聴いてここまで楽しめる懐の深さを持ったアーティストはビートルズだけだ。
 「ヴィーナス・アンド・マース」は私が初めて買ったポールのソロ・アルバムだけあって想い入れ入れもひとしおの溺愛盤なのだが、アーカイヴ・コレクションでリマスターされたCDの音は自分が聴いてきた「ヴィーナス・アンド・マース」と比べて “何か違う感” が拭えず、CDに関してはスティーヴ・ホフマンがマスタリングした DCC盤の方が圧倒的に私の好みだった。今回購入したこのフラット・トランスファー盤はまさにそのDCC盤と同傾向の音で、音圧至上主義の凡百リマスター盤とは激しく一線を画す繊細で自然な響きと中低域の分厚さが耳に心地良い。
 それと、これは「ペパーズ」のフラット・トランスファー盤でも感じたことだが、あまりにも自然と言うか、耳にスーッと入ってくるため、アルバムの最初から終りまで実に気持ち良く一気呵成に聴けてしまう。変な例えだが、ブリタで濾過した水が喉ごし良くゴクゴク飲めてしまうような感じなのだ。又、音が刺激的でないのでヴォリュームをどんどん上げていっても大丈夫なところも重要なポイント。このあたりはニンバス盤に通じるものがあるが、私は一にも二にも大きな音で聴きたい人なので、フラット・トランスファーのこの特性は大歓迎だ。
 発売から50年以上経ってもなおこのように新たなソースが発掘され、それがまた立派に商売になってしまうあたりにビートルズの偉大さを感じるが、AIを使ってしょーもないリミックス作成に走る昨今の糞ブートとは激しく一線を画すこの2枚はビートルズの各国盤蒐集が一段落した私の “一味違うサウンド” への渇望を大いに満たしてくれた。私としては「Revolver」や「Magical Mystery Tour」、「White Album」あたりのフラット・トランスファー盤も聴いてみたくなったが、果たしてどうなることやら... 今後の発掘に期待しながら待つとしよう。

Reunion Tracks 1994-2023 / The Beatles

2024-04-15 | The Beatles

 この1年ほどブートレッグ関連の情報は意識的にシャットアウトしてきたのだが、今回のクイーン祭りで久々にリリース情報に目を通していた時のこと、「Get Back」を巡るアレやコレやでさすがにもうネタ切れやろ... と思いながらもビートルズ関係のブツをチェックしてみたところ、予想に反して一杯出ていてビックリ(゜o゜)  ブート屋さんにとってビートルズはどこまでいっても“金の卵を産むガチョウ” なんやなぁ... と痛感させられた。
 そんな中でふと目に留まったのが去年の末にリリースされて1ヶ月で完売したという「Reunion Tracks 1994-2023」。ちょうど「Now And Then」の公式リリースにタイミングを合わせて、「Free As A Bird」や「Real Love」も含めた “リユニオン音源” のアーリー・テイクやらドルビー・アトモス・ミックス(←何のこっちゃサッパリやけど何となく音が良さそう...笑)などを整理して1枚のCDにまとめたものだ。YouTubeで音源を丹念に拾い上げて時間をかけて編集すれば似たようなものを作ることは可能かもしれないが、超の付く面倒臭がり屋であれこれ整理するのが苦手な私には到底無理な話。それを他人がやってくれて2,500円で手に入るなら安いものだ。
 メーカー完売ということで LH や Kent のカタログには載っていなかったのでヤフオクやメルカリを探すと4,000~5,000円前後というふざけた値付けばかりで呆れたが、こまめにチェックしていたメルカリで送料込み2,500円ポッキリのブツが出品されたのを偶然見つけて即ゲット。このタイトルには「初版限定カラー・ジャケット」と「通常版モノクロ・ジャケット」があって、限定盤の方は完売直後にヤフオクで6,000円オーバーが続出する人気ぶりだったようだが、私はよほど変てこりんなデザインでない限りジャケットなんかどーでもいいので当然通常版モノクロ・ジャケットの方を買った。
 聴いた感想としては買って損はなかった... という感じ。2015年の「1」ブルーレイ・ミックス①②と1995年の「Anthology」ミックス⑫⑬を聴き比べると20年という年月のテクノロジー進化には隔世の感があるし、私が超苦手とする“配信限定”(←こーゆーのホンマにやめてほしい...)で未CD化のドルビーアトモス版の③も確かにボーカルやギターが大きくてジョンの存在感が増していて、これはこれで面白い。
The Beatles - Now And Then (Dolby Atmos)


 中間部にまとめられたデモ・テイク、アーリー・テイクに関しても曲の進化/深化がわかるように上手く並べられているし、昨年リリースされた「Now And Then」オフィシャル・ヴァージョンの原型となった⑪も今回カットされたパートがしっかりと聞けるので、⑭の45rpm Vinyl Rip Version と聴き比べれば何故カットしたのか大いに納得がいく。このあたりのセンスの良さはさすがポール・マッカートニーである。Bメロのカットに関しては、理論的かつ分かりやすく分析・解説した動画がYouTubeにあったので貼っときます↓。
【THE BEATLES】NOW AND THEN 徹底解説 【コード進行&歌詞】【隠されまくった秘密】

スペイン盤特集⑤「Magical Mystery Tour」「Yellow Submarine」

2023-12-24 | The Beatles

 「Magical Mystery Tour」の各国盤は US編集アルバムと同じ形態(黄色ジャケ)で出ている国が大半で、UKに倣った EPフォーマット(薄青色ジャケ)でリリースされている国は少なく、しかもそのモノラル盤となると、ステレオを無理やりモノラルにした “偽モノ” 盤を除けばオーストラリア、ニュージーランドなど片手で足りるくらいしか存在しない。しかし嬉しいことにスペイン盤の「Magical Mystery Tour」は EPフォーマットでモノとステレオの両方が出ており、私は当然モノ盤をチョイス。盤質NMで €30ならお買い得と言えるのではないか。届いたレコードのレーベル面は同時期のアルバムと同じ濃青色で、デッドワックスには UKとは違う字体の独自マトが刻まれていた。
 実際に聴いてみた感想としては、キレイキレイな音が特徴の NZ盤とは好対照をなすラフでドライな音が気持ち良く、その竹を割ったようなストレートアヘッドなサウンドはアッパーなA①「Magical Mystery Tour」やメリハリの効いたC②「Flying」(←これホンマにエグい音です!)にとてもよく合っている。重低音に独特の魅力があるスペイン盤らしくポールのベースが大活躍で、私のようなパワー至上主義者にはたまらん音作りだ。A②「Your Mother Should Know」なんかちょっとベースがデカすぎるんとちゃうかといいたくなるくらい目立っているし、C①「The Fool On The Hill」も一音一音が強すぎて癒しの要素というかリラクセイションに欠けるようにも思えるが、これはこれで私的には楽しめるし、この音作りこそがスペイン盤のアイデンティティーなのだ。
 私のフェイバリット・トラックであるB①「I Am The Walrus」はまさに威風堂々という感じで基本的には UK盤や OZ盤と同傾向のサウンドだが、やはりパワーでゴリゴリ押してくる音作りと言える。特にビシバシきまるリンゴのドラミングが最高に気持ち良くて、リンゴって凄いドラマーやなぁと改めて思い知らされる。まぁ、この曲は低音がスベッたとか倍音がコロンだとかいう次元を超越して、ジョンのサイケな世界に引き込まれてついつい聴き入ってしまうという “理屈を超えた” 名曲名演なので、これ以上あれこれ分析するのは野暮というものだろう。とにかくこのスペイン盤 EPは買って正解だった。
 「Magical Mystery Tour」を手に入れた私が次に狙ったのが「Yellow Submarine」だ。大好きな「Hey Bulldog」をスペイン盤の豪快な音で聴きたいという思いが強く、「Let It Be」(→イエサブの次に買ったけど 1P/1Gにもかかわらず平凡な音だった...)よりもこちらを優先したのだ。早速 Discogsで調べたところ、同一デザインで濃青色と赤色の2種類のレーベルが存在することが判明。どちらが初期プレスなのかわからなかったので、その両方併せた中から一番盤質が良さそうなのを探したところ A面が Ex+でB面が VGという、絶対にA面しか聴かない私にドンピシャの盤があったので喜び勇んでそいつを購入。B面のキズのおかげで €20という安値で買うことができて願ったり叶ったり。実質A面オンリーのイエサブはこのパターンが理想的だ。
 届いた盤はA面のマザー/スタンパーが 1Pで、間違いなく初期プレスだ。音の方も期待を裏切らないもので、細かいことを気にせずにパワーでグイグイ押してくるプリミティヴな音作りが実に気持ち良い。A④「Hey Bulldog」はイントロからもう“最高!!!”と ! を3つも付けたくなるくらい凄まじい勢いでアグレッシヴなブルドッグがスピーカーから飛び出してくる。調子に乗ってアンプのヴォリュームを上げていくと、闊達に躍動するポールのベースを全身で体感できて大満足。スピーカーの上に飾ってあるダース・ベイダーのフィギュアが振動で倒れたくらいだからどれほどの重低音かわかるだろう。シスの暗黒卿をもブッ倒してしまう強靭なブルドッグ... 地響きを立てて迫りくる重戦車のようなサウンドがたまらんたまらん...(≧▽≦)  
 続くA⑤「It's All Too Much」もドッシリとした重心の低い音作りで、高音域のクリアネスも申し分なくキレッキレのサウンドが楽しめる。A②「It's Only A Northern Song」もそうだがジョージの控え目なヴォーカルがこのスペイン盤ではまるでユンケルでも飲んだかのように力強く聞こえるのだから不思議なものだ。とにかくこの時期のビートルズならではのサイケな音空間がまるですべてを飲み込むブラックホールのように強烈な吸引力で襲いかかってくるのが実に気持ち良い。
 私がこのアルバムでブルドッグの次に好きなA③「All Together Now」も最高の仕上がりだ。この曲は何と言ってもザクザク刻むアコギのカッティング音の生々しさを楽しむのが私流なのだが、このスペイン盤はクリアー&クリスプな音で躍動感溢れるトラックに仕上がっており、リズムに乗って思わず身体が動いてしまう。A⑥「All You Need Is Love」も雄大な音場の中でジョンのヴォーカルが力強く響きわたるところが◎。スタンパーの若さやら盤質の良さなど、様々な要因でこれだけの音が聴けるのだろうとは思うが、スペイン盤の「Yellow Submarine」が侮れない存在であることは間違いない。ヴォリューム上げてもう1回ブルドッグ聴こ...

スペイン盤特集④「Abbey Road」2種聴き比べ

2023-12-17 | The Beatles

 ビートルズ中期のスペイン・モノラル盤はB-SELSでゲットした「Revolver」でコンプリートできた。どの盤も入手には苦労したが、その甲斐あって力強い音を聴かせてくれるので大満足だ。改めて “独自マトのスペイン・モノラル盤にハズレ無し” を確信させられた。まぁ盤質の良いブツを見つけるには少々忍耐力が必要だが...
 一方、後期のステレオ盤は「Hey Jude」を除いてすべて手に入れた。このアルバムはUS編集のコンピ盤ということで世間では少し軽く見られているように感じるのだが、後期の重要なシングル曲が一杯入っているこの盤を私は「Yellow Submarine」のA面と「Let It Be」の間を埋める準オリジナル・アルバムとして重要視している。ところがスペイン盤の「Hey Jude」は宗教上の理由とやらで、あろうことか私の大好きな「The Ballad Of John And Yoko」がカットされており、私としてはそんな欠陥品を買う気にはなれなかったのだ。ジョンのキリスト教発言に対するアメリカ人の反応を知った時は “キリスト教徒ってホンマに心の狭い連中やなぁ...” と呆れたものだが、スペインでもこの有り様だ。キリストも草葉の陰で泣いとるで、ホンマに。
 話をスペイン盤に戻そう。後期のステレオ盤で一番音が良かったのは断然「Abbey Road」だ。このレコードは世界中で売れまくっただけあってかなりの数の盤が市場に出ているが、リリースから1年かそこらで濃青レーベルから薄青レーベルへ切り替わったこともあってかリイシュー盤率が異常に高くて要注意だし、何よりも問題になるのはその盤質だ。少々のキズなど笑い飛ばしてしまうモノラル・カートリッジとは違い、ステレオ・カートリッジはどうしてもキズに弱いし、この「Abbey Road」を聴く場合、B①「Here Comes The Sun」の繊細なイントロ部分でチリパチ、ブツブツとノイズが入ってしまうともう雰囲気ブチ壊しなので、盤選びには慎重にならざるを得ない。
 私は数種類の候補の中から NM表記で尚且つセラーの “Pristine condition” という文言を信じて1枚に絞って購入。届いた盤のマザー/スタンパーは 2GM/2R で、スパインには、細字で “Abbey Road The Beatles” とあり、カタログ№ “1J062-04243M” も記されている。盤に針を落とすとA①「Come Together」なんか実にソリッドな音で上々の立ち上がりだったのだが、続くA②「Something」、A③「Maxwell's Silver Hammer」でチリパチが目立ち、A④以降は持ち直したものの、肝心かなめのB①「Here Comes The Sun」でチリパチが再発してガッカリ。見た目は Ex でも実際に聴くと VG という、レコード・コレクターにとっては一番嬉しくないパターンだ。入っている音そのものはキラリと光るものがあるので実に勿体ない。
 私はどうしても諦めきれず、「Abbey Road」のスペイン盤を買い直すことにした。このレコードを聴くたびに要らぬストレスを溜めるくらいなら、数千円の追加出費で気持ちよく聴ける「Abbey Road」を手に入れた方が精神衛生上遥かに良いと思ったからだ。今度はネガティヴ・フィードバックがゼロのセラーが出しているブツの中から厳選し、更に送ってもらった写真を拡大して詳細に分析・比較した上で €50 の VG+盤に決定。さすがに3枚目は考えてないのでこれがラスト・チャンスだ。
 レコードが届いて恐る恐る盤面をチェックすると見た目は文句なしに合格だ。マザー№は 2/1 でスタンパーは刻印されておらず、しかもB面のセンター・レーベルに Her Majesty の表記が無くて、ジャケットの色合いも先に買った盤よりも深みがあってスパインのデザインも違う(←太字の “Abbey Road The Beatles” のみでカタログ№なし)。どうやら今回送られてきた方が正真正銘の 1stプレスのようだ。要するにレーベルの色やデザインばかりに注意が行っていて「Abbey Road」購入時の基本中の基本とでも言うべき Her Majesty 表記の有無の確認を怠っていたのだが、怪我の功名というべきか、そのおかげでスペイン盤「Abbey Road」の 1stプレスと 2ndプレスの聴き比べをすることが可能になった。
 こちらの 1stプレス盤は聴いてて不快に感じるチリパチはほぼ無くて一安心。2ndプレス盤と比較して、盤質の良さを差っ引いても鮮度の高さ故かこちらの 1stプレス盤の方がパワー/クリアネス共に上回っており、結果論になるが、この2枚目アビー・ロードを買って大正解だった。これからスペイン盤「Abbey Road」を買おうかなぁと考えている人は焦らずに盤質の良い Su Majestad(Her Majesty)無しの 1stプレス盤一点狙いがいいと思う。

スペイン盤特集③「Help!」「Revolver」

2023-12-10 | The Beatles

 ビートルズのスペイン・オリジナル盤を探していて感じたのは、後期のステレオ盤がわりとすんなり手に入ったのに対し、「Revolver」以前、すなわち “赤盤イヤーズ” のモノラル盤を探すのは結構大変だということだ。それも初期のアルバムになればなるほど入手困難で、中でも「Please Please Me」「With The Beatles」「A Hard Day's Night」の最初期 “ゴシック・オデオン・ロゴ” 盤に至っては超稀少で滅多に市場に出てこない。
 「Beatles For Sale」以降のいわゆる “ビッグ・オデオン・レーベル” 盤では少しはマシになるものの、盤質の良いブツを見つけるのは難しく、こちらとしてはじっくりと腰を据えて長期戦を覚悟せざるを得ない。そういうワケで前回取り上げた「Beatles For Sale」と「Rubber Soul」の後しばらくは何の成果も得られなかったのだが、1ヶ月ほど粘ってようやく見つけたのが「Help!」だった。盤質表記はVG+で説明文には great copy と書いてあったので早速写真を送ってもらったところ、まごうことなきビッグ・オデオン・レーベルだ。盤面もキレイそうだったので即オーダーしたのだが、裏面にステッカーの剥がし跡があったおかげで €35 というリーズナブルなお値段で買うことが出来た。
 「Help!」というと本来ならば音質最強であるべきUK盤の音がイマイチなので各国盤、特に独自マトの盤を買う時には期待が高まるのだが、このスペイン盤(マザー/スタンパーは1L/1O)ではイタリア盤のような奇跡は起きず、“悪くはないけどそれほど良くもない” という感じのごく普通の「Help!」だった。特にA⑥「You're Going To Lose That Girl」の眠たさは他のUKマザー盤と同じ症状で、B面になると少しマシになるところまで酷似しており、もちろん個体差もあるかもしれないが、「Help!」に関する限りはスペイン盤といえども “目の覚めるような音” とはいかなかった。まぁこればっかりは実際に自分の耳で聴いて確かめるしかないのでしゃーないか。
 このように音の方はともかくとしてやっとのことで「Help!」を手に入れて、「Beatles For Sale」以降はいよいよ残すところあと1タイトルとなったスペイン盤。その残り1枚の未入手盤というのが「Revolver」だったのだが、先月久しぶりにB-SELSに立ち寄ってエサ箱を漁り始めてすぐ、スペイン濃青ビッグ・オデオン・レーベルの「Revolver」を発見! オリジナル・アルバム13タイトルの内、ピンポイントで私が探している盤が置いてあるなんて何たる偶然... こんなこともあるんやねぇ...(-。-)y-゜゜゜
 私はここ20年くらいはほとんどネットでレコードを買ってきたこともあって、このように幸先よくお目当てのレコードを見つけて “誰にも渡さんぞ” とばかりに小脇に抱えながらエサ箱チェックを続けるこのウキウキワクワク感はめっちゃ久しぶりで、実に懐かしく心地良いものだった。先にレコード試聴されていたお客さんが遠くから来られていたこともあって、ジモミンの私は聴かずに買って帰ろうかとも思ったのだが(←B-SELSの盤質表記の正確さはこの私が一番良く知っている...)、Sさんとそのお客さんのご厚意で両面のアタマの数曲だけ聴かせていただくことになった。
 A①「Taxman」から私の予想通り、いやそれ以上の骨太モノラル・サウンドがお店のスピーカーから飛び出してきた。横で一緒に聴いておられたそのお客さんも “スゴイ音ですねぇ...” と感心しておられる。Sさんはいつものアルカイック・スマイルだ。A②「Eleanor Rigby」のストリングスが硬派な響きでグイグイ迫ってくるこの快感は筆舌に尽くし難い。B面ではB②「And Your Bird Can Sing」のジョンのヴォーカルがワイルドでアグレッシヴに前面に出てきて惚れ惚れする。スペイン独自マト、しかも1G/1Rという最初期スタンパーが生み出すこの野太い中域がジョンの翳りのあるシャウト・ヴォイスの魅力を存分に引き出しているのだ。
 試聴はもうこれで十分と判断してB面途中で針を上げてもらい、支払いを済ませて家に飛んで帰って自分のシステムで聴いてみたが、お店で聴いた通りのごっついモノラル・サウンドが楽しめて大満足\(^o^)/ あんまり嬉しかったので、同じ盤を2連続で聴いてしまったほどだ。細かいことを気にせずにパワーでグイグイ押し切るスペイン盤の豪快なモノラル・サウンドは一度ハマったら病み付きになりまっせ... (≧▽≦)

スペイン盤特集②「Beatles For Sale」「Rubber Soul」

2023-12-03 | The Beatles

 私の各国盤蒐集は一旦火が付くと止まらない。これと決めたらありとあらゆる通販/オークション・サイトを調べ上げて一気呵成に根こそぎ買い漁るパターンなのだが、そんな私が今ハマっているのがスペイン盤だ。きっかけは前回ここに書いた「ペパーズ」のモノ盤で、続いて「ホワイト」を首尾よくゲットした後、三匹目(?)のドジョウを狙って eBayで“Beatles, LP, Spain (Spanish)” で検索してみたが、出品されているブツは Light Blue Label(薄青レーベル)、つまり70年代プレスのステレオ盤ばかり。言っちゃ悪いが再発ステレオ盤なんぞに用はない。私が欲しいのは 1stプレス、つまりリアルタイムで60年代にプレスされた爆音モノラル盤だ。まぁ無いものはしゃあないので、ここしばらく絶縁状態だった Discogs を久々にチェックしてみた。
 Discogsは新しいβヴァージョンになって自分的には見にくくなったのだが、プレス国を絞って検索・表示できるようになった点だけは(←日本語表示だとバグるが、英語表示にすると何故か機能する...)各国盤蒐集の観点から言うとめちゃくちゃ助かる。私は1枚につき予算1万円以内で盤質VG+以上のレコードを狙って探すことにした。
 その結果わかったことは、60年代プレスのスペイン・モノ盤って状態の良いものは思いのほか少ないということ、そしてスペイン人のセラーに “写真を送って!” とメールしても返事が返ってくる確率が他国セラーに比べてめちゃくちゃ低いということだ。とにかく “こいつらホンマにヤル気あんのか???” と疑いたくなるぐらい返事が来ない。英語がワカランのか、そういう国民性なのか、それともスマホがそれほど普及してないのか(笑)、とにかくコミュニケーションが取りづらい連中だ。スペイン盤は70年代初めに濃い青色のレーベルから薄青レーベルに変わるのだが、Blue間違いで薄青の再発盤なんぞを送ってこられたらたまったモンじゃないので、写真によるチェックは必須なのだ。
 そんなこんなで苦労しながらまず手に入れたのが「Beatles For Sale」だった。盤質表記は VG+ だったが送られてきた写真を見ると目立ったキズも無さそうだし、excellent sound という説明を信じて即決。届いた盤を目視チェックするとスピンドル・マークがほとんどない極上NM盤で、もちろん独自マト(マザー/スタンパーは1R/1A)である。一体どんな音で鳴るのか興味津々で盤に針を落としたところ、A①「No Reply」のジョンのザラついた声がリスニング・ルームに響き渡り、部屋の空気をジャケット・イメージと同じ黄土色に染め上げた。う~ん、これはエエ感じだ。
 A④「Rock And Roll Music」はギター、ベース、ドラムス、ピアノが混然一体となって凄まじい勢いでドドーっと迫ってくるところが超絶気持ち良いし、その一方でA⑤「I'll Follow The Sun」の温もりを感じさせるヴォーカルにはホッコリさせられる。A⑦「Kansas City」のアーシーな感覚の表現には唸ってしまうし、B⑤「I Don't Want To Spoil The Party」のジョージのギターもキレッキレで言うことナシ。アルバム全編を通してとにかく音の密度感が高いのだ。溝の状態の良さも寄与していると思うが、それも元々の音が良ければこそだ。このレコードを聴いてスペインのモノラル盤に対する私の信頼は確固たるものになった。
 このように幸先良く「Beatles For Sale」のピカピカ盤を手に入れた私がその次にゲットしたのが「Rubber Soul」だ。このレコードも盤質の良い濃青ビッグ・オデオン・レーベル盤は中々出てこずに苦労したが、1ヶ月近く粘って盤質VG+のブツがeBay に出品されて即ゲット。届いた盤に盛大なスピンドル・マークがあって一瞬ヤバいかなとも思ったが、丁寧に聴かれていたのか盤が強いのかその両方なのか、ほとんど問題の無いExレベルの音で鳴ってくれて一安心。もちろんこちらも独自マト(マザー/スタンパーは1GM/1R)である。その音はラウドカットではないものの、他のスペイン・モノラル盤同様の豪放磊落なサウンドで聴いてて実に気持ちが良いのだが、何よりも驚かされたのがその重低音の豊かな響きで、下の下の方まで余裕で出ている感じがする。これはUK盤はもちろんのこと、他のどの各国盤とも違うスペイン盤ならではの長所ではないかと思う。
 いきなりA①「Drive My Car」から腰の据わった低重心サウンドがパワー全開でグイグイ押してくるこの快感... (≧▽≦) A④「Nowhere Man」なんかもう重厚なコーラスに圧倒されて気持ち良いことこの上ない。A⑥「The Word」のギターのシャープな切れ味も格別だし、歪みなしの大音量でA⑦「Michelle」を聴ける喜びを何と表現しよう? B③「I'm Looking Through You」の地の底で蠢くようなおどろおどろしいベースには驚愕させられたし、B④「In My Life」の音のバランスの良さも最高だ。特に赤盤の2023Mixを聴いた後では(←不自然なくらいに強調されたベルの音がうるさすぎて聴くに堪えない糞ミックス...)余計にそう思ってしまう。とにかく細かいことを気にせずにモノラルの爆音で気持ち良くビートルズを聴きたいという人にとって、スペイン盤はピンズドではないかと思う。

スペイン盤特集①「Sgt. Pepper's」「White Album」

2023-11-26 | The Beatles

 少し前のことになるが、ヤフオクでビートルズ関連のレコードを定期チェックしていて、「この商品も注目されています」 という欄に(←最近このパターン多いなぁ...)「激レア!『Sgt.PEPPERS LONELY HEARTS CLUB BAND』スペイン モノ盤 ODEON 赤レーベル 1967年オリジナル 美品」というのを見つけた。スペイン盤というと私はポールの「RAM」1枚しか持っていなかったのだが、きめ細やかで音圧低めなその音作りはパワー至上主義者の私にとってはイマイチ物足りなく感じられ、それ以降スペイン盤は購入対象から外れていた。
 しかし今回私が魅かれたのは “モノ盤” というパワー・ワードである。「Please Please Me」から「Let It Be」に至るまで、UKオリジナル盤は一応モノとステレオの両方を持ってはいるものの、モノ盤が存在する「White Album」まではターンテーブルに乗る比率は9:1かそれ以上の圧倒的大差でモノ盤だし、カートリッジ交換や針圧調整が面倒臭くなってくると「Abbey Road」「Let It Be」「Hey Jude」のようにステレオ盤しか存在しない後期の盤も、邪道かもしれないがブラジル盤やアルゼンチン盤のモノラル・サウンドで楽しむことが少なくない。そんな “モノ大好き人間” の私にとって、モノラル衰退期にリリースされたせいでステレオ盤が多数を占めるペパーズとホワイトは “モノ盤” というだけで魅かれてしまうのだ。
 オーディオをフレッシュン・アップしてますますモノラル盤のパワー偏重主義に拍車がかかっていた私は “スペインのモノ盤か... 音圧はちょっと低そうやけど、ヴォリュームを上げたったらUKマザーとは又一味違うペパーズが聴けるんちゃうか...” と考えた。早速商品説明欄を見てみると “1967年に発売されたスペイン製オリジナルのモノラル盤で、ジャケのダメージも、レコードのスピンドル・マークも、スクラッチノイズ・サーフェイスノイズもありません。音質は英国盤にも増して繊細な印象です。現在これだけのコンディションのスペイン製モノ盤を入手するのは困難です。” とある。
 おお、これは中々良さそうだ。あと1日を残して既に8,000円まで上がっているのがちょっと不気味だったが、スペイン独自マトの繊細な音をモノラルの爆音で聴けるというのは興味津々だし、わざわざ海外のセラーから盤質ギャンブルしてレコードを買うよりは少々お高くてもヤフオクでピカピカ盤を買うた方がエエんちゃうか... と考え、私はこのレコードをウッチリストに入れておいた。しかし残念なことに締め切り直前の1時間で値段が一気に跳ね上がり、私はただ指をくわえて見守るのみ... 結局34,700円という高値で落札された。
 スペイン盤のくせに(←失礼!)何でこんなに人気あるんやろ?と怪訝に思いながらも私はこのレコードのことが頭から離れず、やっぱり自力で海外から買うしかないかと eBay でチェックしてみたところ、Ex−の盤が1枚だけオーストラリアのセラーから出ており、送料込みでも7,000円ちょっとというお手頃価格だったので即決。あとは盤質がそれなりに良いことを願うのみだった。
 レコードはオーストラリアからの発送ということでわずか10日で到着。アメリカやヨーロッパとは違って送料が安くてしかも早く着くのが嬉しい。肝心の盤質は静音部で少しチリパチはあるものの、いったん音楽が始まってしまえば全く問題にならないレベルで、コスパを考えれば十分満足のいくもの。支払いがオーストラリア・ドル(←米ドルより遥かにマシ...)というのもラッキーだった。
 音の特徴は予想に反してガッツのある力強いサウンドでビックリ(゜o゜)  嬉しくなってアンプのヴォリューム・ノブを更に右に回しながらパワーをぶち込んでやるとえげつないぐらいのラウドで気持ちの良い音がスピーカーから迸り出て来る。これを聴いて、他のどの各国盤とも違うスペイン独自カッティングならではの緻密な音作りこそ、可能な限りヴォリームを上げて聴くのが大正解だと思った。ペパーズのモノ盤と言えばこれまでUK盤一択に近い状況で、たまに気が向いた時に南ア盤やオランダ盤、インド盤なんかを聴く程度だったが、このスペイン盤の満足度はモノラル・ペパーズの中でもピカイチ。プレスやカッティングの違いで楽曲が色んな表情を見せてくれるのがビートルズ各国盤蒐集の面白さだ。
 すっかり調子に乗った私が(←いつもこのパターンやな...)ついでにホワイトもいったれと eBay をチェックするとラッキーなことに VG+の盤が €60で出ており、盤質もまあまあ良さそうだったし送料も2枚組にしては安かったので BUY IT NOW でゲット。これまでも何度か手に入れようとしたことがあったのだが、値段とか盤質の点で良い出物が無くて半ば諦めかけていたのだ。今回はホワイトのモノ盤がVG+で12,000円弱ということでかなり良い買い物をしたと思っている。
 私はペパーズと同様にホワイトもステレオ・ミックスよりもモノ・ミックスの方が好きなのだが、このアルバムが出た1968年というのは世界的にモノラルが廃れてステレオが主流になっていた時期なので、ホワイトのモノラル盤というのは非常に貴重。私の知る限りではUKオリジナル以外ではオーストラリアとスペイン盤があるのみ(→ブラジル、アルゼンチンといった南米勢のホワイト・モノ盤はステレオ・ミックスを無理やりモノに加工した「偽モノ」)だ。ましてや独自マトのホワイトとなると世界広しといえどもこのスペイン盤だけなんである。
 レコードの方はVG++ぐらいの盤質でA③「Glass Onion」のエンディングに少しノイズが入るのを除けばExレベル。音の傾向はスペイン盤ペパーズとほぼ同じで、パワー全開のラウドなサウンドで大好きなホワイトが楽しめる。とにかく中低域がしっかりしており、腰の据わった骨太のモノラル・サウンドがスピーカーからドドーッと飛び出してくるのだ。
 中でもA⑧「Happiness Is A Warm Gun」のまるで大蛇のようにうねるベースの音には心底ブッたまげたし、C⑥「Helter Skelter」のベースなんてもう狂喜乱舞という表現がピッタリの大暴れ。続くC⑦「Long Long Long」の、まるで地の底から響いてくるかのような重低音の響きはUK盤すら凌駕している。高域の抜けの良さも特筆モノで、何度も繰り返し聴きたくなるような親しみ易い音作りだ。先のペパーズといい、このホワイトといい、スペインのモノラル盤って侮れへんなぁ... とそれまでの考えを改めさせられた。

「赤盤」「青盤」リミックス2023

2023-11-12 | The Beatles
 「Now And Then」が届いてちょうど1週間になるが、聴けば聴くほど胸に沁み込んでくる。実に滋味深い味わいの一曲である。ましてや4人が “共演” しているプロモビデオを観てしまうとそれこそ目頭が熱くなってしまう。この曲を聴いた時の反応をYouTube上で様々な人たちがアップしているのを見たが、中でもこの人↓のがわかりやすくて良かった。
Classical Composer Reacts to THE BEATLES: NOW AND THEN | The Daily Doug (Ep. 686)


 今回の「Now And Then」プロジェクトにおいて、“デミックスによる奇跡的な新曲の完成” と並ぶもう一つの目玉が「赤盤」「青盤」の2023リミックス盤のリリースだ。これまで何度も書いてきたように「赤盤」こそが私が初めて買ったビートルズのレコードであり、もしもこのレコードとの出会いがなかったら、ヘタをすれば今とは全く違った無味乾燥な人生を送っていたかもしれない。金パロ盤やニンバス盤、スタンパー1G盤や高音質各国盤の入手に一喜一憂するビートルズ・アナログ桃源郷の楽しさを知らずに生きる人生なんて、考えただけでもゾッとする。つまり「赤盤」がなければ今の私は存在しない... と言えるぐらい絶大な影響を受けているわけで、同じベスト盤でも「Oldies」や「1」のように何の想い入れもない凡盤駄盤の類とは激しく一線を画す、特別なレコードなんである。
 シングル「Now And Then」の1週間後にそんな「赤盤」のニュー・リミックス盤が「青盤」と同時リリースされると聞いて私の胸は高鳴った。2017年の「Sgt. Pepper's」を皮切りに「White Album」「Abbey Road」「Let It Be」「Revolver」と続いてきたジャイルズ・マーティンによるリミックス・プロジェクトが初期の作品をどのように聴かせてくれるのか興味津々だった私にとって、「赤盤」というのは今後のビートルズ・リミックス盤の出来を占う大きな試金石のようなものだったからだ。
 話が「赤盤」に偏ってしまったが、後期の曲はシングルではなくアルバム単位で聴くことがほとんどだったせいもあって「青盤」に対しては愛着が薄く “後期の有名曲をただ並べただけ” というのが正直なところだったし、その考えは今も変わらないが、US編集LPである「Magical Mystery Tour」「Hey Jude」収録の曲や、ボートラ扱いの「Hey Bulldog」をジャイルズがどのように料理するかに興味があったので「赤盤」「青盤」の両方とも一気買いすることにした。当然輸入盤LP狙いである。いくつかのサイトを比較した結果 “まとめ買い価格” を使ったHMVが一番安かったのでそこですぐに予約した。
 レコードは発売日の11/10に到着。新品なのでクリーニングの必要がないのが嬉しい。すぐに「赤盤」のディスク1をターンテーブルに乗せて針を落とす。そこで静寂の中から聞こえてきた「Love Me Do」はベースがめっちゃデカく入っていて全体のバランス・印象が旧来のミックスとはかなり異なっており、のっけから驚かされた。実を言うとシングル「Now And Then」のB面はテキトーに1回聴いただけでA面ばかり繰り返し聴いていたのでこんなことになっていようとは夢にも思わなかったのだ。続く「Please Please Me」も何か思うてたのと違う。しかし「She Loves You」あたりからこのニュー・ミックスの音作りに慣れてきて、「I Want To Hold Your Hand」や「All My Loving」なんかは結構楽しめたし、弦楽器の配置を変えて音場の広がり感をアップさせた「Yesterday」はその包み込まれるような感じが気持ち良い。ただ、上記の初期シングル曲やボートラの「I Saw Her Standing There」などを聴いていて思ったのだが、ひょっとすると1963年の最初期2トラック録音はデミックスといえども音質面で色々と難しい部分があるのかもしれない。
 今回のプロジェクトは “左右泣き別れステレオ” を解消して定位を整えるというメリットと、それぞれ楽器ごとにデミックスしてからそれらを改めてリミックスするために楽器の音が少し変わってしまうというデメリットの狭間で落としどころを見つけるという気の遠くなるような作業だったと思うのだが、それぞれの曲の最適解というのは当然聴く人によって変わってくるわけで、今回のジャイルズのリミックスに関しては賛否両論あって当然だろう。私的には曲によって当たり外れはあるものの、それなりに興味深く楽しめたと言えるが、こればっかりは個人個人で今回のニュー・ミックスに対する好き嫌いを判断するしかないだろう。
 そんな中で私が “さすがにこれはちょっとやりすぎでは???” と思ったのが「青盤」収録の「I Am The Walrus」だ。特に曲の中盤から後半にかけては各楽器のバランスがかなり変えられており、それだけでも結構違和感があるのに、エンディングに近づくにつれてこれまで聴いたことがないような音(←ラジオ音声やオーケストラetc)がわちゃわちゃ出てきてもう何が何だか... の世界。おそらくオリジナルのマルチトラックにあったボツ音源をジャイルズの判断で復活させたのだと思うが、ハッキリ言ってこういう改悪はやめてほしかった。例えるならクラシック・カーのエンジンを最新型に載せ替えて更にリアウイングやディフューザーまで取り付けたような感じ、といえばわかってもらえるだろうか?
I Am The Walrus (2023 Mix)


 「赤盤」では「In My Life」がキツかった。どういうわけかデジタル臭さが強く出過ぎて、この曲のキモというべき抒情性に浸ろうと思っても高音がやかましすぎて楽しめないのだ。ストリーミング音源をスマホとイヤホンで聴いている今時の若者ならこういうのも平気なのかもしれないが、昭和育ちのコテコテ・アナログ人間の私は正直ちょっとついていけない。お父さんの故ジョージ・マーティンがこれを聴いたらどう思うだろうか?
In My Life (2023 Mix)


 私に関する限り、ビートルズのニュー・リミックスというのは物珍しさで買って聴き、しばらくすると飽きて結局オリジナル盤に戻るというパターンが圧倒的に多かった。「Yellow Submarine Songbook」しかり、「Let It Be Naked」しかりである。今回の2023年ミックスの「赤盤」「青盤」もおそらくそうなるだろうし、それで十分だと思っている。こう言っては身も蓋もないが、“珍味” と “美味しい” は違うのだ。そう言えばこの2023年ミックス盤が届いた同じ日にたまたま「青盤」のスペイン・オリジナル盤が海外から届いたので興味本位で聴き比べてみたのだが、私の耳にはスペイン盤の方が圧倒的に心地良く響いた。今後もテクノロジーの進化と共にどんどん新しいミックスが作られることになるのだろうが、それによって逆にオリジナル盤の価値が上がっていくという皮肉な現象が生まれてきそうだ。

【追記】レコードが届いてから数回聴き込んで徐々にこの新しいミックスにも慣れてきたところだが、今一番不満に感じるのは「青盤」のボーナス・トラックの選曲だ。新曲「Now And Then」はまぁ仕方ないとしても(←でもみんなシングル盤で既に買ってるでしょ?)、残り8曲の中で新出といえば「Hey Bulldog」のみ(←期待したわりにはイマイチのミックスやった...)で、後は「Sgt. Pepper's」や「White Abbum」で既出の音源ばかり。私としては「Magical Mystery Tour」や「Yellow Submarine」で未だニュー・ミックスを出してない曲(→「Your Mother Should Know」聴きたかったなぁ... 「It's All Too Much」なんか絶対面白そうなのに...)でボーナス・ディスクを作ってほしかった。“ビートルズはファンに二度買いさせない...” とは何だったのか。

ザ・ビートルズ最後の新曲「Now And Then」

2023-11-05 | The Beatles
 確か6月頃だったと思うが、ヤフー・ニュースに「ポール・マッカートニーが AI(人工知能)を導入してビートルズの新曲を製作中」という記事が出た。私は一瞬 “えっ、AI 使うて新曲って一体どーゆーこと???” とワケがわからなかった。私は AI がどーとかチャットGPTがこーとか言われるとブツブツが出るくらい(笑)拒否反応を示す古いタイプの人間で、映画「ターミネーター」の “スカイネット” やTVドラマ「スタートレック・ディスカバリー」の “コントロール” などを見て余計に AI 嫌いが助長されているのかもしれないが、一番決定的だったのは何年か前にNHKが AI を使って美空ひばりの偽物をでっち上げた時のネガティヴなイメージが私の中に染み付いていることで、ビートルズで “AIひばり” みたいなキモいことはやめてくれよ... と思ったのだ。だからその時点では正直言ってあまり期待もせず、とりあえずその後の成り行きを見守っていたのだが、その後の進捗状況に関するニュースはあまり出てこず、私も “ひょっとしてあの話は立ち消えになったんかな???” と思っていた。
 ところが先月の末、唐突に「ビートルズ最後の新曲 Now And Then、11月2日に世界同時配信決定!」というニュースが飛び込んできた。11/2て、あと1週間しかないやん! 私はネット上の情報を調べまくり、AI 云々というのはピーター・ジャクソン監督が映画「Get Back」で開発し、ポールが自らのライヴで「I've Got A Feeling」をジョンとデュエットした、あのデミックス技術のことだとわかり一安心。要するに音の悪いデモ・テープからジョンの声を完全に分離してクリスタル・クリアーな状態にまで磨き上げ、そこにポールとリンゴ、そして生前のジョージがアンソロジー・プロジェクト時に残した演奏をミックスして仕上げたのだという。そういうことなら最初からデミックスって言えばいいものを、何が AI やねん! “AI レノン” なんか聞かされたらブチギレてまうわ。ということで、私の中で AI 騒動は一件落着。事の詳細を上手くまとめたショート・フィルムが YouTube にアップされているので、そちら↓をご覧あれ。
The Beatles - Now And Then - The Last Beatles Song (Short Film)


 で、いよいよ待ちに待った11月2日... YouTubeでこの「Now And Then」を初めて聴いた時、ジョンの歌声が流れてきた瞬間に熱いものがこみ上げてきた。モノ悲しげなメロディーも相まって、心の琴線をビンビン震わせるのだ。ビートルズ・サウンドの要というべきリンゴの “ザ・ワン・アンド・オンリー” なドラミング、「アビー・ロード」を彷彿とさせる美しいコーラス・ハーモニー、「アンソロジー」でこの曲に取り組んでいる時にジョージが弾いた味わい深いギター・カッティング、ポールがジョージへの想いを込めて弾いたという哀調スライド・ギター、そしてそこに「Eleanor Rigby」を想わせるリズミカルなストリングスが寄り添いながら収斂していく様はまさに蘇えったザ・ビートルズそのものだった。
 ジョンが書いた歌詞 “Now and then I miss you... now and then I want you to be there for me...(時々君が恋しくなる... 君がそばにいてくれたらって思うんだ)” の you はおそらくポールのことではないかと思うのだが、今となってはこのラインは逆に全ビートルズ・ファン(そして残されたポールやリンゴ)がジョンやジョージに対して抱いている共通の想いと言えるだろう。
 音源公開の翌日にピーター・ジャクソンが製作したミュージック・ビデオが解禁されたが私はそれを見て、不覚にもまたまた涙腺が決壊してしまった。在りし日のジョンやジョージの姿が最新テクノロジーによって絶妙に合成され、まるでポールやリンゴと共演しているかのように画面上に4人の姿が映し出されるのである。これを観て涙しないビートルズ・ファンはいないだろう。さすがは映像製作のプロという他ないが、バリバリのビートルズ・ファンを公言するピーター・ジャクソン監督ならではの素晴らしい映像作品だと思う。
The Beatles - Now And Then (Official Music Video)


 ポールのカウントで始まる「I Saw Her Standing There」でスタートしたビートルズの歴史が、同じくポールのカウントで始まるこの「Now And Then」で幕を閉じるというのも何か運命的なものを感じさせる。何て言うか、あぁこれで本当に終わりなんやなぁ... という一抹の寂しさも確かにあるが、それ以上に、人生の大半をリアルタイムで彼らの音楽と共に過ごせたことの喜び、そして4人への心からの感謝の想いがこみ上げてきた。私にとって彼らの歌はまさに “希望” であり、“生きる喜び” そのものだった。そして時代がどう変わろうと、彼らの音楽は変わらずに私にその喜びを与え続けてくれるだろう。
 まさか21世紀になってビートルズの新曲リリースに立ち会えるとは夢にも思わなかったが、この「Now And Then」を聴いて改めてビートルズ・ファンでよかったなぁ... という思いを強くした。レコード・コレクションにこの「Now And Then」という掛け替えのない1枚が加わって幸せだ。

「With The Beatles」デンマークの金パロ盤

2023-10-22 | The Beatles

 またしても「With The Beatles」を買ってしまった。今年だけでも、オーストラリアのラウドカット盤、UKデッカ・プレス盤、UKパイ・プレス盤、そして少し前にB-SELSで買ったアルゼンチン盤に続く5枚目である。何でまた同じレコードばかり買うのか???と不思議に思われそうだが、今回の買い物には揺るぎない大義名分があるのだ。
 これまで何度も書いてきたように私はビートルズを轟音・爆音で聴くことが無上の喜びであり、特に「With The Beatles」に関しては “究極のラウドカット盤” を探すことがライフワークになっている。もちろん理論上はUK 1stプレスのスタンパー両面1G盤が最強だと考えられるが、私が持っているのは片面1G盤なので、どうしても各国盤まで手を広げざるを得なくなってくる。
 このレコードは Discogsに載っているだけでも世界中で500種類以上ものヴァージョンが存在するらしいが、私はそれらの中から1963年にリリースされたUKマザー1Nスタンパー使用のモノラル・ラウドカット盤をすべて手に入れてやろうと心に決めて1枚また1枚と買い集めてきたのだが、最後に残った最難関盤がデンマークのゴールド・パーロフォン盤だった。
 デンマークの「With The Beatles」に関しては各国盤を集めだした頃に買ったラウドカット盤を既に持っていて以前このブログでも取り上げたことがあるが、百戦錬磨のB-SELSのSさんをして “UKの「With The Beatles」にゴールド・パーロフォンがあったらこんな感じで鳴るんじゃないでしょうか。” と言わしめたほど凄い音がする1枚だ。そのレコードはUK金パロと同じクラシックなデザインのパーロフォン・レーベルなのだが、惜しむらくは金ではなく銀文字が使用されている2ndプレス盤であり、その上位には同デザインで金文字の1stプレス盤が存在するというワケだ。
 私は “銀” であれほど凄い音がするんやからそれよりも更にプレス時期が早い “金” やったらもっと生々しい音がするんちゃうかという好奇心に抗えず、“いつかきっとデンマークの金パロを手に入れたるぞ!” と心に決めて eBay でず~っと網を張っていた。
 それから待つこと3年、ついにデイニッシュ金パロがデンマークのセラーから出品された。€200からのスタートで、私は最低でも €300ぐらいは出さなアカンのかなぁとそれなりの出費を覚悟していたが、結局誰も来ずに無風で落札... デンマーク盤の音の凄さって世間であんまり知られていないのかもしれないが、私としては大ラッキーだった。
 支払いを済ませてから発送まで1週間もかかったこともあってレコードが届くまではやきもきさせられたが、3週間経ってからやっとのことで届いたレコード盤をドキドキしながら取り出して目視チェックしたところ、盤はピッカピカで傷は皆無。スピンドル・マークも見当たらないのでほとんど聴かれてないような感じだ。
 これはひょっとすると大当たりちゃうか... とはやる心を抑えてしっかりとクリーニングを施してターンテーブルに乗せ、ワクワクドキドキしながら盤に針を落とすと、ほぼ無音状態の中からA①「It Won't Be Long」がスピーカーから勢いよく飛び出してきた。盤質がほぼM(ミント)という奇跡的なコンディションから生み出されるこの生々しいサウンドを何と表現しよう? A②「All I've Got To Do」、A③「All My Loving」もチリパチ音皆無の超クリアーな音で -1Nのラウドカット・サウンドが楽しめるのだから嬉しくってしようがない\(^o^)/ A⑥「Till There Was You」も力強く美しい音で再生されるし、A⑦「Please Mister Postman」も全く歪まずに完璧な音で鳴っている。B面も同じくらい良かったらエエなぁ... と思いながら盤をひっくり返して針を落とすと、こちらもA面に勝るとも劣らないパーフェクト・コンディションで、再生の難しいB①「Roll Over Beethoven」もこれまで聴いてきたどの盤よりも見事なバランスで朗々と鳴る。
 結局B⑦「Money」までスクラッチレス、ノイズレスの完璧な「With The Beatles」ラウドカットが聴けて大満足。聴き終えた後、ちょうど「Please Please Me」の両面1G盤を初めて聴いた時のような、言葉では表現できない圧倒的な充実感に満たされた。いやぁ~、これは最高のラウドカットやなぁ... と喜んでいたら、その翌日に何と B-SELS の「日記」コラムにこのデンマーク金パロ盤が登場しててビックリ(゜o゜)  地球の裏側で60年前にリリースされた稀少盤が2枚もほぼ同時期にこの奈良にやってくるなんて、ものすごい偶然やなぁ... と妙に感心してしまった。
 少し前に自分はあと何枚「With The Beatles」を買うことになるのか... みたいなことをここに書いたが、今度こそこれで一段落となるのか、あるいは舌の根も乾かんうちに前言撤回して又次の盤を買ってしまうのか、自分でもよくわからないが(←何となく後者になりそうな予感)、このデンマーク金パロ盤が我が家の「With The Beatles」の王座に就いたことだけは間違いない。“究極のラウドカット探し” というライフワークを達成できた満足感、ついに本懐を遂げた喜びをここにしっかりと記しておきたいと思う。

「With The Beatles」アルゼンチン・モノラル盤

2023-09-30 | The Beatles

 先週の土曜日に母親の美容院の送り迎えの合間を縫って久々に B-SELS に行き、短時間ながらも至福の時間を過ごすことができた。その時にお店にあったレコードの中から何枚か、それぞれ少しずつ聴かせていただいたのだが、その中の1枚の音が頭から離れず、1週間経った今日、今度は母親の MRI検査の結果待ちの間に病院を抜け出して前回の続きを聴かせていただこうと再び B-SELS を訪れた。転勤のせいで “仕事帰りにB-SELS” が出来なくなったのは残念だが、おかん行きつけの美容院と病院が B-SELS に近くてラッキーだ。
 そのレコードというのが今日取り上げる「With The Beatles」のアルゼンチン盤で、最近モノラル盤ばかり聴いている私が目ざとく見つけた1枚だ。商品紹介ポップには “レア! アルゼンチン・モノ” “鮮烈!! すばらしい音! オススメです” “盤うすいスレのみ、当時のアルゼンチン盤の中ではかなりの美盤です” “2nd Label、ただ 2ndといっても 1stはほぼ市場に出ないのでオリジナルと言っていいと思います” と書かれていたが、私の目を引いたのは他でもない「鮮烈」というパワー・ワードだった。
 そう言えば2年ほど前にここで同じ「With The Beatles」のベネズエラ盤を購入したが、あれも凄い音がしていたなぁ... などとその凄い音体験を思い出し、同じ南米ということで大いに期待しながらSさんにお願いして聴かせていただいたのだが、何よりもまずその盤質の良さに驚かされた。余程音溝の状態が良いのだろう、とにかくチリパチ音がほとんど無く、NM+と言ってもいいぐらいにクリアーな音でビートルズの若さ溢れるロックンロールを楽しめるのだ。その時は時間の関係でA面の半分ほどしか聴くことが出来ず、この1週間ずーっと気になっていたので、今日また近鉄奈良駅近くまで行くことになって、これ幸いと続きを聴かせてもらいに行ったというワケだ。

 私:おはようございます。今日はこの前少し聴かせていただいた「With The Beatles」のアルゼンチン盤をもう一度聴かせていただけますか?
 Sさん:もちろんです。
 私:先週聴かせていただいた時、盤質が良くってノイズがほとんど無く、めっちゃ気持ち良く聴けたので気になってたんです。
 Sさん:立ち上がりはラウドカットみたいにガーン!ときませんけど、音的にはすごく良いと思います。
 私:(A①「It Won't Be Long」を聴きながら)めっちゃ盤質良いですねー 南米盤でこれはちょっと信じられないレベルですよ。この独自マトの音も好みですし。
 Sさん:結構エエ感じでしょ?
 私:(A③「All My Loving」がかかる...)ホンマに60年代の音そのもの、っていう感じですね。好っきゃわぁ、こういう音。
 Sさん:うん、ホントそうです。
 私:(A⑥「Till There Was You」がかかる...)ポールの声が瑞々しい! 絶妙な潤い感というか、この音は素晴らしいですね。アコギの響き具合いも最高ですよ。
 Sさん:真空管のエエ音ですね。
 私:A⑦「Please Mister Postman」も歪み感が全然無いですね。
 Sさん:(A面が終わり、盤を裏返しながら)ただ、ラウドカット盤を聴き慣れていると、やっぱりこの立ち上がりの部分がねぇ...(と言いながらアンプのヴォリュームを少し上げる...)
 私:いやいや、これはこれで素晴らしいバランスの音やと思いますよ。私が言うと、一体どの口が言うてんねん!と言われそうですが...(笑)
 Sさん:ハッハッハッ(と大笑い)
 私:普段ラウドカット盤ばかり聴いてるので、たまにはこんなのもエエもんですよ。それにこの独自マトの音作りは私のスイートスポット直撃ですし。
 Sさん:確かに音の傾向がラウドカット盤に似てますね。だからヴォリュームを上げて聴くとすごく鮮烈な音が楽しめます。
(ここで私の携帯が鳴り、おかんから診察終わったから早よ迎えに来いという連絡が入る...)
 私:まだB面の途中ですけど、これいただきます!
 Sさん:えっ、エエんですか?
 私:もちろん! B-SELSのレコードには100%の信頼を置いてますんで。残りは帰ってからゆっくり聴きます。
 Sさん:いつもありがとうございます。
 私:いえいえ、こちらこそいつもありがとうございます。エエ週末になりそうですわ...(^.^)

 家に帰ってこのレコードを聴きながら(→実は今3回目聴いてます...)この文章を書いているのだが、ウチのシステムでもめちゃくちゃ良い音で鳴ってくれて大喜びヽ(^o^)丿  非ラウドカットの「With The Beatles」では少し前にここに書いたパイ・プレス盤とタイマンを張れるくらい気に入っている。Sさん、今回も素晴らしいレコードをどうもありがとうございました。