shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズUKシングル盤特集⑥ 1966-1967

2014-12-29 | The Beatles
⑬ Yellow Submarine / Eleanor Rigby (R 5493, Mono, 1966.8.5発売)
 私は “全部揃える” ことを目的とした、いわゆるひとつの “コンプリート・コレクション” には関心が無い。飾っておくだけで聴かないレコード・コレクションなど無意味だと思うからだ。だからビートルズUKシングル盤を買い始めた10月の時点では手持ちのオリジナルLP未収録の曲が入ったシングルだけが狙いで、22枚全部を揃えようなどという大それた気持ちは無かった。しかしAB両面ともLPに入っているシングル「ハード・デイズ・ナイト」を£0.99という安さに釣られてついつい買ってしまい、実際に聴いてみてその45回転パワーを体感、これはやっぱり全部いかなアカンと思い、2曲とも「リヴォルヴァー」に入っているこのシングル「イエロー・サブマリン / エリナー・リグビー」も取ることにした次第。というワケなので、このレコードが届いてまずやったのが「リヴォルヴァー」オリジナルLPとこのシングル盤との聴き比べだった。
 で、その結果は “LPも1st プレス盤やからそんなに差はないだろう...” との私の予想とは裏腹にどこをどう聴いてもシングル盤の圧勝で、改めて45回転パワーを痛感させられた。まず先にシングル盤を聴き、続いてLPをかけたのだが音圧の違いは如何ともしがたく、LPの方は音像が小さくなり音が奥に引っ込んだように感じられるのだ。それがシングル盤ではまるで水道の栓をひねってバシャーッと水が全開で迸るかのような気持ち良さで音楽に浸りきることが出来るのだからこんな嬉しいことはない。LPで持っていてもやっぱりこのシングルは買って大正解だった(^o^)丿
 「イエロー・サブマリン」はモノとステレオの違いだけでなくミックスそのものの違いにも耳がいってしまう。例の空耳パート(←“おっさんが屁ぇこきまっせぇ~ おっさんの屁ぇ~♪” って聞こえるアレです...)に続く掛け合いのタイミングの違いやらイントロのアコギの入り方などだ。長いこと赤盤のステレオ・ミックスで聴いてきたこともあって私的にはステレオ・ミックスの方が耳に馴染んでいるのだが、このモノ・ミックスを聴いてしまうとリンゴのヴォーカルが右チャンネルに偏るイニシエのステレオ・ミックスはやはり不自然。アコギのストロークの力強さや波音SEのリアリティに関してもモノ・ミックスの方が一枚上だ。
Yellow Submarine


 「エリナー・リグビー」でも「イエロー・サブマリン」と同様にシングルとLPの音の差は歴然で、戦闘的なストリングスとストラッグルしながらスピーカーから飛び出してくるポールのヴォーカルが実に凛々しい。まるでユンケルでも飲んだかのような(?)力強い歌声に圧倒され、聴いているこちらまで全身にチカラがみなぎってくる。間違いなくこれまで聴いてきたこの曲のベストなサウンドだ。
 1st プレスは ①“Sold In UK”リマーク有り、②リム左側のクレジットが GRAMOPHONE、③マトリクス枝番は -1 / -1 。入札状況は3 bidsで、落札価格は£3.20(約570円)だった。
Eleanor Rigby


⑭ Strawberry Fields Forever / Penny Lane (R 5570, Mono, 1967.2.17発売)
 私は今回のUKシングル盤一気購入プロジェクトを始める前にまず信頼のおけるプライスガイドを熟読研究した。それによるとビートルズのUKシングル初回盤は初期の黒パロが£10、中期で£15とのことだったが、この「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー / ペニーレイン」だけは£50となっており、補足説明として “初回盤は25万枚限定ピクチャー・スリーヴ付き” とある。実際にeBayでチェックしてみるとPS付きは圧倒的に品薄で、たまに出てきてもビッドが殺到してとてもじゃないが私の予算額を軽くオーバーしてしまう。う~ん困った...(>_<)  ボロボロのPS(←紙質のせいなのか、どれもこれも茶色いシミだらけの薄汚れたスリーヴばかり...)だけのために気前よく何千円も出せるような金持ちコレクターと競う気はサラサラ無い。
 こーなったら安い2ndプレス盤で妥協するしかないか...と考えていた時、“これはひょっとすると...” と思えるブツが出品された。盤質表記は何とGだ。レコードのグレーディングにおけるGとはGoodの略なのだが、これは一般的日本人の考える「良い」ではなくて M > NM > EX > VG > G > P と下から数えた方が早い低評価... 要するに “一応針飛びは起こさずに聴けると思うけどダメージはあるよ” ということだ。しかもスリーヴ右上に「PENNY LANE」と書き込みがあって全体的にヨレヨレ、当然ジャケット・コンディションもGである。盤質、ジャケ共にGという低グレード盤のせいか開始価格£1.00というのに誰も来る気配がない。盤質Gの盤に手を出すのはハッキリ言ってギャンブルだが、私が愛用しているオルトフォンのモノ・カートリッジは少々のキズなど笑い飛ばしてしまう “中域ドスン” タイプなので上手くいけばオイシイ買い物ができるかもしれない。ということでダメ元で£7.02付けたのだが、結局ライバルは2人だけしか来ず、すんなりと£5.75で落札できた。

 届いたレコードをチェックすると、確かにスピンドル・マークは盛大に付いているが目立ったキズは見られない。目視では VG+ レベルだ。恐る恐る盤に針を落としてみると、これが奇跡的にほぼノイズレスのNM レベル... こんな状態の良い盤をあの値段で買えたなんて笑いが止まらない\(^o^)/ しかもそのモノ・ミックスがこれまた絶品で実にリアルなサウンドなんである。「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」はケツの毛まで知っていると言っても過言ではない愛聴曲なのだが、こんな生々しい「ストロベリー・フィールズ」は聴いたことがない。音の低域とか高域とかいった次元ではなく、とにかく音が近くてかぶりつきで聴いている感じなのだ。う~ん、コレはたまらんわ... (≧▽≦)
Strawberry Fields Forever


 「ペニー・レイン」は何と言ってもあの突き抜けるようなピッコロ・トランペットのハイ・ノートがどう聞こえるかがこの曲の生命線。元々ジャズ喫茶の巨大スピーカーに憧れて導入した我が家のアルテック・ヴァレンシアの811Bホーンはその辺りの表現が大得意なのだが、このシングル音源ではトランペットがまさに金管楽器そのものの煌びやかな黄金サウンドで鳴ったのだ。コーフンした私がアンプのヴォリュームを更に上げるとまるで部屋中に金粉をまいたかのような(笑)サウンド桃源郷と化し、ポールの溌剌とした歌声が朗々と響き渡る。音が気持ち良く広がる「マジカル・ミステリー・ツアー」LPのステレオ・ヴァージョンも捨て難いが、こっちの黄金サウンドも実に魅力的。このように1つの曲で2通りのヴァージョンを楽しめるのもモノラルとステレオが共存していた60年代ならではだ。
 1st プレスは ①ピクチャー・スリーヴ付き、②“Sold In UK”リマーク有り、③マトリクス枝番は -1 / -2 。入札状況は3 bidsで、落札価格は£5.75(約1,080円)だった。
Penny Lane


ということで今年のブログはこれでおしまい。思えばポール来日騒動で始まりパーロフォン祭りで終えるという実にビートリィな1年でした。来年はどんな年になるのかな??? それでは皆さん、どうか良いお年をお迎えください(^o^)丿

ビートルズUKシングル盤特集⑤ 1965-1966

2014-12-24 | The Beatles
⑪ We Can Work It Out / Day Tripper (R 5389, Mono, 1965.12.3発売)
 プライスガイドによるとビートルズのUKシングル盤は「フロム・ミー・トゥ・ユー」から「ヘルプ」までは£10.00になっているのだが、この「ウィー・キャン・ワーク・イット・アウト」から£15.00にハネ上がる。実際、赤パロ以降では初めて購入価格が£5.00を超えたし、何故か状態の良い盤はあまり出てこない。コレクターにとってはこのあたりから入手難易度がワンランクアップしたような感じだ。
 「ウィー・キャン・ワーク・イット・アウト」はヴォーカルが右に偏った赤盤の “左右泣き別れミックス” と比べるとこちらのモノ・ミックスの方が自然で聴きやすい。しかしこのシングル盤の一番の魅力は、音圧が3割増しぐらいに感じられる迫力満点のサウンドなので、聴いていて実に気持ちがいいということに尽きるだろう。やはり好きな音楽はチマチマと小音量で聴くのではなく風圧で身体に浴びたいものだ。しかもビートルズのUKシングルは、モノラルでありながら一つ一つの楽器の音がごちゃまぜにならずにハッキリと聴きとれるところがいい(^.^)
We Can Work It Out


 裏面の「デイ・トリッパー」はカッコ良いギター・リフ一発で作り上げたようなロック・チューン。赤盤のステレオ・ミックスのイントロで左チャンネルからのリフに右チャンネルからのリフが重なっていき、そこにポールのベースが寄り添うようにユニゾンを奏でるところがゾクゾクするほど好きなのだが、音の広がりを得た代償としてロック曲としての迫力が一歩後退という感は否めない。このモノ・ミックスではまるでエレキ・ギターの電圧を上げたかのような(?)強靭なサウンドが楽しめるところが◎。どちらのミックスも捨て難いので、私はその時の気分によってモノラルにするかステレオにするかを決めているが、とにかく元気が欲しい時はこのシングル盤の方を聴くようにしている。
 1st プレスは ①“Sold In UK”リマーク有り、②リム左側のクレジットが PARLOPHONE(大文字)、③リム下側 Gt.Britain の tが小文字、④マトリクス枝番は -4 / -1 。入札状況は3 bidsで、落札価格は£8.50(約1,540円)だった。
Day Tripper


⑫ Paperback Writer / Rain (R 5452, Mono, 1966.6.10発売)
 今回買った一連のシングル盤の中で最も凄い音が入ってた盤を3枚挙げろと言われれば、「プリーズ・プリーズ・ミー」、「シー・ラヴズ・ユー」、そしてこの「ペイパーバック・ライター」になるだろう。当時EMIが新たに導入した最新鋭機器を使ったハイ・レベル・カッティングによって迫力満点のサウンドを音溝に刻み込むことに成功、いわゆるひとつの “ラウドカット盤” としてコレクターの間で抜群の人気を誇っており、ヤフオクではシングルの分際で(笑)7,500円~12,000円ぐらいの高値で取り引きされているのだから凄いとしか言いようがない。とにかくこれを一度聴いたらもう通常カッティング盤では満足できない身体になってしまいかねないキケンな1枚だ。
 ファズのかかったラウドなギターが縦横無尽に空間を切り裂きベースがブンブン唸るこの荒々しいサウンドこそまさにモノラル・ワンダーランド、サウンドの大海原、ポール名曲数え歌、掟破りの逆BB5、ひとり民族大移動、アックスボンバー三つ又の槍である。ビートルズ・サウンドに潜むパンキッシュな要素を思う存分楽しめる中期ビートルズ屈指の大名演だ。ただ、1分37秒あたりのエコーのかけ方はいくら何でもトゥー・マッチ... (>_<)  この部分だけはステレオ・ミックスの方が断然スマートでカッコイイと思う。
Paperback Writer


 B面の「レイン」はえもいわれぬ浮遊感がたまらないサイケなナンバーで、ロックンロールのド迫力が楽しめるA面とはまた違った魅力に満ち溢れたアシッド・ソングだ。この曲を初めて聴いたのは確か「ヘイ・ジュード」の国内盤LPだったと思うが、第一印象は “何かワケの分からん不思議な曲やなぁ...” というもので、この曲に関してはそれ以降かなり長い間判断停止状態が続いていた。そんな印象がガラリと変わったのは10年ほど前にUK盤の「ヘイ・ジュード」輸出仕様LPを大音量で聴いてからで、その時初めてリンゴのスーパー・ウルトラ・ハイ・テクニックを駆使したドラミングの凄さに瞠目したという次第。ポールのベースの躍動感もハンパない。今回はそれが更に生々しいオリジナル・モノのサウンドで聴けて嬉しいったらありゃしない(^o^)丿  この曲は大音量で全身をそのサイケなサウンドに包み込まれるようにして聴いてこそ真価が分かるのではないかと思う。 ということでこのシングル盤はAB面共に私の宝物になりました。
 1st プレスは ①“Sold In UK”リマーク有り、②リム左側のクレジットが GRAMOPHONE、③リム下側 GT.Britain の Tが大文字、④マトリクス枝番は -2 / -2 。この盤は人気が高くビッドが集中するのでどうしたものかと困っていたのだが、辛抱強く網を張って待ち続けた結果、ラッキーなことにたまたまベルギーのセラーから BUY IT NOW(即決)で出品されてすぐのところをキャッチ... 誰とも競うことなく£9.50(約1,720円)でピカピカ盤を手に入れることができて大ラッキーだった(^.^)
Rain
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ビートルズUKシングル盤特集④ 1964-1965

2014-12-19 | The Beatles
⑦ A Hard Day's Night / Things We Said Today (R 5160, Mono, 1964.7.10発売)
 「ハード・デイズ・ナイト」といえば何はさておきイントロのジャーン!である。私的にはビートルズ・ソングの、いや、長~いポピュラー音楽の歴史において「ミスター・ムーンライト」と共に最強の破壊力を誇るキラー・イントロなのだが、このジャーン!は音が拡散してしまうステレオ・ミックスではなく、音の密度とエネルギーの凝縮感が段違いなモノ・ミックスのシングル盤で聴くに限る。ジャーン!が爆発せずに何の「ハード・デイズ・ナイト」かと言いたい。それはイントロだけでなくそれに続く歌と演奏全般にも言えることで、何百回何千回聴いても胸に熱いモノがこみ上げてくるジョンのヴォーカルを45回転シングルならではの圧倒的ダイナミックレンジのサウンドで聴ける喜びは筆舌に尽くし難い。尚、このシングル盤はAB面共に手持ちのオリジナルLPに入っているので最初は買う予定は無かったのだが、£0.99という安さに釣られて買って大正解だった。
 1st プレスは ①“Sold In UK”リマーク有り、②リム左側のクレジットが Parlophone(小文字)、③リム下側 Gt.Britain の tが小文字、④マトリクス枝番は -1N / -1N 。入札状況は無競争で、落札価格は£0.99(約180円)だった。
A Hard Day's Night


⑧ I Feel Fine / She's A Woman (R 5200, Mono, 1964.11.27発売)
 私のように赤盤をそれこそ擦り切れるほど聴いて育った世代にとって、「アイ・フィール・ファイン」という曲は、イントロ前にスタジオ内のボソボソという話し声が入ったステレオ・ミックスが脳内にしっかりと刷り込まれてしまっているので、いきなり例のボン! ビヨ~ン... というギターのフィードバック音から始まるこのUKモノ・ミックスはかなり新鮮だ。ギターの音も実に硬質で、国内盤や「パスト・マスターズ」のヤワな音に慣れている私の耳にはかなり衝撃的だった。
 衝撃的と言えばB面に入っている「シーズ・ア・ウーマン」には度肝を抜かれた。とにかくこの耳に突き刺さるようなイントロのギター音の凄さには言葉を失う。ポールのベースの弾み具合もハンパない。そういえば昔、エコーがたっぷりかかったUSステレオ・ミックスを聴いた時は気持ち悪くて頭がクラクラしたが、あれとは正反対のアグレッシヴなサウンド全開で迫るUKモノ・ミックスこそが私が愛してやまないロックンロールの理想的な、真にあらまほしき音作りなのだ。ビートルズ・ファン、否、すべてのロック・ファンはとにかく聴くべし(^o^)丿
 1st プレスは ①“Sold In UK”リマーク有り、②リム左側のクレジットが PARLOPHONE(大文字)、③リム下側 GT.Britain の Tが大文字、④マトリクス枝番は -1N / -1N 。入札状況は 2 bidsで、落札価格は£2.20(約400円)だった。
I Feel Fine

She's A Woman


⑨ Ticket To Ride / Yes It Is (R 5265, Mono, 1965.4.9発売)
 「涙の乗車券」などという軟弱な邦題に騙されてはいけない。この「ティケット・トゥ・ライド」はポールが弾く切れ味鋭いリードギターとリンゴの叩き出す変則リズム・パターンのヘヴィーなドラムがめちゃくちゃカッコ良いロック曲なのだが、UKシングルのモノ・ミックスではその力強さが3割増しに聞こえるぐらいパワフルなサウンドが音溝に刻まれている。この圧倒的な重量感、たまらんなぁ... (≧▽≦)
 B面の「イエス・イット・イズ」は国内盤シングルや「パスト・マスターズ」、CDなどで聴いてきた平板な音とは激しく一線を画する分厚い音で入っており、超スロー・バラッドでも音圧によって聴き手が受ける印象は随分違うなぁと実感。声色や微妙なニュアンスを巧く使い分けるジョンの変幻自在ヴォーカルに耳が吸い付くヴァージョンだ。
 1st プレスは ①“Sold In UK”リマーク有り、②リム左側のクレジットが PARLOPHONE(大文字)、③リム下側 Gt.Britain の tが小文字、④レーベル上部のPARLOPHONEロゴが横幅3.5cmの大型タイプ、⑤マトリクス枝番は -3 / -2 。因みに私が買ったのは③がT大文字で④が横幅3cm小型の 2nd プレス(←こっちが先と書いてあるガイド本もあるので断定はできないが、音さえ良ければハッキリ言ってどっちでもいい...)。入札状況は 3 bidsで、落札価格は£3.25(約590円)だった。
Ticket To Ride


⑩ Help! / I'm Down (R 5305, Mono, 1965.7.23発売)
 伴奏無しでいきなりヴォーカルから入って聴き手の度肝を抜き、一気にビートルズ・ワールドへと引き込むチカラワザは彼らの十八番だが、そんな中でもこの「ヘルプ!」は三指に入るキラー・チューン。アコギの使い方が最高にカッコイイ...(^.^)  アンプのヴォリュームをグイッと上げるとモノ・ミックスならではのギュッと凝縮された音の塊がスピーカーから飛び出してきて気持ち良いことこの上ない。
 黄パロLPに入っているのも同じモノ・ミックスなのだが、音圧は圧倒的にこちらの45回転シングル盤の方が上なので、2枚続けて聴くとLPヴァージョンの方がかなりおとなしく聞こえてしまう。B面の「アイム・ダウン」も「パスト・マスターズ」収録の同曲ヴァージョンなんか木っ端微塵に吹っ飛ぶ凄まじさで、オリジナルLPを持っているからと安心してこれまでシングル盤に目を向けてこなかった自分が情けないが、遅ればせながら彼らのシングル盤の素晴らしさに目覚めて本当に良かったと思う。
 1st プレスは ①“Sold In UK”リマーク有り、②リム左側のクレジットが PARLOPHONE(大文字)、③リム下側 GT.Britain の Tが大文字、④マトリクス枝番は -2 / -2 。購入価格は BUY IT NOW(即決)で£2.99(約530円)だった。
Help!
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ビートルズUKシングル盤特集③ 1963-1964

2014-12-12 | The Beatles
③ From Me To You / Thank You Girl (R 5015, Mono, 1963.4.11発売)
 パーロフォン・レーベルのシングル盤は1963年3月から普通の黒色レーベルになるのだが、ビートルズではこの「フロム・ミー・トゥ・ユー」が黒パロ第1号ということになる。わずか3ヶ月前に出た「プリーズ・プリーズ・ミー」赤レーベル盤がプライス・ガイドで£90なのに対し、こちらの黒レーベル盤はその1/9の£10... eBayオークションでも赤パロ盤とは違い超簡単に入手できた。
 この曲はオリジナルLPには入っていなかったため、手持ちのアナログ盤でモノ・ミックスが聴けるのはこのシングル盤と1988年に出た「パスト・マスターズ」ぐらいしかないのだが、実際に聴き比べてみるとその差は一聴瞭然で、シングル盤の方が音圧3割増しぐらいのパワフルで芯のあるサウンドなのに対し、「パスト・マスターズ」の方はまるで脱脂綿で拭いたかのようなキレイキレイな音で、初期ビートルズの最大の魅力である熱気が感じられない。曲調がミディアム・テンポなせいか「プリーズ・プリーズ・ミー」のような鳥肌モノの衝撃性はないが、この曲を聴くならシングル盤こそがベストだと断言したい。
 1st プレスは ①“Sold In UK” リマーク無し、②リム(レーベル内周)左側のクレジットが Parlophone(小文字)、③リム下側 Gt.Britain の tが小文字、④マトリクス枝番が -1N / -1N。入札状況は無競争で、落札価格は£4.50(約810円)だった。
From Me To You


④ She Loves You / I'll Get You (R 5055, Mono, 1963.8.23発売)
 今回の “ビートルズのUKシングル盤を全部いったれ” プロジェクトの中でも購入満足度トップ3に入るぐらい気に入っているのがこの「シー・ラヴズ・ユー」だ。ドドッドドン!というリンゴのドラムロールと同時にまるで鎖を解き放たれた猟犬のように疾走を開始、いきなりサビの“She loves you, yeah, yeah, yeah♪” 連呼で一気に沸点に達する怒涛の展開に圧倒される。4人が一体となって生み出す破天荒なエネルギーの奔流、巨大な音の塊が押し寄せてくるその様はまるで北斗剛掌波のような凄まじさである。こればっかりは実際に自分の耳で聴いてもらうしかないが、アナログ再生環境のあるビートルズ・ファンならこれを聴かずに死ぬのは一生の不覚と言えるのではないだろうか?
 1st プレスは ①“Sold In UK” リマーク無し、②リム左側のクレジットが Parlophone(小文字)、③リム下側 Gt.Britain の tが小文字、④マトリクス枝番が -1N / -1N 。購入価格は BUY IT NOW(即決)で£3.95(約710円)だった。
She Loves You


⑤ I Want To Hold Your Hand / This Boy (R 5084, Mono, 1963.11.29発売)
 初期ビートルズのシングル盤の中で、音の押し出し感では「プリーズ・プリーズ・ミー」が、爆発力では「シー・ラヴズ・ユー」が圧倒的だが、えもいわれぬ高揚感を生み出すという点ではこの「アイ・ウォナ・ホールド・ユア・ハンド」に勝るものは無い。このシングル盤で聴けるジョンのヴォーカルの吸引力はハンパないし、力強く響き渡るハンド・クラッピングはモノラル・ミックスならではで、ビートルマニアの快楽中枢をビンビン刺激する。そしてトドメは “ハァァァァァァ~ン♪” と伸ばすエンディング。ジャーン!というギターの響きと共に宙に消えていくこの余韻がたまらなく好きだ。
 このレコードのもう一つの宝はB面に三連ロッカ・バラッドの大傑作「ディス・ボーイ」が入っていること。「こいつ」などというふざけた邦題のために過小評価されている不憫な曲だが、私はビートルズを聴き始めた初心者の頃からずーっとこの曲が大好き(^o^)丿 ジョン、ポール、ジョージ3人のコーラス・ワークの素晴らしさは国内盤やCDでも十分に味わえるが、イントロのギターの響きの艶めかしさにゾクゾクさせられたのはこのUKシングルが初めてだ。ポールのベース・ラインのカッコ良さも際立っている。
 1st プレスは ①“Sold In UK” リマーク無し、②リム左側のクレジットが PARLOPHONE(大文字)、③リム下側 GT.Britain の Tが大文字、④マトリクス枝番は -1N / -1N 。入札状況は無競争で、落札価格は£2.99(約530円)だった。
I Want To Hold Your Hand

This Boy


⑥ Can't Buy Me Love / You Can't Do That (R 5114, Mono, 1964.3.20発売)
 これまでこの曲はジョージのリード・ギター(グレッチ?)やリズム・ギター(リッケン12弦?)といったエレクトリックな音に耳がいきがちだったのだが、このUKシングルを聴いてイントロからジャカジャカとかき鳴らされるジョンのアコギのカッコ良さに開眼した。そういえば昔、初めてストーンズの「ブラウン・シュガー」を聴いた時にアコギの使い方が巧いなぁ...と感心したものだが、ビートルズはデビュー当時から既にアコギを絶妙な隠し味として使っていたというワケだ。念のため「ア・ハード・デイズ・ナイト」オリジナル・イエロー・パーロフォンLP収録の同曲と聴き比べてみたが、同じモノ・ミックスでありながらこちらのシングル盤の方がアコギの響きがリアルに感じられる。やはり45回転盤の方がダイナミック・レンジ的に有利なのだろう。リンゴのドラムスの一打一打もこれまで聴いてきたどの盤よりもパワフルで、バンド・サウンドをグイグイとドライヴさせていく(^o^)丿
 1st プレスは ①“Sold In UK” リマーク有り、②リム左側のクレジットが PARLOPHONE(大文字)、③リム下側 GT.Britain の Tが大文字、④マトリクス枝番は -1N / -1N 。入札状況は 2 bidsで、落札価格は£4.20(約760円)だった。
Can't Buy Me Love
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ビートルズUKシングル盤特集②「Please Please Me」

2014-12-05 | The Beatles
 前回の「ラヴ・ミー・ドゥ」に引き続き、今日はもう1枚の赤パロ盤「プリーズ・プリーズ・ミー」だ。「ラヴ・ミー・ドゥ」も入手するのにかなり苦労したが、この「プリーズ・プリーズ・ミー」はそれをも上回る超人気盤で、プライス・ガイドでも全ビートルズUKシングル中で最高価格の£90。状態の良いものになれば£250~£300という恐ろしい値段で落札されていくのだが、これを日本円に換算すると5~6万円... まさに狂気の世界である。不条理な円安ドル高が進む中、リッチな海外のコレクター連中とまともに正面からぶつかって勝てるはずがない。
 そこで貧乏コレクターの私は一計を案じた。パーロフォンの赤レーベルが使用されていたのは1963年の2月までで3月からはノーマルな黒レーベルに切り替わるのだが、マニアやコレクターの人気は赤パロに一極集中しており、初回盤から2ヶ月後にプレスされた黒パロのアーリー・プレス盤はほとんど無風状態だ。マトリクス枝番も同じだし、音もそれほど変わらないに違いない。ということで私は一旦赤パロ戦線から撤退し、2nd プレスの黒パロ盤に狙いを変更、ライバル2人(←2nd プレスはやっぱり人気ないなぁ...)を蹴散らし、プライス・ガイドで£18のところを£5.16でゲットした。
 届いたブツは“Record in excellent condition... a nice copy!” という説明通りのピカピカ盤で、予想通りの轟音がスピーカーから飛び出してくる。私が買ったUKシングル盤の中で断トツのコスト・パフォーマンスだ(^o^)丿 盤質イマイチな赤パロ盤に何千円何万円とつぎ込むぐらいなら盤質の良い黒パロ盤を安く買う方が絶対に正解だろう。すっかり有頂天になった私は何度も何度もこの黒パロ盤を聴きまくった。といっても両面で4分ほどしかないのですぐに終わってしまうのだけれど...
 で、普通の人ならこれでメデタシメデタシとなるところなのだが、ビートルズのことになると理性が吹っ飛んでしまうおバカさんコレクターの私は違った。2ndプレスの黒パロでこんな凄い音してるんやから、1stプレスの赤パロはもっともっと凄い驚天動地の爆音が聴けるのではないか(←アホやね...)と考え、赤パロ・ウォッチを再開したのだ。
 その3日後、1枚の赤パロ「プリーズ・プリーズ・ミー」が出品された。盤質は Excellent で Has some light surface marks. とあり、ありがたいことに Listen to sound clip preview here! という所をクリックするとフル・コーラス試聴まで出来るという至れり尽くせりのサービスぶり。ヘッドフォンで聴いてみると実にごっつい音がするし、やはり何千円も出すのだからミズテン買いよりもこっちの方が遥かに安心だ。
 しかしいつもならピラニアやハイエナのように群がってくるライバル達の動きが鈍い。こんなエエ音してるのに何で??? と不思議に思ってアイテムの写真をよくよく見ると、赤パロのレーベル両面に “COLIN” という前オーナーと思しき人物の名前がデカデカと書かれている。はは~ん、こいつのせいか... ラッキー(^.^)  これはひょっとするとひょっとするかも...
 そもそも由緒正しいコレクターというのは盤質だけでなくスリーヴやレーベル面の状態にも拘るコンディション至上主義者なのであり、書き込みのあるアイテムは決して購入には至らない。一切のキズ、書き込み許すまじというのが教義なのであり、座右の銘なのであり、信条であるからして、妥協は許されないのだ。しかし三流コレクターの私にとってこの程度の書き込みは全然OK... というか、この書き込みのせいで安く買えるなら御の字だ(^.^)  さすがにこれがハングル語とか漢字やったらいらんけど、どうせイギリス人の名前なんか英語のアルファベットの組み合わせなのだから別に気にならない。それに、いちいち回転しているレーベル面を見ながら聴く人もいないだろう。
 そしていよいよオークション締切当日、例によってイギリス時間に合わせて朝の4時起きだったが、よほど気持ちが高ぶっていたのだろう、何と夢の中にまで赤パロが出てきたのだ(←これホントの話!)。起きてパソコンを開いてみると寝る前、そして夢の中(笑)と同じ£32のままである。これはひょっとするとひょっとするかも... とドキドキしながらその時を待った。そしてビッド〆切の4秒前に渾身の£51入札... 結果は見事落札で、緑色の字で£42.10と表示された時は思わず “よっしゃあ!!!!!” とガッツポーズをしてしまった。その日は平日だったのでほとんど眠らずに出勤したのだが、睡眠不足にもかかわらず朝から異常なくらいのハイテンションで、同僚から変な目で見られてしまった(笑)
 6日後に届いた(←早っ!)ブツは私の予想通りの凄まじい音圧で、これまで最強と信じて生きてきた金パロ・ヴァージョンすら軽く凌駕する爆裂音がアルテックの巨大スピーカーから飛び出してくる。初期ビートルズ最大の武器であるプリミティヴなエネルギーの奔流に呑み込まれる快感を何と表現しよう? ジョンのハーモニカは鼓膜を突き破らんばかりに轟きわたるし、ポールのベースもボディーブローのようにズンズン腹にくる。 “カモーン♪ カモーン♪” の波状攻撃なんかもう鳥肌モノの凄まじさだ。名曲「プリーズ・プリーズ・ミー」が最初に世に出た時の音ってこんなに凄かったのか... (≧▽≦)  この鮮度の高さ、このド迫力サウンドこそがLP盤では決して味わえない45回転シングル初回盤の最大の魅力なのだ。
 B面の「アスク・ミー・ホワイ」も金パロ・ヴァージョンに比べてエコー感が少なく、ジョンのヴォーカルがより肉感的でリアルに響くところがたまらんたまらん! これは頑張って買って大正解... 7,500円でこんな血湧き肉躍る音が毎日聴けるのなら安いもんである。論より証拠、下にアップしてみたので興味のある方はヘッドフォンで聴いてみてください。
Please Please Me


【レコード・データ】
 ② Please Please Me / Ask Me Why (45-R 4983, Mono, 1963.1.11発売)
  ・1st プレス:赤パーロフォンでレーベル面左に“DICK JAMES MUSIC CO. LTD.”
         マトリクス枝番は -1N / -1N
  ・Price Guide:£90.00
  ・購入価格:£42.10
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