shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Tendres Annees 60 / Marie Laforet

2009-07-02 | European Pops
 私は仕事をしている時以外は家にいようが車に乗っていようが四六時中音楽を聴いており、殆ど音楽漬けと言っていいような生活を送っているが、その一方で映画の知識は非常に乏しい。もちろん映画が嫌いというわけではなく、ただ単に集中力が2時間もたない(笑)だけなのだが、見ていて頭を使うような難しい映画は基本的に苦手である。そんな私だから仲間内で映画の話題になると、タイトルといい俳優の名前といい知らないことだらけで全くついていけない(>_<) 音楽好きの人はほぼ例外なく映画にも詳しいので、いつもつんぼ桟敷に置かれてペニーレーンでバーボン状態になるし、ましてやそれが昔のヨーロッパ映画ときた日にゃあもうハラホロヒレハレ~(笑)になってしまう。
 初めてマリー・ラフォレの名前を耳にしたのは数年前のこと、G3で私がフランス・ギャルやシルヴィ・バルタンに熱を上げていると、901さんやplincoさんが “60年代のフレンチ・ポップスやったらマリー・ラフォレなんか気に入るんとちゃう?アラン・ドロンの「太陽がいっぱい」に出てた女優さんやけど、映画「赤と青のブルース」のタイトル曲とかエエよ。” と薦めて下さったのだ。「赤と青のブルース」?知らんなぁ... 「太陽がいっぱい」?聞いたことあるようなないようなタイトルやなぁ... アラン・ドロン?... 名前はイヤッちゅーほど聞いて知ってるけど実際に映画を見たことないしなぁ... とか思いながらネット検索して試聴してみると、これがもうめちゃくちゃカッコ良い!いわゆるひとつのジャジーなサウンドをバックに歌う粋なフレンチ・ポップスで、いっぺんに気に入ってしまった。早速ヤフオクでこの曲の入っている「Tendres Annees 60」という安価なベスト盤を発見、何とボブ・ディランの「風に吹かれて」やアニマルズの「朝日のあたる家」なんかのカヴァーも入っている。これは大ラッキーだ(^o^)丿 
 フレンチ・ポップスを聴く上で何が鬱陶しいと言ってフランス語ほど鬱陶しいものはない(←フレンチ・ポップスからフランス語を取ったらフレンチ・ポップスちゃうやん!)。音楽ジャンキーにとって曲のタイトルが全く読めないのはかなり不便なことで、とにかく意味も発音も全く分からないのでどの曲がどれだったかが全然覚えられないのだ。だから常日頃はバカにしている邦題が付いていたりすると地獄で仏に会ったような気持ちになるのだが、残念ながらこのCDは輸入盤なのでそれも諦めるしかない。
 届いたCDでまず聴いたのが彼女を知るきっかけとなった①「赤と青のブルース(セントロペ・ブルース)」だ。素人っぽさ全開の囁きヴォーカルが逆に抗しがたい魅力を発散し、全編を通して効果的に使われているヴィブラフォンの涼しげな音色と律儀にリズムを刻むギターのザクザク音が耳に残る名曲名演だ。フォンタナから出たシングル①のB面にあたる②「タンブルウィード」で聴けるフランス・ギャルそっくりの歌声にビックリ(゜o゜) 他の曲ではそんなことないのに、 “タンブルウィード、タンブルウィード~♪” のリフレイン・パートなんかギャルが歌ってると言われても信じてしまいそうなくらいにそっくりだ。それにしても①が2分19秒で②が1分42秒と、シングルAB面併せて4分というのもコスト・パフォーマンス高いなぁ...
 ③「Tu Fais Semblant」はフランソワーズ・アルディ路線の実にシックなフレンチ・ポップスで、ラフォレのイメージにピッタリの曲。女優さんの余技とはとても思えない雰囲気抜群のヴォーカルが素晴らしい!⑤「メリー・アン」ではアニー・フィリップの「片道切符と入場券」を彷彿とさせるたどたどしく儚いヴォーカルがたまらない。
 ⑥「風に吹かれて」ではそれまでとは違った歌い方というか、1語1語をかなりしっかりと歌っており、説得力が格段にアップしている。この人は曲によってかなり歌い方を変えているようで⑦「朝日のあたる家」では「悲しき天使」と「ドナ・ドナ」を足して2で割ったようなロシア民謡ちっくな演奏をバックに哀愁舞い散るヴォーカルを披露する。凄いなぁと感心していると次の⑧「L'amour en fleurs」は再びアニー・フィリップ路線に逆戻り。⑨「Qu'est-ce qui fait pleurer les filles?」では癒し系ヴォーカルで聴く者を優しく包み込み、⑩「Ils s'en vont sur un nuage」ではシャンタル・ゴヤのようなアンニュイな歌声を聴かせてくれる。ビートルズの「夢の人」を想わせるフォーキーな⑭「Viens sur la montagne」ではシェイラの影響が見え隠れ。いやはや何とも器用なシンガーだ。
 このマリー・ラフォレという人は他にもサイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」とか「コンドルは飛んでいく」なんかの名カヴァーもあるので、フレンチ・ポップスの底無し沼にハマりたい方は是非どーぞ!!!

Saint Tropez Blues, par Marie Laforet St et Jacques Higelin


怪しい映像発見!右端のマトリョーシカ人形がウルトラマンに出てきた宇宙人にそっくりやなぁ... などと思って見ていると、さりげなくゲンスブールが出てたりします(笑)
Marie Laforet - Ivan, Boris & Moi