shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Please Please Me」南アフリカ盤

2021-01-31 | The Beatles
 私はこれまで様々な各国盤を聴いてきたが、その中で最も当たり外れが大きかったのが南アフリカ盤である。最初に買った「Hey Jude」とその次に買った「Let It Be」が大ハズレで一度は絶縁を決めたものの、去年B-SELSの「日記」に “初期の南ア・モノラル盤は音が良い” と書いてあったのを読んで、試しに「Rubber Soul」の南ア盤を聴かせていただいたところ、南ローデシア盤に遜色のないくらい良い音で鳴ったのでクルッと手のひらを返し(笑)、“初期~中期までのモノラル音源を南アフリカ / 南ローデシア盤で揃えよう” と心に決めたのだった。
 幸いなことに南ローデシア盤は「A Hard Day's Night」「Help!」「The Big Beat of The Beatles」の3枚を、南アフリカ盤は「Rubber Soul」と「Revolver」の2枚を順調に手に入れることができ、中々出てこなかった南ロー盤「Beatles For Sale」も年明け早々にB-SELSで入手。残すは「Please Please Me」と「With The Beatles」の2枚だけとなっていた。
 そんな折も折、1月16日付のB-SELSの「日記」コラムを見ると “PLEASE PLEASE ME 南アフリカ モノラル!!” というタイトルが目に飛び込んできた。“ついに来たか!” とワクワクしながら中身を読むと “南アフリカ独自の何かを主張しているような、芯のある、個性的な音” “何か幸せを感じさせるような音” “間違いなく良い音” と表現されている。私はSさんの書かれた文章を読んで自分好みの音かどうか大体わかるのだが、この“芯のある”と“幸せを感じさせる”という2つのフレーズから “これは当たりに違いない” と確信し、翌17日にB-SELSに行くことにした。
 お店に入り、“日記にあった南ア盤「Please Please Me」を聴かせて下さい!” と言うと “是非聴いていって下さい。盤質がとても良いんですよ... (^.^)” と仰る。こちらは買う気マンマンで来てるのに “聴いていく” だけですむはずはないよな... と思いつつ(笑)耳に全神経を集中させる。
 ワン、ツー、スリー、フォー! 1曲目「I Saw Her Standing There」のイントロが店内に響きわたる。おぉ、何というナチュラルな音だろう! UKオリジナル盤の鮮烈な音とはまた違った魅力を感じさせる親しみやすい音で、何よりも音の余韻が素晴らしい!!! 空気感とでも言えばいいのか、一つ一つの音の響き・質感がとてもまろやかなのだ。特にA③「Anna」やA⑥「Ask Me Why」のジョンの切々としたヴォーカルにはゾクゾクさせられるし、その一方でA⑤「Boys」なんかは初期ビートルズ特有のエネルギー感がバッチリとスピーカーから迸り出てくるのだからたまらない。
 これらの特性は独自カッティングによるものだろうが、盤質の良さも大いに貢献していることは間違いない。とにかく曲間の無音部分も含めてサーフェス・ノイズが極端に少ないことにビックリ(゜o゜)  ネット・オークションに出てくる南アフリカ盤ってGとかVGとかのガチャ盤がほとんどなのだが、何故かB-SELSの盤はキレイなのが多い。“アフリカに何か特別な仕入れルートでもあるんですか?” と聞いたら大笑いされてしまったが...
 A面を聴き終えた段階で既に心は決まっていたが、折角なのでB面も聴かせていただく。B②「P.S. I Love You」に見た目上少し目立つスリキズがあるが実際に聴いてみると音にはほとんど出ない良性のもので(←ポリープかよ...)まずは一安心。それより何よりB③「Baby It's You」のジョンの歌いっぷりに心が激しく揺さぶられる。う~ん、これは素晴らしい!!! 音圧や迫力の点ではUKオリジナル盤に軍配が上がるが、ジョンの歌心溢れるヴォーカルを堪能したいならこの南アフリカ盤に勝るものは無い。
 B⑦「Twist And Shout」を聴き終え、満足感に浸りながら “これめっちゃエエですね。買います!!!” と言うと“気に入っていただけてよかったです。” とSさんも嬉しそう。家に持ち帰って自分のシステムでかけてみて、改めて中低域の充実ぶりと倍音の見事な再現力に感心させられた。ほぼノイズレスでこれだけの音が聴けるんやからB-SELSに足を向けて寝れませんわ。

「Presenting The Fabulous Ronettes」US ステレオ盤

2021-01-23 | Wall Of Sound
 フィル・スペクターが亡くなった。今日取り上げるこのロネッツ盤は本来なら年明けすぐにアップしようかなと思っていたレコードだったのだが、エディ・コクランやら南ローデシア盤やらにうつつを抜かして(笑)先延ばしにしている間にフィルが急逝してしまい、図らずも追悼特集になってしまった。まぁ人を射殺するほどの狂気の人だから獄中死もしゃあないのかもしれないが、何と言ってもビートルズの「Let It Be」をプロデュースしたレジェンドである。大いなる敬意をもって追悼するのがビートルズ・ファンとしての務めというものだろう。
 各国盤の蒐集に血道を上げていることで既にお分かりだと思うが、私は大好きな盤は色んな音で聴きたいという欲張りな人間である。特に60年代にプレスされたレコードはモノラルとステレオの2種類のミックスが存在する場合が多いので、各国盤も含めると楽しみが何倍にも膨れ上がるのだ。まぁそれくらい惚れ込んだレコードというのはビートルズ以外では数えるほどしか存在しないが、そんな中でステレオ盤をまだ手に入れていない “最後の大物” 的存在(?)としてずーっと気になっていたのがロネッツの「Presenting The Fabulous Ronettes」だった。
 このレコードはまず1964年にフィル・スペクターのフィレス・レコードから薄青レーベルのモノラル盤がリリースされ、すぐに黄色レーベルの盤に切り替わったのだが、ステレオ盤が出たのはそれから1年くらい後だった。しかもそのオリジナル・ステレオ盤(←レーベル面の文字は赤色)もすぐに廃盤になってしまい、その後は版権を持っているキャピトル・レコードがレコード・クラブの通信販売用にプレスしていたらしい。そんなキャピトル・プレスのステレオ盤にも1stプレスと2ndプレスがあるので(←どちらもレーベル面の文字は黒色で、しかもグループ名を RONNETTESと綴りミスをしている...)、ロネッツのUSステレオ盤は最初に出たフィレスの盤を含めると計3種類のレコードが存在することになる。
 私はこのキャピトル製ロネッツ盤を所有している人から “キャピトルのロネッツはあんまり音良ぉないで...(>_<)” という話を聞いたことがあって、“どーせキャピトルのことやから気持ち悪いエコーをドバーッとかけとるんやろ...” と完全スルーを決め込んでいたのだが、ある時 Discogsでフィレスのレコードを色々と調べていて同じロネッツのステレオ盤でもフィレスとキャピトルではマトが全然違うことを知り、フィル・スペクターが関わったオリジナル・ステレオ盤の方を是非とも聴いてみたいと思うようになったのだ。
 しかしネットで調べてみるとキャピトル製の黒文字ロネッツ盤は比較的入手しやすく値段も安いが(←$100~$150)、フィレス製の赤文字ロネッツ盤の方は滅多に出てこないし、ごくごくたまに出てきたとしても$400~$500という高値で取り引きされていてちょっと手が出ない。私は他の垂涎盤と同じようにこの盤を “お気に入り” に入れて来る日も来る日も忍耐強くチェックしていたのだが、待てば海路の日和ありとはよくぞ言ったもので、先月ついに赤文字ロネッツ盤が真っ当な値段でeBayに出品されたのだ。
 スタート価格は$150で思わず “安っ!” と思ったのだが、よくよく見るとジャケットの右下側に小さなカットアウトがある。なるほど、それで安いんか... と納得したが、プレイ・グレードはVG+ ということだし写真で見る限り盤面の光沢も十分あるしで聴く分には特に問題無さそうだ。私はジャケットに多少の難があろうとも音さえ良ければ気にならない人間なので、由緒正しいコレクターが敬遠しそうなこのレコードを千載一遇のチャンスと考えて絶対に取るつもりで$300付けたところ、結局他に誰も来ずにスタート価格の$150で落札できたのだった。終了時刻がちょうど勤務所間とバッティングしていたのでわざわざこのレコードために有休を取ってスナイプしたのだが、その甲斐は十分あったというものだ(^.^)
 2週間ほどで届いたレコードを丁寧にクリーニングしてからターンテーブルに乗せて針を落とす。盤質VG+ 表記だったがほとんどノイズらしいノイズが聞こえないので聴感上はほぼミントと言っていい。スピーカーから出てきた音は確かにステレオらしく音がフワーッと広がるのだが、キャピトルのステレオ盤にありがちなエコーの気持ち悪さは全く無い。私はこれまでモノラル盤しか聴いたことがなかったので、まともなステレオ・サウンドで聴くロネッツは中々新鮮で面白い。まぁモノラルかステレオかのどちらか一方を選べと言われれば迷わず濃厚一発官能二発という感じのモノラルを選んでしまうが(←古き良きオールディーズ・ポップスはやっぱりモノラルが王道でしょ?)、あのフィル・スペクターが時間をかけて作り上げたミックスだけあって、このオリジナル・ステレオ盤も十分傾聴に値する音だと思う。
 それともう一つ特筆すべきはモノラルとステレオでテイク違いの音源が採用されていることで、これは全く予想していなくてビックリ(゜o゜)  一番わかりやすいのはB④「How Does It Feel」のバック・コーラス部分だが、疑似ライヴ仕立てのA⑥「What I'd Say」なんかもモノラルとステレオではかなり雰囲気が違って聞こえるのが実に面白い。他にも色々と細かい点で違いに気付かされて、まるで宝探しをしているような楽しさを味わうことができた。それにしてもこのレコードはホンマにエエ曲ばっかり入っとるなぁ... (≧▽≦)
 フィル・スペクターってロニーを脅して軟禁したりジョンの「Rock 'N' Roll」のテープを持ってトンズラしたりと人間的にはちょっとアレだったが、“ウォール・オブ・サウンド”を考案し、「Let It Be」を始めジョンやジョージのソロ、フィレス・レーベルのロネッツやクリスタルズ、そしてあのラモーンズに至るまで、数々の名盤を世に生み出してきたプロデューサーとしての彼はまぎれもなく不世出の天才だった。R.I.P. フィル・スペクター、たとえ時代が変わろうとも彼が作り上げた素晴らしい音楽は永久に不滅なのだ。
𝐓𝐡𝐞 𝐑𝐨𝐧𝐞𝐭𝐭𝐞𝐬 - 𝐁𝐞 𝐌𝐲 𝐁𝐚𝐛𝐲 - 𝐥𝐢𝐯𝐞 [𝐇𝐐]

「Beatles For Sale」南ローデシア盤

2021-01-16 | The Beatles
 先週の火曜日、新年の挨拶も兼ねて2021年最初の “B-SELS詣で” に行ってきた。私は人混みが大嫌いなので新年早々クソ寒い中わざわざ “初詣で” に行く人の気がしれないが、“B-SELS詣で” なら毎日でも行きたい。とにかくいつもビートルズが大音量の良い音で聴け、しかも店主のSさんとビートルズ話が出来るのだから、ビートルズ・ファンにとってはまさにパラダイスみたいな場所なんである。
 この日の私のお目当ては12月30日の「日記」コラムに書かれていた「Beatles For Sale」の南ローデシア盤。南ローデシアといえば、去年B-SELSで「A Hard Day's Night」を聴かせていただいて、そのスパーン!と竹を割ったような “陽キャ”サウンド(笑)がめっちゃ気に入って即購入し、その後も運に恵まれて「Help!」や「The Big Beat Of The Beatles」と順調にゲットしてきたのだが、「Beatles For Sale」だけがどうしても手に入らず、「For Sale」で八面六臂の活躍を見せるジョージのギターを南ローデシア盤の煌びやかなサウンドで聴いてみたいなぁ... と思っていたのだ。
 そんな南ローデシア盤「For Sale」が年の瀬も押し詰まった30日の「日記」に登場したのだからこれはえらいこっちゃである。Sさん曰く、“盤VG++。わずかなキズはあるが、EXに近い、大変状態の良い盤。キズによるノイズはほとんどなく、音溝の状態も良く、音も素晴らしい。極少数プレスしたため、音の鮮度は非常に高い。なおかつ、この南アフリカ・カッティングは音圧が高く、思い切りの良い、個性的で、煌びやかな音である。” とのこと。私の音の好みを知り尽くしたSさんがまるで私をピンポイントで “狙い撃ち” しているかのような(笑)誘惑的な文章だ。これは是非とも聴かせてもらいに行かねばならない。新年初営業の3日は常連さん達でごった返しそうなので、日をずらして平日5日の夕方を狙って入店するとラッキーなことに他のお客さんはいない。これでじっくりと試聴できそうだ(^.^)
 新年の挨拶を済ませ、早速お目当ての「For Sale」を聴かせていただく。まずはA①「No Reply」... あれ? 想像してたのとちょっと違うぞ... 何か高音が強すぎてサ行が刺さるような感じだし、サーフェス・ノイズもやや大きめだ。とにかく高域寄りのサウンドが耳について、“硬質な煌びやかさ” という南ローデシア盤サウンド一番の美点に耳が行かない。
 しかしB面に行くと、A面で感じた 違和感はほとんど感じられず、B①「Eight Days A Week」からかなりエエ感じの音で鳴っている。これこそまさに私の知る “南ローデシア盤の音” である。この時点で敢えて点数を付けるとすれば、以前こちらで買った「A Hard Day's Night」を100点満点として、A面65点、B面85点というところ。
 う~ん、困った。南ローデシア盤なんてプレス枚数がめちゃくちゃ少ないせいでeBayにも滅多に出てこないので、この機会を逃せば次いつ巡り合えるか分からないし、美盤とは言えないにしてもこれ以上の盤質のレコードを探し出せるという保証はどこにも無い。でもA面がイマイチやったし、どうしようかなぁ... と迷っていると、その様子を見ていたSさんが、“今のはステレオ針で聴いたせいかA面でちょっとノイズを拾ってましたね。いっぺんモノ針で聴いてみましょうか...” と仰った。
 私は常日頃からモノラル盤は必ずモノ針で聴くようにしているので、 “是非お願いします!” とその申し出に飛びついた。ということでもう一度A①「No Reply」から再スタート。おぉ、これはさっきとエライ違いだ。低・中・高域のバランスが取れていて非常に聴きやすいし、サーフェス・ノイズもほとんど気にならないレベルだ。これこそまさに絵に描いたような南ローデシア・サウンドである。私がSさんにサム・アップして “針を変えただけでえらい音が変わりましたね。これはめっちゃエエですわ!” と言うととても嬉しそうな顔をされた。
 結局B面ラストまで聴かせていただいて “これ買います!!!” と即決し、ついに念願の「For Sale」南ローデシア盤が手に入れることができたというワケだ。念のために帰ってから自システムのオルトフォン・モノ・カートリッジで再生してみたところ、申し分ない凛々しい音で鳴ってくれて大満足。それにしても南ローデシア盤ってホンマにエエ音しますな(^.^)

【新春ロカビリー祭り】Eddie Cochran 特集

2021-01-11 | Oldies (50's & 60's)
①Drive In Show (Liberty F-55087)
 “独特のハスキーヴォイスで激しいシャウト”が売りのエディ・コクランだが、ちょっとユルめのこんな曲でも他のアーティストには真似できないような妙なるグルーヴを生み出しているところがレジェンドたる所以。軽妙洒脱な語り口がカッコエエなぁ... (≧▽≦)  バックのウクレレが実にエエ味を出しとります。
1957 Eddie Cochran - Drive In Show


②Jeanie Jeanie Jeanie (Liberty F-55123)
 “野生児が吠えまくる” といった按配のヴォーカル、ノリ一発で押し切るギターと、まさに絵に描いたような50'sロックンロール。これこそまさにエディ・コクランの魅力をギュッと濃縮還元したようなナンバーだ。ジェリー・リー・ルイスばりに連打されるピアノが生み出す高揚感がハンパない。
1958 Eddie Cochran - Jeannie Jeannie Jeannie


③Summertime Blues (Liberty F-55144)
 エディ・コクランの3大名演と言えば前回取り上げた「Twenty Flight Rock」、④の「C'mon Everybody」、そしてこの「Summertime Blues」でキマリだろう。ザ・フーやT.レックス、ジョーン・ジェット、ブライアン・セッツァーといった錚々たる面々がカヴァー(←何とオリヴィア・ニュートン・ジョンまでやっとるwww)しているロックンロール・クラシックス。私は原発をディスったRCサクセションのヴァージョンが好きだ。
1958 HITS ARCHIVE: Summertime Blues - Eddie Cochran

RC Succession: Summertime Blues (english subtitles)


④C'mon Everybody (Liberty F-55166)
 エディ・コクランと言えばまずはこの曲から... というくらいの超有名曲。ギターの絶妙なリズム・カッティングが生み出すこの圧倒的なノリ、最高ではないか! これを聴いて身体が揺れなければロックンロールを諦めるべし。この曲も色んなアーティストがカヴァーしているが、何と言ってもレッド・ゼッペリンの1970年ロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ・ヴァージョンがバリバリにカッコエエです。
1959 HITS ARCHIVE: C’mon Everybody - Eddie Cochran

C'mon Everybody / Led Zeppelin


⑤Somethin' Else (Liberty F-55203)
 曲自体は非常にシンプルながら、バンドが一体となってイントロから怒涛の勢いで突っ走る気持ち良さを一発録りで音溝に刻み込んだところが◎。コクランが歌詞のフレーズで “Look a-there!(ほら、見ろよ!)” と thereやhereの前にaを入れるところなんかも超カッコイイ。この曲もレッド・ゼッペリンがBBCライヴで取り上げたカヴァー・ヴァージョンが断トツに素晴らしい。ゼップってホンマにエディ・コクラン好きなんやね(^.^)
1959 Eddie Cochran - Somethin’ Else

Somethin' Else (Live on Tasty Pop Sundae from BBC Sessions) (2016 Remaster)


⑥Hallelujah, I Love Her So (Liberty F-55217)
 この曲との出会いはビートルズのスター・クラブのライヴ盤(←ただしこれはバック演奏のみで、ビートルズの歌入りはアンソロジーまで待たねばならなかった...)。オリジナルはもちろんレイ・チャールズで、コクランが歌っていると知ったのはそれから何年も経ってからだが、彼のヴォーカリストとしての懐の深さがよく分かる名唱になっている。尚、ペギー・リーがherをhimに変えて女性の視点から歌った「Hallelujah, I Love Him So」もキュートでオススメだ。
Eddie Cochran - Hallelujah I Love Her So ( 1960 )

The Beatles Live At The Star Club 19/29 - Hallelujah I Love Her So

1959 Peggy Lee - Hallelujah, I Love Him So

「Twenty Flight Rock」/ Eddie Cochran

2021-01-04 | Oldies (50's & 60's)
 ビートルズ狂の私は本家ビートルズだけでなく彼らが影響を受けた50年代のロックンロールのレコードも集めている。エルヴィスを始めとして、チャック・ベリー、リトル・リチャード、カール・パーキンス、ラリー・ウイリアムズ、ジーン・ヴィンセント、バディ・ホリーなど、若き日のジョンやポールが聴きまくったレコードをオリジナル盤の爆音で聴いて大コーフンしているのだが、そんな中で決して忘れてはならないのがエディ・コクランである。
 そもそもエディ・コクランの曲をビートルズは公式にはカヴァーしていないが、ジョンとポールが初めてリヴァプールの教会で会った時にポールがコクランの「Twenty Flight Rock」を演奏し、そのプレイにジョンが感心してポールをクオリーメンに誘ったというのは有名な話で、そういう意味でもこの「Twenty Flight Rock」はビートルズ・ファンにとって非常に重要な曲なのだ。
Twenty flight rock - Paul McCartney


 エディ・コクランのレコードはLPを2枚、シングル盤を7枚持っていて、そのどれもが数ドルから高くても20ドルぐらいで手に入れたものだが、何故か「Twenty Flight Rock」だけがシングル盤にもかかわらず目の飛び出るような高値で取り引きされていた。特にエグいのがリバティ・レコードのUSオリジナル盤シングルで(←ターコイズ・レーベル)eBayでは $150~$320 という凄い値段で落札されていく。貧乏コレクターの私はただただ指をくわえて見ているしかなかったので、US盤がダメならUK盤があるわい... ワシもジョンやポールが聴いてたのと同じUK盤を手に入れたるぞ... と意気込んで今度はロンドン・レコードのUK盤シングルを狙ってみたものの、やはり£75(≒$100)オーバーと、US盤ほどではないにせよ他のシングル盤の10倍近い出費を覚悟せねばならない。映画「The Girl Can't Help It」の中で歌ったことによって知名度は上がったものの、英米共にチャート・インすらしなかったことを考えると、このシングルはプレスされた枚数自体が極端に少ないのかもしれない。私は “見とれ... いつかそのうち安ぅ手に入れたるからな...” と思いながら一時撤退することにした。
 それから何年か経って、BSで「ザ・ロニー・ウッド・ショー」にポールがゲスト出演した回の放送を観ていた時のこと、2人が楽しそうに「Twenty Flight Rock」を歌い演奏している姿を見て “せや、これまだ持ってなかったわ!” とこのレコードのことを思い出し、再びコレクター魂に火がついた私が番組を観終わってすぐに eBayをチェックしたところ、ラッキーなことに有象無象の再発盤の中で1枚だけロンドン・レコードのUK盤が出ているのを発見、私はすぐにそれをウォッチ・リストに入れてオークション最終日を待った。
Paul McCartney Live At The Ronnie Wood Show, London, UK (Monday 25th June 2012)


 スタート価格は£49で盤質はVG、何とか1万円以内で手に入れたかった私は一応£65でスナイプしてみたのだが、驚いたことに誰ひとり来ずそのまま£49で落札\(^o^)/  少し不安になった私はもう一度商品説明文を隅から隅まで読んでみたが特に大きな欠陥はなさそうだ。そこで気がついたのだが、このレコードは Shippingの項目に “Ships to United Kingdom”(イギリス国内しか送りません)とあるのをメールで頼み込んで了承を得てビッドしたものだったためライバルはイギリス人のみということになり、ちょうど新型コロナによるロックダウンやら何やらで現地の人達はレコード・オークションどころではなかったのかもしれない。送料はたったの£5ということで、結局7,500円ほどでオールディーズ・シングル蒐集のラスボス的存在(?)だった「Twenty Flight Rock」のオリジナル・シングル盤をついに手に入れることが出来た。
 そして昨日の日曜日、まだ正月の三賀日だというのにレコードがドバーッと届いた。年賀状の配達で忙しい中、海外から届くレコードを後回しにせずに律儀に届けてくれた郵便屋さんにはホンマに感謝感謝なのだが、その中の1枚にこの「Twenty Flight Rock」があって大喜びしたというワケだヽ(^o^)丿 それにしても正月にレコードが届くなんて、こいつは新年早々縁起が良い。
 盤質はセラーの説明通り見た目はVGだったが溝の状態がすこぶる良いのかほぼノイズレス。聴感上はバリバリの NM+である。あの値段でこんな凄い音が聴けるなんて、何だかめちゃくちゃ得した気分だ。それにしても何というこのウキウキワクワク感... ロックンロールって何でこんなに気持ちを高揚させるのだろう? 人間の快楽中枢をビンビン刺激するこの8ビートのリズム... 最高ではないか! そう、これこそまさに私を虜にしたビートルズのルーツ・ミュージックなのだ。ということで今日は一日中50年代の古~いロックンロールのシングル盤を取っ替え引っ替えしながらシェケナベイベーしていた。いやぁ、今年はホンマにエエ正月やわ(^.^)
Eddie Cochran - Twenty Flight Rock (1956)



【おまけ①】
ロカビリーと言えばこの人、ブライアン・セッツァー。ジェフ・ベックもノリノリでめっちゃ楽しそうwww
Jeff Beck & Brian Setzer-20 Flight Rock


【おまけ②】
“女コクラン”の異名を取るサヤカ・アレッサンドラも当然この曲をカヴァー。ノリの良さもハンパないし、この人の声ってロカビリーにピッタリやね。
Twenty Flight Rock (Eddie Cochran Tribute by Sayaka Alessandra)


【おまけ③】
やっぱり今年はコレでしょう! 早よ映画が見たいなぁ... (≧▽≦)
Twenty Flight Rock (Jan 23rd, 1969)

ウルグアイ盤特集⑦「Tug Of War」

2021-01-01 | Paul McCartney
 あけましておめでとうございます。去年から新型コロナのせいでめっちゃ不便な生活が続いてますが(←マスクすんのホンマに鬱陶しい!!!)こればっかりはどうしようもないのでパンデミックが収束するまでじーっと耐えるしかありません。ライヴは無くなるわ、レコードは中々送ってけぇへんわで音楽生活も今まで通りというワケにはいきませんが、このブログはそんな中でも何とか細々と続けていけたらと思うとりますので、今年もどうぞよろしくお願い致します。

 去年の秋にB-SELSで聴かせていただいてその音の良さに瞠目し、それ以来狂ったようにやってきたウルグアイ盤の蒐集も12月の末に最後の大荷物が届き一段落、コロナでどこかの空港に足止めを食らっていたと思しきレコードたちが一気に8枚も届いてとても幸せな年の瀬を過ごすことが出来た。みんなそれぞれ良い音で鳴ってくれて大喜びしたのだが、中でも1枚とびきりの高音質で驚かせてくれたのがポールの「Tug Of War」だった。ウルグアイ盤のポールのソロはどれもこれも皆音が良くてハズレ無しだが、この「Tug Of War」は例の「Band On The Run」と並ぶスーパーウルトラ高音質。こいつは是非ともSさんにも聴いてもらおうと思い、早速B-SELSに持ち込んだ。

 私:ポールの「Tug Of War」、やっと来ましたで。めっちゃ音良かったんで持ってきましてん。
 Sさん:ほぉ~、それは楽しみです。
 私:これですねんけど。
 Sさん:盤質上々ですね。手書きのマトもエエ感じやし...(と言いながらレコードに針を落とす)
 私:どうですか?
 Sさん:うわぁ、コーラスめっちゃキレイですね。
 私:エエでしょ? 昔、オーディオ装置を買い替えてグレードアップした時に感動した、あの感覚ですわ。
 Sさん:いやぁ~いいわ、これ! ポールの歌声もギターの音色もストリングスの響きもみんな何とも言えない温かい音ですね。
 私:盤質の良さも効いてますね。
 Sさん:NMですやん。
 私:そうなんですよ。とてもウルグアイ盤とは思えないピッカピカの盤で、初めて見た時はビックリしました(笑)
《ここでB①「Ballroom Dancing」のエンディングのあまりにも見事な響きに2人同時に “ホォ~” と感嘆の声を上げる》
 Sさん:何ともエエ音鳴りますね。いやぁ素晴らしい...
 私:最高ですね!(と2人して最後まで聴き入る...)
 Sさん:もう1回A②「Take It Away」聴いていいですか?
 私:どーぞどーぞ。
 Sさん:期待を裏切りませんね。ウルグアイ盤の「Tug Of War」ってどんな音するんかと思ってましたけど、ホンマにコーラスがキレイです。
 私:ドラムも何とも言えない気持ちの良い音で鳴りますね。
 Sさん:血がキレイになるというか、身体に良い音という感じです。
 私:上手いこと言わはりますね。
 Sさん:いやぁ、この音は予想を超えてましたね。1音たりとも聴き逃したくない、そんなレコードですよ。
 私:喜んでいただけて何よりです。何と言ってもウルグアイ盤の素晴らしさを教えていただいた恩人ですから...(笑)
 Sさん:まぁ針飛び盤とか色々ありましたけど、そこでくじけやはらへんかったからこそ、この「Tug Of War」に辿り着けたんですよ。
 私:まぁ言うてみれば「Tug Of War」のニンバス盤みたいなもんですかね。
 Sさん:「Tug Of War」が「Sgt. Pepper's」のような芸術作品として聴けるというか、1曲1曲よりもアルバムを通して聴いて感動するという、そんな感じですね。
 私:ニンバス盤と同じで、良い音で聴くと内容の素晴らしさが更に際立つという良い例やと思います。
 Sさん:これを切ったウルグアイのエンジニアも凄いですよ。大胆な切り方してますよね。繊細と言うより大胆... で、その大胆さが見事ツボにハマったということでしょう。
 私:1年の最後の最後で凄いのが聴けました(^.^)  それにしてもビートルズ関連のレコードの中で最もしょーもないレーベル・デザインのこれが一番音が良かったというのも何か面白いですね。