shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

News Of The World / Queen

2011-02-25 | Queen
 plinco さんの何気ない一言からすっかりクイーン熱に火が付いた私は今週に入って手持ちのアルバムをガンガン聴きまくっているのだが、ビートルズやゼッペリンと同様、十代の頃から聴き続けているクイーンの音楽はもう自分の身体の一部になっているような感じで、何百回何千回聴いても飽きがこない。
 私がリアルタイムの新譜としてクイーンを聴き始めたのは76年の5thアルバム「華麗なるレース」からだった。前作「オペラ座の夜」で唯一無比の “オペラロック路線” を極めた感のある彼らが一体どんなサウンドを作り上げるのか興味津々だったし、リード・シングルとして出た「サムバディ・トゥ・ラヴ」も「ボヘミアン・ラプソディ」の流れを継承する名曲名演で、私の期待はいやが上にも膨らんでいった。
 アルバムの発売日に速攻で買ってきた「華麗なるレース」は、ブライアンのギターが唸りを上げる血湧き肉躍るようなロックンロール「タイ・ユア・マザー・ダウン」で大コーフンし、日本のファンへの感謝の気持ちのこもった日本語詞と神々しささえ感じさせる名旋律がたまらない「手をとりあって」に涙ちょちょぎれたものの、シングル「サムバディ・トゥ・ラヴ」を含めたこれら3曲以外のトラックはまるで「オペラ座の夜」の残りテイクというか、焼き直しのように聞こえ、ブライアンのギターが爆裂する “ブリティッシュ・ハードロック” 路線が好きだった私にはいまいち物足りない内容だったし、何よりもタイトル、ジャケット、サウンドと、その全てが前作の続編的なこのアルバムを聴いて “バンドとして煮詰まってるんかなぁ...(>_<)” などと余計な心配をしたものだった。
 しかし翌77年、そんな私の杞憂を吹き飛ばすようなニュー・アルバムが彼らから届いた。それがこの「世界に捧ぐ」で、「オペラ座の夜」で行き着くところまで行ってしまった彼らが次に進むべき道を模索しながらも新たな一歩を踏み出したことがヒシヒシと伝わってくる意欲的な内容だ。「オペラ座の夜」の呪縛か、はたまた過渡期特有の違和感からか、ファンやクリティックの反応からは少なからず戸惑いのようなものが感じられたが、それまでの “ゴージャスな音の大洪水” から “よりシンプルでタイトなバンド・サウンド” へと舵を切り、アメリカン・マーケットを意識し始めたようなこのアルバムを私は来る日も来る日も聴きまくった。多分クイーンの全アルバム中2番目によく聴いた盤だと思う。
 ①「ウィー・ウィル・ロック・ユー」はペプシのCMやアンディ・フグの入場曲としても使われ、何とジャズ・ヴォーカリストのケイコ・リーまでもがカヴァーした超有名曲で、あの重厚なハンド・クラッピングとフット・ストンピングが生み出すグルーヴが圧巻だ。初めて聴いた時そのあまりの迫力にブッ飛んだのを覚えている。前にも書いたが、後半部分でブライアンのギター切り込んでくる瞬間は何度聴いてもゾクゾクさせられる。まさにクイーンの、いや、ロックの代表曲の一つに挙げてもいいぐらいのキラー・チューンだ。
 このアルバムは①ともう何の説明も不要なくらい有名な②「伝説のチャンピオン」の2曲が突出して目立っている感があるが、私がこのアルバムで①と並んで気に入っているのが⑩「イッツ・レイト」だ。この曲は寄せては返す大波のようなグルーヴ感に圧倒されるドラマチックな大作で、ブライアンはギンギンに弾きまくるわ、ロジャーのドラムは縦横無尽に暴れ回るわで、目も眩まんばかりのロック桃源郷が展開され、トドメとばかりに十八番の重厚なコーラスでクイーン印の刻印を押す... もうお見事!と平伏すしかない見事な構成で、6分25秒という長さを全く感じさせない名曲名演だ。こんなにカッコ良いロック・ナンバーなのにファンの間であまり話題に上らないのが昔から解せなかったが、やはりクイーン・ファンはオペラ・ロックの方が好きなんかなぁ...(>_<) とにかく私のようにヘヴィー・ロックなクイーンが好きな人はこの1曲のためだけにでもこのアルバムを買う価値があると思う。
 アルバムのラストを飾るジャジーなナンバー⑪「マイ・メランコリー・ブルース」も素晴らしい。雰囲気としてはポールの「バック・トゥ・ジ・エッグ」のラスト・ナンバー「ベイビーズ・リクエスト」に相通ずるモノがあり、ナイト・キャップにピッタリのオシャレな1曲だ。哀愁舞い散るメロディーを淡々と歌い上げるフレディーといい、スティックをブラッシュに持ち替えて渋くキメるロジャーといい、彼らの意外な一面が楽しめる1曲だ。尚、空耳アワーで取り上げられたこの曲のアタマの部分 “Another party's over, and I'm left cold sober...♪” は今ではもう “花のパリそばぁ~ なめこソバァ~♪” としか聞こえない(笑) タモリ倶楽部恐るべしである。
 他の楽曲群もヴァラエティに富んでおり、ゼッペリンの「ロックンロール」を彷彿とさせる疾走系ロックナンバー③「シアー・ハート・アタック」、 “シンプル・イズ・ベスト” を地で行く荘厳なバラッド④「オール・デッド、オール・デッド」、クイーンらしさ横溢の隠れ名曲⑤「スプレッド・ユア・ウイングス」、ブライアンの脱力ヴォーカルがエエ味出してる粋なブルース⑧「スリーピング・オン・ザ・サイドウォーク」、そして軽快なマラカスが南欧リゾートっぽい雰囲気を醸し出す⑨「フー・ニーズ・ユー」と、その “何でもアリ感” はクイーン版「ホワイト・アルバム」と言いたくなるような面白さだ。
 ただ、唯一疑問に思うのが曲順で、②の「伝チャン」なんかどう考えてもアルバムのラストに置くべき曲だと思うし、B面の⑧→⑨→⑩→⑪という並べ方も何かしっくりこない。この時期のライヴは①の疾走系ヴァージョンで幕を開け、エンディングを①のノーマル・ヴァージョン→②でビシッとキメるというサージェント・ペパーズな構成だったが、私的にもアレが一番しっくりくるように思う。以前「ダブル・ファンタジー」を解体して並べ替えたことがあったが、このアルバムも A面:①の疾走ヴァージョン(Live Killers のを代用)→⑤→⑥→⑧→⑩→⑪、B面:③→⑦→⑨→④→①→②に並べ替えてみると印象がガラリと変わった。このプロデューサーごっこ、いざやってみると結構楽しい。好きなバンドをプロデュースするというのは音楽ファン冥利に尽きますな...(^o^)丿

"It's Late" by Queen #Unofficial Video#


Freddie Mercury & Queen Tribute - My Melancholy Blues


Queen - sleeping on the sidewalk - Brian May tribute


Queen - Spread Your Wings


【おまけ】空耳好きな貴方に...
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Live Killers / Queen

2011-02-22 | Queen
 先週の土曜日、G3 で顔を合わせた plinco さんが開口一番 “カップヌードルの CM 見やはった?フレディー・マーキュリーが出てるやつ...” とおっしゃった。 “何回か見たことありますわ。その前は確かボン・ジョヴィでしたよね。何年か前にもデジタル合成でプレスリーやジョン・レノン、ゴルバチョフと永瀬正敏を共演させとったし、日清もなかなかやりよるなぁ...(^.^) それにしてもフレディーはもう亡くなってるのに、あの歌は一体どーやって作ったんでしょうね?” とその CM の話題で大いに盛り上がった。
 早速ネットで調べてみると “わし買うもん... 他のじゃやだもん... 好きだもん♪” という、まるで小山ルミの「グット、がまんして!!」みたいな歌詞が笑えるあの替え歌はフレディーのそっくりさんが歌っていて、歌詞を替えた部分は CG を駆使して口の動きを歌詞に合わせて変えてあるとのこと。なるほどね。 YouTube のコメント欄を見ると賛否両論が渦巻いていて、 “バカにするな!” とか “故人への冒涜だ” とかいうネガティヴな意見があるのには正直ビックリ。私はクイーンの大ファンだが、この CM は何度見てもニヤリとさせられる。このユーモアのセンスがワカランのかなぁ... 遊び心に溢れたオバカな企画をこれほどまでに完成度の高い作品に仕上げた CM制作スタッフは凄いと思うし、大の日本びいきのフレディーのこと、きっと今頃天国で腹を抱えて大笑いしているだろう。
 私とクイーンとの付き合いは長い。洋楽を聴き始めてすぐにあの「ボヘミアン・ラプソディ」をラジオで聞いたのがクイーン初体験で、その後立て続けに「マイ・ベスト・フレンド」や「サムバディ・トゥ・ラヴ」といったシングル盤を買っていったのだが、A面だけでなくB面にもめちゃくちゃ良い曲が入っていたのに感激し、慌ててアルバム「オペラ座の夜」を買いに走ったのを覚えている。それ以外のアルバムも順次買い揃えていったのだが、私がクイーンというバンドの真の底力を見せつけられたのは、当時 NHK で放送された「カンボジア難民救済コンサート」のライヴ映像だった。
 ポール&ウイングス、ロバート・プラント、ザ・フー、プリテンダース、クラッシュという錚々たる顔ぶれが登場する中で、ライヴ・バンドとして強烈なインパクトを残したのが他ならぬクイーンだった。それまでクイーンといえば凝りに凝ったアレンジや一糸乱れぬコーラス・ワークなど、その緻密に作りこまれたサウンドがウリのスタジオ・バンドだと思っていたが、「ナウ・アイム・ヒア」の火の出るようなロックンロールに圧倒されたのだ。
 それから数週間後に今度は「クイーン・スペシャル」と題してこの時のハマースミス・オデオン・コンサートの模様をフィーチャーした特別番組がヤング・ミュージック・ショーで放送された。ちょうど大学合格のお祝いに VHSデッキを買ってもらったばかりの私はしっかりと録画、テープが擦り切れるぐらい何度も何度も繰り返し見て、 “クイーンの神髄はライヴにあり!” と確信した。そしてそんな彼らのライヴの熱気を再現してくれたのがこの「ライヴ・キラーズ」である。
 このアルバムは彼らがアルバム「ジャズ」を引っ提げて1979年の1月から3月にかけて行ったヨーロッパ・ツアーの中からベストのテイクを選りすぐったもので、音質的にイマイチながら、スタジオ・アルバムとは又違ったラフな演奏が彼らのロック・バンドとしてのアイデンティティーを強烈に主張している。しかも70年代クイーンの代表的なナンバーが22曲聴けるというベスト盤的な側面も持ち合わせているのだから言うことナシだ。
 このアルバムはブライアンのギターが大きく前面に出ており、初期のブリティッシュ・ハードロック路線が大好きな私は嬉しくてたまらない(^o^)丿 ディスク1では疾走ヴァージョンの①「ウィー・ウィル・ロック・ユー」、スタジオ・ヴァージョンよりもテンポを上げてめちゃくちゃカッコ良いロックンロール・ナンバーに変身(特にイントロのソリッドなギター・リフとそれに続くドラムの大爆発が圧巻!)した⑨「ナウ・アイム・ヒア」(因みにこの曲の邦題「誘惑のロックンロール」はいつも⑬の邦題「炎のロックンロール」とごっちゃになるので紛らわしくて困る...)、私がクイーンにハマるきっかけとなった隠れ名曲⑫「'39」、ミスチルの「エヴリバディ・ゴーズ~秩序のない現代にドロップキック~」の元ネタになったストレートアヘッドなオラオラ系ロックンロール⑬「キープ・ユアセルフ・アライヴ」が特に好き。
 ディスク2ではライヴ演奏で加速感に更に拍車がかかった感がある①「ドント・ストップ・ミー・ナウ」、ブライアンのギターが縦横無尽に暴れ回る③「ブライトン・ロック」、バンドが一体となって燃え上がる⑤「タイ・ユア・マザー・ダウン」、ロジャーが書いたスピード感一発のロックンロール⑥「シアー・ハート・アタック」、後半でブライアンのギターが切り込んでるる所が鳥肌モノの⑦「ウィー・ウィル・ロック・ユー」あたりがお気に入り。やっぱりクイーンはロック・オペラよりもゴリゴリのロックンロールがエエわ(^o^)丿
 今年でバンド結成40周年を迎えるクイーンは EMI からユニバーサルへの移籍に伴って全アルバムがリマスターされ、第1弾として3月16日に初期の5枚がリリースされるという。あの緻密でダイナミックなクイーン・サウンドが最高の音質で聴けるのだ。これはエライコッチャである。わし買うもん、買うもん、リマスタCD、愛あるもん、リマスタCD、他のじゃやだもん、好きだもん、イエ~イ♪ 何と言っても “この音は、世界にひとつ” なのだから。

日清 カップヌードル CM Freddie Mercury 30秒版


Queen | Now I'm Here (Hammersmith 1979)


'39 (Queen live @ Concert For Kampuchea 1979)


We Will Rock You (Queen live @ Hammersmith Odeon 1979)


Queen | Don't Stop Me Now (Concert People of Kampuchea 79)
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What Is It All About / Bartlebees

2011-02-18 | Beatles Tribute
 つい最近「苦い蜜~消えたレコード~」という DVDをレンタルした。私は音楽と同じく映画も分かりやすいものが大好きで、いつも借りるのはほとんどがヤクザ映画(笑) それ以外は宇宙物かジブリ/ピクサー系と、要するに単純な内容の DVD ばかりなのだが、この「苦い蜜」は何と推理ミステリー物である。普段なら目もくれない難解な分野なのだが、副題の「消えたレコード」にご注目。これは何とビートルズのブッチャー・カヴァー盗難事件を扱った映画なんである。去年の夏頃に 901 さんからこの映画のことを教えていただいて以来ずーっと気になっていたもので、この2月にやっとレンタル解禁となり、私はワクワクしながら借りてきた。
 しかし実際に見てみると単なる窃盗事件の謎解きドラマで、別にビートルズのレコードがどうこうというマニアックな内容ではなかった。最後のオチの付け方もイマイチ納得がいかないし、役者がセリフを言うのにいちいち立ち上がってグルグル歩き回りながら大声を張り上げて話すというまるで舞台芝居みたいな作り方も胡散臭い。まぁブッチャー・カヴァーが話に登場するということで、ビートルズ好きのミステリー・ファンなら楽しめるかもしれない。
 ブッチャー・カヴァーと言えば、以前このブログで取り上げた時に “聴かずに見るだけのレコードがあってもいいではないか” という趣旨のことを書いた。要するにジャケ買い盤である。私が好きなのはセクシーな美女をフィーチャーした、いわゆるひとつの cheesecake cover 盤と、有名なジャケットを面白おかしくパロッたパロジャケ盤で、ジャケット・デザインが気に入れば中身が少々アレでも値段が安ければ買ってしまう。まぁ気に入った絵画を買うのと同じような感覚だ。
 そんな私をますますパロジャケ収集にのめり込ませたのがビートルズのトリビュート盤だった。その筋のアルバムは何かしらビートルズのオリジナルを想起させるジャケット・デザインの物が多く、横断歩道を渡ったり、メンバーを囲むようにしてたくさんの人間を登場させたり、モノクロのハーフ・シャドウでメンバーの顔が写っていたりと、遊び心満載のデザインがビートルマニアの好奇心をビンビン刺激する。そんなある時、私はネットで「レコジャケ・ジャンキー」という本の存在を知り、何となく面白そうだったので試しに買ってみることにした。
 この本はビートルズを中心に、ストーンズ、ピンフロ、ゼッペリン、プレスリーといったロック関係からエヴァンスやロリンズといったジャズ関係まで、様々なパロジャケがドーン!とオール・カラーで紹介されており、私なんかもう見ているだけで楽しくなってしまう。特にビートルズのパロジャケは可能な限り集めるようにしてきたので持っている盤も多かったが、中には初めて見る盤もあり、 “へぇ~こんなんあるんや...(゜o゜)” という感じで興味を引かれた盤をネットで探したりしたものだった。
 そんな中で私が何としても手に入れたかったのが「リヴォルヴァー」をパロッたこのジャケット。 Bartlebees というバンドの「What Is It All About?」というアルバムなのだが、4人の顔の代わりに可愛いクマのイラストというのが面白すぎる(^o^)丿 レーベル名が Little Teddy ということでクマになったらしいが、この手のゆるキャラ(?)が大好きな私はぜひコレを部屋に飾りたいと思い、ネットで捜索を開始した。
 ヤフオクには全然出ておらず、eBay で1件だけヒットしたが、即決$30.00はいくら何でも高すぎる。そこで一計を案じ、google で画像検索してみると九州のレコ屋の通販で900円というのを発見。送料込みでも1,200円なら十分お買い得だ。みずてん買い盤は出来るだけ安く買うに越したことはない。
 実際にLPサイズの現物で見る “リヴォクマー・ジャケット” は本で見るよりも遥かにインパクト大。ポールを始めブライアン・ジョーンズ、ビル・ワイマンといったミュージシャンから、サンダーバードの人形やヴェルヴェット・アンダーグラウンドのバナナに至るまで、摩訶不思議なコラージュも面白い。
 中身の音楽はいわゆるひとつのネオアコ系ギター・ポップなのだが、ヴォーカリストの声質がどうしても好きになれないのでパス(笑) 去勢されたボブ・ゲルドフみたいな声で凡庸な曲をブツブツ歌われても面白くも何ともない。ということで、このレコードは中身を抜いてジャケットだけを部屋に飾っている。それにしてもこのゆる~いクマさんのイラスト、ホンマに気持ちが和むなぁ...(^.^)

※今日は推薦曲はありません...
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Let It Be / Ferry Aid

2011-02-15 | Rock & Pops (80's)
 先週、いつものようにヤフー・ニュースを見ていると、いきなりゲイリー・ムーアの訃報が目に飛び込んできた。何でも睡眠中に心臓発作で亡くなったということらしいが、まだ58歳という若さである。私は彼の熱いギターが大好きだったのでめちゃくちゃショックだった。
 そこでこのブログでも彼を追悼しようと思い、以前取り上げた超愛聴盤「アフター・ザ・ウォー」以外でどのレコードがエエかなぁと考えていた時にふと頭に浮かんだのがこのフェリー・エイドによる「レット・イット・ビー」だった。確かに彼の傑作と言えば真っ先に名前が挙がるのは多分「ワイルド・フロンティア」あたりだろうし、シン・リジィ時代の「ブラック・ローズ」という選択肢もあるだろう。しかしハードロックという狭いジャンルを超越して彼のギターの素晴らしさを万人に伝えるには、この「レット・イット・ビー」における入魂のソロをおいて他にないと思う。
 これは1987年3月に188名もの犠牲者を出したフェリー沈没事故の遺族への義援金集めを目的としたチャリティー・シングルで、イギリスの有名な大衆紙 The Sun がスポンサーとなって、総勢80組のミュージシャンが参加したプロジェクトである。当時はバンド・エイドに始まり、USAフォー・アフリカ、ノーザン・ライツにサン・シティと、オールスター・チャリティーが一種のブームみたいになっていたのだが、コレは事故のわずか1週間後にレコーディングされたというから凄い。プロデュースは金太郎飴のような軽薄ダンス・ミュージックをタレ流して当時のUK音楽界を牛耳っていたストック・エイトキン&ウォーターマンだが、さすがに天下のビートルズ・ナンバーだけあって、いつもの SAW 臭さはない。
 私が持っているのはカナダ盤の12インチ・シングルで、裏面に載っている参加ミュージシャンをチェックしてみると、知ってる名前はわずか13組しかない(>_<)  そんな中でも圧倒的な存在感で私に強烈なインパクトを与えたのがケイト・ブッシュとゲイリー・ムーアの2人だった。ケイトの歌声がスルスルと滑り込んでくる瞬間なんてもう鳥肌モノで、彼女の登場によって場の空気感が一変したように感じられるのだ。さすがはスーパースター中のスーパースター、まぁ他の一発屋さん達とは格が違うということだろう。格が違うと言えば、出だしのポールの歌声はビートルズのマスターテープからヴォーカル部分だけを流用したものだ。
 で、肝心のゲイリー・ムーアだが、まず1回目は1分47秒に登場、しっかりと “泣き” を入れた後、マーク・ノップラーへとバトンタッチ、2人で交互にソロを取るという形になっている。2回目の登場は2分13秒からで、マークの落ち着いた渋~いソロの後だけに余計に彼のエモーショナルなプレイが引き立つという按配だ。このあたり、聴けば聴くほど実に見事な対比の妙なのだが、それにしても “ワシにはコレしかないんや!” と言わんばかりに全身全霊を込め、聴く者の魂を激しく揺さぶるようなチョーキングが爆裂するこのギター・ソロはまさに圧巻の一言だ。3回目の登場は4分20秒あたりからで、聖歌隊も顔負けのゴスペル大会と化したコーラスを向こうに回し、エッジの効いたギター・サウンドで “俺はここにいるぞっ!” とばかりにしっかりと自己主張している。私見だが、彼の参加が無かったら、このレコードはパンチに欠けるというか、もっと味気ないものになっていただろう。ゲイリー・ムーア一世一代の名演だ。
 泣きのチョーキング一発に命をかけた熱血ギタリスト、ゲイリー・ムーア。彼のプレイを聴いていると、音楽がただの音符の羅列ではなく、プレイヤーが楽器を通して心の声を表現しているのだということを痛感させられる。我々はまた一人偉大なるミュージシャンを失ってしまった。素晴らしい音楽をありがとう! R.I.P. Gary Moore.

ferry aid - let it be
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Presence / Led Zeppelin

2011-02-12 | Led Zeppelin
 今日も “サムデイヴ来訪記パート2” である。即席 DJ をやりながら LP をかけまくっていた時、デイヴがゼッペリンの「アキレス・ラスト・スタンド」をリクエストしてくれた。私がアルバム「プレゼンス」を取り出してターンテーブルに乗せていると、 “コレ、ボクノ フェイヴァリット・ゼッペリン・ナンバー デス。アナタハ ドノキョクガ イチバン スキデスカ?” と聞いてきた。相手が音楽好きの場合、その人となりを知るには “好きな曲” “好きなアルバム” を尋ねるのが一番手っ取り早いし、何よりもロック・ファン同士のこういう会話ほど楽しいものはない。
 しかし、前回のビリー・ジョエルの「ピアノ・マン」もそうだったが、あるアーティストの全作品の中で “一番好きな曲” を選ぶというのは中々難しい。特にそれが全アルバムをオリジナル盤で揃えるぐらい大好きなバンドやシンガーだったりすると、その時の気分によってフェイヴァリットが変わるので急に聞かれると即答できないのだ。今回も一瞬フリーズしてしまったが(笑)、すぐに正気に返って “「コミュニケイション・ブレイクダウン」かなぁ...” という曖昧な返事しかできなかった。最近面白カヴァーやジブリにかまけていてゼッペリンを聴くのは久しぶりだったので、恥ずかしながら不意を突かれた格好だ(>_<)
 そんなこんなで「アキレス...」のイントロがフェード・イン、久々のロックンロール・ナイトで大コーフンの私がテンションの上昇に比例するようにアンプのヴォリュームをグングン上げていくと、それまで聴いたことが無いくらい凄まじい「アキレス...」の音像が目の前に屹立した。ペイジのソリッドで切っ先鋭いギターが縦横無尽に音空間を埋め尽くし、プラントのエモーショナルなハイトーン・ヴォイスが炸裂、まさに「ラスト・スタンド(最後の戦い)」の名に相応しいアグレッシヴな演奏だが、何よりも凄いのがボンゾのダイナミックで躍動感に溢れるドラミング!その血湧き肉躍る破天荒なエネルギーの奔流は凄まじく、アルテック・ヴァレンシアの38cmウーハーが生み出す重低音が爆裂、巨大な音の塊が津波のように押し寄せてきて、まるでラオウの天将奔烈、北斗剛掌波の直撃を食らったかのような(?)衝撃である。
 デイヴはと言えば目をつむって正座しながら自分の膝をガンガン叩くエア・ドラムで、完全に “ボンゾ憑依状態” である。私も真似してみたが、コレがもうめちゃくちゃ気持ちいい(笑) 何というか、ボンゾの身体感覚とこちらの身体感覚が共鳴現象を起こすような不思議な感じで、アドレナリンがドバーッと出まくりロックな衝動がマグマのようにこみ上げてくる。これからハードロックを聴く時はこのスタイルでいこう。デイヴ、エエこと教えてくれてホンマにありがとうね(^.^)
 とにかくこの①「アキレス・ラスト・スタンド」、バンドが一体となって生み出す高揚感は圧巻の一言で、10分を超える大曲ながらその長さを微塵も感じさせず、イントロからエンディングまで尋常ならざる高い緊張感を保ちながら一気呵成に聴かせてしまうスーパー・ウルトラ・キラー・チューンだ。
 この「プレゼンス」というアルバムは①のインパクトがあまりにも強すぎて他の曲が霞んでしまうようなところがあるが、じっくり聴けばどれもみなよく出来た佳曲揃いだ。しっかりとゼッペリン・サウンドの根底を支えるジョーンジーの闊達なベースが冴え渡る②「フォー・ユア・ライフ」、リズム隊のノリ一発で聴かせてしまう⑤「キャンディー・ストア・ロック」、ボンゾの名人芸ドラミングが味わえる⑥「ホッツ・オン・フォー・ノーウェア」、「シンス・アイヴ・ビーン・ラヴィン・ユー」を裏返しにしたような渋~いブルース⑦「ティー・フォー・ワン」と聴き所が満載だ。
 そんな中でも特に好きなのが③「ロイヤル・オーリンズ」(←邦題の “オルレアン” って一体何なん???)で、3分に満たない短い曲ながらペイジの絶妙なギター・カッティングとタイトなバンド・アンサンブルが印象的なゼッペリン流ファンク・ナンバーだ。これまでほとんど誰も褒めているのを聞いたことが無い不憫な曲だが私的にはこのアルバム中で①に次いで気に入っている。又、④「ノーバディーズ・フォールト・バット・マイン」の寄せては返す波のように緊張と弛緩を繰り返す変則的なリズムが生み出すへヴィーなグルーヴ感もたまらない。それにしても地響きを上げるようなボンゾ怒涛のドラミング、凄すぎ!!!
 昨日は大雪で外出する気になれなかったので一日中大音量でゼッペリンを聴いて過ごしたのだが、今の気分ではこのアルバムの「アキレス・ラスト・スタンド」がやはり一番だ。このゴリゴリにへヴィーでありながら疾走感に満ちたサウンド、そして圧倒的にポジティヴな音の存在感はまさに後期ゼッペリン・ミュージックの完成形と呼ぶに相応しい大傑作だと思う。デイヴ、また一緒にゼッペリン聴こうな(^o^)丿

Led Zeppelin - Achilles Last Stand (Live Knebworth 1979)


Led Zeppelin-Royal Orleans


Led Zeppelin-Nobody's Fault But Mine
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ピアノ・マン / ビリー・ジョエル

2011-02-09 | Rock & Pops (70's)
 先週の土曜日、サムとデイヴがウチの家へ遊びに来てくれた。G3 以外で友人を家に呼ぶのはホンマに久しぶりである。ベジタリアンの二人のために頑張ってイタリアンのミニ・コースを作ったらめっちゃ喜んでくれた。お世辞半分だとしても “美味しい!” と言ってもらえるとやはり嬉しいモンである。そんなこんなで料理や音楽の話で会話も弾み、すっかりリラックスした我々はリスニング・ルームへと移動した。
 部屋に入った二人は壁一面の LP を見て “ワァオ~(゜o゜)” と驚きながらも早速 LP 棚をチェックし始めた。とにかく二人とも CD には目もくれずに LP オンリーである。サムは60's オールディーズのコーナーを、デイヴは70's ロックのコーナーを熱心に見ている。 “気に入った盤あったら何でもかけるから言ってね~ (^_^)” と言うと二人は “You look like a DJ!” と笑いながら次々と LP を棚から引き抜いて渡してくれた。
 G3 の時と同じで、ある LP の中からどの曲を選ぶかでその人の趣味嗜好というものが浮き彫りになるものだが、二人の選曲は実に私と似通っている。サムはジャッキー・ウィルソンの「リート・ペティート」やサム・クックの「チェイン・ギャング」、デイヴはカーズの「ジャスト・ホワット・アイ・ニーディッド」やフォリナーの「コールド・アズ・アイス」などを選曲したが、彼がクリムゾンの 1st から「21センチュリー・スキッツォイド・マン」と「ザ・コート・オブ・ザ・クリムゾン・キング」を、エルヴィスのラスベガス・ライヴから「イン・ザ・ゲットー」と「サスピシャス・マインド」と、それぞれ2曲ずつ指定してきた時は以心伝心というか、私も全く同じチョイスを考えていたので嬉しくなり思わずハグしてしまった(笑)
 そんな中、サムが大好きだというビリー・ジョエルの2枚組ベスト・アルバム「グレイテスト・ヒッツ Vol.Ⅰ& Vol.Ⅱ」を私に差し出し、どれでもいいから好きな1曲を選べと言う(←なぜか「オネスティ」だけは嫌いらしいが...)。ビリー全盛期の名曲が満載のアルバムから1曲というのはかなり難しい注文だが、私は一瞬迷ったあげく、初期の大名曲「ピアノ・マン」を選んだ。もちろんメロディーもサウンド・プロダクションも素晴らしいのだが、何と言ってもその歌詞が最高なのだ。
 この曲はあるバーに集まる常連客についてピアノ弾きが見聞きしたことを語りながら孤独な現代人の心情を見事に描いたもので(←YouTubeで訳詞付きのヤツを見つけたので下に貼っときました)、目を閉じて聴いていると薄暗いバーの光景が、そしてそこでピアノ弾きが目にする人間模様が鮮やかに浮かんでくる。ビリーの歌声は登場人物の語りの部分で何かを訴えるようにより力強く響き、エンディングの自らへの問いかけ “Man, what are you doing here?” でそれが最高潮に達するのである。何という見事な語り口だろう!まさに稀代のストーリーテラー、ビリー・ジョエルの面目躍如と言っていいナンバーだ。
 彼のピアノも緩急自在なプレイで曲の魅力を最大限引き出していて言うことナシ。しかも間奏のハーモニカ(正式にはブルースハープ)がこれまた絶品で、私の心の琴線をビンビン震わせる。そんなビリー屈指の名曲名演を音楽好きの朋友と共に大音量で聴く喜びを何と表現しよう? この曲は中学の頃からもう何百回と聴いてきたが、これまでで一番感動した「ピアノ・マン」だった。言葉の壁を乗り越えて素晴らしい音空間を分かち合えたサム&デイヴにはいくら感謝しても足りない。やっぱり持つべきものは音楽の話が出来る友人やねぇ... (≧▽≦)

PIANO MAN 訳詞付 / ビリー・ジョエル


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カラフル・ジブリ

2011-02-06 | TV, 映画, サントラ etc
 私は音楽に目覚めて以来長い間ただひたすらロック/ポップスを中心に音楽を聴いてきたので、クラリネットという楽器にはまったくと言っていいほど縁がなかった。しかし30歳台の半ばぐらいからモダン・ジャズをも聴くようになり、ジャズが最も美しかった50年代からだんだん時代を遡っていくうちに出会ったクラリネット奏者がベニー・グッドマン、1930年代のスイング・ジャズを聴く上で避けては通れない超大物である。しかし私は彼の “ピッ!” という耳に突き刺さるような高音にどうしても馴染めず、いつしかクラリネット入りの演奏を無意識に避けるようになっていった。
 クラリネットに対するそんな私の偏見を木端微塵に打ち砕いたのが日本人ジャズ・クラリネット奏者である鈴木章治の「鈴懸の径」という曲で、私は彼の演奏を聴いて初めてクラリネットという楽器の持つ柔らかい音色の魅力を知り、“クラリネットにもこんな演奏があるんや...” と目を開かれる思いだった。特にミディアム・テンポで美しい旋律の曲を奏でる時なんか、この楽器でしか出せないような雰囲気を醸し出しており、私はクラリネット・アレルギーを解消することができた。
 そして今、2011年、ジブリ祭りで色んなカヴァー盤を聴きまくっていた最中に出会ったのがこの「カラフル・ジブリ」だった。まず最初に目に留まったのがそのジャケットで、 “木漏れ日を浴びながら楽器を手に大きな木の下に佇むうら若き女性4人” というのが実にエエ感じなのだ。このカラフルというグループは音大出身の女性4人で結成されたクラリネット・カルテットで、例えるなら今年のお正月にビートルズ・カヴァーで取り上げた1966カルテットのジブリ版みたいなモンだろう。
 このアルバムは無理やりジャンル分けすれば私の苦手な “クラシック~イージー・リスニング” の範疇に入るのかもしれないし、クラリネット4本(1st、2nd、エスクラ、バスクラ)だけの演奏でアルバム1枚はさすがにキツイかなぁと思っていたが、実際に聴いてみるとピアノやドラムもちゃーんと入っているのでロック者の私でも違和感なく馴染むことが出来た。収録曲はもう何の説明も必要ないジブリ・スタンダードが12曲で、ジャケット通りのホンワカしたサウンドがジブリの愛らしいメロディーとバッチリ合っていて思わず頬が緩んでしまう。これほど中身の音を見事に反映したジャケットには中々お目にかかれない。
 で、その中身の音だが、まずは何と言ってもアルバム冒頭の①「やさしさに包まれたなら」、この柔らかなイントロを聴いただけで私の好きな癒し系クラリネットだということが一聴瞭然で、まさにタイトル通り、聴く者をやさしさで包み込むようなサウンドだ。クラリネット・カルテットの演奏というものは初体験だが、何か心が和むというか、木管楽器ならではのウッディな感覚が耳に心地良い。たまたま今日は春のように暖かい一日だったが、この曲はまさにそんなポカポカ陽気にピッタリの癒し系ヴァージョンに仕上がっている。
 この①に始まり、歌心溢れるプレイとそのアンサンブルの妙に唸ってしまう②「アリエッティズ・ソング」、ツボを押さえた絶妙なアレンジで脳内リフレインが止まらない③「風の谷のナウシカ」、珠玉の久石メロディーとクラリネットのウォームなサウンドの邂逅が生んだ名演⑤「君をのせて」、クラリネットだからこそ出せた素朴な味わいが心に沁みる⑥「カントリー・ロード」、コレを聴けばタタリガミの怒りも鎮まりそうな哀愁舞い散る⑦「もののけ姫」、のほほんとした感じのトボけた演奏が実にエエ味を出している⑧「トトロメドレー」、ハープをバックにメロディーを慈しむように吹くプレイが感動を呼ぶ⑨「いつも何度でも」、親しみやすいクラシックという感じの⑩「崖の上のポニョ」と、聴き所が満載だ。
 このアルバムはパンクやスカ・ヴァージョンとは違ってドライヴの BGM には向かないが(←なんせ毎日がモナコ・グランプリみたいなモンやからね...笑)、柔らかい陽射しを浴びながらブリリアントな午後をマッタリ過ごしたい時なんかにはピッタリの1枚だと思う。

Clarinet Kiki


Clarinet Nausicaa


Clarinet Princess Mononoke

ジブリ・サンバ

2011-02-02 | TV, 映画, サントラ etc
 ジャズ、ボサノヴァ、スカときて今日はサンバである。ビートルズほどではないにせよ、ジブリ・カヴァー盤の多彩さにはホンマに感心させられるが、その成否は企画の面白さとそれを活かすアレンジャー次第という様相を呈している。この “ジブリの名曲をサンバ・アレンジで” というアイデアも “よぉそんなモン思いつくわ...” と言いたくなるようなユニークな発想だが、実際に聴いてみるとコレが中々面白い。ジャケットも動物をあしらった正調ジブリ路線でエエ感じだ。
 私は音楽に関しては好奇心が強いのでこれまで節操なく色んなジャンルの音楽を聞いてきたが、さすがにサンバとなると1枚も持っていない。サンバと聞いてすぐ頭に浮かぶのはもちろんリオのカーニバル。羽根を背負ったキンキラビキニのオネーチャンたちがお尻を振りながらパレードで街を練り歩く時のアップテンポでノーテンキな音楽というイメージしかない。まぁその程度の認識なので、本物のサンバがどういうものかはよくは分からないというのが正直なところだ。
 しかし一聴してみて思ったのは、コレはバリバリのサンバと言うよりは “サンバっぽいラウンジ・ミュージック” ではないかということ。例えるなら日本で食べるフランス料理や中華料理が本場フランスや中国と同じものではなく、日本人の舌に合うようにアレンジされているのと同じようなものだろう。だからこのアルバムはリオのカーニバルを云々するには “サンバの熱気” が決定的に欠けているが、日本のカフェで流すのにはちょうどいい塩梅のサウンドだと思う。
 アルバムの中で私が特に気に入っているのはヴォーカル抜きのインスト・ヴァージョン4曲で、どれもみな歌入りのトラックよりもラテン色が強く感じられるところがいい。③「さんぽ」はビーチでリラックスといった感じのお気楽なサウンドになっているし、ラテン・フレイバー全開の⑥「風のとおり道」なんかツボを押さえたアレンジでアジアン・テイスト溢れる原曲を実に見事にサンバ化している。これ、めっちゃエエわ(^o^)丿
 ⑧「海の見える街」はオリジナルの哀愁舞い散るメロディーをシロフォンで奏でるというユニークなアイデアがズバリと当たり、セニョール・ココナッツの YMO カヴァー盤「イエロー・フィーヴァー」に入っていた「ライディーン」を想わせるようなゴキゲンなラテン・ナンバーに仕上がっている。私的には⑥と並ぶフェイヴァリット・トラックだ。⑩「崖の上のポニョ」は清涼感溢れるフルートがたまらない。実にクールなポニョである。
 歌入りではイントロからいきなりハイテンションで飛ばしまくる①「風の谷のナウシカ」がカッコイイ(≧▽≦) コレはもうあれこれ考えずにリズムに合わせて踊るシカないだろう。この手の企画に欠かせない浮遊感溢れる女性ヴォーカルは私にはやや軽すぎて物足りないが、軽快なサンバのリズムに合わせるにはこれくらいがちょうど良いのかもしれない。
 ベット・ミドラーの②「愛は花、君はその種子」やユーミンの⑤「やさしさに包まれて」、オリビア・ニュートン・ジョンの⑨「カントリー・ロード」は “サンバっぽい感じがする洗練されたラウンジ・ミュージック” 路線のオッシャレ~なアレンジが耳に心地良い。④「となりのトトロ」はサンバというよりはカリビアン・テイストのビーチ・ミュージックという感じ。トロピカル・ドリンクでも飲みながらまったり聴きたい1曲だ。
 ⑦「君をのせて」はアンニュイなボサノヴァっぽいミディアムテンポでスタートし、0分46秒あたりから少しテンポを上げてサンバのリズムに切り替わるのだが、チェンジ・オブ・ペースの妙と言うか、そのあたりのテンポ設定が絶妙だ。それにしても「天空の城ラピュタ」主題歌のこの曲、パンクに始まりジャズ、ボッサ、スカ、サンバと、どんなアレンジで聴いても曲のコアである哀愁舞い散る美旋律が胸を打つ名曲中の名曲だと思う。やっぱりジブリはエエなぁ...(^.^)

ジブリサンバdemo0330
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