shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

B'z The Best XXV 1988-1998 (Pt. 2)

2013-06-25 | B'z
 今日は「B'z The Best XXV」白盤の続編で、1995年から1998年までの、私がリアルタイムで B'z を聴き始めた頃の思い出に残る5曲です。

①LOVE PHANTOM
 B'z のベスト盤は名曲名演の宝庫だが、そんな中で私が彼らの最高傑作と信じて疑わないのがこの「LOVE PHANTOM」だ。荘厳なストリングスが奏でるイントロから一転してデジタル・ビートに乗って疾走感溢れる B'z流ハード・ポップ・ロックが炸裂、稲さんの語りや元Mi-Keの宇徳敬子による囁きヴォーカル“そして私はつぶされる...♪” を織り込みながらありとあらゆるポップ・エッセンスを詰め込んでハイ・テンションを保ちつつ一気呵成に駆け抜ける様は圧巻の一言に尽きる。彼らの曲の人気投票で常にトップ3に入るこの曲は、私的にはB'z史上、いや、邦楽史上屈指の大名曲なのだ。それと、忘れてならないのがこの曲のミュージック・ビデオで、ヴァンパイアに扮した稲さんが曲のクライマックスでステージ・セットの一番上からダイヴするという設定のパフォーマンス(←松ちゃんがギターの先端からレーザー光線を出して数十メートル上にいる稲さんを照らすところもいい...)は何度見てもスリリング(≧▽≦) 特に「渚園ライヴ」DVDで「ラブファン」~「ZERO」へと続く流れは鳥肌モノのカッコ良さだ。尚、松ちゃんはフル・オーケストラとコラボした2004年リリースのソロ・アルバム「House Of Strings」でもこの曲を取り上げており、B'z とは又違ったアレンジ・解釈でオーケストラのド迫力サウンドをバックに弾きまくるギターが堪能できる素晴らしい作品になっている。
【MAD】LOVE PHANTOM / B'z

Tak Matsumoto with Orchestra - LOVE PHANTOM


②FIREBALL
 シングル「LOVE PHANTOM」と同曲を含むトリプル・ミリオン・セラー・アルバム「LOOSE」で行きつくところまで行ってしまった感のあるB'z が、自らの出自であるハードロック色を前面に打ち出して新たな可能性を切り開いた記念すべきシングルがこの「FIREBALL」だ。前年にゼップのサウンド・エンジニアとして有名なアンディ・ジョーンズをプロデューサーに迎え、大胆不敵なハイトーン・ヴォーカルとAC/DCばりの徹底したリフ攻撃に痺れる全英詞(!)シングル「Real Thing Shakes」をヒット・チャート1位に送り込んだのも前人未到の偉業だが、その約1年後にリリースされたこの「FIREBALL」では “No Synthesizer & Computer Used” というクレジットが示す通りの “完全生音” バンド・サウンド(←ドロドロ感に満ちたうねるようなグルーヴが圧巻!)で日本語詞のハードロックを演っているのだから、彼らがアーティストとしての次のステージへと進んだマイルストーン的な作品と言えるだろう。この曲には資生堂化粧品のタイアップが付いており、歌詞の “魂に火をつけろ~♪” の前に “メェーィク” という稲さんの掛け声を入れて “メイク魂に火をつけろ” という化粧品キャッチ・コピーに仕立て上げた点は実に秀逸(^o^)丿 ラストの “飛んでゆける 空を燃やしながら~♪” での高音シャウトは稲さんにしか出来ない離れ業だ。ミュージック・ビデオも80'sメタル色全開のカッコ良さで(←何てったってヘビメタ・バンドのビデオには “炎” が付き物!)、この手の硬派なロックが大好きな洋楽ファンに超オススメだ。
資生堂ピエヌ CM 1997

B'z / FIREBALL


③Calling
 B'z の曲には2つの異なる楽曲を組み合わせたような “接合型ソング” が結構多く、中には無理やりくっ付けたようなものも無いではないが、この「Calling」はそういった “接合型ソング” の中でも屈指の大傑作。異なるメロディーを持った2つのパートが絶妙にお互いを引き立てあっているという稀有なナンバーだ。私にとって本格的なB'zとの出会いがこの曲であり、彼らに他のJ-POPアーティストには無い “洋楽ロックの薫り” を感じ、それ以来16年間の付き合いのきっかけとなった思い出の1曲なのだ。'97 FIREBALLツアーのアンコールで初披露されたこの曲の原型は中間部のメロウな胸熱バラッド部分のみだったが(←「Hidden Pleasure」DVDに収録)、シングル化するにあたってその前後にAC/DCの「The Furor」みたいなリフと稲さんの “こぉ~の声が聞こえ~るかい♪” の掛け合いが高揚感を生み出すエレクトリック・パート(←隠し味的に使われているアコギが効果抜群!)を付け加えて完成したというキラー・チューンだ。クイーンの「We Will Rock You」にも比肩しうる圧倒的なグルーヴ感に酔いしれていると一転して静謐なピアノの響きが印象的なバラッドへ、そして徐々に盛り上がって行ってクライマックスを迎え、再びイントロのヘヴィーなリフへと戻っていく... このスムーズな転調の妙こそがこの曲の最大の聴き所だろう。歌詞は単なるラヴ・ソングではなくもっと深い人間同士の絆を歌ったもので、聞くところによると稲さんが松ちゃんに宛てたメッセージだという。そう思って聴くと、歌に呼応するかのように挿入されるギターのフレーズが松ちゃんから稲さんへの返答のように思えてくる。
B'z / Calling


④Liar! Liar!
 1997年はまさに私にとってのB'z元年で、「FIREBALL」のCMで知らぬ間に脳内にB'z回路が形成され、「Calling」で彼らのファンになり、そしてこの「Liar! Liar!」で一生彼らについていこうと決めたのだった。つまり私にとっての “運命の1曲” になるのだが、何とあのマーティ・フリードマンもこの曲でB'zにハマったらしく、メガデスのメンバーとして来日してた時にたまたま街でこの曲を耳にして大感激し、すぐにCD屋に走ったという。 “ボクがJ-POPファンになって日本に住み着いたのはこの曲がきっかけ” と公言してはばからないマーティの気持ち、めっちゃわかるなぁ...(^.^)  私にとって、そしてマーティにとって、それほどこの曲は衝撃的だったのだ。これまで “ハードネスとポップさの絶妙なバランス” を追求してきた彼らが “原点回帰” と位置付けたこの曲は、打ち込みデジタル・サウンドが炸裂するイントロから一気にラウド&キャッチーなハードロック・サウンドへなだれ込み、爆発的なエネルギーの奔流を感じさせながら息をもつかせぬ展開でメロディアスに突っ走るという、まさにB'zロックの王道を行くナンバーで、糸を引くような稲さんの粘っこい唱法とハジケまくりの歌詞が見事にマッチしているのが凄い。ニュー・オーリンズで撮影されたミュージック・ビデオはスピード感あふれる映像編集でめっちゃカッコ良いのだが、ワニが出る(!)沼地で松ちゃんがギター・ソロを弾くシーンがあって、この前のYouTube番組のインタビューで “アレは本当に怖かった...” と当時を回想していたのには笑ってしまった。ビデオ撮影も命がけやなぁ...(>_<)
B'z / Liar! Liar!


⑤HOME
 B'zのバラッドには心に響くキラー・チューンが多いが、そんな中でも別格中の別格と言っていいぐらい好きなのがこの「HOME」だ。出だしのアコーディオンの音色からして何かこう心にポッと温かい火がともる様な感じがするし、アーシーな雰囲気漂うアコギが実に良い味を出している。 “鏡をのぞけば~♪” の所で間髪を入れずに “テクマクマヤコォ~ン♪” という稲さんの追っかけコーラスを挿入する遊び心も◎。香港で撮影されたミュージック・ビデオもアジアン・テイスト溢れる仕上がりで、それぞれのシーンが曲とめっちゃ合ってて何度見ても飽きない。とにかく、将棋相手に盤をひっくり返されて一目散に逃げる松ちゃんの迫真の演技(笑)や曲に合わせてミディアム・スロー・テンポで中華鍋を振る稲さんの手さばきなど、見どころ満載なのだ。しかし何と言ってもこの曲が素晴らしいのはその歌詞で、共感できるポイントが一杯あって “ホンマにエエこと言うなぁ... (≧▽≦)” と感心してしまう。そういえば当時付き合ってた彼女とつまらんことでケンカしてお互い意地を張って口もきかなかった時期に、それまで軽く聞き流していた歌詞の “君を傷つけていっぱい泣かせて... 僕はもう眠れなくて... 後悔してるのにまた繰り返す... どうしようもなくダメなんだ~♪” の部分を聴いて自分の心の中を見透かされたような気持ちになり、サビの “言葉ひとつ足りないぐらいで 笑顔ひとつ忘れただけで ほんの少しのすれ違いだけで 全部あきらめてしまうのか 愛されるばかりが能じゃないだろう~♪” で大いに反省して(笑)すぐに彼女に謝りの電話を入れたのを覚えている。この曲に限らず、例えば「ラブファン」の “少しのズレも許せない セコイ人間になってたよ~♪” を聴いて “もっと心の広い人間にならなアカンなぁ...” と思ったりとか、これまで稲さんの書く歌詞のおかげで自分を省みれたことが何度もあった。そういう意味でもB'zは私にとって特別な存在だったし、これからもずっとそうあり続けるだろう。
B'z / HOME

【おまけ】MAD職人さん、GJ!!!
B'z キリンビ-ルCM

B'z The Best XXV 1988-1998 (Pt. 1)

2013-06-20 | B'z
 今日から数回にわたり「B'z The Best XXV」(←白盤、黒盤って言うのかな?)の中から個人的に気に入っている曲を時系列に沿ってピックアップしていこうと思う。まず第1回の今日は、デビューから1994年頃までの、まだ本格的なハードロック路線にシフトする前の作品から...

①ALONE
 基本的にハードロック・ユニットであるB'zの一番の魅力はアップテンポの疾走系ナンバーだが、その一方でバラッドの名曲も少なくない。特に初期B'z屈指の名曲として忘れ難いのがこの「ALONE」だ。モトリー・クルーの「タイム・フォー・チェンジ」に似ているという声もあるが、私に言わせれば両者は似て非なるものであり、この「ALONE」の方が遥かに洗練されていると思う。出藍の誉れとはこういうのを言うのだ。名フレーズ連発の歌詞といい、涙ちょちょぎれるピアノやギターの響きといい、絶妙なタイミングで入ってくるバック・コーラスといい、これでもかとばかりに日本人の心の琴線を刺激しまくる “泣き” の要素が満載で、B'z ファンだけでなく一般の音楽ファンにまでも広くアピールするようなキラー・チューンに仕上がっている。個人的にはラストのコーラス・パートをアタマに持ってきたアルバム「In The Life」のヴァージョンがオススメだ。下に貼り付けた「BUZZ!!」のライヴビデオからの映像で、稲さんが弾くグランドピアノの上に立ってギターを弾いてる松ちゃん(←しかもくわえタバコときたもんだ!)がめちゃくちゃカッコイイ(^o^)丿 尚、エンディングの“Naked eyes in the sky♪” のパートが“出来な~い、い~んですか~い♪” に聞こえてしまうのは私だけかな?
B'z B'z ALONE Definitive ReleaseFF96F6F7


②BLOWIN'
 弾むようなリズムと親しみやすいメロディーで初期B'zの魅力爆発!と言える1曲が、宮沢りえのポテチCMでもおなじみの「BLOWIN'」だ。グランド・ファンク・レイルロードの「ウィアー・アン・アメリカン・バンド」を想わせるドラムスのイントロに続いてシンセが奏でるウキウキするようなサビメロが絶品で、まさにキタ━━━(゜∀゜)━━━!!! という感じ。時代を感じさせるデジタル・ビートと松ちゃんのよく歌うギターが絶妙にブレンドされたB'z ワールド全開のキラー・チューンだ。このメロディーを聴いて “風がブローウィンしてるみたいな” イメージを抱いたという稲さんの歌詞も絶好調で、 “風を受けて立ち上がろうとする君は美しい~♪” のラインなんかもう最高だ。スタジオ録音盤のスパッと断ち切ったように唐突に終わるエンディングもいいが、この曲のライヴ・アレンジはその上を行く秀逸さで、後半部の掛け合いの後、稲さんの “せーの!” に続いて“Blowin' in the wind!!!” とオーディエンスの大合唱で終わるところがめちゃくちゃカッコイイのだ(^o^)丿 
B'z BLOWIN' LIVE-GYM Pleasure 2008 GLORYDAYS

カルビー ポテトチップス (1992) CM


③ZERO
 今から4年ほど前のことになるが、B'zの新曲リリースのインターバルが1年以上開いた時期があって(←ちょうど「BURN -フメツノフェイス-」と「イチブトゼンブ」の間)、早よ新曲出ぇへんかなーと悶々としていた時に、キリンビールのCMソングとしてテレビからこの曲が流れてきて大喜びしたものだ。何を隠そう、初期B'zの名曲満載のDisc-1の中でも私が一番好きなのがこの「ZERO」なんである。イーグルスの「ヴィクティム・オブ・ラヴ」を高速回転させ、ハードに強化した骨太サウンドで完全武装、更に間奏部分にラップまで入れてみました、という感じのカッコ良いナンバーで、エンディングで電動ドリルを使うアイデア(←エディー・ヴァン・ヘイレン直系か...)も面白い効果を上げている。尚、この曲はライヴの超定番曲なのだが、前奏のファンキーなキーボードをバックにB'zのお二人がクルクル回るところ(1分42秒あたり)が好きで好きでたまらない。今年夏のエアロソニックのステージででスティーヴン・タイラーと一緒にクルクル回ってくれへんかなぁ...(笑)
B'z ZERO LIVE-GYM Pleasure 2008 GLORYDAYS


④愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない
 B'z のファンは曲名を略して言う傾向があって、「バッド・コミュニケイション→バッコミ」「愛のバクダン→愛バク」「レディ・ナビゲイション→レディナビ」「ウルトラ・ソウル→ウルソー」「ギリギリ・チョップ→ギリチョ」などが有名だが、そんな略語癖の恩恵を最も感じるのがこの「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」...略して「愛まま」だ。この曲はB'z史上最も長い曲名を持つだけでなく最も売れたシングルで、あの大名曲「LOVE PHANTOM」よりも売れたというのだからビックリなのだが、ロック色が強かった前シングル「ZERO」からの揺り戻し(?)で再びポップ路線に回帰したのが世間にウケたのかもしれない。ただしポップといっても上昇下降を繰り返しながら縦横無尽に駆け巡る松ちゃんのギターは健在で、当時の彼らが目指していた “ハードとポップの融合” が新たなるステージに突入したことを感じさせるサウンドになっている。
B'z 愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない (Live)


⑤MOTEL
 1991年リリースの「レディナビ」以降ミリオン・セラーを連発して向かうところ敵なし状態の彼らだったが、1994年頃になると稲さんが脱アイドルを目指して髪を伸ばし始め、サウンド面でも行き過ぎたポップ化への反動なのか重くて暗い感じの曲が目立つようになる。この時期を世間では “B'zの暗黒時代” と呼んでいるのだが、そんな “暗黒時代” が行きつくところまで行った94年末にリリースされたのがこの「MOTEL」だ。この曲はそれまでの「愛まま」や「裸足の女神」といった煌びやかな “大衆ポップ路線” シングルとは激しく一線を画すセピア色イメージのブルージーなアコースティック・ナンバーで、初めて聴いた時はめっちゃ地味な曲やなぁと思ったが、二度三度と聴くうちにメロディーが頭から離れなくなって、気がついてみるとすっかりこの曲にハマっていたという、絵に描いたようなスルメ・チューンなんである。それにしても何という硬派な曲想のシングルだろう! 日本人でこれほど本格的なアメリカン・ロック・テイストを持ったサウンドを作れるアーティストを私は他に知らない。特に “Ooh-ooh it's a cruel world... Can't you see... ♪” で始まるラストの英詞パートがたまらんたまらん(≧▽≦) こんな通好みの渋~い曲が130万枚以上も売れたことが、当時のB'zの圧倒的なアーティスト・パワーを逆説的に証明している。
B'z MOTEL

B'z The Best XXV

2013-06-16 | B'z
 ポールの70'sシングル盤特集も一段落し、次は何にしようかなーなどと考えていたところへいきなりアマゾンから荷物が届いた。3月末に予約しておいた B'zのコンプリート・ベスト盤「B'z The Best XXV 1988-1998」と「B'z The Best XXV 1999-2012」だ。4月以降、新しく来た所長(←死ぬほど嫌ってた前所長がマシに思えるくらいの鬼畜野郎だ!)の肝いりで始まったクソしょーもないアホバカ・プロジェクトに忙殺されててすっかり時間の感覚を失くしていたが、大好きなB'zのCD発売日を忘れるくらい余裕のない毎日を送るなんて私としたことが本末転倒もいいところ... 特にこの1ヶ月ほどは毎日が “ムカ着火ファイアー” 状態だ。年度末には絶対に転勤希望を出すぞ|`Д´|ノ 
 とまぁそういう悲惨な状況なのでポールのネタはまだ「ロック・ショウ」も「オーヴァー・アメリカ・DXエディション」も残っているが、ハイレゾ・ダウンロードもまだやれてないし(←解凍プロセスがややこしいので時間のある時にしか出来ない...)CDやDVDを含めたすべての音源を十分に聴き込めてるワケではないのでそれらは7月のお楽しみに取っておくとして、6月後半はデビュー25周年で盛り上がってるB'zでいこうと思う。
 B'z は1998年にリリースした「プレジャー」と「トレジャー」がバカ売れしたのに事務所が味をしめたのか、その後「プレジャーⅡ」、「ウルトラ・プレジャー」、「ウルトラ・トレジャー」、「ザ・ミクスチャー」、「ラヴ&B'z」などベスト盤を乱発する傾向にあったので、この25周年記念ベスト盤の記事を初めて目にした時は正直「またか...」と思ったが、今回のは版権の問題をクリアしたのか初期の盤も含めた全シングル52曲を年代順に完全収録しており、それに加えて新曲も4曲収録、しかも全56曲中54曲分のミュージック・ビデオを完全収録(!)した特典DVDが付いているのだからこれこそまさに究極の “コンプリート・ベスト” である。
 私は膨大なヴォリュームを誇るこの特典DVDを目当てに買ったのだが、ハッキリ言ってこのDVDだけでも値段以上の価値があったと断言できる。映像で見るB'z 25年間の歴史は圧巻の一言だ。更に凄いことに、おまけ程度に思っていた本体CDの音を聴いてビックリ(゜o゜)  一体どんなリマスターを施したのかは知らないが、これまでのどの盤と比べても一聴して分かるほど音質が向上しているのだ。ただ単に音圧を上げただけという手抜きリマスターではなく、音の粒立ちがとても良くなりリアルな質感が楽しめるサウンドに仕上がっているのが嬉しい。これなら手持ちのベスト盤と収録曲が被っていても全然OKだ。これで3,000円しないのだからコスパは抜群に高い。
 それにしてもB'zのお二人は本当に凄い。25周年と一口に言うけれど、それだけの長期間にわたって第一線で活躍し、クオリティーの高い楽曲を生み出し続けているのはもう奇跡的という他ない。上記のDVDに収録されたミュージック・ビデオに出てくる昔のお二人の服装は時代を感じさせるものが多く(←特に90年代前半のバブル期!)、ファッションというものは時代と共に古びていくものだなぁと実感したが、その一方で彼らの音楽が色褪せることなく不変の輝きを放っていることに驚かされた。素晴らしい音楽は時に試練に耐えて愛され続けるのだ。
 私は1997年夏の「Calling」でB'zに目覚めた “遅れてきたファン” なのだが、それ以降16年間のシングル・アルバムはすべてリアルタイムで体験し、それぞれの曲に思い出が一杯詰まっている。彼らの曲を聴くとその頃の自分を思い出し、当時にタイムスリップしたような不思議な感覚が味わえるのだ。日本のアーティストでこんな思いをさせてくれるのは彼らだけである。そういう意味でも私にとってのB'zは特別な存在だ。
B'z 25th Anniversary DIGEST 1988-2013


 それにしてもおとといのミュージック・ステーションは凄かった(^o^)丿 B'zが4曲歌うと聞いて前日から楽しみにしていたのだが、そんな期待を裏切らない充実したパフォーマンスにテレビの前で大コーフン(≧▽≦)  まずは番組オープニングから新曲の「Q&A」がキタ━━━━(゜∀゜)━━━━!! いきなりテンションMAX状態だ。この曲はイントロからパワー全開で突っ走る痛快無比な疾走系ロックンロールで、王道ロックだけが持つ理屈抜きのカッコ良さに痺れてしまう。血湧き肉躍るとはこういうのを言うのだろう。稲さんのヴォーカルが生み出すうねるようなグルーヴはまるでワインディングを駆け抜けていくスポーツカーのような爽快さだし、縦横無尽に弾きまくる松ちゃんのエッジの効いたギターはいつ聴いても最高だ。要所要所でここぞとばかりに飛来するブラスも効果的で、“クエーッション!アーンサー!” というバック・コーラスもテンション・アップに一役買っている。聴けば聴くほどクセになる心憎いアレンジだ。
B'z「Q&A」MUSIC STATION


 “B'z の好きな曲BEST 10” は、90年代のポップ色の強いナンバーやバラッドが上位を占めるというほぼ予想通りの結果で(←「LADY NAVIGATION」はちょっと意外... 私は「Blowin'」が入ると思ってた...)、後半ではそこから選ばれた3曲を演ってくれたのだが、TVでは18年ぶりとなる「LOVE PHANTOM」(←イントロのツイン・リード・アレンジが新鮮!)、TV初披露の「裸足の女神」(←稲さんが松ちゃんにドリルを渡す時の表情がいい!)、リクエスト第1位の「ultra soul」(←エンディングで “ウルトラソウル、ハイ!” の3連発やってほしかったなー)という怒涛の神曲ラッシュに日頃のストレスも吹っ飛んだ。何かめっちゃ元気出たぞー\(^o^)/ やっぱりB'zは最高やわ。
B'z「LOVE PHANTOM - 裸足の女神 - ultra soul」MUSIC STATION


 Mステでは演らなかった残り3曲の新曲の中では「HEAT」が出色の出来。ちょうど「裸足の女神」を裏返しにした様なキャッチーなメロディーを持ったポップ・チューンで、名曲「恋心」の流れを汲む “昔ながらのB'z” 的な癒し系ナンバーだ。ガンガンとハードに迫るイケイケ・ロックだけでなく、このようにミディアム・テンポで親しみやすい爽やかなポップ・チューンをさりげなく作れる懐の深さがB'zの凄さだと思う。
B'z / HEAT


【特報】今夜9時からYouTubeでB'zの特番が(←MCはあの伊藤政則氏)、そして真夜中には読売テレビで(←関西在住でラッキー)「B'z Live-GYM Pleasure 2013 SP」が放送されます。いやぁ~、盛り上がってまいりました(^o^)丿 ファンの方は要チェックです!

ガールズ・スクール & ザ・メス / ポール・マッカートニー

2013-06-11 | Paul McCartney
 ポールのシングル盤はB面にも要注目だ。特に70年代にはオリジナル・アルバムにもベスト・アルバムにも未収録の隠れ名曲が少なくない。今日はそんな中から私的に愛聴しているロック・チューンを2曲取り上げよう。

①Girls' School
 この「ガールズ・スクール」はアルバム「ロンドン・タウン」のセッションでジミーとジョーが脱退する直前にレコーディングされたもので、アルバムには収録されず先行シングル「夢の旅人」のB面として発売されたのだが、イケイケのロックが三度の飯よりも好きな私はA面よりもこの「ガールズ・スクール」の方が好きだった。一方アメリカではイギリス色が強すぎる「夢の旅人」に代わってこの曲がA面扱いになり大いに期待したものだったが、結局全米チャートでは33位までしか上がらず、当時まだ高校生だった私は “何でこんなカッコエエ曲がヒットせんと、アホみたいな金太郎飴ディスコばっかり売れとるねん? アメリカン・チャートは終わっとるな...” と呆れたものだ。
 それにしてもこの曲名、日本人としては「ガールズ・スクール」と英語で言われても違和感はないが、要するに「女子校」である。こんなテーマで内容のある歌詞を期待する方がそもそも無理というもの。ということで小気味よいロックンロールに乗せてポールお得意の “特に意味はないけど音の響きがいい言葉” の速射砲が楽しめるワケだが、 私は“Yuki's a cool school mistress♪.”のラインの響きが大好きで、いつも “イケてる女教師のユキってどんな感じの女性やろ?” などと考えながら(←歌詞に日本人の名前が出てきただけで嬉しくなってしまうのは私だけ???)聴いている。
 演奏面はもう文句の付けようがないカッコ良いプレイの連続で、ウイングス全盛期の5人のラインナップがいかに凄かったかを痛感させられる。まさに黄金時代最後の輝きを音溝に刻み込んだかのような非の打ち所のないロック・チューンだ。ジミーならではのエッジの効いたハード・ドライヴィングなギター・プレイがとにかく気持ちエエし(←“The head nurse is Sister Scarla♪” の直後に間髪を入れず切り込んでくる尖ったフレーズが最高!)、シュアーでパワフルなビートを刻みながらガンガンプッシュするジョーのドラミングも実にスリリング(^o^)丿 ここぞ!という所で炸裂するリンダのピアノ連打も効果抜群だ。そんなノリノリの演奏にすっかり気をよくしたのか、ポールの方も随所に “アゥ!” とシャウトを交えながらロック・スピリット溢れるヴォーカルを聴かせてくれる。ライヴで演ったら絶対に盛り上がりそうなキラー・チューンだ。
 尚、オリジナル・アルバムに入っていないこの曲は「ロンドン・タウン」がCD化された際に、演奏部分を大胆にカットした(何と4:35→3:15!)エディット・ヴァージョンがボートラとして収録されたが、私としては全然物足りない(>_<)  脂の乗り切ったウイングスの “インストルメンタルな魅力” 全開のこの曲はやはりオリジナルのシングル・ヴァージョンで聴きたいものだ。
Paul McCartney Girl school lyrics (studio version)


②The Mess
 ウイングス史上 “ロックなポール” を楽しむなら何と言っても全米を制覇した75~76年頃の黄金のラインアップに限るが、世評があまり高くない第1期ウイングス(72年頃)も渋~いロック名演をいくつか残している。これはちょうどポールがウイングスを軌道に乗せようと精力的にヨーロッパ・ツアーを行っていた時期で、ライヴを盛り上げるためのアッパーなロック・チューンを大量生産する必要に迫られたポールが書き上げたのが「ハイ・ハイ・ハイ」であり、「ソイリー」であり、全米№1シングルに輝いた名バラッド「マイ・ラヴ」のB面に収められたこの「ザ・メス」なのだ。
 この曲にはスタジオ録音ヴァージョンは公式には発表されず、シングルに入っているのもライヴ音源という当時としては非常に珍しいリリース形態だったのだが、後に「USAライヴ」で陽の目を見た「ソイリー」同様にこの曲の魅力を100%伝えられるのはライヴ・ヴァージョンしかないとのポールの判断はまさに慧眼と言えるだろう。確かにラフで粗削りな演奏だが、そのことが逆に功を奏してスタジオでは再現不可能な生々しいグルーヴを生み出すことに成功しているし、オーディエンスのハンド・クラッピングもノリの良さに拍車をかけている。とにかく “熱い” のだ。こんな名演がシングルのB面だけで埋もれてしまうのは本当にもったいない。初期ウイングスの作品中で最も過小評価されている1曲だと思う。
 下に貼り付けたのはTVショー「ジェームズ・ポール・マッカートニー」からのライヴ映像だが、立ち上がって曲に合わせて踊りまくるオーディエンスの姿がこの曲の魅力を雄弁に物語っている。やっぱりポールはロックを歌ってる姿が一番カッコエエわ(≧▽≦)  そういえばこの曲を “力感あふれるストンプ(聴衆が興奮のあまり足を踏み鳴らすような曲)” と表現した評論を読んだことがあるが、実に的を得た言い方だと思う。
Paul McCartney & Wings - The Mess [Live] [High Quality]


 尚、公式にはリリースされなかったこの曲のスタジオ・ヴァージョンは実はちゃーんと存在していて「レッド・ローズ・スピードウェイ・セッションズ」というブートで聴けるのだが、ライヴ・ヴァージョンよりもかなりテンポを落として演奏されており、よりヘヴィーというか、演奏の重心が下がった印象だ。ブルースを得意とするギターのヘンリー・マッカロックの持ち味が存分に活かされたテイクと言えるだろう。又、ライヴでは使われていなかったピアノも多用されており、公式ヴァージョンとは全体的な雰囲気がかなり違っている。興味のある方はぜひ聴き比べてみて下さいな。
Paul McCartney and Wings - The Mess [Studio version] (1972)
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グッドナイト・トゥナイト & ゲッティング・クローサー / ポール・マッカートニー

2013-06-05 | Paul McCartney
 70年代ポールのシングル盤特集、今日はもっと評価されて然るべき2曲「グッドナイト・トゥナイト」と「ゲッティング・クローサー」です。

①Goodnight Tonight
 1970年代後半のアメリカはディスコ・ブームに浮かれており、この「グッドナイト・トゥナイト」が出た時は “ポールがついにディスコに手を染めた!” と大騒ぎになったものだったし、私も初めて聴いた時は “ポールが何で?” と思わざるを得なかった。しかし何度も聴くうちに有象無象のディスコ・ミュージックとは激しく一線を画す “曲のコアの部分” がハッキリと見えてきたのだ。
 つまり確かにディスコのリズムを巧く使ってはいるが、それはあくまでも表面的なものに過ぎず、根っこにあるのはまごうことなきマッカートニー・ミュージックだということ。ちょうどこのシングル盤に続くアルバム「バック・トゥ・ジ・エッグ」でパンク/ニュー・ウエイヴの、続く「マッカートニーII」でテクノのエッセンスを巧く取り入れたように、この曲でも時代の音に敏感なポールがディスコのリズムを借用してこの曲にメリハリをつけた、と考えるのが妥当だろう。
 ポールが凄いのはディスコであれ、パンク/ニュー・ウエイヴであれ、テクノであれ、その音楽をただ真似るのではなく、そのエッセンスをしっかりと吸収・消化し、自分のフィルターを通して再構築してポールにしか創れない音楽へと昇華させてしまうところだろう。ちょうど前年にストーンズがディスコ・ミュージックをストーンズ流に解釈して作り上げた「ミス・ユー」にも同じことが言えると思うのだが、やっぱり超一流と呼ばれる人達は違いますな(^.^)
 話を「グッドナイト・トゥナイト」に戻そう。この曲のサビメロは非常に単調なので、ポールはダンサブルなリズムや大胆な器楽アレンジによって曲に変化を付けている。特に要所要所で炸裂するフラメンコ・ギターは絶妙なスパイスとして効いているし、弾むように躍動するポールのベース・ラインもこの曲の名曲名演度アップに拍車をかけている。それ以外にもアレンジ面で様々なアイデアが詰め込まれており、聴き込めば聴き込むほど新しい発見がある楽しい作品に仕上がっているのだ。
 「グッドナイト・トゥナイト」は通常の7インチ盤だけでなく12インチ・シングルも発売され、そちらの方には7インチ・ヴァージョンよりも3分長いロング・ヴァージョンが収められていたのだが、コレがけっこうクセ者で7インチ・ヴァージョンにはなかった “Don't get too cold for love, don't pass it by, don't grow too old for love, it's a feeling that may never die~♪” という “幻の歌詞” が聴けるのだから要チェック。さすがはポール、ただ単に演奏部分を無意味に引き延ばしただけの冗長なロング・ヴァージョンとはワケが違うのだ。私はこの12インチ・ヴァージョンばかり聴いていたので、4分少々の通常ヴァージョンでは何かもの足りなく感じてしまう。
 この曲はビデオ・クリップも面白い。ウイングスのメンバーが1930年代風のコスチュームに身を包んでこのダンサブルな曲を演奏しているビデオなのだが、デニー・レインとローレンス・ジューバーのギター・ソロの掛け合いのシーンや間奏でメンバーが楽しそうにパーカッションを乱打しまくるシーンなど見所満載なのだが、私はデニー・レインのクルッと巻いた前髪が気になって気になってポールよりもそちらに目が行ってしまう。困ったものだ(笑)
Paul McCartney & Wings Goodnight Tonight (extended version) 1979


②Getting Closer
 ローレンス・ジューバーとスティーヴ・ホリーの加入によって再びライヴ可能なバンドとなったウイングスを率い、シングル「グッドナイト・トゥナイト」でディスコ・ビートを導入するなど創作意欲全開で80年代を目指したポールが自信を持って作り上げたアルバム「バック・トゥ・ジ・エッグ」からの第1弾シングルがこの「ゲッティング・クローサー」だ。
 私は「ヴィーナス・アンド・マース」からリアルタイムでポールを聴き始めた “遅れてきたビートルズ・ファン” で、それ以降の「スピード・オブ・サウンド」も「ロンドン・タウン」も盤が擦り切れるほど聴いた愛聴盤だったが、 “ロックなポール” が何よりも好きな私にとって、この「ゲッティング・クローサー」が初めてラジオから流れてきた時の衝撃は筆舌に尽くし難いモノがあり、干天の慈雨というか、ネコにカツオ節というか、まさにキタ━━━(゜∀゜)━━━!!! という感じだった。
 イントロなしでいきなりジャーン!で始まるインパクト抜群のオープニングは「ハード・デイズ・ナイト」以来ビートルズの専売特許となった感があるし、ポールの気合い十分のヴォーカルとカッチリまとまったタイトなバンド・サウンドが一体となって疾走する様は痛快無比のカッコ良さ(≧▽≦)  特に終盤の盛り上がりようは圧巻で、 “ロックなポール” の絶好調ぶりを満天下に知らしめる名演だ。
 ということで、音楽を前へ前へと押し進めていくようなドライヴ感溢れるポールお得意のキャッチーなロックンロールに私は完全KOされたのだが、全米チャートではあろうことか最高20位と信じられないくらいの惨敗で、当時まだ高校生だった私はまったくワケが分からず、 “何でこんなエエ曲が20位止まりやねん???” と納得がいかなかった。確かにこの曲は何の仕掛けも無いストレートなロックンロールで、「ヴィーナス・アンド・マース」や「スピード・オブ・サウンド」のようにアメリカン・マーケットを狙ったサウンドではなかったものの、これだけノリの良いロックンロールならトップ3入りは確実と思っていただけにガッカリしたが、きっと当のポール本人も思いは同じだったろう。今にして思えば、私の音楽人生で初めて全米チャートに不信感を抱いたのがこのシングル不発事件(?)だった。
 それと、この曲のプロモ・ビデオ監督は上記の「グッドナイト・トゥナイト」や「カミング・アップ」といった名作を撮ったキース・マクミランなので悪かろうはずはないのだが、この PV に関してはやや凡庸で、インパクトに欠けるというか、イマイチ創意工夫が足りないように思う。演奏シーンのカメラ・ワークは単調で芸がないし、トラックを運転するシーンも何なん、コレ?という感じ。そのせいかどうかは知らないが、曲が圧倒的に素晴らしいにもかかわらずポールのソロ・キャリアを総括した「アンソロジー」DVDに収録されていない。まぁ「ロケストラ・セッション」のコンプリート映像などと併せて「バック・トゥ・ジ・エッグ」単独の作品としてDVDリリースしてくれれば問題ないのだが... あっ、それともアーカイヴ・コレクションのスーパー・ウルトラ・デラックス・エディション(笑)にでも入れるつもりかな?
Paul McCartney - Getting Closer (1979)
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