shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Beatles Uke / Greg Hawkes

2009-07-18 | Beatles Tribute
 以前にも書いたことがあるが、新聞、テレビ、雑誌の類を見ない私は非常に情報に疎い。新譜情報から来日情報、訃報に至るまで、何か余程の偶然が重ならない限り他人様よりも確実に後れを取っている。まぁそれで死ぬわけじゃなし、と半ば諦めているのだが、音楽中心生活で新譜情報に疎いのは辛い。まぁビートルズやレッド・ゼッペリン級のビッグ・アーティストになれば放っておいてもアマゾンやHMVのトップ・ページを飾ってくれるので安心なのだが、問題なのは私が追い求めている “面白ビートルズ・カヴァー” 盤である。こういった超マイナー盤はトップ・ページはおろか活字にすらならないことが多い。そこで私は去年あたりからアマゾン・ジャパン、アマゾンUS、HMV、そしてヤフオクで定期的に “ビートルズ・カヴァー・サーチ” を実行している。何のことはない、ただ検索BOXに “Beatles” と打ち込んでサーチするだけなのだが、これが結構うまい具合に機能して、例の “この商品を買った人はこんな商品も買っています” と併用すればほぼ無敵(笑)、これまで掘り出し物を何枚も見つけることが出来たのだ。この「THE BEATLES UKE」も最新の検索で網に引っ掛かってきた1枚である。
 THE BEATLES UKE??? 何じゃそれはぁ~、と思われた方も多いだろう。 UKE とは “ユーケー” でもなければ “ウケ” でもなく、 “ウキ” と読む。英語でウクレレの愛称のことである。ビートルズとウクレレと言えば日本制作のアホバカ盤「ウクレレ・ビートルズ」が脳裏をよぎり不吉な予感がしたが、サイトで試聴してみるとこれがもう文字通りウキウキするような演奏だったので早速オーダーした。
 届いたCDの裏ジャケットに写っている人物にはどこか見覚えがあるぞ... グレッグ・ホークスって、もしや... いやそんなバカな... と思って恐る恐る英文を読むと “ザ・カーズの音の魔術師が複数のウクレレとスタジオ・テクノロジーを駆使してビートルズ・クラシックスの数々のめくるめく新解釈の世界を生み出しています” とある。やっぱり... カーズでシンセサイザーを担当し、その近未来ポップンロール・サウンドの立役者だったと言っていい人だ。キーボードを弾いてる姿しか思い浮かばないのだが、そんな彼がウクレレでビートルズを弾いているとは... 期待に胸が高鳴る(^.^)
 曲目を見てまず思ったのは青の時代(後期)の曲が15曲中11曲と圧倒的に多いこと。何かワケがあるのだろうか?①「ペニー・レイン」は素朴なウクレレの持ち味をストレートに表現した演奏だが、ラスト5秒のテープ逆回転のようなサイケなサウンドは何なのだろう?何かワカランけど、最後の最後でゾクゾクッときてしまった(>_<) ②「アンド・アイ・ラヴ・ハー」は原曲がアコースティックな作りだっただけあって殆ど違和感を感じずにスムーズに聴ける。③「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」、ウクレレの歪んだような音色がサイケな薫りを増幅させる。特に後半部の音作りには目も眩む。こんなに凝りまくった “イチゴ畑” カヴァー聞いたことないわ... (゜o゜) ④「ヒア・カムズ・ザ・サン」は②と同様にアコースティックな原曲に忠実なアレンジがなされていて心にすんなり入ってくる。それにしてもウクレレだけでこんなサウンドよう作るなぁ...(^.^)
 ⑤「エリナー・リグビー」、コレめっちゃカッコイイ!!!!! メロディーを爪弾くリード・ウクレレ(?)も正確無比にリズムを刻み続けるリズム・ウクレレ(?)も全てが完璧だ。この曲はなぜかカヴァーの名演が多発するのだが、このヴァージョンはそんな中でもかなり上位にランクされるべき素晴しい演奏だと思う。⑥「ビーング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト」はある意味このアルバム中一番ビックリしたというか感心したというか、とにかく当時のスタジオ技術の粋を集めたあのペパーズ・サウンドをウクレレを駆使することによって再現しているのだ。とくにサーカスの効果音のくだりには唖然とする。グレッグはライナーの中でウクレレを何本も使ってマルチトラックで録音するこの方法を “ウキシンフォニック・スタイル” と呼んでいるが、まさにこれはウクレレ・オーケストラと言っていい音作りだ。
 珠玉のメロディーを淡々と綴っていく⑦「フール・オン・ザ・ヒル」、まるでオモチャの潜水艦といった風情の⑧「イエロー・サブマリン」に続く⑨「ピッギーズ」はマルチトラックで響きわたるウクレレのユニゾンがめちゃくちゃカッコ良い、予想外の大名演!正直ウクレレがこの曲にこんなに合うとは思わなんだ。エンディングのブタの鳴き声にもワロタ(^o^)丿 ⑩「シーズ・リーヴィング・ホーム」では何と言ってもジョンとポールがハモるパートやバックのストリングスまでウクレレで再現しているところがニクイ。あのイントロもウクレレにピッタリやし、この人、相当なビートルマニアやね(≧▽≦) 
 ⑪「ハニー・パイ」はウクレレならではの軽妙洒脱な味わいが絶品だし、⑫「フォー・ユー・ブルー」もビートルズ好きには堪えられないアレンジで、何本ものウクレレを駆使して紡ぎ出されるサウンドが圧巻だ。ある意味選曲の勝利と言ってもいいかもしれない。⑬「イエスタデイ」は奇をてらわないシンプルな演奏が好感度大。ホンマに音楽を知り尽くした人やということがよ~く分かる。⑭「ブルー・ジェイ・ウェイ」はストレートに旋律を弾きながらも随所で炸裂するサイケな音作りが嬉しい。ラストの⑮「グッドナイト」はシメに相応しい素朴な演奏で、それぞれ違った音色を奏でる何本ものウクレレが絡み合う様はもう見事という他ない。
 何度も槍玉にあげて申し訳ないが、どこぞの国の「ウクレレ・ビートルズ」なんか足元にも及ばないくらい素晴らしいこのアルバム、真のビートルズ好きに自信を持ってオススメしたい1枚だ。

Greg Hawkes' Eleanor Rigby
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