shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

モノラルのブラジル盤で聴く「Abbey Road」

2019-03-29 | The Beatles
 「モノラルのブラジル盤で聴く」シリーズ第3弾は「アビー・ロード」だ。本国イギリスではオリジナル・アルバムとしてはこのアルバムからステレオ盤オンリーになったわけで、世界的に見ても「アビー・ロード」のモノラル盤がリアルタイムでリリースされたのはブラジルのみ(←イギリスではモノラル・ミックスのオープンリール・テープが発売されたらしいが...)のようだ。
 「アビー・ロード」といえばシンフォニックなサウンドのイメージが強いので、それをモノラル盤で聴いたらどんな感じだろうと興味を持った私は「ラム」「ヘイ・ジュード」に続くターゲットとして早速 Discogs で検索。ブラジル盤らしくGやらG+が並ぶ中で1枚だけ VG+盤が出ており、しかもその商品説明に“Excellent copy almost without any hiss.”(盤質良好でほとんどヒスノイズ無し)とあったので即決。€50が高いのか安いのか分からなかったが、ブラジルのセラーにしては送料が €22と安かったので買いを決めた。
 届いた盤は前回の「ヘイ・ジュード」と同じくブラジル独自のサンドイッチ式ジャケット(←背表紙が無く、ビニールでペラペラの表ジャケと裏ジャケを包んである...)で、裏ジャケにもレーベルにも Her Majesty 表記は無い。一体どんな音で鳴るのか興味津々で盤をターンテーブルに乗せ、針を落とした。
 まず A①「カム・トゥゲザー」だが、ベースがゴツゴツした岩のようにドドドッと迫ってくる様はこれまで聴いたことのない面白さで、まさにベースがブンブン “唸る” という形容がピッタリの怪演だ。A②「サムシング」ではリンゴがパワーアップして “スーパー・リンゴ”(笑)になったような感じで、とにかくドラムスのアタック音が強烈。これぞモノラルの醍醐味である。ベースの重低音がズシリズシリと響く A③「マックスウェルズ・シルバー・ハマー」はポールのヴォーカルがめっちゃ近く感じられてビックリ。ただ、シンセの音は当然ながらステレオ盤と比べるとかなり控えめだ。
 A④「オー・ダーリン」ではポールのシャウトが火の玉ストレートとなってスピーカーから飛び出してくる。まさに硬質な音像が眼前に屹立するといった按配だ。A⑤「オクトパス・ガーデン」はポールの独創的なベース・ラインの妙技を存分に味わえるところがいい。ただ、例のブクブクという効果音はかなり引っ込み気味だ。A面で一番ステレオ盤との違いを感じたのが A⑥「アイ・ウォント・ユー」で、ステレオ盤の “左右にフワーッと広がって音の海に飲み込まれるような感じ” とはまったく異なり、音の世界がやや平面的で小さく感じられてしまうのが難点。高域の伸びもイマイチで、この曲にモノラルは合っていないと思った。
 B①「ヒア・カムズ・ザ・サン」ではポールのベースがしっかりと自己主張しており、まるでジョージのヴォーカルとタイマン勝負しているように聞こえるところが実にユニーク。いやぁ~、ブラジル盤って結構オモロイわ(^.^) しかし B②「ビコーズ」はイマイチ。B③「ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー」も悪くはないが何か違和感があるし、B④「サン・キング」もステレオの方が合っている。
 B⑤「ミーン・ミスター・マスタード」~B⑥「ポリシーン・パン」~B⑦「シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウインドウ」と続くあたりはB面の大メドレーの中で唯一モノラルに合っていると思えたパートで、それまで休憩していた(?)リンゴが俄然張り切り出したように聞こえるのが微笑ましい。やはりロック色が強いトラックとシンフォニックな色合いの濃いトラックではモノラル・サウンドとの相性が段違いだ。
 B⑧「ゴールデン・スランバーズ」~B⑨「キャリー・ザット・ウエイト」~B⑩「ジ・エンド」と続くパートは音場が狭いモノラルには不向きで、“これじゃない感” が濃厚に漂う。ただ、B⑩におけるリンゴのドラム・ソロをモノラルのドスンとくる力わざで楽しめたのはよかった。 B⑪「ハー・マジェスティ」はステレオの方がいい。
 ということで、稀少なモノラル盤「アビー・ロード」を聴いてみて感じたのは、A面はモノラルで聴くと結構新鮮で面白いが、B面の大メドレーはやっぱりステレオの雄大なサウンドが合っているなぁということ。これは想定の範囲内ではあったが、実際に聴いてみると何曲か面白いトラックもあったので、ビートルズ・コレクションの中にこういうのが1枚ぐらいあってもエエかな...というのが正直な感想だ。よって満足度の点数評価は70点ぐらいか。

モノラルのブラジル盤で聴く「Hey Jude」

2019-03-25 | The Beatles
 「モノラルのブラジル盤で聴く~」シリーズ第2弾は「ヘイ・ジュード」だ。60年代の後半というのはちょうどモノラルからステレオへの過渡期と言える時期で、アメリカを含む多くの国々では「ホワイト・アルバム」から本格的ステレオ時代に突入(←私の知る限り「ホワイト」のモノ盤がリリースされたのはUK、オーストラリア、スペイン、コロンビア、アルゼンチン、ブラジルの6ヶ国のみ)、“モノラル盤は時代遅れ” というのが世界の趨勢だったようだ。
 一般的に “エコーが強くて音像が広がる” のを好む傾向にあるアメリカ人と違い、“隙間のないソリッドな音の塊” を好む人が多いと言われるビートルズの母国イギリスではステレオ・オンリーへの移行はもう少し後で、モノラル/ステレオの分水嶺は「ヘイ・ジュード」//「ジョンとヨーコのバラード」、アルバムが「イエロー・サブマリン」//「アビー・ロード」ということになるのだが、私のようなモノラル盤信者はついつい “出来ることなら「アビー・ロード」以降のアルバムもモノラルのごっつい音で聴いてみたい...” という“無いものねだり”をしてしまう。そしてそんな願いを叶えてくれるのが、ブラジルを始めとする南米諸国でリリースされたモノラル盤なのだ。
 Discogsによると、1966年から1972年の間にブラジル・オデオンからリリースされたモノラル盤はすべてステレオ・ミックスをモノにしただけの“偽モノ”(←ちょうど「イエロー・サブマリン」の UKモノラル盤と同じ手法)なのだが、唯一の例外がこの「ヘイ・ジュード」LPで、既にブラジルにあったシングル盤用のモノ・ミックスを使ってこのレコードを製作したのだという。つまり「ジョンとヨーコのバラード」と「オールド・ブラウン・シュー」以外の曲はすべて純正モノ・ミックスで作られているという実にユニークな「ヘイ・ジュード」LPなのだ。
 まずA①「キャント・バイ・ミー・ラヴ」とA②「ユー・シュッド・ハヴ・ノウン・ベター」の2曲は初期ビートルズのモノラルらしい元気溌剌とした煌びやかなサウンド。特に①に関してはブラジル盤「ア・ハード・デイズ・ナイト」に入っている同曲が何故かめちゃくちゃ籠った音だったので、シングル音源を採用して大正解だ。A③「ペイパーバック・ライター」は高域の伸びが今一歩だが、分厚い中域のおかげでモノラルらしい押し出し感の強いサウンドが楽しめる。もちろん UKシングルのラウドカットには負けるが、コレはコレで十分健闘していると言っていいと思う。
 A④「レイン」はジョンのヴォーカルがめっちゃリヴォッてて聴いてて実に楽しい。ブラジル盤はトラックによる出来不出来の差が大きいことが多々あるが、私はこの曲の音作りがA面では一番面白かったし、サイケなビートルズが好きな人は一聴の価値アリだ。A⑤「レディ・マドンナ」はA③と似た音作りで、ガンガンくる武骨なモノラル・サウンドが◎。A⑥「レヴォリューション」はイントロのギターがめっちゃラウドに響き渡ってごっつうエエ感じ。この曲のハードロック的側面が強調された豪快なサウンドだ。
 B面では何と言ってもB①「ヘイ・ジュード」が断トツに面白い。前半部のポールのヴォーカルもパンチ力十分で、“ブラジルのモノ盤も大したもんやん...” と感心していると、後半部のリフレインはもっと強烈で、まるでコーラス隊の人数が増えたかのような錯覚を覚えるほどの大熱演。まさにリオのカーニバルさながらの大騒ぎである。コレはめっちゃエエわ(^o^)丿  B面残りの3曲はまぁ予想通りと言えば予想通りのモノラル・サウンド。さすがにB①ほどの熱量は感じられないが、音圧は必要にして十分で、モノラルならではのド迫力サウンドが十分に堪能できた。
 というワケで、このアルバムの満足度を点数化すると、前回の「ラム」を軽く上回る75点ぐらいか。もう少し点数をあげていいかもとも思ったが、後に控える遥かに強力な轟音盤との相対的な比較を考えると75点あたりが妥当な評価だと思う。

モノラルのブラジル盤で聴く「RAM」

2019-03-21 | Paul McCartney
 コレクターにとって探し物のないレコード・ライフほどつまらないものはない。もちろん欲しい盤を手に入れるために昼夜を問わず海外オークションのサイトをこまめにチェックしているわけだが、かといってウォント・リストの最後の1枚を手に入れてしまったら、その後はきっと目標を失ってしまって空虚な日々が待っているに違いない。未聴の盤とのスリリングな出会いこそがコレクターの生きがいなのだ。
 かく言う私も去年の夏頃、ビートルズ各国盤の目ぼしいところはほぼ手に入れてしまい、世界の国一覧表を眺めながら “これから俺は一体何を楽しみに生きていったらエエんや???(←大袈裟な...)” と途方に暮れかけていたのだが、そんな時ある考えが閃いた。そうそう、ビートルズにはまだソロ作品が山のようにあるではないか! よっしゃ、次はビートルズ・メンバーのソロ作品を各国盤で集めてやろう… こう考えると俄然元気が出てきた。
 最初のターゲットはポールの最高傑作にして我が “無人島ディスク” 候補筆頭の「ラム」である。その時点で持っていた「ラム」はUKオリジナル盤だけだったので、ビートルズ各国盤蒐集で培った知識を駆使して音が良さそうな国の「ラム」を軒並みゲットしていったのだが、一つだけ心に引っ掛かっていたのが「ラム」のモノラル盤の存在だった。
 「ラム」のモノラル・ミックスはもちろん2012年のスーパー・デラックス・エディションに入っていた CDで聴けるが、あれは最新のテクノロジーでリマスターされたハイテク・モノラル・サウンドであり、アナログ・レコードならではの古き良きモノラル・サウンドとは似て非なるもの。モノラル大好き人間の私としては是非ともヴィンテージなモノラルの轟音で「ラム」を堪能したい。
 ということで「ラム」のリリース当時に出たモノラル盤LPを探したところ、2種類しか存在しないことが判明した。すなわちプロモ・オンリーの US盤とブラジル盤である。ビートルズのコレクターとしては当然前者の方に魅かれるが、一説によるとこの USプロモ盤はアメリカ国内の AMラジオステーション用に作られたものでプレス枚数は100枚以下というから、コレはもう金パロステレオ盤よりも稀少なスーパー・ウルトラ・コレクターズ・アイテムである。今現在も1枚だけ Discogsに出ているが、お値段は何と驚愕の166万円… 宝くじでも当たらない限り買える金額ではない。
 ということで私の興味関心はもう一方のブラジル盤に向かったのであるが、そもそも私のブラジル盤に対する心象はあまり良くない。10年ほど前にポルトガル語入りのジャケットが珍しいという理由だけで衝動買いした「ア・ハード・デイズ・ナイト」のブラジル盤がピッチの狂った変な音で、それ以降ブラジル盤は1枚も買っていないのだ。だから今回も“「ラム」のモノラル盤は聴いてみたいけど、ブラジルはちょっとなぁ...” という感じで二の足を踏んだのだ。
 しかしよくよく考えれば私のガラード401にはピッチ・コントロール機能が付いており、万が一ピッチが変やったら調節したらエエだけの話。それに USプロモ盤の「ラム」が買えない以上、ブラジル盤は私にとって「ラム」を大好きなモノラル・サウンドで聴ける唯一の選択肢なのだ。イジイジと迷っている場合ではない。
 ということでブラジル盤を買うぞと心を決めていつものようにネット検索すると、eBay に1枚だけ VG+の盤が $62で出ていたので9掛けの $55でオファーしたところ、めでたく承認されて $25というブラジルにしては安い送料(←ふつう$30~40ぐらい取られる...)と併せても1万円を切る値段で買うことが出来た。
 69年~71年頃のブラジルのモノラル盤(←カタログ№のアタマはBTL- か BTX-)はステレオ盤から作った(←英語で fold down というらしい...)いわゆるひとつの “偽モノ” なのだが、同じ偽モノのUK盤「イエロー・サブマリン」が結構ごっつい音で楽しめたので今回も密かに期待しながら聴いてみた。
 まず1曲目のA①「トゥー・メニー・ピープル」のイントロがガツン!ときてめっちゃ気持ちイイ(^o^)丿  これぞモノラルの醍醐味である。しかしヴォーカルが入ってくるとイントロで荒ぶっていたサウンドが少しおとなしくなってしまい、聴いてるこちらとしては何か狐につままれたような感じ。まるで、録音時に我々ド素人が時々やるように、イントロで針が振り切ってしまってヤバそうやから歌の始まる所でちょっと入力ヴォリュームを下げた... みたいなそんな感じなのだ。事の真相は分からないが、何にせよやっぱりブラジル盤はちょっと変だ(笑)
 A面を聴き進んで行って感じたことは、ドラムスが奥に引っ込んでいて逆にピアノが前に出てくるように聞こえること。だからA④「ディア・ボーイ」なんか実に気持ち良く聴けてしまうのだが、その一方で、私が「ラム」で大好きなポイントの一つであるリンダのバック・コーラスがステレオ盤ほど目立たないのでA⑥「スマイル・アウェイ」なんかは魅力半減だ。
 B面では何故かB③「イート・アット・ホーム」だけ音が籠っているように聞こえるのがマイナス・ポイント。B④「ロング・ヘアード・レディ」になると音が回復するのも謎だ。全体的にモノラル特有のガッツというかエネルギー感は今一歩だが、カートリッジをモノラル専用のものに変えるとこの欠点はかなり改善される(←B③だけは何をやってもダメだが...)ことが分かった。
 というワケで私にとって10年ぶりのブラジル盤は可もなし不可もなしという感じで点数を付ければ65点といったところ。ただ、この盤をきっかけに私のブラジル・モノラル盤に対する関心が高まり、その結果としてとんでもなく凄い轟音盤に巡り合うことになるのだが、それはまた別のはなし...(^.^)

「Band On The Run」UKマト3/3盤の衝撃

2019-03-15 | Paul McCartney
 先日いつものように B-SELS にお邪魔して色々とレコードを聴かせていただいていた時のこと、アルバムを一通り聴き終えて “次は何が出てくるのだろう?” と楽しみにしていると店主の Sさんがいきなり「バンド・オン・ザ・ラン」をかけられた。
 そのイントロを聴いた瞬間に “自分の知ってる「バンド・オン・ザ・ラン」と何か違う!” と直感した私が Sさんに “これ、どこの国の盤ですか?” と尋ねたところ、 “おっ、もう気が付かれましたか。実はこれ、UKのマト3盤なんですよ。” と嬉しそうに仰る。
 UK盤「バンド・オン・ザ・ラン」といえば何と言ってもレアな両面マト1のラウドカット盤が有名で、一般的には両面マト2の盤が流通していることは知っていたが、マト3なんて聞いたこともない。しかし今お店のスピーカーから流れている「バンド・オン・ザ・ラン」は明らかにめっちゃ良い音で、それも私が所有しているラウドカット盤とは又違った種類の “良い音” なのだ。
 誤解を恐れずに言えば、昔よく行ったオーディオ・ショーで聴いたような、まるで “レコード盤に入ってる音は全部出す...” といった類の “高音質盤” で、お店の DENON製のプレイヤーがまるでリンのハイエンド・プレイヤー、ソンデック12LPのような音を出したのだからビックリするなというのも無理な話。マトリクス№は何と手書きの ZYEX 929-3 / ZYEX 930-3 で、A面にのみ同じく手書きで Blairs と彫ってある。ということはマト1やマト2盤とはマスタリングやカッティングはもちろんのこと、ひょっとするとミックスまで違うのか???
 Sさんによるとどうやらこの盤は Philipsプレスらしいとのことなので、ようやく音の良さに合点がいった。Philips といえばヨーロッパ・オーディオ界のドンというか盟主的存在であり、音に対する拘りようはハンパない。ジャケットにもレコードにもフィリップスのフィの字も書いていないが、センター・レーベルの溝(←昔の盤で言うところの Deep Groove)の形状と直径から判断したとのこと。因みに帰って手持ちの Philips盤の DGの直径を計ってみたところすべて同じ形状で直径3cmだった。いつもながら Sさんの “レコードのプロ” としての眼力には唸らされますわ... (≧▽≦)


 レコード両面を聴き終え、やみくもにこの盤が欲しくなった私は “これいつ頃店に出されるんですか? 大体いくらぐらいになりますかねぇ?” と尋ねてみたところ、“まだ決めてないんですけど、お店にあるマト1のラウドカット盤と同じくらいかなぁ。一度ご自分でこのレコードのことを調べてみられたらどうですか? 多分もっと安く買えると思いますし、探す楽しみもあるでしょう?” とのこと。う~ん、ごもっとも。初めて聴かせていただいたその場で買うのは簡単だが、Sさんが仰るように自分で探して安くゲットしてこそコレクターというもの。知り合ってまだ5ヶ月しかたっていないが、Sさんは何から何までお見通しのようだ。それより何より、せっかくこれからお店に出そうという目玉商品を横からかすめ取るようなマネはできない。
 というわけでコレクター魂に火がついた私は(←何か最近しょっちゅう着火しとるな...)帰って早速ネットで検索したところ、このマト3盤は Export Issue(輸出仕様)で、やはりミックスが違うらしくマト1とは対照的な雰囲気があるとのこと。「バンド・オン・ザ・ラン」にミックス違いがあるとは初耳だ。これは絶対にゲットせねば。因みに東京の某店では 19,440円で売約済みだった。
 色々探してみたところ Discogsには数枚この盤が出品されていたが、盤質が怪しかったりヤバそうな出品者だったりでリスクが大きい。お店で聴かせていただいた盤は NM盤だったので、やはりここはピカピカ盤が欲しい。そもそもココに出品しているセラーはマト番に無頓着な連中が多いので、マト番違いの盤を送りつけられてはたまらない。
 焦ってカスを掴みたくなかったので、次に eBay で探してみると1枚だけ出品されており、しかもラッキーなことにワンオーナー盤で盤質表記も EXだ。£25でも十分安いと思ったが OFFER 表示があったのでいつものように9掛けの£22.5でオファーしてみた。
 結果を待つ間、テレビ録画しておいた刑事コロンボを観て時間をつぶし(←久々に見た「パイルD3の壁」面白かった...)、再びパソコンをつけると Offer Accepted メールが eBayから届いており、結局初めて聴かせてもらってからわずか半日という電光石火の早ワザで「バンド・オン・ザ・ラン」の UKマト3盤をゲット。送料込みで約4,500円だった。
 それと、セラーの商品説明に “Have heard mentioned that this matrix indicates an export copy but as this was bought in Dartford I have my doubts...”(このマト番は輸出仕様って言われてるのを聞いたことがあるけど、この盤は私がダートフォードで買ったもので、輸出云々っていうのは疑わしい...)と書いてあったこともあって、このマト3盤の謎はいよいよ深まるばかりだ。
 届いた盤はセラーの説明通りの極上コンディション。ベースが太く、ギターもエッジが効いており、1つ1つの楽器がくっきりとした音像を持って立体的に迫ってくる。音圧はマト1盤よりもほんのわずか低いものの、その分レンジが広くて音の響きもナチュラル。クリアー&クリスプでありながら尚且つ腰の据わった粘っこい音がスピーカーから飛び出してくるのだから、これは実に衝撃的だ。
 私は単純な性格なのでオリジナル盤というとついついマトリクス№の若い盤ばかりを追い求めてしまうのだが、こういう盤の存在を知ってしまうと一概にマト番が若ければ良いとは言い切れないな、とまた一つ勉強になった。Sさん、良い盤を教えてくれてホントにどうもありがとう!

【3.17追記】
 ブルーレイ・レコーダーのおまかせ録画をチェックしていたら「ららら♪クラシック」という番組が録画してあったので不思議に思いながら見てみると、“クラシック音楽の視点から見たビートルズ” という内容で “クリシェ” とか “対位法” といったテクニックがどのようにビートルズの音楽に活かされているかをド素人にもわかりやすく解説してあってめっちゃ面白かった。ジャイルズ・マーティンによる解説もあったので興味のある人は 3/21(木)の10:25からNHKのEテレでやる再放送を見てみてくださいな。

Roots / John Lennon

2019-03-12 | John Lennon
 ジョン・レノンの「ルーツ」というアルバムは、ジョンがフィル・スペクターをプロデューサーに迎えてレコーディングしたロックンロール・オールディーズ・カヴァー・アルバムのラフ・ミックス・マスター・コピーを当時「カム・トゥゲザー」の盗作騒動で揉めていたモーリス・レヴィという人物に(多分お詫びのしるしとして)あげてしまったものをレヴィが自分の通販レーベル “アダムⅧ” から勝手にリリースし、これに激怒したキャピトル・レコードがすぐに販売差し止め訴訟を起こして勝訴、結局短期間(←たったの3日間らしい...)だけ市場に出回った(←3,000枚という説が有力だが裁判所の公式記録では1,270枚とのこと)「ルーツ」は法外なプレミア付きで取り引きされているというのが現状だ。
 私が持っているのは中学生の時にこのレコードに関するややこしい諸事情など全く知らずに大阪ミナミにあった「ウッドストック」という輸入レコード屋で買ったもので(←多分1,800円ぐらいやったと思う...)、市場に出回っている盤のほとんどがカウンターフィット盤、すなわち偽物であるという無慈悲な現実を知ったのはそれからずっと後のことだった。自分としては本物であろうが偽物であろうがジョンが歌う炎のロックンロールが聴けるだけで十分だったが、その後更に高音質なブートCDを手に入れたこともあっていつしかこの盤はレコード棚の奥で埃をかぶるようになっていた。
 で、つい先日レコード棚を整理していた時のこと、ブートレッグ盤のコーナーに入れてあったこのレコードに目が留まり、久々に聴いてみようという気になった。しかし “まぁカウンターフィット盤やから大したことなかろう...” という私の予想に反し、A①「ビー・バップ・ア・ルーラ」の出だしでジョンの “ウェ~♪” がスピーカーから怒涛の勢いで飛び出してきたのにはビックリ。パチもん(←関西でイミテーションのこと)の分際でえらい生意気な音しとるやんけ...と思いながら聴き進めていったのだが、どの曲も実に生々しいサウンドで、調子に乗ってヴォリュームを上げていくと、リスニングルームはまさに音壁ワンダーランド、ロックンロール名曲絵巻、掟破りの盗作騒動、究極のロック・ヴォーカル数え歌、アックスボンバー三つ又の槍(←何じゃそりゃ)と化したのである。盤起こしでこの音はありえない。
 A面を聴き終えた私がすぐにデッドワックスをチェックしたところ、そこには何と Bell Sound の刻印が...(゜o゜)  いくら何でもベル・サウンドがカウンターフィット盤作っとるはずないし(笑)、まさか本物ちゃうやろな???とワケが分からなくなってきた私はすぐにネットで本物と偽物の識別法を調べてみた。
 Discogsによると、偽物の特徴は以下の9つ:
①スパイン(背表紙)の表記が GREAT ではなく GREATEST になっている
②ジャケットが(60年代キャピトル盤仕様の)貼り付け式になっている
③ジャケットのジョンの左肩部分に薄いピンク色の部分が見えていない
④ジャケット右下のSTEREOの文字がそれぞれくっついている
⑤裏ジャケの SOUL TRAIN SUPER TRACKS の広告の文字が不鮮明で読めない
⑥レコード盤が異常に分厚い
⑦センター・レーベルが異常にデカい
⑧デッドワックス部分に機械打ちの Bell Sound 刻印が無い(ただし、刻印ありのカウンターフィット盤の存在も確認されているとのこと)
⑨本物のマトリクス№は「A 8018 A / A 8018 B」だが偽物には両面とも最初の A が無い
 私の盤は①②③④⑥⑦⑨はクリアしているが⑤に関しては微妙で、老眼が進んでいるせいか私には虫眼鏡が必要だ(笑) ⑧に関しては何とも言いようがないので、“困った時の B-SELS 頼み” の私は信頼する Sさんに鑑定を依頼することにした。
 その週末に B-SELS にこのレコードを持ち込み Sさんに手渡すと、“私も本物は見たことがないので鑑定はできませんが、Bell Sound の刻印やったら分かります。” とのこと。Sさんによると US盤の「レット・イット・ビー」は偽物が多く出回っているので、しっかりと識別するためにわざわざカウンターフィット盤を何種類も買って研究したというから凄い。そんな Sさんがルーペを使ってデッドワックス部分に刻まれた Bell Sound 刻印を、お店にあった本物「レット・イット・ビー」の刻印とも見比べながらじっくりと時間をかけて鑑定。結果は “本物で間違いありません。” とのこと。早速お店のプレーヤーでかけてもらったのだが、やはり Bell Sound カッティングならではの Hi-Fi サウンドが爆裂、二人して大盛り上がりしたのは言うまでもない(笑)
 ということで私の持っている「ルーツ」は限りなく本物に近いということが分かったのだが(←少なくとも盤に関しては本物やと思う...)、まだ少しだけ疑ってる自分がいるのも確か。これはあくまでも私の推測だが、もっともっと売りまくるつもりでプレスしていたのが裁判で負けてしまい、デッドストックとなってしまった盤をレヴィが横流ししたものがたまたま日本に入ってきたのではないか。まぁ真相は薮の中だが、本物であれよくできた偽物であれ、自分としてはこれを売る気はさらさらないので別にプレミアの高値が付こうが付こうまいがどうでもいい。先に書いたようにオリジナル盤ならではの骨太なサウンド(←ここ重要!)でジョンのロックンロールが聴けるだけで大満足なのだから。

ビートルズのインド盤特集リターンズ・アゲイン!

2019-03-06 | The Beatles
 前回前々回と久々にビートルズのインド盤を取り上げたので、他のインド盤もこの際だから一気聴きしてしまおうということで、「サージェント・ペパーズ」「アビー・ロード」「レット・イット・ビー」の後期3作を取り上げたい。
 まずは「サージェント・ペパーズ」だが、見開きスリーヴのUKオリジナル盤とは違ってインド独自のシングル・スリーヴで、センター・レーベルはUKと同じイエロー・パーロフォン。マトリクス№もUK盤と同じ“YEX 637-1 / YEX 638-1” だ。「アナログ・ミステリー・ツアー」には “高域の倍音が多く中低域も充実。ストリングスに対する反応がすごく良い。” と書いてあったが、私が聴いた限りでは特に大きな特徴が感じられなかったので、いつものように B-SELS に持ち込んで店主の Sさんと一緒に再試聴、一通り聴き終わった後で “それではUK盤と聴き比べてみましょう” ということになり、チューブ・カットの一番オイシイところを聴ける UKシルバー・パーロフォン盤(ワンEMIボックス)と交互にかけてみたところ、インド盤は左右の広がり感がかなり強いのに対しUK銀パロ盤は同じステレオでも音がセンター寄りでより自然なステレオ感が得られることが判明。特にアルバム・タイトル曲のA①のイントロが一番違いが分かりやすかった。尚、家に帰ってUKイエロー・パーロフォン盤を確認したたところ、その音作りは銀パロと同じセンター寄りのステレオ・ミックスだったので、あの左右にブワーッと広がる音はやはりインド盤独自のサウンドということになる。
 それと、ガチのインド音楽であるB①「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」はさすがというべきか、このインド盤のサウンドの方が合っていて、聴いてて思わず鼻唄でハミングしてしまうほどカンファタブルな音に聞こえたのでビックリ。どこがどう違うのかはよく分からないが、このアルバムを聴く時についつい飛ばして聴いてしまうこの曲を(←ごめんね、ジョージ...)最後まで気持ち良く聴けてしまった。別にインド盤ということで意識したつもりはないのだが...(>_<)  それ以外はUK盤に倣った音で、やはりそれほど大きな違いは感じられなかった。
次に聴いたのが「アビー・ロード」。気になる “Her Majesty” 表記だが、ジャケットには無くてセンター・レーベルにはあるタイプで、マトリクス№は“YEX 749・2・1 02229 / YEX 750・1・1 02230” というローカル・リカットだ。「アナログ・ミステリー・ツアー」では “ピッチが上がっており再生時に調整が必要。真空管カッティングが功を奏したのか硬質な印象のあった本作が優美な音で鳴る。UK盤のようにエッジが立っているわけではなくどちらかと言えば中域中心ながらまとめあげ方が見事で独自性がある。” と高評価を受けている盤だが、ウチのシステムではどんな音で鳴るのか興味津々でレコードに針を落とした。
 まず最初に感じたのは、基本的にはUK盤の音だが音圧が低いのでヴォリュームを少し上げてやらないと物足りないということ。それと、本に合ったようにピッチが少し高いので(←なぜかA③「マックスウェルズ・シルバー・ハンマー」が特に高かった...)再生機の方で調節してやらないといけないが、音の分離は良いのでシステムの方でピッタリに調整してやるとそれなりの音で鳴ると思う。
 個々の演奏ではA①「カム・トゥゲザー」やA②「サムシング」のベースの音がややブーミーで丸みを帯びているのがUK盤と大きく違うところ。これは良い悪いではなく、低音のスピード感を取るか重厚さを取るかというリスナーの好み次第だろう。それと、全体的にドラムスがやや引っ込み気味に聞こえ(←特にB面後半のメドレーで顕著で「ジ・エンド」なんかリンゴがめっちゃおとなしいwww)、一方B①「ヒア・カムズ・ザ・サン」のようなアコースティック・サウンドはめちゃくちゃ良い感じの音で鳴るのだが、これらの特徴は前回のホワイト・アルバムのローカル・リカットと一致するので、多分カッティングしたエンジニアが同じ人なのではないか。それと、別にどうでもいいことだが、B④「サン・キング」のアタマの部分の虫の音SEが妙にクリアーに聞こえた(笑)
 最後に聴いたのは「レット・イット・ビー」だ。マトリクス№は“YEX 773-3U-T1 / YEX 774-3U-T1” で「ホワイト」や「アビー」と同じくローカル・リカットだ。「アナログ・ミステリー・ツアー」では “ストリングスの響きが繊細で、既に自らの中に持っている弦鳴りの音の核心を直観的にすばやく捉え、条件反射のようにカッティングしている雰囲気。音は非常に穏やかなのでカートリッジの選び方を失敗すると単なる眠い音にしか聴こえない。ワイドレンジでなおかつメリハリのある楕円針がマッチする。” とあるが、私のオルトフォンSPUは丸針なので、果たしてどうなることやら...(^.^)
 まずA①「トゥー・オブ・アス」だが、アコギのストロークが実に気持ち良い。アコースティック系サウンドの表現が得意なのは他のインド盤と同様だ。しかし私が一番驚いたのはリンゴの叩くトップ・シンバルの音が非常に大きく入っていることで、この点に関してはこれまで聴いてきたインド盤とは正反対の音作りなんである。だからA②「ディグ・ア・ポニー」やA④「アイ・ミー・マイン」なんかはすごくロックな音になっているし、A⑥「レット・イット・ビー」ですらロック魂を感じてしまうくらいカッコイイ仕上がりなのだ。又、A③「アクロス・ザ・ユニバース」やA⑦「マギー・メイ」ではジョンのヴォーカルがしっかりと前に出てくる音作りなのも気に入った。
 B①「アイヴ・ガット・ア・フィーリング」からB②「ワン・アフター・909」と続くルーフトップ・ナンバー2連発でもリンゴが躍動しており、“これのどこが眠たい音やねん?” と言いたくなるようなバリバリのロック・サウンドだ。ただ、問題のB③はストリングスがポールのヴォーカルに両外側から覆いかぶさってくるような感じで鬱陶しい。これを聴いたらフィル・スペクターは大喜びかもしれないが、ポールは激おこやろなぁ。続くB④「フォー・ユー・ブルー」とB⑤「ゲット・バック」はもうノリノリのゴキゲンな歌と演奏が楽しめて言うことナシ。これはあくまでも私の想像だが、ドラムスの音一つとってみても明らかなように、この「レット・イット・ビー」のカッティング・エンジニアは「ホワイト・アルバム」や「アビー・ロード」の2枚とは違う人なんじゃないかと思う。センター・レーベルに描かれたリンゴの絵柄もかなり違うし...(笑)
 ということで過去3回にわたってビートルズのインド盤を取り上げてきたわけだが、個人的な音の好みで言うと「レット・イット・ビー」が断トツで気に入った。ここのところ “世界のビートルズ” ということでアナログ・レコードで各国盤を色々買い集めて聴きまくっているが、まだまだ未知の高音質盤に出会えそうで楽しみは尽きない。

ビートルズのインド盤特集リターンズ!

2019-03-01 | The Beatles
 「ホワイト・アルバム」インド盤の音は果たしてどうなのか… という謎を解明すべく早速試聴開始。先ずはローカル・リカットされたA~C面だが、“悪くはないがUKオリジ盤には及ばない” というのが正直なところ。キレッキレで音のエッジがシャープなUK盤に対し、このリカット盤の音は丸みを帯びているような感じで音圧もそれほど高くない。一番わかりやすいのはA②「ディア・プルーデンス」で、ベースの音を聞けば違いは歴然だし(←UK盤恐るべし!)、C⑥「ヘルター・スケルター」のリンゴのドラミングがめっちゃおとなしくてとてもじゃないが指にマメができるような演奏には聞こえない(笑)  B⑥「ドント・パス・ミー・バイ」も音のバランス的にフィドルが小さくて演奏の中に埋没してしまっており、彼らが意図した演奏にはなっていないように思う。
 しかしその一方でスイート・スポットを捉えたかのようにピタリとハマった時は “おぉ、これは!” と思わず唸ってしまいそうなぐらい素晴らしい音を聞かせてくれるのがインド盤。例えばA⑦「ホワイル・マイ・ギター」で例のクラプトンのギターが泣きじゃくるところなんかもうめちゃくちゃ濃厚でゾクゾクさせられるのだが、そう言えば2年ほど前にこのブログでインド盤「リヴォルヴァー」を取り上げた時に「アイム・オンリー・スリーピング」や「シー・セッド・シー・セッド」、「トゥモロウ・ネヴァー・ノウズ」のような “リヴォッてる” 曲が良かったので、ひょっとするとインド盤はウネウネ・ドロドロしたサウンド(?)との相性が良いのかもしれない。
 B面ではB⑤「ロッキー・ラックーン」が出色の出来。とにかくサウンドがクリスプ&クリアーで、それがアッパーな曲調にベストマッチ。この曲の持つノリの良さに拍車がかかってめちゃくちゃ気持ちイイのだ(^o^)丿 C面ではC③「マザー・ネイチャーズ・サン」が絶品で、ドラムスの微妙な遠近感も実に上手く表現されている。B③「ブラックバード」やB⑧「アイ・ウィル」も良かったので、ひょっとするとこのローカル・リカットはアコースティック・サウンドに合うような音作りを意図したものかもしれない。とにかくこのように曲によって出来不出来の波が激しいのがインド盤の面白さと言えるだろう。
 ここまでずっとローカル・リカット・サイドを聴いてきて、最後にUKマザーのD面をかけたのだが、D①「レヴォリューション1」が始まると同時に思わず “おぉ~!” と声が出るほど驚いた。さすがはUKマザーと言うべきか、何よりもまず音圧が高い。しかもそれでいて細かい音に至るまでしっかりと表現されており、ヘタしたらUK原盤と同等か或いはそれ以上かも???と思わせるほどクオリティーの高い音が楽しめる。D④「クライ・ベイビー・クライ」のリンゴのドラミングに瞠目させられたのもこのインド盤が初めてだ。湯浅氏が “全面UKマザーを使ったインド盤はいいのではないか” と書いておられたが、私もその仮説に賛成だ。ただ、全面UKマザーを使ったインド盤を見つけるだけでも至難の業だと思うし、ましてや盤質も良くて尚且つ手の届く値段の盤に出会える確率なんて万に一つもないかもしれないが...   そんなこんなで4面すべて聴き終え、盤質もVGどころか EX+ か NM レベルだったこともあって、私としては満足のいく買い物だったと言えるだろう。
 尚、後日一計を案じた私はローカル・リカットのA~C面を通常の3割増しぐらいの大音量でかけてみたところ、その丸みを帯びた音作りがプラスに働いてまるでモノ・ミックスを聴いているかのような太くてガッシリした武骨な音が楽しめたのだ。いやぁ~、コレはたまりまへんな(^.^)  この手の音はヴォリュームを上げて大音量で聴かないと魅力が半減してしまうものだと改めて実感した。「アナログ・ミステリー・ツアー」でこの盤に辛めの評価をされた湯浅学氏は多分常識的な音量で(←それが当たり前なのだが...)聴かれたのだろう。プラスティック・オノ・バンドのシングル盤じゃないが、インド盤は PLAY LOUD なのだ。ということで、他のインド盤と同様にこの「ホワイト・アルバム」も大向こうを唸らせる “高音質盤”というよりは、“個性的な音が楽しめる好盤” というのが私なりの結論だ。
 これに気をよくした私はまたまた Discogs でインド盤の「ウィズ・ザ・ビートルズ」をスウェーデンのセラーから購入。盤質表記はVGだったが、 Hairlines and some small, thin scratches but nothing serious. (軽いスリキズあるけど特に問題ナシ)とのことだったので大丈夫と判断。送料込みの €82で稀少な初期ビートルズのインド盤が買えたのだからラッキーというべきだろう。
 届いた盤はマト末尾が 7N/7N の DUM DUM プレスで、これがインドの1stプレスらしい。音の方はラウドカットのような派手さはないものの、しっかりとメリハリがついた元気のいい音作りで、このアルバムにピッタリ(^o^)丿  盤質はVGどころかほぼ完璧に近いNMコンディションで言うことナシだ。インド盤はまだまだ未入手な盤も多いが、これからも好機を逃さずコツコツとゲットしていきたい。