shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズUKシングル盤特集①「Love Me Do」

2014-11-30 | The Beatles
 私のようなビートルズUKアナログ盤至上主義者にとって、パーロフォンというのはその名を聞いただけでまるでパブロフの犬みたいに条件反射でテンションが上がってしまう憧れのレーベルである。私は70年代半ばからビートルズを聴き始めた後追い世代だったため彼らのレコードはすべてアップル・レーベルの薄っぺらいリイシュー盤で聴いてきたのだが、10年ほど前に彼らのUKオリジナルLPのコンプリート・コレクションを目指した時、ゴールド・パーロフォン盤(←通称「金パロ」)やイエロー・パーロフォン盤(←通称「黄パロ」)の存在を知り、リイシュー盤はもちろんのこと、最新のリマスターCDをもってしても決して再現できないそのラウドなロックンロール・サウンドにすっかり魅せられてしまい、私の中で “パーロフォン・レーベル” はますます神格化されていったのだった。
 歴史は繰り返すというべきか、今回彼らのUKシングル盤を全部いったれと決心して海外の専門サイトや井上ジェイ氏の「ビートルズUK盤コンプリート・ガイド」で色々調べてみたところ、LPコレクションにおける金パロのようにシングル盤にもマニア垂涎の入手困難盤が存在することが判明、それがこのレッド・パーロフォン盤、つまり赤パロである。eBayではビートルズのUKシングルはいくつかの例外を除けば初回盤でもそのほとんどが£10以下で買えるのだが、「ラヴ・ミー・ドゥ」と「プリーズ・プリーズ・ミー」の初回盤である赤パロだけはほぼ毎回£100オーバーという異次元の高値で激しい争奪戦が展開されており(ヤフオクでは2~4万円!!!)、私のような貧乏コレクターにはいくら何でもシングル盤1枚に何万円も出すなんて絶対に無理と半ば戦意喪失しかけていた。
 しかし私はお金は無いが執念だけは誰にも負けない。来る日も来る日も辛抱強く赤パロ・ウォッチを続けた結果、11回目にしてついにチャンスが巡ってきた。アナログ・レコードの標準的コンディション表記は M > NM > EX > VG > G > P なのだが、私が目を付けたのは盤質VG++の「ラヴ・ミー・ドゥ」で、 A very nice clean copy with just the small wispy hairline. The record plays with a very nice sound. となっている。由緒正しいコレクターというのはコンディションに徹底的に拘るので EXコンディション以上のブツにはビッドが集中するが、 VG表示の盤は+がいくつ付こうとライバルが減る傾向にあるのだ。しかもこの時はたまたま同時期にEXやNMの赤パロ盤が出品されていたこともあってビッドが分散するかもと考えた私は千載一遇のチャンスとばかりに£45で勝負することに決めた。
 UKセラーのビッド締め切り時間は時差の関係でたいてい早朝の3時~5時ぐらいに設定されており、自動延長の無いeBayで締め切り直前に入札、つまりスナイプするためには睡眠を削って超早起きしなければならないのだが、幸いなことにこの時は3連休最終日だったため生活リズムを気にする必要も無い。当日私は早朝の4時半に起き、締め切り3秒前に渾身の入札... 結果は見事£36で落札! 予想よりも約£10も安く落札できたので、まだ真夜中だというのに思わず “やったー\(^o^)/” と大声で叫んでしまった。とにかく憧れの赤パロを相場の半値以下で手に入れることが出来たのだからこれはもう笑いが止まらない。
 それから10日後、待ちに待った赤パロが届いた。ビートルズ・ファンなら誰でも知っていることだが、このシングル初回盤はリンゴがドラムスを担当しているレア・ヴァージョンで(←アルバム「パスト・マスターズ」に収録)、アルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」やマトリクス枝番が -2Nのレイター・プレス・シングルに使われているヴァージョン(←セッション・ドラマーのアンディ・ホワイトがドラムを叩き、リンゴがタンバリンに回されたヤツ)とは微妙に違う。何度も聴き比べてみたが、私はやはりリンゴがドラムを叩いているこっちのヴァージョンの方が好きだ。
 しかしこのシングル盤を聴いてまず感じたのは演奏云々の違いよりもサウンドそのものの違いだった。中でも印象的だったのがポールのベース音で、キリリと引き締まった野太い音で録られているのにビックリ(゜o゜)  というか、「ラヴ・ミー・ドゥ」を聴いてこれほどベースの音に意識が行ったのはこの赤パロ盤が初めてだ。今まで聴いてきたユルフン・ベースの「ラヴ・ミー・ドゥ」は一体何やってん?という感じで、同曲の金パロや黄パロ・ヴァージョンと比べてみてもベースの弦の太さが3倍くらいあるかのように錯覚してしまうほど重低音の響きが違うし、全体のサウンドも明らかに中低域重視の音作りになっているのがわかる。 “音の切れ込みが鋭い金パロ” vs “雄大な低域に支えられた赤パロ” という対比が実に面白い。それはB面の「P.S.アイ・ラヴ・ユー」も同様で、ジョン、ポール、ジョージのユニゾンが重心の低いドッシリしたサウンドで楽しめる。やっぱりビートルズはUKアナログに限りますわ(^o^)丿
Love Me Do


【レコード・データ】
 ① Love Me Do / P.S. I Love You (45-R 4949, Mono, 1962.10.5発売)
  ・1st プレス:赤パーロフォンでレーベル面左に“ARDMORE & BEECHWOOD LTD.”
         マトリクス枝番は -1N / -1N
  ・Price Guide:£75.00
  ・購入価格:£36.00
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Those Were The Days / Mary Hopkin ~UKオリジナル・シングルの誘惑~

2014-11-23 | Oldies (50's & 60's)
 この1ヶ月ほど UKシングル盤にハマっている。そもそものきっかけ9月にこのブログでやったベンチャーズ特集で、「木の葉の子守唄」編のためにメリー・ホプキンのアルバム「ポストカード」を聴いていた時に “そういえばこの UKオリジナルLP には「悲しき天使」が入ってへんかったなぁ... ということは鮮度の高い音であの曲が聴けるのはシングル盤のみということか... 一体いくらぐらいするんやろ???” とほんの軽~い気持ちで eBay をのぞいてみたのだ。すると何と EXコンディションの盤が£0.50で出ているではないか!
 シングル盤とはいえ、UK 1stプレスのオリジナル音源が100円以下で手に入るなんて...(゜o゜)  送料もボッタクリ物流会社のピツニー坊主が幅を利かせているアメリカとは違い、シングル盤1枚で£5.00とリーズナブルなお値段だ。しかも同じセラーから複数買ってまとめて送ってもらえば1枚当たりの送料はもっと安くなる。アホバカ・アベノミクスのせいで円安が進行し、一時は75円までいっていた円が9月末の時点で110円台まで落ち込んでおり、下げ止まりの気配は見えない。このまま円安が進めば海外盤なんて当分買えなくなってしまう。 “いつ買うの? 今でしょ!” という私の心の中に潜む林先生の声に導かれるままに(笑)私は BUY IT NOW(即決)をポチッとクリックしていた。
 それから12日後の10月某日にブツが届いた。最近はヤフオクやアマゾン一辺倒で、海外からレコードが届くのは久しぶりだったこともあってウキウキワクワクしながら梱包を開ける。おぉ、やっぱりオリジナル・アップル・レーベルの緑色は国内盤のそれとは深みが違うわい... と悦に入りながらアンプのスイッチを入れる。せっかくなので同タイトルの国内盤と聴き比べをしてみようと思いつき、UK盤のディスク・クリーニングをしながら国内盤の方を先に聴くことにした。
 この東芝盤はヤフオクで他アイテムを取った時のついでに90円で手に入れたもので久々に聴いたのだが、私の国内盤に対する “音がショボい” という偏見を木っ端微塵に打ち砕くような音圧で、モノラル録音独特のマッシヴな音の塊がスピーカーから勢いよく飛び出してきた。国内盤のくせに何と生意気な...(笑)と思いながらも私は思わず UK盤クリーニングの手を止めて聴き入ってしまった。
 さて、今度はさっき届いたばかりの UK盤だ。一体どんな音で鳴ってくれるのだろうか? 興味津々で針を落とす。出てきた音はいかにもイギリスらしい落ち着きのあるもので、ガツン!とくる勢いは凄いが音がやや平面的でダンゴ状の塊と化す国内盤に対し、こちらは一つ一つの楽器がくっきりとした音像を持ち、音場も明らかに広く感じる。以前ゼップの2ndアルバムのUK盤とUS盤を聴き比べた時も似たような感じを受けたのだが、ステレオではなくモノラル録音でこんな違いが出るというのがオドロキだ。そしてこれこそが私を魅了してやまない UK盤の音作りなのだ。実は昨日ウチで開いた音聴きオフ会G3でこの聴き比べを再現してみたのだが、同席していた 901さんも全く同意見だった。これだからアナログ盤は面白い(^o^)丿
Mary Hopkin - Those were the days (France, 1968)


 B面の「ターン・ターン・ターン」はバーズのカヴァー(←元々はピート・シーガーの作品らしいがフォークを聴かない私の中ではバーズの作品として刷り込まれている...)だが、こちらの方も彼女の透明感溢れる伸びやかな歌声が心に沁みわたるレンジの広いサウンド・バランスが素晴らしく、アコギのピッキングの粒立ちの良さも国内盤を凌駕している。これが送料込みで1,001円だなんてもう笑いが止まらない(^.^)
 そしてここで私の中に抑えがたい衝動が湧き上がってくるのを感じた... “ビートルズも UKオリジナル・シングル盤で聴いてみたい... (≧▽≦)” 彼らのUKオリジナルLPはすべて持っているが、シングル曲ってオリジナル・アルバム未収録のものが結構多いし、後になって出た赤盤青盤や「パスト・マスターズ」ではオリジナルのモノ・ミックスは聴けない。もちろんCDのモノラル・ボックスを持ってはいるが、やはりビートルズに関しては可能な限り良い音、つまりアナログのアーリー・プレス盤で聴きたいのだ。
 こうなると私はもう自分を抑えることが出来ない。いくらでも再プレス可能なCDとは違い、市場に出回るアナログのオリジナル盤というのは基本的に一点モノで、しかも良い状態の盤を入手するのは時が経てば経つほど困難になっていく。手に入れると決めたなら、動くのは早ければ早いほどいい。ということで、ひょんなことから “ビートルズのUKオリジナル・シングル盤蒐集” という名の魔界に足を踏み入れてしまった私。行く手に待ち受けるのは轟音天国か、それとも金欠地獄か... (・。・?
Mary Hopkin Turn Turn Turn
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11・12最強ブート盤決定戦

2014-11-16 | Paul McCartney
 今日も11・12ネタである。あの日ポールのライヴを初体験してすっかり舞い上がった私は、アウト・ゼア日本公演のブートをまるで何かに憑かれたようにガンガン買い漁った。特に自分が参戦した大阪2日目の音源は見つけ次第全部買うようにした。同じライヴを録音した盤を何種類も買うなんて一般ピープルから見れば狂気の沙汰かもしれないが、録音位置や使用機材、マスタリングによって音がかなり違ってくるので、実際に自分の耳で聴いてベストの1枚を手に入れずにはいられなかったのだ。
 そういうわけで私の手元には何種類もの11・12盤が集まったのだが、少し前に taizoさんから “EV盤とT&J盤ではどちらが良いか?” というコメントをいただいたこともあり、今日は1周年を記念して “11・12最強ブート盤決定戦” をやってみることにした。エントリーは購入順に、①PMJP盤、②Sylph盤、③Lighthouse 6枚組CDセットのDisc3と4、④Picadilly Circus盤、⑤Empress Valley盤、そして⑥T&J 盤の6枚だ。それではそれぞれの盤のインプレッションと独断的総合評価を書いてみたい。尚、比較音源はオーディエンスによるコーラス・パートがある「オブラディ・オブラダ」にしたので、興味のある方はヘッドフォンで聴き比べてみてくださいな。
 ①のPMJP盤はオーディエンス録音としては平均レベルの音で、音質を追求せずにただ思い出に浸るだけならこれで十分という感じ。低音がややブーミーに響くが決して不快ではない。臨場感たっぷりでドーム特有の残響音も多少感じられるが、むしろスタンド席で自分が聴いた音に一番近いので愛着のある1枚だ。オーディエンスのチャットも拾ってはいるが、奇声は入っていないので安心して聴けるのがいい。10点満点中6.5点。
PMJP


 ②のシルフ盤は何と言ってもリッチで厚みのある低域が特徴で、ダイナミックなライヴサウンドが堪能できる。マスタリングでかなり音を作り込んであるような感じをうけるが、まるでカブリつきで聴いているかのようなド迫力サウンドが気持ち良い。オーディエンスのチャットが気になる箇所がいくつかあるが、奇声は入っていない。ただ、プレス盤でなくCD-R盤というのが残念。10点満点中7点。
Sylph


 ③のライトハウス盤は3公演6枚組で5,800円というコスパ最強盤だが、音の方も文句なしの高音質で、迫力と臨場感のバランスも絶妙だ。Sylph盤のド迫力やEV盤のウルトラ・クリアネスのような突出した特徴こそないものの、大きな欠点のない非常に平均点の高いサウンドだと言える。ただ、裏を返せば強烈な特徴のない無難な音という感じなので、EV盤やT&J盤と聴き比べると少し物足りないかも。ウザい奇声やチャットといったオーディエンス・ノイズが入っていないのが何よりも嬉しい。10点満点中8点。
LH


 ④のピカデリー盤はネットでの前評判が非常に高かったのだが実際に買って聴いてみると中低域がスカスカで、まるでノートパソコンのスピーカーで聴いているかのような芯の無い音にガッカリ(>_<) これのどこが高音質やねん!とCDをブチ割りたくなったガッカリ盤だ。ひょっとするとウチのシステムとの相性が最悪なだけかもしれないが、ピカデリーは東京2日目がめっちゃ鮮烈な音だったのに(←コレはホンマに凄いです!)、よりにもよって大阪2日目がこんな薄っぺらい音だなんて、この違いは一体何なんだろう? この盤で敢えて良い点を探せば、オーディエンス・ノイズをほとんど拾っていないことぐらいか。10点満点中4点。
PC


 ⑤のEV盤は音質だけに限って言えば他の盤とは激しく一線を画す異次元のスーパー・ウルトラ・ハイ・クオリティ・サウンドで、サウンドボード録音と間違えそうなくらいにポールのヴォーカルをダイレクトに捉えたオンな録音は圧巻の一言。ひょっとするとオーディエンス録音ブート史上屈指の高音質録音かもしれない。しかし好事魔多しで、聴くに堪えない奇声もクリアな音で(!)結構拾ってしまっており、車に例えるなら “鳥の糞まみれのフェラーリ” という感じ。奇声が邪魔でポールの歌声に気持ち良く浸ることが出来ないのが最大の難点だ。あーもったいない!!! 全6公演中で大阪2日目の奇声が一番ひどい(←EV盤買うなら大阪初日か東京最終日に限ります!)というのも悲しい。よって私的総合評価は10点満点中8.5点。
EV


 ⑥のT&J盤は上記5枚とは違ってこのブログでは初登場なので、まずはメーカー・インフォから抜粋すると、“「T&J」というテーパー名のオーディエンス録音” で、“クリアネス重視な録音が多い昨今、このアナログチックな厚みのある音質は別格” とのこと。実際に聴いてみるとまさに看板に偽りナシのナチュラルでどっしりと腰の据わったサウンドで、全体のバランスや音の厚みなども文句ナシだ。中低域が分厚く録音されておりマイルドで聴き疲れのしない音に仕上がっているので、人によっては高域が少し物足りないかもしれないが、そんな時はトーンコントロールで高域を少し上げてやればいいだけのこと。不快なオーディエンス・ノイズが入っていないのもT&J盤の良いところだ。10点満点中9点。
TJ


 ということで優等生録音賞はLH盤、最優秀音質賞はEV盤、そして当ブログの “11・12最強ブート盤” グランプリはT&J盤に決定! 実際に上記の中で最もターンテーブルに乗る回数が多いのが他でもないこのT&J盤なのだ。EV盤は音質最高なだけに返す返すも残念だが、どうしてもあの奇声だけは耐えられないので滅多に聴かない。因みに上の6つの音源をYouTubeにアップした時に “第3者のコンテンツと一致しました” という警告が出たのがLH、EV、TJ盤の3つだけだったというのは単なる偶然だろうか? taizoさん、これが私なりの結論ですが、参考になりましたでしょーか?
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ポール大阪公演の思い出(^o^)丿

2014-11-12 | Paul McCartney
 11月12日は私にとって1年で最も大切な記念日である。そう、あの興奮と感動のポール大阪公演から今日でちょうど1年が経ったのだ。仕事を早引けして意気揚々たる気持ちで京セラドームに着いた時のあのワクワクドキドキ感も、カオスと化したグッズ売り場で延々と並んでポールとお揃のハッピが買えた時のハッピーな気持ちも、あの日のすべてをまるで昨日のことのようにハッキリと思い出せる。そうそう、開演を待っている間、コーフンを抑えきれずに思わず友達に電話して “今ドームにいてるねん! もうすぐポール始まるねん!” とまくしたてたっけ(笑)
ポール・マッカートニー 京セラドーム大興奮!アウト・ゼアー ジャパン・ツアー | PAUL McCARTNEY OUT THERE JAPAN TOUR 2013 OSAKA 大阪観光


 コンサートの詳細に関してはもうこのブログに書き尽くした感があるので、今日はYouTube上の大阪2日目公演映像の中からいくつかピックアップしながらあの日の思い出に浸ってみようと思う。
 コンサート開始は確か7時15分頃だったか。オープニングの「エイト・デイズ・ア・ウイーク」が始まると同時に感極まって目頭が熱くなった。黒のロング・ジャケット姿でヴァイオリン・ベースを弾きながら歌うポールがめちゃくちゃカッコ良かったなぁ(^o^)丿  「セイヴ・アス」を歌い終えての第一声 “マイド、オオサカ! タダイマー!” や「オール・マイ・ラヴィング」の後の “コンバン ニホンゴ ガンバリマス” もヨカッタデス。
ポール・大阪ドームコンサート  オープニング3曲


 “これはこの曲をレコーディングした時に使ったギターだよ。” とポールが言って始まったのが大好きな「ペイパーバック・ライター」。ビートルズが半世紀前に武道館公演でやった曲を今自分がリアルタイムで聴いているなんてまるで夢のようだった。エンディングのちょっとアヴァンギャルドな味付けのアレンジが面白い。でもバックのスクリーンのナースたちは何者なんやろ???
Paul McCartney - Paperback Writer (live) - Osaka, Japan Nov-12-2013


 “次の曲はリンダのために書いたんだ。” と言って歌い始めた「メイビー・アイム・アメイズド」にもグッときた。もちろん今はナンシーさんとラヴラヴのポールだが、リンダがいなければ70年代のあの快進撃はなかったのではないかと思う。バックのスクリーンに映し出されたスコットランドの農場の頃の髭面のポールの写真はもちろんリンダが撮ったものだ。
Maybe I'm Amazed - Paul McCartney Live@Osaka 2013.11.12


 「レディー・マドンナ」が始まってしばらくしてからバックのスクリーンに古今東西の “レディー” が映し出されているのに気付き、“あっ、マザーテレサや。おぉ、モナリザもにビリー・ホリディも... 次は誰や?” と楽しみながらスクリーンを見ていると “See how they run♪” で陸上競技のシーンが出てきたりと、細部まで徹底的に作り込まれたエンターテイメント・ショーに大満足だ。
Paul McCartney "Lady Madonna" at Osaka 12th.,Nov.,2013


 この日のMCで一番印象に残っているのが「ラヴリー・リタ」の曲紹介MCで、 “次は「サージェント・ペパーズ」からの曲だよ。日本で初めてやるんだ... いや、2度目か... だって昨日やったからね。” と言い直しておどけてみせるお茶目なポール。その前曲「オール・トゥゲザー・ナウ」でバックのスクリーンに映し出されたチビ・モンスターも可愛かったなぁ...(^.^)
ポール・マッカートニー2013・11・12大阪  All Together Now ~ Lovely Rita


 “イッショニ ウタッテェヤ。” というポールの大阪弁で始まったのは「オブラディ・オブラダ」。エンターテイナーの鑑とも言うべきポールのサービス精神にはホンマに頭が下がる。それにしてもミドルのシング・アロング・パートはドーム全体がホンマに盛り上がったなぁ...(^o^)丿 曲が終わった後、 “ヴェリー・グッド! グッド・シンギン!” とポールも上機嫌やった。
京セラドーム 大阪弁のポールマッカートニー Ob La Di, Ob La Da ~ Band on the Run (Paul McCartney / Osaka Japan) 2013.11.12


 ポールのライヴに参戦する楽しみの1つは何と言っても「ヘイ・ジュード」の大コーラス大会だ。男女別のコーラスをそれぞれ “ダンセイ ダケ”、“ジョセイ ダケ” と日本語で仕切っているところはさすがという感じ。4万人がひとつになるこの一体感がたまりません!
Hey Jude (The Beatles song) - Paul McCartney Live@Osaka 2013.11.12


 ポールの大阪弁の極めつけがこれ。ノリノリの「デイ・トリッパー」の後、 “モット キキタイ?” とオーディエンスを煽っておいて、 “ホナ イコカ...” この絶妙な間の置き方にはもう参りましたという他ない。ポールは何をやっても天才やね。この時は私の周りのオーディエンスも大爆笑でめちゃくちゃ盛り上がってた。
京セラドーム 大阪弁のポールマッカートニー Day Tripper + Hi,Hi,Hi + Get Back (Paul McCartney / Osaka Japan) 2013.11.12


 「イエスタデイ」、「ヘルター・スケルター」と両極端な2曲を立て続けに歌った後、ピアノの前に座ったポールの “ソロソロ カエル ジカンデス”... この何とも言えないガイジン・イントネーションがファンとしてはタマランのです。それにしても「アビーロード・メドレー」が始まるとどうしても “これが最後か...(*_*)” という思いがこみ上げてきて万感胸に迫るものがありますな。コンサートが終わった後も “オオキニ!” “ホナマタ!” とコテコテの大阪弁を連発するなど、骨の髄までエンターテイナーなポール。去年見に行っといてホンマに良かったわ。
 ポールの2013アウト・ゼア・ジャパン・ツアーのコンサート・チケット代:17,500円、ツアー・グッズ代:30,000円、そして一生の思い出:priceless (≧▽≦) また行きたいな...
Paul McCartney 2013-11-12 Osaka
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ベンチャーズ・カヴァー特集⑩「ダイアモンド・ヘッド」

2014-11-08 | エレキ・インスト
①小山貢・豊 with Dr.Project
 ベンチャーズのトリビュート盤は何枚も持っているが、その中で一番ターンテーブルに乗る回数が多いのがこの「津軽より愛をこめて ~津軽三味線 play ザ・ベンチャーズ~」だ。これはベンチャーズ・クラシックスの数々を津軽三味線でカヴァーしてしまおうというという大胆不敵な発想から生まれたアルバムで、以前紹介したドクターKこと徳武弘文率いる Dr.K Project をバックに津軽三味線の小山流家元である小山貢と小山豊の親子が持てるテクニックの限りを尽くしてガンガン弾きまくるという痛快無比な1枚だ。前代未聞のリード三味線とバンドとの息もピッタリ合っていて、異色コラボによる単なる “面白カヴァー” という次元を遥かに超越したカッコイイ「ダイアモンド・ヘッド」になっている。ドンやノーキーにもぜひ聴かせたい逸品だ。
ダイアモンドヘッド


②U-900
 津軽三味線の次はウクレレだ。この曲が入った「ウクレレ・ベンチャーズ」はU900(ゆー・きゅうひゃく)という謎のユニットがベンチャーズの名曲をウクレレ+脱力ヴォーカルでユル~くカヴァーした珍盤で、YouTubeにもウサギのU(ウー)とクマの900(クレレ)という2体の編みぐるみを使ったプロモ・ビデオがアップされている。 “ワン、トゥ、スリー、フォー!”というユル~いカウントから始まるこの曲ではウクレレのリラクゼーション溢れるサウンドが結構エエ味を出している。ウクレレとベンチャーズって意外に合うんやね。 “口(くち)テケテケ” には笑わせてもらったが、 “ウッ!” “ハッ!” という掛け声も含めてゆるキャラのヴォーカル・パート(?)は何度も聴いていると色物臭がだんだん鼻についてくるので、出来ることならウクレレ・オンリーのインスト・ヴァージョンで聴いてみたいものだ。
U900 -Diamond Head


③植木等
 これはたまたまYouTubeで見つけた。あの「植木等」+「サーフィン」ということで聴く前から大方の予想はついてはいたが、実際に聴いてみてそのあまりの脱力ぶりに思わずイスから転げ落ちそうになった(・o・)  サーフ・インスト・クラシックスの数々に歌詞を付けてメドレー化し、植木等に歌わせるなんて企画、一体誰の発想やろ?と半ば呆れながらネットで情報収集すると、何とあの大瀧詠一師匠のプロデュースだった。いやはやまったく、師匠の目の付け所は凄いですわ。まぁ邪道と言ってしまえばそれまでだが、 “アホくさ~” と思いながらも何度もリピートしてしまう中毒性こそがこの植木&大瀧コラボの魅力なんじゃないかという気がする。 “わかっちゃいるけど、やめられな~い!” とはまさにこのことだ。
植木等「サーフィン伝説」


④Jon & The Nightriders
 脱力系が続いたのでここらで一発正統派のベンちゃん・カヴァーをひとつ。ジョン&ザ・ナイトライダーズは1980年にデビューして以来息の長い活動を続けているアメリカのサーフ・インスト・バンドで、彼らが1999年リリースのアルバム「ムーヴィング・ターゲット」に入っていたのがこのベンチャーズ・カヴァーだ。ディック・デイルやデュアン・エディ直系でパンクの影響をも随所に感じさせるイケイケのサウンドがこのバンドの一番の魅力であり、この曲でも活きのいいプレイで楽しませてくれるのだが、ベンチャーズのオリジナル・ヴァージョンのインパクトが強すぎるせいか、テケテケもスクラッチも無い「ダイアモンド・ヘッド」というのはどうしても違和感を感じてしまう。やっぱりテケテケあっての「ダイアモンド・ヘッド」なのだ。
Jon & The Nightriders - Diamondhead


⑤Ventures
 ベンチャーズ・ナンバーは名曲名演が目白押しなので一番好きな曲を選べと言われたら困ってしまうが(←私の場合は「10番街」か「木の葉」かな...)、ベンチャーズの曲で一番有名な、いわゆるひとつの代表曲を選べと言われたら(特に日本では)この「ダイアモンド・ヘッド」でキマリだろう。これまで見てきたように彼らのレパートリーの大半は他アーティストのカヴァーなのだが、この曲はダニー・ハミルトンが彼らのために書き下ろしたオリジナル・ヒット曲。元々は「マーフリーズボロ」(←テネシー州の地名だそうな...)というタイトルで全然サーフィンぽい曲じゃなかったものにベンチャーズがテケテケ・アレンジを施し、曲名も「ダイアモンド・ヘッド」へと改題してこのようなサーフ・ロックの名曲に仕上げたという。ラッキーなことにYouTubeに原曲がアップされていたので一緒に下に貼り付けてみたが、聴き比べてみると全然雰囲気が違うのが興味深い。もし元の形のままで世に出ていたらあれほどの大ヒットにはならなかっただろう。まさに “曲の錬金術師集団” の本領発揮である。尚、「マーフリーズボロ」の方は1年後に再々アレンジされて「ワイルド・ウーリィ」という曲名でアルバム「ワイルド・シング!」(1966年)に収録されているので聴き比べてみるのも一興だろう。
ベンチャーズ - ダイヤモンド・ヘッド The Ventures - Diamond Head

The VeNtuReS ~MURFREESBORO~ (RARE UNRELEASED TAKE!!) Aka: ~WILD & WOOLY~
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ベンチャーズ・カヴァー特集⑨「夜空の星」

2014-11-01 | エレキ・インスト
①キャンディーズ
 私は大好きな曲は出来る限り色んな人の歌や演奏で聴いてみてその違いを楽しみたいと考える人間なのだが、残念なことにこの曲のカヴァーにはめったにお目にかかれない。こんなにエエ曲やのに、何で誰もカヴァーせぇへんのやろ?と不思議に思っていたところ、たまたまヤフオクで落札したLP盤「キャンディーズ・ライブ ~蔵前国技館 10,000人カーニバル Vol.2~」の中にこの曲を発見して狂喜した。日本エレキ・インスト史上屈指の大名曲を大好きなキャンディーズの歌声で聴ける喜びはとても言葉では表現できない(^o^)丿 「みごろ! たべごろ! 笑いごろ!!」で加山雄三と共演したのがきっかけでこの曲を取り上げたということらしいが、アレンジはオリジナル・ヴァージョンのままなのにその洗練されたコーラス・ハーモニーによって見事にキャンディーズ色に染め上げているところが凄い。ライヴの高揚感も名演度アップに貢献しているようだ。やっぱりキャンディーズは最高やね(≧▽≦)
キャンディーズ 夜空の星(ライブ)


②Mustangs
 現役のエレキ・インスト・バンドで私が最も好きなのがフィンランドのムスタングス。彼らのCDは何枚も持っているが、そんな中で私が最も気に入っているのが2000年の東京公演の模様を収録した「ライヴ・イン・ジャパン」だ。彼らのライヴはスタジオ録音の演奏を更に高速化したようなイケイケのプレイが特徴で、ノリ一発で押しまくる疾走系ノルディック・エレキ・サウンドが実にスリリング(≧▽≦) 特に後半の「さすらいのギター」、「さらばシベリア鉄道」、そしてこの「夜空の星」と続くセトリには涙ちょちょぎれる。「ベンチャーズ・イン・ジャパンVol. 1」をパロったジャケットのセンスも最高だ。
Mustangs


③寺内タケシとブルージーンズ with ノーキー・エドワーズ
 寺内タケシ御大はライヴ盤も含めるとこの曲を何度も演奏しているが、私が愛聴しているのは1986年にリリースされたノーキー・エドワーズとの共演盤「日米エレキ大合戦」収録のヴァージョンだ。日米を代表するエレキ・インスト第一人者による和気あいあいとしたセッションだが、ノーキーはカントリー・ミュージック、寺内御大は津軽三味線というそれぞれのルーツを感じさせるお得意フレーズが出るわ出るわのワンコソバ状態で大いに楽しませてくれる。悠揚迫らぬノーキーのリラクセイション溢れるプレイと原曲の持つ昭和歌謡的要素を見事に引き出した寺内御大の気合い十分なプレイの対比が面白い。
夜空の星 「音のみ」


④加山雄三
 60年代をリアルタイムで知らない私は長い間加山雄三のことを “歯の浮くような歌詞やクサいセリフ入りの「君といつまでも」みたいな激甘ソングばかり歌ってるオッチャン歌手” だと誤解していた。だからベンチャーズがカヴァーしたこの「夜空の星」が彼の作品だと知った時はホンマに驚いたが(←しかもこの曲、シングルで「君といつまでも」のB面に入ってるんよね...)、その後ベンチャーズ系イケイケ・エレキ・インスト・ナンバー満載のCD「ザ・ランチャーズとともに」を聴いて初めて自分が彼のほんの一面しか知らなかったことに気が付いた。彼のエレキギターをフィーチャーしたナンバーでは他に「ブラックサンド・ビーチ」や「モンキー・クレイジー」なんかも気に入ったが、やはりエレキ・インストのカッコ良さと昭和歌謡の哀愁メロディーが絶妙にマッチしたこの曲が断トツに素晴らしい。バックの演奏は寺内タケシとブルージーンズで、コテコテのテリー節丸出しで弾きまくる御大のプレイが楽しめる。
Yuzo Kayama - Yozora No Hoshi


⑤Ventures
 この曲を初めて聴いたのは私のベンチャーズ体験の原点とでも言うべき4枚組ボックス「EPコレクション」で、大袈裟ではなく全103曲中で最も衝撃を受けたのが「Yozora-No-Hoshi」と題されたこのトラックだった。わずか2分足らずの短い曲だがイントロからエンディングまで一気呵成に突っ走る怒涛の展開で、“何ちゅうカッコエエ曲なんや...(≧▽≦) ” と感激しながらタイトルを見て初めて日本の曲のカヴァーだと知った次第。オリジナルの加山ヴァージョンを更に高速化し、哀愁をまき散らしながら疾走する痛快無比なエレキ・インスト・ナンバーへと昇華させた彼らのアレンジ・センスはいつものことながらもう見事という他ない。鉄壁のリズム・セクションをバックに切っ先鋭いナイフのようなフレーズを連発するノーキーのスリリングなプレイも圧巻だ。
夜空の星Yozora-No-Hoshi/ザ・ベンチャーズThe Ventures
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