shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズ・ルーツ特集⑦Chuck Berry-4

2015-10-25 | Oldies (50's & 60's)
①Sweet Little Rock And Roller [Chess 1709]
 「スウィート・リトル...」とくれば “シックスティーン” で決まり、みたいな風潮があるが、この「スウィート・リトル・ロックンローラー」という曲ももっと広く認知されて然るべき隠れ名曲だ。私が初めて聴いたのはベスト盤CDだったが、チャック・ベリーが一生かけて歌い、弾き続けてきたメロディーやリフを一点に凝縮させたようなこの曲がめっちゃ気に入り、何度も何度も繰り返し聴いたものだった。例えるなら彼のヒット曲の断片が現れては消え、消えては現れるような、そんな感じで、チャック・ベリー節が大好きなファンにとってはたまらない1曲なのだ。
 私が買ったのはとっても珍しいチェス・レコードの白レーベル盤(プロモ盤)で、ピカピカ盤だけあって$14.00(約1,740円)もしたが、再発盤やCDではとても味わえないゴリゴリした野太いサウンドが楽しめて、値段相応の価値はあったと思っている。尚、レーベル面の曲名表示は「Sweet Little Rock And Roll」になっているが、ロックンロールが大好きな9歳の女の子のことを歌ったこの曲のタイトルは当然 “可愛い小さなロックンローラー” が正しい。
Sweet Little Rock 'N' Roller by Chuck Berry 1958


 この曲のカヴァーは非常に少なく、私の知る限りではビートルズもストーンズも録音を残していない。そんな数少ないカヴァー・ヴァージョンの中で私が気に入っているのがロッド・スチュワートのアルバム「スマイラー」(74年)に入っていたヴァージョンで、まだ豹柄パンツにハマる前の(笑)ロッドのストレートアヘッドなロックンロールが楽しめる。それと、レコードにはなっていないが、イギリスの「スーパーソニック」というTV番組でマーク・ボランがデイヴ・エドモンズやレイ・デイヴィスらとの共演で歌ったカヴァーが個人的には一番好きだ。それにしてもT.レックスの音楽ってホンマにチャック・ベリー直系やね(^.^)
Sweet Little Rock'n' Roller - Rod Stewart

Sweet Little Rock and Roller


②Little Queenie [Chess 1722]
 この「リトル・クイニー」という曲は本来は「オールモスト・グローン」のB面であり、しかもわずか4ヶ月前にリリースされたばかりのクリスマス・シングル「ラン・ルドルフ・ラン」のメロディーはそのままに歌詞だけをオール・シーズン用(?)に変えただけという曰くつきのナンバーなのだが、その知名度の低さに反してビートルズやストーンズを始めとして様々なアーティスト達にカヴァーされているのが非常に興味深い。ひょっとするとロッカー達を駆り立てる何かが原曲のグルーヴに潜んでいるのかもしれない。
 カヴァー以外でも、例えばクイーンは名盤「シアー・ハート・アタック」の冒頭を飾る痛快なロック曲「ナウ・アイム・ヒア」の後半部で “Go, go, go, little queenie♪” と歌って敬意を表しているし、T.レックスもあの大名曲「ゲット・イット・オン」のエンディング部分に“Meanwhile I'm still thinking...♪” とこの曲の歌詞をそのまんま引用している。というか、「ゲット・イット・オン」の曲想そのものがこの「リトル・クイニー」にインスパイアされていると言っても言い過ぎではないだろう。
 このレコードは例のアメリカのレコ屋からの一括購入でNM盤を$6.75(約840円)でゲット。チェス・レーベルのオリジナル・シングルのキレイな盤ってオークションでも中々出てこないので、こういう古~いレコ屋のセット・リストから探した方が良いのかもしれない。それにしてもこの時代のアナログ・シングル盤ってホンマに凄い音しとるなぁ... (≧▽≦)
 それと、下に貼り付けたのは映画「ゴー・ジョニー・ゴー」の中でこの曲を歌うチャック・ベリーの映像なのだが、バック・バンドとして出演しているメンツにご注目! 何とピアノがデイヴ・ブルーベックでベースがチャーリー・ヘイデンと、バリバリのジャズメンたちなのだ。もちろん音の方は彼のレギュラー・バンドなのだが、テーブル席で女の子たちと楽しむリッチー・ヴァレンスの姿も含め、見どころ満載の映像だ。
Chuck Berry - LITTLE QUEENIE - 1959 HQ!

T. Rex - Get It On [Lyrics] [HD]


 私にとってこの「リトル・クイニー」はビートルズの「スタークラブ・ライヴ」で初めて聞いて以来の愛聴曲で、A面の「オールモスト・グローン」や原曲「ラン・ルドルフ・ラン」なんかよりも遥かに馴染み深いナンバーだ。「スタークラブ・ライヴ」の音の悪さなど気にならないぐらい “ギター・バンド” としてのビートルズの魅力が爆発している。
 一方ストーンズによるカヴァーは69年USツアーのライヴ盤「ゲット・ヤーヤ・ヤズ・アウト」に入っているが、若さ溢れるビートルズの演奏に対しこちらはテンポを落とし過ぎな感じで私としてはイマイチ(ー_ー)  来たるべき「イッツ・オンリー・ロックンロール」の予行演習(?)と考えればコレはコレでいいのかもしれないが、オリジナル・ヴァージョンの絶妙なテンポ設定が生み出すえもいわれぬグルーヴを考えればコレはやっぱり遅すぎるわ。
Little Queenie - Star Club tapes remaster

The Rolling Stones ? Little Queenie (Mule Version)?

ビートルズ・ルーツ特集⑥Chuck Berry-3

2015-10-18 | Oldies (50's & 60's)
①Johnny B. Goode [Chess 1691 → Quality K1727]
 チャック・ベリーに名曲名演数あれど、彼の代表曲と言えばこの「ジョニー・B・グッド」を置いて他には考えられない。チャック・ベリーの、いや全てのロックンロール曲の中で世間的に最も広く知られている1曲がこの「ジョニー・B・グッド」と言っても過言ではないだろう。彼の登録商標と言える例のイントロから一気呵成に駆け抜ける必殺のキラー・チューンであり、ロックンロール・ファンにとってはまさに至福の2分30秒だ。
 映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の中で1955年にタイムスリップしたマイケル・J・フォックスがダンスパーティーのステージでこの曲を歌うシーンがあるが、バンドのメンバーがその場からチャック・ベリーに電話をかけ、当時新しいサウンドを探していたという彼に受話器越しにその演奏を聞かせるというタイム・パラドックス・ネタとして扱われており、その後調子に乗ってピート・タウンゼンドやエディ・ヴァン・ヘイレン、ジミ・ヘンドリックスといった未来のギタリスト達のハイテク奏法を次々と繰り出してしまい、呆れかえる聴衆に向かって “I guess you guys aren't ready for that yet. But your kids are gonna love it.(みんなにはまだちょっと早すぎたかな。でも君達の子供には流行ると思うよ。)” と呟くというオチも含め、ロック・ファンにとっては面白くてたまらないシーンなのだが、一般ピープル向けの超メジャーな映画の中でこのようにポピュラーなネタとして取り上げられるあたりにもアメリカにおけるチャック・ベリーの存在の大きさが窺える。
 そう言えばNASAが1977年に打ち上げた宇宙探査機ヴォイジャーに地球の様々な音楽文化を紹介するレコード盤を搭載していたのだが、アメリカ音楽の代表として選ばれたのが他でもないこの「ジョニー・B・グッド」だった。その後、アメリカの人気コメディー番組「サタディ・ナイト・ライヴ」で “ヴォイジャーのレコードを聴いた異星人からのメッセージが届きました。そこには「チャック・ベリーをもっと送れ」と書いてありました。” というジョークのネタとして扱われたことを見てもチャック・ベリーの音楽が広~く愛されているということがよく分かる。宇宙空間の写真に “Send More Chuck Berry” というタイトルをあしらった偽TIME誌の表紙からはアメリカならではのユーモアのセンスが伝わってきてニヤリとさせられた(^.^)
Johnny B. Goode - Back to the Future (9/10) Movie CLIP (1985) HD


 チェス・レコードの初期プレスのシングル盤で状態の良いブツを手に入れるのは至難のワザだが、中でも入手困難だったのがこの「ジョニー・B・グッド」だった。eBayに出ている 1stプレスのブルー/シルバー・レーベル盤で$20以下で買えるものはみんな盤質 G~G+(ダメージ有り)のジャリ盤ばかりという悲惨な状況だったので途方に暮れていたところ、チェス・レーベルのカナダ盤をリリースしている “クオリティ・レコード” のキレイな盤が $9.95(約1,240円)で出ているのを発見、“Plays great” という説明を信じて買ってみたところ、これがもうめちゃくちゃ良い音で大喜び\(^o^)/  他のUSチェス盤と比べても遜色のない野太い音が楽しめてめっちゃ得した気分だ。カナダ盤って盲点やったけど、送料も安いしアナログ・マニアとしては結構狙い目かもしれない。
Chuck Berry - Johnny B. Goode


 エルヴィスを始めとして「ジョニー・B・グッド」のカヴァーは星の数ほど存在するが、私の知る限りではビートルズの「BBCライヴ」に入っているこのヴァージョンこそが決定版だ。オリジナルよりも気持ち半分ぐらいテンポを落とした結果、演奏の重心が下がり、ジョンの “ザ・ワン・アンド・オンリー” なヴォーカルの魅力を最大限に活かしたヴァージョンになっている。極論すれば、初期のビートルズはジョンのヴォーカルさえあれば、後は演奏に集中するだけで良かったのではないかとすら思えてくる。それほどジョンの “声” は素晴らしい。0分52秒の “ア~♪” や1分32秒の “ウ~♪”、2分10秒の“ウェ~♪” といった感嘆詞の一つ一つまでもが音楽的必然として耳に響くところが凄いと思う。
The Beatles "Johnny B. Goode"



②Carol [Chess 1700]
 この「キャロル」という曲を聴くと私はいつも映画「ヘイル・ヘイル・ロックンロール」の1シーンを思い出す。リハーサルでイントロのリフのスラーの入りについてキース・リチャーズがチャック・ベリーから何度もダメ出しを食らう場面があるのだが、まるで小姑のようキースをイビリ倒す御大と、憮然とした表情で何度も弾き直すキース、そしてそんな二人のやり取りに凍りつく現場の空気を見事に捉えた名シーンだ。そう言えばその映画の中でキースが “ミック・ジャガーより面倒な男だけど、どうしても彼を嫌いにはなれないな...” と語っていたのが印象的だった。
CHUCK BERRY WITH KEITH RICHARDS


 それだけ細部に拘るだけあって、この「キャロル」に関しては未だにチャック・ベリーのオリジナル・ヴァージョンを超える演奏に出会ったことがない。何よりも彼が紡ぎ出す鋭いリフがめちゃくちゃカッコ良く、まさに “これしかない!” と快哉を叫びたくなるようなフレーズのアメアラレ攻撃が楽しめるのだ(^o^)丿 リズム・セクションが一体となって生み出すグルーヴも唯一無比で、特にジョニー・ジョンソンの弾むようなピアノが生み出すドライヴ感がこの曲の名演度アップに大きく貢献していると思う。
このレコードも上記の「ジョニー・B・グッド」と同様にいつもシングル盤を買っているアメリカのレコ屋のセット・リストには無かったのでeBayで探し、VG+盤を$10(約1,250円)でゲットしたが、届いた盤はNMなピカピカ盤で、送料を入れても3,000円以内で買えて大ラッキーだった\(^o^)/
Chuck Berry - Carol 45 rpm!


 ビートルズが演奏する「キャロル」は「BBCライヴ」で聴くことが出来る。チャック・ベリーのカヴァーを歌うジョン・レノンに駄演ナシだが、ここでも貫禄すら感じさせるノリノリのヴォーカル(“アーゥ!”連発...笑)を聞かせてくれる。そしてそんなジョンを支えるバックの演奏も秀逸で、特にリンゴのソリッドなドラミングには耳が吸い付く。ジョージは手堅く纏めてる感じで、チャック・ベリーが拘っていたリフのスラーに関してはサラッと流しているところが面白い。
 一方ストーンズ版「キャロル」は64年リリースのデビュー・アルバムと69年USツアーの模様を収めたライヴ盤「ゲット・ヤーヤーズ・アウト」で聴くことが出来るが、私的には後者のかったるい演奏(←ハイド・パーク公演といいコレといい、テンポ遅すぎると思いません???)よりも断然前者の生硬でアグレッシヴな演奏の方が好きだ。
The Beatles "Carol"

THE ROLLING STONES-CAROL

ビートルズ・ルーツ特集⑤Chuck Berry-2

2015-10-12 | Oldies (50's & 60's)
①Rock And Roll Music [Chess 1671]
 ビートルズの凄さの一端はカヴァーでオリジナルを軽く超えてしまうところにある。オリジナル・アーティストが魂を宿した曲を換骨奪胎して曲の髄を引き出す能力はまさに神ワザで、その結果、カヴァー曲でもまるでビートルズのオリジナル曲であるかのような錯覚を抱かせるのだ。「ツイスト・アンド・シャウト」しかり、「プリーズ・ミスター・ポストマン」しかり、「ロング・トール・サリー」しかりだが、この「ロックンロール・ミュージック」という曲も私にとってはビートルズのインパクトが強すぎて、後になってオリジナルのチャック・ベリーを聴いた時はそのあまりに軽い歌い方に拍子抜けしてしまった。
 しかし歌詞の意味を考えながら何度も聴くうちに、こういうノーテンキなヴァージョンもアリやなぁと思うようになった。これはモダンジャズやタンゴ、マンボといった古い音楽を俎上に上げながら新しい音楽であるロックンロールを称えるいわば “ロックンロール賛歌” なのであり、シンプルでタイトなリズム・セクションをバックにチャック・ベリーの軽妙洒脱なヴォーカルを楽しむというのが本来の聴き方なのだろう。
 アナログ盤の話をすると、前回取り上げた2枚のシングル盤のレーベル・デザインはチェスの駒を描いた “チェス・ピース・レーベル” だったが、1957年リリースのこのレコードからはごく普通の “ブルー/シルバー・レーベル” になってしまったのが少し残念。この2ヶ月ほどで10枚近く買ったチャック・ベリーのシングル盤の中で最も簡単に手に入れることが出来たのがこのレコードで、アメリカのレコ屋からのシングル盤一括購入でゲット。NMで$7.00(約850円)なら御の字だろう。
Chuck Berry - Rock And Roll Music


 ということでオリジナルのチャック・ベリーも悪くはないのだが、ジョン・レノンのスピード感溢れるハイ・テンションなヴォーカルを聴いてしまうとどうしてもユル~く聞こえてしまう。例えるならビートルズのヴァージョンが鈴鹿のS字を軽快に駆け抜けていくF1カーのイメージなのに対し、チャック・ベリーのオリジナル・ヴァージョンは公道をのんびりとクルージングするクラシックカーという感じ。それもこれもジョン・レノンの緊張感漲るヴォーカルの成せるワザなのだが、車にも音楽にもスリルとスピードを求める私にとって、この「ロックンロール・ミュージック」はたとえ天地が逆になろうとも “ビートルズの曲” なのだ。
 ビートルズのヴァージョンはヴォーカルだけでなく演奏面も圧倒的に素晴らしい。ジョージ・マーティンがガンガン弾きまくるピアノが疾走感を更にアップさせ、トップ・シンバルを乱打するリンゴの爆裂ドラミングが跳ねるようなビートを生み出しており、イントロの “ジャジャジャジャ♪” からエンディングの “ジャジャジャン♪” まで一気呵成に駆け抜けるこの快感... まさにこれ以上は考えられない怒涛のロックンロールが炸裂する。私は13才の時にこの曲を聴いてビートルズに生涯の音楽を感じたのだが、その時に買った日本盤シングルは今でも私の宝物だ。とにかくこんな凄い演奏をたったのワン・テイクで完成させたビートルズ恐るべしである。「ヘイ・ジュード」や「レット・イット・ビー」にその座を奪われるまで、このレコードが日本におけるビートルズのシングル盤売り上げ1位だったというのも大いに頷けるスーパー・ウルトラ・キラー・チューンだ。これ以上の名演があったら教えを乞いたい。
The Beatles - Rock And Roll Music - Lyrics


②Sweet Little Sixteen [Chess 1683]
 この曲を初めて聴いたのはビートルズのスター・クラブでのライヴ盤だった。若き日のビートルズの爆発的なエネルギーが充満しているレコードで、オフィシャル・リリースされていない曲がいっぱい聴けることもあって、音の悪さも気にせずに何度も何度も聴き込んだものだった。そんな超の付く愛聴盤「スター・クラブ・ライヴ」の中でも1・2を争うお気に入り曲がこの「スウィート・リトル・シックスティーン」だった。
 大好きなチャック・ベリーのカヴァーということで俄然張り切る(?)ジョン・レノンのヤクザなヴォーカルの何とカッコ良いことよ... ジョージのドライヴ感満点のギターもたまらんたまらん(≧▽≦)  BBCライヴの方が音も良いし演奏もカチッとまとまっているように思えるが、私的にはビートルズの野放図でワイルドな魅力が全開の、このスター・クラブ・ライヴが最高なのだ。
Sweet Little Sixteen/ The Beatles Live At The Star Club


 お客さんを前にしてガンガン飛ばしまくるビートルズのライヴ・ヴァージョンに比べ、チャック・ベリーのオリジナルはミディアム・テンポで、このイケイケなノリこそがロックンロールの原点なのだということを再確認させてくれるような、黒人独特のグルーヴを感じさせるカッコ良いヴァージョンだ。
 それと、ビートルズの高速ヴァージョンを聴いた時には気付かなかったが、チャック・ベリーのオリジナルを聴いて “このメロディー、どっかで聴いたことあるなぁ... あっ、コレって「サーフィンUSA」やん!” と直感し、その時初めて「サーフィンUSA」の元ネタがチャック・ベリーだったことに気が付いたのだった。それにしてもビートルズ、ストーンズ、ビーチ・ボーイズという60年代3大バンドに多大な影響を与えるなんて、チャック・ベリーってホンマに偉大ですなぁ... (≧▽≦)
 この曲は歌詞も私のお気に入りで、「ボストン」「ピッツバーグ P.A.」「テキサス」「フリスコ・ベイ」「セントルイス」「ニュー・オーリンズ」といった地名がメロディーと一体となって耳にポンポン飛び込んでくるところがめちゃくちゃカッコイイ(^o^)丿 サビの部分では思わず “アブシブシ ブロンヘァードゥー サーフィンUSA~♪” って口ずさみたくなるけれど...(笑) このレコードもアメリカのレコ屋からのシングル盤一括購入で、VG++盤を$3.75(約470円)で手に入れた。
Chuck Berry - Sweet Little Sixteen (1958)

The Beach Boys - Surfin' USA

ビートルズ・ルーツ特集④Chuck Berry-1

2015-10-04 | Oldies (50's & 60's)
 “ロックンロール” という言葉を聞いて真っ先に頭に浮かぶアーティストは?と聞かれたら、私なら迷うことなくチャック・ベリーの名前を挙げる。たとえビル・ヘイリーが “ロックンロールの元祖” であっても、エルヴィス・プレスリーが “ロックンロール界のスター” であっても、それでもやはり私にとってはチャック・ベリーこそが “ロックンロール” を体現するアーティストなんである。
 ビートルズがカヴァーした曲のオリジナル・アーティストによるシングルをUS原盤で集めるにあたって、私がガール・グループに続くターゲットとして選んだのがそのチャック・ベリーだった。若き日のビートルズはもちろんのこと、ローリング・ストーンズやヤードバーズといった60'sブリティッシュ・ロックの超大物グループたちは皆チャック・ベリーを聴いてロックンロールにハマり、メジャーになってからも嬉々としてチャック・ベリーの作品をカヴァーしている。こんなアーティストはチャック・ベリーを置いて他にはいない。
 特に彼のヒット曲で多用されている例のイントロのフレーズの吸引力には抗しがたいものがあり、極論すればあのギター・リックを聴いて何も感じなければロックンロールは諦めた方がいいのではないかとすら思ってしまう。あれの元ネタは1940年代に活躍したジャンプ・ブルースの大物ルイ・ジョーダンの「エイント・ザット・ジャスト・ライク・ア・ウーマン」だと思うが、それをモディファイして “ロックンロールの古典的フレーズ” にまで昇華させたところにチャック・ベリーの偉大さがあると思う。
Louis Jordan Ain't That Just Like A Woman


①Roll Over Beethoven [Chess 1626]
 この有名なギター・リックで始まる彼のヒット曲は「ジョニー・B・グッド」を始め、「キャロル」「バック・イン・ザ・USA」「スウィート・リトル・ロックンローラー」「レット・イット・ロック」などがあるが、ビートルズ・ファンの私にとって “あのイントロ” の代表曲は「ロール・オーヴァー・ベートーベン」以外には考えられない。チャック・ベリーのオリジナル・ヴァージョンを聴いたのはかなり後になってからだが、ロックンロールの原点としての輝きを感じさせるカッコイイ歌と演奏だった。
 この曲のもう一つの魅力はその歌詞にある。ベートーベンをブッ飛ばしてチャイコフスキーに知らせてやれというフレーズは痛快そのものだし、“ブルー・スウェード・シューズ” や “リズム・アンド・ブルース” といったロックンロール・ボキャブラリーがポンポン飛び出してきて楽しいことこの上ない。スピード感溢れる曲想とのマッチングも最高で、まさにロックンロール・クラシックスの鑑といえる1曲だ。
 オリジナルのシングル盤は言わずと知れたチェス・レコードなのだが、星の数ほど存在するオールディーズ・レコード・レーベルの中でも「チェス・レコード」と「サン・レコード」の2つは別格という感じで、私なんかもう手にしただけでワクワクしてしまう。そんなチャック・ベリーのチェス盤の中で状態の良いブツを見つけるのに一番苦労したのがこのレコードで、eBayに出てくるのは再発盤かジャリ盤ばかりだったこともあり、結局ヤフオクに出品されていたEX- 盤を2,300円で購入。ちょっと高いかなとは思ったが、海外から買う時の送料を考えれば許容範囲内である。実際に聴いてみて、50'sモノラル・シングル盤ならではの音の太さに大感激!!! これが伝説のチェス・レコードの音か... (≧▽≦)  やっぱりアナログの音はエエなぁ。
Chuck Berry Roll Over Beethoven


 ビートルズのヴァージョンに関してはもう何の説明も不要なくらいのスーパーウルトラ大名演で、ジョージが弾く気合い十分のイントロからノリ一発で一気呵成に駆け抜けるようなハイ・テンションの演奏がチョースバラシイ(^o^)丿  初期ビートルズ御用達のハンド・クラッピングもノリの良さに拍車をかけており、この曲の名演度アップに大きく貢献している。
The Beatles - Roll Over Beethoven (2009 Mono Remaster)


②Too Much Monkey Business [Chess 1635]
 チェスの初期レーベル盤のチャック・ベリーでもう1枚の私的溺愛盤が「トゥーマッチ・モンキー・ビジネス」だ。この曲との出会いはビートルズでもチャック・ベリーでもなく、FMラジオの「3大ギタリスト特集」の時にかかったヤードバーズによるカヴァーだった。曲そのもののカッコ良さも怒涛の勢いで弾きまくるクラプトンのギターの凄まじさも大いに気に入ったが、当時高校生だった私にとって何よりもインパクトがあったのは「モンキー・ビジネス」という言葉の響きの可笑しさだった。猿仕事??? 何じゃいそれは??? という感じでエアチェックしたテープを何度も何度も聴き返すうちにすっかりハマってしまい、私の中では “ヤードバーズと言えばモンキー・ビジネス” という歪んだ刷り込み(笑)がなされてしまった。
Too Much Monkey Business - The Yardbirds


 チャック・ベリーのオリジナル・ヴァージョンを聴いたのはそれからかなり経ってからのことだが、ベスト盤CDを聴いて “おぉ、これが猿仕事のオリジナルか...(^o^)丿” と悦に入って聴きまくったのを覚えている。因みに“モンキー・ビジネス”とは “インチキ、不正行為” という意味で、仕事やオンナや学校やバイトの愚痴を羅列しておいて “俺のまわりはインチキだらけさ!” とボヤきまくる歌詞が実にユニークだ。
 このレコードも上記の①同様にキレイな盤を探すのは至難のワザで、私は仕方なしにeBayでVG表記の盤を無競争の$6,00(約740円)でゲットしたのだが、届いた盤はサーフェス・ノイズを圧倒するように飛び出してくる剛力サウンドが圧巻で、めっちゃ得した気分である。VG盤に手を出すのは一か八かの賭けみたいなモンだが、この盤に関してはホンマにラッキーしましたわ(^.^)
Chuck Berry - Too Much Monkey Business


 ビートルズによるカヴァーは「BBCライヴ」に入っており、ヴォーカルは “チャック・ベリーは私のヒーロー” と公言しているジョン・レノンだ。大好きなチャック・ベリーのカヴァーということで水を得た魚のように活き活きとした歌声を聞かせるジョンといい、ドライヴ感抜群のバックの演奏といい、ソリッドなロックンロール・バンドとしてのビートルズの魅力が全開だ。
The Beatles "Too Much Monkey Business"