shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Presence / Led Zeppelin

2018-07-29 | Led Zeppelin
 後期ゼップのアルバムの中で最も愛聴しているのは前回取り上げた「フィジカル・グラフィティ」だが、その次に出た「プレゼンス」も大好きだ。このアルバムは “ギター、ベース、ドラムス+ヴォーカル” という実にシンプルかつオーソドックスなスタイルで作られており、以前のアルバムにあったようなアコースティック曲もなければシンセサイザーをフィーチャーした曲もない。まさに余分な音を全て削ぎ落としたかのような潔さで、その “シンプル・イズ・ベスト” を絵に描いたような演奏が信じがたいほどのエネルギーを生み出し、“ハードロックはかくあるべし!” といいたくなるような圧倒的な存在感、つまりプレゼンスでもって迫ってくるのである。
 最初に手に入れたオリジナルのUK盤はマトリクスが A2/B2。£2.70という信じられないような安さでNM状態の盤を買えて嬉しかったし、実際に音の方も日本盤LPやCDとは比較にならないほどダイナミックで芯のあるサウンドで、“やっぱりゼップは UK 1stプレスに限るのぉ...” と悦に入って聴いていた。
 しかしその後、「プレゼンス」のUK初回盤のマトは A1/B1だということが判明。ちょうどビートルズのUK初回盤「ラバー・ソウル」のケースと同じで、音圧が高すぎてB面で針飛びを起こすという事象が頻発したためすぐにA1/B2 盤が再ブレスされたとのこと。ということは私の買った A2/B2盤は2ndどころか 3rdプレスということになる... どうりで安いはずである。私は自分の勉強不足を棚に上げて “セラーに騙された...” と悔しがってみたものの後の祭り。こーなったら意地でもA1/B1盤を手に入れなければ収まりがつかない。
 eBayで検索してみると多くのセラーが A1/B2盤を 1stプレスと謳って出品しており、“オマエらデタラメ書くなや...” と思いながら A1/B1盤を探す。すると驚いたことに A2/B1盤という摩訶不思議な盤も何枚か出品されていて何だかワケが分からなくなってくるが、目指すは A1/B1盤のみ。中途半端な2ndプレス盤に用はない。結局2週間ほど粘ってついにA1/B1盤をゲット。BUY IT NOWで£20だった。
 届いたA1/B1盤を実際に聴いてみたところ、確かに音圧は高めだし、リズム隊が生み出す重低音のズシリズシリとくる響き具合いも一味違う。A面1曲目に置かれた10分を超える超大作「アキレス・ラスト・スタンド」で鋭く切れ込んでくるペイジのギターなんかもうキレッキレだし、演奏の要としてこの曲をグイグイ引っ張るボンゾの爆裂ドラミングもこれまで聴いてきたどの「プレゼンス」をも上回る凄まじさで、“ゼップ版ラウドカット” を心ゆくまで堪能できる。
 そしてB①「ノーバディーズ・フォルト・バット・マイン」の後半部にきたところで何の傷も無いのにいきなり針飛び発生!!! 驚いた私は慌てて針圧を調節し、針飛びする箇所でヘッドシェルをいじって針が溝をきちんとトレースするように道を作り、何とか修理完了(^o^)丿 これで心置きなく1stプレス盤の轟音を楽しむことができるようになり(←大音量で聴いてる時にいきなりボン!というデカい音を立てて針飛びされたらもう聴く気ぃ失せますぜ...)メデタシメデタシだ。
 そして先々月に買ったのが US盤で、それも普通の盤では面白くないので PRプレスのプロモ盤を狙い、首尾よく $27でゲットした。届いた盤のマト末尾アルファベットは G/Fで、もっと若いアルファベットのEあたりを予想していた私はちょっと拍子抜けしたが、実際に聴いてみると悪くない... というか UK 3rdプレスとほとんど同じレベルのソリッドな音で鳴ってくれる。このレコードがリリースされたのは1976年だが、この頃になると同じワーナー・グループのストーンズが “全世界堂音質を保証する輸入メタルマザーによろプレス” をウリにしていたことでも明らかなように、プレス国による音質差は60年代~70年代前半に比べるとそれほど大きくはなくなっていたのかもしれない。そういう意味でもUK 1stプレスのごっつい音は並み居る「プレゼンス」の中でも別格と言えるのではないだろうか。
Led Zeppelin - For Your Life

Physical Graffiti / Led Zeppelin

2018-07-22 | Led Zeppelin
 レッド・ゼッペリンは「Ⅳ」で“ブルース・ベースのハードロック” を極め、「館」以降はシンプルなリフの繰り返しによって巨大なグルーヴを生み出していくというザ・ワン・アンド・オンリーなスタイルの “レッド・ゼッペリン・ミュージック” を創出していったと私は考えているのだが、そんな「館」以降のいわゆる “後期ゼップ” アルバムの中で断トツに好きなのがこの「フィジカル・グラフィティ」だ。特にディスク1の方は捨て曲埋め草の類が皆無で、楽曲のクオリティーの高さに限って言えば彼らの全アルバム中でベストな1枚ではないかと思っている。
 そんな“超”のつく愛聴盤なので第1次ゼップ・オリジナル盤祭りの時は率先して UK盤を購入したのだが、送られてきた盤に針を落とした瞬間に“何じゃいコレは...” と呆れるくらい音が薄っぺらくて “思うてたんと違う...(>_<)” とめちゃくちゃガッカリした。
 慌てて調べてみると私が買ったのはセンター・レーベルのリム右上部に Wマーク有りのレイター・プレスで、マトリクスを調べると初回盤どころか 2ndプレス(←Wマーク無しでマト枝番は A1/B5/C1/D1)ですらないことが判明...(>_<) まぁゼップの 1stプレス盤の識別法なんか全く知らずにセラーの言葉を鵜呑みにして入札していた私がアホだったのだが、そんなクソしょーもないブツに£16も出してしまったことを猛省し、それ以降はビートルズ以外のアーティストも十分な下調べをしてから買うようになった。尚、このレコードは自分への戒めとして今でも大事に持っている(←もう二度と聴くことはないけど...)。
 結局「フィジカル・グラフィティ」の UK盤を獲り直すことになり、今度はちゃーんと調べて Wマーク無しでマト枝番 A1/B4/C1/D1の真正 1stプレス盤を£24でゲット。届いた盤に針を落とすといきなりA①「カスタード・パイ」のイントロでバリバリと空間を切り裂くペイジの乾いたギターが炸裂!!! ボンゾのドラミングも大袈裟ではなく驚天動地と言っても過言ではない凄まじさで、これぞへヴィー・ロックの王者ゼップ!と快哉を叫びたくなるようなド迫力サウンドだ(≧▽≦)  竹を割ったようなソリッドなリフが心地良いB①「ハウズィズ・オブ・ザ・ホリー」(←「館」セッションからの拾遺作品やけど、この単純明快なロック感覚はどう考えても「館」には合わんわな...)、そしてファンキーなリフがカッコイイB②「トランプルド・アンダーフット」と続く畳み掛けるようなリフ攻撃は一度ハマると抜け出せない中毒性を持っているし、A③「イン・マイ・タイム・オブ・ダイング」やB③「カシミール」のうねるような巨大なグルーヴに身を任せる快感は筆舌に尽くし難い。
 いつもディスク1だけでお腹一杯になってしまうのとディスク1に比べて地味めな曲が多いせいでディスク2はあまり聴かないのだが、緊張感漲る演奏にゾクゾクさせられるD②「ザ・ワントン・ソング」と古き良きロックンロールをジャムる楽しさが伝わってくるD③「ブギー・ウィズ・ステュ」(←リッチー・ヴァレンスの隠れ名曲「ウー・マイ・ヘッド」のパクリ)は超愛聴曲で、いつもこの2曲だけを続けてつまみ聴きしてしまう。特にD③におけるドラム・サウンドのキレ味は CDとは雲泥の差で、50'sロックンロール大好き人間のボンゾ(←彼らの名曲「ロックンロール」も元はと言えばジャムってる時にボンゾが叩いた「グッド・ゴリー・ミス・モリー」と「キープ・ア・ノッキン」のイントロがきっかけで出来た曲やし...)の張り切りようがビンビン伝わってくる、躍動感あふれるサウンドだ。
 そんなこんなで「フィジカル・グラフィティ」に関しては RLカッティングの US盤「Ⅱ」を彷彿とさせる UK 1stプレスの爆音で十分満足していたのだが、今回の“第2次ゼップ祭り”で US盤の音も聴いてみたくなり、色々調べてみたところ、マト末尾のアルファベット(←「フィジカル...」の初回盤を謳っている盤は大体 B~Fまでが多い...)とカッティング・エンジニア、更にプレス工場の組み合わせのヴァリエーションが何種類も存在し、とてもじゃないがどれを買ったらいいのかよく分からない(>_<)
 そこでアナログ盤の音質比較でいつも参考にさせてもらっている「スティーヴ・ホフマン・フォーラム」を調べてみると、“Best sounding Led Zeppelin Physical Graffiti on vinyl?” というテーマでコレクターたちが喧々諤々の議論を展開しており、その中で一番良さそうだったのが “Side-1: BB △19707 (5) AT PR Side-2: DD-EX A.T. F.T. △19707-X (14) PR Side-3: DD-EX AT △19708 (15) PR F.T. Side-4: CC-EX ST-7 △19708-X (15) PR” というマトリクスの MOプレス盤。早速 eBayや Discogsで目ぼしいセラーに片っ端からメールしてみたのだがこのマトはかなりレアらしく中々見つからない。
 そんな時にたまたま「Ⅱ」の RLカッティング盤を落札したセラーがこのレコードも同時に出しているのを見つけ、センター・レーベル面にプレス工場を示すアルファベット表記がないという摩訶不思議盤ながら(←コレって何故なん???)試聴した限りは音も良さそうだったし、$26という安値でしかも送料も浮くしということで(←2枚組の送料ってめっちゃ高くて困りますな...)とりあえずそいつを購入。届いた盤はマト末尾のアルファベットが D/D/D/D で、さすがに音の押し出し感では UK 1stプレス盤に敵わないものの、普段聴きする分には必要十分な高音質。MOプレス盤を入手するまでの繋ぎとしてはこれで十分だ。
 その後もお目当ての MOプレス盤は中々オークションに出てこなかったのだが、ある時ふと思いついてディスクユニオンの通販サイトで検索をかけてみたところ、USオリジナル盤4件がヒット。すぐに各店舗にメールして確認したところ、何と横浜西口店の盤が私の探している MOプレス盤だったので即購入決定。VG+ で4,500円というリーズナブルなお値段で買うことができてラッキーだった。アメリカのセラーから買うと$30近くかかる送料が国内通販だとたったの500円ですむというのも嬉しい。
 音の方は口コミ通りの凄い音で、音圧に限って言えば UK 1stプレスとタメを張れるのではないか。全体的な音のバランスを含めた総合点では UK盤に一日の長があるが、聴いててオモロイのは MOプレスの方で、特にドラム好きにはたまらない音作りだ。中でもA①で炸裂するボンゾのバスドラのド迫力にはビックリ(゜o゜) ドラムの皮が破れるんちゃうかと思うぐらい “ドスン!” という強烈なキックがアルテックの巨大ウーファーを震わせるこの1曲だけで十分元が取れたと思わせてくれるダイナミックなサウンドだ。とにかくラウドでパンチのある豪快な音が聴ければもうそれだけで大満足、という人にはコスパ抜群の MOプレス盤がオススメです(^.^)
 ということで US盤に関してはしばらくはこの MOプレス盤と無印盤の2枚体制でいこうと思うが、いずれそのうち PRプレスの初期盤を手に入れて MOプレス盤との聴き比べとかもやってみたいし、機会があれば USプロモ盤の音も聴いてみたいと思う。プレス国や工場によって音の違いを色々楽しめるので、「フィジカル・グラフィティ」みたいな超愛聴盤のレコードは何枚あってもエエですな(^.^)
Led Zeppelin "Custard Pie" from Physical Graffiti LP UK edition

Houses Of The Holy / Led Zeppelin

2018-07-15 | Led Zeppelin
 この「聖なる館」はゼップの全作品の中でも際立って異質な内容のアルバムで、初めて聴いた時の第1印象は “何じゃいコレは???” 以外の何物でもなかった。喉の手術によるプラントの声質劣化にも驚いたが、何よりも受け入れ難かったのはメロトロンやシンセサイザーを大きくフィーチャーし、ファンク、レゲエなどの要素を大胆に取り入れた音楽性の変化で、「コミュニケイション・ブレイクダウン」や「ロックンロール」のようなイケイケの王道ハードロックを彼らに期待していた私の耳には期待ハズレもいいところ(>_<)  昔からエレピの軽薄な音が大っ嫌いな私にとっては可愛さ余って何とやらで、 “何が悲しゅーてゼップがこんなヘタレな音楽やっとるんや?”と、アコギに失望した「Ⅲ」以上にがっかりしたものだ。そういうワケで中学の時に初めて買った日本盤は数回聴いてすぐに売り飛ばし、その後ずーっとこのアルバムだけは頑なにスルーしていた。
 そんな私が再びこのアルバムを聴くようになったきっかけは何と「ゴルゴ13」(笑)で、「統計解析射撃」という話の中でゴルゴがターゲットに近づくためにわざと敵につかまって拷問を受けるシーンがあるのだが、そこに登場したのが他でもないこの「聖なる館」。ヘッドフォンの大音量でこのレコードを聴かされてゴルゴが苦悶の表情を浮かべるのを見て “あのアルバムにそんなハードな曲入ってたっけ???” と思い、CDをレンタルしてきて改めて聴き直してみるとこれが結構面白い。
 単純なハードロック小僧だった学生時代からかなりの年月が経って音楽的に心が広~くなっていたせいもあるが、昔からこのアルバムで唯一好きだった無機質な疾走系チューンA①「ザ・ソング・リメインズ・ザ・セイム」のスリリングなカッコ良さ(→拷問に使われたのは多分この曲やろな...)に加え、全くのノーマークだったB①「ダンシング・デイズ」の面白さにも開眼。そのねっちっこい変則ビートが脳内リフレインに突入して往生したし(→ボビー・ブラウンの「Humpin' Around」ってこの曲のパクリやったんやとこの時初めて気付いた...)、ゼップによるジェームズ・ブラウンのパロディーみたいな変態ファンクのA④「クランジ」にも大笑い(^_^)  これはもう完全にギャグである。
 そーなってくると今度は怪しさ満点のレゲエ・ナンバーB②「デジャ・メイク・ハー」もまぁハニードリッパーズの先駆けみたいなスピンオフ的作品(?)と考えればまぁ愉しめないことはないし、A③「オーヴァー・ザ・ヒルズ・アンド・ファー・アウェイ」における静と動のコントラストの妙など、バリバリのハードロックを期待して聴かなければ実に聴き所の多いアルバムだとわかる。エレピの音は生理的に無理なのでB③「ノー・クオーター」だけは今でも苦手やけど...(>_<)
 そんなこんなで初めて聴いてから20年以上たってようやくその真価が分かり始めたニクイ1枚なのだが(←かと言ってⅠ、Ⅱ、Ⅳのように溺愛するとこまでは絶対にいかないと思うけど...)、改めるに遅すぎることなかれ、ということで第1次ゼップ祭りの時に eBayで検索。しかし UK盤はマトリクスやカッティング・エンジニアの組み合わせetc が色々あってどれが良い音なのかよく分からないので後回しにし、とりあえず安くて盤質が良かったフランス盤 1stプレスを €11(←安っ!!!)でゲットし、更に UK盤や US盤よりもカッティングレベルが高くて“世界一音が良い”といわれている日本盤(←ホンマかいな???)もヤフオクで800円(←安っ!!!)で落札した。
 まずフランス盤の方だが、UK盤が「館」からUS盤と同じ green/orange レーベル・デザインに変わったのに対し、こちらはまだ red/plum のままだ。デッドワックスには機械打ちで STERLING、そして泣く子も黙る RL の2文字が手彫りで刻まれており(←ジャズで言うと RVG みたいなモンか...)、実際に聴いてみると中低域がタイトに引き締まっていてA①のスピード感に拍車がかかっている感じ。同じ RL カッティングの「Ⅱ」のような野放図な低音とはかなり音作りが異なっているように思うが、それぞれのアルバムの音楽性に合わせて音を仕上げていくボブ・ラドウィックならではの仕事といえるかもしれない。一言で言えば “突出した部分は無いが非常に平均点の高い音” だ。
 一方、“ラウドカット” を喧伝されていた国内初回盤の P-8288A の方は看板に偽りナシのデカい音で、音圧は先のフランス盤の1割増しぐらい高く感じられる。特にA①なんかもう血湧き肉躍るという感じの凄まじさで超ヤバい(^o^)丿  私は基本的に国内盤の音を“薄っぺらい”とバカにしてきたが、この盤に関する限りは素直に参りましたと平伏すしかない。ただ、私には高音がちょっとキツすぎるのが玉にキズで、この盤はプリアンプのトレブルを1目盛りほど絞って聴くようにしている。まぁこのあたりは聴く人の音の好み次第だと思うが、ドンシャリ系のシャープな音が好きな人にはピンズドな音作りだ。
 そして今回のゼップ祭りパート2のどさくさで US盤もゲット。eBayで$12ポッキリ(←安っ!!!)で落札できた。この「館」は「Ⅰ」から「Ⅳ」までの初期の作品群に比べるとめちゃくちゃ安く買えるのでありがたい。私が買った盤は SO(サザン・プラスティックス)プレスでマト末尾のアルファベットは C/B。フランス盤と同じ RL カッティングで STERLING 刻印入りなのだが音の傾向は少し異なっていて、音圧は仏盤よりもやや低くて平板な音作りに聞こえた。これが PR や MOプレスならまた違った結果になったかもしれないが...(>_<)  因みに先のゴルゴの話はテキサスのダラスが舞台になっているので拷問に使われたのは多分この US盤だろうが、ラウドカットの日本盤だったらゴルゴの耳ヤバかったかも...(笑)
 更に、プレス枚数が少なかったのかこれまで滅多にオークションに出てこずに入手できずにいたマト A1/B1(機械打ち) PORKY/PECKO(手書き)刻印の UK盤を先日ようやくゲット。UK初回盤は何故かマトが A2/B2 で 刻印が US盤と同じ RL / STERLING なのにもかかわらず音は断然後発の PORKY 盤が良いという評判だったのでそちらを狙ったのだが、結論から言うと待っただけの甲斐は十分にあるスーパーウルトラ高音質だ(^.^)  実際に聴いてみると手持ちの日・仏・米盤とは一線を画す深みのある音で、音場が広くて音の躍動感も文句ナシ。ハッキリ言って私には「館」はこれ1枚あれば十分だ。それにしても英・米・仏・日と、同じレコードでもこれだけ色んな音が愉しめるのだから、アナログ盤の世界ってホンマに奥が深いですな。
The Song Remains The Same - Led Zeppelin HD (with lyrics)

Led ZeppelinⅣ

2018-07-08 | Led Zeppelin
 レッド・ゼッペリンの全アルバムの中で最もターンテーブルに乗る回数が多いのは「Physical Graffiti」のディスク1とこの「Led ZeppelinⅣ」(←正式名称が無いので Untitled とか 4 Symbols とか呼ぶ向きもあるが、やっぱり Ⅳ が一番自然でしょ?)だ。このレコードは最初に買った日本盤もその後に買ったCDもショボイ音だったので、長い間 “曲はエエねんけど何か音が籠っとるなぁ... 録音が悪いんかなぁ...” と思っていた。
 今から十数年前に1人で盛り上がった “第1次ゼップ・オリジナル盤祭り” の時に買った「Ⅳ」はB①が「Misty Mountain Top」とミス表記されているマトA4/B3盤で、商品説明に “Rare UK 1st Press Wow!”(←欧米人ってホンマに “ワウ!” 好っきゃなぁ...) とあったので迷わず入札し、$57で落札。音の方は手持ちのCDがゴミに思えるような素晴らしさで、やっぱりUKオリジナル盤はエエなぁ... と悦に入っていた。
 しかしそれから何年か経って、たまたま eBayで A3/B3盤の存在を知ってしまったのが不幸の始まり...(笑) “A4であんなエエ音するんやから A3ならもっと凄い音がするに違いない...” という想いが自分の中で日に日に大きくなっていき、ついに“真のUK 1st プレス盤” 購入を決意。色々調べてみるとマト番以外にも Peter Grant クレジットとか、4シンボルズのパーシーを表す羽根のマークが上下逆(←Inverted Featherって言うらしい...)になってたりとか、いろんな特徴があるのだが、何よりも大事なのはもちろん盤質。結局Peter Grantクレジット以外の条件をすべて満たしているNM盤を£131でゲットした。
 このマト A3の 1stプレス盤をマト A4の 2ndプレス盤と聴き比べてみたところ、A3盤の方が音の鮮度が高いせいか楽器の音の粒立ちが良くて音場がやや広く感じるが、価格差ほどの音質差はない。このレコードに関しては少しでも良い音で聴きたかったので思い切って買って全く後悔はしていないが、コスパを考えれば A4盤が断然お買い得と言えるかもしれない。まぁ、そんなこんなで大好きな「Ⅳ」の真のUK 1stプレスを手に入れることができて私としてはメデタシメダタシ... となるはずだった。
 そもそも私がこのようにオリジナル盤 1stプレスに拘る理由は好きなアーティストの音楽を少しでもマスターテープに近い生々しい音で楽しみたいからで、音の鮮度を考えればイギリスのアーティストは UK盤で、アメリカのアーティストは US盤で集めるのがベストのはず。しかし心の片隅に常に一つの疑念があったのも事実で、それはつまりイギリスのアーティストでも活動の拠点がアメリカならば US盤の方が音が良いのではないか、という疑いである。何年か前にそれを検証すべくジョン・レノンのソロ作品を US盤で買って聴いてみたところ、恐れていたように UK盤よりも生々しい音で鳴ってしまい(笑)、それから慌てて US盤を買い集めたのは以前このブログにも書いた通り。
 ジョンのソロが一段落した後、私の中で “ほんならゼップはどーなんや???” という疑問が浮かび上がってきた。彼らは米アトランティック傘下のアーティストであり、イギリスよりもアメリカ市場を第一に考えた活動をしていたからだ。ちょうどそんな時に絶妙なタイミングで「LED ZEPPELIN - UNTITLED:Ⅳ PECKO/PECKO DUCK Edition」という LHギフト盤に遭遇。インフォに “ゼップの『Ⅳ』英米初版にはマトリックス部分にA面 Porky、B面 Pecko Duck という刻印が彫ってあるが、US初版に稀にA面に Porkyではなく Pecko刻印があるイレギュラー盤が存在し、肝心の音質でも Pecko刻印 US盤に軍配があがる。” とあったので即ゲットして聴いてみたところ、確かに CDとは思えないような鮮烈な音で鳴る。こいつはちゃーんとした本物のアナログ盤で手に入れたいと思い eBayをチェックしたところ、ほとんどの盤は A面 Porky / B面 Pecko Duck の組み合わせだったが(←因みに私の UK盤は2枚とも刻印が逆パターンで、A面が Pecko DuckでB面が Porky だ...)1枚だけ「A面 Pecko / B面 Pecko Duck」の盤があったのでそいつをゲット。BUY IT NOWで$25だった。
 届いたレコード(→マト末尾はD/E)は盤質がめちゃくちゃ良かったせいか、ブートCDを更にパワーアップさせたような鮮烈な音が聴けて大満足(^o^)丿  中低域の厚みは UK盤に一日の長があるが、高域の伸びに関しては Pecko刻印 US盤の方が勝っている。一言でいうとキレッキレの音なのだ。中でもジミー・ペイジが腰を抜かしそうになったというボンゾの超ド迫力一撃必殺ドラムが愉しめるB④「ホェン・ザ・レヴィー・ブレイクス」なんかもう凄すぎて言葉を失う。というワケで轟音爆音好きには断然 US盤がオススメだ(^.^)
 この時点で「Ⅳ」は3枚目だが、どの盤もそれぞれ音に個性があってしかも超の付く高音質なのだから嬉しくってしようがない。私はその時々の気分で UK盤と US盤をとっかえひっかえしながら愉しむという贅沢を満喫しながら、「Ⅳ」に関しては今度こそ “これにて一件落着!” と思っていた。
 しかしこれで終わらないのがレコード・ジャンキーの哀しさ... 今回の “第2次ゼップ・オリジナル盤祭り” で盛り上がっている真っ最中に今度はヤフオクで “見てはいけないブツ”(笑)を見つけてしまったのだ。それこそが禁断の白プロモ盤、しかも PRプレスときたもんだ。ゼップの白プロモ盤なんて少し前までは畏れ多くて買おうなんていう気すら起こらなかったが、青ロゴ盤を手に入れた勢いで完全に “怖いモノ無し状態” になっていた私は本能の趣くままに参戦して無事落札! これで財布はすっかりカラになってしまったのでしばらくはレコ買えへんな...
 届いた白プロモ盤に針を落とすと、まるで目の前でゼップが演奏しているかのような生々しいサウンドがスピーカーから迸り出てきてビックリ(゜o゜)  音の特徴を一言で言うと、ちょうど US Pecko Duck盤と UK A3盤の長所を合わせた様な感じで、分厚い中低音と伸びやかな高音のバランスが絶妙なのだ。もちろん音のエネルギー感もハンパない。これが白プロモ盤の威力なのか、マト末尾が Cという若いアルファベットだからなのか、プレズウェル・プレス盤の底力なのか、はたまたそういったいくつかの要素が組み合わさった相乗効果なのか私には知る由もないが、ただ一つ言えるのは思い切って買ってホンマに良かったということ。こんなに良い音が愉しめるのなら何ヶ月か “猟盤断食” してもエエかな... と思える今日この頃だ。
When The Levee Breaks - Dark Remaster

Led ZeppelinⅢ

2018-07-01 | Led Zeppelin
 レコードに関する記述でよく“愛聴盤” という言葉を耳にする。私もよくこの表現を使うが、それは捨て曲・埋め草の類がなく AB面通して LP丸ごと1枚聴き通せるような溺愛盤のことで、好きな曲だけをつまみ食いする場合は愛聴 “盤” ではなく愛聴 “曲” と言うべきだろう。そういう意味では私にとってこの「Led ZeppelinⅢ」は愛聴盤とは言えない。B面の CSN&Yみたいなアコースティック・ナンバーがあまり好きになれず、いつも A面しか聴かないからだ。ゼップを聴き始めた中学生の時なんかもっと極端でA①「イミグラント・ソング」だけで針を上げていたが(笑)、彼らにアグレッシヴなハードロックを求めていた私のようなロック・ファンは案外多かったのではないだろうか?
 そんなこんなでこの「Ⅲ」は「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅳ」のようなスーパーウルトラ愛聴“盤”ほど聴き込んでいるワケではないが、絵に描いたような疾走系ハードロック A①やエスニックな曲想がクセになる変態スルメ・チューン A②「フレンズ」、リズム隊が大活躍するエレクトリック・ブルースの隠れ名曲 A③「セレブレイション・デイ」という名曲名演3連発が聴ける A面だけでも十分に価値があると思い、“第1次ゼップ・オリジナル盤祭り” の時に UKオリジナル盤を£19でゲットした。
 私が買ったのは red/plumレーベルでマトリクスは A-5 / B-5、デッドワックス部分には “Do what thou wilt”(A面)、“So mote it be”(B面)というクロウリーの呪文が刻まれており、ジャケットはもちろん内部の円盤が回る特殊ギミック見開き仕様だ。センター・レーベルに Peter Grantクレジットはなく、Warner Bros. Music の後にも Ltdが付いていないので最初期盤ではないが(←Peter Grantクレジットありなのにマトが A6や A7という摩訶不思議な盤も結構存在するのだが、これって一体どーゆーことなのだろう???)、マト番が同じなので音はそんなに変わらんはずだ(←値段は4~5倍になるけど...笑)。音の方は UK盤ならではの野太いサウンドで高域の伸びも素晴らしく、A①のシンバル乱打なんかもう驚異のド迫力... これを聴いたら CDの薄っぺらい音なんか絶対に聴けません。
 そういうワケで長いことこの UK盤1枚を聴いてきたのだが、今回の第2次ゼップ祭りで US盤も聴いてみたくなり、いつものようにネット検索。ヤフオクで MO(モナーク)プレス盤が3,000円ぐらいで出ていたのを見つけたのでそれでエエかなとも思ったが、どうせなら PR(プレズウェル)プレス盤を手に入れたいと考え直し、結局 Discogsで EXコンディションの PR盤を$25でゲット。US盤はマトリクス末尾のアルファベットでプレス時期の早い遅いが分かるのだが、ラッキーにもマト末尾が “-B / -B” で “Mastercraft” 刻印入りの初期プレス盤を手に入れることができた。
 更に都合の良いことに eBayに Peter Grantクレジットの UK盤が比較的安値で出品されていたので “毒を食らわば皿まで” のノリでその盤もゲット。マトリクスはもちろん A-5 / B-5 なのでこれこそが真正最初期プレスだ。上記の UK盤を既に持っているのにアホちゃうか!と心の中でもう一人の私が責めたのだが、音の違いを自分の耳で確かめてみたいという好奇心が勝ったのだ。
 先に届いたのはピーター・グラント盤で、早速もう1枚の UK盤と比較試聴してみたが、最初期プレスだけあって音の鮮度の点でグラント盤の方に一日の長があり、特にアコースティック・ギターの音色がめちゃくちゃ生々しい。B④「ブロン・イ・アー・ストンプ」なんてもう凄いのなんの... いやー、これは買って正解でしたわ(^.^)  マトリクスは同じでもマザーやスタンパーが違うということなのかもしれないが、とにかく「Ⅲ」のUK盤を狙うなら間違いなくグラント盤ですな。
 次に US盤だが、こちらはとにかく音がシャープでバスドラのスピード感も凄いというのが第一印象。さすがはプレズウェルのアーリー・プレスだけのことはある。ただし UK盤と聴き比べると音がやや軽めでアタック音の芯の強さで負けているように感じた。土臭いブリテッシュ・トラッドの薫りがたちこめるこのレコードにはやはり中域が分厚い UK盤の音作りの方が合っているということなのか。私の好みで言うと UK 1st > UK 2nd > US 1st ということになるが、US盤の音だって決して悪くはないと思う。ビートルズの場合はキャピトルの音作りがクソすぎて US盤はスルーでよかったが、ゼップは USアトランティック盤の音も侮れないので “UK盤とUS盤の聴き比べ” という愉しみ方ができてホンマにオモロイですわ(^.^)
Celebration Day