「ザ・キッズ・アー・オールライト」は1979年に公開されたザ・フーのドキュメンタリー映画で、デビューからキース・ムーンの死の直前までのライヴ映像、ビデオ・クリップ、インタビューで構成されている。楽器を壊して大暴れするステージや個性溢れるメンバーの言動(特にキースの奇人変人ぶり!)、人を食ったようなインタビューなど、彼らのクレイジーな側面にスポットを当ててその魅力を見事に描き切ったという点で、数多く出ている彼らの映像作品の内でもベストと言っていい秀作だと思う。
DVD の43チャプターのうち曲の演奏シーンは約半分の20チャプターで、(22)「サブスティテュート~ピクチャーズ・オブ・リリー~マジック・バス」を除けばどの曲もほぼフル・コーラス見れるのが嬉しい。私が60'sフーの最高傑作と信ずる「アイ・キャン・シー・フォー・マイルズ」が最終段階でカットされたのとアルバム「クアドロフェニア」がほとんどシカトされている点(←せめて「ザ・リアル・ミー」は入れて欲しかった...)を除けば選曲的にもベスト・アルバムとして楽しめる内容だ。
この映画はまず彼らの名刺代わりの1曲とでもいうべき(1)「マイ・ジェネレイション」で幕を開ける。アメリカのTV番組「スマザーズ・ブラザーズ・ショー」出演時のライヴで、司会者とのやり取りからも彼らのユーモアのセンスが窺えるが、注目はやはりエンディングでのお約束の楽器破壊。ピートがアンプにギターを突き刺す前から煙が出ていることからも分かるようにコレは彼らの楽器破壊をネタにしたコントみたいなモンなのだが、キースが裏方を買収して限度を超える火薬を仕込んでおいたらしく、アンプの爆発が強烈すぎてキースは爆風に吹っ飛ばされピートの髪も爆発状態... 大暴れする3人を尻目に表情一つ変えないジョンにも笑ってしまうが、コレはもうほとんどドリフ大爆笑のノリである。映画のオープニングとしてもインパクトは抜群だ。
(2)「アイ・キャント・エクスプレイン」は「シンディグ」出演時のもので、デビュー直後の生硬な4人が見れる貴重な映像だ。特に若かりし頃のキース・ムーンの天才的なスティックさばきとワルそのもののロジャーのふてぶてしい歌いっぷりに目を奪われる。(4)「ババ・オライリー」はこの映画撮影の為に500人程度のオーディエンスを招いて行われたシェパートン・スタジオでのシークレット・ライヴの映像で、本調子ではないキースの分までカヴァーしようと張り切るピートやロジャーのハイテンションなパフォーマンスが必見だ。(7)「ヤング・マン・ブルース」は1969年のロンドン・コロシアムでのライヴだが、ライヴ・バンドとしての全盛期にあった彼らの素晴らしいプレイに圧倒される。名盤「ライヴ・アット・リーズ」やワイト島フェスでの演奏と遜色ないカッコ良さだ。
(11)「トミー・キャン・ユー・ヒア・ミー」はドイツのTV番組出演時の口パク映像で、メンバーが横一列に並んで楽しそうに歌っている姿が微笑ましい。まるで CSN&Y みたいな爽やかなコーラスはあんまりザ・フーらしくないのだが...(>_<) (13)「ピンボール・ウィザード」、(15)「シー・ミー・フィール・ミー」は共にウッドストック・ライヴからのもので、正直言ってロック・オペラ路線があまり好きではない私だが、ライヴになると話は別。やっぱりザ・フーはライヴ・ヴァージョンがいい(^.^) 1975年のアルバム「ザ・フー・バイ・ナンバーズ」から唯一選ばれたのが(20)「サクセス・ストーリー」で、空中高く投げ上げられたゴールド・ディスクをジョンがライフル射撃で撃ち落とそうとするも失敗し、マシンガンを取り出してゴールド・ディスクを木端微塵に破壊するというビデオ・クリップが面白い。
(25)「ア・クイック・ワン」は1968年にストーンズの「ロックンロール・サーカス」に出演した時の完全ヴァージョン。この曲は短い曲をつなぎ合わせて一つのストーリーに仕立て上げた組曲形式、彼らの言葉を借りればいわゆるひとつの “ミニ・オペラ” で、翌年の「トミー」への布石となった重要なナンバーだ。私はアルバム1枚丸ごと(というか「トミー」も「四重人格」も2枚組...)ロック・オペラというのは途中で中だるみがしてどうも苦手なのだが、この曲は “ミニ” というだけあって異常なくらいのハイ・テンションが持続し、息つく暇もなく8分近い熱演が楽しめる。このザ・フーの演奏が盛り上がりすぎて、それとは対照的に演奏がイマイチ精彩を欠いていたメイン・アクトのストーンズ側が番組自体の放送中止を決定、長年お蔵入りしていたという伝説の名演なのだ。確かにミックが嫉妬するのも頷けるくらいの凄まじい盛り上がりようで、特に後半部分で一気呵成にたたみかける爆発力は圧倒的! この曲はスタジオ録音テイクも含めモンタレーやリーズのライヴでも聴けるが、この “R&R サーカス” ヴァージョンが一番好きだ。(つづく)
My Generation
The Who - I Can't Explain
The Who - Success Story
The Who - A Quick One While He's Away (Rock and Roll Circus)
DVD の43チャプターのうち曲の演奏シーンは約半分の20チャプターで、(22)「サブスティテュート~ピクチャーズ・オブ・リリー~マジック・バス」を除けばどの曲もほぼフル・コーラス見れるのが嬉しい。私が60'sフーの最高傑作と信ずる「アイ・キャン・シー・フォー・マイルズ」が最終段階でカットされたのとアルバム「クアドロフェニア」がほとんどシカトされている点(←せめて「ザ・リアル・ミー」は入れて欲しかった...)を除けば選曲的にもベスト・アルバムとして楽しめる内容だ。
この映画はまず彼らの名刺代わりの1曲とでもいうべき(1)「マイ・ジェネレイション」で幕を開ける。アメリカのTV番組「スマザーズ・ブラザーズ・ショー」出演時のライヴで、司会者とのやり取りからも彼らのユーモアのセンスが窺えるが、注目はやはりエンディングでのお約束の楽器破壊。ピートがアンプにギターを突き刺す前から煙が出ていることからも分かるようにコレは彼らの楽器破壊をネタにしたコントみたいなモンなのだが、キースが裏方を買収して限度を超える火薬を仕込んでおいたらしく、アンプの爆発が強烈すぎてキースは爆風に吹っ飛ばされピートの髪も爆発状態... 大暴れする3人を尻目に表情一つ変えないジョンにも笑ってしまうが、コレはもうほとんどドリフ大爆笑のノリである。映画のオープニングとしてもインパクトは抜群だ。
(2)「アイ・キャント・エクスプレイン」は「シンディグ」出演時のもので、デビュー直後の生硬な4人が見れる貴重な映像だ。特に若かりし頃のキース・ムーンの天才的なスティックさばきとワルそのもののロジャーのふてぶてしい歌いっぷりに目を奪われる。(4)「ババ・オライリー」はこの映画撮影の為に500人程度のオーディエンスを招いて行われたシェパートン・スタジオでのシークレット・ライヴの映像で、本調子ではないキースの分までカヴァーしようと張り切るピートやロジャーのハイテンションなパフォーマンスが必見だ。(7)「ヤング・マン・ブルース」は1969年のロンドン・コロシアムでのライヴだが、ライヴ・バンドとしての全盛期にあった彼らの素晴らしいプレイに圧倒される。名盤「ライヴ・アット・リーズ」やワイト島フェスでの演奏と遜色ないカッコ良さだ。
(11)「トミー・キャン・ユー・ヒア・ミー」はドイツのTV番組出演時の口パク映像で、メンバーが横一列に並んで楽しそうに歌っている姿が微笑ましい。まるで CSN&Y みたいな爽やかなコーラスはあんまりザ・フーらしくないのだが...(>_<) (13)「ピンボール・ウィザード」、(15)「シー・ミー・フィール・ミー」は共にウッドストック・ライヴからのもので、正直言ってロック・オペラ路線があまり好きではない私だが、ライヴになると話は別。やっぱりザ・フーはライヴ・ヴァージョンがいい(^.^) 1975年のアルバム「ザ・フー・バイ・ナンバーズ」から唯一選ばれたのが(20)「サクセス・ストーリー」で、空中高く投げ上げられたゴールド・ディスクをジョンがライフル射撃で撃ち落とそうとするも失敗し、マシンガンを取り出してゴールド・ディスクを木端微塵に破壊するというビデオ・クリップが面白い。
(25)「ア・クイック・ワン」は1968年にストーンズの「ロックンロール・サーカス」に出演した時の完全ヴァージョン。この曲は短い曲をつなぎ合わせて一つのストーリーに仕立て上げた組曲形式、彼らの言葉を借りればいわゆるひとつの “ミニ・オペラ” で、翌年の「トミー」への布石となった重要なナンバーだ。私はアルバム1枚丸ごと(というか「トミー」も「四重人格」も2枚組...)ロック・オペラというのは途中で中だるみがしてどうも苦手なのだが、この曲は “ミニ” というだけあって異常なくらいのハイ・テンションが持続し、息つく暇もなく8分近い熱演が楽しめる。このザ・フーの演奏が盛り上がりすぎて、それとは対照的に演奏がイマイチ精彩を欠いていたメイン・アクトのストーンズ側が番組自体の放送中止を決定、長年お蔵入りしていたという伝説の名演なのだ。確かにミックが嫉妬するのも頷けるくらいの凄まじい盛り上がりようで、特に後半部分で一気呵成にたたみかける爆発力は圧倒的! この曲はスタジオ録音テイクも含めモンタレーやリーズのライヴでも聴けるが、この “R&R サーカス” ヴァージョンが一番好きだ。(つづく)
My Generation
The Who - I Can't Explain
The Who - Success Story
The Who - A Quick One While He's Away (Rock and Roll Circus)