shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Queen Greatest Hits」各国盤特集① ~UK系~

2022-01-28 | Queen
 ちょうど2年前の今日1月28日、私は京セラドームへクイーンを見に行った。日本がコロナ禍に巻き込まれる直前ギリギリセーフの開催だったこともあって、今から思えば大ラッキー。楽しかったライヴの記憶は今も鮮明に脳裏に焼き付いている。せっかくなのでその2周年を記念してクイーンの各国盤を特集することにした。
 クイーンの各国盤で一番持ってる枚数が多いのが「Greatest Hits」だ。世にベスト・アルバム数あれど、このレコードほど1枚の中にそのアーティストの魅力をギュッと詰め込んだ盤を私は他に知らない。まさに安心ラクチン格安パックツアーみたいなノリでクイーンを手軽に楽しめる1枚なんである。因みにこのレコードはイギリスで最も売れたアルバムで、調べてみたら現時点で600万枚を超えているらしい。広大なアメリカならまだしも、人口の少ないイギリス国内だけで600万枚というのはとんでもない数字と言わざるを得ない。イギリス人にとっては“1家に1枚”的なレコードなのだ。
 このアルバムは “発売国によって収録曲や曲順が違う” というのが売りだったが、当時の私は “へぇ~そうなんや...” ぐらいの認識しかなく、日本盤のみに収録された「手をとりあって」を聴いて喜んでいた。それから40年が経って各国盤にハマり、その音作りの違いはもちろんのこと、当時は無関心だった独自選曲の面白さもわかってきたので、このレコードは各国盤特集にピッタリだと思ったのだ。まずは基本中の基本であるUK盤、およびUKと選曲が同じ国の盤からスタートしよう。

①UK盤(EMTV 30 A-1 / B-1), (EMTV 30 A-9 / B-6 )
 私はこのレコードのUK盤を2枚持っている。マトリクス/マザー/スタンパーについてまだ何も知らなかった超初心者の頃に買ったマト9/6盤と、その後 “マトの数字が小さい方が初版に近い” という知恵がついてから手に入れたマト1/1盤の2枚である。苦労して入手したそのマト1盤に初めて針を落とした時は、当然マト1とマト9では音の鮮度にエライ違いがあるだろうと大いなる期待を持って聴き始めたのだが、出てきた音は私の予想に反してマト9盤とあまり変わらないごく普通の音だった。A①「Bohemian Rhapsody」のイントロのベースの響きではむしろマト9盤の方がリアルに感じられたほどだ。その時は“そんなアホな... 何でやねん???” と納得がいかなかったが、それからだいぶ経ってからB-SELSでスタンパーの重要性を教えていただいてやっとその謎が解けた。マト1/1盤の方はマザー/スタンパーが 2-27 / 1-58(スタンパー・コードが数字というのはめっちゃわかりやすくてありがたい...)なのに対し、マト9/6盤のマザー/スタンパーは2-5 / 4-3と、両面とも一桁だったのだ。やっぱりスタンパーの若い盤の音は生々しいなぁ... と改めて感じ入った次第。まぁクイーンのレコードでスタンパー云々騒いでる人はあまりいないとは思うが、このレコードのUK盤を買うならマトに拘るよりも “1に盤質(←キレイな盤は思いの外少ないです...)、2にスタンパー” だと思う。

②アイルランド盤(EMTV 30 A-1 / B-1 IRL C), (EMTV 30 A-8: / B-8 )
 私はこのレコードのアイルランド盤を3枚持っている(笑) 1枚目と2枚目は共に盤質詐欺にあってジャリ盤をつかまされ、3度目の正直でやっと状態の良い盤を手に入れたのだ。まぁどちらも PayPal claim のおかげでお金が返ってきたので実質被害はなかったが、それでもやはりアホなセラーにいちいちクレームを入れるのがホンマに面倒くさかったし、トラブルが解決してお金が返ってくるまではめちゃくちゃ気分が悪かった。レコード蒐集も大変なのだ。
 しかし私はこのゴタゴタのおかげ(?)でアイルランド盤にはDiscogsに載っているマト8:/8盤以外にも マト1/1で デッドワックスの4時の位置に“IRL C” という刻印のある盤が存在することを知った。しかも興味深いことにマト1/1の盤よりもマト8:/8の方がダイナミックな音がするのだからアナログ・レコードの世界は奥が深い。UK盤も同傾向だったので、ひょっとするとこのレコードに関する限りマトの数字が小さければいいというものではなく、逆に「With The Beatles」のUKモノラル盤のように何度もカッティングを繰り返して音を整えていったのかもしれない。

③インド盤(EMTV 30 A-1A / B-1)
 インド盤のレコード番号はUK盤と同じEMTV 30だがマトの字体はUK盤と全く違うフォントの独自カットで、デッドワックスの面積もUK盤より狭い。肝心の音質に関しては独自カットの良さというのは感じられず、特にマト枝番1AのA面の方は高音域がイマイチ伸びていないし低音もモッサリしており、UK盤と比較するとスピード感に欠けて鈍重な印象だ。B面はA面よりも元気があってまだマシだが、それでもUK盤と比べるとあと一歩と言う感じは否めない。AB面に共通するこのインド盤最大の弱点は音が奥に引っ込んで歌も演奏も一列に並んでいるように聞こえることで、スピーカーから迸り出るような音を好む私には合わない音作りだ。B③「Now I'm Here」を聴いてロック魂を刺激されないというのはイカンでしょ...

④ジンバブエ盤(EMTV 30 A-8 / B-1)
 ジンバブエって一体どこやねん?と思われた方も多いと思うが、元をただせばビートルズの各国盤蒐集の時に出会ったアフリカの南ローデシアだ。で、アパルトヘイトを貫く白人政権だったローデシアが1980年に黒人政権になって改名したのがジンバブエということらしい。私がジンバブエという名前を初めて耳にしたのはスティーヴィー・ワンダーが1980年に出した「Master Blaster」という曲の歌詞 “Peace has come to Zimbabwe...♪” を聴いた時なのだが、なるほどそういう経緯があったんやね...
 まぁそれはさておき、まさかそれから40年経って自分がクイーンのジンバブエ盤を手にすることになろうとは夢にも思わなんだ。これを買ったのはただ単にビートルズの南ローデシア盤の音が良かったから国名が変わってもエエ音がするんちゃうかという好奇心からだ。マトはA面が8でB面が1というハイブリッド型(?)でUKマザーそのものの音がするが、プレス枚数の少なさのおかげなのか、かなり鮮度の高い音が楽しめる。特にB①「Crazy Little Thing Called Love」のジョンのベースやB②「Somebody To Love」のブライアンのギター・ソロなど、各楽器の音がグイグイ前に出てくるところが実に気持ちいいのだ。
Queen - Somebody to love (Live Hammersmith Odeon 1979) INCREDIBLE PERFOMANCE! (Sub Español)

「In The Court Of The Crimson King」イスラエル盤

2022-01-23 | Rock & Pops (70's)
 「クリムゾン・キングの宮殿」のイスラエル盤を手に入れた。私はいつも送料を節約するために、セラーが出している他のレコードも細かくチェックしてなるべく複数枚を一度に買うようにしているのだが、そんな other items の中にクリムゾンの「宮殿」があったのだ。
 「宮殿」のイスラエル盤やとぉ...??? 何か面白そうやんけ...(^.^) と思って商品説明文を読むと、残念なことにその盤は1976年に出たリイシュー盤で、レーベルもアトランティックではなくポリドールのものだったので迷うことなくパス。初心者の頃に喜び勇んで買った「いとしのレイラ」のUK盤が実はポリドールのリイシューで、めっちゃショボイ音しかしなかったという嫌な思い出があるからだ。音の薄っぺらい再発盤なんぞに用はない。
 好奇心に火が付いた私が早速「宮殿」のイスラエル盤をeBayで検索してみたところ、同じ再発ポリドール盤がゴロゴロしている中に1枚だけアトランティック・レーベルの「宮殿」を発見。説明を読むと “FIRST EDITION IN ISRAEL” とハッキリ書いてある。おぉ、これはめっちゃラッキーだ。盤もジャケットもEXコンディションで$45、しかも同セラーが出しているゼップの「Ⅲ」と同時購入で送料たったの$15(←南米やったら確実に$45は取られるよな...)だった(^o^)丿
 3週間ほどして届いたレコードはEXに+++を付けたいくらいのピッカピカ盤。例のスキッツオイド・ジャケットは赤味が強いUK盤と橙色のトルコ盤のちょうど中間ぐらいの色合いで、ちょうど顔の右目の上あたりに小さな字で “IN THE COURT OF THE CRIMSON KING”、左目の上には “AN OBSERVATION BY KING CRIMSON” とアルバム・タイトルが記されているところが他国の盤とは違う特徴だ。
 マトは “ST-A-691699D AT/GP PR / ST-A-691700D PR” となっているのでUSアトランティック系の音だと思われるが、特筆すべきはビートルズのイスラエル盤に多く見られた “I2” と“LN”という2つの刻印がAB両面に押されていることで、イスラエル独自のカッチリした音作りが期待できる。
 実際に聴いてみた感想としてはまさにこちらが期待した通りのサウンドで、“I2” “LN”刻印のなせるワザなのか、とにかくベースラインがよく出ており、A①「21st Century Schizoid Man」のすばしっこいベースの動きが見事に再現されていて思わず唸ってしまう。UKオリジナル盤と聴き比べてみると、楽曲に漲るプログレ特有の緊張感ではさすがにUK盤に一日の長があるが、“歌モノ”音楽としてのバランスの良さではイスラエル盤(つまりUSの音ですね)の方が勝っているように感じられた。
King Crimson - 21st Century Schizoid Man (Including "Mirrors")


 しかしこのレコードで一番嬉しかったのはこちらの予想を遥かに超える盤質の良さだ。ほぼノイズレスの美音でクリムゾンの「宮殿」を楽しめたことが何よりも嬉しい。私のUKオリジナル盤はA②「I Talk To The Wind」とB①「Moonchild」でちょっとチリパチが目立つのが玉にキズなのだが、このイスラエル盤ではそういったチリパチ音に苛まれることなくこの稀代の傑作アルバムを堪能できるのが嬉しい。
 それにしてもA③「Epitaph」に出てくる “Confusion will be my epitaph.”(混乱こそ我が墓碑銘)って何度聴いてもカッコ良いフレーズやなぁ... (≧▽≦) 歌そのものもグレッグ・レイク一世一代の名唱と言っても過言ではないし、あの強烈なジャケットを眺めながらこの「Epitaph」をじっくりと味わう時間を大事にしたいと思う。まるで哲学者にでもなったような至福のひと時だ。
King Crimson - Epitaph (Including "March For No Reason" and "Tomorrow And Tomorrow")

「Rarities」ペルー盤

2022-01-19 | The Beatles
 ビートルズのペルー盤というのはあまり市場に出てこないマイナーな存在だが、そんな中でもとりわけ稀少な1枚が去年の蒐集中に見つけた「Rarities」だ。この「Rarities」というアルバムは、和久井光司氏がその著書「Beatles’ Vinyl Made in UK」で “「Past Masters」のリリースで存在価値がなくなった...” と書かれているようにその位置付けは非常に微妙なものがあるが、リリースされた1978年は自分がちょうどビートルズを聴き始めて2年ほど経った頃で、初心者を卒業して興味津々だったところへ例の「Across The Universe」の通称 “バード・ヴァージョン” が初めて公式のキレイな音源で聴けるとあって、リアルタイムで大コーフンした思い入れのあるアルバムだ。私にとってはむしろ後発の「Past Masters」の方がただの拾遺集にしか感じられなくて全く愛着が湧かない。
 ペルー盤の「Rarities」は非常に変わっていて、ジャケットはUSヴァージョン(←見開き内側は例のブッチャー・カヴァー)なのに収録曲はUKヴァージョンと同じという実に紛らわしい作りになっている、いわゆるひとつの珍盤である。盤質表記はVG+ ということで一抹の不安はあったが、上記のような個人的思い入れに加えて$25という安さもあって購入を決めた。
 届いたレコードはジャケットがややくたびれているものの大きな問題はない。A面から聴いていくと、随所にチリパチはあるものの“まぁこれくらいやったらエエやろ...” という感じの典型的なVG+ サウンドだ。このアルバムは日本盤とドイツDMM盤しか持っていないのでデフォルトとなるUKオリジナル盤との音の比較は出来ないが、少なくとも日本盤やDMMのA面よりは活き活きとした音で鳴っている。
 それにしても久々に聴くA②「Yes It Is」A③「This Boy」という並びは実に新鮮だ。A⑤「I’ll Get You」A⑥「Thank You Girl」の並びも同様でエエ感じなのだが、A面後半のA⑦A⑨ドイツ語ヴァージョン2つの間にA⑧「You Know My Name」を挟むという摩訶不思議な曲の並びは私には理解不能だ。
 レコードを裏返してB面トップは超の付く愛聴曲「Rain」だ。何回聴いてもジョンのウネウネしたヴォーカルはエエなぁ... と悦に入っていると後半部でいきなりボン!ボン!と針飛びしまくりでビックリ。うわぁ、やっぱり南米のレコードは飛びよるわ... と一瞬たじろいだが、ウルグアイ盤の針飛び祭りで免疫ができているせいかあまり意に介さず聴き進む。B②「She’s A Woman」も溝の状態がイマイチでザーッというノイズが出るが、B①同様にウルグアイ盤でメンタルを鍛えられたおかげで “あぁ、またか...” という感じだ。
 B③以降は盤の状態も安定してきて気持ちよく聴ける。特にB⑤「Bad Boy」B⑥「Slow Down」と続くラリー・ウイリアムズ・ナンバーでのジョンの爆裂シャウト、B⑦「I’m Down」B⑧「Long Tall Sally」でリトル・リチャードを軽く凌駕するポールの絶叫と、B面後半の怒涛の展開に血湧き肉躍らなければビートルズ・ファンではない。
 後日このレコードを B-SELS に持って行ってSさんに針飛び部分を診ていただいたところ、1か所を直せば今度は別の箇所が飛んでしまうという性質の悪いキズとのことだったのだが、自分としては “直ればもうけ” ぐらいの気持ちですねんとお願いして B-SELS に入院させていただいた。各国盤蒐集、特に南米のレコードは他では聴けないような凄い音が聴ける可能性がある反面、このように針が飛びまくったりビニ焼けが酷かったり溝が死んでたりというような悲惨なケースも少なくない “ハイリスク・ハイリターン” な買い物だという教訓を再認識させてくれたのがこの「Rarities」なのだ。
 後日、“B-SELS病院” を退院してきたこのレコード、人間で言えば “満身創痍で集中治療室入り” だった「Rain」が “何とか通常の生活可能” なレベルにまで修復されていて大喜びヽ(^o^)丿  改めてSさんの匠の技に唸ってしまった。Sさん、ホンマにありがとうございましたm(__)m

SFドラマの金字塔「マンダロリアン」

2022-01-16 | Star Wars
 この前の3連休はお出かけにピッタリのポカポカ陽気だったが、私は3日間家にこもって “スター・ウォーズ三昧” を決め込んだ。ちょうど連休前に仲良しの同僚 Nちゃんとスター・ウォーズ談議で盛り上がったことで休日の開放感から “久しぶりに全部一気観したろ...” と思いつき、土曜日に1~6まで、日曜に7と9を視聴し終え、あと1日半何を観ようかと考えていた時にふと思いついたのが例のディズニー・プラスだった。
 ビートルズの「Get Back」をきっかけに契約し、ポールの「McCartney 3, 2, 1」も見れて万々歳のディズニー・プラスだが、音楽映画はあくまでも少数派であり、メインはもちろん「DISNEY」をはじめ「PIXAR」や「MARVEL」といったカテゴリー。当然「STAR WARS」も超人気の重要コンテンツだ。試しに覗いてみると本編映画シリーズはもちろんのこと、私がまだ観たこともないスピンオフ作品がいくつかあって、そんな中で “これは面白そうやな...(^.^)” と私が目を付けたのが「マンダロリアン」だ。
スター・ウォーズ実写ドラマ「マンダロリアン」予告編


 「マンダロリアン」は映画「スター・ウォーズ」シリーズ初の実写ドラマ作品で、名前だけは聞いたことがあったがストリーミング限定ということで配信嫌いの私はこれまで一度も観たことがなかった。よっしゃ、これを観よう!と決めた私はシーズン1の第1話から順番に観始めたのだが、これがもう予想の遥か上を行く面白さ。ハッキリ言って本編映画の「続三部作」(←ディズニー傘下に入ってからのエピソード7~9のこと)なんかより何十倍何百倍も面白い。
 まぁ「続三部作」に関してはシリーズの鬼っ子と言うべきゴミ作品「エピソード8・最後のジェダイ」(→ポリコレ忖度の象徴で見た目も言動もすべてムカつくローズ、闇に怯えて錯乱状態になり弟子に切りかかる老害ルーク、レジスタンスのリーダーに相応しくない紫の特攻オバサンetcは見たくないので不要なシーンをすべてカット・編集したDVDを作ったら40分になってもうたぞwww)がすべてをブチ壊してしまったので論ずるにも値しないが、とにもかくにもこの「マンダロリアン」はディズニーが関与しているとは思えないくらい「スター・ウォーズ」の世界観に則った正統派の作品であり、「スター・ウォーズ」という枠を超越してすべてのSF作品の最高のお手本となりうる秀作に仕上がっている。
 「マンダロリアン」の素晴らしい点を挙げていくとキリがないが、この作品の最大の魅力はやはり何と言ってもストーリー展開の面白さ... これに尽きる。観ているこちらが予想だにしなかった “裏切り” が随所に用意されており、それに対するマンダロリアン流の “返し”、つまり “オトシマエ” の付け方が痛快そのもの(≧▽≦) 要するにハラハラドキドキさせられた後に溜飲が下がってスッキリするという後味の良さが心地良いドラマなのだ。【以降ネタバレ注意!】
 そんな中でも断トツの神脚本はシーズン2最終話でマンダロリアンたちがダークトルーパーの大軍に追い詰められた絶体絶命のピンチに何とルーク・スカイウォーカーが駆けつけてライトセイバーで無双するシーンだろう。この展開は全く予想していなかったのでファンとしては鳥肌モノ!!! 我々はこういうルークを見たかったのだ。いやぁ、ホンマにエエもん見せてもらいましたわ... (≧▽≦)
ルーク・スカイウォーカー 登場シーン マンダロリアンシーズン2 4K画質


 「マンダロリアン」は主要な登場人物がみんなとっても魅力的で、キャラの掘り下げが実に上手い。主人公の “マンダロリアン”こと、ディン・ジャリンはクールでカッコイイし、一緒に旅をする “ザ・チャイルド”こと、ベビー・ヨーダがめちゃくちゃカワイイ(^o^)丿  これだけだとパッと見はSF版 “子連れ狼” みたいだが、素晴らしい脚本と個性的な脇役陣の頑張りによって「スター・ウォーズ」の王道を行く名作に仕上がっているのだ。
 元反乱軍ショック・トルーパー、キャラ・デューン役のジーン・カラーノは多くの戦闘シーンで “組んで良し、撃って良し” と八面六臂の大活躍だし、元帝国軍の狙撃手メイフェルド役のビル・バーも実に深みのある演技で、シーズン1のヒール役からシーズン2では見事にベビー・ターンしてマンドーと共に帝国軍と戦い、とっさの機転を利かせて彼の窮地を救うという重要な役柄を演じている。他にも「ロッキー」のアポロ役で有名なカール・ウィザースが賞金稼ぎギルドのリーダー、グリーフ・カルガ役で出ていたり、「ストリートファイター」春麗役のミンナ・ウェンが凄腕の殺し屋フェネック・シャンドを演じていたりと、それぞれの役者が個性の光る名演技でマンドーを盛り立て、知らず知らずのうちに物語に引き込まれてしまうというワケだ。
 それともう一つ、「スター・ウォーズ」といえば R2-D2 や C-3PO、BB-8 など、非常に魅力的なドロイドのキャラを生み出してきたが、この「マンダロリアン」でも IG-11という賞金稼ぎドロイドが登場。最初は第1話だけのキャラかと思っていたらベビー・ヨーダを守るナース・ドロイドに改造されて再登場し、シーズン1が佳境を迎える第7~8話で大活躍。最後は自分を犠牲にしてマンドーたちを救うという胸アツな展開を見せてくれる。「スタートレック・ネメシス」のデータ少佐と同じく、感情を持たないはずのアンドロイドが人間以上に人間的な行動をとる展開ってグッとくるものがありますな。
All Fight Scenes IG-11: The Mandalorian


 アクション・シーンの多さも特筆モノで、毎回毎回手に汗握るような戦闘が繰り広げられるところが◎。これは無意味な冒険やら何やらで中だるみ感がハンパなかった「続三部作」に一番欠けていた要素で、まるで “SF版「ジョン・ウィック」” と言ってもいいくらい(笑)銃を撃って撃って撃ちまくるところが圧倒的に、超越的に素晴らしい!!! このジョン・ファブローという監督、只者ではないなと思って調べてみたら何とあの実写版「ライオン・キング」や「ジャングル・ブック」を監督した人だった(゜o゜)  この作品は旧作へのリスペクトも随所に感じられるし、もしもこの人が「続三部作」を監督していたら「スター・ウォーズ」の “スカイウォーカー・サーガ” は映画史に残る素晴らしいものになっていただろう。
Din Djarin & Bo-Katan Board Gozanti Freighter | The Mandalorian Season 2 [4K HDR]


 それと、緊張感溢れるストーリー展開のそこかしこにさりげなく散りばめられたユーモアのセンスも抜群で、マンドーとデューンの最初の絡みでお互いに銃を向けあってフリーズした時にその傍らでベビー・ヨーダが何事もなかったようにズズーッと音を立ててスープをすするシーンとか、別の惑星でエイリアン・スープの具であるタコに吸い付かれて大騒ぎするベビー・ヨーダに向かってマンドーが「食い物で遊ぶな!」とたしなめるシーンとか、緊張感溢れるストーリー展開の中で思わずニヤリとさせられる。氷の惑星に不時着して凍えそうな時にカエル型エイリアンが温泉につかって寛いでいるシーンにもジワジワきた(^.^)
Baby Yoda Drinking SOUP Scene (Mandalorian Episode 4 Baby Yoda Cute Scene)


 ということで書き出したらキリがないくらい面白かったこの「マンダロリアン」... “スター・ウォーズは好きだけど「マンダロリアン」はまだ観ていない” などというのは、ちょうど “ビートルズは好きだけど「ゲット・バック」は観ていない” と言っているのに等しい。配信が始まったばかりの「ボバ・フェット」も面白いし、「マンダロリアン」のシーズン3も年内には配信されるとのことだし、こりゃあ当分ディズニ-・プラスを解約できそうにないな...

【おまけ】「シスの復讐」と「マンダロリアン」の両方を観た人なら抱腹絶倒間違いなしのこのファン・メイド・ビデオ、ゆりかごに乗ったままダース・シディアスと闘うベビー・ヨーダに大笑い(^o^)丿 マンドーが一撃でシスをブッ倒すラストも最高だ。
Baby Yoda VS Darth Sidious 2

【追悼】ロニー・スペクター

2022-01-13 | Wall Of Sound
 今日、仕事の休憩時間に何気なくヤフーニュースを見ると、そこに「米ロニー・スペクターさん死去」というショッキングな記事が出ていた。あのロニーが亡くなったって... うそやろ??? う~ん、これは大ショック(>_<)  ハッキリ言ってもう仕事どころではない。その後はずーっとテンション下がりっぱなしで、勤務時間を終えて早々に帰宅した。
 私はフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドが大好きで、フィレス・レーベルのレコードはビートルズやゼップに次ぐレコード棚の特等席に並んでいる。最初のうちはオリジナルのUS盤を1枚また1枚と手に入れるたびに大コーフンしていたのだが、US盤すべてをコンプリートした後はついに禁断の(?)各国盤にまで手を出し、UK盤やカナダ盤、オーストラリア盤に至るまで色々と買いまくって聴き比べをして楽しんできた。このお正月も新しく手に入れた例の超音波洗浄機でフィレス・レーベルの盤をすべてピカピカにして、ほぼノイズレスであの濃厚なサウンドに浸ったばかりだった。
 そんなフィレス・レーベルのレコードの中でも断トツに好きなのがロネッツの「Presenting The Fabulous Ronettes featuring Veronica」で、ビートルズ関連を除けば、いわゆる “無人島ディスク” の最有力候補と言って憚らないくらいこのレコードに惚れ込んでいる。もちろん一番の魅力はロニーの “ザ・ワン・アンド・オンリー” な歌声で、大袈裟ではなく人類史上最高の女性ヴォーカルの一人と言っていいと思う。音壁処理されたハル・ブレインのカッコいいドラムで始まる「Be My Baby」や「I Wonder」といった名曲の数々を大音量で聴きながら今夜は彼女を追悼したいと思う。
𝗧𝗵𝗲 𝗥𝗼𝗻𝗲𝘁𝘁𝗲𝘀 - 𝐁𝐞 𝐌𝐲 𝐁𝐚𝐛𝐲 - l𝗶𝘃𝗲 | [𝗰𝗼𝗹𝗼𝗿]

The Ronettes-I Wonder

The Ronettes - Do I Love You?

BABY I LOVE YOU (ORIGINAL SINGLE VERSION) - THE RONETTES


 ロニーを語る上で個人的に欠かせないと思うのが、彼女がゲスト参加したエディー・マネーの1986年のヒット曲「Take Me Home Tonight」だ。初めてラジオからこの曲が流れてきた時のインパクトは今でもよく覚えているが、最初 “ノリが良くてカッコエエ曲やなぁ...(^.^)” と思って聴いているとサビの部分でエディーの “Just like Ronnie sang....” に続いていきなり “Be my little baby~♪” とロニーの歌声が聞こえてきてビックリ。更に彼女のキラー・フレーズ “ウォッ、オッ、オッ、オ~♪” を惜しげもなく連発するのだからこれはもうたまりません。 何という圧倒的存在感!!! “ビー マィリル ベイベ~♪” と“ウォッ、オッ、オッ、オ~♪” だけで完全に主役を喰ってしまっている。私に言わせれば彼女は “人間国宝” レベルのシンガーだ。この曲のビデオも最高で、彼女のシルエットでじらすだけじらしておいて後半でその姿を見せるという展開が実にニクイ。エディーも3年前に亡くなってしまったが、きっと今頃はあの世でこの曲を仲良く歌っていることだろう。R.I.P. Ronnie Spector. I will miss you.
Eddie Money - Take Me Home Tonight/Be My Baby


「Revolver」ペルー盤

2022-01-11 | The Beatles
 2日前だったか3日前だったかのヤフーのニュース欄に「ビートルズ伝説のラストライブが劇場で復活」という衝撃的な見出しを見つけた。その記事によると、映画「Get Back」のクライマックスというべきルーフトップ・コンサートの映像が1/30にイギリスとアメリカのIMAXシアターで上映されるとのこと。えーっ、マジかよ(゜o゜) あのルーフトップ・コンサートの映像を更に “IMAXのスクリーン用に最適化し、独自の技術DMRでリマスタリング処理が施されている” というのだ。ただでさえキレイにレストアされたあのコンサート映像が今度はIMAXの巨大スクリーンと大音響で体験できるというのだからこれはえらいこっちゃであるヽ(^o^)丿
 海外のサイトによると 2/11~13に劇場公開という情報もあるのだが、はたして日本でもやってくれるのかどうか... 仮にやるとすれば東京や大阪といった大都市限定になるのか...etc、とにかく今はそのことで頭が一杯なのだ。まぁビートルズ人気の高い日本ということで多分やってくれるのではないかと期待してはいるのだが... 更に別のサイトには2/8にブルーレイが発売されると書いてあったので(←あと1ヶ月を切ってるけどホンマかいな??? 因みに英アマゾンでは昨日は£30で予約可だったのがさっき見てみたらtemporarily out of stockになってたから流通の方も混乱しとるんかな...)これもめっちゃ楽しみだ。パソコンの小っちゃい画面で観るよりもやっぱりテレビの大画面で観たいもんね(^.^)
 とまぁこのように冒頭から大コーフンの展開になってしまったが、ここらで心を静めていつものようにレコードの話にいこう。これまでの各国盤蒐集はUKを皮切りにインドであれイタリアであれウルグアイであれ、基本的に1つの国に的を絞って一気呵成に買い漁るのが私のやり方だったが、去年の後半はイスラエルとペルーを同時進行でいったので結構キツかった。ペルー盤に関しては例の “電波レーベル” で盤質の良いのをピンポイントで狙い撃ちしていったのだが、最後まで入手に時間がかかったのが「Beatles For Sale」とこの「Revolver」だ。
 そもそもペルー盤自体がマイナーな存在なので状態の良い盤を見つけるのは一苦労なのだが、中でも「Revolver」のモノラル盤はめちゃくちゃレアらしく滅多に市場に出てこない。はてさてどうしたものかと思っていた矢先に “電波レーベル” のステレオ盤がeBayに出品されたのだ。盤質NMで$50という超お買い得価格を見て “「Revolver」やったらまぁステレオでもエエかな...” と考え、即購入。届いた盤は竹を割ったような溌剌とした元気な音がして大満足。後はいつものように収穫の報告に B-SELSへと向かった。

 私:今日はペルーの「Revolver」持って来ました。
 Sさん:(メガネの奥で目をキラリと光らせながら)ほぉ~、キレイな盤ですね。
 私:ごっついでしょ?
 Sさん:重たいですね。(と言いつついつものようにマトをチェックしてからレコードをセット。A①「Taxman」がかかる)これは良いですね。
 私:元気があってエエ感じでしょ?
 Sさん:はい、ドラムに勢いがあって。
 私:そうそう、“勢い” っていうのはこの音を表すのにピッタリの言葉ですね!
 Sさん:いやぁ、実に良いステレオです。
 私:A②「Eleanor Rigby」のポールのヴォーカルがグイグイ前に出てきますよね。さすがはペルーという感じの音作りです。
 Sさん:確かに特徴のある良い音ですね。
 私:この音は私の好みにピッタリなんですよ。
 Sさん:ギターの音がキラキラしてますね。
 私:そうそう、耳が吸い付きますよ、この音には。
 Sさん:高音もすごくキレイに出てますね。かなりレベルの高いステレオですよ。
 私:結果論ですけど、ステレオ盤を買って正解でした。ペルー盤って「Help!」や「Rubber Soul」はイスラエル盤と同じようにモノ・ステレオ関係なく型番が PMCなのに、この「Revolver」はちゃんと PCSになってるんですよね。各国盤はややこしいです(笑)
 Sさん:盤質も良いし、本当に良い音がしてますね。このB⑦「Tomorrow Never Knows」なんて、まるで水が流れるような感じじゃないですか! これは素晴らしい。
 私:ず~っと聴いていたい音ですね、これは。
 Sさん:音がクリアーで、ヴォーカルがかなり近いのが良いですよね。
 私:喜んでもらえてよかったです。
 Sさん:いやぁ、さすがはペルーですね。

「White Album」ウルグアイ盤 1stプレス vs 2ndプレス

2022-01-09 | The Beatles
 先日 B-SELSに行ったら店主のSさんから “momoten4010 さんという広島から来られたお客さんからこれをshiotchさんにと預かってましてん。” と白い袋を渡された。一瞬何のことか分からなかったが、何でも私のブログを楽しんでいただいているビートルズファンの方とのことで、中身は何ともみじ饅頭だった。テキトーに好き放題ブログを書き散らかしている私なんぞにお土産を頂くなんて、いやはやまったく恐縮至極というか気恥ずかしいというか、ホンマにありがたいことである。momoten4010さん、いつかB-SELSで一緒にレコード聴きたいですね。もみじ饅頭、めっちゃ美味しかったです。どうもありがとうございましたm(__)m
 momoten4010さんは、2年ほど前にシングル「Please Please Me」のJRスタンパー盤を聴かせていただいた話をここで紹介させていただいたカズキ・トリイさんと同じく Muuseo(←ネット上に自分の大切なコレクションを展示して一種のミュージアムを作り同好の仲間と交流できるサービス)でご自身のビートルズ・コレクションを紹介されているのだが、この方のMuseumというのがもうめちゃくちゃ凄くて、UKオリジナル盤から日本盤までアルバム・タイトル毎にきっちりと見やすく整理されているし、「モノ日記」というコラムはビートルズのレコード・コレクターなら超共感すること間違いなしの面白さなので、興味のある方はぜひググってみて下さい。
 で、ここからが本題なのだが、今日は久しぶりにウルグアイ盤の話だ。ご存じのように私はウルグアイ盤の音作りが好きで、ビートルズ本体からメンバーのソロに至るまでアホみたいに買いまくっていた時期があったが、そんな中で唯一例外的にイマイチだったのが「White Album」だ。私が買ったのは70年代初めに出たSmall Apple Logo レーベルの2ndプレス盤だったが、「赤盤」「青盤」「Band On The Run」「Rock And Roll」「Love Songs」と次から次へと大当たり盤に恵まれて “ウルグアイの70年代プレスにハズレ無し” と信じ切っていた私は大いなる期待を持って「White Album」の2ndプレス盤に針を落とし、モノの見事にズッコケたのだった。
 とにかくどのトラックを聴いても気持ちが高揚しない。大好きなはずのA①「Back In The USSR」を聴いても “何かちょっと違う”感が拭えないし、A⑦「While My Guitar Gently Weeps」のクラプトンのソロもエモーショナルじゃない。“こんなはずでは...” と二度三度と聴き返してみても当然ながら結果は同じで、期待が大きかった分だけ失望も大きい。もしやと思ってマトを確認すると、何とUKマザーの “YEX” ではなくUSマザーの “SWBO” ではないか!
 ビートルズのアナログ・レコードに関して言うと、私は筋金入りの UK派で、USの音はどうしても好きになれない。私がそのことを実感したのは以前 B-SELSで「White Album」のUS盤を聴かせていただいた時で、盤質が良いにもかかわらず音そのものが凡庸に聞こえ、心に響いてこなかった。これは音の良し悪しの問題ではなく私とキャピトルのエンジニアの感性が合わないからだろうと思うが、USマザーのウルグアイ盤「White Album」でも相性の悪さは変わらなかったというワケだ。それもこれもすべて、ウルグアイ盤なら大丈夫とタカをくくってマトを確認せずに買ってしまった私が悪い。
 気を取り直して調べてみると、ウルグアイ盤「White Album」の1stプレス(赤オデオン・レーベル)はUKマザーを使っており、なぜかは分からないが70年代に入ってリイシューする際にUSマザーに変えたようだ。このまま引き下がるのは癪に障るので何とか1stプレス盤を手に入れようと探してみたが、あいにくその時は盤質の悪いものしか市場に出ておらず、ウルグアイの「White Album」はしばらく棚上げ案件になっていた。
 それから半年ほど経って、ようやく盤質良好な「White Album」赤オデオン・レーベル盤がeBayに出品された。それもラッキーなことに以前「Band On The Run」のボリビア盤を買ったウルグアイの仲良しセラーからである。喜び勇んで試聴依頼のメールを送ったところ、“It plays great, still glossy, no background noise.” とのことだったので早速オファーして$90でゲット。待てば海路の日和ありとはまさにこのことだ。
 届いたレコードに針を落とすと、のっけから“これぞUKマザー!” と快哉を叫びたくなるような躍動感に溢れるキレッキレのサウンドがスピーカーから飛び出してきた。“これこれ、やっぱりビートルズのレコードはこうでなくっちゃ!” と嬉しくなってしまうダイナミックなサウンドだ。A③「Glass Onion」ではリンゴ入魂の一打一打がビシバシ決まって思わずのけぞってしまうし、C①「Birthday」やC④「Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey」といった痛快なロックンロールの生み出すグルーヴも実に気持ち良い。一転、B③「Blackbird」やB⑧「I Will」のようなバラッドではヴォーカルの生々しさが際立ち、どの曲も心を揺さぶられるリアリティーが感じられる。
 念のため、隣室へ島流し(笑)にしていたUSマザーの2ndプレス盤を久々にターンテーブルに乗せて聴き比べてみたが、UKマザー盤に続けて聴いたせいかその落差は激しく、A①「Back In The USSR」からして大袈裟ではなく月とスッポンほどの違いがある。一言で言うと “気の抜けたビール” みたいな音なのだ。ひょっとするとこっちの方が好きという奇特な人もいるのかもしれないが、少なくとも私は絶対無理。ハッキリ言って、こんなのを聴く暇があったらまだリマスターCDでも聴いてる方がまだマシだ。私は3曲だけ聞いて早々に針を上げた。
 ということで「White Album」ウルグアイ盤のリベンジを1年がかりで果たせて大喜びなのだが、こーなってくるとビートルズのウルグアイ60年代プレスで未入手の盤の存在が俄然気になってくる。まぁ今回の「White Album」の一件で “焦って買うとロクなことはない” という教訓を得たので気長に探すとしよう。

「Revolver」イスラエル盤

2022-01-05 | The Beatles
 私は去年後半、憑かれたようにビートルズのイスラエル盤を買いまくったが、そのきっかけとなったのがB-SELSで買った「Rubber Soul」で、UKマザー・マト4とはとても信じられないようなラウドなサウンドに一発KOされ、その後も「A Hard Day's Night」や「Help!」、「Abbey Road」など、私好みの力強い音作りに惚れてビートルズのイスラエル盤をコンプリートしてやろうと思ったのだ。
 ペルーやウルグアイといった南米の盤に比べるとレコード価格も送料もかなり安上がりでいけることに気をよくした私は「Help!」「Rubber Soul」の流れに乗って「Revolver」を手に入れようと決意。モノラルとステレオのどちらを狙うか迷ったが、「Help!」や「Rubber Soul」で味わった爆音の誘惑に勝てず、モノラル盤にターゲットを絞った。
 イスラエル盤のレコード番号は基本的にはUK盤と同じく PMC がモノラルで PCS がステレオなのだが、なぜか中期の「Help!」~「Revolver」に限ってはモノラルもステレオも PMC で、私の知る限り、ジャケット右上の“STEREO & MONO” という銀色のステッカーの有無とランオフ部分のマトリクスを見るしか識別法は無い。
 まずeBayを見てみると1枚だけあるにはあったのだが、驚くなかれその値段が何と$800!!! 私は一瞬我が目を疑った。しかもマトが -1/-1 でステッカーありということで、内容は UKステレオの1stプレスと同じということになる。何でこれに「Revolver」最高値のUKモノ1stプレス盤(←例の回収された remix 11入りのヤツ)よりも高い値段が付いているのかサッパリわからないが、とにかくこいつは論外だ(←さっき見たらまだ売れ残ってて15%オフの$680に値下げしとったwww)。
 次に Discogs を見てみると3枚出ていたのでそれぞれのセラーにメールして確認したところ、一番安かった €50のやつがどうやらモノラル盤らしいと判明したので私は嬉々として購入を即決。盤質 VG+で “light marks on both sides” とのことだったが届いた盤はほぼEX+ と言ってもいいピカ盤で、実際にかけてみてもすごく良い音がしたので、私はいつものように B-SELS に持って行ってSさんに聴いてもらうことにした。

 私:今日は「Revolver」のイスラエル盤持って来たんですけど、ひょっとして聴かはったことありますか?
 Sさん:いえいえ、聴いたことないです。
 私:じゃあ一緒に聴きましょう。モノラルなんですけど、結構エエ音してますで。
 Sさん:(A①を聴いて)音はかなり良いですね。
 私:でしょ?
 Sさん:ギターの音がすごいグワーッと飛び出してきます。
 私:そうそう、このスピーカーから飛び出してくる感覚がたまらんのですよ。
 Sさん:(A②「Eleanor Rigby」のイントロが流れる...)これも音が生々しいですね。
 私:かなりガンガンきますよね。
 Sさん:盤質が良いのも効いてるように思います。
 私:確かに。各国盤でキレイなレコードを手に入れるのって結構大変ですからね。
 Sさん:A⑤「Here There And Everywhere」のベースラインがよく響いて気持ち良いですねぇ...(とニッコニコ)
 私:そうそう、そこがたまらんのですよ。
 Sさん:やっぱりイスラエル盤はベースラインがよく出ますね。
 私:A⑥「Yellow Submarine」も音が分厚いですし、A⑦「She Said She Said」のイントロなんかめっちゃ強烈でしたね。
 Sさん:全体としてすごくレベルの高い音ですね。
 私:そうなんですよ。じゃあB面いきましょうか。
 Sさん:このB③「For No One」、聴いててすごく気持ちの良い音ですね。
 私:バランスが絶妙ですよね、これは。
 Sさん:それと、このB⑥「Got To Get You Into My Life」の音の伸びは凄いですね。
 私:イスラエル・パワー炸裂という感じです。LN刻印が効いてるのかな...(笑)
 Sさん:最後のB⑦「Tomorrow Never Knows」のスネアの音がすごく良いです。
 私:やっぱり「Revolver」は「Tomorrow Never Knows」に尽きますね。これホンマに凄い曲ですよ。それも1966年という時代にこれ作ったんですからね。ホンマ信じられませんわ。

【2022年版】レコード・フレッシュン・アップ!~HumminGuru~

2022-01-01 | その他
 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。新年一発目のブログはレコードではなくレコードクリーナーの話。今年も “大好きな音楽を良い音で聴く” ことに拘っていきたいと思います。
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 私はレコードの音溝にこびり付いた汚れを取るのに長い間コニシのボンドを使ってきたが、2年前にアマゾンで超音波式洗浄機を買ってからは届いたレコードをすべてその機械を使って洗浄してきた。超音波というハイテク(?)を使っているだけあって確かに盤面はピカピカになるのだが、水を大量に使うので台所でしか作業できないし、1枚1枚乾燥させて磨き上げていくのも結構手間がかかる。それに盤面を拭くことで冬場は静電気が生じ、せっかくピカピカにしてもまた埃が付着してしまうことも少なくない。
 私にとってのレコードクリーナーの理想形は何と言っても洗浄から乾燥まで1台ですべてやってくれる全自動機のKLAUDIO社製「CLN-200」で、レコードを聴く直前にリスニングルームでササっとクリーニングしてそのままターンテーブルに乗せれるところがめちゃくちゃ羨ましかったが、一般庶民には手の届かない70万円という価格がネックになって手も足も出なかった。
 ところが2か月ほど前、YouTubeでレコードクリーニング関連の動画を見ていて HumminGuru 超音波レコードクリーナーというのを見つけた。早速見てみるとこれがもう実によくできていて、水を人間の手で注ぐプロセス以外は「CLN-200」とほぼ変わらない全自動型。特に2台の小型ファンによって乾燥までやってくれるところに大いに魅かれたが、何よりも凄いのはこれだけの機能を持っていながら「CLN-200」の約1/15という低価格を実現したことで、そのコスパはまさにインクレディブルと言っていい。
HumminGuru 超音波レコードクリーナー キックスターター 日本語字幕


 調べてみると、これは元オーディメーカー勤務の人が始めた香港の HappyWellTech という会社のクラウドファンディング商品で、すでに目標を達成して早期割引価格の4万円ほど(送料込み)で一部のマニアに販売済みとのこと。“これは絶対欲しいなぁ...” と思った私は販売元に直接メールして次回の一般予約注文開始日を教えてもらい、首尾よく手に入れることが出来た。お値段は本体に10インチと7インチ用アダプターを付けて送料込みで54,800円(←届いてから2週間ほど経ってからFedExから請求書が届いて関税2,400円と特別取扱手数料1,000円支払うハメになったのが気分悪いけど、こればっかりはしゃあないか...)。まぁこれで手持ちの何千枚というレコードをこれからず~っと良い音で聴いていけると思えば安い投資である。
 商品が届いたのは12月の初めだったが、英語の商品マニュアルに “水道水や浄水器の水ではなく精製水を使うように” という指示があったのでその日のクリーニングは諦め、ヨドバシの通販で精製水を購入。コンセントも3ピンプラグだったので2ピンプラグへの変換アダプターも同時購入となり、結局水とアダプターが届いてようやく初クリーニングと相成った。
 このクリーナーを手にしてまず驚いたのは予想していた以上に軽量コンパクトだったことで、他の洗浄機と違って筐体がプラスチック製というのが軽量化と低価格化に大いに貢献していることは間違いない。気を付けなければいけないのは、レコード挿入口のところになぜか分厚い段ボールが挟み込んであってコレが中々抜けなかったこと。強引に引き抜こうとするとレコードを支える両端部分(←当然脆いプラスチック)を破損してしまう危険性があるので注意が必要だ。
ハミングルーのレコードクリーナー開封レビューです。


 早速手持ちのレコードで洗浄効果を試す。第1号は手元にあった「Let It Be」のイスラエル盤だ。このレコードは中性洗剤による手洗いの後、初代の超音波洗浄機で既にクリーニング済みなので、更に音質が向上するのか、それともあまり変わらないかの実験台にはちょうど良い。
 クリーニングは予想していた以上に簡単で、autoモードを使って洗浄5分+乾燥10分で一丁上がり。クリーニングが完了してレコードを取り出すと、まるで新品のようにピッカピカに光り輝いていてビックリ。旧式のは超音波が一方向から5枚のレコードに盤面に平行に当たっていたのに対し、この HumminGuru はレコード1枚ずつに両側から、しかも垂直に直接超音波振動を与えることが出来るので洗浄効果が大きいのだろう。ただ、乾燥処理後もまだ盤面に水滴が数滴残っていたので(←静粛性を上げるためにファンの出力を下げざるを得なかったのか...)シルコットのプレミアム・コットンで丁寧に拭き取り、更に10分ほど自然乾燥させて完了だ。
 実際にレコードに針を落として聴いてみてまず感心したのは無音部分のノイズが激減したことで、これはおそらく音溝の中の細かい埃が取れただけでなく盤に帯電していた静電気もバッチリ取り除かれたからではないかと思う。そしてもう一つ印象的だったのが、音圧が上がったように感じられたことで、音の粒立ちが良くなりクリアーでパワフルなサウンドが楽しめるようになったのだ。これはもう買って大正解である。私のようなレコード・ジャンキーにとっては必需品と言っていいかもしれない。
 私は1枚目の「Let It Be」の試聴チェックをしながら同時進行でその日に届いた「Led ZeppelinⅡ」のイスラエル盤をクリーニング。リスニングルームに居ながらにして洗浄できるというこの効率の良さは予想以上にデカい。水は一旦排水されて水タンクに戻った精製水をフィルターでろ過して再利用するのだが、メーカーに問い合わせるとレコード5~6枚ごとに水を換えればそれで充分とのこと。一見給水時に水がこぼれそうに思えるが、ツルツル加工でしかも給水口に角度がついているので余程ぞんざいに扱わない限り水が外へこぼれることはない。とにかく日常使いで全く不満・不自由を感じさせない、ユーザー目線で使い勝手の良さを徹底的に追求した素晴らしい製品だと思う。
 その後も届いたばかりのレコードを次々とクリーニング。このペースで洗浄していくと毎日精製水を買うハメになりそうなので(←水代だけで毎月3,000円も払ってられへん!)、思い切って「Pure Maker」という精製水製造器を購入。卓上型のくせに結構デカいのが玉にキズだが(←F1の優勝トロフィーくらいのデカさ... これのどこがコンパクトやねん!)、コスパを考えると毎回水を買うよりもこっちの方が断然安上がり。これで今年の正月は水代を気にせずに超音波洗浄したピカピカのレコードで音楽三昧できそうだ。