shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

超音速攻撃ヘリ エアーウルフ コンプリート ブルーレイ BOX

2024-01-17 | TV, 映画, サントラ etc
 人は中高年になっても若い頃に聴いていた音楽を好む傾向がある... とどこかで読んだことがあるが、私なんかまさにその典型で、1980年代で時間が止まったかのように昔の曲しか聴かない。ただ、これはなにも音楽だけに限ったことではなく、テレビドラマも昔やってたヤツの方が遥かに私の好みに合っている。
 私が20代だった1980年代には地上波のゴールデンタイムでも海外ドラマをやっていて毎週欠かさずに見ていたものだが、その中でも大好きだったのが月8の「ナイトライダー」と水9の「エアーウルフ」だった。特に「エアーウルフ」は “ミグを相手にド派手な空中戦を繰り広げる戦闘ヘリコプター” というコンセプトが実に斬新で、チェーン・ガンやキャノン砲、サンバースト弾といった様々な武器を搭載して超音速で大空を縦横無尽に飛び回る姿が超カッコ良かったし(→クォォォーンという飛行音がたまらんたまらん!)、何よりもあの躍動感溢れるオープニング・テーマ曲を聴いただけでアドレナリンがドバーッと出まくってテンションが上がりまくるのだ。個人的にはターボを吹かして猛スピードで加速するシーンと、逆にターボ・カットして背後に着いた敵機のバックを取り返して間髪を入れずミサイル攻撃するシーン、そしてヘルメットのバイザーが下りてターゲット・ロックオンした時のオレンジ色の照準点が自動表示されるシーンがツボで、毎週水曜の夜が楽しみで仕方なかった。
AIRWOLF SEASON 2 CLIPS | BEST FIGHT SCENES FROM AIRWOLF INCLUDING HX1 & REDWOLF


 それから20年ほど経って、今度はCSのスーパーチャンネルで「エアーウルフ」の全エピソード完全放送がスタート。私は狂喜乱舞してDVDに録画したので、それ以降はいつでも好きな時に見れるようになった。私が全エピソードを揃えるくらいに入れ込んでいるのは「スター・トレック」の全シリーズとこの「エアーウルフ」、それに「ハイテク武装車バイパー」ぐらいだが(←戦闘アクション物ばっかりや...)、自分は大好きなエピソードは何度でも観たくなる種の人間なので、これらのドラマは常に手元に置いて暇さえあれば取り出して観ているのだ。
 ところが先月の末にアマゾンで「ジョン・ウィック4」の国内版ブルーレイをチェックしていた時のこと、商品説明の下の “この商品を見た後にお客様が購入した商品”の中に「超音速攻撃ヘリ エアーウルフ コンプリート ブルーレイ BOX」を見つけたのだ。もちろんブルーレイ BOXが出ていることは前々から知っていたが、問題はその値段である。これまでは定価が42,790円ということでさすがの私も二の足を踏んでいたのだが、今回見つけたアマゾンには赤い字で大きく-67% と書いてあり、14,120円という信じられない値段がついている。「エアーウルフ」は声優陣が特段に素晴らしく、オリジナル音声+字幕では全く雰囲気が違ってきてしまうので(→特にアーク・エンジェルの声を担当した家弓家正氏が素晴らしい!!!)“吹替えで高画質” というのが何よりも重要なポイントだ。その条件を完璧に満たすBOXセットが爆安価格で目の前に出ているのだからこれはえらいこっちゃである。
 “4万円超えで諦めてたエアーウルフのブルーレイ・セットが1万4千円やとぉ? 一体どーなっとるんや?” と、すっかり頭に血が昇った私は慌てて他のサイトも調べてみたのだが、ヨドバシでも “エキサイト・セール” と銘打って同じくらいの大幅値引きセールをやっている... これって要するにメーカーの在庫一斉セールちゃうの? 私はこの機を逃したら一生後悔すると思い、即決で買いを決めたのだが、アマゾン・ポイントが5千円分ほど貯まっていたので実質9千円ほどでエアーウルフのブルーレイBOXを手に入れることが出来た。
2015.12.25(fri)発売 「超音速攻撃ヘリ エアーウルフ コンプリートブルーレイBOX」


 届いたBOXはシーズン1からシーズン3までの全55話が15枚のディスクに収められており、当然ながら私が昔TV録画したDVDなんかよりも遥かに高画質。いやぁ、これはホンマに買ってよかったわ... てゆうか、こんなに安い値段で買えたのが未だに信じられない。
 ただ1つだけ残念だったのは、日本で「新エアーウルフ復讐編」というタイトルで放送されていたシーズン4が入っていないこと。「エアーウルフ」は1時間モノのTVドラマとしては破格の予算(←CG全盛の今と違って本物のヘリをバンバン飛ばしたり爆破シーン撮りまくったりしてるからめっちゃ金かかってたはず...)で制作されていたため採算が合わずにCBSがシーズン3で撤退し、シーズン4はUSA TVで放送されたため、権利関係の都合で “コンプリート BOX”と銘打ちながらもシーズン4が丸々抜け落ちてしまっているのだ。
 このシーズン4では主役がストリングフェロー・ホーク役のジャン・マイケル・ヴィンセントからセント・ジョン・ホーク役のバリー・ヴァン・ダイクに変わってチームも一新されているのだが、これは一つにはジャン・マイケル・ヴィンセント(←1本当たりのギャラが20万ドル!)が酒とドラッグに溺れて撮影に支障をきたすようになったせいらしい。何にせよ、現時点ではこのシーズン4はUS版のDVDでしか観ることができないのだが、当然日本語字幕も吹替えも無く、しかも忌々しいリージョン1の盤ということで論ずるにも値しない。私は幸いなことにTV録画DVDがあるので一応観ることはできるのだが、やっぱりブルーレイの高画質で観たいというのが正直なところ。NBCユニバーサル・エンターテイメントさん、何とかなりませんかねぇ...
Airwolf (1987) Season 4 - Opening Theme

「スター・トレック: ディスカバリー」

2024-01-14 | TV, 映画, サントラ etc
 「エンタープライズ」が打ち切りになってから12年後の2017年に復活したスター・トレックのTVシリーズが「ディスカバリー」だ。最初にこのニュースを聞いたときは“また新しいスタトレが見れる...(^o^)丿” と期待に胸が躍ったが、次々と入ってくる情報によると、クルーの中の唯一のカップルがゲイだとか、トランスジェンダーやノンバイナリーのクルーがいるとか、とにかくポリコレ/ LGBTQ まみれの話題ばっかりで(←こんなに LGBTQ率の高い集団って不自然すぎるやろ!)ちょっとウンザリ。誤解の無いように言っておくが私は LGBTQ 自体には何の関心もない。私が嫌なのはいわゆるひとつの “ポリコレゴリ押し” 的な風潮で、昨今のディズニー作品なんかでも顕著だが、度を越した LGBTQ推しには虫唾が走るのだ。
 このように観る前からネガティヴな先入観を持ってしまった上に Netflix のストリーミングでしか観れないということも重なって(←ネット配信はどうも性に合わない...)、“ブルーレイが出てからゆっくり観よか...” ということでとりあえずスルー。去年になってやっと同シリーズのブルーレイが“トク選BOX” と題して大幅値下げされたのを機に購入。シーズン1から観始めたのだが、ポリコレ云々のネガティヴな先入観が消し飛ぶくらいにストーリーが面白い。話にグイグイ引き込まれ、“次はどうなるんやろ?” と続きが気になって気になって、1日に3話も4話も一気見してしまうこともあったくらいだ。ただ、クリンゴン絡みのグロテスクな描写やゲイ・カップルがいちゃつくシーンetc、不快な映像が時々出てくるので、そういうのは早送りで飛ばし見した。
 この「ディスカバリー」はスタトレの得意技であるパラレル・ワールド(平行宇宙)やらタイムトラベルを駆使したアッと驚くようなストーリー展開で観る者を惹きつけるのだが、もう一つ優れている点は登場人物のキャラが立っていることで、各クルーが実に良い味を出している。ティリー(←お笑い担当キャラやね...)やサル―、デトマー、リノなど挙げていけばキリがないが、私はその中でも特にフィリッパ・ジョーヤウというキャラに強く魅かれるのだ。
Welcome to my darkside Philippa Georgiou, Star Trek Discovery


 USSシェンジョウ号の船長であるジョージャウは、主人公マイケル・バーナムの上官で彼女にとっては母親的な存在だったが、シーズン1が始まってすぐにクリンゴンとの戦いで死んでしまう。ところがシーズン1の終盤でディスカバリー号が迷い込んだパラレル・ワールドにおいて、巨大なテラン帝国を恐怖で支配する皇帝として再登場。クーデターにあって追い詰められたところをマイケルが転送でこちらの世界に一緒に連れてきてしまい、その後は連邦の秘密組織セクション31のエージェントとして数多くのエピソードで大活躍することになる。
 並行世界からやってきたこのジョージャウは極悪非道なテラン人の親玉だっただけあって、拷問や大量虐殺を屁とも思わない冷酷さを持った、“力こそすべて” を地で行く暴力大好き人間として描かれているのだが、彼女の魅力は竹を割ったような真っすぐな行動を取るところで、裏表が無いというか、悪は悪でも卑劣・姑息な行為は絶対にせず、観ていてむしろ痛快というか、思わずカッコエエなぁと共感してしまうのだ。
 言動も痛快そのもので、“私はリーランドを追い回して狩るのが楽しみだ。ヤツの肌からナノボットが這い出て来るのを見てやる。” とか、“私の望みは、戦いになったら全員倒してあの世でしもべにすることだ。”とか、とにかくその一言一句がめちゃくちゃ面白い。
 しかも戦いにおいては自ら先陣を切って乗り込んでいって敵をボコボコにしてしまう肉体派という点も実に魅力的。特にAIに乗っ取られてサイボーグ化したリーランド指揮官がディスカバリー号に乗り込んできた時には殴り合いのタイマン勝負を仕掛けてマイケルたちのために時間を稼ぎ、顔面から流血しながらも最後はリーランドをブッ倒し、更にブーツで踏み潰してその肉片の付いたまま平気で歩き回るという女傑なのだ。これはこれまでのスター・トレックにはいなかった異色のキャラ設定だが、だからこそ新鮮で魅力が増す。彼女のキャラは “超かっこいいワル” という意味の “badass” と表現されることが多いが、まさに言い得て妙という感じだ。
 このジョージャウを演じているのは「007 Tomorrow Never Dies」(1997)で “戦うボンド・ガール” として大ブレイクしたミシェル・ヨー(←ミハエル・シューマッハ時代のフェラーリF1監督を務め、後にFIA会長にもなったジャン・トッドの嫁さん)で、キレッキレのカンフー・アクションを得意とする彼女にピッタリのキャスティングだ。言ってみればハイテク満載の23世紀の宇宙船に一人だけ “女ブルース・リー” が乗っているようなもので、そのあたりのギャップがめちゃくちゃ面白い。
 彼女とクルーたちの関係の変化もこのシリーズの見どころの一つで、最初は彼女と距離を置いていたクルーたちも彼女が憎まれ口を叩くのは彼女なりの愛情表現であることに気付き始めてその勇敢さや正直さに魅かれるようになり、彼女の方もクルーそれぞれの人格や能力を認めるようになっていく様子が実に上手く描かれており、これぞスター・トレック!と言いたくなるような見事な脚本だと感心させられた。
 私はこの「ディスカバリー」を “ジョージャウの人としての成長の物語” として楽しんできたのだが(→彼女のいないシーズン4はイマイチ物足りない...)、中でもシーズン3第9話「時空よ、永遠に」で彼女が最後に艦を去る時に、それまで何かと対立し呼び捨てにしてきたサル―船長に対し“感謝する... 船長” とリスペクトを込めた眼差しで握手を交わし、“歩く失敗人事”(←この表現クッソワロタ)とおちょくってきたティリー副長にハグされて感極まるように肩を抱き返すところなんかは「ディスカバリー」屈指の名シーンだと思うし、クルーたちが集まって彼女を偲ぶシーンも実に感動的で良かった。
To Philipa - Star Trek Discovery 3x10


 こんなに魅力的なカリスマ・キャラを得たのだからいっそのことジョージャウを主人公にした新シリーズ作ったらエエのに... と思っていたら、パラマウントも同じことを考えたようで当初は彼女が主役のスピンオフドラマを計画していたらしいのだが、更にそのアイデアを推し進めて何と「セクション31」というタイトルで映画化することになったらしい。いやぁ、これは今から大いに楽しみだ。
Best of Emperor Georgiou (Michelle Yeoh) | Star Trek: Discovery season 2

「スター・トレック: エンタープライズ」

2024-01-11 | TV, 映画, サントラ etc

 12月初めに届いた「スター・トレック: ピカード」を満喫してスタトレ熱に再び火がついた私は他のシリーズ作品ももう一度見直そうと考え、「スター・トレック: エンタープライズ」をチョイスした。“スタトレ黄金時代” を築いた3部作と言っても過言ではない「新スター・トレック」、「ディープ・スペース・ナイン」、「ヴォイジャー」はこれまで何十回と繰り返し見ているが、「エンタープライズ」はそこまで熱心に見てこなかったので、じっくり腰を据えて見直すのにちょうど良い機会だと思ったからだ。
 この「エンタープライズ」という作品はカークやスポックが出てくる初代スター・トレックの前の時代の宇宙探査を描いたSFドラマで、「ヴォイジャー」が終了して間もない 2001年9月から UPNネットワークで放送が始まったのだが、視聴率が低かったせいもあってわずか4シーズンで打ち切りになったといういわくつきのシリーズだ。日本でもCSのスーパーチャンネルで放送されていたのだが、熱心なトレッキーの私から見ても当時はあまり面白いとは思えなかった。
 ところがそれから10年ほど経ってからブルーレイが発売された時にアマゾンでめちゃくちゃ安く売っていたのを見て“面白かったという記憶はないけど、腐っても鯛やし、安ぅ買えるうちに買っとこ...” と思って全4シーズン分を一気買いして見始めたところ、思っていたほど悪くはない... いや、それどころか結構面白い。もちろん何じゃいこれは?と言いたくなるようなしょーもないエピソードもあるにはあるが、シリーズ全体を通して見た場合、十分に楽しめる内容だった。
 世間からの低評価の原因として考えられるのは、登場人物のキャラの掘り下げ方が甘く、視聴者が感情移入しにくかったからではないか。後で挙げるシュランとかソヴァル大使とか、サブキャラがめっちゃエエ味出しているのに対し、肝心のクルーの魅力が乏しいのだ。特にメイウェザーとホシの扱いが雑すぎて、それぞれのクルーのキャラが立っている他のシリーズに比べるとそのあたりに決定的な違いを感じてしまう。これは俳優さんと言うよりは明らかに脚本のせいだろう。
 9.11テロを受けて番組のコンセプトがスタトレ本来のヒューマン・ドラマ路線から大きく逸れてしまったというのもファン離れを引き起こした要因の一つだろう。特にシーズン3のハードボイルドな展開はスタトレらしさが希薄に感じられ、こんなん別にスター・トレックでやる意味ないやんと思えるエピソードが少なくなかったのも事実だ。
 更に後になってわかったことだが、当初はシーズン1でファースト・コンタクトからエンタープライズ号打ち上げまでの紆余曲折を地球を舞台に描く予定だったものを、UPNが脚本に口出しして “時間冷戦” などというワケのわからんテーマをゴリ押しした結果、最初の2シーズンを迷走し、棒に振ることになってしまったのが致命的。ド素人が口出しするとロクなことはないという見本だろう。
 「新スター・トレック」→「ディープ・スペース・ナイン」→「ヴォイジャー」とそれまで続いてきた3つのシリーズがどれも大傑作だったために期待値のハードルがめちゃくちゃ上がっていたのも運が悪かった。レコードで言えば、イーグルスの「The Long Run」やフリートウッド・マックの「Tusk」、エイジアの「Alpha」のように作品としての出来は決して悪くはないのに(←私はこの3枚どれも大好きです)それぞれ「Hotel California」「Rumours」「Asia」といった偉大なる前作のせいで物足りなく感じられ、駄作扱いされてしまうという非常に気の毒なパターンだ。
スター・トレック エンタープライズ

スター・トレック エンタープライズ シーズン2


 ネガティヴな要素ばかり書き連ねてしまったが、シーズン4からはリック・バーマン&ブラノン・ブラーガのコンビが製作から外されて、マニー・コトが新たに脚本を担当しだしてやっとスタトレ本来の精神に立ち返り、バルカンの内紛やロミュランの陰謀etcを扱った傑作エピソードを数多く生み出した。ちょうど「マンダロリアン」でスター・ウォーズを救ったジョン・ファヴローみたいなもんだろう。とにかくマニー・コトが担当したエピソードはめちゃくちゃ面白いし、他のシリーズとの整合性も上手く考えられているので超オススメ。時すでに遅しで「エンタープライズ」は道半ばにして打ち切りが決まってしまったが、シーズン4は観て損はない傑作エピソード揃いなので(←ただしリック・バーマン&ブラノン・ブラーガが復帰した最終話はゴミクソ...)、「エンタープライズ」ブルーレイをどれか1枚というなら迷うことなくシーズン4を推したい。
スター・トレック エンタープライズ シーズン3

スター・トレック エンタープライズ シーズン4


 「エンタープライズ」で私が一番気に入っているのはシュランというキャラの存在だ。このシュランは、昔アコムのTV CMに出ていた “ラララむじんくん” という頭から2本の触覚が生えた宇宙人にそっくりなアンドリア人という種族なのだが、宇宙人のくせに(?)まるで昔の東映任侠映画に出てくるような漢気(おとこぎ)を見せてアーチャー船長を救うところがグッとくる。“お前に助けられた借りを返さないと夜ぐっすり眠れない” とか言ってアーチャーと共闘するツンデレぶりがたまらないのだ。信頼できる筋の情報によると、もしもシーズン5が作られていたらこのシュランをレギュラーとして抜擢するというプランがあったらしいが、それも大いに納得できるくらい大きな存在感を放っている。因みにシュランが登場するエピソードは、7「汚された聖地」、15「恩讐を越えて」、41「戦場の絆」、65「アンドリア人の協力」、76「最終決戦」、85「バルカンの夜明け」、89「ロミュランの陰謀」、90「氷窟の民」、98「最後のフロンティア」なので、未見のトレッキーはぜひ一度ご覧あれ。
Captain Archer Helped To Mediate Peace Between Andorians and Vulcans

「スター・トレック: ピカード」

2024-01-07 | TV, 映画, サントラ etc

 私は筋金入りのスター・トレック・ファン、いわゆるトレッキーである。映画がメインのスター・ウォーズとは違い、スタトレはあくまでもTVドラマ・シリーズが主体であり、映画は言ってみればオマケみたいなもの。これまで「宇宙大作戦(The Original Startrek)」、「新スター・トレック(The Next Generation)」、「ディープ・スペース・ナイン(Deep Space 9)」、「ヴォイジャー(Voyager)」、「エンタープライズ(Enterprise)」、「ディスカバリー(Discovery)」そして「ピカード(Picard)」の7つのシリーズが放送されてきており、今現在も「ディスカバリー」のファイナル・シーズンと「Strange New Worlds」という新シリーズがアメリカで放送中だ。
 私が本格的にスタトレにハマったのは1990年代の初め頃に関西テレビの深夜枠でやっていた「新スター・トレック」からなので、今でも私にとってのスタトレと言えば何はさておきパトリック・スチュワート演じるピカード艦長の「新スター・トレック」である。スター・トレックというのはザックリ言えば未来宇宙を舞台に様々な地球外生命体を登場させながらも、その本質はクルーたちの人間関係をリアルに描いたヒューマン・ドラマであり、今回取り上げる「ピカード」もピカード艦長を中心に「新スター・トレック」放送当時のオリジナル・メンバーやQ、ボーグ、可変種といった重要キャラが総登場するという、ある意味スタトレの集大成のような内容になっている。私にとって数あるスタトレ・シリーズの中でも「新スター・トレック」というのは音楽に例えるならまさにビートルズのような絶対的存在であり、今回取り上げる「ピカード」は言ってみれば “約30年ぶりの再結成” みたいなモンだろう。
 最初、「ピカード」のシーズン1を観た時は年老いたピカード艦長(←撮影当時のパトリック・スチュワートは何と79歳!)の姿が結構ショックだったのと、シンス(人工生命体)の自我・独立を扱った脚本の中身が地味でいまいちピンとこなかったが、それらを補って余りあるのが映画「ネメシス」で自らを犠牲にしてピカード艦長を救ったデータ少佐の再登場で、ブレント・スパイナーの名演技が見れるだけでも価値があるのに、ストーリーにジャズのスタンダード・ナンバー「Blue Skies」を絡めて感動的なエンディングにもっていくところが実に粋で、このあたりはさすが本場アメリカやなぁ...と唸ってしまった。
「スター・トレック: ピカード シーズン1」


 データ少佐の存在におんぶにだっこだったシーズン1に比べ、シーズン2ではQやボーグ・クイーン、ガイナンといったピカードにゆかりの深いキャラが続々と登場することもあって面白さが大幅にアップ! Qによって変えられた時間軸を元の正常な形に戻すためにセブン、ラフィ、リオス、アグネスといったピカードの新しい仲間たちがボーグ・クイーンを巻き込んで奮闘するタイムトラベル物のストーリーは手に汗握るものだし、第1話で張られた伏線や謎が最終第10話で見事に回収される様は痛快そのものだ。
 そんな中でも私が一番グッときたのはピカードとQが最後に別れのハグをする場面で、トレッキーならQを演じるジョン・デ・ランシーの名演技に涙腺が決壊すること間違いなし(T_T)  「新スター・トレック」からずーっと続いてきた二人の関係の終わり方としてはこれ以上のものは考えられないだろう。Qが最後に言った “サプライズ”(→エルノアが生き返った!!!)も視聴者がスカッとする後味の良さだ。
 それと、シーズン1で出てきたロミュラン人のラリスが、時間軸が分岐する21世紀の地球におけるピカードのガイド的な役どころのタリンとして一人二役で登場するのだが、演じているオーラ・ブレイディという女優さんが私好みの美人で、このシーズン2でほぼ準レギュラー的な扱いで出てくるのがめちゃくちゃ嬉しい。
「スター・トレック: ピカード シーズン2」


 シーズン3はピカード、ライカ―、ビバリー、データ、ウォーフ、ラフォージ、ディアナという「新スター・トレック」の黄金時代を飾ったエンタープライズ号のクルーたちが再集結して進化した可変種や最大の敵ボーグと戦うという展開に涙ちょちょぎれる。しかもガイナンやロー・ラレン、シェルビー少佐にモリアティ―教授、更にヴォイジャーからトゥヴォックまでも登場させるという大盤振る舞いに喜ばないトレッキーはいないだろう。
 敢えて難を言えば、シーズン2が “新たなる脅威” に対してボーグ・“ジュラティ”・クイーンが暫定的とはいえ連邦と同盟を結んでこの宇宙域の番人になるという衝撃的な終わり方をして今後の展開が楽しみだったのに、シーズン3のフタを開けてみればまるでシーズン2が無かったかのような設定でストーリーが進行することで、シリーズ間の整合性に疑問符が付くことぐらいか。理想を言えばシーズン3ではシーズン1で描いた人工生命体のその後とシーズン2で描いた新たなる脅威とを絡めた展開に持っていき、シーズン3の話は劇場版の映画にでもすれば良かったのかなぁと思う。
 ただ、この「ピカード」というドラマは、シーズン1でピカードの “友” であるデータ少佐との別れを描き、シーズン2で良くも悪くも腐れ縁といってもいい “絆” を感じさせる Q との別れを描き、そしてファイナル・シーズンでは満を持して “家族” とでもいうべきエンタープライズ号のクルーたちと共に去り行くピカード艦長を描く... というのがこのシリーズのコンセプトだったと考えるとすべてにおいて合点がいく。言い換えれば、この「ピカード」というシリーズは一世を風靡した「新スター・トレック」に用意された “実に美しい花道” と言っていいのかもしれない。
「スター・トレック: ピカード ファイナル・シーズン」

John Wick 4 Original Soundtrack

2023-11-19 | TV, 映画, サントラ etc
 私は好き嫌いがハッキリした人間で、映画はSFとアクション物しか観ない。要するに “広く浅く” の真逆を行く “狭く深く” が私の流儀なのだ。作品で言うと、「スター・ウォーズ」、「スター・トレック」そして「ジョン・ウィック」が3本柱で、これらのシリーズは何十回、いや、何百回と繰り返し観て楽しんできた。先月このブログに書いた「ジョン・ウィック4」も劇場で2回、そしてブルーレイは既に10回以上は観たが、飽きるどころかまだまだコーフン冷めやらずといったところだ。
 言うまでもなくこの映画はその怒涛のアクション・シークエンスが圧倒的な見どころなのだが、そこで使われている音楽もまた素晴らしい。もちろん楽曲単体でもそれなりに楽しめるが、映像を観ながら聴くとその魅力が何倍にもアップするという、サントラの鑑のような作品ばかりなのだ。ということで今回は世界に先駆けて日本で先行発売された「ジョン・ウィック4・オリジナル・サウンドトラック」CD、そしてオフィシャルのサントラ盤には入っていないけれどこの映画に無くてはならない音源について書いていこうと思う。

①Osaka Phonk / Le Castle Vania
 大阪コンチネンタル・ホテルが登場するシーンのバックで流れていたオリエンタルなムード横溢のエキゾチックなナンバーがこの「Osaka Phonk」だ。この曲はオフィシャル・サウンドトラック盤には収録されておらず、Le Castle VaniaがEPとして発表した音源をダウンロード(←アナログ人間の私にはMP3音源で “EP” という言い方はめっちゃ違和感がある...)するしかないのが非常に残念。音楽配信/ダウンロードというシステムを生理的に受け付けない私のような古いタイプの人間にとっては住みにくい世の中になったものだ。
John Wick: Chapter 4 (2023) - Osaka Continental | 4K HDR CLIP ALARAKHS HDR Grading Showcase


②Marie Douceur, Marie Colère / Manon Hollander
 グラモン侯爵の指示でDJが殺しを煽るという設定の中、パリの街中の大乱闘シーンのバックで流れるのがマノン・ホランダーという女性歌手がストーンズの「Paint It Black」をフランス語でカヴァーした「Marie Douceur, Marie Colère」だ。「Paint It Black」のフレンチ・カヴァーといえばマリー・ラフォレが真っ先に思い浮かぶが、こちらのヴァージョンもそれに勝るとも劣らない素晴らしい出来栄えだ。映画館で初めてこのシーンを見た時、女DJの “I think it's high time we paint him red...” という言葉で “えっ、ここでまさかのストーンズ来るんか?” と身構えたのだが、間髪を入れずに例のイントロが流れた時はカッコ良すぎて震えがきた。
John Wick: Chapter 4 (26M Bounty Scene) Paint It, Black | High Definition 1440p |


③Hate Or Glory / Gesaffelstein
 凱旋門の周回道路での超高速戦闘シーンで流れるクソカッコ良い曲がゲサフェルスタインの「Hate Or Glory」だ。感情を持たない殺人マシーンのように一人また一人と敵を処理していくジョン・ウィックのアクションと硬質な電子音が炸裂するアグレッシヴなサウンドが絶妙にシンクロしてカッコ良いことこの上ない。単調なフレーズの繰り返しが生み出す高揚感がたまらんたまらん... (≧▽≦)
John Wick 4 - Arc De Triomphe scene


④LED Spirals / Le Castle Vania
 焼夷弾で次から次へと敵を火だるまにしていくジョン・ウィックの戦いっぷりを上から俯瞰する映像のバックで流れるのがLe Castle Vania の「LED Spirals」だ。この曲は「ジョン・ウィック1」でもクラブ「レッド・サークル」でロシアン・マフィアのバカ息子を追い詰めていくシーンで使われて強烈なインパクトを残したが、この「4」でもジョン・ウィックが無慈悲に敵を撃ち殺していくシーンに無機質なビートが絶妙にマッチしており抜群の効果を上げている。映像と音楽をリンクさせるチャド監督のセンスには脱帽だ。
John Wick: Chapter 4 | 4K HDR | Overhead Gun Fight - Dragons Breath Rounds


⑤Eye For An Eye / Rina Sawayama
 ラストの墓地のシーンに続いて流れるエンディング・テーマはシマヅ(真田広之)の娘アキラ役で素晴らしい演技を見せたリナ・サワヤマが歌う「Eye For An Eye」だ。歌が本職とあって映画のラストを飾るに相応しい堂々たる歌声を聞かせてくれる。調べてみたらエルトン・ジョンと共演したり、2ndアルバムが日本人歴代最高記録となる全英チャート3位に入ったりと、今が旬のアーティストのようだ。彼女が参加したメタリカのカヴァー・アルバム(←声がかかるってだけで凄いなぁ...)の「Enter Sandman」も貼り付けておいたので興味のある方はどーぞ。
Rina Sawayama – Eye For An Eye (John Wick: Chapter 4 Original Motion Picture Soundtrack)

Rina Sawayama – “Enter Sandman” from The Metallica Blacklist


【おまけ】
 凱旋門の大乱闘シーンのメイキング映像をYouTubeで見つけた。へぇ~、あのシーンはこんな風にして撮ってたのか... とビックリ。VFX技術って凄いですな...
John Wick 4 - Arc De Triomphe - VFX Breakdown by Rodeo FX

【超絶アクション】ジョン・ウィック:チャプター4【大興奮】

2023-10-06 | TV, 映画, サントラ etc
 「ジョン・ウィック:チャプター4」を観に行ってきた。ちょうど日本公開日が9/22(金)だったので、早く観たいけれど人間嫌いの私は(←映画館で他人が横におるのがすごく嫌...)土日明けの25(月)のレイト・ショーで鑑賞。あれからもう10日以上経つが、未だに興奮冷めやらずといった感じで、USアマゾンで取り寄せたブルーレイ(←9/25の晩に帰ってすぐ注文してからたったの1週間で届いたのにはビックリ...)をほぼ毎晩繰り返し観ているし、車の中ではブルーレイから抽出した音声をエンドレスで聴きまくっていて(→銃撃音がハンパないので信号待ちで停まった時とか、さすがにちょっと恥ずかしい...)、気分はすっかりキアヌ・リーブスだ。というワケで今日は「ジョン・ウィック4」の感想・考察を書いていこうと思う。
 この映画は3時間近い長編で、しかもアクション・シークエンスが質・量共にハンパない。とにかくこれでもかとばかりに次から次へと凄まじい戦闘シーンが連続して出て来るので、普通の神経をした人なら感覚が麻痺してしまうかもしれない。因みにジョン・ウィック・シリーズの死者数を数えた動画がYouTubeにアップされているのだが、それによると「1」が84人、「2」が118人、「3」が84人、そしてこの「4」は過去最多の178人というのだからこれはもう凄いとしか言いようがない。又、IMAXで見たおかげで凄まじい銃撃音や爆音をリアルに体感することができて大満足。これから観ようという人には IMAXで観ることを強くオススメしたい。
 このジョン・ウィック・シリーズの原点である「1」はいわゆるひとつの “ナメてた相手が実は殺人マシンでした...”型映画の王道を行く作品だったが、その続編である「2」「3」ではその “殺し屋ワールド” をどんどん拡張していく方向に舵を切ってマンネリ化を防ぎ、敵がどんどんスケールアップしていく中で懸賞金目当ての殺し屋たちに命を狙われながらも一撃必殺で返り討ちにしていくという痛快な展開が超胸熱! 「3」のエンディングを見た私は、ジョンがここからどうやって主席連合(←世界有数の犯罪組織が結びついて出来上がった巨大な闇組織)にリベンジし、どのように決着を付けるのかワクワクしながら新作の「4」を待っていた。
 主席連合に対するジョンの復讐劇は「3」で彼の指と指輪を奪った首長(主席連合のトップ)へのお礼参り(!)からスタート。首長役がアラブ人らしいミステリアスな雰囲気を上手く出してた前回の俳優さんとは違っていたのが残念だったが、絵に描いたような “眉間に一発” で仕留めて観る者のワクワク感を煽っていくところはさすがという感じ。どうせなら「3」に出てたあのクソ生意気な裁定人の女にもリベンジしてほしかったところだが、そんなことしてたら3時間を超えてしまうか...(笑)
 NYコンチネンタル・ホテルの爆破やウィンストンのコンシェルジュだったシャロンの射殺というショッキングな展開で敵役のグラモン公爵の冷血ぶりを描いた後、舞台は前半の山場というべき「大阪編」へと移る。そこでは大阪コンチネンタル(→「初志貫徹」のネオンサインや夜桜のライトアップにワロタ...)の支配人シマヅ役の真田広之がめっちゃ存在感があって、何度観ても惚れ惚れする。特にジョンの “メイワクカケテ スマナイ” に対する “Friendship means little when it's convenient.(困った時こそ大事なのが友情だ)” には痺れたし、ホテルに乗り込んできた敵を迎え撃つ時に “お客様のご到着だ。おもてなしの準備を。” と部下に指示するところや、敵と対峙して緊張感が極限まで高まる中、“撃て!”と叫ぶ姿も超カッコ良かった。又、ガードがスモウレスラーで武器が刀・弓矢・手裏剣と、いかにも “外国人が考えそうな日本” 的要素が満載なのも面白かった。
John Wick 4 – Friendship means little when it's convenient

John Wick 4 - High Table invades Osaka Continental 

 シマヅの娘アキラ役の女優さん(リナ・サワヤマ)もキレッキレの動きで見応え十分! 銃だけでなく弓矢やナイフを駆使して自分よりも遥かに体格で勝る敵を仕留めていく様は痛快そのもので(←彼女のスタントダブルを演じた伊澤彩織さんのアクションも凄かった...)、特に必死で逃げようとする大男に馬乗りになって背中をナイフでメッタ刺しにするシーンは鬼気迫るものがあった。この人凄いなぁ... と感心して後で調べてみたら、本業は何とイギリスで活躍するシンガー・ソングライターで、メタリカのチャリティー・トリビュート・アルバムに参加して「Enter Sandman」をカバーしているというのだからビックリ(゜o゜)  これが女優初挑戦ということを頭に入れてもう一度あの凄まじいアクション・シーンを見ると驚倒すること間違いなしだ。
John Wick 3: Osaka Hotel Scene 2


 盲目の腕利き殺し屋ケイン役のドニー・イェンの演技も光っていた。ドンパチのさなかにまるで他人事のように涼しい顔でラーメンをすすっているシーンには大いに笑えたが、雇い主から “仕事しろ!” と言われて面倒くさそうに超絶テクニックで敵を仕留めていくところ(←緊張感溢れる戦闘シーンでの “ピンポン”センサーにはクソワロタ...)はさすがの一言。ドニーはスター・ウォーズ・スピンオフ映画の最高傑作「ローグ・ワン」でも “フォースを信じる盲目の戦士” を演じて強烈なインパクトを残したが、今回の「ジョン・ウィック4」でもMVP級と言ってもいいくらいの大活躍だ。因みにこの “盲目” というコンセプトは映画「座頭市」へのオマージュだろう。
Caine Osaka Fight Scene


 「大阪編」でもう一つ印象に残っているのが、シマヅがジョンをホテルから逃がす時に言った “ひとつ頼みがある... できるだけ多く殺していってくれ” というセリフで、これには思わず大爆笑(^.^)  とにかくこの映画には作り手側の遊び心が満載で、それはセリフであったり、さりげない動作であったりと、手を変え品を変えながら観る者を笑わしにくるのだ。ド派手なアクションだけでなく、そういったユーモアのセンスにもこのシリーズの人気の秘密が隠されているのだろう。それと、本物とは全然似てない梅田駅(←どうしても「ニッポンウイスキー 飛沫」の看板に目が行ってまう...)や地下鉄車内の描写(←プラスチック製のピカピカな座席はどう見てもアメリカの地下鉄やん...)にも笑ってしまった。
John Wick 4: Osaka scene 4


 この映画は全編アクション/戦闘シーンの塊みたいなモンだが、アクション・シークエンスの面白さで言うと、ラスボスのグラモン公爵との決戦が行われた「パリ編」が断トツに素晴らしい。222段の“階段落ち”(←キアヌが自分からガンガン回転して落ちにいってるところはもうギャグそのもの... たまたま後ろで観てたおかんが “ネイマールみたいや!” って大笑いしとった...)や、敵に対して焼夷弾を撃ちまくるシーン(←まるで人間松明やん!)を上から俯瞰するカメラワークなど、よくもまぁこれだけ色んなアイデアが浮かんでくるものだと感心してしまうが、私的に一番衝撃的だったのが凱旋門前の周回道路で走ってくる車を避けながら殺し屋軍団と闘う大乱闘シーンで、まるでゲームの世界のような現実離れした戦闘シーンの連続(→防弾背広強力すぎwww)は文句なしにアクション映画史上最高レベルの面白さと言っていいと思う。いやぁ、コレはホンマに凄いですわ ... (≧▽≦)
John Wick 4 - Arc De Triomphe scene

Overhead Gun Fight

John Wick falls down the stairs


 そんなこんなで最後の決斗を終えて朝日が昇る中、階段に倒れ込むジョンの姿から場面が切り替わって、ニューヨークの墓地でウィンストンとバワリー・キングがジョンの墓の前に佇むシーンが映し出され、ウィンストンが “ダスビダーニャ、マイ・サン(さらば、わが息子よ)” と呟いて去っていくのだが、不死身のジョンがあの程度で本当に死んでしまったとは考えにくい。これはあくまでも “ババヤガ(殺し屋)としてのジョン” の死を示唆しているのであって、ジョン自身はどこか人里離れた山奥で亡き妻の思い出と共に静かに引退生活を送っているのではないか... と思えてならない。
The Death Of John Wick


 この映画は一旦エンドロールが終わった後、花束を持って娘に会いにいこうとするケインにナイフを持ったアキラが忍び寄るシーンが映し出されてで終わる。これはシマヅを殺したケインが “報い”、すなわち “コンセクエンス” を受けるということを暗示しているのだろう。アクション・シークエンスのテンコ盛りでお腹一杯にさせた後、最後の最後で “すべての行いには報いがある” というこのシリーズのテーマをぶっ込んでくるあたりにもチャド監督のセンスの良さがうかがえるというものだ。
John Wick Chapter 4 end credits scene


 とまぁこのようにこの「John Wick 4」は100点満点をあげたいくらい気に入っているが、唯一不満なのは日本版トレイラー(予告編)のせいで最後の結末がネタバレしてしまったこと。ジョンがむくっと起き上がって “報いだ!” と叫んでグラモン公爵を射殺するどんでん返しのシーンを予告編に入れるアホがどこにおんねん!とポニー・キャニオンに文句の一つも言いたくなってくるが、映画自体はシリーズ最高傑作であると同時にアクション映画史上に燦然と輝く金字塔と言っても過言ではない。私としては早くも「チャプター 5」が見たくなってきた...

「ジョン・ウィック4」のムビチケ買った(^o^)丿

2023-07-21 | TV, 映画, サントラ etc

 私は映画に関しては超の付くド素人で、自分が興味のあるごく狭いジャンルのモノしか観ない。それも大半は封切り後1年ぐらい経ってから発売されたブルーレイが更に値崩れするのを辛抱強く待ってから(笑)買って観るというセコい人間である。とにかくレコード以外の出費は出来るだけ抑えるというのが家訓であり、信条であり、座右の名であるので、わざわざ映画館にまで足を運んで観たのは過去20年間でも「ゲット・バック」「イエスタデイ」「エイト・デイズ・ア・ウイーク」といったビートルズ関連モノと「ボヘミアン・ラプソディ」、それに「スター・ウォーズ」シリーズぐらいしかない。
 そんな私が人生で初めて“ムビチケ”なるものを買った。昔の言葉で言うと何のことはない “前売り券” だ。映画は「ジョン・ウィック4~コンセクエンス~」... 以前このブログでも取り上げた、キアヌ・リーブス演じる伝説の殺し屋ジョン・ウィックの死闘を描いたアクションもので、前作「ジョン・ウィック3 ~パラべラム~」から4年という長い間首を長~くして待っていてついに日本公開日が決まり、いてもたってもいられなくなってシネマサンシャイン大和郡山まで車を飛ばしたのだ。
【本予告】『ジョン・ウィック:コンセクエンス』9/22公開


 とにかくこの「ジョン・ウィック」シリーズほど私を奮い立たせてくれる映画は他にはない。“血湧き肉躍る” という表現があるが、まさにこの映画にピッタリの表現だ。あぁもう今から9月22日が待ちきれない。スピーカーが直ってからというもの、レコードばかり聴いていて最近全然家で映画を観ていなかったので、この週末は久々にテレビにかじりついて “ジョン・ウィック祭り” でもしようかな...
【閲覧注意】相手の耳にエンピツを突き刺したりとか、かなり過激なシーンの連続なので、そういうのが苦手な人は見ない方がいいと思います↓
ジョン・ウィック - 復讐完了

ジョン・ウィック:チャプター2‐ 美術館での銃撃戦

ジョン・ウィック:チャプター2 ‐ vs暗殺者たち

ジョン・ウィック:チャプター3 ‐ カサブランカでの銃撃戦


 更に海の向こうではもう次作「ジョン・ウィック:チャプター5」のトレイラーが公開されている。うまくすれば2年連続で「ジョン・ウィック」の新作が観れるかもしれないのだからこれはえらいこっちゃである。早よ来年にならんかな...
John Wick: Chapter 5 ‐First Trailer (2024) Keanu Reeves & Ana de Armas Ballerina Movie | Lionsgate

John Wick Chapter 1-3

2021-03-06 | TV, 映画, サントラ etc
 今の職場に転勤してからちょうど1年になる。仲良くなった同僚とは趣味の話をして仕事のストレスを解消しているのだが、中でも席が隣りのNちゃんとは特にウマが合う。先日、アクション映画の話題で大いに盛り上がった時に “オススメの映画教えてよ。” と言うと “激しいアクション物が好きなら「ジョン・ウィック」がエエですよ。” と言われたので早速その日にゲオに寄って「ジョン・ウィック1」と「ジョン・ウィック2」を借りて帰った。私は映画に関してはアクション物しか観ない人間で、洋画なら「スター・ウォーズ」や「スター・トレック」のようなSF物と「007」や「ミッション・インポッシブル」シリーズのようなスパイ物、邦画は任侠ヤクザVシネ一本やりだ。要するに “ドンパチ” が大好きなんである。
 そんな私にとって「ジョン・ウィック」はまさに “どストライク” の映画だった。引退した伝説の殺し屋がロシアンマフィアのボスのバカ息子に車を盗まれ愛犬を惨殺されたことにブチ切れ、復讐鬼と化して親父のマフィア組織そのものまで壊滅させてしまうという単純明快なストーリーなのだが、小難しいコンセプトなど一切なく、とにかく全編銃撃シーンのオンパレード! 私はこれまでこれほど銃をぶっ放しまくる映画を観たことがない(笑)
 主演のキアヌ・リーブスは映画「マトリックス」のネオのイメージしかなったが、この「ジョン・ウィック」はまさにハマリ役と言ってよく、殺人マシーンと化して華麗なガンさばきで敵を次から次へと撃ち殺していく姿がめちゃくちゃカッコイイ(^o^)丿 弾をブチ込んでダウンした相手の眉間にトドメの一撃を入れるところなんかもうたまらんたまらん(≧▽≦)
John Wick Club Scene full scene

John Wick (8/10) Movie CLIP - John Gets Revenge (2014) HD


 「ジョン・ウィック1」でロシアンマフィアを壊滅させたジョン・ウィックが「ジョン・ウィック2」で戦う相手はイタリアンマフィアだ。自分を利用した挙句裏切ったマフィアのボスに700万ドルの懸賞金をかけられて追われる立場となったジョン・ウィックが逆にそのボスを追い詰めていって最後に一発で仕留めるという胸アツな展開が痛快そのものだ。
ジョン・ウィックチャプター2美術館での無双シーン


 それと、「ジョン・ウィック」を語る上で欠かせないのが「エンピツ」だ。ロシアンマフィアのボスが “ある時奴はバーで3人を殺した... たった1本のエンピツでだ... 誰にそんなマネができる?” とジョン・ウィックの恐ろしさを語るシーンが「1」にも「2」にもあったが、「2」の後半には駅の構内で自分を襲ってきた敵をエンピツを使って返り討ちにするシーンがあり、私的には血湧き肉躍るフェイヴァリット・シーンの一つになっている。
John Wick: Chapter 2 (2017) - Pencil Kill Scene (6/10) | Movieclips

John Wick: Chapter 2 (2017) - With a Pencil Scene (1/10) | Movieclips


 こうして私はすっかり「ジョン・ウィック」にハマったわけだが、ラッキーなことにたまたまその翌日にスター・チャンネルで「ジョン・ウィック・チャプター3 ~パラべラム~」をやっており、2日間で「ジョン・ウィック」シリーズを3本一気に観るることができた(^.^)  この「チャプター3」も基本的には「1」「2」の路線を踏襲した “大ドンパチ大会” なのだが、銃火器だけでなくナイフやカンフーを使った戦闘のヴァリエーションがより多彩になっており(←図書館で本を使って敵を殺すシーンまであった...)、この手のアクション物が好きな人間にとってはたまらん映画なんである。個人的に面白かったのは馬や犬(←助演のハル・ベリーが超カッコイイ!)といった動物までも操って敵を倒すところで、特にホース・キックを受けた敵が吹っ飛ぶシーンには大笑いしてしまった。
"He shot my dog, - I get it." scene (John Wick Chapter 3 - Parabellum)

John Wick: Chapter 3 - Parabellum (2019) - Horse Stable Fight Scene (2/12) | Movieclips


 この「ジョン・ウィック」シリーズでもう一つ私が気に入っているのがシンプルでありながらパンチの効いたセリフの妙である。例えば倒された相手が今わの際にジョンに向かって言う “Be seeing you.” という言葉(←I'll be seeng you.の省略形)。吹替えでは直訳っぽく “また会おう” となっていたが、死にゆく者、しかも裏社会に生きる同業者の言葉という点を鑑みれば “地獄で会おうぜ” に近いだろう。これは「1」のロシアンマフィアのボス、「2」のイタリアンマフィアの女用心棒の死に際のシーンで出てくるが、他にも度々登場するお気に入りのセリフなので、仕事終わりでオフィスを出る時にNちゃんに “ビー・シーンニュ!” と声をかけて帰るようになった(笑)
 それと、敵が送り込んできた武装グループとの戦闘の前にコンチネンタル・ホテルの支配人ウィンストンとジョンの間で交わされた会話 “What do you need?(何が必要かな?)--- Guns. Lots of guns.(銃だ。それも大量の。)” は映画「マトリックス」でのタンクとネオのやり取りと全く同じだったのにもニヤリとさせられた。このシリーズの脚本はこういう遊び心が随所に見られて実に楽しい。
 この他にも相手のセリフをおうむ返しに繰り返したり、マフィアがめったやたらに fuckin' を多用したり(笑)とか、とにかくセリフ回しがめちゃくちゃ面白い。残念なことに日本盤のブルーレイにもDVDにも英語字幕が入っていないので輸入盤を購入しようとアマゾンで探してみると、ラッキーなことにシリーズ3作品のブルーレイとDVDをセットにした6枚組を発見。これで3,900円なら安いものだ。DVDはリージョン1でそのままでは観れないので(←リージョンってホンマに鬱陶しいシステムやわ... 考えたヤツは地獄へ落ちろ!!!)リージョン・コードを外してDVD-Rに焼く必要があるし、ブルーレイも何故か読み込みにめっちゃ時間がかかるのだが、それさえ我慢すれば史上最強のガンアクション映画3部作を激安で手に入れられるのだからエエ買い物をしたと喜んでいる。来年5月に公開予定の「ジョン・ウィック4」が今から楽しみでしかたがない(^o^)丿
John Wick: Chapter 3 - Parabellum (2019) Official BTS “Training for John Wick” – Keanu Reeves

【追悼】志村けん

2020-04-12 | TV, 映画, サントラ etc
 コロナウイルス感染による世界の死者数がついに10万人を突破したらしいが、一番ショックだったのは何と言っても志村けんさんの死だった。彼の死を知ったのは3月30日の朝で(命日は3月29日... 奇しくも私の父と同じ日だ)、親しくしている顧客から「志村けん亡くなりましたねぇ... ショックですよ。」と聞かされ、「えっ、ウソでしょ...」と自分の耳が信じられなかった。もちろんコロナで入院してICUに入っていることはニュースで見て知ってはいたが、まさか1週間かそこらで亡くなるなんて夢にも思わなかったからだ。その後、ネットは彼の死のニュース一色になったが、あまりにも急な死だったこともあって、私は “悲しみに暮れる”というよりは “まだ実感がわかない” というのが正直なところだった。
 それから数日経ったある日の夜中のこと、YouTubeのオススメ動画でたまたま “志村けんのバカ殿” シリーズでも一番好きだった由紀さおりとの年齢詐称ネタを集めた動画を見つけたので何気なく見始めたところ、これがもうめちゃくちゃ面白くて真夜中なのに何度も大声で笑ってしまい(3:23の「オカマのあとは養老院か!」なんかもう腹筋崩壊ですわwww)、気がついたら夜の3時を回っていた。その時初めて “あぁ、もうこの人はこの世にいないんやな...” とその死を現実のものとして受け入れると同時に、強烈な喪失感に襲われた。緊急事態宣言による外出自粛で日本中が暗く沈んだ気持ちになっているこんな時にこそ志村さんの笑いが必要なのに、その本人が真っ先に逝ってしまうなんて何という悲劇だろう? コロナは我々日本人から “人間国宝” と言っても過言ではないコント界のスーパースターを奪ってしまった。
バカ殿様 由紀さおり 年齢詐称


 私が持っているレコードで志村さん関連の盤は「ヒゲのテーマ」のシングル盤1枚きりで、それも何年か前にヤフオクで同じセラーから何枚かシングル盤を買った時にたまたま100円で出ていたのを見て“おぉ、懐かしいやん... 送料変わらんし、100円やったら買うとこか...” という軽い気持ちで買ったものだ。さっき久々に針を落として聴いてみたが、例のメロディーが鳴り出すと同時に自然と身体が動いてあのダンスせずにはいられない。困ったものだ(笑)
8時だョ!全員集合「ヒゲダンス グレープフルーツ刺し」


 志村さんはガチのビートルズ・ファンとしても有名で、66年のビートルズ武道館公演だけでなくポールの東京ドーム公演にも足を運び、ラジオ番組でその時の喜びを大コーフンしながら語っていたが、言葉の端々からビートルズ愛がビンビン伝わってくるのが嬉しかったし、特に“「Something」のウクレレの時に泣いちゃった...” というくだりにはめっちゃ共感してしまった。私にとっては “不世出のお笑いの天才” であると同時に “ビートルズ・ファンの同志” でもあったのだ。ひょっとすると今頃天国でジョンとジョージに会ってアイ~ンとかやって2人を大笑いさせてるかもしれない。
 ドリフターズ解散後の志村さんの活躍を想うと、ちょうどビートルズ解散後にウイングスを率いて再び世界制覇を成し遂げた頃のポールの姿がダブってくる。だから私なりにドリフターズをビートルズに例えると、天才型の加藤茶がジョンで努力型の志村けんがポール、仲本工事がジョージで高木ブーがリンゴにあたるのではないかと思っている。いかりや長介はさしずめジョージ・マーティンといったところか。
【芸々】 志村けん「ポールマッカートニービートルズを熱く語る」


 志村さん、今までたくさんの笑いを本当にありがとうございました。心よりご冥福をお祈りいたします。R.I.P.

Shogun's Samurai DVD

2017-03-04 | TV, 映画, サントラ etc
 前回に引き続き今回も映画のDVDだ。私は映画に関しては音楽と違ってほとんど何も分からないド素人だが、そんな私が例外的に大好きなのが深作欣二監督の作品で、前回取り上げた「仁義なき戦い」に衝撃を受けてからというもの、彼の作品だけは欠かさず見るようにしてきた。その大半は私が大好きなヤクザ/アクション系の作品なのだが、そんな中で異色中の異色と言えるのが深作監督にとって初の時代劇である「柳生一族の陰謀」だ。
 時代劇といえばヘビメタも顔負けの様式美が当たり前の世界だが、深作監督はヤクザ映画で培ったノウハウを大量投下、千葉真一や松方弘樹、成田三樹夫に室田日出男といった「仁義...」の役者を配し(何と金子信雄まで出とるwww)、陰謀と裏切りの連続で観る者をグイグイ引き付け、迫力とスピード感に溢れた映画に仕上げている。その手法はまさに「仁義なき戦い」の時代劇版で、家光vs忠長の家督争いはさしずめ “小田原死闘篇” と言ったところか。
 私が「仁義なき戦い」のUS版ブルーレイ・ボックスを買った時にふと “他の深作映画もUS版出てへんかな~” と考え、真っ先に頭に浮かんだのが「仁義なき戦い」同様に数々の名セリフが飛び出すこの「柳生一族の陰謀」だった。早速eBayで検索してみるとアメリカ人に分かりやすい “Shogun's Samurai” というタイトル(副題は直訳の “The Yagyu Clan Conspiracy”)が付けられたDVDを発見、リージョン1なのが玉にキズだが$4.99という安値に釣られて即決。届いた盤はそのままでは観れないのでパソコンを使ってリージョンフリー仕様にシュリンクし、DVD-Rに焼いた。DVDのリージョンってホンマに鬱陶しいわ。
 この映画が封切られたのは私が高校生の時だったが、予告編のCMスポットで使われた秀逸なキャッチコピー「我につくも、敵に回るも、心して決めい」はめっちゃ流行ったように記憶している。DVDに特典映像として入っている Trailerで英語字幕を見てみると(←このセリフのシーンは予告編用に撮ったらしく、映画本編には出てこない...)“Take my side, or be my enemy... it's your decision.” となっていた。なーるほど、うまいこというなぁ...
 この映画の主役は柳生但馬守を演じる萬屋錦之介で、ラストの “これは夢じゃ。夢でござ~る!” を始めとしてその大仰なセリフ回しはこの濃すぎるぐらい濃いキャストの中でも一人だけ浮いている感が強い。私なんか逆にそのあたりに可笑しみを見い出して楽しんでいるが、やはり記憶に残るのはよろきんではなく私のお気に入りの役者たちが出てくるシーンだ。
 仁義なき戦いで強面のヤクザを演じた松方弘樹はこの映画では顔に醜いあざがあってしかもどもりというハンデを背負った徳川家光を熱演しているのだが、中でも一番印象に残っているのが謀略の限りを尽くしてついに将軍になった時に父親の遺影に向かって「親に逢うては親を殺し、仏に逢うては仏を殺す。」(I'll kill my parents if they stand in my way. I'll defeat Buddha if he interferes.)とドモリながら語りかけるシーン。その迫真の演技はさすがの一言で、一見の価値アリだ。まぁその直後に千葉真一扮する柳生十兵衛に首をハネられてしまうのだが...
 松方と同じく「仁義なき戦い」に出ていた成田三樹夫も私が大好きな役者さんで、そのザ・ワン・アンド・オンリーなキャラクターは主役を食ってしまうぐらい強烈なインパクトを残すことも多かったが(←服部刑事役で出ていた「探偵物語」では松田優作との絶妙な絡みは最高だった...)、何とここでは烏丸少将綾麿という剣豪の公家(←白塗りお歯黒でホホホと笑いながら武士たちを切りまくる姿はインパクト絶大!)を演じているのだ。JAC所属の志穂美悦子に向って、「去れ! 麻呂はオナゴを斬る剣は持たん。」(Go away, I won't kill girls.)と言い放つシーンも面白いが、やはり何と言ってもJACの親玉、千葉真一扮する柳生十兵衛との対決シーンでの「出ておじゃれ!... 姿は隠しても獣はニオイでわかりまするぞ。」(Come out!... Beasts smell even if they hide.)が一番好きでおじゃるよ(^_^)
 この二人以外ではカリスマオーラがハンパない三船敏郎や妖艶な美しさが際立つ大原麗子が良かったが、私的には徳川忠長役の西郷輝彦の意外な好演が一番の拾い物。西郷どんといえばどうしてもリズム歌謡御三家のイメージが強くて役者としてはまったく期待していなかったので、そのケレン味のない演技には感心させられた。特に駿府城での軍議の席で言い放った「もう遅い!... 手ぬるい!... 愚策!」(Too late! Passive! No good!)の3連コンボがめっちゃ気に入り、一時期職場でギャグとして使っていたほどだ。
 このように、ともすればマンネリ&ワンパターンに陥りがちな時代劇も深作監督が撮るとセオリーを無視した荒唐無稽なストーリー展開にグイグイ引き込まれ、ついつい時間の経つのを忘れてしまう。個々のシーンでも見どころが満載なこの映画、何回観てもホンマにオモロイわ(^.^)
Shogun's Samurai: The Yagyu Clan Conspiracy

Battles Without Honor And Humanity: The Complete Collection Blu-ray Box

2017-02-25 | TV, 映画, サントラ etc
 ビートルズのアナログ各国盤シリーズも一段落したので今回はガラリと趣向を変えて音楽から離れ、先月亡くなった松方弘樹の追悼に最近手に入れたブルーレイ・ボックスを取り上げようと思う。
 私は任侠映画の大ファンで古き良き東映黄金時代の諸作品から最新のVシネマまでほぼ欠かさず観ているのだが、これまで観てきた何百という任侠モノの中で私が最高傑作と信じて疑わないのが「仁義なき戦い」シリーズだ。そしてオールスター・キャストと言っても過言ではない超豪華な出演陣の中でも特に強烈なインパクトを受けたのが小林旭と菅原文太、そして当時若手の注目株だった松方弘樹だ。
 彼は5部作中の3作品にそれぞれ違った役柄で出演し、その3回ともに志半ば(?)にして殺されている。まさに “松方弘樹は3度死ぬ”(←007かよ...)というワケだが、それだけ深作欣二監督が彼の才能を高く買っていたということだろう。特に5作目の「完結編」で彼が演じた市岡輝吉のインパクトは強烈で、宍戸錠演じる大友勝利との絡みのシーンなんかもう最高だ。結局、彼は映画の真ん中あたりで殺されてしまうのだが、作品の途中で姿を消しても記憶に強く残る演技が出来るところに役者・松方弘樹の真骨頂があると思う。
 そんな彼の訃報は私にとっては大きなショックで、その週末は追悼のために「仁義なき戦い」を始めとして「修羅の群れ」「北陸代理戦争」「最後の博徒」「新・日本の首領」といった彼の代表作DVDを一気観。どの作品も文句のつけようのない名作だが、中でもやはり「仁義なき戦い」シリーズは異次元の素晴らしさだ。
 これらのDVDを観終わった後、ふと “大画面用にレストアしてブルーレイで出てへんかな...” と思いついた私(←去年観たシェア・スタジアム・ライヴのレストア版で味をしめた???)はすぐにアマゾンをチェック。シリーズ5作にボーナスディスクを加えた国内版ブルーレイ・ボックスを見つけたのだが、3万円はさすがにちょっと高すぎる。ヤフオクも似たようなモンで、既にDVDで持っている盤にそんな大枚を叩く気にはなれない。そこで国内がダメなら海外があるわいとeBayを覗いてみたところ、何とUS版のブルーレイ・ボックスが「Battles Without Honor And Humanity」というタイトルで出ているではないか! しかもありがたいことにリージョン・フリーで、何と英語の字幕付きらしい。あの強烈な広島弁のやり取りがどんな風に英語に訳されているのか、大いに興味をそそられるところだ。
 このUSボックスは2,500セット限定商品とのことで、発売から1年が経ちそろそろプレミアが付き始めているらしく、発売時は定価$100だったものが$250~$350ぐらいの高値で取り引きされていたが、ラッキーなことにたまたま$100の即決価格で出品されたブツを発見、送料込みでも国内版の半値以下で買える計算だ。私は迷わず買いを決めた。
 このボックスは第1作「仁義なき戦い」(Battles Without Honor And Humanity)、第2作「広島死闘篇」(Hiroshima Death Match)、第3作「代理戦争」(Proxy War)、第4作「頂上作戦」(Police Tactics)、第5作「完結篇」(Final Episode)の各巻がBlu-rayとDVD2枚組セット(共にリージョン・フリー)で、更に「総集篇」(The Complete Saga)Blu-ray 1枚が付いた13枚組セットになっており、日本語PCM音声に英語字幕が付いた美麗映像で深作欣二監督が作り上げた日本ヤクザ映画の金字塔を心ゆくまで堪能できる。
 ジャケットカヴァーはリバーシブル仕様になっており、表が描き下ろしオリジナル・イラストで、裏が日本公開時のオリジナル・ポスターという粋な作りになっているのもファンとしては嬉しい。更に「The Yakuza Papers」と題した全152ページのハードカヴァー・ブックレットまで付いており、各エピソードにおける人物相関図を始め、様々なエッセイやらインタビュー、そして貴重な写真が満載だ。
 映像は丁寧にレストアされており、大画面での鑑賞に十分耐えうるレベルまでグレードアップ。又、広島弁の英語訳も期待を裏切らない面白さで、“へぇ~、このセリフがそんな英語になるんか...” と大いに楽しませてもらった。松方絡みのセリフで特に印象に残ったものを挙げてみると...
①1作目、山守組若頭・坂井(松方)が山守親分(金子信雄)を恫喝するシーン
「あんたは初めからワシらが担いどる神輿じゃないの。組がここまでなるのに誰が血ぃ流しとるの?神輿が勝手に歩けるいうんなら歩いてみいや!」
(You're just the palanquin. We've always done the heavy lifting. Who shed the blood to get us here? You think you can make it on your own, palanquin?)
仁義なき戦い 名言「神輿が勝手に歩ける言うんなら歩いてみいや 」

②5作目、敵対関係にあった大友勝利(宍戸錠)と市岡輝吉(松方)が兄弟盃を交わすシーン
「お互い分のある縁組みじゃけぇ、受けてもエエんじゃないですか」
(If this marriage can benefit us both, why not go along with it?)
「そらぁエエがのぉ、市岡、オマエ盃ゆぅモンを軽う見とりゃせんか?牛の糞にも段々があるんでぇ。おどれとワシが五寸か? 軽う見んな!」
(Fine, Ichioka, but aren't you taking the vows of brotherhood too fucking lightly? Even cow shit has different grades, you know. Are you saying you and I are equals? Don't insult me!)
仁義なき戦い 名セリフ 完結篇「牛の糞にも段々があるんで、おどれとわしが五寸かい」

③同じく5作目、敵の縄張を荒らしに乗り込んできた市岡輝吉組長(松方)が若い衆を煽るシーン
「オゥ、オマエら、かまわんけぇ、そこらの店、ササラモサラにしちゃれい!」
(Scatter into the shops around here and have yourselves some fun.)
仁義なき戦い 名セリフ 完結篇「そこらの店ササラモサラにしちゃれい」

 私はこの「ササラモサラ」という言葉の響きが大いに気に入り(←“メチャクチャ”っていう意味の広島弁か?)、昔気質のイケイケドンドンなヤクザを演じる松方の怪演と相まって忘れられないシーンになっているのだ。去年出たVシネマ作品でも有象無象の共演者たちが霞むような圧倒的な存在感で、まだまだこれからも楽しませてくれるだろうと思っていただけに彼の死は本当に残念だ。ここに心よりご冥福を祈りたいと思う。
 尚、松方以外では、1作目のラストで菅原文太が放つ名セリフ「山守さん、弾はまだ残っとるがよう...」(Yamamori, I've still got some bullets left...)があまりにも有名だ。
仁義なき戦い 名言「弾はまだ残っとるがよう 」

又、日本映画史上屈指の名シーンと私が信じる小林旭vs 梅宮辰夫(4作目)の火の出るような言葉の応酬...
小林:「広島極道はイモかもしれんが、旅の風下に立ったことはいっぺんもないんで。神戸のモンいうたら猫一匹通さんけん、おどれら、よぉ覚えとけや!」
(We may not be very sophisticated here in Hiroshima, but we never let visitors stand upwind of us. We won't let so much as a cat get through if he's from Kobe. Don't forget that!)
梅宮:「よぉし。おんどれらも吐いた唾、飲まんとけよ。ええな。わかったら、早よ いね!」
(Fine. You guys take care your spit doesn't blow in your own faces. Got that? Now get out of here!)
... は何度聞いても鳥肌が立つくらいスリリングだ。やっぱり東映の任侠路線は最高じゃのぉ...(^.^)
仁義なき戦い 名セリフ 頂上作戦 「広島極道は芋かもしれんが旅の風下に立ったこたぁいっぺんもないんでぇ」

大ショック! レナード・ニモイ氏死去

2015-03-01 | TV, 映画, サントラ etc
 昨日、ポールのチケットが取れてルンルン気分でヤフーのトップ・ニュース欄を見ていたら衝撃的なタイトルが目に飛び込んできた。 “NASAや大統領、スポック追悼” という記事である。スポック追悼って、もしかしてレナード・ニモイ氏が亡くなったのか??? 慌ててそのタイトルをクリックすると、そこには “ミスター・スポックのレナード・ニモイさん死去” とある。うわー、コレは大ショックだ。大好きなスポックが亡くなったなんて...
「ミスター・スポック」のレナード・ニモイさん死去(15/02/28)


 私は熱狂的なトレッキー(←スタートレック・ファンのこと)であり、スタトレ全シリーズ中で最も好きなキャラが「宇宙大作戦」という邦題が付けられていた初代シリーズでエンタープライズ号副長兼科学主任を務めるスポックだった。一般ピープルがスタトレと聞いてまず最初にイメージするのはエンタープライズ号でもカーク船長でもなく、ニモイ氏が演じる “耳の尖ったバルカン人” ではないか? とにかくこのスポックというキャラのインパクトは強烈で、熱しやすくて感情的なカーク船長よりも常に冷静で論理を重んじるスポックの方に強いシンパシーを感じながらスタトレにのめり込んでいった。
宇宙大作戦 日本版オープニング


 感情がなく常に論理に従って行動するという “コンピューターのように非人間的” なキャラはその後のスタトレ・シリーズにおいても必要不可欠な存在となり、「新スタートレック」のデータ少佐(アンドロイド)、「ディープ・スペース・ナイン」のオドー(流動体生物)、「ヴォイジャー」のセブン・オブ・ナイン(元ボーグ)など、彼らがいなければエピソードそのものが成立しないのではないかと思えるぐらい魅力的なキャラが作られていったのだが、そのルーツこそがレナード・ニモイ氏演じるスポックだった。
 ニモイ氏はあまりにもスポックがハマり役だったので私はいつしか彼をスポックと同一視してしまっており(←ちょうどピーター・フォーク=コロンボ、田村正和=古畑任三郎みたいな感じです...)、ニモイ氏もバルカン人なみに長寿(←ドラマではバルカン人の寿命は200歳以上という設定)なんだと勝手に思い込んでいたのだ。彼の死は私にとってジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、そしてアイルトン・セナに次ぐ衝撃度だったと言えばそのショックの大きさが分かってもらえるだろう。
 スポック絡みの名シーンは数えきれないぐらいあるが、非常に印象に残っているものの一つが映画版「スタートレックⅡ ~カーンの逆襲~」で自らを犠牲にして艦を救うシーンだ。異変に気付いて駆け付けたカーク船長とのやり取り “Don't grieve, Admiral. It is logical. The needs of the many outweigh...” “... the needs of the few” “... or the one.” はSF映画史上屈指の名シーンだろう。スタトレ以外では刑事コロンボの傑作「溶ける糸」でのメイフィールド医師役が印象に残っている。スポック・ファンとしては帝人のCMも忘れられない。
Spock's Death and Funeral

【CM 1991-92】TEIJIN 企業CM 30秒×5


 スポックを語る上で外せないのがバルカン式挨拶「長寿と繁栄を」(Live long and prosper)だが、享年83歳ということでニモイ氏は長寿を全うされたと言えるかもしれない。確かにファンとしてはめちゃくちゃ悲しいが、スポックなら多分 “死は万人に等しく訪れるもの。悲しむのは非論理的です。” と言うだろう。ひょっとすると今頃はあの世でドクター・マッコイ役のデフォレスト・ケリー氏とロミュラン・エールでも酌み交わしながら昔話に花を咲かせているかもしれない。
R.I.P. Spock. Your memory will live long and prosper...

Spock - McCoy banter and friendship Part 1
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魔女の宅急便

2012-03-30 | TV, 映画, サントラ etc
 先日新しい勤務先に挨拶に行ってきた。調書を書いた後でそこの所長との顔合わせがあり色々と話を聞かされたのだが、この所長、物事の考え方がめっちゃ堅苦しくってまるで霞が関の官僚そのもの。職員の管理も厳しそうだ。アンタはロボット長官か! ハッキリ言って一番嫌いなタイプの人間である。私はこれまで数回転勤を経験しているが、こんなにネガティヴなファースト・インプレッションは初めてだ。たとえ遠くてもこれなら前の職場の方がずっとお気楽で良かったなぁ。まぁ所長は超ウザいが、一緒に働くことになる同僚の方々がどうか良い人達でありますように...
 そんなこんなで結構ブルーな気分で仕事の引き継ぎや荷物の整理に追われた1週間だったが、凹んでいる私を見かねたのか、昨日仲良しの同僚 O ちゃんがプレゼントだと言って大きな袋を持ってきた。開けてみると何とジブリ映画「魔女の宅急便」に出てきた私の大好きな黒猫キャラ “ジジ” のぬいぐるみではないか! 私はジブリ・キャラの中でも特にトトロとジジが大好きで、それを覚えていて元気づけようとしてくれた彼女の気配りに大感激(≧▽≦) “持つべきものは友” とはよくぞ言ったものだ。この感謝の気持ちをブログにも刻み込んでおきたいので、今日は「魔女の宅急便」にしよう。
 私は2年前まではジブリといえば「となりのトトロ」しか知らないトーシローだったのだが、そんな私に他のジブリ映画も見るように勧めてくれたのが他でもない O ちゃんだった。もし彼女がいなかったら私は今も「ナウシカ」や「ラピュタ」、「千と千尋」の素晴らしさを知らずに生きていたかもしれないし、「魔女宅」のジジにハマることもなかっただろう。しかも映画を体験して音楽と映像がリンクすることによって楽曲のイメージがより鮮明になり、オリジナル・サントラだけでなく様々なジブリ・カヴァー・アルバムの楽しみも大きく広がった。そういう意味で、私を本格的にジブリの世界に引き込んでくれた彼女にはいくら感謝しても足りない。
 映画「魔女の宅急便」のサントラ盤であるこのアルバムには久石譲氏によるオリジナル・スコア19曲と、挿入歌として使われたユーミンの2曲が収録されている。久石オリジナルでは何と言っても③「海の見える午後」が圧倒的に素晴らしい!!! その哀愁舞い散る旋律の美しさはまさに絶品で、天才的なメロディー・メーカーとして数々の名曲を生み出してきた久石譲氏の作品中でも屈指の名曲と言っていいと思う。③以外ではラグライム風なアレンジが剽軽な雰囲気を出していて面白い⑦「身代りジジ」やダイナミックなオーケストレイションで盛り上がる⑱「おじいさんのデッキブラシ」が気に入っている。
 ユーミンの2曲は共に今更何の説明も不要な邦楽史上屈指の大名曲。⑳「ルージュの伝言」は1975年にリリースされたユーミン5枚目のシングルで、私なんかドラムスによるフェイド・インから始まるイントロを聴いただけでテンションが急上昇! 弾けるようなキーボードが演出するウキウキワクワク感に満ちた軽快なノリで一気呵成に突っ走るところが最高で、晴れた日のドライヴのBGMなんかにもピッタリだろう。山下達郎、大貫妙子、吉田美奈子、伊集加代子という超豪華な顔ぶれのバック・コーラスも圧巻だ。
 (21)「やさしさに包まれたなら」は1974年にリリースされたユーミン3枚目のシングルで、この曲にはシングルとアルバムの2つのヴァージョンが存在する。映画で使われたのはアコースティック・ギターのクリスプなリズム・カッティングとアルペジオが実に爽やかな味を出しているアルバム・ヴァージョンの方で、シングル・ヴァージョンよりもやや速めのテンポ設定が功を奏して名曲度が更にアップした感じ。ペダルスティール・ギターがカントリー・フレーバーを添えているところも◎だ。
 この曲は歌詞が又素晴らしく、 “小さい頃は神さまがいて 毎日愛を届けてくれた~♪” のラインなんかたまらなく好きだし、 “やさしさに包まれたなら 目に映る全てのことはメッセージ♪” なんてめっちゃ深い。そんな歌詞とユーミンのハートウォーミングなヴォーカルが絶妙にマッチして、心にポッと灯がともるような癒し系ナンバーに仕上がっているのだ。凹んでいる時でもこの曲を聴くと頑張れそうな気になってくるから音楽って素晴らしい。よっしゃ、4月からも頑張るぞー(^o^)丿  O ちゃん、ホンマにありがとうね。

魔女宅詰め合わせ: ルージュの伝言 ~ 海の見える午後 ~ やさしさに包まれたなら


松任谷由美 with All Stars ~ やさしさに包まれたなら
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仮面の忍者赤影・ミュージックファイル

2012-03-25 | TV, 映画, サントラ etc
 一昨日、転勤の内示を受けた。この2年間というもの、ひたすら遠距離通勤に耐えてきたのだが、やっとのことで北部に復帰だ。これで一車線の追い越し禁止道路をどんくさいダンプカーの後ろでイライラしながら走らされる悪夢から解放されると思うとヤレヤレなのだが、その一方で、仲良くなった同僚たちとの別れはやはりツライものがある(>_<) サムがオーストラリアに帰ってしまった後は音楽の話が出来る友人はいなくなってしまったが、一緒に仕事をする人たちには恵まれていて、特に私と息もピッタリでこれまで組んだ中で最高の相棒だった A ちゃんや、パソコンで私がトラブるたびに助けてくれた ITマイスターの I さん、そして同時期に北部から飛ばされてきて一緒に頑張ってきた O ちゃんとはいつもつるんでいたので、この3人に会えなくなるのが何よりも淋しい。
 そう言えばつい先日も私が所属する部署の年度末の打ち上げがあって非常に楽しいひと時を過ごせたのだが、宴の半ばあたりから話題が私の大好きな “昭和” の思い出話になり、自分より年上の人達とは西田佐知子やいしだあゆみといった昭和歌謡ネタで、同年代の人達とは当時のテレビ番組ネタで大いに盛り上がった。中でも予想以上に大きな反応があったのが「仮面の忍者赤影」ネタで、私が親指を鼻に当ててクリッとやりながら青影の “だいじょ~ぶ” で口火を切ると、ほぼ反応ゼロに等しい女性陣にはお構いなしに(笑)エエ齢したオッサンたちが大騒ぎ... 白影の “あかかげどのーーーッ!” やら甲賀幻妖斎の “あ か か げ ぇ ~” といったモノマネが飛び交うという実にオモロイ宴会だった (^.^)
 この「仮面の忍者 赤影」は私が子供の頃に見ていた忍者モノの特撮時代劇で、戦国時代という設定にもかかわらず、空飛ぶ円盤を始めとするハイテク兵器はガンガン登場するわ、巨大ロボットやら怪獣やらが大暴れするわという何でもアリのハチャメチャ感が面白かった。
 赤影役の坂口祐三郎さんは文字通り “涼しい目” をしたイケメン俳優で(←当時の役者さんって今とは違って美男美女率が異常に高い...)例の “赤影参上” の登場シーンなんかめちゃくちゃカッコ良かったし、青影の “だいじょ~ぶ” のモノマネも仲間内で流行っていた。しかし何よりも一番よく覚えているのは白影の登場シーンで、凧に乗って現れる時に何故いつもサイレンが鳴るのかが子供心にず~っと気になっていた(笑)
 あと、印象に残っているのが敵役の甲賀幻妖斎に扮した天津敏さんの名演技で、第一部金目教篇と第二部卍党篇ではビビりながらもその圧倒的な存在感に魅かれて毎週テレビに釘付けになっていた。第三部根来篇では京の町で暴れる巨大カブトムシと大ムカデの闘いのシーンがインパクト大だったし、第四部の魔風篇では雷丸に扮した汐路章さんのコミカルな演技が大好きだった。
 それと、番組の冒頭で毎回流れたオープニング・ナレーションも忘れられない。もちろんまだ子供だったので “豊臣秀吉がまだ木下藤吉郎だった頃...” とか “悪大将 夕里弾正の反乱を知った織田信長は...” とか言われても私には何のこっちゃだったが、オープニングの「忍者マーチ」はこのナレーションの名調子に導かれるように始まらないとしっくりこない。その辺はちょうど「大江戸捜査網」に “隠密同心、それは...” で始まるナレーションが不可欠なのと同じである。
 とまぁこのように役者の演技もオープニング・ナレーションも印象的だった「赤影」だが、それにも増して素晴らしかったのが劇中で使われていた音楽だ。中でも私が好きなのが戦闘シーンでよく流れていた「白影のテーマ」で(←なぜか白影の立ち回りよりも赤影の空中戦の時に多用されていた記憶があるが...)、これほどアグレッシヴでポジティヴな高揚感に満ち溢れた曲はそうざらには無いだろう。とにかくその血湧き肉躍るような曲想といい、ワクワクするようなホーンセクションのユニゾンといい、絶妙なタイミングで炸裂するスネアのリムショットといい、単なる “子供向け特撮番組の挿入曲” として片付けてしまっては勿体ない名曲名演だ。ドライブのお供にもピッタリなので、車好きの方は是非とも高速コーナリング時の BGM としてご活用下さい。アクセルペダルを踏む右足に思わず力が入ること請け合いです。一般車スラロームにも超オススメ(^o^)丿
 「赤影のテーマ」も忘れてはいけない。もちろん歌入りヴァージョンも懐かしくてエエのだが、この曲は何と言ってもインスト・ヴァージョンが絶品で、歌が入っていない分余計に躍動感溢れるブラス・バンド・サウンドが際立っていてめちゃくちゃカッコイイのだ。先の「白影のテーマ」もそうだが是非とも大きなコンサート・ホールで、本格的なビッグ・バンドによる大迫力の演奏で聴いてみたいと思わせる珠玉の名曲だ。
 この「仮面の忍者赤影・ミュージックファイル」には、ここに挙げた “赤影三大名曲” を始め、このシリーズの音楽全般を手掛けた小川寛興氏の名スコア・名アレンジがいっぱい詰まっており、特にバス・フルートの独奏による「赤影のテーマ」なんかもう鳥肌モノの素晴らしさだし、ユーモラスな「青影のテーマ」も様々なヴァリエーションで楽しませてくれる。私と同世代の赤影マニアはもちろんのこと、オリジナル・サウンドトラックという概念を超えた昭和メロディーの名曲集として、リアルタイムで赤影を知らない世代の人でも楽しめそうな逸品だ。それにしても1960年代後半から1970年代前半にかけてのテレビ主題歌やコマソンってホンマに曲のクオリティーが高いなぁ...(≧▽≦)

白影のテーマ


赤影のテーマ


仮面の忍者赤影OP(ナレーション入り)
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Airwolf Themes

2011-11-02 | TV, 映画, サントラ etc
 shoppgirl姐さんからいただいたコメントをきっかけに軽~い気持ちで取り上げたテレビ主題歌盤だったが、「キイハンター」→「プレイガール」→「時代劇主題歌」と回を重ねるうちに段々本気になってきて(←いつもこのパターンやな...)、とうとう自家製コンピ盤 CD-R まで作ってしまった。題して「TV ヒッツ・コレクション《日本編》」。上記の番組に加えて「ザ・ガードマン」や「ウルトラQ」、「ルパン三世」から「松田優作の探偵物語」に至るまで、私がまだバリバリのテレビっ子だった60~70年代に親しんできた古き良きテレビ主題歌をギュッと詰め込んだ超パーソナルな1枚だ。
 最近では森山加代子や黛ジュンに混じって通勤時のドライヴ BGM として愛聴しているのだが、《日本編》を作ったら《海外編》も作りたくなるのが人情というもの。カセット時代はオムニバス・テープ(←懐かしいなぁこの言葉...)を作って楽しんでいたが、CD-R の海外ドラマ・コンピ盤はまだ作っていない。ということで早速選曲に取り掛かったのだが、70~80年代の海外ドラマ主題歌はどれも皆クオリティーが高く、「スタートレック」シリーズを始めとして「ダラス」、「ナイトライダー」、「バビロン5」など、《日本編》に負けず劣らず充実した内容の盤に仕上がった。そんな名曲群の中でもとりわけ素晴らしいのが「超音速攻撃ヘリ・エアウルフ」のテーマ曲だ。
 この番組は1987年頃に読売テレビで毎週水曜の夜にレギュラー放送していたのを見て大ファンになったのだが、当時は地上波のゴールデンタイムでも海外ドラマを放送しており、月8の「ナイトライダー」と水9の「エアウルフ」は何があろうと欠かさずテレビにかじりついて見たものだった。ケーブルテレビに加入後はスーパーチャンネルで全エピソードを完全制覇、今ではバリバリのエアウルフ・マニアだ。
 ストーリー展開は、東西冷戦時代の米ソ・スパイ戦を背景に超音速攻撃ヘリ・エアウルフが活躍して毎回毎回アメリカ側が勝利するという勧善懲悪ワンパターンものだったが、私としては KGB がスベッただの、ナチスがコロンだだのといった筋書きはどうでもよく、要するにエアウルフが縦横無尽に暴れ回って最後には敵機を撃墜するシーンが見れればそれで大満足だった(←単純)。特に好きだったのがエアウルフ高速飛行中のハウリング音で、このクォォォーン!という飛行音を聞かないとエアウルフを見た気がしない。ターボを吹かして猛スピードで加速するシーンや地上スレスレを高速飛行するシーンなんか最高にカッコ良かったし、ホークのヘルメットのバイザーが下りてターゲット・ロックオンした時のオレンジ色の照準点(←マニアックな話ですんません...)が表示されるところなんか何度見てもゾクゾクする。赤外線追尾式ミサイルを引き付ける太陽弾ことサン・バーストも他では中々見れない斬新な武器だった。
 そんな「エアウルフ」だが、戦闘シーンだけでなくオープニング・テーマ曲のカッコ良さもハンパない。私は基本的にシンセサイザーの音色はあまり好きではないのだが、こういう使い方なら大歓迎(^o^)丿 イントロからしてグッとくるモノがあるし、躍動感溢れるテーマ・メロディーにはウキウキワクワクさせられる。超音速ヘリの名に恥じないそのドライヴ感は圧巻の一言だ。私なんかこの曲を聴くたびに大空を飛び回るエアウルフの雄姿が瞼に浮かび、相乗効果でアドレナリンが逆流して “よっしゃ、一丁やったろか!” と心が奮い立つ、まるでユンケルみたいな1曲なのだ。
 この「エアウルフ・シームズ」という2枚組CDは、1999年にマークJケアンズという筋金入りエアウルフ・マニアが版権元より権利を得て1000枚限定(!)で自主制作したアルバムで、私のはヤフオクでゲットした1,000円のブート盤だが、正規盤はイーベイでは超高値で取り引きされ、ウィキペディアによると2006年には $981.74 (当時のレートで約11万円!!!)という鬼のようなプレミア価格で “最も高価なテレビ・サントラ盤” の新記録を作ったというから凄まじい。因みに今では MP3 でウェブサイトからのダウンロード販売になっているようだ。
 とにかくエアウルフ・ファンにとっては垂涎モノのこのアルバム、車の運転中に聴いたら間違いなくアクセルを床までベタ踏みしたくなること間違いなし。目の前をマイペースでトロトロ走る迷惑車にはミサイルでもブッ放したくなるが(笑)、ストリングフェロー・ホーク気分でカッ飛ばしたい時のお供にはピッタリの1枚だ。

Airwolf Season 3 Intro HD


Airwolf Briefing


【おまけ】凄いなこの職人さん... まるで本物みたい(゜o゜)
Airwolf VS Knight rider: エアーウルフ対ナイトライダー