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shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

超絶ノンストップ・バイオレンス映画「バレリーナ」

2025-08-31 | TV, 映画, サントラ etc

 「バレリーナ」を観に行ってきた... と言ってももちろんクラシック・バレエではない。「ジョン・ウィック」シリーズのスピンオフ作品として先週公開されたばかりのアクション映画のことだ。このブログでこれまで何度も取り上げてきたように、私は一連の「ジョン・ウィック」作品が大好き。このシリーズの一番の魅力はリミッター解除というか、とにかく戦闘シーンのインパクトに全振りした思い切りの良さにあると思うのだが、ほとんどゲーム感覚で次々と敵を倒していく爽快感は筆舌に尽くしがたい。
 シリーズの原点と言うべき「ジョン・ウィック」では銃器とカンフーを組み合わせた “ガン・フー” と呼ばれる独特の戦闘スタイルが中心だったものが、「2」「3」「4」と回を重ねるごとに武器のヴァリエーションが増えて戦闘シーンも過激になってきており(←「4」で焼夷弾を人間相手にぶっ放したのは凄かった...)、今回の「バレリーナ」もハンパない暴力シーンがてんこ盛りで、女性が主人公のスピンオフ作品だからと甘く見てたらブッ飛ぶこと間違いなし。映画本編はちょうど2時間くらいだったが、中だるみするようなシーンがほとんどなかったせいもあってか、エンディングを迎えた時に “えっ、もう2時間経ったんか?” という感じで、時の経つのも忘れてスクリーンに引き込まれてしまった。
 本家の「ジョン・ウィック」と同様に、この「バレリーナ」もヴァラエティーに富んだ多彩な武器を使った戦闘シーンが次から次へと出てきて一瞬たりとも目が離せない。「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」で注目され、最近ではトム・クルーズとの手繋ぎデートで話題のアナ・デ・アルマスが演じる主人公のイヴが、襲ってくる敵とのフィジカル差をものともせずに、武器として使えそうなものは何でも手当たり次第に利用して暴れまくるところがめちゃくちゃインパクト大。渾身の力を込めて倒れた相手の股間を踏みつけるわ(←下からの股間撃ちもヤバかった...)、銃に包丁をガムテープでグルグル巻きにして撃って刺してやりたい放題するわ、スケート靴を手にはめてブレード部分で切りつけるわと、まぁ数え上げたらキリがないが、そんな中でも一番気に入ったのは、敵の口の中に手榴弾を突っ込んでそのまま鋼鉄製のドアで挟んで爆死させ、挙句の果てにはもう面倒くさいとばかりに手榴弾の詰まったケースごとブン投げて大爆発させるというシーンで、ハッキリ言って“狂犬”のような暴れっぷり(笑)なのだ。父親を殺された怒りを倍返しで敵にぶつけるその闘いっぷりは、まさに「この女、凶暴につき」という言葉がピッタリの熱演で、目の前で姉を爆殺されてブチギレた彼女が乗り込んできた敵を日本刀でメッタ刺しにするシーンなんかもう痛快そのものだった。
Ballerina Destroys A Town Full Of Assassins Scene | BALLERINA (2025) Movie CLIP HD

 どんな態勢から撃ってもワイアット・アープみたいに眉間に一発で仕留めたりとか、斧を投げたら必ず脳天にぶっ刺さるとか、良い意味でのジョン・ウィック・ワールド全開でエンタメに振り切っているところが見ていてめっちゃ楽しいのだが、特にラストの火炎放射器バトル・シーンなんかはそこまでやるか!という凄まじさで、世界屈指の美女が撃って、殴って、蹴って、斬って、刺しまくるだけでも凄いのに、火炎放射器までぶっ放して敵を燃やし尽くすという地獄絵図にはもう笑うしかない。途中イヴが放水ホースに持ち替えて “火炎放射器vs放水ホース” という前代未聞の戦いが始まった時には “よぉこんなアイデア思いついたなぁ...” と心底感心させられた。
火炎放射器だけで106人キル!ジョン・ウィックのガン・フーに続く炎・フーほか3連フー!映画『バレリーナ:The World of John Wick』特別映像

 キアヌ演じるジョン・ウィックが登場して「パラベラム」で彼がルスカ・ロマの劇場を訪れたシーンが別アングルで出てきた時は、本編と見事にリンクさせたストーリー展開の巧妙さに感心させられたが、ラストでジョンに戦いを挑もうとする教団メンバーに対して仲間が言った「死にたいのか、相手はジョン・ウィックだぞ」というセリフからもわかるように、この映画におけるジョン・ウィックは戦闘シーンそのものよりもその圧倒的な “存在感” でもって狂言回し的な役割を果たしているように思えた。
 又、ニューヨーク・コンチネンタルの支配人ウィンストン(←イアン・マクシェーンってホンマにエエ味出してるなぁ...)やシャロン(←演じてるランス・レディックさんが一昨年に亡くなられてこの映画が遺作になってしもうた...)、そしてルスカ・ロマの女ディレクターといった、本編の登場人物が続々と出てくるのもシリーズのファンとしては嬉しいところだ。特にイヴの復讐を見届けたジョンがその場でこの女ディレクターに電話して交わした“It’s done.(終わった)”“So she is dead?(彼女は死んだの?)”“HE is dead.(彼が死んだ)” というやり取りがめっちゃクールでカッコ良かった。
 この映画は基本的にバイオレンス満載で結構えげつない描写のオンパレードなのだが、その一方で笑えるポイントが随所に散りばめられているおかげでエグさが上手く中和され、R指定でありながらもマンガ感覚で面白おかしく観れるところがいい。例えばイヴがカルト教団の本拠地のハルシュタット村(←村人全員が殺し屋で、事が起こると老若男女みんなが銃を持ってゾロゾロ出てくるのにはクッソワロタwww)に単身乗り込んでいくシーンで、最初にダイナーに入った時にそれまで食事していた親子連れがヤバそうな空気を察知してそそくさと出ていくのだが、いざ戦闘が始まるとさっき出て行った母ちゃんが武装して戻ってきたりとか、そのダイナーの女主人(←この人ももちろん殺し屋)と床に散らばった皿で頭をどつき合うところとか(←めっちゃコミカルでまるでコントでも観てるみたいだったwww)、作り手側の遊び心が伝わってきてめっちゃ笑わせてもらったし、イヴがプラハ・コンチネンタルのパインの部屋で襲ってきた女殺し屋をテレビのリモコンでメッタ打ちしてるシーンでは、殴るたびに後ろのテレビ画面のチャンネルが変わっていくという芸の細かさにニヤリとさせられた。
Ballerina (2025) | Eve vs Female Assassin Fight Scene

 とまぁこのように見所満載で大満足の「バレリーナ」だったが、ただ一つ物足りなかったのはイヴの敵のインパクトがイマイチ弱かったこと。ジョン・ウィック・シリーズ「1」のヴィゴ・タラソフ、「2」のサンティーノ・ダントニオ、「3」の女裁定人、そして「4」のグラモン侯爵のような憎たらしさというか、視聴者のヘイトを溜めまくって “コイツ絶対に許せへん!” と感情移入させるくらいのラスボス感がこのカルト教団にはあまり感じられなかったのだ。せめて主宰の部下にアクの強いキャラが一人でもいればラストがもっと盛り上がったのではないかと思うのだが...
 ルスカ・ロマからの依頼でイヴを阻止しにやってきたジョンがイヴに真夜中まで28分間の猶予を与えたところはウィンストンがジョンに1時間与えた「ジョン・ウィック・チャプター2」の浪花節的な展開を思い起こさせるし(←“They killed my father!”と叫ぶイヴを見て、愛犬を殺されて復讐の鬼と化した昔の自分を思い出したような何とも言えない表情を浮かべるキアヌの名演が光る!)、イヴの首に$500万の懸賞金がかけられて劇場の観客たち(←みんな殺し屋www)の携帯電話が一斉に鳴り出すシーンも「チャプター2」のラストの公園のシーンと被ってくる。
 ここからは私の希望的観測だが、この映画の続編として「バレリーナ2」が作られて、そこで「ジョン・ウィック・パラベラム」のように殺し屋たちに追われるイヴと、彼女に娘を救ってもらったダニエル・パイン(←死んだはずが実は生きていたというのは次回作への伏線か???)がそこに何らかの形で絡んでいく物語が描かれるんじゃないかと、何となくそんな気がしている。
 今回はイオンシネマの半額サービス・デイをハシゴして今週だけで2回観たが、日本版ブルーレイが出るのは早くて半年後くらいだろうからとてもじゃないが待ちきれないので、「ジョン・ウィック4」の時と同じくUSアマゾンで来週発売予定のブルーレイをプレ・オーダーしてしまった。「ジョン・ウィック4」と言えば、ドニー・イェンが演じる盲目の殺し屋ケインを主人公にした作品も製作中らしいのだが、まぁ何にせよ、スピンオフも含めてどんどん広がっていくジョン・ウィック・ワールドの今後が大いに楽しみな今日この頃だ。
Ballerina (2025) Kill Count

必見! ジェイソン・ステイサム最新作「ビーキーパー」

2025-08-24 | TV, 映画, サントラ etc

 私は単純明快でわかりやすいストーリーのアクション映画が大好きだ。わかりやすいといえば何と言っても “舐めてた相手が実は殺人マシーンでした” 的な “ナーメテーター” 系が一番で、「ジョン・ウィック」のキアヌ・リーブスを筆頭に「イコライザー」のデンゼル・ワシントンや「96時間」のリーアム・ニーソンなど、バケモノ級の強さを誇る元特殊工作員や引退した殺し屋の主人公の平穏な暮らしをそうとは知らずにぶち壊してしまった巨悪組織がボッコボコにやられるという痛快な展開に快感を覚えるのだ。
 そんなアクション映画の王道ともいえるリベンジ・ストーリーと、私の大好きなジェイソン・ステイサムという、これ以上ない組み合わせが楽しめるのがこの「ビーキーパー」だ。ストーリーは “養蜂家として静かに暮らす元凄腕工作員が、自分に親切にしてくれた老婦人を騙して死に追いやった特殊詐欺グループ(←パソコンに疎い老人を狙ったネット詐欺犯罪というのが今という時代を反映していて興味深かった...)を徹底的に追い詰めて叩き潰す” という絵に描いたような勧善懲悪ものなのだが、とにかくステイサムが無敵の強さで詐欺グループのビルにガソリンをまいて爆破したりとか、FBIやCIA、元特殊部隊の連中を手玉に取って蹴散らしたりとか、観終わった後の爽快感がハンパないのだ。
 この映画はミツバチ養蜂家のステイサムがスズメバチの巣を電撃で駆除するシーンから始まるのだが、本編で “社会の害虫” と呼ぶべき特殊詐欺グループを “駆除” していく姿を暗示しているところが実に上手い演出だ。ほぼノンストップでテンポよく小気味良いアクション・シーンが続き、観ている方としては “もっとやったれ! ギッタギタにしたれ!” とテンションが上がりまくり、壊滅した詐欺集団の姿を見て思いっ切り溜飲が下がるという理想的な展開になっており、やっぱりアクション映画はこうでなくっちゃ!と思ってしまう。それと、ジェレミー・アイアンズ扮する元CIA長官がビーキーパーと聞いただけで震えあがるという構図には、「コマンド―」で “ジョン・メイトリックス” という名前を聞いた傭兵たちが、「暴走特急」「沈黙の戦艦」で “ケイシー・ライバック” という名前を聞いたテロリストたちが、そして「ジョン・ウィック」でバカ息子が “ババヤガ” を怒らせたと知ったロシアンマフィアのボスがビビりまくるシーンを思い出してニヤリとさせられた。
ジェイソン・ステイサムが次は最強“養蜂家”!映画『ビーキーパー』予告編

 詐欺グループ拠点に単身で乗り込んでそのコールセンターが入っているビルごと爆破したり、ガソリンスタンドで自分の後任である現役ビーキーパーを返り討ちにして火の海に沈めたりという前半だけでもおなか一杯という感じだったが、難攻不落の要塞と化したアメリカ大統領の私邸に侵入して諸悪の根源というべきバカ息子を仕留める後半に至ってはもうマンガの世界といってもいいくらいの大暴れで、大袈裟ではなく “ワンマン・アーミー” ゴルゴ13が不可能と思える仕事を冷静沈着に遂行していく姿とステイサムがダブって見えるほどの無双っぷりだった。
 ただ、自殺した母親の実の娘である女FBIが “私は法を守る” とか甘っちょろいことをブツブツほざきながらステイサムを止めようとするところは正直白けてしまう。せっかくテンポよく進んでいた復讐劇に水を差しかねないこのウェット・ブランケット女の言動に“引っ込んでろ!” と文句の一つもいいたくなってくるのだ。ステイサムを追う同僚のFBIが法の順守云々を言うのならまだわかるが、実の母親を殺された彼女がなぜカタキを討ってくれるステイサムの向こうぶちに回るのかが納得いかなかったし、そのせいで幕切れがイマイチすっきりせず、復讐を終えた後のカタルシスをあまり感じられなかったところが残念だった。
 不備だらけの法令遵守に拘泥している限り正義は守れない!というステイサム流コンプライアンスに私は激しく同意する。だから映画の中でステイサムが問いかける “法律とは? 正義とは?” というテーマは被害者の無念よりも “加害者にも人権” などというタワゴトが堂々とまかり通る現代社会に対する強烈なアンチテーゼとして激しく胸を打つ。ステイサム無双作品として三指に入るこの「ビーキーパー」は「ジョン・ウィック」や「イコライザー」のように是非ともシリーズ化してほしい痛快無比な作品だ。
THE BEEKEEPER All CLIPS + Trailer (4K ULTRA HD) 2024

映画「F1(エフワン)」を観に行ってきた

2025-07-19 | TV, 映画, サントラ etc

 一昨日、いつものように仕事の休憩中にネットを見ていたら例のブラッド・ピット主演の映画「F1/エフワン」の記事が目に留まった。ここのところず~っとB’zのUNITEで浮かれていた私はこの映画のことをすっかり忘れていたのだが、何でも先月封切りされて世界中で大ヒット中とのこと。その日はたまたまいつも行く郡山シネマサンシャインが700円引きで観れるサービスデイだと気付いた私は仕事帰りに映画館に直行することにした。
 この映画の一番の話題は何と言ってもブラピことブラッド・ピット主演ということのようだが、私はブラピを名前こそ知ってはいたが出演している映画はおろか、顔すら知らない。去年ドジャースタジアムで行われたパドレスとの地区シリーズの観客席でドジャーズのチームタオルを振り回して熱狂してたバケットハットのおっさんというイメージしかないのだ。私がこの映画を観たいと思ったのはブラピ云々ではなく、F1が全面的に協力し、7度のワールド・チャンピオンであるルイス・ハミルトンが監修しているということで、ガチのF1好きとして見逃すわけにはいかないと思ったからだ。字幕にするか吹替にするかも迷ったが、「スタートレックTNG」のライカー副長や「イコライザー」のマッコールの声を担当している大塚明夫さんが参加していると知って吹替え版を見ることにした。
映画『F1®/エフワン』ぶっちぎれ予告60秒(吹替版)|2025年6月27日(金)公開!

 あらすじはブラピが演じる伝説のF1レーサーが最弱のF1チームを再建するために現役復帰し、様々な試練を乗り越えながら若手のチームメイトやチームクルーを成長させ、頂点を目指すというありきたりなお話なのだが、実際に観てみるとこれが中々巧く作り込まれていて結構面白い映画に仕上がっていた。
 もちろん私のように40年近く F1を観てきたコテコテの F1マニアにとってはツッコミどころ満載で、あんなクラッシュゲートをやったらピケJr. みたいに即永久追放になってしまうし、スリックタイヤのまま雨のパラボリカでオーバーテイクを仕掛けるアホはいない。DRSはまるでレースゲームみたいに効きすぎだし、そもそもあんな短期間でタービュランスに強い車を開発するなんて現実F1では絶対にありえない話だ。しかしそういった細かいことに目を瞑ってエンターテイメントとして割り切って観れば十分楽しめるものだったし、そもそもこの映画は最低限のF1の知識をもったライトなファン層をメイン・ターゲットにしているようで、あわよくば普段F1に興味ない層も見てくれるようになれば儲けものという感じ。“ドキュメンタリー” ではなくあくまでも “フィクション” ということで、エンタメとリアリティのバランスが丁度良い按配だと思った。
 私がこの映画で最も気に入った点こそまさにそのリアリティで、映像はめちゃくちゃ迫力あったしエンジン音も凄まじい。いきなりレッド・ゼッペリンの「Whole Lotta Love」をBGMにシルバーストーン・サーキットでのテスト走行シーンが目に飛び込んできた時はもう鳥肌が立つぐらいコーフンしたし、そうかと思えば回想シーンでセナのマクラーレン・ホンダを追うロータス(←キャメル・イエローのマシンが超懐かしい!!!)のエンジン音が今とは全く別物のカッコ良さでテンション爆上がりしたりだとか、さすがはハミルトンが監修しただけあってレースのシーンは文句なし。何よりも驚いたのは90年へレス・サーキットでの大クラッシュでちぎれたシートと共にコースに放り出されて横たわるマーティン・ドネリーの映像が使われていたことで(←リアルタイムで観ていて背筋が凍るほどショッキングだった...)、よくもまぁドネリーが映像使用のOKを出したものだと思った。
 又、レーサーやチーム代表など、F1界に実在する人物が映画の中にバンバン登場するのもファンとしては胸アツだ。ぶっきらぼうにインタビューに答えるザク・ブラウンとフレデリックバスール、ニッコニコのステファノ・ドメニカリ、ギュンター・シュタイナーの顔芸、中団争いしてるペレスなど、F1知ってる人ほど笑えるツボが満載だったが、一番ニヤリとさせられたのは、24年サウジアラビアの再現とばかりにやりたい放題で “無敵の人” 状態のマグヌッセン、そして優勝争いしてた自チームのルイスをリタイアさせたジョシュアをチームに誘うトト・ウォルフで、特にノリノリで芝居してるトトには大笑いさせられた。又、風洞施設やレース・シミュレーター、レース前のチーム・ミーティングの様子などもリアルに描かれており、F1ファンとしては実に興味深く見させてもらった。
 カーレースを題材とした映画といえば「ラッシュ」や「フォード vs フェラーリ」、トム・クルーズの「デイズ・オブ・サンダー」、シルベスター・スタローンの「ドリブン」、実写以外ではピクサーの「カーズ」シリーズなどが思い浮かぶが、この「エフワン」はそういった名作・傑作映画に勝るとも劣らない面白さで、2時間35分という上映時間を全く長いと感じさせずにテンポよくストーリーが展開していくところが良かった。まぁそのストーリー自体は予測可能でベタな展開だったし、キャラクター描写も浅くて感情移入しにくかったが、“大画面で爆音とリアルな映像を見に行く映画” と割り切ってしまえば文句なしの傑作だ。家で見るとどうしても映像の迫力がスポイルされて脚本の粗だけが目立ってしまうので、興味ある人は是非とも劇場でIMAX字幕か4DX吹替で見るのが良いと思う。
【いくつ知ってる?】映画『F1』の全小ネタ&制作秘話を完全解説 ※ネタバレあり

「アウトレイジ」3部作

2025-01-05 | TV, 映画, サントラ etc

 去年の自分にとって最大の出来事は901さんとのオフ会を再開したことだった。自分の周りには共通の音楽の話を出来る人間がいないので、中断していた数年間はそれこそ自分1人で楽しむしかなかったのだが、オフ会の再開によって901さんにインスパイアされて音楽生活が一層充実するようになったのが何よりも嬉しかった。
 しかも901さんとの再会ではもう一つサプライズがあった。ちょうどこのブログで 「リベンジ系ハードボイルド映画特集」をやった直後にお会いした時、いきなりデンゼル・ワシントンの「イコライザー」の話をされたのだ。901さんとはかれこれ25年ほどのお付き合いになるが、音楽とオーディオ以外の話はほとんどしたことがなかったのでコレにはビックリ(゜o゜)  「イコライザー」の話の後は “ブルース・ウィリスの、アレ何でしたかいな...” “「デス・ウィッシュ」ですやろ?” “そうそう、それですわ! いやぁ、ビートルズだけやのうて、映画もよぉ知ってはるねぇ...” “アクション系とSF系だけで、それ以外は全然知らんですよ。音楽と一緒で狭く深くですわ。” とまぁこんな感じである。
 ひとしきり盛り上がった後、901さんが “Shiotchさん、たけしの「アウトレイジ」は観やはった?” と仰ったので “いえ、観てないです。やくざ系は Vシネマも含めて大体観てますが、たけしは守備範囲外なもんで...” “結構面白いんでよかったら観てみやはったら?” というようなやり取りの後、いつもの音楽談義へと話題が移っていったのだが、アクション/やくざ系映画が大好きな私はその日のうちに宅配レンタルサイトをチェックして3部作すべてを一気借り。届いた日に1作目の「アウトレイジ」を観始めたところ、これがもうめちゃくちゃ面白くてグイグイ引き込まれ、観終わった時には日付が変わっていたにもかかわらず続けさまに2作目の「アウトレイジ・ビヨンド」を鑑賞、翌日仕事から帰宅してすぐ「アウトレイジ最終章」を観てまたまた大コーフンと、結局2日間で3部作すべてを堪能したのだが、バイオレンス好きの私にとってはまさにドストライクの映画だった。
3分でわかる『アウトレイジ』シリーズ


 私は元々やくざ映画が大好きで、王道中の王道である「仁義なき戦い」から Vシネマのバイブルといえる「首領への道」シリーズに至るまで、世に出ているやくざ映画はほとんど持っているのだが、たけしに関しては “お笑いタレントごときが映画監督をやるなんてちゃんちゃらおかしい...” というしょーもない偏見があったので「アウトレイジ」については完全にスルーしていた。それが901さんの一言をきっかけに観てみたらめちゃくちゃ面白くて、自分の偏見がいかに愚かだったかを思い知らされたのだった。反省!
 この映画で私が一番気に入っているポイントは、バイオレンス・シーンに他のやくざ映画では見たことがないようなユニークなアイデアが盛り込まれていること。やくざ映画の暴力シーンと言えばそのほとんどが、殴る、蹴る、刺す、切る、そして(拳銃で)弾く、ぐらいしか思い浮かばないが、この「アウトレイジ」シリーズでは歯の治療中の相手組長を襲撃して口の中をドリルでグチャグチャに引っ掻き回したり、自分を破門にした親分に “舌出せ!” と言って舌を出させたところに掌打をかまして舌を噛み切らせたり、自分を裏切った元子分をバッティングセンターでピッチングマシーンの前のイスに縛り付けて座らせ頭に剛球を延々とぶち込んで処刑したりと、実にオリジナリティーに溢れているのだ。
 しかもこれだけなら単なる残虐シーンに終わるのだが、たけし監督の凄いところはさりげなく笑いの要素を盛り込んでいるところ。例えば口の中ズタズタで食えるはずがない石橋蓮司に向かって國村隼が「おい兄弟、お前も食えよ... おーん食えないか...」とスパゲティをすすめるシーンとか(←ここホンマにクッソワロタwww)、「破門したり取り消したり... てめえの舌は何枚あるんだコノヤロウ!舌出せ!」と國村隼の二枚舌を逆手に取ったセリフとか、「何でもやりますんで、許してもらえませんか」と必死で命乞いをする加瀬亮にたけしが「野球やろうか」といった時の「えっ?」という加瀬の反応とか、絶妙なユーモア感覚でバイオレンスのエグさを和らげているのだ。あと、肉切り包丁でラーメン屋のオヤジの指を落としたらそれがドンブリの中に入ってしまってそれをそのまま客に出すシーンも面白かったし、河川敷で黒人の大使に死体を埋める穴を掘らせた挙句夜道を歩いて帰れと命令した時に「暗いし危ない」と嘆く大使に向かって加瀬亮が冷たく言い放った「暗けりゃお前なんて見えねえよ!」が私的には超絶ツボだった。
アウトレイジ 2010年 歯科で拷問~スパゲティ、名シーン

アウトレイジ 2010年、舌 出せよ!名シーン

アウトレイジ ビヨンド 2012年、野球やろうか


 シナリオの秀逸さも重要なポイントで、凄惨な殺し方をする時に敢えて遠回しな言い方をして観る者に???と思わせることによって却って殺しのシーンのインパクトが増すという効果を狙っているフシがある。上記の「野球やろうか」なんてその最たるものだが、他にも「ドライブ行こうか」(←椎名桔平が道端の車止めにくくりつけたロープを首に巻きつられけたまま車を急発進されて首をもがれる)、「キャンプ楽しんでもらおうと思ってな」(←大杉漣が夜の道路に首だけ出した状態で埋められて轢き殺される)、「口の中で花火あげてやるよ」(←SMプレイで手足を拘束されて身動きできないピエール瀧が爆弾を口に押し込まれて爆死させられる)など、数え上げたらキリがない。このあたりもシナリオ・ライターとしてのたけしの才能だろう。
 出演している俳優さん達のキャラが立っていて各人の演技レベルがめちゃくちゃ高いのも特筆モノで、主役級の名優をズラリと揃えたオールスター・キャストでありながら、絶妙なキャスティングによって個々の演技がこれほどうまく機能している作品を私は他に知らない。中でも私が一番感心したのはやくざ映画には一見ミスキャストに思える三浦友和や北村総一朗が見事な演技で姑息な悪党感を醸し出すことによってこの映画を引き締めているところで、他にも椎名桔平を武闘派やくざに、そして加瀬亮をインテリ風やくざにキャスティングしたたけし監督の慧眼には唸ってしまった。
アウトレイジシリーズキャラクタートップテン


 更に脚本のそこかしこに過去のやくざ映画へのオマージュが盛り込まれているのもマニアには堪えられないポイント。「仁義なき戦い」を筆頭に「県警対組織暴力」や「北陸代理戦争」を意識したシーンが見られることからもわかるように、この「アウトレイジ」3部作は明らかに深作欣二監督の東映実録やくざ映画を意識して作られている。主要メンバーが次々と殺されて退場していくという展開はどう考えても「仁義なき戦い」そのものだし、そもそもたけしが演じた主人公の「大友」という名前は「仁義なき戦い」で千葉真一が演じた大友勝利から来ているのではないかと秘かに思っている。
 結局レンタルしたDVDでは物足りなくなりヤフオクやメルカリでブルーレイの中古を探したが、驚いたことにかなり前の作品にもかかわらずほとんど値崩れしていない人気ぶりにビックリ。ラッキーなことにアマゾンのブラック・フライデー・セールで新品が40%オフで買えて(←中古より安かった...)大喜びした。それもこれも「アウトレイジ」の素晴らしさに気付かせて下さった901さんのおかげだと心から感謝している。901さんはこれまでもビートルズの UKオリジナル盤に始まり、フランス・ギャルやスプートニクス、オイゲン・キケロから久美かおりに至るまで、私の音楽人生に多大な影響を与えて下さったが、まさかそのリストに「アウトレイジ」が加わるなんて夢にも思わなかった。901さん、今年もよろしくお願いしますね m(__)m

【おまけ】これ↓めちゃくちゃオモロくて何度観ても笑ってしまうwww そのままスタバのCMに使えるくらいクオリティの高いMAD動画だ。
『アウトレイジ フラペチーノ』【アテレコ】

リベンジ完遂でスカッとするハードボイルド映画特集

2024-10-27 | TV, 映画, サントラ etc
 私はアクション映画が大好きで、中でも「ジョン・ウィック」や「キル・ビル」のようなリベンジ(復讐)ものには目がない。基本的にシンプル極まりないストーリーなので難しいことが苦手な私にはピッタリだし(←サスペンス映画で登場人物が覚えられないような複雑なヤツは絶対に無理...)、最後の最後に “倍返し” で悪党がボッコボコにやられて溜飲が下がる展開になっているので、観終わった後の爽快感がハンパないからだ。先日、大好きな「イコライザー」シリーズの最新作「イコライザー3」のブルーレイを買って観てみたところ、これがもうめちゃくちゃ良かったので、同系統のリベンジ・アクション映画の中から特に気に入っているものと併せて特集しようと思う。

①イコライザー3
 デンゼル・ワシントンは大好きな俳優さんで、彼の出ている映画はほとんど観ているが、そんな彼の出演作品の中でも断トツに好きなのがこの「イコライザー」シリーズだ。彼が演じる元CIAの特殊エージェント、ロバート・マッコールがまるで “必殺仕事人” のように敵を瞬殺していく様は痛快そのもので、「1」では敵を皆殺しにするのに19秒かかっていたのが、この「3」では9秒へと“秒殺タイマー”(笑)がパワーアップしているところがいい。特に後半部分でイタリアン・マフィアのカモッラ(←「ジョン・ウィック」にも出てきたな...)一味を壊滅させるところは何度観てもスカッとする。予告編の1:52にチンピラの親指の付け根をつかむシーンがあるが、「今圧迫しているのは正中神経だ。強さを10段階で言うならこれは2だ。(力を込めて)これは3。《チンピラの悲鳴www》4はオススメしない。4までいくとクソを漏らす。嫌だよな。私も嫌だしアイツらも... 仲間に店を出るように言え。」のくだりを大塚“ライカ―”明夫さんの吹き替えで聞けるのが最高だ。
『イコライザー THE FINAL』予告


②パニッシャー
 これはマーベル・コミックに出てくる架空のヒーローを実写化した映画で、世間の評価はイマイチなようだが私はめっちゃ好き。主役のトーマス・ジェーンも頑張っているが、何と言っても敵役を演じるジョン・トラボルタの “悪のボスのくせにクソ雑魚” っぽい怪演が絶妙にハマっているのが良い。忠実な部下と愛する妻が自分を裏切ったと思い込まされて無実の2人を自分の手で殺すように仕向けられたと知らされて愕然とし、さらに最後は車で引きずられて火ダルマにされるというこれ以上ないえげつないエンディングなのだが、駐車場で車が爆発炎上するシーンで、殺された息子が着ていたTシャツに描かれていたドクロが浮かび上がるというオチに唸ってしまった。
The Punisher (2004) Ending- HD


③リベンジ・リスト
 上記の「パニッシャー」では悪役を演じていたトラボルタだが、この映画では強盗に妻を殺された元特殊部隊工作員のオッサンを好演。カタギの生活を送っていたプロの殺し屋が復讐のためにアチラの世界に戻っていくという設定は「ジョン・ウィック」を想わせるが、キレッキレのキアヌ・リーブスに比べるとトラボルタのアクションがモッサリしていて物足りない。しかしそれを補って余りあるのがクリストファー・メローニの存在で、頼りになる相棒として圧倒的な存在感があり、「ヒート」や「スコア」のロバート・デ・ニーロみたいな渋さを感じさせてくれるところが気に入っている。ただ、最後の2人で病院を抜け出すシーンにコメディー色が強く出過ぎてしまった感があるのが玉にキズだ。
ジョン・トラヴォルタが躍動する!映画『リベンジ・リスト』予告編


④ライリー・ノース
 この手のリベンジものは元CIAとか特殊工作員とか海兵隊員の男性が主人公というのが定番なのだが、この「ライリー・ノース」は女性、しかも何の特殊訓練も受けていないごく普通の主婦が家族の敵討ちをするという非常に珍しい設定だ。監督があの超名作「96時間」のピエール・モレルというだけあってシナリオもよくできているし、ママ友→汚職判事→ギャング...と復讐のストーリー展開がサクサク進んでいくところも◎。作品の知名度はそれほど高くはないが、観終わった後にスカッとした気分を味わいたい人にお勧めのハードボイルド・リベンジ・アクション映画だ。
映画『ライリー・ノース 復讐の女神』予告編

ジェイソン・ステイサム特集③ ~B級臭漂う隠れ名作編~

2024-08-21 | TV, 映画, サントラ etc

 ジェイソン・ステイサムにはB級映画が良く似合う。私の言っている“B級”というのはもちろんポジティヴな意味合いで、彼の場合は万人受けする超大作よりもその筋系のマニアックなファンたち向けのちょっと怪しいB級映画でこそ真価を発揮するように思えるのだ。例えるなら高級中華には決して真似のできない街中華のB級グルメならではの味に病みつきになるようなものだ。ということで今日はステイサム主演のB級映画の名作をご紹介。

⑨デス・レース(2008)
 刑務所で囚人たちによって行われる流血、破壊、殺戮なんでもOKのリアル・マリオカートという、もう設定からして無茶苦茶なB級映画にステイサムが出ているのを知った時は驚いたが、これがもうめっちゃ面白くて最後まで一気呵成に観てしまった。とにかく突っ込みどころ満載の、あまりにもバカバカしい脚本なので、頭を空っぽにして楽しむのが正解だろう。共演者もコーチ役に「ジョン・ウィック」でNYコンチネンタル・ホテルの支配人を演じたイアン・マクシェーン、刑務所長役に「ジェイソン・ボーン」でCIA内務情報局長を演じたジョアン・アレン、そしてライバル・レーサー役に「ワイルド・スピード」のローマンことタイリース・ギブソンと、私の大好きな俳優さんたちがたくさん出ているのが嬉しい。女の子の撮り方やバックに流れる音楽、そしてローマン(?)のマイアミ連呼はワイスピへのオマージュだと思った。
ジェイソン・ステイサムに手を出すべきではなかった(最高のデス・レースの戦闘シーン)


⑩セイフ(2011)
 この「セイフ」は金庫の暗証番号を記憶している中国人天才少女をめぐる中国マフィアとロシアンマフィア、それにNYの悪徳警官グループの三つ巴の争いにステイサムが巻き込まれるという実にわかりやすいストーリーで、彼がその少女を守りながら悪い奴らを次から次へとぶっ倒していくいつもの “ステイサム無双” を存分に楽しめる。中でも私が特に気に入っているのは、バーのカウンターで “これから殺そうって時に何て言うべきか...” と呟いた直後に隣に座ったマフィアの喉元にフォークを突き刺して大暴れするシーンで、山路さんの吹き替えの上手さも相まって実にスリリングなシーンになっている。
Bar Fight Scene | SAFE (2012) Jason Statham, Movie CLIP HD


⑪ワイルド・カード(2015)
 この映画も絵に描いたようなB級作品で、内容はスカスカやし、乱闘シーンも少なめやし、派手なカーチェイスもないしで、途中まではイマイチやなぁ... と思いながら観ていたのだが、ラスト5分間に凝縮されたステイサム無双はまさに圧巻の一言。ダイナーの屋根から飛び降りで敵に襲い掛かっていくシーンは何度見てもカッコいい。お下劣な笑いのセンスも絶好調で、“全人類の憧れ” とか “頭に乗っけるハムスター” とかのくだりには腹筋崩壊しそうになった。
ステイサムのアクション(ワイルドカード編)


⑫オペレーション・フォーチュン(2023)
 現時点で最新のジェイソン・ステイサム主演作「オペレーション・フォーチュン」もB級映画の王道を行くような作品だ。アクションが凄いのはもちろんだが、それに負けないくらいにコミカルな要素が満載で、思わずニヤリとさせられるようなユーモラスな台詞が随所に散りばめられている。チームのメンバーもクセが強く、エンタメ色の強いスパイ映画に仕上がっているが、中でもサラ役のオーブリー・プラザが実の良い味を出していて笑わせてくれるし、グレグ・シモンズ役のヒュー・グラントとダニー・フランチェスコ役のジョシュ・ハートネットの軽快な掛け合いがクールで面白かった。
ジェイソン・ステイサム主演『オペレーション・フォーチュン』吹替版予告編 山路和弘ら実力派声優集結


【おまけ】
ステイサムの吹き替えは山路さんしか考えられない。これはもう「コロンボ=小池朝雄」に匹敵する相性の良さだろう。
俳優別 吹き替え声優 411 ジェイソン・ステイサム 編

ジェイソン・ステイサム特集② ~ステイサム主演の傑作編~

2024-08-16 | TV, 映画, サントラ etc

⑤トランスポーター(2002)
 ジェイソン・ステイサムの魅力はその痛快無比なアクションと、クールでありながらユーモアのセンスも忘れないところだと思うのだが、そういった要素をグッと濃縮還元したような傑作が「トランスポーター」シリーズだ。この映画でステイサムは元特殊部隊のプロの運び屋の役を演じており、カンフーを駆使して敵を蹴散らしながらテンポ良くストーリーが進んでいくので観ていて実に気持ちが良い。スー・チー演じるヒロインのライも可愛かったし、フランス人らしいエスプリを感じさせるタルコニ警部も実に良い味を出していてキャスティングも文句なし。3作あるシリーズのうちではこの1作目が一番好きだが、3作目の “5秒やるからこの汚い手をどけろ” のシーンも必見だ。
『トランスポーター』予告編

5秒やるからこの汚い手をどけろ


⑥バトルフロント(2013)
 「エクスペンダブルズ」シリーズでコンビを組むシルベスター・スタローンが脚本を担当した作品で、ステイサムは可愛い娘を守る父親役を演じているのだが、これがもう絵に描いたような “最強の父親” そのもの。いじめっ子に対してこの娘が逆襲してボコったことが発端となって閉鎖的な田舎町の中で事態がどんどんオオゴトになっていくというちょっとダークな展開なのだが、基本的には “ケンカを売る相手を間違えたな...” 的なシチュエーションでのステイサム無双を堪能するための作品だ。敵役がショボすぎてハラハラドキドキ感に欠けるのが玉にキズだが、最終的に娘もネコも無事戻ってきてメデタシメデタシのハッピー・エンドなので、観終わった後は気分スッキリだ。
ジェイソン・ステイサム主演!映画『バトルフロント』予告編


⑦メカニック:ワールドミッション(2016)
 ステイサムの「メカニック」シリーズでは1作目の続編にあたるこの「メカニック:ワールドミッション」(原題は Resurrection レザレクション =“復活”)の方が断然面白い。1作目は主人公の殺し屋アーサー・ビショップのお披露目程度の内容で大したアクションも無かったが、この続編では世界を股にかけた大立ち回りがふんだんに楽しめて言うことナシ。冒頭で敵の部下を蹴散らしてゴンドラからダイヴしてパラグライダーに飛び移るシーンは007みたいなカッコ良さで胸熱だし、人質の女性が囚われている船に一人で乗り込んで敵を殲滅するシーンなんてまさに “ワン・マン・アーミー” そのものだ。キャスティングでは大好きなミシェル・ヨー(→スタートレックでフィリッパ・ジョージャウ役を演じた女優さん)がメイ役で出ているのが嬉しかった。
映画『メカニック:ワールドミッション』予告編


⑧ワイルド・スピード:スーパー・コンボ(2019)
 「スーパー・コンボ」は原題の「Hobbs & Shaw」が示すように、ルーク・ホブス(ロック様)とデッカード・ショウ(ステイサム)の二人が主演を務めるワイスピ・シリーズのスピンオフ作品で、時系列的に言うと8作目の「アイス・ブレイク」後日談という位置付けだ。価値観からライフスタイルまで何もかもが正反対の水と油な二人が世界の危機を救うために最強 “坊主マッチョ” タッグを結成し、お互いに文句を言い合いながらも(←これが一番オモロイwww)協力して悪の組織に挑んでいくという典型的なアクション・コメディー作品に仕上がっている。デッカードの妹役のハッティも随所でキレのあるアクションを披露しており、テクニカルな絡み技を瞬時にキメてしまうシーンには唸ってしまう。それと、スーパーカーのマクラーレン720Sがロンドンの街中を疾走するシーンがめちゃくちゃカッコ良かった。
仲良しwww 【ワイルドスピード・スーパーコンボ / Fast & Furious Presents Hobbs & Shaw】

【ワイルドスピードスーパーコンボ】マクラーレン720Sの最高にかっこいいシーン(吹替版)

ジェイソン・ステイサム特集① ~主役より目立ってるステイサム無双編~

2024-08-11 | TV, 映画, サントラ etc
 ここのところ40℃近い猛暑の日々が続いているが、私は暑さが何よりも苦手な人間なので出来るだけ外出せずに家で音楽を聴いたり映画を観たりして過ごしている。ただ、最近はあまり目ぼしいレコードを買えていないせいもあって、映画、それも単純明快スッキリ爽快なアクション映画を観る時間が増えた。
 そんなアクション系俳優で私が一番好きなのがジェイソン・ステイサムだ。この人が出ている映画はほとんど観ているし、ブルーレイもいっぱい持っている。彼の魅力は何と言ってもそのキレッキレのアクションで、殴る・蹴る・刺すと何でもござれなところがいい。ということで早速このブログでもステイサム特集をやることにした。

①エクスペンダブルズ2(2012)
 私のステイサムとの出会いはシルベスター・スタローンを中心に新旧アクション・スターが集結した「エクスペンダブルズ」(2010)で、その豪華な顔ぶれの中で私の目を引いたのが他でもないステイサムだった。このシリーズは既に4本製作されているが、私が一番好きなのがこの「エクスペンダブルズ2」だ。スタローンを始め、アーノルド・シュルツェネッガーやチャック・ノリス、ジャン=クロード・ヴァン・ダムといった錚々たるメンツが霞んでしまうくらいキレッキレのアクションを見せるステイサムが超カッコいい。
ステイサムのアクション(エクスペンダブルズ2編)


②エクスペンダブルズ4:ニュー・ブラッド(2023)
 「エクスペンダブルズ」シリーズの最新作で、つい最近手に入れたのがこの「エクスペンダブルズ4」だ。“興行収入が悪かった” だとか “ラジー(最低映画)賞にノミネートされた” だとか “スタローンがあんまり出てこない” だとか前評判は散々だったが、私としては頭を空っぽにして楽しめる愛すべき作品として素直に楽しめた。冒頭でいきなりスタローンが爆死する(←もちろん偽装だが...)というストーリーのため完全にステイサムが主役の映画になっているが、だからこそステイサム好きにはたまらない逸品なのだ。ミーガン・フォックスやトニー・ジャーらが演じる新キャラも実に良い味を出しているし、随所に散りばめられたユーモアのセンスにも大笑いさせてもらった。
ジェイソン・ステイサム vsイコ・ウワイス、“最強”同士の戦いが実現! 映画『エクスペンダブルズ 』本編映像解禁


③ワイルド・スピード7:スカイ・ミッション(2015)
 「エクスペンダブルズ」と並んでステイサムを語る上で欠かせないのが「ワイルド・スピード」(原題は「Fast & Furious」)だ。「ワイスピ」は全10作品が出ている超人気シリーズで、ステイサムは7作目の「スカイ・ミッション」に前作の敵役であるオーウェン・ショウの兄デッカード・ショウとして登場し、たった一人でDSS本部に乗り込んでオフィスを破壊しロック様演じるホブスに重傷を負わせるわ、ドミニクのファミリーを爆殺しようと企むわとまさにやりたい放題の大暴れ。中でも私の一番のお気に入りはホブス役のロック様との意地の張り合いで、何かもう子供のケンカみたいなバカバカしさに大笑いさせられる。ファンの間で “夫婦漫才” とすらいわれる二人の掛け合い(?)はワイスピに無くてはならないコミカルな要素になっている。「キースムーン」と「ミックジャガー」にもクソワロタwww
【Fast & Furious 】 夫婦漫才はここから始まったwwww 【ワイルドスピード】


④ワイルド・スピード8:アイス・ブレイク(2017)
 この作品のステイサムは脇役的なポジションなので出番はそれほど多くはないが、出てきた時のインパクトが強烈なので私的には何の問題もない。大量破壊兵器強奪犯の濡れ衣を着せられて刑務所に入れられたロック様の向かいの房に入っていたのが前作「スカイ・ミッション」でホブスに逮捕されて収監中のステイサムという美味しすぎる設定で、お約束の意地の張り合いから脱獄までの一連のシーン、そして母親のマグダレーン・ショウ(←名女優ヘレン・ミレンが実に良い味を出している...)の仲介でファミリーと和解したデッカードが敵の飛行機に侵入してドミニクの息子を救出するシーンのアクション・シークエンスがたまらなく好きだ。
赤ちゃんを救出するステイサム(ワイルドスピード・アイスブレイク)


【おまけ】
 ステイサムの魅力を凝縮したような米通信大手XfinityのCMがこれ↓。色々突っ込みどころ満載で、もう笑うしかない。
もしハイジャックした飛行機にステイサムが搭乗していたら

「スター・トレック: ストレンジ・ニュー・ワールド」

2024-08-04 | TV, 映画, サントラ etc

 私はネット配信がどうも肌に合わず、今でもレンタルDVD屋を利用している古いタイプの人間である。この前たまたまゲオに寄って “何かエエのんないかなぁ...” とレンタルDVDを物色していた時のこと、お目当てのアクション物に目ぼしいのがなくて “今日は空振りか...” と諦めて帰ろうとした時に偶然目に留まったのが「スター・トレック: ストレンジ・ニュー・ワールド」の日本版DVDだった。
 スター・トレックのテレビ・シリーズとして8作目にあたるこの作品は2022年5月に本国アメリカで配信が開始された最新作で、今現在も第3シーズンが製作中。去年の3月にシーズン1のUS版ブルーレイが発売された時にすぐ買おうと思ったが、日本語吹き替えが収録されていないのを知って(←他のシリーズはUS版にも日本語音声入ってたのに...)購入を思いとどまった。「スター・トレック」は声優さんの個性も重要な要素のひとつなので、日本語吹き替えが無いとその魅力が半減してしまうからだ。それ以来、私は定期的にパラマウントのリリース情報をチェックしていたのだが中々出ないので、ひょっとすると最近増えてきた “配信オンリー” パターンなのかと誤解して、この数ヶ月ほどはチェックをサボっていた。
 それがいきなりレンタル屋で見かけたものだからビックリ。全く予期していなかった私は大コーフンし、その場でシーズン1の5枚全部を借りることにした。セット割とやらのおかげで安く借りれてラッキーだったが、私はその5枚全10話を2日間で一気見し、あまりにも面白かったのでネットで調べてみたところ既に日本版ブルーレイが発売されていたので即購入。ということで今日はスター・トレックの最新テレビ・シリーズ「ストレンジ・ニュー・ワールド」シーズン1のブルーレイ・セットを取り上げる。
『スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド』2024年6月21日(金)Blu-ray&DVDリリース!


 私がこの作品で気に入った点はまず、スタトレの原点に立ち返って “一話完結” スタイルで作られていること。確かに連続したストーリー仕立ての「ディスカバリー」も「ピカード」も “この続きは一体どうなるんや?” というハラハラドキドキ感はハンパなかったが、スタートレックと言えばやはりわずか50分の中で見事に起承転結を描き最後はキッチリとオトシマエをつける “わかりやすさ” が一番の魅力だろう。ファンの間で絶大な人気を誇る「オリジナル・スター・トレック」(TOS)も「新スター・トレック」も基本的には “一話完結” スタイルだし、賛否両論あった「エンタープライズ」だって “時間冷戦” などという糞みたいなコンセプトから解放されて原点回帰した第4シーズンが傑作揃いなのはそのせいだろう。
 この「ストレンジ・ニュー・ワールド」は「ディスカバリー」のスピンオフ作品として作られており、シーズン2のラストでディスカバリー号が未来へと飛び去った後に残されたパイク船長やスポックがエンタープライズ号で繰り広げる冒険を描いているので、時系列的に言えば「ディスカバリー」と「オリジナル・スター・トレック」の間に位置するわけだが、既出の作品との整合性がしっかりと取れているのはさすがの一言。これって簡単そうで実はかなり難しいことで、細部に至るまできっちりと設定を決めてかからないと辻褄が合わなくなりワケが分からなくなってしまう。その悪しき例がディズニーが作った新しい「スター・ウォーズ」で、珍奇な後付け設定を連発した結果、ルーカスが作ったオリジナルの「スター・ウォーズ」とは全く別物になってしまい(←フォースがただの魔法になっとる...)、旧来のファンからそっぽを向かれたのは周知の事実だが、SF界におけるもう一方の雄である「スター・トレック」シリーズはそれとは対照的に実に巧くストーリーが練られている。
 そしてその脚本がまた粒揃いの秀作ばかりときているのにも恐れ入る。各エピソードにはオリジナル・シリーズへのオマージュと思しき要素が随所に散りばめられていて、過去の作品を知っていればいるほど面白味が増すという好循環なのだ。例を挙げると、シーズン1最終第10話の「情けの価値」は「TOS」シーズン1第9話「宇宙基地SOS」への見事なオマージュ作品としてトレッキーには必見の神回だし、第5話「スポックの混乱」ではスポックと婚約者トゥプリングの魂が入れ替わってしまうというスタトレお約束のネタがクッソ面白くて腹を抱えて笑ってしまった。更にダメ押しとばかりにウーナとラアンの “エンタープライズ・ビンゴ” の小ネタをブッ込んでくるユーモアのセンスもスタトレならではだ。
Best Scene - Pike Meets Captain Kirk + Romulan Attack • Star Trek Strange New Worlds S01E10

Balance of Terror (part 2 of 7) Star Trek TOS 1966 1967 1968) #startrek #sciencefiction #spock


 各登場人物のキャラが立っていて感情移入しやすいのも重要なポイントだ。「エンタープライズ」や「ディスカバリー」はその点がイマイチだったが、この「ストレンジ・ニュー・ワールド」ではパイク船長とスポック以外のニュー・キャラもそれぞれが魅力的な存在として活き活きと描かれている。有能を絵に描いたような副長ウーナや数奇な過去を持つ保安主任のラアン、職人肌のイーナー人機関主任へマー、良きパパでもある医療主任ドクター・ムベンガ、竹を割ったような性格の操舵手オルテガスと、実にわかりやすいキャラ設定なのだが、古くからのファンとしては「TOS」に出ていた通信担当のウフーラや看護師のクリスティン・チャペル、そしてカーク船長の若かりし頃の姿がしっかりと描かれているのが何よりも嬉しかった。
 60年前にジーン・ロッデンベリーが製作した「TOS」路線への原点回帰というコンセプトの下、ユニークなキャラクター達が繰り広げる人間ドラマを実に魅力的に描いたこの「ストレンジ・ニュー・ワールド」、シーズン2ブルーレイの発売が今から待ちきれなくなってきた。
Star Trek: Strange New Worlds Season 2 Trailer

超音速攻撃ヘリ エアーウルフ コンプリート ブルーレイ BOX

2024-01-17 | TV, 映画, サントラ etc
 人は中高年になっても若い頃に聴いていた音楽を好む傾向がある... とどこかで読んだことがあるが、私なんかまさにその典型で、1980年代で時間が止まったかのように昔の曲しか聴かない。ただ、これはなにも音楽だけに限ったことではなく、テレビドラマも昔やってたヤツの方が遥かに私の好みに合っている。
 私が20代だった1980年代には地上波のゴールデンタイムでも海外ドラマをやっていて毎週欠かさずに見ていたものだが、その中でも大好きだったのが月8の「ナイトライダー」と水9の「エアーウルフ」だった。特に「エアーウルフ」は “ミグを相手にド派手な空中戦を繰り広げる戦闘ヘリコプター” というコンセプトが実に斬新で、チェーン・ガンやキャノン砲、サンバースト弾といった様々な武器を搭載して超音速で大空を縦横無尽に飛び回る姿が超カッコ良かったし(→クォォォーンという飛行音がたまらんたまらん!)、何よりもあの躍動感溢れるオープニング・テーマ曲を聴いただけでアドレナリンがドバーッと出まくってテンションが上がりまくるのだ。個人的にはターボを吹かして猛スピードで加速するシーンと、逆にターボ・カットして背後に着いた敵機のバックを取り返して間髪を入れずミサイル攻撃するシーン、そしてヘルメットのバイザーが下りてターゲット・ロックオンした時のオレンジ色の照準点が自動表示されるシーンがツボで、毎週水曜の夜が楽しみで仕方なかった。
AIRWOLF SEASON 2 CLIPS | BEST FIGHT SCENES FROM AIRWOLF INCLUDING HX1 & REDWOLF


 それから20年ほど経って、今度はCSのスーパーチャンネルで「エアーウルフ」の全エピソード完全放送がスタート。私は狂喜乱舞してDVDに録画したので、それ以降はいつでも好きな時に見れるようになった。私が全エピソードを揃えるくらいに入れ込んでいるのは「スター・トレック」の全シリーズとこの「エアーウルフ」、それに「ハイテク武装車バイパー」ぐらいだが(←戦闘アクション物ばっかりや...)、自分は大好きなエピソードは何度でも観たくなる種の人間なので、これらのドラマは常に手元に置いて暇さえあれば取り出して観ているのだ。
 ところが先月の末にアマゾンで「ジョン・ウィック4」の国内版ブルーレイをチェックしていた時のこと、商品説明の下の “この商品を見た後にお客様が購入した商品”の中に「超音速攻撃ヘリ エアーウルフ コンプリート ブルーレイ BOX」を見つけたのだ。もちろんブルーレイ BOXが出ていることは前々から知っていたが、問題はその値段である。これまでは定価が42,790円ということでさすがの私も二の足を踏んでいたのだが、今回見つけたアマゾンには赤い字で大きく-67% と書いてあり、14,120円という信じられない値段がついている。「エアーウルフ」は声優陣が特段に素晴らしく、オリジナル音声+字幕では全く雰囲気が違ってきてしまうので(→特にアーク・エンジェルの声を担当した家弓家正氏が素晴らしい!!!)“吹替えで高画質” というのが何よりも重要なポイントだ。その条件を完璧に満たすBOXセットが爆安価格で目の前に出ているのだからこれはえらいこっちゃである。
 “4万円超えで諦めてたエアーウルフのブルーレイ・セットが1万4千円やとぉ? 一体どーなっとるんや?” と、すっかり頭に血が昇った私は慌てて他のサイトも調べてみたのだが、ヨドバシでも “エキサイト・セール” と銘打って同じくらいの大幅値引きセールをやっている... これって要するにメーカーの在庫一斉セールちゃうの? 私はこの機を逃したら一生後悔すると思い、即決で買いを決めたのだが、アマゾン・ポイントが5千円分ほど貯まっていたので実質9千円ほどでエアーウルフのブルーレイBOXを手に入れることが出来た。
2015.12.25(fri)発売 「超音速攻撃ヘリ エアーウルフ コンプリートブルーレイBOX」


 届いたBOXはシーズン1からシーズン3までの全55話が15枚のディスクに収められており、当然ながら私が昔TV録画したDVDなんかよりも遥かに高画質。いやぁ、これはホンマに買ってよかったわ... てゆうか、こんなに安い値段で買えたのが未だに信じられない。
 ただ1つだけ残念だったのは、日本で「新エアーウルフ復讐編」というタイトルで放送されていたシーズン4が入っていないこと。「エアーウルフ」は1時間モノのTVドラマとしては破格の予算(←CG全盛の今と違って本物のヘリをバンバン飛ばしたり爆破シーン撮りまくったりしてるからめっちゃ金かかってたはず...)で制作されていたため採算が合わずにCBSがシーズン3で撤退し、シーズン4はUSA TVで放送されたため、権利関係の都合で “コンプリート BOX”と銘打ちながらもシーズン4が丸々抜け落ちてしまっているのだ。
 このシーズン4では主役がストリングフェロー・ホーク役のジャン・マイケル・ヴィンセントからセント・ジョン・ホーク役のバリー・ヴァン・ダイクに変わってチームも一新されているのだが、これは一つにはジャン・マイケル・ヴィンセント(←1本当たりのギャラが20万ドル!)が酒とドラッグに溺れて撮影に支障をきたすようになったせいらしい。何にせよ、現時点ではこのシーズン4はUS版のDVDでしか観ることができないのだが、当然日本語字幕も吹替えも無く、しかも忌々しいリージョン1の盤ということで論ずるにも値しない。私は幸いなことにTV録画DVDがあるので一応観ることはできるのだが、やっぱりブルーレイの高画質で観たいというのが正直なところ。NBCユニバーサル・エンターテイメントさん、何とかなりませんかねぇ...
Airwolf (1987) Season 4 - Opening Theme

「スター・トレック: ディスカバリー」

2024-01-14 | TV, 映画, サントラ etc
 「エンタープライズ」が打ち切りになってから12年後の2017年に復活したスター・トレックのTVシリーズが「ディスカバリー」だ。最初にこのニュースを聞いたときは “また新しいスタトレが見れる...(^o^)丿” と期待に胸が躍ったが、次々と入ってくる情報によると、クルーの中の唯一のカップルがゲイだとか、トランスジェンダーやノンバイナリーのクルーがいるとか、とにかくポリコレ/ LGBTQ まみれの話題ばっかりで(←こんなに LGBTQ率の高い集団って不自然すぎるやろ!)ハッキリ言ってウンザリだ。
 私は LGBTQマイノリティーなんてどーでもいいし、多様性だの何だのと騒いでいる頭のおかしい活動家どものタワゴトも知ったこっちゃない。私が忌み嫌っているのはいわゆるひとつの “ポリコレゴリ押し” 的な風潮で、昨今のディズニー作品なんかでも顕著だが、度を越したLGBTQ推しには虫唾が走るのだ。まぁディズニーなんかは見なければすむことだが、自分が大好きなスター・ウォーズやスター・トレックがLGBTQ活動家どものおもちゃにされている現状には超ムカつく。連中のせいで最近はレインボー・カラーを見ただけで吐き気を催すようになってしまったではないか! DEI とかそういうのはどっか他所でやってくれ。
 このように観る前からネガティヴな先入観を持ってしまった上に Netflix のストリーミングでしか観れないということも重なって(←ネット配信はどうも性に合わない...)、“ブルーレイが出てからゆっくり観よか...” ということでとりあえずスルー。去年になってやっと同シリーズのブルーレイが “トク選BOX” と題して大幅値下げされたのを機に購入。シーズン1から観始めたのだが、ポリコレ云々のネガティヴな先入観が消し飛ぶくらいにストーリーが面白い。話にグイグイ引き込まれ、“次はどうなるんやろ?” と続きが気になって気になって、1日に3話も4話も一気見してしまうこともあったくらいだ。ただ、クリンゴン絡みのグロテスクな描写やゲイ・カップルがいちゃつくシーンetc、不快な映像が時々出てくるので、そういうのは早送りで飛ばし見した。
 この「ディスカバリー」はスタトレの得意技であるパラレル・ワールド(平行宇宙)やらタイムトラベルを駆使したアッと驚くようなストーリー展開で観る者を惹きつけるのだが、もう一つ優れている点は登場人物のキャラが立っていることで、各クルーが実に良い味を出している。ティリー(←お笑い担当キャラやね...)やサル―、デトマー、リノなど挙げていけばキリがないが、私はその中でも特にフィリッパ・ジョージャウというキャラに強く魅かれるのだ。
Welcome to my darkside Philippa Georgiou, Star Trek Discovery


 USSシェンジョウ号の船長であるジョージャウは、主人公マイケル・バーナムの上官で彼女にとっては母親的な存在だったが、シーズン1が始まってすぐにクリンゴンとの戦いで死んでしまう。ところがシーズン1の終盤でディスカバリー号が迷い込んだパラレル・ワールドにおいて、巨大なテラン帝国を恐怖で支配する皇帝として再登場。クーデターにあって追い詰められたところをマイケルが転送でこちらの世界に一緒に連れてきてしまい、その後は連邦の秘密組織セクション31のエージェントとして数多くのエピソードで大活躍することになる。
 並行世界からやってきたこのジョージャウは極悪非道なテラン人の親玉だっただけあって、拷問や大量虐殺を屁とも思わない冷酷さを持った、“力こそすべて” を地で行く暴力大好き人間として描かれているのだが、彼女の魅力は竹を割ったような真っすぐな行動を取るところで、裏表が無いというか、悪は悪でも卑劣・姑息な行為は絶対にせず、観ていてむしろ痛快というか、思わずカッコエエなぁと共感してしまうのだ。
 言動も痛快そのもので、“私はリーランドを追い回して狩るのが楽しみだ。ヤツの肌からナノボットが這い出て来るのを見てやる。” とか、“私の望みは、戦いになったら全員倒してあの世でしもべにすることだ。”とか、とにかくその一言一句がめちゃくちゃ面白い。
 しかも戦いにおいては自ら先陣を切って乗り込んでいって敵をボコボコにしてしまう肉体派という点も実に魅力的。特にAIに乗っ取られてサイボーグ化したリーランド指揮官がディスカバリー号に乗り込んできた時には殴り合いのタイマン勝負を仕掛けてマイケルたちのために時間を稼ぎ、顔面から流血しながらも最後はリーランドをブッ倒し、更にブーツで踏み潰してその肉片の付いたまま平気で歩き回るという女傑なのだ。これはこれまでのスター・トレックにはいなかった異色のキャラ設定だが、だからこそ新鮮で魅力が増す。彼女のキャラは “超かっこいいワル” という意味の “badass” と表現されることが多いが、まさに言い得て妙という感じだ。
 このジョージャウを演じているのは「007 Tomorrow Never Dies」(1997)で “戦うボンド・ガール” として大ブレイクしたミシェル・ヨー(←ミハエル・シューマッハ時代のフェラーリF1監督を務め、後にFIA会長にもなったジャン・トッドの嫁さん)で、キレッキレのカンフー・アクションを得意とする彼女にピッタリのキャスティングだ。言ってみればハイテク満載の23世紀の宇宙船に一人だけ “女ブルース・リー” が乗っているようなもので、そのあたりのギャップがめちゃくちゃ面白い。
 彼女とクルーたちの関係の変化もこのシリーズの見どころの一つで、最初は彼女と距離を置いていたクルーたちも彼女が憎まれ口を叩くのは彼女なりの愛情表現であることに気付き始めてその勇敢さや正直さに魅かれるようになり、彼女の方もクルーそれぞれの人格や能力を認めるようになっていく様子が実に上手く描かれており、これぞスター・トレック!と言いたくなるような見事な脚本だと感心させられた。
 私はこの「ディスカバリー」を “ジョージャウの人としての成長の物語” として楽しんできたのだが(→彼女のいないシーズン4はイマイチ物足りない...)、中でもシーズン3第9話「時空よ、永遠に」で彼女が最後に艦を去る時に、それまで何かと対立し呼び捨てにしてきたサル―船長に対し “感謝する... 船長” とリスペクトを込めた眼差しで握手を交わし、“歩く失敗人事”(←この表現クッソワロタ)とおちょくってきたティリー副長にハグされて感極まるように肩を抱き返すところなんかは「ディスカバリー」屈指の名シーンだと思うし、クルーたちが集まって彼女を偲ぶシーンも実に感動的で良かった。
To Philipa - Star Trek Discovery 3x10


 こんなに魅力的なカリスマ・キャラを得たのだからいっそのことジョージャウを主人公にした新シリーズ作ったらエエのに... と思っていたら、パラマウントも同じことを考えたようで当初は彼女が主役のスピンオフドラマを計画していたらしいのだが、更にそのアイデアを推し進めて何と「セクション31」というタイトルで映画化することになったらしい。いやぁ、これは今から大いに楽しみだ。
Best of Emperor Georgiou (Michelle Yeoh) | Star Trek: Discovery season 2

「スター・トレック: エンタープライズ」

2024-01-11 | TV, 映画, サントラ etc
 12月初めに届いた「スター・トレック: ピカード」を満喫してスタトレ熱に再び火がついた私は他のシリーズ作品ももう一度見直そうと考え、「スター・トレック: エンタープライズ」をチョイスした。“スタトレ黄金時代” を築いた3部作と言っても過言ではない「新スター・トレック」、「ディープ・スペース・ナイン」、「ヴォイジャー」はこれまで何十回と繰り返し見ているが、「エンタープライズ」はそこまで熱心に見てこなかったので、じっくり腰を据えて見直すのにちょうど良い機会だと思ったからだ。
 この「エンタープライズ」という作品はカークやスポックが出てくる初代スター・トレックの前の時代の宇宙探査を描いたSFドラマで、「ヴォイジャー」が終了して間もない 2001年9月から UPNネットワークで放送が始まったのだが、視聴率が低かったせいもあってわずか4シーズンで打ち切りになったといういわくつきのシリーズだ。日本でもCSのスーパーチャンネルで放送されていたのだが、熱心なトレッキーの私から見ても当時はあまり面白いとは思えなかった。
 ところがそれから10年ほど経ってからブルーレイが発売された時にアマゾンでめちゃくちゃ安く売っていたのを見て “面白かったという記憶はないけど、腐っても鯛やし、安ぅ買えるうちに買っとこ...” と思って全4シーズン分を一気買いして見始めたところ、思っていたほど悪くはない... いや、それどころか結構面白い。もちろん何じゃいこれは?と言いたくなるようなしょーもないエピソードもあるにはあるが、シリーズ全体を通して見た場合、十分に楽しめる内容だった。
 世間からの低評価の原因として考えられるのは、登場人物のキャラの掘り下げ方が甘く、視聴者が感情移入しにくかったからではないか。後で挙げるシュランとかソヴァル大使とか、サブキャラがめっちゃエエ味出しているのに対し、肝心のクルーの魅力が乏しいのだ。特にメイウェザーとホシの扱いが雑すぎて、それぞれのクルーのキャラが立っている他のシリーズに比べるとそのあたりに決定的な違いを感じてしまう。これは俳優さんと言うよりは明らかに脚本のせいだろう。
 9.11テロを受けて番組のコンセプトがスタトレ本来のヒューマン・ドラマ路線から大きく逸れてしまったというのもファン離れを引き起こした要因の一つだろう。特にシーズン3のハードボイルドな展開はスタトレらしさが希薄に感じられ、こんなん別にスター・トレックでやる意味ないやんと思えるエピソードが少なくなかったのも事実だ。
 更に後になってわかったことだが、当初はシーズン1でファースト・コンタクトからエンタープライズ号打ち上げまでの紆余曲折を地球を舞台に描く予定だったものを、UPNが脚本に口出しして “時間冷戦” などというワケのわからんテーマをゴリ押しした結果、最初の2シーズンを迷走し、棒に振ることになってしまったのが致命的。ド素人が口出しするとロクなことはないという見本だろう。
 「新スター・トレック」→「ディープ・スペース・ナイン」→「ヴォイジャー」とそれまで続いてきた3つのシリーズがどれも大傑作だったために期待値のハードルがめちゃくちゃ上がっていたのも運が悪かった。レコードで言えば、イーグルスの「The Long Run」やフリートウッド・マックの「Tusk」、エイジアの「Alpha」のように作品としての出来は決して悪くはないのに(←私はこの3枚どれも大好きです)それぞれ「Hotel California」「Rumours」「Asia」といった偉大なる前作のせいで物足りなく感じられ、駄作扱いされてしまうという非常に気の毒なパターンだ。
スター・トレック エンタープライズ

スター・トレック エンタープライズ シーズン2


 ネガティヴな要素ばかり書き連ねてしまったが、シーズン4からはリック・バーマン&ブラノン・ブラーガのコンビが製作から外され、マニー・コトが新たに脚本を担当し始めてやっとスタトレ本来の精神に立ち返り、バルカンの内紛やロミュランの陰謀etcを扱った傑作エピソードを数多く生み出した。ちょうど「マンダロリアン」でスター・ウォーズを救ったジョン・ファヴローみたいなもんだろう。とにかくマニー・コトが担当したエピソードはめちゃくちゃ面白いし、他のシリーズとの整合性も上手く考えられているので超オススメ。時すでに遅しで「エンタープライズ」は道半ばにして打ち切りが決まってしまったが、シーズン4は観て損はない傑作エピソード揃いなので(←ただしリック・バーマン&ブラノン・ブラーガが復帰した最終話はゴミクソ...)、「エンタープライズ」ブルーレイをどれか1枚というなら迷うことなくシーズン4を推したい。
スター・トレック エンタープライズ シーズン3

スター・トレック エンタープライズ シーズン4


 「エンタープライズ」で私が一番気に入っているのはシュランというキャラの存在だ。このシュランは、昔アコムのTV CMに出ていた “ラララむじんくん” という頭から2本の触覚が生えた宇宙人にそっくりなアンドリア人という種族なのだが、宇宙人のくせに(?)まるで昔の東映任侠映画に出てくるような漢気(おとこぎ)を見せてアーチャー船長を救うところがグッとくる。“お前に助けられた借りを返さないと夜ぐっすり眠れない” とか言ってアーチャーと共闘するツンデレぶりがたまらないのだ。信頼できる筋の情報によると、もしもシーズン5が作られていたらこのシュランをレギュラーとして抜擢するというプランがあったらしいが、それも大いに納得できるくらい大きな存在感を放っている。因みにシュランが登場するエピソードは、7「汚された聖地」、15「恩讐を越えて」、41「戦場の絆」、65「アンドリア人の協力」、76「最終決戦」、85「バルカンの夜明け」、89「ロミュランの陰謀」、90「氷窟の民」、98「最後のフロンティア」なので、未見のトレッキーはぜひ一度ご覧あれ。
Captain Archer Helped To Mediate Peace Between Andorians and Vulcans

「スター・トレック: ピカード」

2024-01-07 | TV, 映画, サントラ etc

 私は筋金入りのスター・トレック・ファン、いわゆるトレッキーである。映画がメインのスター・ウォーズとは違い、スタトレはあくまでもTVドラマ・シリーズが主体であり、映画は言ってみればオマケみたいなもの。これまで「宇宙大作戦(The Original Startrek)」、「新スター・トレック(The Next Generation)」、「ディープ・スペース・ナイン(Deep Space 9)」、「ヴォイジャー(Voyager)」、「エンタープライズ(Enterprise)」、「ディスカバリー(Discovery)」そして「ピカード(Picard)」の7つのシリーズが放送されてきており、今現在も「ディスカバリー」のファイナル・シーズンと「Strange New Worlds」という新シリーズがアメリカで放送中だ。
 私が本格的にスタトレにハマったのは1990年代の初め頃に関西テレビの深夜枠でやっていた「新スター・トレック」からなので、今でも私にとってのスタトレと言えば何はさておきパトリック・スチュワート演じるピカード艦長の「新スター・トレック」である。スター・トレックというのはザックリ言えば未来宇宙を舞台に様々な地球外生命体を登場させながらも、その本質はクルーたちの人間関係をリアルに描いたヒューマン・ドラマであり、今回取り上げる「ピカード」もピカード艦長を中心に「新スター・トレック」放送当時のオリジナル・メンバーやQ、ボーグ、可変種といった重要キャラが総登場するという、ある意味スタトレの集大成のような内容になっている。私にとって数あるスタトレ・シリーズの中でも「新スター・トレック」というのは音楽に例えるならまさにビートルズのような絶対的存在であり、今回取り上げる「ピカード」は言ってみれば “約30年ぶりの再結成” みたいなモンだろう。
 最初、「ピカード」のシーズン1を観た時は年老いたピカード艦長(←撮影当時のパトリック・スチュワートは何と79歳!)の姿が結構ショックだったのと、シンス(人工生命体)の自我・独立を扱った脚本の中身が地味でいまいちピンとこなかったが、それらを補って余りあるのが映画「ネメシス」で自らを犠牲にしてピカード艦長を救ったデータ少佐の再登場で、ブレント・スパイナーの名演技が見れるだけでも価値があるのに、ストーリーにジャズのスタンダード・ナンバー「Blue Skies」を絡めて感動的なエンディングにもっていくところが実に粋で、このあたりはさすが本場アメリカやなぁ...と唸ってしまった。
「スター・トレック: ピカード シーズン1」


 データ少佐の存在におんぶにだっこだったシーズン1に比べ、シーズン2ではQやボーグ・クイーン、ガイナンといったピカードにゆかりの深いキャラが続々と登場することもあって面白さが大幅にアップ! Qによって変えられた時間軸を元の正常な形に戻すためにセブン、ラフィ、リオス、アグネスといったピカードの新しい仲間たちがボーグ・クイーンを巻き込んで奮闘するタイムトラベル物のストーリーは手に汗握るものだし、第1話で張られた伏線や謎が最終第10話で見事に回収される様は痛快そのものだ。
 そんな中でも私が一番グッときたのはピカードとQが最後に別れのハグをする場面で、トレッキーならQを演じるジョン・デ・ランシーの名演技に涙腺が決壊すること間違いなし(T_T)  「新スター・トレック」からずーっと続いてきた二人の関係の終わり方としてはこれ以上のものは考えられないだろう。Qが最後に言った “サプライズ”(→エルノアが生き返った!!!)も視聴者がスカッとする後味の良さだ。
 それと、シーズン1で出てきたロミュラン人のラリスが、時間軸が分岐する21世紀の地球におけるピカードのガイド的な役どころのタリンとして一人二役で登場するのだが、演じているオーラ・ブレイディという女優さんが私好みの美人で、このシーズン2でほぼ準レギュラー的な扱いで出てくるのがめちゃくちゃ嬉しい。
「スター・トレック: ピカード シーズン2」


 シーズン3はピカード、ライカ―、ビバリー、データ、ウォーフ、ラフォージ、ディアナという「新スター・トレック」の黄金時代を飾ったエンタープライズ号のクルーたちが再集結して進化した可変種や最大の敵ボーグと戦うという展開に涙ちょちょぎれる。しかもガイナンやロー・ラレン、シェルビー少佐にモリアティ―教授、更にヴォイジャーからトゥヴォックまでも登場させるという大盤振る舞いに喜ばないトレッキーはいないだろう。
 敢えて難を言えば、シーズン2が “新たなる脅威” に対してボーグ・“ジュラティ”・クイーンが暫定的とはいえ連邦と同盟を結んでこの宇宙域の番人になるという衝撃的な終わり方をして今後の展開が楽しみだったのに、シーズン3のフタを開けてみればまるでシーズン2が無かったかのような設定でストーリーが進行することで、シリーズ間の整合性に疑問符が付くことぐらいか。理想を言えばシーズン3ではシーズン1で描いた人工生命体のその後とシーズン2で描いた新たなる脅威とを絡めた展開に持っていき、シーズン3の話は劇場版の映画にでもすれば良かったのかなぁと思う。
 ただ、この「ピカード」というドラマは、シーズン1でピカードの “友” であるデータ少佐との別れを描き、シーズン2で良くも悪くも腐れ縁といってもいい “絆” を感じさせる Q との別れを描き、そしてファイナル・シーズンでは満を持して “家族” とでもいうべきエンタープライズ号のクルーたちと共に去り行くピカード艦長を描く... というのがこのシリーズのコンセプトだったと考えるとすべてにおいて合点がいく。言い換えれば、この「ピカード」というシリーズは一世を風靡した「新スター・トレック」に用意された “実に美しい花道” と言っていいのかもしれない。
「スター・トレック: ピカード ファイナル・シーズン」

John Wick 4 Original Soundtrack

2023-11-19 | TV, 映画, サントラ etc
 私は好き嫌いがハッキリした人間で、映画はSFとアクション物しか観ない。要するに “広く浅く” の真逆を行く “狭く深く” が私の流儀なのだ。作品で言うと、「スター・ウォーズ」、「スター・トレック」そして「ジョン・ウィック」が3本柱で、これらのシリーズは何十回、いや、何百回と繰り返し観て楽しんできた。先月このブログに書いた「ジョン・ウィック4」も劇場で2回、そしてブルーレイは既に10回以上は観たが、飽きるどころかまだまだコーフン冷めやらずといったところだ。
 言うまでもなくこの映画はその怒涛のアクション・シークエンスが圧倒的な見どころなのだが、そこで使われている音楽もまた素晴らしい。もちろん楽曲単体でもそれなりに楽しめるが、映像を観ながら聴くとその魅力が何倍にもアップするという、サントラの鑑のような作品ばかりなのだ。ということで今回は世界に先駆けて日本で先行発売された「ジョン・ウィック4・オリジナル・サウンドトラック」CD、そしてオフィシャルのサントラ盤には入っていないけれどこの映画に無くてはならない音源について書いていこうと思う。

①Osaka Phonk / Le Castle Vania
 大阪コンチネンタル・ホテルが登場するシーンのバックで流れていたオリエンタルなムード横溢のエキゾチックなナンバーがこの「Osaka Phonk」だ。この曲はオフィシャル・サウンドトラック盤には収録されておらず、Le Castle VaniaがEPとして発表した音源をダウンロード(←アナログ人間の私にはMP3音源で “EP” という言い方はめっちゃ違和感がある...)するしかないのが非常に残念。音楽配信/ダウンロードというシステムを生理的に受け付けない私のような古いタイプの人間にとっては住みにくい世の中になったものだ。
John Wick: Chapter 4 (2023) - Osaka Continental | 4K HDR CLIP ALARAKHS HDR Grading Showcase


②Marie Douceur, Marie Colère / Manon Hollander
 グラモン侯爵の指示でDJが殺しを煽るという設定の中、パリの街中の大乱闘シーンのバックで流れるのがマノン・ホランダーという女性歌手がストーンズの「Paint It Black」をフランス語でカヴァーした「Marie Douceur, Marie Colère」だ。「Paint It Black」のフレンチ・カヴァーといえばマリー・ラフォレが真っ先に思い浮かぶが、こちらのヴァージョンもそれに勝るとも劣らない素晴らしい出来栄えだ。映画館で初めてこのシーンを見た時、女DJの “I think it's high time we paint him red...” という言葉で “えっ、ここでまさかのストーンズ来るんか?” と身構えたのだが、間髪を入れずに例のイントロが流れた時はカッコ良すぎて震えがきた。
John Wick: Chapter 4 (26M Bounty Scene) Paint It, Black | High Definition 1440p |


③Hate Or Glory / Gesaffelstein
 凱旋門の周回道路での超高速戦闘シーンで流れるクソカッコ良い曲がゲサフェルスタインの「Hate Or Glory」だ。感情を持たない殺人マシーンのように一人また一人と敵を処理していくジョン・ウィックのアクションと硬質な電子音が炸裂するアグレッシヴなサウンドが絶妙にシンクロしてカッコ良いことこの上ない。単調なフレーズの繰り返しが生み出す高揚感がたまらんたまらん... (≧▽≦)
John Wick 4 - Arc De Triomphe scene


④LED Spirals / Le Castle Vania
 焼夷弾で次から次へと敵を火だるまにしていくジョン・ウィックの戦いっぷりを上から俯瞰する映像のバックで流れるのがLe Castle Vania の「LED Spirals」だ。この曲は「ジョン・ウィック1」でもクラブ「レッド・サークル」でロシアン・マフィアのバカ息子を追い詰めていくシーンで使われて強烈なインパクトを残したが、この「4」でもジョン・ウィックが無慈悲に敵を撃ち殺していくシーンに無機質なビートが絶妙にマッチしており抜群の効果を上げている。映像と音楽をリンクさせるチャド監督のセンスには脱帽だ。
John Wick: Chapter 4 | 4K HDR | Overhead Gun Fight - Dragons Breath Rounds


⑤Eye For An Eye / Rina Sawayama
 ラストの墓地のシーンに続いて流れるエンディング・テーマはシマヅ(真田広之)の娘アキラ役で素晴らしい演技を見せたリナ・サワヤマが歌う「Eye For An Eye」だ。歌が本職とあって映画のラストを飾るに相応しい堂々たる歌声を聞かせてくれる。調べてみたらエルトン・ジョンと共演したり、2ndアルバムが日本人歴代最高記録となる全英チャート3位に入ったりと、今が旬のアーティストのようだ。彼女が参加したメタリカのカヴァー・アルバム(←声がかかるってだけで凄いなぁ...)の「Enter Sandman」も貼り付けておいたので興味のある方はどーぞ。
Rina Sawayama – Eye For An Eye (John Wick: Chapter 4 Original Motion Picture Soundtrack)

Rina Sawayama – “Enter Sandman” from The Metallica Blacklist


【おまけ】
 凱旋門の大乱闘シーンのメイキング映像をYouTubeで見つけた。へぇ~、あのシーンはこんな風にして撮ってたのか... とビックリ。VFX技術って凄いですな...
John Wick 4 - Arc De Triomphe - VFX Breakdown by Rodeo FX

【超絶アクション】ジョン・ウィック:チャプター4【大興奮】

2023-10-06 | TV, 映画, サントラ etc
 「ジョン・ウィック:チャプター4」を観に行ってきた。ちょうど日本公開日が9/22(金)だったので、早く観たいけれど人間嫌いの私は(←映画館で他人が横におるのがすごく嫌...)土日明けの25(月)のレイト・ショーで鑑賞。あれからもう10日以上経つが、未だに興奮冷めやらずといった感じで、USアマゾンで取り寄せたブルーレイ(←9/25の晩に帰ってすぐ注文してからたったの1週間で届いたのにはビックリ...)をほぼ毎晩繰り返し観ているし、車の中ではブルーレイから抽出した音声をエンドレスで聴きまくっていて(→銃撃音がハンパないので信号待ちで停まった時とか、さすがにちょっと恥ずかしい...)、気分はすっかりキアヌ・リーブスだ。というワケで今日は「ジョン・ウィック4」の感想・考察を書いていこうと思う。
 この映画は3時間近い長編で、しかもアクション・シークエンスが質・量共にハンパない。とにかくこれでもかとばかりに次から次へと凄まじい戦闘シーンが連続して出て来るので、普通の神経をした人なら感覚が麻痺してしまうかもしれない。因みにジョン・ウィック・シリーズの死者数を数えた動画がYouTubeにアップされているのだが、それによると「1」が84人、「2」が118人、「3」が84人、そしてこの「4」は過去最多の178人というのだからこれはもう凄いとしか言いようがない。又、IMAXで見たおかげで凄まじい銃撃音や爆音をリアルに体感することができて大満足。これから観ようという人には IMAXで観ることを強くオススメしたい。
 このジョン・ウィック・シリーズの原点である「1」はいわゆるひとつの “ナメてた相手が実は殺人マシンでした...”型映画の王道を行く作品だったが、その続編である「2」「3」ではその “殺し屋ワールド” をどんどん拡張していく方向に舵を切ってマンネリ化を防ぎ、敵がどんどんスケールアップしていく中で懸賞金目当ての殺し屋たちに命を狙われながらも一撃必殺で返り討ちにしていくという痛快な展開が超胸熱! 「3」のエンディングを見た私は、ジョンがここからどうやって主席連合(←世界有数の犯罪組織が結びついて出来上がった巨大な闇組織)にリベンジし、どのように決着を付けるのかワクワクしながら新作の「4」を待っていた。
 主席連合に対するジョンの復讐劇は「3」で彼の指と指輪を奪った首長(主席連合のトップ)へのお礼参り(!)からスタート。首長役がアラブ人らしいミステリアスな雰囲気を上手く出してた前回の俳優さんとは違っていたのが残念だったが、絵に描いたような “眉間に一発” で仕留めて観る者のワクワク感を煽っていくところはさすがという感じ。どうせなら「3」に出てたあのクソ生意気な裁定人の女にもリベンジしてほしかったところだが、そんなことしてたら3時間を超えてしまうか...(笑)
 NYコンチネンタル・ホテルの爆破やウィンストンのコンシェルジュだったシャロンの射殺というショッキングな展開で敵役のグラモン公爵の冷血ぶりを描いた後、舞台は前半の山場というべき「大阪編」へと移る。そこでは大阪コンチネンタル(→「初志貫徹」のネオンサインや夜桜のライトアップにワロタ...)の支配人シマヅ役の真田広之がめっちゃ存在感があって、何度観ても惚れ惚れする。特にジョンの “メイワクカケテ スマナイ” に対する “Friendship means little when it's convenient.(困った時こそ大事なのが友情だ)” には痺れたし、ホテルに乗り込んできた敵を迎え撃つ時に “お客様のご到着だ。おもてなしの準備を。” と部下に指示するところや、敵と対峙して緊張感が極限まで高まる中、“撃て!”と叫ぶ姿も超カッコ良かった。又、ガードがスモウレスラーで武器が刀・弓矢・手裏剣と、いかにも “外国人が考えそうな日本” 的要素が満載なのも面白かった。
John Wick 4 – Friendship means little when it's convenient

John Wick 4 - High Table invades Osaka Continental 

 シマヅの娘アキラ役の女優さん(リナ・サワヤマ)もキレッキレの動きで見応え十分! 銃だけでなく弓矢やナイフを駆使して自分よりも遥かに体格で勝る敵を仕留めていく様は痛快そのもので(←彼女のスタントダブルを演じた伊澤彩織さんのアクションも凄かった...)、特に必死で逃げようとする大男に馬乗りになって背中をナイフでメッタ刺しにするシーンは鬼気迫るものがあった。この人凄いなぁ... と感心して後で調べてみたら、本業は何とイギリスで活躍するシンガー・ソングライターで、メタリカのチャリティー・トリビュート・アルバムに参加して「Enter Sandman」をカバーしているというのだからビックリ(゜o゜)  これが女優初挑戦ということを頭に入れてもう一度あの凄まじいアクション・シーンを見ると驚倒すること間違いなしだ。
John Wick 3: Osaka Hotel Scene 2


 盲目の腕利き殺し屋ケイン役のドニー・イェンの演技も光っていた。ドンパチのさなかにまるで他人事のように涼しい顔でラーメンをすすっているシーンには大いに笑えたが、雇い主から “仕事しろ!” と言われて面倒くさそうに超絶テクニックで敵を仕留めていくところ(←緊張感溢れる戦闘シーンでの “ピンポン”センサーにはクソワロタ...)はさすがの一言。ドニーはスター・ウォーズ・スピンオフ映画の最高傑作「ローグ・ワン」でも “フォースを信じる盲目の戦士” を演じて強烈なインパクトを残したが、今回の「ジョン・ウィック4」でもMVP級と言ってもいいくらいの大活躍だ。因みにこの “盲目” というコンセプトは映画「座頭市」へのオマージュだろう。
Caine Osaka Fight Scene


 「大阪編」でもう一つ印象に残っているのが、シマヅがジョンをホテルから逃がす時に言った “ひとつ頼みがある... できるだけ多く殺していってくれ” というセリフで、これには思わず大爆笑(^.^)  とにかくこの映画には作り手側の遊び心が満載で、それはセリフであったり、さりげない動作であったりと、手を変え品を変えながら観る者を笑わしにくるのだ。ド派手なアクションだけでなく、そういったユーモアのセンスにもこのシリーズの人気の秘密が隠されているのだろう。それと、本物とは全然似てない梅田駅(←どうしても「ニッポンウイスキー 飛沫」の看板に目が行ってまう...)や地下鉄車内の描写(←プラスチック製のピカピカな座席はどう見てもアメリカの地下鉄やん...)にも笑ってしまった。
John Wick 4: Osaka scene 4


 この映画は全編アクション/戦闘シーンの塊みたいなモンだが、アクション・シークエンスの面白さで言うと、ラスボスのグラモン公爵との決戦が行われた「パリ編」が断トツに素晴らしい。222段の“階段落ち”(←キアヌが自分からガンガン回転して落ちにいってるところはもうギャグそのもの... たまたま後ろで観てたおかんが “ネイマールみたいや!” って大笑いしとった...)や、敵に対して焼夷弾を撃ちまくるシーン(←まるで人間松明やん!)を上から俯瞰するカメラワークなど、よくもまぁこれだけ色んなアイデアが浮かんでくるものだと感心してしまうが、私的に一番衝撃的だったのが凱旋門前の周回道路で走ってくる車を避けながら殺し屋軍団と闘う大乱闘シーンで、まるでゲームの世界のような現実離れした戦闘シーンの連続(→防弾背広強力すぎwww)は文句なしにアクション映画史上最高レベルの面白さと言っていいと思う。いやぁ、コレはホンマに凄いですわ ... (≧▽≦)
John Wick 4 - Arc De Triomphe scene

Overhead Gun Fight

John Wick falls down the stairs


 そんなこんなで最後の決斗を終えて朝日が昇る中、階段に倒れ込むジョンの姿から場面が切り替わって、ニューヨークの墓地でウィンストンとバワリー・キングがジョンの墓の前に佇むシーンが映し出され、ウィンストンが “ダスビダーニャ、マイ・サン(さらば、わが息子よ)” と呟いて去っていくのだが、不死身のジョンがあの程度で本当に死んでしまったとは考えにくい。これはあくまでも “ババヤガ(殺し屋)としてのジョン” の死を示唆しているのであって、ジョン自身はどこか人里離れた山奥で亡き妻の思い出と共に静かに引退生活を送っているのではないか... と思えてならない。
The Death Of John Wick


 この映画は一旦エンドロールが終わった後、花束を持って娘に会いにいこうとするケインにナイフを持ったアキラが忍び寄るシーンが映し出されてで終わる。これはシマヅを殺したケインが “報い”、すなわち “コンセクエンス” を受けるということを暗示しているのだろう。アクション・シークエンスのテンコ盛りでお腹一杯にさせた後、最後の最後で “すべての行いには報いがある” というこのシリーズのテーマをぶっ込んでくるあたりにもチャド監督のセンスの良さがうかがえるというものだ。
John Wick Chapter 4 end credits scene


 とまぁこのようにこの「John Wick 4」は100点満点をあげたいくらい気に入っているが、唯一不満なのは日本版トレイラー(予告編)のせいで最後の結末がネタバレしてしまったこと。ジョンがむくっと起き上がって “報いだ!” と叫んでグラモン公爵を射殺するどんでん返しのシーンを予告編に入れるアホがどこにおんねん!とポニー・キャニオンに文句の一つも言いたくなってくるが、映画自体はシリーズ最高傑作であると同時にアクション映画史上に燦然と輝く金字塔と言っても過言ではない。私としては早くも「チャプター 5」が見たくなってきた...