shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「夢みるシャンソン人形」特集① 【王道カヴァー編】

2013-10-30 | Cover Songs
 私はどちらかというとアーティストよりもむしろ曲に固執するタイプの人間で、 “この曲が入ってたら必ず買う” と心に決めている愛聴曲は少なくない。洋楽なら「さすらいのギター」や「デイドリーム・ビリーバー」、邦楽なら「涙の太陽」や「さらばシベリア鉄道」なんかがすぐに思い浮かぶが、私がそんな “曲コレクター” になったきっかけが何を隠そうフランス・ギャルの「夢みるシャンソン人形」で、2004年の夏ぐらいからこの曲のカヴァーを集め始め、9年かかって先日ついに100ヴァージョンを達成したのだ\(^o^)/ オリジナルを含めるとまさに “101匹夢シャン大集合” 状態なので、その中から選りすぐった名演をテーマ別に紹介していこうと思う。第1回の今日はポップで楽しい “王道カヴァー編” です。

①Jenifer
 最近手に入れたこの曲のカヴァーで断トツに気に入っているのがジェニファーというフランス人女性シンガーのヴァージョンだ。彼女は特に歌が上手いというわけではないのだが、歌とバックの演奏とのマッチングが素晴らしく、怪しげな雰囲気横溢のイントロ、ノリの良さに拍車をかけるハンドクラッピング、絶妙な器楽アレンジを施されたストリングス、隠し味的に使われているアコギetc、その作り込みの見事さに唸ってしまう。尚、この曲が入っているアルバム「Ma Declaraion」(←ジャケットの赤が効いている!)ではもう1曲ギャルの「Laisse Tomber Les Filles」(邦題:娘たちにかまわないで)をしっとりとしたスロー・テンポ(!)でカヴァーしており、ギャル・ファンにとってはたまらない1枚だ。
Jenifer - Poupee De Cire Poupee De Son


②Kim'Kay
 ベルギーの不思議キャラ・アイドル(?)、キム・ケイが歌う夢シャンも大好きなヴァージョンだ。シンセ音全開で迫るダンサブルなエレクトロ・ポップ・アレンジが彼女の屈託のない元気な歌声とピッタリ合っており、この曲の魅力を見事に引き出している。彼女の声質は本家のフランス・ギャルと非常に似ており、特にサビの “プペドゥスィ、プッペドゥ ソーン♪” の鼻にかかった声なんかそっくりだ。そういえば数年前にG3で夢シャン・カヴァー特集をやった時にplincoさんが絶賛されてたのがこのキム・ケイだった。さすがエエ趣味してはるわ(≧▽≦)
Kim Kay - Poupee de cire (Super 50) LQ


③松本英子
 J-Popsに疎い私はこの松本英子という人のことは全く知らなかったが、夢シャン・カヴァーを探していて巡り合ったこのヴァージョン(←「君の音」というアルバムの Additional Track として収録)は聴き応え十分の正統派カヴァーだ。鼻から抜けるような(?)高い声もかなりユニークで印象に残るし、ギャルのヒット曲「Laisse Tomber Les Filles」のサビのメロディーをうまく使ったアレンジも秀逸。何よりもすべてフランス語で歌いきってしまうところが凄い(≧▽≦)
松本英子 - 夢見るシャンソン人形 Poupee de cire, poupee de son


④ジューシィ・フルーツ
 ジューシィ・フルーツの4thアルバム「27分の恋」収録のこのカヴァーは「夢見るシェルター人形」というタイトルで、核戦争を皮肉った歌詞が強烈なシニカル・夢シャンだ。特に “星より綺麗な核ミサイル~ はじけて街中が光になったのぉ~♪” とか、“触れたら溶けそうな 危険な雨でも~♪” のラインなんかもう最高! そんなヘヴィーなテーマの歌詞をキャッチーなメロディーに乗せ、ジューシィ・フルーツお得意のポップなオブラートで包んだところがこのヴァージョンの面白さだと思う。イリアの弾けるようなヴォーカルも最高だ(^o^)丿
Juicy Fruits - Poupee de cire, poupee de son
コメント (2)

夢見る般若心経 / 仏ギャル

2013-10-26 | Cover Songs
 YouTube でめっちゃオモロイもんを見つけた。フランス・ギャルの「夢みるシャンソン人形」のメロディーに乗せて般若心経を唱えるという前代未聞の抱腹絶倒カヴァー「夢見る般若心経」である。ご丁寧に「Poupee de cire, Poupee de son & Prajna para mita sutra」という英題まで付けられており、しかもアーティスト名が “仏ギャル” というのだから大笑い。その斬新な発想とユーモアのセンスに脱帽だ。
 “メガヒット曲と般若心経のまさかの異次元コラボ! インディーズながらもメジャーと同等の活躍をみせ、話題を集める新鋭の女性歌手、仏ギャル。56億7千万年後に現れた、煩悩うるおう仏(フレンチ)ポップ!” という煽り文句も秀逸。要所要所でここぞとばかりにチーン♪と鳴り響く鐘の音も大いに笑わせてくれるし、幼稚園児が書いたようなヤル気のないジャケット(?)もそのキワモノ感に拍車をかけている。お香でも焚いて、曲に合わせて木魚を叩きながら聴けば浮かばれること間違いなしだ。
 それにしても般若心経がこんなにオシャレに聞こえるとは...(←何となくフランス語っぽく聞こえるのは気のせいか?) これでヴォーカルと木魚の音をもう少し大きくミキシングしていれば完璧だっただろう。
 ここのところ藤圭子や梶芽衣子といったへヴィーで濃厚な昭和歌謡が続いたので、たまにはこんなお気楽カヴァーを聴いて楽しむのもいいかもしれない。これで中和できたかな?
夢見る般若心経


【おまけ】こっち↓が本物。めっちゃ可愛い... (≧▽≦)
Poupee de cire Poupee de son Video
コメント (2)

銀蝶渡り鳥 / 梶芽衣子

2013-10-21 | 昭和歌謡
 梶芽衣子の主演映画の代表作といえば「女囚さそり」シリーズと「修羅雪姫」シリーズだと思うが、彼女のキャリアを語る上でもう一つ忘れてならないのが「さそり」の少し前に制作された「銀蝶」シリーズだ。1作目の「銀蝶渡り鳥」は彼女にとっての東映初主演作品で、芽衣子姐さん演じる主人公の名前が樋口ナミというのは「女囚さそり」の松島ナミを連想させるし、大立ち回りを繰り広げながら返り血を浴びて朱に染まっていく姐さんの和服姿は「修羅雪姫」のイメージそのものだ。
 続編といえる「銀蝶流れ者 牝猫博奕(めすねこばくち)」でも父親の仇を探して渡場をわたり歩く女札師の “緋桜のナミ” として敵暴力団の花会に乗り込んで行って大暴れする芽衣子姐さんの雄姿が楽しめ、その後の “復讐”& “無双” 路線の下敷き的な作品になっている。共演の千葉真一もエエ味を出しており、1作目の梅宮辰夫や渡瀬恒彦も含め、芽衣子姐さんの脇を固める俳優陣も実に豪華な顔ぶれだ。そういえばデビューして間もない八代亜紀(←当時まだ22歳でめっちゃ若い!!!)がクラブ歌手役で出ていたのにもビックリ(゜o゜)  ディープなマニアは1作目に高校生ホステス役で出ているフラワー・メグたんにもご注目。
 この「銀蝶」シリーズは圧倒的なインパクトを誇る「女囚さそり」シリーズの陰に隠れてしまった感があるが、ブイブイいわしていた70年代前半の東映らしさ全開のコテコテ任侠路線が楽しめる。芽衣子姐さんは見たいけど「さそり」はさすがにちょっとシンドイな...という人にピッタリの映画だと思う。
映画「銀蝶流れ者 牝猫博奕」予告編


 1972年にリリースされたこの「銀蝶渡り鳥」という盤はそんな「銀蝶」シリーズの主題歌が入った彼女の1stアルバムで、彼女にとって4枚目のシングルでもあるタイトル曲のA①「銀蝶渡り鳥」は芽衣子姐さんの芯の強いヴォーカルと独特の節回しで心の琴線をビンビン震わせるような昭和歌謡の王道メロディーを楽しめるスーパー・ウルトラ・キラー・チューンだ。ツボを心得たピアノのオブリガートに歌心溢れるソプラノ・サックス、ファズを効かせたギターと、バックの演奏も完璧で、まさに芽衣子ファン必聴の名曲名演だと思う。因みに作詞は川内康範、そして作曲は何と「夢は夜ひらく」の曽根幸明だ。
銀蝶渡り鳥


 同じ川内&曽根コンビの作品で同映画の挿入歌として使われていたA④「銀蝶ブルース」もいい。映画ではちょうど和服姿の彼女が(←この1作目の方は銀座のホステス役なので洋服姿が多い...)敵暴力団の組事務所へ乗り込んでいく場面でかかるのだが、これがもうばっちり映像と合っていて唸ってしまう。特にサビの “銀座は蝶の 銀座は蝶の 夜の宿~♪” のラインがたまらんたまらん(^o^)丿 昭和歌謡に欠かせないグラント・グリーンちっくなギターもエエ味を出している。この後のクライマックス・シーンにおける芽衣子姐さんの “大和田さん、アンタが生きてちゃ銀座のネオンが曇るんだよ... 死んでもらうよ” のセリフにもシビレます(≧▽≦)
銀蝶ブルース


 映画絡みの曲を中心にしたA面に比べ、B面はアーリー70'sの歌謡界を反映したような作風の曲が並ぶ。芽衣子節を封印した歌謡ポップスB④「心のこり」やいしだあゆみを想わせるノンビブラート唱法に驚かされるB⑥「愛への期待」なんか “これがあの梶芽衣子???” という感じで実に面白かったが、そんな中で私が一番気に入っているのがB①「浜辺のメルヘン」だ。この曲は彼女のサード・シングルで上記2曲と同じく川内&曽根コンビの作品なのだが、曲調は任侠の “に” の字も感じさせないバリバリのGS歌謡で、 “これがあの「恨み節」と同じ人???” と疑いたくなるぐらい声色も歌唱法も違う。梶芽衣子ってこんな歌い方も出来るんやねぇ...(^.^) GS色の濃いギター・フレーズやシンガーズ・スリーによるコーラス・ワークも雰囲気抜群だ。
浜辺のメルヘン
コメント (2)

ゴールデンスター・ツイン・デラックス / 梶芽衣子

2013-10-15 | 昭和歌謡
 少し前のことになるが出張で大阪へ行く機会があり、用事が予定より早く済んだので久しぶりにレコード屋を廻ってみることにした。特にどのレコードを探してというのではなく、何か掘り出し物があればエエなぁぐらいの軽いノリで思いついたのだが、この1年ほどオークション一辺倒だったので今時のレコ屋事情はどーなってるんかいなという好奇心もあり、とりあえずミナミの日本橋界隈から攻めてみることにした。
 いつものようにミント→ナカ→サウンドパック辺りからスタートし、順に南下していくコースを取ったのだが、どのお店も “おっ!” と目を見張るような盤はないし、何よりも客が少ない。大阪では老舗の一つだった大十が閉店していたのにもビックリ(゜o゜)  ネットオークション全盛の今、商品の回転が悪いレコード屋は生き残っていけないというシビアな現実を見る思いだ。次に行ったディスクJJなんかもうガラガラで閑古鳥が鳴いており、大十の次はココがヤバそうな雰囲気だ。結局6店廻って収穫はゼロ、このまま手ぶらで帰るのも癪なので、梅田方面も行ってみることにした。
 まず最初に行ったのが第2ビルB2Fにある名曲堂。ここは小さなお店なのに商品の回転が速く面白いレコードが見つかることが多い。今回も弘田ミコたんのシングル盤に一瞬心が揺らいだが、結構なお値段だったので泣く泣くパス。ネットでもお店でも自分の考える値付けより高いものは絶対に買わないのが貧乏コレクターの鉄則だ。
 次に行ったのは一時期このあたりにいくつも店を構えてブイブイいわしていたカーニバル・レコード。今はさすがに経営が厳しいのか2店舗に統合して細々とやっているようだが、ここの歌謡曲LPの在庫は意外と充実しているので侮れない。さすがにそれまで廻ってきたどの店よりもブツが豊富やなぁ... と感心しながらエサ箱を漁っていてヒョイと引いたのがこの「ゴールデンスター・ツイン・デラックス / 梶芽衣子」というベスト・アルバム。裏返して曲目を見ると、彼女のオリジナル曲に加えて「アカシア」や「カスバ」、「東京流れもの」といった昭和歌謡の大スタンダード曲のカヴァーが入っているではないか! これらはみんな6枚組CDボックスにすら入っていない未CD化音源ばかりで、彼女のカヴァーと言えば「夢は夜ひらく」しか知らなかった私はテンション上がりまくり(≧▽≦)  盤質がNMで1,900円なら超お買い得だ。いやー、ホンマに梅田まで来た甲斐がありましたわ。たまには出張もエエですな(^.^)
 このアルバムは2枚組で、A面とC面に「恨み節」や「修羅の花」といった彼女のオリジナル曲を配し、B面にはカヴァー曲、D面には映画「女囚701号さそり」のサウンドトラック(←芽衣子姐さんのナレーションがこれまたカッコエエのよね...)を23分丸ごと収録という構成になっている。家に帰ってイの一番にターンテーブルに乗せたのは当然B面のカヴァー曲集だ。
 まずは西田さっちゃん、いや60年代歌謡曲屈指の名曲B-①「アカシアの雨がやむとき」だが、彼女の少し細いけど芯のある伸びやかなヴォーカルが気持ち良く、オリジナルとは又違った味わいの “芽衣子のアカシア” が楽しめる。ただ、エンディングの軽薄なギターが曲想をまったく理解していないかのような無神経さでゴチャゴチャうるさいのが玉にキズ(>_<)  以前藤圭子特集の時に取り上げたB-②「芽衣子の夢は夜ひらく」は歌・演奏・アレンジすべてにおいて文句なしの名演で、この曲のカヴァーでは1,2を争う愛聴ヴァージョン。イントロのピアノに続いて聞こえてくる “ラララ ララララ~♪” が強烈な吸引力で聴く者を “芽衣子ワールド” へと誘うキラー・チューンだ。
アカシアの雨がやむとき

芽衣子の夢は夜ひらく


 B-④「東京流れもの」も藤圭子特集で取り上げた名曲で(←梶芽衣子と藤圭子ってキャラが被ってるところがあり、カヴァー選曲の傾向も似てますね...)、芽衣子姐さんの東映任侠路線の王道を行くようなやさぐれヴォーカルが細かいところまで好アレンジの行き届いたバックの演奏と相まって実にエエ味を出している。この曲のカヴァーでは “剛の藤圭子” と “柔の梶芽衣子” が私的トップ2ヴァージョンだ。B-⑥「カスバの女」はこのブログではお馴染みの愛聴曲で、ちあきなおみでこの曲に目覚め、青江三奈で更に深くハマり、藤圭子でトドメを刺された私にとってこの曲は重厚なイメージが染みついていたので、最初この芽衣子ヴァージョンを聴いた時は何か物足りなく感じたのだが、二度三度と聴くうちに彼女の愁いを帯びた儚いヴォーカルが心に沁みてきて脳内リフレインが止まらなくなり “この曲でこんな表現法があったのか!” とまさに目からウロコが落ちる思いだった。
東京流れもの

カスバの女


 カヴァー曲以外では映画「明日なき無頼派」の主題歌C-①「ジーンズぶるうす」がいい。さすがはバリバリの女優さんだけあってこの手の “語り風” ストーリーテリングものは抜群に上手い。凡百の歌手とは説得力が違うのだ。ちあきなおみの「喝采」を書いた吉田旺による歌詞も秀逸で、特に “ロックにブルース ウォウ ウォウ ウォウ~♪” のラインなんかもう最高にカッコイイ(≧▽≦)  日本刀や出刃包丁だけでなくショットガンも似合うクール・ビューティー(笑)、梶芽衣子のやさぐれた歌世界が堪能できる名唱だ。又、映画「さそり」シリーズの挿入歌A-③「女の呪文」もアーリー70'sな雰囲気が横溢しており、ある意味オリジナル曲の中で最も彼女の持ち味にピッタリな曲かもしれない。要所要所を引き締めるストリングスや隠し味的に使われているシロフォンなど様々な楽器が絶妙な器楽アレンジを施されており、この曲の名曲度アップに大きく貢献している。
ジーンズぶるうす

女の呪文
コメント (2)

修羅の花 / 梶芽衣子

2013-10-10 | 昭和歌謡・シングル盤
 今日も芽衣子姐さんネタでいこう(^o^)丿 彼女の主演映画で「さそり」シリーズと並ぶ代表作品が「修羅雪姫」だ。このシリーズも梶芽衣子の存在感が圧倒的で、海岸で土下座して命乞いする仲谷昇に対して眉一つ動かさずに “許しもしないし助けもしない!” と冷たく言い放ち一刀両断にするシーンがめちゃくちゃカッコイイし、降りしきる雪の中で大立ち回りを繰り広げ、彼女の白い着物が返り血で赤く染まっていくシーンも壮絶そのもの。とにかくこれほど血しぶきが似合う女性は他にいないだろう。日本映画界を代表するクールビューティー、梶芽衣子の鋭い “目力” も彼女の殺陣に凄味を増している。血まみれの彼女が白い雪の上に倒れるラスト・シーンのインパクトも強烈だ。
 主題歌の「修羅の花」がこれまた映画に負けず劣らず素晴らしい。作曲したのがあの平尾昌晃というのにもビックリだが、イントロの “チリリン チリリン♪” に続いて見事なソロを聞かせる尺八の枯れた音色が醸し出す哀愁が胸を締め付け、脳内リフレインが止まらない。とにかく私はこのイントロを聴いただけでもう “キタ━━━(゜∀゜)━━━!!!” と快哉を叫びたくなるぐらいこの曲に惚れ込んでいるのだ。彼女のちょっと細身のヴォーカルは “可愛い” と言ってもいいぐらい透明感に溢れ、控え目な色気を湛えた美しさで私を魅了するし、尺八からソプラノ・サックス、ストリングスに至るまでありとあらゆる楽器が “これしかない!” という感じで絶妙なアレンジを施され、曲想とベストなマッチングをみせている。知名度や売り上げは「恨み節」に及ばないかもしれないが、私はこの「修羅の花」こそが梶芽衣子の最高傑作だと思っている。
梶芽衣子 修羅の花


 タランティーノの「キル・ビル」が海外でも「Lady Snowblood」として人気が高いこの「修羅雪姫」へのオマージュ的作品であることは有名だが、映画のクライマックスであるユマ・サーマン vs ルーシー・リューの対決シーンでこの曲が流れてきた時は大袈裟ではなく鳥肌が立った。ハリウッド映画のハイライト・シーンに流れる芽衣子節はまさに痛快そのもので、挿入歌がこれほど効果的に使われた例を私は他に知らない。「デス・プルーフ」の「チック・ハビット」といい、「パルプ・フィクション」の「ミザルー」といい、この「キル・ビル」の「修羅の花」といい、映画の中で見事に音楽を使いこなすタランティーノの天才には脱帽だ。
 前回の「恨み節」と同じく、タランティーノを始め日本語の分からない外国人の心をもワシづかみにするこの「修羅の花」... 感情を抑制しながらあくまでもクールに淡々と歌う “目力姐さん” こと、梶芽衣子の魅力全開のキラー・チューンだ。
Kill Bill – The Duel, The Bride X O-Ren Ishii


【おまけ】YouTubeには外国人の素人さんが歌う「修羅の花(英題:The Flower Of Carnage)」がいっぱいアップされていてビックリ(゜o゜) キル・ビル効果ハンパないな... (≧▽≦)
「修羅の花」をデュエットで熱唱する男女... 何かめっちゃ笑える

「修羅の花」をソロ・ギターで奏でるアイルランド人男性... 哀愁舞い散る名演奏

「修羅の花」を歌うカナダ人の女の子... めっちゃエエ声してはるわ

「修羅の花」を弾き語りで歌うアルゼンチン女性... 雰囲気うまくつかんでるなぁ

「修羅の花」を歌うフランス人女性... 何となく日本オタクっぽいな
コメント (2)

怨み節 / 梶芽衣子

2013-10-05 | 昭和歌謡・シングル盤
 私はジャズであれポップスであれ歌謡曲であれ、ジャンルを問わずに美人女性ヴォーカルが大好きで、自分好みの女性シンガーのレコードは片っ端から買いまくる習性がある。ただ、ひとえに “美人女性” と言っても色々あって、例えばセクシー系ならティナ・ルイス、カワイイ系ならフランス・ギャル、昭和のイイ女系(?)ならいしだあゆみ、癒し系なら太田裕美あたりが真っ先に頭に浮かぶが、近寄りがたいほどの美しさを湛えた “クール・ビューティー” なら誰が何と言おうと梶芽衣子が私にとって断トツの№1である。
 私が初めて彼女の存在を知ったのは小学生の時で、「大江戸捜査網」に出ていた日本髪姿の彼女の美しさにドキドキしたものだった。その後テレビで彼女を見るたびに “めっちゃキレイな女の人やなぁ...” と惚れ直していたのだが、今から10年ぐらい前に任侠映画にハマってDVDをレンタルするようになり、イの一番に借りてきた「仁義なき戦い~広島死闘編~」と「新仁義なき戦い~組長の首~」に出演していた彼女を見て “芽衣子熱” が再燃、それ以降は彼女が主演した「女囚さそり」シリーズや「修羅雪姫」シリーズ、「銀蝶」シリーズに「野良猫ロック」シリーズをすべて制覇し、現在に至っている。要するに彼女は私が一番好きな女優さんなのだ。
 梶芽衣子という人は “天が二物を与えた” 女性で、飛び切りの美人なだけでなく歌の方も抜群に上手い。そんな彼女の代表曲と言えるのが「女囚さそり」シリーズの主題歌である「恨み節」で、何と120万枚を超えるミリオン・ヒット!!! 作曲したのは「キイハンターのテーマ」でお馴染みの菊池俊輔先生だ。尚、シングル盤のジャケットは2種類存在しており、刑務所の塀のイラストをバックにした “全身ヴァージョン” の方が希少なファースト・プレスで、彼女の鋭い目力(メヂカラ)を強調した “顔のアップ・ヴァージョン” の方がセカンド・プレスだが、私的には芽衣子姐さんのおみ足が拝める前者の方が好きだ。
 映画自体はアングラ臭がプンプン漂うカルト系作品で、特に第1作目なんかもうストーリーも演出もハチャメチャ(>_<)  刑務官がみんな軍用ライフル持っててすぐに撃ちまくるわ(笑)、突然口裂け女が出てきてそこだけホラー映画になるわ、所長役の渡辺文雄は目にガラス片が突き刺さってるのに平然と怒鳴り散らしてるわと、とにかくツッコミどころ満載のB級エログロ・ナンセンス路線なのだが、梶芽衣子演じる松島ナミの凛とした美しさを堪能できるだけでも十分見る価値があると断言したい。特に彼女の鋭い眼光はまるでサソリの毒のように私を痺れさせるのだ。
 そんな彼女が歌う主題歌の「恨み節」はとても女優さんの余技とは思えない素晴らしさで、自分を裏切った男への復讐の鬼と化した彼女の姿とその歌声がコワイぐらいにシンクロしており、観ていて背筋が凍りつくような抜群の効果を上げている。特に “憎い 悔しい 許せない~♪” の “怨念” 三段活用を絶妙なヴォイス・コントロールで歌いこなしているところが凄い。
 バックの演奏も言うことナシで、絶妙なタイミングで入ってくる泣きのガット・ギターが絶品だし、この前取り上げた藤圭子のシングル曲と同じくここでもトランペットのオブリガートが心に沁みる。藤圭子と言えば彼女もこの「恨み節」をカヴァーしていてそちらの方も聴く者の心胆を凍らしめるような凄いヴァージョンになっており、ドスの効いた低音ヴォーカルで迫る圭子姐さんを剛のラオウとすれば、高く澄んだ伸びやかな歌声で切々と歌う芽衣子姐さんは柔のトキといった感じだが、どちらも甲乙付け難い “怨歌” に仕上がっているので聴き比べてみるのも一興だろう。
 それと、彼女の大ファンを公言しているタランティーノが映画「キル・ビル」のエンド・ロールでこの曲を流したこともあって、「Urami Bushi」の海外での知名度の高さはハンパない。特にYouTube では “Meiko Kaji” 関連動画のコメント欄における外人率の高さは凄いモンがあり、英語はもちろんのことフランス語やらロシア語やら色んな国の言語が飛び交っていて、そのどれもがpositive評価なのだから恐れ入る。日本語の分からない外人さんの心の琴線を激しく震わせる魂のヴォーカルこそが梶芽衣子の真骨頂なのだ。
怨み節


【おまけ】YouTube で “Meiko Kaji” を検索していたらとんでもない映像を見つけてしまった。何とブルガリアのイケメン・アイドル歌手、ステファン君が日本語で歌う「恨み節」だ!!! バック・バンドの演奏もそれなりに雰囲気つかんでるし(←特に哀愁舞い散るトランペットがエエ味出してます...)、ステファン君の日本語の発音も中々堂に入っている。バンドの面々が全員外国人で、みんな真剣な表情でこの曲をプレイしているところが面白い(^.^)
Music Idol Bulgaria Stefan Urami Bushi
コメント (2)