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shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

901さんとのオフ会GWスペシャル '25 ④

2025-05-18 | Jazz
901さん:じゃあ僕は珍しいアルゼンチンのレコードを。
私:それって欧米で出てるレコードのアルゼンチン版ってことですか? それともアルゼンチン人ミュージシャンが演ってる現地のレコードですか?
901さん:アルフレッド・リーマスっていう人のリーダー作で全員アルゼンチン人ですわ。
私:へぇ~、そんなレコード、一体どーやって知らはったん?
901さん:実は僕がいつも見てるジャズのブログで激賞されててね。それでイーベイで探してみたらあったんで買いましてん。
私:高かったですか?
901さん:いやいや、タダみたいなもんでしたわ(笑)
私:で、どーでした?
901さん:ちょっとノイズは出るけど、エエね。このテナーの人、ジョー・ファレルなんかより上手いんちゃうかなぁ... 今ではCDなんかも出てるみたい。
私:へぇ~、そうなんですか。じゃあ僕はピアノトリオでマーティン・ハアク。
901さん:このジャケット、どっかで見たことあるなぁ...
私:これ、自分的にはめっちゃ掘り出し物でした。
901さん:「アローン・アゲイン」か... ジャズでは珍しいねぇ... 澤野さんも同じようなピアノトリオばっかりやのうて、こういうの出せばよかったのにねぇ...
私:そうですね。
901さん:これどこ国の人?
私:オランダやったかな?
901さん:カルテットをKWARTETって綴るんか... 面白いねぇ...
私:これは日本橋の EAST で佐藤さんに教えてもらいましてん。“Shiotchさん、こんなん好きでしょ?” って言われて(笑) もうドストライクでしたわ!
901さん:こんなん誰も知らんのちゃうかなぁ。ピアノもめっちゃ上手いねぇ。
私:コンガも効いてるでしょ?
901さん:そうそう、コンガが入ってなかったらあかんよね。とにかく選曲とコンガの使い方が見事やわ。
私:そう言ってもらえると嬉しいです。
901さん:じゃあ次はクラリネットで。ウラニアのジミー・ハミルトン。
私:うわ、渋っ!
901さん:この人モダンやね。デフランコなんかと変わらへんわ。ブラインドしてもみんなデフランコと間違うんとちゃうかなぁ...
私:ホンマですね。僕、この人のイメージって “しみじみ系” やったんですけど、いい意味で予想を裏切られましたわ。
901さん:しみじみどころか、他に「チャーリーパーカーに捧ぐ」っていう曲もやってるんよ。
私:ジミー・ハミルトンがパーカーですか? ぜひ聴かせてください。【♪~】 
901さん:ね? バディ・デフランコと変わらんでしょ? とにかくモダンな演奏やわ。
私:この人のこんな演奏って珍しいですね。
901さん:他のレコードはみんなホンワカ系やのに、これだけ何でかバップやってるんよ。面白いねぇ。
私:じゃあ次は男性ボーカルでエディー・ドーレンボスっていう人を。
901さん:見たことないなぁ... こんなんどこで見つけやはったん?
私:これも EAST です。あのお店にはホンマにエエ盤いっぱい教えてもらいましたわ。ある意味、僕のジャズの師匠的な存在ですね。
901さん:レーベルは?
私:Papagayo... パパガヨって書いてあります。
901さん:へぇ~、こんなん持ってはるの、Shiotchさんぐらいやで...(笑)
私:軽快にスイングするエエ男性ボーカルでしょ?
901さん:ホンマやねぇ... 佐藤さん、こんなん一体どうやって見つけてきやはったんやろね。
私:ポータブル・プレイヤー片手にヨーロッパ中の色んなレコード屋を廻って、自分の耳で聴いて気に入ったもんを買うてはったみたいです。
901さん:へぇ~、それは凄いねぇ。じゃあ最後はB級中のB級で。さて問題です... B級テナーといえば?
私:え~っと... セルダン・パウエル?
901さん:違う!
私:エディー・ロックジョー・デイビス?
901さん:ちょっと近くなった(笑)
私:う~ん、いっぱいおるなぁ... やっぱりテキサス・テナーですか?
901さん:ヒントはブルーノート。
私:ということは4000番台の後半以降か...
901さん:4162番! スタンレー・タレンタインですわ。
私:おぉ、そうきましたか。
901さん:このレコードで「家路」やってますねん。ここにも入ってるバレルやけど、この前の年に「ボサノバ・ソウル・サンバ」でこの曲やって、気に入ったからここでもやろうってなったんとちゃうかなぁ...
私:なるほど。
901さん:それにしてもシンバルの音がキレイに入ってるねぇ...
私:ホンマですね。
901さん:これはシンバルを聴くレコードやね!
私:出ました、名言!
901さん:このオーティス・フィンチっていう人、他で名前聞いたことないけどシンバルの名手やね。
私:じゃあ最後は女性ボーカルで。実は2枚候補があって、どっちにするかまだ迷ってるんですけど... ギター・バックでアップテンポなのと、サックス・バックでスローなのとどっちが今の気分ですか?
901さん:じゃあアップテンポのヤツを。
私:だったらこっちですね。サラ・ラザレスっていう人です。
901さん:ジャケットにジプシー・プロジェクトって書いてあるけど...
私:実はバックがビレリ・ラグレーンなんですよ。
901さん:【♪~】おぉ、これは当たりやねぇ。めちゃくちゃエエねぇ。
私:気に入っていただけてよかったです。
901さん:今日もいっぱい聴いたなぁ... 特にインパルスの話は盛り上がったねぇ...
私:そうですね。自分は好き嫌いがハッキリしてるんで、そういう意味でインパルスの “怖い系” と “怖くない系” の対比は面白かったです。
901さん:コルトレーンとかアイラーとか、本気で好きな人なんてそんなおらんのちゃうかなぁ。ただ僕らの世代ってどうしても評論家の言うことが気になってしもうて、あんなに褒めてはるんやからやっぱり聴かなアカンのちゃうかとか思っちゃうわけよ。
私:そういう時代背景、何となくわかる気がします。ただ、僕はその真逆で、どこの誰がどう褒めようと、自分の感性で受け入れられへんもんは絶対に拒絶するタイプなんですよ。音を楽しむのが音楽やのに、何で不快な思いしてまで聴かなあかんねん、っていう感じですかね。
901さん:なるほど。話は音楽から逸れるけど、「第三の男」っていう映画ありますやろ? あれ、ほとんどの評論家が大絶賛してるんやけど、僕は何回観ても一体これのどこがエエんやろ?と思うんよ。あれは悩んだなぁ...
私:へぇ~、そうなんですか。でもそういうのって絶対にありますよね。僕の場合はビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」がそれですわ。あのレコードって評論家もファンもみんながみんな褒めちぎってて、世間では「サージェント・ペパーズ」と並ぶ大名盤って言われてるんですけど、僕にしたらどこがエエのかサッパリわからんのですよ。あんなエネルギー感に乏しい軟弱な音楽よりも理屈抜きで楽しめる「サーフィンUSA」や「ファン・ファン・ファン」の方が何十倍何百倍もエエやん!って思うんですけどね。
901さん:なるほどねぇ... 僕の「第三の男」と同じやね。
私:一応CDは持ってるんでちょっと聴いてみましょうか...【♪~】う~ん、やっぱり無理! 「Sloop John B」以外は全然心に響かへん。901さんはどう思われます?
901さん:う~ん、少なくともロックじゃないねぇ... Shiotchさんの言わはることもわかる気がするわ。
私:まぁ音楽も映画も個人の好みの問題なんで、最終的には “合う合わん” ということでしょうね。
901さん:それにしても「渋レコ」で始まって、最後は「第三の男」と「ペット・サウンズ」で盛り上がるって、やっぱりこの会は面白いねぇ... (おわり)

901さんとのオフ会GWスペシャル '25 ③

2025-05-13 | Jazz

私:興が乗ってきましたね。
901さん:次はインパルスの渋いとこで、「George Wein & The Newport All-Stars」。ええレコードですよ、これは。“怖い系” とは対極にある音です。
私:オールドタイマーのまともなジャズですね。
901さん:ルビー・ブラフやバド・フリーマンといった古いメンツをインパルスの音で聴けるっちゅーのが嬉しいねぇ。ホンマにありがたいわ。インパルスはジャケットもしっかりしてて、60年以上たっても抜けとかないし、ちゃんとお金かけてるよね。その辺はすごいと思うわ。
私:確かに、ジャケットのソリッド感はアトランティックと双璧ですね。しかもこっちはダブル・ジャケットで堅牢な作りになってる。
901さん:そのうち “インパルスの怖いくない系” の特集やりますんで(笑)
私:それは楽しみですね。ぜひお願いします(笑) じゃあ次はビリー・バウアーで。
901さん:おぉ、これもまたブラッシュ!(笑)
私:こんな風にブラッシュ先導で軽快にスイングするジャズが一番好きなんですよ。
901さん:この人って他にリーダー作ありましたっけ?
私:アドリブの10インチぐらいしか思いつきませんけど。
901さん:あぁ、あのミュージック・マイナスワンのやつやね。この人、もうちょっとリーダー作あってもよさそうなもんやけどねぇ...
私:確かに。この人はスイング感が抜群なんで、好きなギタリストの一人なんですけどね。
901さん:じゃあ僕もギターを。パット・マルティーノの「The Visit」。これ、ジャケットは怖い系やけど、内容はウェス・ライクなので安心して下さい(笑)
私:うわぁ、ウェスそのものですやん! 確かに「ウェスに捧ぐ」っていう副題が付いてるけど、それにしてもすごいリスペクトですね。
901さん:完コピやね(笑)
私:見事なまでの...(笑)
901さん:この人、一時記憶喪失になって、もう一度一からギターの弾き方練習したって聞いたけど、ホンマかいなって思うわ。
私:へぇ~、そんなことがあったんですか。
901さん:悪うないでしょ?
私:悪うないどころか、めっちゃエエですやん!
901さん:このCobblestoneっていうレーベルはこのあとMuseに買収されて、このレコードもジャケットを変えて再発されるんやけど、このオリジナル・ジャケットの方はあんまり見ぃひんね。
私:何か昔のB級映画に出てくる殺し屋みたいな雰囲気ですね。でも中身の方はお金を払ってでも買おうと思わせるくらいエエ演奏ですよ。素晴らしいです。
901さん:そう言ってもらえると持ってきた甲斐がありましたわ。
私:じゃあ次はドロシー・アシュビーで。
901さん:おぉ、またまたブラッシュですね。
私:もちろん!
901さん:曲は「Autumn In Rome」ですか?
私:と見せかけて「Taboo」です(笑)
901さん:僕ね、ジャズでハープなんて完全にバカにしとったんやけど、Shiotchさんに聴かしてもろうて、それでビックリして、そのあとすぐに日本盤買いましてん。オリジナル盤は結構するもんねぇ...
私:このレコード、とにかくロイ・ヘインズのブラッシュが生み出すスイング感が強烈です!僕の溺愛盤ですわ。
901さん:じゃあハープの次はアコーディオンでいきましょか... レオン・サッシュです。このクラリネットのテッド・ロビンソンていう人、シカゴのミュージシャンらしいんやけど、めっちゃ上手いわ。
私:初めて聞く名前です。
901さん:僕もニューポートの秋吉敏子とのカップリング盤にこのカルテットで出てるぐらいしか知らへんけどね。それと、ベースがリー・モーガンやで。
私:へ? どーゆーことですか、それ?
901さん:レオン・サッシュの奥さんですわ。
私:ハハハ、何ちゅー紛らわしい名前や(笑)
私:じゃあ “変わった楽器” シリーズの続きでバルブ・トロンボーンのビル・ラッソいきます。
901さん:色んな楽器が聴けて楽しいなぁ...
私:ホンマにそうですね。
901さん:Shiotchさん、ひょっとして今日は全部ブラッシュ?
私:いや、全部じゃないですけど、でも僕が選ぶジャズは基本的にブラッシュが多いですね。
901さん:これもブラッシュが効いてるねぇ...
私:この擦れ感がたまらんのですわ。
901さん:でもこのレコードって中身知らんかったら手ぇだしづらいねぇ...
私:確かに。
901さん:じゃあ僕はラース・ガリンで。
私:うわぁ、それもうちょっとで被るとこでした!
901さん:えっ、ホンマに?
私:最終選考で落としたんですよ。ブラッシュに全振りしたろと思うて(笑)
901さん:このEAST-WESTの盤ともう1枚、アトランティック盤もあったよね。
私:はい、僕もその2枚を最終選考まで残してたんですよ。それにしても「渋レコ」でカスるって凄いですね。じゃあ次はハル・マキュージックで。
901さん:わぁ、又ブラッシュや! マキュージックはやっぱりこれが一番ですか?
私:他にもええレコード一杯ありますけど、1枚選ぶんならやっぱりこれですね、僕は。
901さん:クリード・テイラーのレコードはええねぇ。この人、色んなレーベル行って、コマーシャルやとか色々言われてるけど、やっぱりええレコード多いわ。
私:ウェスのCTIとか最高ですよね。
901さん:この曲ではアルト吹いてるんですか... じゃあ僕もアルトでいきます。レオ・ライト。
私:えっ、レオ・ライト? 実は僕もレオ・ライトが候補でした。
901さん:えぇ? 何? 「Suddenly The Blues」?
私:いえ、僕は「Blues Shout」でした。これもラース・ガリンと一緒に最終選考で落ちましたけど。
901さん:僕は今回楽器別に選んでいったんやけど、アルトってこの人以外あんまり思い浮かばんかったんですわ。
私:言われてみればそうですね。
901さん:実はこれにもケニー・バレルが入ってるんよ。
私:今日はバレルさん大活躍ですね(笑)
901さん:このレオ・ライトっていう人、言うてみたら超二流っていう感じやね。もちろんけなしてるわけやないけど。
私:わかります、それ。そういう立ち位置の人ですよね。じゃあ次は珍しいところでマーティー・ナポレオン。
901さん: シングル盤ですか。ジャケットは見たことあるけど、聴いたことないなぁ...
私:これはジャケ買いしましてん。名前がナポレオンで、ナポレオンのコスプレっていうユーモアのセンスが気に入ったんです。さすがはバート・ゴールドブラットですわ。これでトランプのナポレオンでもしてたら完璧なんですけど...(笑)
901さん:なるほど。
私:この人はピアニストなんですけど、このレコードでは弾き語りをやってます。
901さん:【♪~】ホンマや。“バババババァ~♪” って強烈やなぁ...(笑)
私:ハハハ...
901さん:じゃあ次はギターで。エディー・デュランの「ギンザ」から「ムーンレイ」を。
私:泣く子も黙る名曲ですね。
901さん:これ、エエ演奏やねぇ。でもこのジャケットでだいぶ損してると思うわ。
私:確かに。何ちゅーても “三和銀行” に “三菱” ですもんね。全然ジャズを感じさせへんジャケットです。
901さん:ギターもエエ音してるわ。ホンマに上手いこと録ってるねぇ。僕、このレコードはこの曲しか聴かへんなぁ。
私:めっちゃわかります、それ。てゆーか、そういうレコードって多いですよ。
901さん:まさにこの1曲のためだけに存在するレコードやね。
私:じゃあ僕はここらでブラッシュを離れて一発ファンキーなジャズを。チャーリー・アントリーニです。
901さん:この人イギリスでしたっけ?
私:僕はドイツのイメージがあったんですけど、ちょっと調べてみますね... えーっと... スイス生まれドイツ在住ですわ。
901さん:「The Preacher」?
私:そうです。この人のパワー・ドラミングはこの手のファンキーなジャズにピッタリなんですよ。 (つづく)

901さんとのオフ会GWスペシャル '25 ②

2025-05-10 | Jazz

901さん:じゃあ僕の次のはアーゴで。ルー・マクガリティの「ブルー・ルー」。
私:おぉ、これはまた「渋レコ」の極め付けみたいな盤を...
901さん:このレコードは寺島本で見て、ジャケットを覚えてたのをイーベイで見つけて買うたんやけど、2ドルでしたわ(笑)
私:まぁ寺島さんの本に載ってるレコードって基本的にマイナーなものが多くて、ヘタしたら向こうの人でも知らんような盤すらありますからね。
901さん:これはええレコードやね。ところでShiotchさんは寺島さんの本いっぱい持ってはるけど...
私:あの人の本って、「辛口」シリーズとかの最初の何冊かはホンマにエエこと書いてあって、自分にとってはジャズのバイブル的な存在なんですけど、いつからか何かおかしゅうならはって、言うてることがもう支離滅裂。それで買うのやめましたわ。だって “古いジャズをレコードで聴け!” って言うてたのが、手のひらを返したように “新しいジャズをCDで聴け!” って正反対のことを言い出さはったんですよ。アホちゃうかと思いましたわ。
901さん:なるほど。
私:じゃあ次はドン・バグレイいきます。シェリー・マンがめっちゃ元気ですねん。
901さん:ドットですか... これも渋いねぇ。
私:リズム隊が躍動するええピアノトリオでしょ? マイナーな盤ですけど。
901さん:この人自身が地味な人やからねぇ。これ、日本盤で何回か見たことあるけど、シェリー・マンが入ってるから出しやすかったんやろうねぇ。
私:確かにそうですね。
901さん:じゃあ次はラーシュ・ヤンソンで。
私:ほぉ...
901さん:美しい曲でねぇ... CDで持ってたんやけど、イーベイでレコードが出てるのを見て買いましてん。
私:超お気に入り盤なんですね。
901さん:昔、取引先の堺のホテルにヤンソンさんが演奏に来てはってね。僕は付き合いで観に行ったんやけど、いざ演奏が始まったらめちゃくちゃええピアノでビックリしましてん。でも周りの人らはジャズに関心のなさそうなおっちゃんおばちゃんばっかりで誰も聴いてへんのよ。で、僕だけ拍手してたらヤンソンさんがこっち向いておじぎしてくれやはってね。とにかく優しそうなエエ人やったわ。
私:へぇ~、そんなことがあったんですか。
901さん:それが最初でそのあと5、6回ぐらいライヴ行ったなぁ... で、3回目か4回目の時にCD販売会があってそこでちょっと喋ったんやけど、「Hope」っていう盤を薦められて買いましてん。サインも貰いましたで。
私:ほぉ...
901さん:イモゲナ・レーベルって変わってるでしょ(笑) ジャケットも気に入ってますねん。
私:僕、この人のCD1枚だけ持ってますわ。「The Time We Have」やったかな。スター・ウォーズに出てくる AT-ATウォーカーみたいなジャケットのやつ。でもよぉ見たら3本足の人間がイナバウアーしてるんですね。
901さん:あの時行ってホンマによかったですわ。もし行ってなかったら一生知らんままやったやろうしね。最初は行くのが正直面倒くさいなぁと思うてたんやけど、仕事上の付き合いでしゃあなしに行ったんよ。ホンマによぉ行ったもんですわ。
私:縁って不思議なもんですよね。でもそういうことがあるから人生は面白いんですよ。
901さん:とにかく「Hope」がこの人の最高傑作。絶対おすすめなんで、ぜひ買って下さい。
私:わかりました。
901さん:それもイモゲナやったかな。
私:何か色遣いも似てますね。
901さん:この人のビッグバンド物も持ってるけど、とにかくすごい活動家ですわ。大学でもジャズを教えてはるらしいし。
私:へぇ~、そうなんですか。
901さん:この人ね、演奏が上手いこといって機嫌よぉなったら自分のネクタイつかんでぶるんぶるんしゃあはるんよ(笑) 性格エエし、ピアノも上手いし、凄い人やで。ヤンソンさんはヨーロッパやけど、澤野系とはちょっとちゃうねぇ。
私:あんな金太郎飴ピアノトリオじゃないですね。この人のプレイにはちゃんとした個性がありますわ。
901さん:じゃあ次、Shiotchさん。
私:僕はライル・リッツで。
901さん:「ウキ」ですか! この人ってベーシストやんね。
私:そうです。
901さん:確かもう1枚あったよね。
私:「50th State Jazz」ですね。おばちゃんがアメリカ国旗持って座ってるジャケットのやつ。でもこっちの方が断然ジャズっぽくてスイング感も抜群です。初めて聴いた時はウクレレでこんなにスイングするんや!って衝撃的でした。
901さん:Shiotchさん、ハーブ・オオタって知ってはる?
私:もちろん! CDも持ってますよ。ピート・ジョリーと演ってるヤツとか...
901さん:さすがやねぇ... じゃあ次、僕はトランペットを。ジョン・レットマンていう人なんやけど、この「violets & violin」っていう曲がめちゃくちゃエエんよ。シャンソンの曲なんやけど、聴いたことない? 「私の心はバイオリン」っていう邦題が付いてますわ。
私:シャンソン全然詳しくないのでその曲名は聞いたことないですね。このメロディーはどっかで聴いたことがあるようなないような... 今調べたら越路吹雪が歌うてますわ。
901さん:やっぱりね。
私:ベツレヘムですか... ケニー・バレルがエエ味出してますね。この人のギターの音色は独特なんで、ちょっと音を聴いただけですぐにバレる... なんちゃって(笑) 
901さん:ハハハ...
私:これ、リラックスしたエエ演奏ですね。
901さん:やっぱりバレルが効いてるよね。古いトランぺッターやけど、この1曲で僕の宝物ですわ。
私:この曲ってジャズではあんまりやってる人いてへんでしょうね。何かモノクロのフランス映画にピッタリな感じがします。 
901さん:わかるわぁ... 上手いこと言うねぇ。
私:ありがとうございます。じゃあトランペットつながりでジョナ・ジョーンズを。
901さん:初めて見るなぁ... 渋いなぁ... この人、聴くの初めてですわ。こんなレコード、一体どこで知らはったん?
私:ベツレヘムの10インチ聴いて大ファンになって、それから集め始めたんです。歌心あるし、バックの演奏はブラッシュが多いし...(笑)
901さん:こういうのエエなぁ... こんなん言うたら悪いけど、ちゃんとしたジャズの人が紹介するようなレコードとちゃうよね。でもそういう人らに聞かせたらぎゃふんと言わせられるで!
私:ハハハ... まぁ他人がどう言おうとどーでもエエですけどね。
901さん:これはええレコード聴かせてもらいましたわ。 (つづく)

901さんとのオフ会GWスペシャル '25 ①

2025-05-06 | Jazz

 GW2日目にあたる5/4の日曜日に901さんがレコードをどっさり抱えて遊びに来て下さった。901さんとのオフ会は春夏秋冬だけではちょっと物足りないのでGWも加えて年5回ペースでやっている。今回のテーマは「渋レコ」、すなわち“B級・Ⅽ級・超マイナーミュージシャンのアルバムの中で、あまり世に知られておらずそれほど評価もされてないみたいだが、中々聴き応えがあるレコード” というマニアックなもので、それぞれが15枚ずつチョイスして持ち寄った。

私:今日のテーマは「渋レコ」、どんなレコードが出てくるのかワクワクします。
901さん:じゃあ早速いきましょか。実はこの前ここでロリンズの「アルフィー」聴かしてもろうてすごい良かったんで、今日はその「アルフィー」で渋いやつを持ってきましてん。
私:いきなりジョージ・ケイブルスとは渋いですね。【♪~】おぉ、これはめっちゃエエですね!
901さん:エエでしょ? 「アルフィー」ね、ベニー・グリーンともう1枚、アナログでエエのがあったなーというのは覚えてたんやけど、それが何やったか中々思い出せへんくてね。
私:よぉ思い出しはりましたね。
901さん:思い出せてホンマ良かったわ。このユピテルって確か日本のレーベルよね。
私:そうですね。それにしてもこのピアノのタッチ、力強くてエエですね。
901さん:そうですねん。澤野系のピアノトリオなんかよりもこっちの方が断然エエと思うわ。別に澤野系が悪いっていう意味やないけど。
私:僕も全く同感です。澤野系って似たようなんばっかりですからね。僕はこういうガーン!とくるピアノにものすごくジャズを感じますね。
901さん:そういえばロリンズの「アルフィー」、とうとう4枚揃えやはってんね。インパルスは「アルフィー」の他に何を持ってはるの?
私:えーっと、シェリー・マンとテリー・ギブス... あとライオネル・ハンプトンぐらいかな...
901さん:インパルスって、Shiotchさんが大嫌いなコルトレーンとかアイラーとかのいわゆる “怖い系”ジャズ(笑)のイメージが強いけど、その一方でベイシーの「カンザスシティ7」みたいにオールドタイマーの録音をヴァンゲルダーの音で聴けるところは凄くエエと思うんよ。
私:なるほど、それは確かにそういう考え方もアリですね。
901さん: ベニー・カーターとかコールマン・ホーキンスとか... この人らの全盛期の録音なんてめちゃくちゃショボイですやろ。そんな人らの演奏を凄い音で聴けるんやからね。それに「アルフィー」聴いてて感じたんやけど、ここの装置とインパルスの音ってめちゃくちゃ合うてると思うわ。
私:あの音は絶品ですもんね。じゃあいつか「インパルスのオールドタイマー特集」をお願いします。
901さん:それは面白そうやねぇ... ぜひやりたいねぇ...
私:楽しみにしてます。コルトレーンみたいな “アタマおかしい系フリージャズ” とは違ってオールドタイマーのジャズは安心して聴けますからね。
901さん:じゃあ次Shiotchさんの番。
私:僕はアル・シアーズでいきます。
901さん:渋いねぇ... これムーズビル?
私:いえ、スイングビルです。
901さん:エエねぇ、これ。
私:ありがとうございます。
901さん:最近どんなん聴いてんの?って訊かれて「アル・シアーズ」って答えたら只者やないなぁって思われるで(笑)
私:そんな人、いてますかいな(笑)
901さん:「渋レコ」、面白いなぁ...
私:じゃあ次、901さん!
901さん:この「Apogee」っていうレコード知ってはる? ピート・クリストリーブとウォーン・マーシュの2テナーなんやけど。
私:いえ、初めて見ました。
901さん:マーシュってどっちかというとふわふわした感じのテナーやけど、ここでは結構しっかり吹いててね。で、このクリストリーブがそれに輪をかけてブイブイ吹きまくってますねん。
私:今調べたら78年に出したレコードなんですね。このプロデューサーのドナルド・フェイゲンって「ナイトフライ」の人ですやん。
901さん:有名なん、その人?
私:はい、(「ナイトフライ」のジャケ写を見せながら)このジャケット見やはったことないですか?
901さん:何か見たことあるなぁ...
私:じゃあスティーリー・ダンって知ってはります?
901さん:名前だけは聞いたことありますわ。
私:クロスオーバーとかフュージョンとかのジャンルで有名な二人組なんですけど、フェイゲンはその片割れですわ。
901さん:へぇ~、勉強になるなぁ
私:じゃあ僕は雰囲気ガラッと変えてノーマン・シモンズ。
901さん:誰?
私:カーメンやアニタの歌伴やってたピアニストです。グリフィンの「Studio Jazz Party」もこの人ですね。
901さん:渋いなぁ... 渋渋やなぁ... 最近どんなん聴いてんのって訊かれて「ノーマン・シモンズ」って答えたら只者やないなぁって思われるで(笑)
私:せやからそんな人、いてませんって(笑)
901さん:おぉ、そういえば僕もノーマン・シモンズ持ってきてましたわ。確かどっかに入ってたなぁと思うたらここに入っとった... そうそう、このハロルド・アシュビー盤!
私:へぇ~、そんなとこに? すごい偶然ですね。
901さん:今はもう無くなったけど、布施のレコード屋さんで聴かせてもろうていっぺんに気に入ってね。出だしを聴いただけで “ジャズの雰囲気あるなぁ...” と思うて。
私:わかります、それ。僕もこのレコード大好きですもん。
901さん:モダンの吹き方ちゃうねぇ。カッコエエ吹き方やわ。アシュビーはもう1枚ドン・フリードマンとやってるのがあるんやけど、こっちの方がええね。やっぱりノーマン・シモンズやで(笑)
私:(ピアノのパートを聴きながら)ノーマンシモンズきたー! ブルース・フィーリングがたまりませんね。
901さん:シモンズ、エエ仕事してるねぇ。布施のレコード屋さん、よぉ薦めてくれたこっちゃ。
私:僕はこれCDで持ってるんですけど、これ聴いたらアナログ盤で欲しゅうなりました。じゃあ次はロンネル・ブライトで。
901さん:渋いなぁ、これも。レーベルはポリドール?
私:はい、フランス・ポリドールですね。
901さん:このリチャード・デイビスって、あの?
私:はい。ルネ・ユルトルジェとかもそうですけど、50年代のフランスのジャズ・ピアニストってパウエル直系が多い気がしますね。 (つづく)

901さんとの春会 '25 ④

2025-04-10 | Jazz

私:ヴァンゲルダー繋がりっちゅーワケやないですけど、僕はロリンズの「アルフィー」で。
901さん:出ましたね!
私:これ赤ら顔ジャケットのヤツがオリジナルでしたっけ? Discogsにはキャピトルのクラブ・エディションの赤ら顔しか載ってへんのですけど。
901さん:赤ら顔ジャケットのヤツがオリジナルで間違いないですよ。どっかのブログにそう書いてあったし、確かディスクユニオンの買取り額も高かったし。
私:ユニオンの買取り査定はシビアやからそれで間違いないでしょうね。Discogsなんかよりも遥かに信頼できますわ。
901さん:僕、赤ら顔ジャケットのモノラル持ってるけど、キャピトルのSMAS型番とはちごうて、ちゃんとインパルスのホワイト・レーベルですわ。キャピトルの赤ら顔クラブ・エディションって多分オリジナル初版のを真似たんとちゃいますか。
私:なるほど、それやったら辻褄が合いますね。納得です。
901さん:面白いねぇ。
私:901さんのモノは赤ら顔の白ラベルで、僕のモノは白顔の白ラベルか。顔の赤白とレーベルの赤(←オレンジ)白がゴッチャになってきて何か頭混乱してきました(笑)
901さん:ハハハ...
私:で、僕のステレオは赤ら顔と白顔か... こりゃあ赤ら顔のモノも揃えにゃアカンですね。
901さん:このレコードはインパルスの中でも屈指の名録音やね。
私:僕はインパルスは数枚しか持ってないのでよぉわからんですけど、少なくともこれはめちゃくちゃ音が良いですね。モノとステレオで比べたらやっぱりステレオかな。
901さん:僕もそう思うね。ステレオの方がエエなぁ。もちろんモノもすごく良かったけど、ステレオはさらにその上をいく感じやね。ステレオ盤は多分白ラベル無いんとちゃうかなぁ
私:そうなんですか。
901さん:このウォルター・ブッカーっていう人のベースが効いてるよね。ソロとかは取らへんけど。
私:確かに
901さん:じゃあ次、ラスト7巡目はエヴァンスの「タウンホール」で。
私:おぉ、エヴァンスで来ましたか。
901さん:これはモノを聴いてめちゃくちゃエエ音やなぁと思うてね。カッティングはヴァン・ゲルダーなんよね。でも録音はちゃう人やから彼の音ではないね。
私:早速聴いてみましょう。
901さん:エエ音やねぇ。これモノとステレオ両方持ってるっちゅーことは結局僕、この演奏が好きなんやろうね。
私:そうそう、よっぽど好きやないと両方買おうなんて思いませんもん。僕も今日出した「ブルースエット」も「アルフィー」も死ぬほど好きですからね。
901さん:でも好きな演奏をモノとステレオ両方で楽しめるんやから贅沢やなぁと思うわ。じゃあ次、Shiotchさんラストは?
私:僕のはエヴァンスの後で何なんですけど、坂本九で。
901さん:そのシングル、モノラル盤?
私:そうです。
901さん:この頃のシングルってステレオ技術があるのに何で全部モノなんやろねぇ?
私:それは考えたことなかったです。
901さん:ヒット曲はヴォーカルが前面に出てきて聴きやすいから敢えてシングル盤をモノラルで出してたってどこかで聞いたことがありますわ。
私:なるほどねぇ。で、この「上を向いて歩こう」ですけど、US盤がデュオフォニックで出てるんですよ。ジャケットでは坂木九になってますけど(笑)
901さん:日本人アーティストのUS盤あるあるやね。
私:デュオフォニックの「スキヤキ」、聴いてみてどうですか 
901さん:う~ん、まぁ聴けるっちゃー聴けるね。
私:僕も同じです。モノとは比べもんになりませんが、まぁギリ許せる範囲内ですかね。
901さん:じゃあ僕の番外編いってよろしいか?
私:ぜひ!
901さん:実はジョニー・ソマーズなんやけど、さっきも言うたようにこの頃のシングル盤ってみんなモノラルでね。でも何故か4曲入りEPはステレオ音源なんよ。
私:へぇ~、そうなんですか。
901さん:例えばフランス・ギャルの「夢みるシャンソン人形」で調べてみたけど、やっぱりモノラル音源ばっかりでね。Shiotchさんフランス・ギャルのフランス・オリジナル盤を一杯持ってはるけど、「シャンソン人形」のステレオ音源ってあります?
私:いや、僕の記憶ではギャルのあの頃のレコードはLPも4曲入りEPも全部モノラルやったと思いますわ。ただ、僕はモノラルが大好きでハナッからステレオなんて眼中になかったので、ステレオ音源の有無はちゃんと確認してみないとわからんですね。
901さん:なるほど。
私:でもこのジョニー・ソマーズはステレオで聴いても別に何の違和感もないですね。
901さん:せやね。
私:じゃあ次は僕の番外編を。“ジャズとは別にビートルズで1つ用意しといて。” って言うてはりましたやろ? せやからとっておきの “変なヤツ” を用意しましてん。
901さん:と言うと...
私:シングルのB面曲なんですけど、「She’s A Woman」っていう曲に気持ち悪いくらいエコーがかかってるUS盤です。ビートルズの音をいじって改悪するなんて絶対に許しがたい暴挙ですよ。
901さん:えらい怒ってるねぇ...(笑)
私:まぁこれ聴いてみて下さい。
901さん:【♪~】 ものすごいエコーやねぇ...
私:でしょ? 風呂場で録音したようなキモい音...
901さん:でもこれはこれで好きな人もいてるんちゃうかなぁ...
私:こんなクソみたいな音をですか? “アメリカ人はエコーが好き” っていうのは知ってましたけど、ここまでくると全くの別物です。こんなの、ロックンロールへの冒涜ですよ!
901さん:Shiotchさんが言うと説得力あるねぇ...
私:じゃあ次は本物のビートルズの音が詰まってるUKモノラル・シングルで耳を浄化しましょう。
901さん:【♪~】 おぉ、これはもう全然別物やねぇ。
私:でしょ? ベースもヴォーカルも何から何まで全然違うでしょ? 比較のためにこのUKステレオ・ミックスを聴いてみて下さい。
901さん:【♪~】これはマトモやね。でもさっきのモノの方が断然エエね!
私:普通に曲を聴くだけならこのUKステレオ盤で十分ですし、それこそ日本盤とかCDとかでエエと思いますけど、やっぱりビートルズのロックンロールを心底楽しみたければUKのモノラル・シングル盤に限ると思います。エコーがどっぷりかけられたビートルズのキャピトルUS盤なんて論ずるにも値しない。あんなもの、テクノロジーの過渡期に生み出された “鬼っ子” みたいなモンですわ。 (おわり)

901さんとの春会 '25 ③

2025-04-06 | Jazz

901さん:じゃあShiotchさんの次のは?
私:「ポール・ウィナーズ」です。
901さん:「ジョードゥ」入ってるやつやね。
私:そうです。
901さん:今日のShiotchさんはシェリー・マン大会やね。
私:同じアルバムで “コンポラ” のモノと “ステレオ・レコード” の聴き比べっちゅーのをコンセプトにしたんで、どーしてもシェリー・マン大会になっちゃいますね。
901さん:【♪~】 う~ん、これもステレオの方がエエね。
私:やっぱりシェリー・マンのプレイはステレオ録音でより引き立ちますね。
901さん:僕の次のはコールマン・ホーキンス。実は僕あんまりホーキンス聴かへんのやけど、これはエエね。リズム隊がエエんよ。レイ・ブラウンがエエ仕事してるわ。しかもコロンビア!
私:コロンビアのホーキンス???
901さん:いや、レーベルやのうて、国の方(笑) コロンビアって麻薬とサッカーのイメージしかなかったんやけど。
私:僕もですわ。
901さん:しかもロンドン・レコードやで(笑)
私:へぇ~、ホーキンスのコロンビア盤のロンドン・レコードですか... よぉそんなん手に入れはりましたね。これはステレオですか?
901さん:そうですねん。まぁ聴いてみましょか。
私:【♪~】 おぉ、結構エエ音してますやん、このコロンビア盤。
901さん:意外と聴けるでしょ?
私:「聴ける」どころか、エエ音ですよ。これはちょっとビックリやなぁ。一体どこで買わはりましたん?
901さん:ヤフーやったかな...
私:安かったでしょ。
901さん:そりゃあもうタダみたいな値段(笑) こんなん買う人いてへんよ。
私:ハハハ、確かに。
901さん:これ、ピアノがハンク・ジョーンズで救われてるね。モダンジャズとして成立してるもんねぇ。それにしても58年にコロンビアでこのレコードが出たっちゅーのが驚きやわ。
私:ホンマですね。
901さん:このフェルステッドってレーベル、結構渋いレコード多いよね。実は僕、集めてますねん。
私:こりゃまた渋いところに目ぇつけはりましたねぇ。
901さん:このレコード買うた時に思うたもん、“コロンビアでステレオ盤作ってたんやなぁ” って... 麻薬だけやのうて(笑) で、“どんな音すんねんやろ?” と思うてたら結構立派な音しててビックリしましてん。
私:じゃあ次にモノ盤を。【♪~】 これも音エエですね。
901さん:コールマン・ホーキンスってギリこれくらいまでやね。ヴィレッジ・ゲイトの「ジェリコ」はちょっときついね、僕には。
私:そうなんスか... 僕はあれ結構好きですけど。。
901さん:僕にとってはやっぱりハンク・ジョーンズ効果が大きいね。じゃあ次。
私:僕のコンポラ大会は終了したんで、次は「ブルースエット」でいきます。
901さん:Shiotchさん「ブルースエット」大好きやもんなぁ...(笑) おぉ、何かいっぱい出てきたねぇ。
私:一応モノの1stと2nd、そしてステレオは1stを持ってなくて2ndプレスが2種類。1stプレスは赤レーベルで2ndプレスがマルーンですわ。盤質のエエヤツ選んで聴きましょう。
901さん:ヴァンゲルダ―は手書き?
私:いや、機械打ちですわ。
901さん:じゃあモノラルから聴かせて。
私:(中間部のピアノソロで)トミフラ、神々しいですねぇ。
901さん:ホンマやねぇ... じゃあ次、ステレオ聴かせて。【♪~】 やっぱりアレやねぇ、ステレオの方がエエねぇ。
私:ゴルソンハーモニーはステレオの方が活きますねぇ。
901さん:ホンマやねぇ。古き良き時代やねぇ。
私:僕が “モダン・ジャズ” っていう言葉を聴いて真っ先にイメージするのがこの曲ですわ。
901さん:わかるわぁ、それ。じゃあ6巡目行きましょうか。僕はブルーノートで。
私:おぉ、ルードナですか。
901さん:ちょうどヴァンゲルダー続きっちゅーことで。ドナルドソンは1500番台もエエんやけど、4000番台のこの何とも言えへん抜け感が大好きなんですわ。
私:めっちゃわかります、それ。僕もまったく同じですわ。
901さん:じゃあまずはモノから。【♪~】 80年代くらいに出したレコードはもう抜け抜けやけど(笑)、このあたりの抜け具合はいはちょうどエエね。
私:ハハハ、仰る通り。
901さん:次はステレオで。【♪~】 あぁ、やっぱりだいぶ違うなぁ。
私:ちゃいますねぇ。エエ悪いの優劣やのうて、モノとステレオで違う雰囲気の音ですね。
901さん:コンガが効いてるよね。若い頃はコンガが入ってるレコードなんか大嫌いやってんけど。
私:僕は昔からコンガ好きですよ。リラクゼイションの極みっていう感じがして。
901さん:ヴァンゲルダー満喫! ピアノのハーマン・フォスターがエエねぇ。 (つづく)

901さんとの春会 '25 ②

2025-04-03 | Jazz
私:じゃあ僕は次、リロイ・ヴィネガーで。
901さん:へぇ、これもステレオ・レコードあるんですか... 【♪~】 僕もこのレコード持ってるけど、あんまりちゃんと聴いたことないなぁ...
私:この人のウォーキング・ベース、弾むような感じで大好きなんですわ。
901さん:Shiotchさん、「ビネガー牛乳」って知ってはる?
私:えっ、何ですか、それ?
901さん:子供の頃にありましてん(笑) 大学時代に友達の家にこのレコード持って行って聴いてたら「ビネガー牛乳」やなぁって言われたのを覚えてますわ。
私:初めて聞きました、その名前。
901さん:関西だけなんかなぁ?
私:じゃあ次ステレオで。
901さん:【♪~】 違うなぁ、やっぱり。ヴァイブの音が凄いねぇ... マイルスにコケにされたヴィクター・フェルドマンやけど、この人の有名なリーダー作ありましたやろ? 何ていうタイトルでしたっけ?
私:「The Arrival Of...」のことですか? “今ボートで辿り着きました” って感じで右手上げてるヤツ。
901さん:そうそう、あれもヴァイブがエエ音しとったんよ。僕のはキングのステレオ盤やけどね。
私:僕が持ってるのはモノラルのオリジナル盤なんで、よかったらまた聴き比べしましょう。
901さん:せやね。それにしてもこれ、ベースはモノラルの方が凄いねぇ。面白いわ。ホンマにウォーキングやね、この人。
私:じゃあ次お願いします。
901さん:ボサノバなんやけど、セルメン'65。これ大好きでね。ステレオ盤がほとんででモノラルはめっちゃ少ないんですわ。
私:アメリカではちょうどステレオが普及した頃でしたもんね。
901さん:じゃあモノからいきましょか...
私:盤ずっしり重いですね。
901さん:これは最高のアメリカンメイドのボサノバやねぇ。ダウンビートで5つ星やで、これ。当時はアメリカ経由のボサノバばっかりやったからブラジル人だけでやってる本物のボサノバって衝撃的やったんやろうね。
私:なるほど。
901さん:ヴォーカルのワンダ・ジ・サーっていう女の人、この頃はめちゃくちゃ可憐な感じやったのに、何十年後かにカムバックしたのをテレビで見たらガッカリなんてもんやなかったわ。出てけぇへんかったらよかったのにって...(笑) 
私:ハッハッハ(大笑い)
901さん:じゃあ次はステレオで。
私:モノに比べて盤が軽いですね。
901さん:音もちゃうねぇ...
私:メリハリのあるギターですね。
901さん:タッチがエエね。ブラジル'65はこのレコードともう1枚、バド・シャンクがゲストで入ってるキャピトル盤があるんやけど、そっちもエエね。ブラジル'65に駄盤なしやね。アトランティックには他にもセルメンのアルバムが何枚かあって、それらはブラジル'65名義やのうて違ったメンツで演ってるんやけど、ハッキリ言うてカスみたいなレコードばっかりやからねぇ。結局 '66で爆発的なヒットを飛ばしたわけやけど、A&Mはエエとこに目ぇつけたね。
私:さすがはハーブ・アルパート。
901さん:この人ら、万博の時に日本来たんやけどね。ライヴ盤持ってますわ。
私:観に行かはったんですか?
901さん:いやいや、行ってへんよ。
私:901さんは大阪万博の頃っておいくつやったんですか?
901さん:僕は大学生やね。
私:僕は小学2年生やったんですけど、今のJRにあたる国鉄奈良駅から観光バスに乗って家族で行ったんは覚えてますわ。でも当時話題の “月の石” とかは全然覚えてなくて、ただ学校休めて大阪へ遊びに行けるのが嬉しかったっていう記憶しかないですね。
901さん:Shiotchさんは今度の万博行かはるの?
私:まさか! あんなクソしょーもないもん行くわけないですやん。
901さん:僕も一緒ですわ。じゃあ次 Shiotchさん...
私:ベタですけど「マイ・フェア・レディ」で。
901さん:どっかのブログで見たんやけど、このレコードを何十種類も集めてるコレクターがいてますねんで。
私:えっ、このレコードだけで何十種類もですか?
901さん:そうそう、オリジナルだけで何種類もあるらしいし、他に各国盤とかも全部集めてるって。
私:へぇ~、凄いなぁ...
901さん:それにしてもジャケット綺麗やねぇ...
私:“神洗浄” で有名なヤフオクのセラーから買いましてん。ジャケットはピッカピカやけど、盤は言うほどやなかったですわ。
901さん:何かまるで作りたてみたいなソリッドなジャケットやね。
私:次はステレオ盤で。
901さん:【♪~】 これはステレオの方が絶対にエエね!
私:でしょ? 凄い音してますよね。
901さん:これはシェリー・マンの神業を聴くレコードやね。
私:次、901さんは何ですか?
901さん:じゃあSRの盤行きましょか。バリー・ハリスの「ワークショップ」。
私:おぉ、SRですか!
901さん:僕、このレコードはずーっとモノラルで聴いてきてその音で頭の中が出来上がってたんやけど、何年か前にSR盤をヤフオクで買うて聴いたらビックリしてねぇ。こんな音してたんや!って感動しちゃって。
私:さすがはSR...
901さん:僕ね、このステレオ盤を聴いてルイ・ヘイズってめちゃくちゃ上手いなぁと感心しましてん。ホンマにエエブラシ叩いてるなぁと...
私:ブラシ好きにはたまらんレコードですよね、これは。
901さん:ウォーリー・ハイダーっていうエンジニアの人が録ってるんやけど、さっきのセルメンもエヴァンスのシェリーズ・マンホールとかもみんなその人でね。
私:へぇ~、そうなんですか。
901さん:僕がモノとステレオの音の違いに興味持ったんはこのレコードがきっかけでしてん。 感動モンやったなぁ... こういうのがレコードを買う楽しみやね。
私:それにしてもホンマにエエ音してますね。SRよろしいなぁ...
901さん:SRよろしいやろ?(笑)
私:901さんに教えてもろうた「ワルツ・フォー・デビィ」のSR盤、めっちゃ音良かったですもん! あれ多分USオリジナルのステレオよりもエエ音してるんちゃいますかね。
901さん:音にうるさいShiotchさんにそう言うてもろうて嬉しいなぁ... 紹介した甲斐がありましたわ。
私:いやいや、あの音は衝撃的でしたよ。
901さん:でも最近は手に入れるのが難しくなってきたねぇ。
私:エエレコードは早よ確保しとかなアカンっちゅーことですね。 (つづく)

901さんとの春会 '25 ①

2025-03-30 | Jazz

 昨日901さんと春のオフ会をやった。今回のテーマは “モノラル vs ステレオ7選” で、1950~60年代のアナログレコード・コレクターである我々2人は真昼間から水を得た魚のように(?)喋り倒して気が付けばあっという間に夜だったという充実した1日を送ることが出来た。901さんとはいくら喋っても喋り足りないくらい次から次へと話が繋がっていくのがホンマ楽しい。

901さん:今日はまず本題に入る前に聴いてもらおうと思うて番外編レコードを持ってきましてん。
私:番外編?
901さん:前回ボサノバの金パロ盤ありましたやろ? あの中に入ってたルイス・ボンファの曲をShiotchさんとこのシステムでこのステレオ盤と聴き比べてみよう思うてね。
私:なるほど。
901さん:そのステレオ盤っていうのがUSエピックから出たこの「Softly」なんですわ。オリジナルはもちろんブラジル・オデオン盤なんやけど、型番MOFBのステレオ盤って見たことないんで、この「Softly」でしかステレオの音は聴けませんねん。
私:それで金パロに入ってたUKモノ・ミックスとそのUSステレオ・ミックスの聴き比べっちゅーことですか?
901さん:そうそう。
私:面白そうですね。
901さん:じゃあまずこの「Softly」に入ってるUSステレオから聴きましょか。
私:【♪~】エエ感じですね。
901さん:Shiotchさんも確かルイス・ボンファのレコード持ってはりましたよね。
私:スタンダード曲演ってるヤツと天気予報のBGM入ったヤツの2枚だけですけどね。じゃあ次は金パロのモノラル・ミックスの方をかけますね。
901さん:【♪~】うわぁ、やっぱりこれ、凄いなぁ...
私:このUKの音、何べん聴いても強烈ですね。ブラジル・オリジナル盤の音は聴いたことないですけど、多分こっちの方がエエ音なんとちゃいますか。
901さん:ラウドカットって何か見分け方ありますの?
私:1stプレス盤の音圧が高すぎてすぐにカッティングをやり直して次のマトに移行したらその稀少な初代マト1盤が “ラウドカット” って呼ばれて崇め奉られるんやと思うてましたけど。見分け方とか特には無いんちゃいますか?
901さん:なるほど。面白いねぇ...(と上機嫌)
私:いきなり強烈な番外編から始まりましたが...(笑)
901さん:じゃあ本編いきましょか。ちょっとベタですけど、ペッパーです。
私:おっ、いきなりかぶりです!
901さん:えっ、ホンマに?
私:いや、これはかぶるんちゃうかと思うてましてん。
901さん:僕もね、Shiotchさんペッパー大好きやからこれはひょっとしたらかぶるかなと思ったんやけど...
私:それもよりにもよって2人とも1発目に用意してたとは... ホンマに凄い偶然ですね。
901さん:ペッパーはオメガ盤と迷ったんやけど、やっぱり「You’d Be So...」聴きたいよね。
私:そりゃそうですよ!
901さん:僕のモノはヴォーグ盤なんやけど、ShiotchさんのはUS盤?
私:はい。
901さん:しかしこれが3種類並ぶなんて中々ないで!
私:そうですね。じゃあまずはヴォーグ盤から。
901さん:【♪~】これがヴォーグの音か... じゃあ次はUSモノの音聴かせて。
私:(デッドワックス部を確認しながら)僕のはD2ですわ。
901さん:これにはD1は無いらしいで。
私:へぇ~、そうなんですか。知らんかった...【♪~】うわぁ音圧ヤバい。
901さん:全然違うねぇ。USモノってあんまり見ぃひんけど音エエねぇ。Shiotchさんはいつもはどの盤で聴いてはるの?
私:僕は面倒くさがりなんで、その時に付けてるカートリッジに合わすことが多いですけど(笑)。まぁしいて言えばステレオ盤かな。何て言うか、アルトの音が柔らかいんですよ。
901さん:なるほど、じゃあそのステレオ盤を。【♪~】やっぱりちゃうねぇ... 面白いねぇ...
私:音の定位感が凄いですね。何だかペッパーがそこに立って吹いてるのが目に見えるような感じです。
901さん:モノとステレオの両方聴けるって贅沢やねぇ。これは甲乙つけがたいなぁ...
私:フィリー・ジョーも鮮烈ですね。さすがは定冠詞を付けて “ザ・リズムセクション” って呼ばれるだけのことはありますわ。
901さん:すげぇなぁ... もうこれで帰ってもエエくらいやわ(笑)
私:ハハハ...
901さん:じゃあ次、Shiotchさん。
私:実は今日は同じタイトル同士でコンテンポラリーのモノ盤と、ジャケットにデカデカと例の “STEREO” マークが入ったステレオ・レコーズを聴き比べてみようと思いましてね。かぶったペッパーを差し引いたら、7枚中4枚がそのコンセプトですねん。トップバッターはハンプトン・ホーズの「FOUR!」で。
901さん:僕、これは持ってないわ。Shiotchさん、この ”Four” の意味知ってはる?
私:カルテットで4人という意味と、それともう一つゴルフに関係した... 何でしたっけ?
901さん:ゴルフで打ったボールが大きく逸れて前の人に当たりそうになった時の掛け声ですわ。
私:なるほど、日本やったら「ファー!」って叫ぶやつですね。英語は ”Fore!” やから掛けてるわけか。
901さん:【♪~】さっきのペッパーのリズムセクションも良かったけど、こっちも負けてへんねぇ。“アナザー・リズムセクション” っていう感じやね。
私:スイングのお手本みたいな演奏ですよね。
901さん:ハンプトン・ホーズが入ってるのが大きいんやろね。
私:ホーズの良さが出てますよね。
901さん:じゃあ次ステレオよろしく...【♪~】おぉ、これはめっちゃステレオやね(笑) バーニー・ケッセルが真ん中から聞こえるね。
私:さっきのペッパー盤でも顕著でしたけど、コンテンポラリーのエンジニアのロイ・デュナンが録音したレコードってステレオの音像定位が凄いですよね、まだ50年代の後半やっちゅーのに。60年代前半のビートルズの左右泣き別れステレオとか、USキャピトルのアホバカ疑似ステレオとかを考えると、これって凄いことですよ。時代の10年くらい先を行ってたことになりますからね。50年代でこれだけ見事なステレオ感を出してるレコードって他にはちょっと思いつきませんわ。
901さん:せやねぇ... でもさっきも言うたけど、こうやって同じレコードでモノとステレオ両方聴き比べて楽しめるなんて贅沢な話やね。
私:ホンマそうですね。
901さん:それにしてもキレイなステレオやねぇ... どっちもエエねぇ。コンテンポラリーっていう会社、ホンマに凄いねぇ。
私:確かに。
901さん:じゃあ次はハーブ・エリスの「サンキュー・チャーリー・クリスチャン」。これはステレオからいきましょか。
私:ヴァーヴのステレオ盤ってあんまり持ってないのでこれは盲点でした。僕の手持ちのヴァーヴ盤はほとんどモノラルですから。
901さん:へぇ~、それは珍しいねぇ。Shiotchさんモノラル好っきゃからなぁ...【♪~】これはコンテンポラリーとだいぶ感じちゃうねぇ...
私:ちゃいますねぇ。じゃあ次はモノで。【♪~】うわぁ、明らかに音がデカい!
901さん:全然感じちゃうねぇ。でもこのレコードのモノとステレオを聴き比べる人って中々いてへんと思うわ(笑)
私:ハハハ、確かに。僕は断然こっちの方が好きです。
901さん:モノの方がエエね。音にガッツがあるわ。
私:大好きですわ、こういう音。
901さん:このピアノのストラッツェリっていう人、何かこう、独特な弾き方するよね。
私:そうですね。
901さん:ピアノの “キン キン キン!” っていう音の後にセロとベースのソロがくるからホンマに面白いわ。
私:確かに、ユニークですね。
901さん:日頃モノとステレオを続けて聴くってまぁないから余計に面白いねぇ。 (つづく)

901さんとの冬会 '25 ④

2025-02-09 | Jazz

私:じゃあ次はちょっと珍しいところでビヴァリー・シスターズの「The Enchanting Beverley Sisters」を。
901さん:これは初めて見るなぁ...
私:コーラスがめっちゃ気持ちエエんです。この「Once In A While」なんかもうたまらんですよ。
901さん:このジャケット、何かピザみたいやなぁ...
私:(大笑いしながら)そんな表現した人、初めてです(笑) しかしピザとはまたうまいこと言わはりますね。
901さん:この赤いとこがトマトソースやろ... やっぱりどう見てもピザやで!
私:言われてみればその通りですね。僕もピザにしか見えなくなってきました(笑) これはオリジナル・ジャケットの写真を複製コラージュしたんですな。
901さん:そっちのオリジナルは切り分けたピザっちゅー感じやね。
私:ハハハ...(笑)
901さん:じゃあ次... 僕はマイルスの「Seven Steps To Heaven」で。マイルスの日本盤って結構別ジャケで出てて、集めてる人が多いんですよ。
私:でしょうね。マイルスの各国盤って、日本盤に限らずオリジナルよりカッコいいジャケットが多いような気がします。
901さん:このレコード、あんまり聴いたことなかったんやけど、こうやって聴くとエエねぇ...
私:同じです。悪くない... どころか結構エエですね。
901さん:このタイトル曲なんやけど、ビクター・フェルドマンにとっては自分の曲やのに自分の演奏はボツにされて、代わりにハンコックのヴァージョンが採用されたのって、かなり屈辱やろうね。
私:そらそうですよ。ピアニストとしてこれ以上の屈辱はないでしょう。でもこれ聴くとハンコックは上手いなぁと思っちゃいますよね。マイルスってそういう点では慧眼ですね。
901さん:ハンコックはこれがマイルスとの初セッションらしいけど、ホンマに上手いねぇ... 才能の塊やねぇ...
私:じゃあ次いきますね。クリス・コナーの「Sings Lullabys Of Birdland」です。
901さん:あの大口開けてるやつ?
私:はい、大口開けてるのが 1stプレスで半口開けてるのがこの 2ndプレスですね。
901さん:これ、ジャケットがバート・ゴールドブラットってなってるでしょ? 僕ねぇ、これはゴールドブラットじゃないと思うんですよ。
私:と言うと?
901さん:これ、どこをどう見てもゴールドブラットのセンスじゃないですよ。ゴールドブラットがデザインした他のクリス・コナー盤、12インチの2枚も10インチの2枚もどれもみな単一カラーで深みがあるのに、このレコードだけフル・カラーでしかも大口開けてますやろ?
私:なるほど。今までそんなこと考えてもみませんでしたが、言われてみれば確かにこのレコードだけジャケットが醸し出す雰囲気が明らかにちゃいますね。
901さん:これはあくまでも僕の推測なんやけど、10インチが売れたのでこの12インチを急遽作ったんやないかと思うんよね。で、12インチにはゴールドブラットが全然関わってないのに何らかのミスでジャケット右下にゴールドブラットの名前を入れちゃったんじゃないかと。
私:ほほう... せやからジャケ右下にあったゴールドブラット表記が2ndプレスでは消されたということですか。なるほど、それなら辻褄が合いますな。
901さん:でしょ? 実は僕、大口ジャケの国内盤を持ってて、そこには彼の表記がないんですよ。
私:え~っと... 何となく頭の中で時系列に沿った整理が出来てきたような気がします。まずオリジナル12インチの大口1stプレスがゴールドブラットの名前入りで出て、その後で間違いに気付いて名前を消した大口国内盤が作られ、更に写真まで半口に差し替えて2ndプレスが出たと。ゴールドブラットから “紛らわしいから写真も替えろ!” みたいなクレームがついたのかもしれませんね。
901さん:そうそう、これに関しては夢レコさん(←ディープなジャズ・コレクターが集う「夢見るレコード」っていうその筋では有名なブログ)で何年か前に話題になってて僕も議論に参加してるんで、よかったら見て下さい。
私:わかりました。めっちゃ面白そう...
901さん:次なんやけど、実は僕の最後のやつもバート・ゴールドブラットですねん。ジョージ・ウォーリントンの10インチ。
私:へぇ~、凄い偶然! 今日はフォンタナとかパーロフォンとかゴールドブラットとか、ホンマにうまいこと繋がりますねぇ...
901さん:ホンマやね。ウォーリントンってプログレッシヴに有名なイラスト・ジャケの10インチありましたやろ?
私:あぁ、あのブラッシュ持った手がデカく描いてあってその奥にちっちゃくウォーリントンが見えてるやつですね。
901さん:そうそう。今日持って来たのはサヴォイがプログレッシヴを買収した後にそのイラスト・ジャケを写真に差し替えて出したやつですねん。
私:え~っと、ちょっと待って下さいね... 1stプレスはこれですよね。
901さん:そう、それ! 何でも持ってるなぁ... 図書館みたいやなぁ...(笑)
私:これはもう100%ジャケ買いですわ。見れば見るほど雰囲気満点のジャケットですよね。構図といい色使いといい、もうアートというか芸術品のレベルですよ。
901さん:寺島さんがアメリカへ廃盤ツアーに行った時にこのレコードを見つけて大喜びしてたら周りのコレクター連中から拍手が起こったって本に書いてはりましたわ。
私:わかるわぁ、それ... もう見ただけで音が聞こえてきそうな名ジャケットですよ、これは。
901さん:【♪~】演奏はパウエルそのものやね(笑)
私:ホンマにもうパウエル丸出し(笑) まぁこの頃のモダンジャズのピアニストは大体そうですけどね。
901さん:じゃあ最後、Shiotchさん。
私:ラストはMJQでいきます。「European Concert」の日本盤です。
901さん:えっ、「European Concert」の日本盤持ってはるの? しかも Vol.1 とVol.2の両方とも?
私:はい。コレは国内盤の音が良いってどっかのサイトに書いてあって、それを信じて買ったんですが、看板に偽りナシの高音質盤でした。
901さん:こういうレコードちゃんとコレクションしてはるところがエライわ。
私:ありがとうございます。この前はVol. 1から「Django」かけましたけど、今日はどの曲にします?
901さん:う~ん... やっぱり「Django」で(笑)
私:わかりました(笑)
901さん:【♪~】MJQのUS録音ってあまり音良くないよね。「Fontessa」なんて、ベースほとんど聞こえへんもん。
私:そうですね。何かもっさりした音のイメージがありますね。そもそもアトランティックのジャズ・レコードで音のエエのって1枚も思い浮かびませんよ。
901さん:MJQはアトランティックでだいぶ損してると思うわ。その点これはヨーロッパ録音で大正解やね。
私:シャープでキレ味鋭い音ですね。US録音とはクリアネスがダンチです。
901さん:いやぁ、今日は色々面白かったなぁ...
私:ディフジャケがこんなに盛り上がるとは思いませんでした。やっぱり901さんと一緒にレコード聴いてると話が弾んで楽しいですわ。次回もまたよろしくお願いします。 (おわり)

901さんとの冬会 '25 ③

2025-02-04 | Jazz

私:ビートルズ・ファンにとってパーロフォンは特別な思い入れがありますからね。
901さん:じゃあ僕もパーロフォンいきますわ。黄色ですけど。
私:えっ、誰のレコードですか?
901さん:ジョアン・ジルベルトの「The leader Of A Revolution」ですわ。ブラジルでは第3集に当たるレコードなんやけど、イギリスでは第1集と第2集が出てなくて、これがデビュー作になりますねん。
私:ジョアン・ジルベルトの黄パロですか... 初めて見ましたわ。
901さん:それにしてもまた何でこんなサイケなジャケットにしたんやろうね?
私:パーロフォンってビートルズ登場以前はEMI傘下にあってジャズやコメディー、ナレーションのレコードなんかを出してた傍系レーベルですから、ボサノバも出してたんですね。
901さん:実は別ジャケやないけど金パロも持ってきましてんで。
私:金パロ?
901さん:それもボサノバでっせ!
私:金パロのボサノバ... ですか?
901さん:「Bossa Nova Brazil!」っていうボサノバのコンピレーション盤なんやけど、番号が1200番ですねん! パーロフォンは「Please Please Me」の2番前にこんなん出してたんやね。
私:おぉ、スタンパーが1G/1Gや!
901さん:そらこんなレコードほとんど売れんかったやろうからね...
私:【♪~】うわぁ、すごい音してる... キレッキレですやん! 金パロの1G、ヤバいです!
901さん:エエ音してんなぁ...
私:何やったらモノ針に変えてみます?
901さん:ぜひ、お願いします!
私:【♪~】どうですか? 
901さん:うわぁ、ギターのキレ味が凄いねぇ... これは凄い! パーロフォン恐るべしっていう感じの音やわ。これ、ヤフオクで何百円でしてんで。金パロが入っとるとは知らずに十把一絡げでまとめ売りしとったのを買うたんやけど、届いて中身見たら金パロでビックリしてしもうて... それで “金パロ” でググってみたら1番目と2番目に Shiotchさんのブログが出てきて大笑いしましてん。
私:ハハハ... そうでしたか。
901さん:オリジナルのブラジル盤よりエエ音してるわ。
私:そっちの黄パロのスタンパーは... え~っと... 1A/1Aなんですね。
901さん:1247番やからちょうど「For Sale」の頃やね。
私:その頃はパーロフォンからビートルズとボサノバが交互に出てたんですね。
901さん:面白いねぇ... まさかオマケで持って来たパーロフォンでこれだけ盛り上がるとは...(笑) じゃあ次Shiotchさん。
私:僕はハードバップ続けますわ。ロリンズとモンクの共演盤「Work!」です。オリジナルはプレスティッジから出た例のわけのわからん抽象画みたいなジャケットのやつです。曲はやっぱり「The Way You Look Tonight」ですね。
901さん:僕もモンク持って来ましてんで。後で出しますわ。
私:へぇ~、今日はなんか偶然つながりがすごいなぁ...
901さん:オリジナルよりこっちのジャケットの方がええよね、あの抽象画みたいなやつより。
私:そうなんですよ。値段が安かったのももちろんありますが、ジャケットで迷わずこっちを買いました。
901さん:ロリンズええねぇ。ジャズ・サックスはこうでなくっちゃ。
私:王道の音ですよね。
901さん:じゃあ次は僕のモンク。バークレーの「Thelonious Monk Trio」から「Blue Monk」を。モンクではこれが一番好きですねん。
私:ほぉ、フランス盤ですか。
901さん:ヴァン・ゲルダーの刻印はどうやって押してるんやろうねぇ... でもビニールの材質が違うから音が全然違うのが面白いね。
私:各国盤聴き比べの面白さはそこですよね。何でこんなに音が違うんやろと...
901さん:僕、モンクのライブ観に行ったことあるんですよ。モンクとバーデン・パウエルとウディ―・ハーマンが出てた「ニューポート・ジャズ・フェス・イン・ジャパン」とかいうやつ。バーデン・パウエルは演奏の途中で弦が切れたのに最後まで弾き続けたのが印象に残ってて覚えてるけど、モンクの演奏は全然覚えてへんなぁ...(笑)
私:何か凄い組み合わせですね(笑) じゃあ次はモンク繋がりで「Ray Bryant Plays」から同じ「Blue Monk」を。
901さん:これ、オリジナルはどこでしたっけ?
私:え~っと... サッと言葉がでてこない... 年取ったなぁ... あれあれ、そう、シグネチュアですわ!
901さん:で、これはヘ・リ・...???
私:ヘリオドールです。ドイツのレーベルやったかな。ジャケ写のブライアントの目線がオリジナル盤とは微妙に違うでしょ?
901さん:なるほど。ホンマに色々持ってはるなぁ...(笑) じゃあ次は45回転で。
私:おぉ、EP盤できましたか... 誰ですの?
901さん:アル・ヘイグ・トリオです。
私:UK エスクァイアのアル・ヘイグってめちゃくちゃレアなやつですやん! こんなん初めて見ましたわ。
901さん:LPではゲッツの「Prezervation」に入ってるけどね。
私:やっぱり901さんは凄いわ...
901さん:次、Shiotchさん。
私:じゃあ僕も気合い入れてピンキー・ウインターズの「Lonely One」でいきます。
901さん:これも初めて見るなぁ...
私:めっちゃ好きなんですよ、このレコード。アーゴのオリジナル1stプレスはめちゃくちゃ高いんですけど、声質もスインギーな歌い方も一番好きなタイプやったので、思い切ってそっちも買っちゃいました。
901さん:どんなやつ?
私:これです。
901さん:う~ん、何か聖書でも読んでるみたいな写真やね。
私:イラストに切り絵を無造作に貼り付けたようなアートワークがイマイチ好きになれんのですよ。再発の “湖のピンキー” の方が絶対良いです。
901さん:これは何か聖歌でも歌ってそうなジャケットやね。出てくる音はこのオリジナルのジャケットと全然印象ちゃうよねぇ。
私:ひょっとすると、せやからこの “湖ジャケ” に差し替えたのかもしれませんね。
901さん:じゃあ次はパウエルの「Jazz Giant」のブラジル盤を。
私:おぉ、パウエルのブラジル盤とはこれまた珍しい...
901さん:これもさっきのニロさんのレコードです。【♪~】どうですか? ノイズ大きいでしょ?
私:音圧低いですね。音自体がショボイです。初期ビートルズのブラジル盤もこんな感じのトホホな音してましたわ。次はモニカ・ゼタールンドの「Waltz For Debby」で。1973年にディフジャケで出た 3rdプレスです。
901さん:これ僕も持ってますわ。いま結構高いんですよ。
私:この前ヤフオクに出てましたけど、めちゃくちゃ高くてビックリしました。
901さん:オリジナルなんて超レアでしょう?
私:そうそう、再発盤、しかも3rdプレスであの値段ですからね。オリジナルはえげつない値段しますよ。
901さん:これが2ndプレス?
私:そうです。スウェーデンのソノーラっていうレーベルから Red Seriesの1つとして1970年にオリジナル・ジャケットのまま出たやつで、ひょっとするとこれが一番レアかもしれませんね。
901さん:珍しいの持ってるねぇ... じゃあ僕はABCのエヴァンスで。
私:エヴァンス繋がりですか... おぉ、きましたね、音の良いシリーズ。
901さん:今回は「Polka Dots And Moonbeams」です。このボブ・アーノルドっていうエンジニアの人、才能あるんやね。
私:この前持って来られた「Live At The Village Vanguard」、オリジナルよりも音が良かったんで、あのオフ会の後、僕も買いましたよ。
901さん:最近みんなわかってきたんかして値段が上がってきてるね。それにしてもこの「Very Early」ってホンマにエエ曲やと思うわ。僕は「Waltz For Debby」よりこっちの方が好きやね。
私:これもエエ音してますやん。
901さん:スッキリしたエエ音やねぇ... (つづく)

901さんとの冬会 '25 ②

2025-01-31 | Jazz
私:じゃあフォンタナつながりでベンクト・ハルベルグ。
901さん:ひょっとして「Dinah」? 僕、実はこれのUS盤持ってこようかと思うてましてん。
私:薄い青色ジャケットのエピック盤ですよね。
901さん:そうそう。オリジナルはオランダ・フィリップスやからね。ハルベルグがピアノ弾いてて後ろに女に人が立ってるやつ。
私:僕のはフォンタナがスウェーデンで出したリイシュー盤です。黒ベタに字が書いてあるだけの地味なジャケットですけど、めちゃくちゃ安かったんで買うたんです。
901さん:【♪~】テディ・ウィルソンをモダンにした感じやね。
私:うまいこと言わはりますね。
901さん:この人、クリフォード・ブラウンの「メモリアル」で良いソロ取ってたよね。でもShiotchさんからこの人が出てくるとは意外やね。
私:そうですか? 僕の好みですよ。テディ・ウィルソン系で、しかもブラッシュ使いのピアノ・トリオなんてドストライクですわ。
901さん:いや、スウェーデンまで手ぇ出してはるっていうのがね。
私:なるほど。これは日本橋にあった「EAST」で買うたんです。仲良くさせていただいてた店主の佐藤さんがこれを勧めてくれやはったんですよ。あの頃のレコ屋巡りは楽しかったなぁ...
901さん:じゃあ僕もスウェーデンのピアニストで。
私:ほぉ、ヤン・ヨハンソンですか。
901さん:スウェーデン・オリジナルの「8 Bitar」が「Sweden Non Stop」ってタイトルでアメリカのドットから出てるんです。
私:それは知らんかったです。
901さん:オリジナル盤を持ってるんやけどそっちはステレオでね。僕はモノのこっちの方が聴きやすいんですわ。特に3曲目のブルースが好きでねぇ。ヨハンソンはこの「8 Bitar」と「Innertrio」の2枚がベストやね。
私:じゃあ次はヴォーカルでいきます。
901さん:それ誰?
私:ジュンクリの「This Is June Christy」ですよ。
901さん:あぁ、酒乱で有名な人やね(笑) こんなジャケット見たの初めてやわ。
私:これも WORLD RECORD CLUB盤です。
901さん:さっきのペギー・リーと同じ会社?
私:そうです。キャピトルのカタログの中から厳選して出してたんでしょうね。
901さん:なるほど。オリジナルのジャケットはどんなん?
私:これですわ。
901さん:あぁ、「素敵なあなた」が入ってるやつやね。
私:そうです。じゃあ次いきましょうか。
901さん:ドナルド・バードの「Byrd's Eye View」、フランス盤です。
私:おぉ、これはエエですね。めっちゃ欲しい!
901さん:トランジションみたいなマイナー・レーベルのレコードをちゃんと出してるバークレーって凄いと思うわ。
私:仰る通りですね。さすがフランス人はジャズがよぉわかってらっしゃる。
901さん:この盤のごっついこと... ちょっと持ってみて。
私:ホンマや。めっちゃ重たくてガッシリしてる... だいたいトランジションのオリジナル盤って音悪くないですか?
901さん:悪い悪い。こいつのトランジション・オリジナル盤も持ってるけど、こっちの方が音エエし、こっちばっかり聴いてしまうわ。トランジションはビニールの質が悪いんやろね。
私:僕もトランジションのオリジナル盤は値段だけ高くて音が悪いのでスルーして、音の良い再発盤を買うようにしてます。
901さん:この「Everythig Happens To Me」ってエエ曲やねぇ...
私:僕も大好きですわ。じゃあ次はチャーリー・ラウズの「Yeah!」。
901さん:へぇ~、それどこの盤?
私:フランスです。
901さん:USエピックのオリジナル盤よりこっちの方が珍しいやろうね。
私:でもこのジャケットは好き嫌いが分かれるんとちゃいますかね。
901さん:フレンチ・コロムビアか... カッコいいレーベルやね。【♪~】あんまり聴かへんレコードやけど、こうやって聴くと結構エエレコードやねぇ。ここの装置で聴かしてもろうて特にそう思うわ。それとこのビリー・ガードナーってレッド・ガーランドに似た弾き方する人やね。
私:ブロック・コードがそっくりですね。
901さん:デイヴ・ベイリーも確か「2 Feet In The Gutter」で一緒にやってたなぁ... それにしてもホンマにエエ音やねぇ...
私:ありがとうございます。
901さん:中々おもしろい展開やなぁ... 今日は。
私:内容がめっちゃ濃いですね。
901さん:次は是非ここで聴かしてもらおうと思うて持ってきましてん。ジョン・ルイスの「Grand Encounter」。疑似ステレオなんやけどわりとエエ音やと思いますねん。特にビル・パーキンスがエエね。
私:実際に聴いてみてどうですか?
901さん:想像以上やわ。ちょっとエコーかけて聴きやすくしてるね。これはこれでエエと思うわ。これ、エラレコードで550円やで。さすがに誰もけぇへんかったわ(笑)
私:そら来んでしょう(笑)
901さん:どう? 悪くないよね。
私:エエと思いますよ。疑似ステの悪い面が出てないですよね。
901さん:僕らの世代は粟村さんが疑似ステを忌み嫌っててその影響をまともに受けたんで、偏見が強かったんですわ
私:僕も疑似ステは大嫌いですよ。ビートルズのキャピトル盤で散々不快な音を聴かされたもんで。でも坂本九の疑似ステは普通の音でしたわ。
901さん:これのオリジナル持ってはる?
私:え~っと、これですか?
901さん:すっと出てくるとこが凄いね。【♪~】やっぱり音が違うなぁ...
私:じゃあ次はルーシー・アン・ポークの「Easy Livin'」。インタールード盤です。
901さん:ルーシー・アン・ポークってどっかで聴いた名前やなぁ...
私:オリジナルはモードですわ。
901さん:あぁ、あのイラストのやつ?
私:そうです。あれの再発盤ですわ。
901さん:こっちの方が珍しいんちゃう?
私:確かに。これは滅多に見かけませんね。
901さん:内袋も珍しいで! インタールードの内袋なんてめちゃくちゃ貴重ちゃう?
私:ハハハ、そうですね。裏ジャケのピンクの色使いもめっちゃチープやし。
901さん:じゃあ次はハードバップで。マクリーンの「Lights Out」。
私:えーっ、それ僕と被ってます! すごい偶然ですね。
901さん:ホンマに? すごい偶然やね! マクリーンは「Steeplechase」とこれのどっちにするか迷ってこれにしましてん。
私:僕は「4,5, and 6」とこれで迷って、これを選んだんですわ。僕の方は補欠用意してありますんで大丈夫です。それにしてもお互いに何千枚のレコードの中から選んで被るなんてビックリやなぁ... 
901さん:いやぁ、今日は色々と盛り上がってオモロイですなぁ...
私:じゃあ次はハードバップつながりでブレイキーを。
901さん:それ何?
私:金パロのブレイキーですわ。オリジナルはベツレヘムの「Hard Drive」っていう、幼稚園児が描いたロケットの絵みたいなチンケなジャケットのレコードです。
901さん:へぇ~、そんなんあるんや... パーロフォンもジャズ出してたんやね。それにしてもこれは珍しいねぇ。
私:金パロやという理由だけで買うたようなもんですわ(笑) まぁオリジナル盤のジャケットがあまりにも幼稚ってゆうのもありますけど。
901さん:オモロイなぁ... さすがやわ。  (つづく)

901さんとの冬会 '25 ①

2025-01-26 | Jazz
 昨日901さんと2025年最初のオフ会をやった。前回からまだ2ヶ月ちょっとしか経ってないのにめっちゃ久しぶりな感じ。今回のテーマは “ディフジャケ(別ジャケ)” 特集で、色々と面白い偶然が重なって2人とも大盛り上がりヽ(^o^)丿 ある程度音楽的嗜好が似通っていて尚且つ遠慮せずにマニアックな話がガンガン出来る音楽友達のありがたさを実感した一日になった。

私:前回は「アウトレイジ」教えていただいてありがとうございました。又アクション系映画の情報あったらお願いします。
901さん:僕も最初はたけしの映画なんかとバカにしとったんやけどね、たまたまBSでやってたのを見たらめちゃくちゃオモロいねん。それでたけし見直しましてん。あっ、そうそう、「イコライザー4」のことは知ってはる?
私:えっ、「4」あるんですか? デンゼル・ワシントンももう70歳やから「イコライザー」シリーズは一昨年の「3」で終わりって聞いてたんですけど。
901さん:YouTubeで「4」のトレイラー見ましたで。確かアジアか中東っぽいシーンがあったような気がするけど..
私:どれどれ、あっ、ホンマや。日本語っぽい看板が出てくるシーンありますわ。楽しみですね。
901さん:ホンマやね。じゃあ早速「ディフジャケ」いきましょか。まずは有名どころから...「Time Out」のオランダ盤なんやけど。
私:おぉ、これは珍しい! 初めて見ましたわ。
901さん:曲はもちろん「Take Five」で。ここで「Take Five」聴かしてもらうの初めてちゃうかなぁ。僕、オリジナルはモノでもってるんやけど、これはステレオなんでちょうどいいですわ。
私:やっぱりUS盤とは音作りがちゃいますね。いかにもヨーロッパ的な音というか... バランスも何か “ポール・デズモンド・カルテット” みたいな感じになってる。
901さん:このジャケットの写真見たことないでしょ? こういう写真を使うっていうのはさすがヨーロッパやね。これ、多分プレイバック聴いてるとこやろうけど、ジョー・モレロが一番態度でかいねぇ(笑)
私:ホンマや(大笑い)
901さん:これ、3~4年ほど前にヤフーで800円やったかなぁ... みんな知らんのやろね。
私:そら普通はスルーするでしょ、こんなの。ビートルズでもそうやけど、みんなオリジナル盤しか見てへんのとちゃいますか。
901さん:じゃあ次、Shiotchさん。
私:僕はマイルスの「Relaxin'」イタリア盤で。
901さん:このイタリアのジャケットは珍しいね。これエエわぁ。これって確かヴァンゲルダーの刻印あるやつちゃいましたかいな。
私:よくご存知で。
901さん:「Relaxin'」のディフジャケってフランスもあったよね。
私:はい、次に出しますよ。でもフランスよりこっちの方が珍しいです。
901さん:ジャケ違いっていうのはまさにヨーロッパのセンスやね。
私:色使いもエエですよね。小物の配置も考えたんでしょうね。
901さん:オリジナル盤を聴くのもええけど、こういうのも楽しいなって思うわ。
私:各国盤の楽しみはジャケットにあり、ですね。
901さん:じゃあ次はマイルス続きで「Kind Of Blue」のフランス盤を。
私:ほほう、これも珍しいですね。
901さん:このレコードはeBayでブラジルのセラーから買ったんやけど、ジャケ裏に持ち主の名前が書いてますねん。ブラジル人のニロさん... 1960年にフランスで買ったって書いてある... しかも当時の新聞の切り抜きまで付いてて、それが「死刑台のエレベーター」の記事なんよ。
私:それはめちゃくちゃ貴重な資料ですやん!
901さん:ですやろ? ブラジル人のニロさんがフランスで買ったレコードにフランスの新聞の切り抜きを挟んだままでブラジルのセラーに売って、それを今僕らが日本で聴いてるっていうのが何と不思議な感じがするなぁ...
私:65年かけて世界中を巡ってるわけか... 何かロマンを感じますね。
901さん:ホンマやねぇ...
私:で、901さんが終活か何かでこれをユニオンに売ったらそれを中国人が買うたりとかね。
901さん:ハッハッハ(と大笑い)。
私:これって盤だけフランス製でジャケットはオランダ製なんですね。
901さん:そうそう。フォンタナってオリジナル・ジャケットを踏襲してるのとこういうディフジャケとハッキリ分けてるよね。
私:僕はオリジナルよりこっちのほうが断然カッコ良いと思います。
901さん:そうやね。じゃあ次。
私:さっき言った「Relaxin'」のフランス盤です。
901さん:これもジャケットはオランダなんやね。アートーンか...
私:このアートワークもさすがヨーロッパっていう感じでセンスありますね。
901さん:“リラクシン” ってヨーロッパの人にとっては女性が寝そべってるイメージなんかな...(笑)
私:ハハハ、ホンマに(笑)
901さん:じゃあ次はブロッサム・ディアリーで。僕、この人のレコードそんなに持ってへんのやけど。このジャケ、オリジナルは写真ですねん。タイトル何やったかな...
私:「My Gentleman Friend」ですね。エエ感じのイラストですやん。
901さん:このイラスト・ジャケの方が好きですねん。日本盤の写真のやつを持ってたんやけど、売っ払ってこれ買いましてん。
私:日本盤なんですね。今調べたらDiscogsにも載ってませんやん。
901さん:しかしアニタ・オデイとかやったらわかるけど、この人をわざわざジャケットを変えて出すってすごいと思うわ、日本コロムビア...(笑)
私:ホンマや(笑) じゃあ次はペギー・リーで。
901さん:それ10インチ?
私:いいえ、「Mink Jazz」のUK盤です。
901さん:珍しいネェ... “WORLD RECORD CLUB” って?
私:通販用専門レーベルです。
901さん:オリジナルはどんなジャケットのやつ?
私:これです。
901さん:あぁ、それか。なるほど。じゃあ僕も美女ジャケで。キャノンボールのリバーサイド盤「Cannonball Plays Bossa Nova」のオランダ・フォンタナ盤です。
私:これも初めて見ました。地味なオリジナル・ジャケなんかより断然こっちの方がエエですよ!
901さん:このレコードって、ジャズ・ファンからはバカにされてて、ボサノバ・ファンからはゲテモノ扱いされてるっていうホンマに気の毒な盤なんやけど(笑)、肩の力が抜けてて僕は大好きなんですよ。僕以外は誰も褒めへんけどね(笑)
私:パーカーのラテンやウィズ・ストリングスみたいなもんちゃいます?
901さん:うまいこと言うねぇ...
私:901さんの言いたいこと、すっごくよくわかりますよ。僕も世間の評価なんてクソ以下にしか思うてなくって、自分の気に入った音楽だけを聴いてますから。
901さん:Shiotchさんの言わはる通りやわ。キャノンボールとボサノバなんて合うとは誰も思わへんけどね... これがエエんよ。バックはセルジオ・メンデス... 一流やね。
私:めっちゃ合うてますやん。
901さん:これ、キャピトル盤も持ってるんやけどね。このボサノバはスタン・ゲッツよりエエと思うわ。聴いてたら気持ちエエんですよ。
私:キャノンボールって “パーカーの後継者” とか “ファンクの卸商人” とか色々言われてますけど、本人にしたらこんな風にボサノバのリズムに乗って気持ち良く吹いてる時が一番楽しいのかもしれませんね。
901さん:このモデルの人とキャノンボールの組み合わせって他にもいくつかあるんやけど、ジャズ・ファンなんてこのジャケット見ただけでバカにするよね。
私:ジャズ・ファンって特にオリジナル盤信仰が強いですからね。僕は音さえ良ければ綺麗なオネーチャンが映ってるセクシー・ジャケの方がエエわ。
901さん:ハハハ... こんな話できるの、ここだけやわ。フォンタナ盤でこんなに盛り上がれるなんて!  (つづく)

901さんとの秋会 '24 ②

2024-11-14 | Jazz
901さん:じゃあ次はエヴァンスの「Sunday」いきましょか。今日は日本盤、オルフェウム盤、ABC盤の3種類持って来ましてん。ABC盤だけかなり音作りの傾向が違うのが面白いですよ。ところでShiotchさんは「Waltz For Debby」とセットになったフォンタナの2枚組はもう買わはったん?
私:いえ、待っても待っても全然出てけぇへんので、代わりに「Waltz For Debby」の日本初版を買いました。
901さん:えっ、それSRシリーズのやつやん! めっちゃ高いねんで。いくらで買わはったん?
私:16,000円やったかな。ヤフオクのクーポン使うて安ぅ買えましたわ。
901さん:SRシリーズは音もめちゃくちゃエエし、人気があって中々出てけぇへんのよ。次の「Waltz For Debby」特集が楽しみやね。
私:僕もです。凄いことになりそうですね... じゃあ「Sunday」に戻りましょうか。
901さん:まず日本盤からいきましょう。曲は「Gloria's Step」で。
私:普通にエエですね。
901さん:でも次のABC盤は明らかに音作りが違うんですよ。【♪~】どうですか?
私:おぉ、これはかなり違いますね。こっちの方が音圧が高いし、リズムがしっかりしてます。僕はこっちの方が断然好きですわ。
901さん:聴きやすいよね。ラファロやモチアンがクリアーに聞こえる。僕も「Sunday」はこの盤で聴くことが多いですわ。どっかのブログでこのABC盤を絶賛してたから買うたんやけど、ホンマにエエ音してるね。
私:音は圧倒的にこっちでしょ! ジャケットはクソダサいけど...(笑)
901さん:このレコードはビニールがエエんやろね。何ていうか、ノイズが入りにくい感じ。ブログに書かはった人のおかげやわ。
私:その人、まずこれを買わはったっていうのが凄いですよ。ジャケットも違うし、普通なら絶対にスルーしますもん。
901さん:じゃあ最後はオルフェウム盤で。【♪~】これもさっきのABC盤に比べると音圧が低いね。でもこじんまりした感じで聴きやすくて悪くはないよね。
私:同感です。
901さん:じゃあ次はCDを聴かせてもらえますか?
私:いいですよ。僕のは「Compete Recordings」っていうやつで、演奏順に入ってるんです。
901さん:エエ音してるねぇ。でもこれは別テイクやね。シンバルが違うもんね。
私:ホンマや。失礼しました。
901さん:この音ならもうCDで十分って感じもするね(笑)
私:そう言っちゃうと身も蓋もないですけど、エヴァンス・トリオの演奏はCDの特性と合うんでしょうね。で、次はどうしますか?
901さん:Shiotchさんとこのオーディオで聴かせてほしい高音質盤を何枚か持ってきたんやけど、聴かしてもらえる?。
私:もちろんです。なんぼでもどーぞ。
901さん:嬉しいなぁ... じゃあまずスリー・ブラインド・マイスの山本剛「ミスティ」からA②「Blues」を。
私:それ、僕はCDでしか持ってないです。【♪~】これは凄い! ピアノが躍動してますね。
901さん:エエ音してるね。ピアノの高い音がものすごくクリアー。ジャズ喫茶のオーディオ・チェック、この曲でよぉやってはりますわ。
私:なるほど、何かわかる気がします。
901さん:エエ音してるなぁ... 前からShiotchさんとこで聴かしてほしいと思うてましてん、このレコード。TBMがオリジナルなんやけど、これは再発のトリオ盤。オリジナルは聞いたことがないけれど、もうトリオ盤で十分やね。
私:突き抜けるようなクリアネスがハンパないですね。
901さん:じゃあ次はエリントンで。僕はエリントンってあんまり聴かへんのやけど、このエリントンのピアノはエエ音しとるんですよ。
私:エリントンらしいダイナミックな音がバッチリ入ってますね。
901さん:これ、ヤフオクで550円。みんな知らんのやろね。
私:まぁエリントンって名前だけは有名やけど、あんまり人気無いですもんね。
901さん:次はシェリー・マンの「2 3 4」。エディー・コスタのヴァイブの音が凄いんですよ。
私:コレは有名ですね。僕が持ってるのは確かモノラルやったはず... これですわ。
901さん:じゃあ聴き比べてみましょうか。シェリー・マンっていう人、タメがめちゃくちゃ上手いんよね。速すぎず遅すぎずで。このレコードはコールマン・ホーキンスが入ってるトラックはあんまり聴かへんのやけど、これはよぉ聴きますねん。
私:僕も全く同じです。この「The Sicks of Us」ばかり聴いてしまいます。じゃあ次はモノラルで。
901さん:ベースはこっちが凄いね。全然感じちゃうなぁ。
私:全然ちゃいますなぁ。
901さん:モノの方が凄いなぁ。聴きやすいよね。聴き慣れたステレオはシェリー・マンが左側からくるんで、モノがとっても新鮮に聞こえます。イメージ変わったなぁ... まさか Shiotchさんにインパルス聴かしてもらうとは思わへんだわ。
私:ハハハ、確かに。基本的にインパルス大嫌いですもんね。持ってるのはこれと「アルフィー」と、あと2、3枚...
901さん:じゃあ次もドラムで「The Ultimate Elvin Jones」。僕このレコード好きですねん。もちろんヴァン・ゲルダーです。A③「Ascendant」を。このエルヴィンも中々...
私:エルヴィン上手いですなぁ。
901さん:めちゃくちゃ上手いで! 両手両足どないして叩いてるんかと思うわ。60年前やで、これ。僕はコルトレーンとこでやってるよりもこんなエルヴィンが好きですわ。解放されてる感じやね。カッコいいでしょ、エルヴィン。
私:カッコエエですね、ホンマに。
901さん:次はマントヴァーニーの「Release Me」。ここのシステムで弦のキレイさを聴かせてもらおうと思って。ジャズちゃうから雰囲気ガラッと変わるけどね。【♪~】うわぁ、エエなぁ。ジャズばっかり聴いてたら疲れるでしょ。そんな時に聴くんですよ。
私:なるほど。ウチのシステムでこういう音楽が鳴るのは初めてです。いつもロックンロールばっかりやから、スピーカーもビックリしとるやろうなぁ(笑)
901さん:すごいリッチな気分。イーベイでマントヴァーニー6枚ほどまとめて買いましてん。僕もShiotchさんもジャズだけやのうて色んなジャンル聴きますやろ? せやから長続きするんやと思うわ。
私:確かに。
901さん:人数で言うたらジャズのビッグバンドなんかよりも遥かに多い人らが一斉に音を出すんやから凄いよね。じゃあ最後よろしい?
私:もちろん。
901さん:MJQの「European Concert」から「Django」。コニー・ケイが入ってくる瞬間が最高にカッコエエんですよ。
私:これはシビレますね。
901さん:「Last Concert」なんかよりも遥かに緊張感あるね。アメリカ録音でこんなにキレイな音でコニー・ケイが録音されてるの無いですよ。
私:確かにそうですね。
901さん:それと、各ソロが終わっても誰も拍手せぇへんのよね。で、曲が終わったら万雷の拍手... みんなクラシックと同じ感覚で聴いてるんやろね。
私:ホンマにクラシックの演奏会みたいや。
901さん:次はモノラル盤で聴きましょか。モノは雰囲気がちょっとちゃうんですよね。
私:おぉ、ロンドン盤ですやん。USオリジナルよりこっちの方が合うんやないですかね。【♪~】これは強烈!
901さん:「2 3 4」もモノと聴き比べできたし、今日はスゴイのいっぱい聴かせてもらって十分堪能しましたわ。

901さんとの秋会 '24 ①

2024-11-10 | Jazz
 901さんを迎えてレコードを聴きまくるオフ会はこの半年で早くも3回目。今回のお題は “スタンダード曲「When You're Smiling」聴き比べ” と “ビル・エヴァンスの「Sunday at the Village Vanguard」聴き比べ” だ。

901さん:じゃあまず「When You're Smiling」からいきましょか? 数えてみたらあんまりなかったですわ。モダン・ジャズの人はあんまり演ってへんね。僕の1枚目はこれで。
私:おぉ、デューク・ジョーダンの「As Time Goes By」ですか。
901さん:これ、何を血迷うたんか、歌うてますねんで... この曲だけね。それと、同じ日にもう1枚録音した「Time On My Hands」っていうアルバムがあるんやけど、そこでもこの曲を歌うてますねん。
私:へぇ~、何でまた?
901さん:さぁ... 多分歌いたかったんやろね(笑)
私:スティープルチェイス・レーベルですね。
901さん:僕が買うたやつはオランダ盤なんですよ、デンマーク盤やのうて。珍しいでしょ。じゃあ次Shiotchさん。
私:僕は王道中の王道でビリーとレスター。テディー・ウィルソンのフィリップス7インチで。
901さん:あっ、それ僕と被ってる。でも僕のはコロムビアの10インチなんで、聴き比べやりましょう。
私:わかりました。
901さん:僕、この演奏は冒頭のベニー・モートンの茫洋としたトランペット・ソロが効いてると思うんですよ。ベタ吹きっていうか... ただテーマを吹いてるだけなんやけど、だからこそ後に出てくるレスターの神業ソロがひき立つんよね。
私:なるほど。
901さん:この曲の別テイク入りの「Billie Holiday Vol. 3」っていう国内盤があって、その解説の中で大橋巨泉が “モートンのこのソロだけは好きになれない” って書いてるんやけど、僕の考えはそれとは真逆でね。これがあるからエエと思うんですよ。
私:捉え方次第で180°変わるから面白いですよね、音楽の感想って。
901さん:Shiotchさん、笠智衆って役者知ってはる?
私:もちろん知ってますよ。
901さん:あの人、セリフが棒読みなんやけど、監督の小津安二郎はそれでも敢えて使い続けたんよ。周りはみんな錚々たる顔ぶれの役者ばっかりやったから余計に大根役者っぷりが際立ってて、まさにここでのモートンみたいな存在やったと思いますわ。うん、ベニー・モートンはジャズ界の笠智衆やね。
私:ハハハ、めっちゃオモロイたとえですね。そんなこと言う人、他にいてませんで...(笑) じゃあ今度はコロムビアの10インチを。
901さん: 【♪~】やっぱりちょっと違うねぇ...
私:欧フィリップスと米コロムビアの違いなのか、45回転盤と33回転盤の違いなのかはわからんですけど... でもどっちの音も魅力的ですね。
901さん:それにしてもレスターのこのソロは天才のワザやね。
私:何百回と聴いてるはずなのに、聴くたびに新たな感動があります。空前にして絶後... ジャズ史上最強ですよ、このソロは。じゃあ次はホリデイへのトリビュートで...
901さん:ひょっとしてルビー・ブラフ?
私:当たりです!
901さん:いやぁ、僕もブラフ持ってこようと思ったんやけどね... 12インチのやつ。でも多分Shiotchさんが選ばはるやろなぁと思うてやめたんですわ。
私:僕の好み、完全に読まれてますね(笑) レスターのソロをサックス・セクションがユニゾンで吹く所がめっちゃ好きなんですよ。
901さん:わかるわぁ... その気持ち。ルビー・ブラフのレコードやのにサックスに耳が行ってしまうよね。それにしてもこのレコードが吹き込まれたのはちょうど1955年頃やったと思うけど、20年近く前のソロを再現するって凄いことですよ。デイヴ・ペルの「Prez Conference」とかもそうやけど。
私:リー・コニッツもやってますよね。
901さん:えっ、何でわかるの? 次それ出そうと思ってたんよ。何か読まれとるなぁ...(笑)
私:それはお互い様です(笑)
901さん:それにしてもこの「Tranquility」っていうアルバム、コニッツらしゅうない曲ばっかりやってるね。
私:確かに。緩い曲が多いですよね、コニッツにしては。このアルバムって何かかったるいイメージです。僕が聴くのはこの曲だけですよ。
901さん:僕も同じ。ビリ・バウアーとユニゾンでやってるところがエエんよね。
私:じゃあ僕はアルト繋がりでイントロのペッパーを。
901さん:おぉ、やっぱりきましたか。それにしてもキレイな盤やなぁ... 100万円でも買う人いてますで。
私:それは言い過ぎです(笑)
901さん:ホンマにエエ音で鳴るなぁ... じゃあ最後はビル・パーキンス。これちょっとアレンジ変わってるんやけどね。あれ? これもB面ラストか... この曲って最後に置かれること多いね。
私:確かに... 偶然の一致にしてはBラス率高いですね。何かあるんかなぁ... アレンジはレニー・ニーハウスですか... 何か “これぞウエスト・コースト・ジャズ!” っていう感じのアレンジですね。
901さん:せやね。
私:じゃあ僕はシナトラで。この曲はコロムビア時代とキャピトル時代で2回レコーディングしてるんですけど、僕は若さと勢いで突っ走るコロムビア時代の方が好きなんです。
901さん:実は僕、シナトラは1枚も持ってないんですよ。
私:何となくわかりますよ、それ。シナトラって、僕みたいに何枚も持ってるか、901さんみたいに全く縁がないかの両極端に分かれるような気がします。その中間ってあんまりないんとちゃいますか?
901さん:僕らがジャズを聴き始めた頃は周りが尖ってる人らばっかりで、“シナトラなんかジャズちゃうで。あんなエスタブリッシュメントの象徴みたいなやつ聴くなんて恥ずかしいわ。コルトレーン聴かなあかんで!” みたいな雰囲気やったんです。
私:ハハハ、コルトレーンとかシェップとか、僕からしたら逆に何が悲しゅうてあんな気持ち悪い演奏を聴かなあかんねんと思いますわ。マゾじゃあるまいし...(笑)
901さん:あの頃そんな風に時代の流れでジャズ聴いてた人らは今どうしてるんやろね。
私:話をシナトラに戻すと、バラード系は暑苦しくてハッキリ言って聴く気になれへんのですけど、軽快にスイングするアッパーな曲はさすがという感じで大好きなんです。  (つづく)

「Blues-ette」ステレオ 2ndプレス盤聴き比べ

2024-10-20 | Jazz

 カーティス・不ラーの「Blues-ette」は私にとって特別なレコードである。ちょうど1990年代に入って間なしの頃だったと思うが、突然全米チャートの集計方法が改悪されて汚らしい音を撒き散らすグランジ/オルタナ・ロックやキモいファルセット・コーラスに虫唾が走るネオ・ソウル、ワケのわからんヒップホップといった私の嗜好とは真逆のクソ音楽一色に洋楽界が染まってしまい、毎週「American Top 40」を聴くのを楽しみに生きてきた私は “これから一体何を聴いたらエエんや...” と目の前が真っ暗になった。親しみやすいメロディーとノリの良さが魅力だった80'sミュージックが大好きだった私にとっては気持ちの良い秋の晴天からいきなり放射能雨の嵐が襲ってきたようなモンである。
 そんな時にテレビのCM(←タケダのアリナミンVドリンク)で偶然耳にしたのがカーティス・フラーの「Five Spot After Dark」だった。そのクールな雰囲気が気に入った私はすぐに「Five Spot After Dark」が入っている「Blues-ette」のCDを買いに走ったのだが、今から思えばそれが私にとってジャズ初体験となった。ジミー・ギャリソンとアル・ヘアウッドが生み出す盤石のフォービート・リズムに乗って展開されるフォービート・ジャズは当時に私にとってはまさに干天の慈雨とでもいうべきもので、そのカッコ良さに “ジャズってめちゃくちゃエエやん!” と感動(≧▽≦)  洋楽ロックと歌謡曲しか聴いたことがなかった私にとって、歌のないインスト曲でこれほどまでに心を鷲づかみにされたのはベンチャーズを除けば初めてだったが、兎にも角にもこのアルバムとの出会いがなければジャズレコ屋巡りで901さんに出会うこともなかったろうし、その901さんの影響で黄パロを買い始めることもなかっただろうと思うと、まさに私の音楽人生を変えた1枚なのだ。
Curtis Fuller - Five Spot After Dark


 あれから約30年、私がジャズに求めるノリノリのスウィング感、美しいメロディー、そしてキレッキレの演奏といった要素をググッと1枚のレコードに凝縮したかのようなこの「Blues-ette」は、ビートルズと同様の最恵盤(?)待遇扱いでモノラル/ステレオを問わずに音の良さそうなのを見つけたら迷わずに買ってきたのだが、つい最近珍しい盤を1枚手に入れたので今日はそいつを取り上げようと思う。
 そもそもこのレコードを出しているサヴォイというレーベルは今や研究し尽くされた感のあるブルーノートとかと違ってまだまだ謎な部分が多い。12インチの最初期盤のセンター・レーベルは赤色で、その後あずき色(マルーン)⇒こげ茶色へと変わっていくのだが、初期盤っぽくてRVG刻印があるのに音がイマイチだったり、その逆でこげ茶色レーベルなのに意外と音が良かったりとか、ホンマに “実際に聴いてみるまで音の良否はわからない” というマニア泣かせのレーベルなのだ。
 私はモダン・ジャズに関しては基本的にモノラル至上主義で、このレコードも20年くらい前に1stプレスのモノラル赤色レーベル盤を手に入れて(当時4万円で買ったが今なら十数万円はすると思う... ホンマに住みにくい世の中になったものだ...)それで満足していたのだが、ステレオ盤の方はいくら探しても赤色レーベル盤が市場に出てこず、仕方なく2ndプレスのマルーンレーベル盤でお茶を濁していた。
 今回見つけたマルーンレーベル盤は手持ちのステレオ2ndプレス盤とデッドワックスに刻まれた刻印は “RVG STEREO SSST-13006-A X10 / RVG STEREO SSST-13006-B X20 211”と全く同じながら、センター・レーベルのデザインが微妙に異なっていてアルバム・タイトル名の左上と右上の2ヶ所に “STEREO” 表示があり、Discogsを始めとしてネット上をくまなく探してもどこにも載っていないのだ。リア・カヴァーのデザインも2ndプレス盤のそれと異なっていて左上に小さく STEREOPHONIC、右上に SAVOY ST 13006 と記されており、これが何と幻(?)のステレオ赤レーベル盤と全く同じなのだ。大好きな「Blues-ette」は何枚あってもエエわいと思っていたのと8,000円というお手頃価格だったこともあって私は即購入を決めた。
 届いた盤はややスリキズが目立つVGレベル。手持ちのマルーン盤と数回聴き比べをやってみたが、デッドワックス部分の刻印が同じだけあって基本的に音の差は無く、どちらも鮮烈で生々しいステレオ・サウンドが楽しめた。これはあくまでも私の推測だが、今回手に入れたレコードはちょうど1stプレス(1959年)と2ndプレス(1963年)の間の過渡期に作られたもので、ジャケットは1stプレス分のをそのまま流用し、センター・レーベルはマルーン色の最初期で STEREO録音盤であることを強調するためにこのようなデザインになったのではないかと思う。
 ということで、レコード棚にまたまた音の良い「Blues-ette」が増えたのだが、様々なヴァージョンが出ているこのレコード、真に音が良いのはモノラルなら赤色レーベル1stプレス盤一択(1964年のマルーン2ndプレス盤は音の迫力がイマイチ)、ステレオならこのマルーン2ndプレスか赤色1stプレスだろう。裏ジャケ下の住所欄に “P.O.BOX 1000” 表記があるレイター・プレス盤は情けないくらいにショボい音なので(←昔買ってすぐに売っ払った...)気をつけましょう。
Blues-Ette