shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズのフランス盤特集

2017-05-25 | The Beatles
 ジャケット違いやミックス違い、意外な高音質盤etc、コレクター心理をくすぐるアイテムが目白押しのビートルズ各国盤蒐集はビートルマニアにとって最後の秘境と言っても過言ではない奥の深い世界である。一度その世界に足を踏み入れた者は生涯そこから抜け出せないとさえ言われている。去年の12月にドイツDMM盤を制覇した時は “まだ他にも色々興味を引かれる国はあるけど、この調子で世界各国の盤を手当たり次第にガンガンいっとったらさすがにヤバイかな...(>_<)” と考え、後ろ髪を引かれながらも各国盤からすっぱりと足を洗ったつもりだった。
 そういうワケで年が明けてしばらくの間は eBay も Discogs もあまり見ないようにしていたが、やはりというべきか3月に入るとコレクターの虫が疼きだし、今度は大物一点狙いに切り替えて垂涎盤を1枚ずつゲットしていった。前回取り上げた「Les Beatles 1965」もその内の1枚なのだが、フランス盤の知識が皆無に等しい私はセンターレーベルやカードボードについて色々と調べるに当たって例の横野氏のHPに大いにお世話になり、それをきっかけにしてフランス盤に興味を持つようになった。
 私がフランス盤に魅かれた一番の理由は独自のジャケット・デザインにある。「ラバー・ソウル」以降は基本的にUKオリジナル盤と同じデザインになってしまうが、それ以前の「ウィズ・ザ・ビートルズ」(←フランスではコレがデビュー・アルバムやったなんて初めて知ったわ...)から「ヘルプ!」までの初期5枚は他国盤とは激しく一線を画すユニークなデザインやフランスならではの洗練された色使いがめっちゃエエ感じなのだ。“ホース・カヴァー”の通称で知られる「Dans Leurs 14 Plus Grands Succes」や「Les Beatles 1965」なんかもう中身のレコードよりもそのジャケットのせいで目の玉が飛び出るような高値が付いていると言っていいだろう。
 「Dans Leurs 14 Plus Grands Succes」や「Les Beatles 1965」以外のフランス盤も欲しくなった私は勉強不足でカスをつかまないようにターゲットの盤について自分なりに整理してみた。初期フランス・オリジナル盤のレーベル色の変遷は以下の通りだ:
--------------------------------- Dark Green Label --------------------------------
①Les Beatles          OSX 222      [= With The Beatles]
---------------------------------- Dark Blue Label --------------------------------
②Les Beatles N°1        OSX 225      [= Please Please Me]
------------------------------------ Orange Label ---------------------------------
③4 Garçons Dans Le Vent   OSX 226      [= A Hard Day's Night]
④Les Beatles 1965       OSX 228     [= Beatles For Sale]
---------------------------------- Dark Blue Label --------------------------------
⑤Help !            OSX 230
-------------------------------------------------------------------------------------
 私は既に入手済みの④を除いた残りの4枚を求めて色んなオークション・サイトを覗いてみたが、①と②の初期プレス盤はレアなのか最低でも数万円はするようなのでパス、比較的安く買えそうな③と⑤に的を絞って徹底リサーチし、ヨーロッパ盤に強い Discogs で③を €40、⑤を €45でそれぞれゲットした。
 届いたレコードはどちらもレコードの取り出し口が破けていたので早速内側からセロテープで補修、「4 Garçons Dans Le Vent」は映画のワンシーンをフィーチャーしたモノクロ写真に緑と赤の文字が映えるジャケットが粋そのものだし、「Help !」の方も白地に浮き上がる草色のLES BEATLES と赤色の HELP! のコントラストが絶妙だ。やっぱりフランス人の色使いのセンスはひと味違いますな。
 盤質は典型的なVGで曲間の無音部分ではチリパチ音が目立つものの、曲が始まると野太いモノラル・サウンドがノイズなんか笑い飛ばしてしまう感じでVG++ぐらいに聞こえる。薄水色レーベルのフランス盤(←1968年以降のプレス)の音が薄っぺらいという悪評はよく耳にするが、60'sにリリースされた仏モノラル1stプレス盤のゴツゴツした骨太サウンドは一聴の価値アリだ。

Les Beatles 1965

2017-05-15 | The Beatles
 ビートルズ・ファンなら皆やっていると思うが、私はブルーレイ・レコーダーのおまかせ録画のキーワードに “ビートルズ” を登録している。こちらが何もしなくてもビートルズ関連の番組を勝手に録画しておいてくれるので超面倒くさがり屋でテレビの番組表をチェックするのが大嫌いな私にとっては非常にありがたい機能だ。
 半年ほど前だったか、「極上お宝サロン」という番組が録画されていたので何じゃこりゃ?と思って見てみると、色んな分野の超一流コレクターがMCの石坂浩二を相手に自分のコレクションを紹介していくという内容で、あの「なんでも鑑定団」のスピンオフ番組という位置付けらしい。
 で、その回のゲストとして登場されたのがビートルズ・レコード・コレクターの横野正憲氏だった。“横野” ってひょっとして私がいつもお世話になっているビートルズのオリジナル盤コレクションHP(←これホンマに凄いです!)の管理人やってる人ちゃうん? これはエライコッチャである。私はどんな垂涎盤が出てくるのか、固唾をのんで見守った。
極上!お宝サロン | BSジャパン 【※ビートルズは 0:17~】


 最初に出てきたのは「ハード・デイズ・ナイト」の半掛け帯付き国内盤だ。普通のコレクターなら半掛け帯というだけでスワと身構えるのだろうが、国内盤には何の興味も無く、ましてやジャケットが中途半端に日焼けするだけから帯なんて百害あって一利なしと思っている私にとってはどうでもいい盤だ。次に出てきたのは以前ここでも取り上げた「ヘルプ」のオランダ盤 “シェル・カヴァー” で、自分が苦労して手に入れた盤が “お宝” として取り上げられると何だか嬉しくなってくる。
 そして次に紹介されたのがフランス盤の「ビートルズ・フォー・セール」、つまり「Les Beatles 1965」というレコードだった。この盤はUKオリジナル盤と同じくレコードを内側から出し入れするという実用性度外視の(笑)ゲートフォールド・ジャケットなのだが、ユニークなのは表ジャケに丸窓があいたダイカット構造になっていてジャケット写真のカードボードを挿入するという非常に凝った作りになっていることで、そのカードを抜き取ると映画「ハード・デイズ・ナイト」のモノクロ写真が現れるという仕掛けなのだ。フランス盤にめっちゃ疎かった私は “へぇ~、こんな盤があったんか... さすがはフランス、やることが粋やなぁ...” とすっかりこのレコードに魅了されてしまった。
 しかしその評価額が20~30万円と聞いてビックリ...(゜o゜) 鑑定士であるビートルズ研究所代表の本多氏によると “フランス独自のもので元々プレス枚数が少ないから” とのことで、そのせいもあって “世界的に一番有名なフランス盤” なのだという。う~ん、これはめっちゃ欲しいけど、さすがにレコード1枚に何十万も出せるワケがない。ひょっとして安く出品されてへんかなぁといういつものスケベ心でeBayやヤフオクを覗いてみたが怪しげなカウンターフィット盤が1枚出ていたのみで本物はゼロ。 “やっぱりコレは自分のような庶民コレクターが買える盤ではないな...(>_<)” とその時は諦め、“高嶺の花”盤として記憶の隅に留めるだけにしておいた。
 それから何ヶ月か経ったある日のこと、CD and LP.com というサイトでビートルズ・レコードのプレス国別検索を試していた時に偶然この「Les Beatles 1965」がヒット、€530 ということで少しは射程圏に近づいてきた感じだが、送料込みで6万円オーバーというのはまだまだキツイ。まるで焼けぼっくいに火がついた(?)ような気になった私はすぐに Discogsを検索、すると何と VG/VGの盤が €300 で出ているではないか! ネットで色々調べてみたところテレビで言っていた20~30万円というのはさすがに盛り過ぎで、東北の某レコード屋の12~15万円前後という値付けが順当な相場なのだと思うが、それが3万6千円で買えるのなら御の字だ。ただ、それでも高い買い物には違いないので念のためにセラーにメールして写真を送ってもらったところ、ジャケットもカードボードもそこそこ良い状態だったので、私は迷わず ORDER をクリックした。
 そして待つこと1週間、ついにブツが届いた。4万円近い衝動買いだったが、やはり憧れの稀少盤を実際に手にする喜びは格別だ(^.^)  スパイン部分がかなり傷んでいてレコードの出し入れがヤバそうな以外は(←レコはジャケットから出して保管しよっと...)写真で確認した通りの良好な状態で、手に取って眺めているだけで思わず顔がにやけてきてしまう。


 盤が少し反っていたのが玉にキズだがプレイに支障があるというほどではないし、恐らくそのせいで安く買えたのだろうから文句はない。盤質は典型的なVGサウンドで、時々チリパチ音は入るものの普通に音楽を楽しむだけならそれほど気にならないレベルだ。しかもこの盤はかなり音圧が高いので、少々のキズなど笑い飛ばしてしまう。まぁ少なくともこのレコードに関しては盤質よりもジャケットの状態の方が遥かに重要なので、反っていようがノイズがあろうが大した問題ではない。早速部屋に飾って悦に入りながら野太いモノラル・サウンドを楽しんでいるのだが(←ジョンのシャウトが強烈!!!)、コレをきっかけに独自ジャケットのフランス盤にハマりそうでちょっとコワイ...(笑) ポールの来日ブートもそろそろ出揃うみたいやし、早よボーナス出ぇへんかな...(-。-)y-゜゜゜

ビートルズのUKエクスポート・シングル特集

2017-05-02 | The Beatles
 60年代にリアルタイムでイギリス国内向けにリリースされたビートルズのシングル盤22枚は以前にこのブログでも特集したが、彼らのUK製シングルはそれら以外にも本国プレスの無い近隣ヨーロッパ諸国への輸出用に作られた “エクスポート仕様” のレコードが存在する。「イフ・アイ・フェル / テル・ミー・ホワイ」、「ディジー・ミス・リジー / イエスタデイ」、「ミッシェル / ドライヴ・マイ・カー」、「ヘイ・ジュード / レヴォリューション」、「レット・イット・ビー / ユー・ノウ・マイ・ネーム」の5種類なのだが、後ろの2枚はイギリス国内向けの盤と同じカップリングなので別にどうでもいい。問題は前の3枚である。
 「プリーズ・プリーズ・ミー」や「シー・ラヴズ・ユー」、「ペイパーバック・ライター」といった盤でビートルズUK45回転盤の音の凄さを骨の髄まで味わった私は、イギリス国内でシングルで出ていない曲もあの轟音で聴きたくなり、“エクスポート仕様” の盤も手に入れたいと思うようになった。これらの盤は流通枚数が少ないせいかプレミア付きの高値で取り引きされており、中には落札価格が $100以上にまでハネ上がることも少なくないようだが、貧乏コレクターの私としては何とか$50以下に抑えたい。ということでシングル盤をたった3枚揃えるのに2年近くもかかってしまったのだが、このたびようやく最後の1枚をゲットできたので、今日はUKエクスポート・シングル盤の特集でいきたいと思う。

① If I Fell / Tell Me Why (DP 562)
 3枚の中でまず最初に手に入れたのがコレ。オリジナルLP(←これも大概な轟音だが...)の2割増しぐらいはある高音圧で、音がスピーカーから鉄砲水のように飛び出してきたのには驚いた。ジョンのシャウトが炸裂する「テル・ミー・ホワイ」はある程度予想通りだったが、驚いたことに「イフ・アイ・フェル」のような美しいバラッドでさえそうなのだから恐れ入谷の鬼子母神だ。この盤は時々オークションでも見かけるし値段も大体£50ぐらいで安定しているので他の2枚に比べたら比較的入手はしやすいように思う。私のはEX−盤がeBayで£30だった。

② Dizzy Miss Lizzy / Yesterday (DP 563)
 これまで何度も書いてきたように私はビートルズを最高の音で聴くならUK 1stプレスLPに限ると信じているが、唯一の泣き所がLPの宿命とでも言うべき内周歪みだ。そういう意味で言うとアルバム「ヘルプ」のB面ラスト2曲をカップリングしたこのレコードはその2曲をベスト・オブ・ザ・ベストの音で聞かせてくれる “神シングル” ではないか。「イエスタデイ」のアコギの力強い響きにも驚かされたが、何と言っても45回転盤の超弩級パワーで迫ってくる「ディジー・ミス・リジー」が圧巻だ。Discogs でたったの €20で取れた時は “ひょっとして偽物ちゃうか...???” と半信半疑で、実際に届いたブツを見た時は本物とわかってめちゃくちゃ嬉しかった。

③ Michelle / Drive My Car (DP 564)
 今回の3枚はいずれも甲乙付け難い轟音盤だが、中でも群を抜いて強烈なインパクトを受けたのがこの「ドライヴ・マイ・カー」だ。驚くなかれ、何とあの「ラバー・ソウル」UKラウドカット盤をも凌駕するスーパーウルトラ高音圧で(←ちょうど赤パロが金パロに勝ったのと同じ原理か...)ポールのベースがブンブン唸るのだからたまらない(≧▽≦)  いやはや、まったく45回転盤恐るべしだ。さっきからこの文章を書きながら繰り返し繰り返し聴いているのだが、体中のアドレナリンがドバーッと出まくってロックな衝動がマグマのようにこみ上げてくる。ラウドカット盤では歪んでいた「ミッシェル」も実にクリアーなサウンドで楽しめて言うことナシだ。このレコードはプッシュアウト・センター付きでNM状態の完品ならヘタをすると$300~$500という空恐ろしい値段になるが、私は敢えてプッシュアウト・センター無しで盤質のヴィジュアル・グレードが低くてプレイ・グレードが高いブツに狙いを絞り(←“音に出ないキズ大歓迎”作戦...)、Discogs で €35で手に入れることが出来た。とにかくこの爆音は一度聴いたら病み付きになりますぜ(^.^)