shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

アニメンティーヌ / クレモンティーヌ

2010-07-26 | World Music
 フレンチ・ボッサの歌姫クレモンティーヌの魅力にハマってせっせと CD を買い集めて盛り上がっていたのが今年の5月、あれからまだ2ヶ月しか経っていないというのに早くも彼女の新作がリリースされた。これまでもジャズ、ボサノヴァ、シャンソンの名曲はもちろんのこと、スティーヴィー・ワンダーやビーチ・ボーイズ、ギルバート・オサリヴァンといった英米のヒット・ポップスから中島みゆきを始めとする邦楽に至るまで、その脱力系ウィスパー・ヴォイスでジャンルを軽く超越したカヴァーの数々を聴かせてくれた彼女のこと、“へぇ~、もう新作が出るんか... 次はどんな曲をカヴァーしてるんやろ?” と興味津々で曲目を見てみてビックリ...(゜o゜) 「ラムのラヴ・ソング」?「バカボン・メドレー」?... 何これ??? で、タイトルが「アニメンティーヌ」って...(爆) 賛否両論あるだろうが、少なくともアルバム・タイトルだけでつかみはOKという感じだ。
 まぁシリアスな音楽ファンなら歯牙にもかけないかもしれないが、アニソンをバカにしてはいけない。「ウクレレジブリ」や「ウクレレウルトラマン」の時に書いたかもしれないが、わずかな時間でリスナーの心をつかむことを要求されるアニソンの旋律には非常に優れたものが多く、 “アニソン=子供向け音楽” というのはあまりにも短絡的な発想だと思う。少なくとも私はメロディーが希薄で聴いてて全然面白くも何ともない凡百のオリジナル曲を聴かされるぐらいなら、鼻歌感覚で一緒に口ずさめるようなアニソンの方がずっと良い。このアルバムもネットで試聴してその楽しさの一端に触れ、即買いを決めた。
 原題は「ボッサ・ドゥ・アニメ」で CD オビの謳い文句が “パリジェンヌもアニメがお好き? ~1億3千万人が聴いた名曲アニメ・ソングをオシャレにボッサ・カヴァー~” ときたもんだ。確かにフランスでは日本のアニメを始めとするポップ・カルチャーが大人気で、パリで開かれたジャパン・エキスポが連日の超満員という記事をどっかで見た覚えがあるが、その時はまさか自分がクレモンティーヌ嬢の歌声でボッサ・アレンジのアニソンを楽しむことになろうとは夢にも思っていなかった。
 昭和テイスト溢れるいかにもなジャケットもアレだが、何と言っても収録曲が面白い。①「ラムのラヴ・ソング」、②「バカボン・メドレー」、③「崖の上のポニョ」、④「おどるポンポコリン」、⑤「風の谷のナウシカ」、⑥「はじめてのチュウ」、⑦「ロマンティックあげるよ」、⑧「サザエさん・メドレー」、⑨「ドラえもんのうた」、⑩「とんちんかんちん一休さん」、⑪「タッチ」、⑫「キャッツ・アイ」という全12曲がオシャレなボッサ・アレンジを施されてフランス語や英語で歌われているというのだから、ファンでなくても “どんなんやろ?” と聴いてみたくなるのが人情というものだ。
 どの曲もアレンジに工夫があってめっちゃ面白いのだが、一番の衝撃と言えばやはり②だろう。ボッサなギターのイントロをバックに例のメロディーに乗って “ボンボンバカボン バカボンボン~♪” と囁くクレ嬢のか細い歌声を聴いた時の不思議な感覚はとても言葉では言い表せない。それは③も同様で、彼女のウィスパー・ヴォイスで “ポーニョ ポニョポニョ~♪” と歌われるのだから、その脱力感はハンパではない(笑) ラテン・フレイバー全開の④も曲想とバッチリ合っているし、日本人なら耳タコの⑧がこんな風にボッサ化されるなんて目からウロコというか、とにかくこんなオシャレなサザエさんは聴いたことがない。超カッコ良いイントロで始まる⑨もオッシャレ~なのだが、1分5秒あたりで突如炸裂する彼女の “ハ~イ、タケコプター♪” にはワロタ(^o^)丿
 私的ベスト・トラックは⑪と⑫。あの「タッチ」にこんな哀愁が潜んでいるとは思わなんだ。間奏のアコギ・ソロにも涙ちょちょぎれるし、何と言ってもクレ嬢の歌声が曲の髄をコワイぐらいに引き出しているのが凄い。私としてはこの1曲のためだけに買っても損はないと思うぐらいの名演だ。「キャッツ・アイ」は杏里のオリジナルを聴いた時から大好きだった曲で、数多いアニソンの中でも「キューティー・ハニー」と並ぶ私的2大名曲の一つ。そんな超愛聴曲がパリのエスプリを感じさせるオシャレなフレンチ・ポップスに大変身するなんて... ホンマに長生きはするもんですな(≧▽≦)
 ①は彼女自身がオリジナルのアニメを常日頃から子供たちと一緒に楽しんでいるというだけあって何の違和感も感じさせずに実に自然なノリで歌っており、知らない人が聴いたら彼女の新曲だと思ってしまうかもしれない。実際私も⑥⑦は元になったアニメ(キテレツ大百科とドラゴンボール)を見たことが無く当然曲も初めて耳にするものだったが、オシャレなフレンチ・ポップスとして楽しめた。
 この「アニメンティーヌ」は届いたその日から家でも車でもスーパー・ウルトラ・へヴィー・ローテーション状態で聴きまくっているのだが全然飽きない。クレモンティーヌの軽やかな歌声が醸し出す洒脱な雰囲気と昭和のアニソンが持つキャッチーなメロディーとが絶妙に融け合って実に新鮮な感覚で聴けるのだ。和の食材をフレンチの鉄人シェフが見事に料理して仕上げたかのようなこのアルバム、違いの分かるグルメな音楽ファンに超オススメの逸品だ。

Touch


Bakabon Medley

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A Suivre / Clementine

2010-06-03 | World Music
 クレモンティーヌにハマッてもう2週間近くになるが、いよいよ今日でクレモン祭りも最終回。3枚しか持ってなかった CD も今では17枚になり(笑)、渋谷系ミュージシャンとのワケのわからんコラボ盤やデリカシーのかけらもないヒップホップ・アレンジ盤を除き、彼女のアルバムで気に入ったものはすべて手に入れることが出来た。最初はベスト盤1枚でお茶を濁すことも考えたが、自分の愛聴曲があまり入っていなかったのと、中古で500円以下で買える盤がほとんどだったこともあって、ついつい買いまくってしまったのだ。
 ベスト盤と言えば彼女の場合、前回紹介した「アーリー・ベスト」の他にも、ボサ・ノヴァばかりに的を絞ってコンパイルした「カフェ・アプレミディ」、デビューした1987年から1996年までの7枚のアルバムからセレクトした「ア・スイーヴル」、そして1992年から2002年までのオールタイム・ベスト「ドゥ・ベスト」の計4枚が出ているが、初期の貴重な音源を数多く収録した拾遺集「アーリー・ベスト」とボサノヴァに的を絞った「カフェ・アプレミディ」以外の2枚は選曲基準が曖昧で、少なくとも私の嗜好とは少し違う。
 特にこの「ア・スイーヴル」は選曲もそうだが、収録されているヴァージョンがオリジナルとは違うトラックが全18曲中6曲と 1/3 を占めているので要注意。いわゆる “○○ミックス” と呼ばれる、オリジナルをいじくりまわしてダメにした改悪ヴァージョンのことで、これがもうウザイことこの上ない(>_<) そもそもオリジナル・テイクを超えるリミックス・ヴァージョンなんて私のこれまでの音楽人生においては数えるほどしか出会っていない。リミックスのほとんどはやみくもにビートを強調したり深いリヴァーヴをかけたり木に竹を接いだようなパートを付け加えたりとやりたい放題の挙句、オリジナルを破壊し尽くして涼しい顔なのだから呆れてモノが言えない。
 この盤でも⑦「マイ・シェリー・アモール」(キンバラ・チエコズ・オーケストラ・ミックス)、⑧「マドモワゼル・エメ」(ティー・パーティー・ヴァージョン)、⑩「カルム・タ・ジョワ」(ケン・イシイ・ミックス)、⑪「ピロー・トーク」(デジタル・ルーツ・ミックス)、⑭「パリス・ウォーク」(トウキョウ・ウォーク・ミックス)、⑯「星に願いを」(ダブ・ミックス)など、トホホなミックスだらけでウンザリさせられるのだが、一番ひどかったのが小西康陽がリミックスした①「男と女」(レディメイド・ワンマンDJミックス)だ。この小西康陽って、自身のグループであるピチカート・ファイヴでも大した作品は作ってないし、リミックスはどれもこれもワンパターンで面白みに欠けるし、絶対に過大評価されてると思う。この「男と女」でも曲想をブチ壊すような軽薄なビートで曲をケバケバしく飾り立てて反省のかけらもない。クレモンティーヌの歌声が拷問に耐えているように響く。
 とまぁこのようにベスト盤とは名ばかりの変則的リミックス集なのだが、それでも私がこの「ア・スイーヴル」を買ったのはひとえに他のどのアルバムにも入っていない激レア音源である彼女のデビュー・シングル②「アブソルマン・ジャズ」が入っていたのと、「サントロペで」の “シングル・ヴァージョン” が聞きたかったから、そして80円(!)という安値(←缶ジュースより安いもんね...)に釣られたからに他ならない。どちらも初期の彼女が持っていたジャズ・フィーリングがストレートに楽しめるトラックで、それだけでもこの CD を買って良かったと思う。
 このアルバムの収録曲の中で私が一番好きなのはやはり⑬「マリズィナ」、コレしかない。元々は1994年のアルバム「イル・エ・エル」に入っていたこの曲、バーシア1990年の大ヒット曲「クルージング・フォー・ブルージング」を想わせるオシャレなラテン系サウンドに乗ったクレモンティーヌの浮遊感溢れる彷徨ヴォーカルがたまらない(≧▽≦) とにかくどこまでもクールでありながら絶妙なポップさを保っており、大袈裟ではなく10年に一度出るか出ないかの名曲名演だと思う。こんな素晴らしい曲との出会いがあるから音楽ファンはやめられませんね(^o^)丿 

マリズィナ

Early Best / Clementine

2010-06-01 | World Music
 21世紀に入ってすっかり定着した感のある “クレモンティーヌのオシャレなカヴァー路線” のめぼしいところは大体出尽くした感があるので、前回の「コンティノン・ブルー」に引き続き、今日も “まだ日本制作サイドの手垢にまみれていない” 頃の作品を取り上げたい。彼女はデビュー当時ジャジーなアルバムを何枚か出しているが、それ以外にもフレンチ・ポップスやボサ・ノヴァなど、幅広いジャンルの楽曲を歌っていた。この「アーリー・ベスト」は彼女の父親が設立したオレンジ・ブルー・レーベルにレコーディングした作品を中心に未発表ライヴ音源なども収録した初期音源ベスト集で、彼女の盤の中でもかなり気に入っている1枚だ。
 彼女のボッサ路線は90年代後半に「クーラー・カフェ」(1999年)、「レ・ヴォヤージュ」(2000年)、「カフェ・アプレミディ」(2001年)という “ボサ・ノヴァ3部作” で結実することになるが、この盤にはクレモンティーヌ・ボッサの原点とも言える2曲③「イパネマの娘」と④「おいしい水」が収録されている。ヴォーカリストとして見た場合、彼女はあまり声量があるタイプではなく、歌い方もやや一本調子になりがちなのでボサノヴァを唄うにはうってつけなのだが、③ではそんな彼女の歌唱スタイルとゆったりした曲想とがバッチリ合って、リラクセイション溢れるヴァージョンに仕上がっている。
 そしてこのアルバム中最高のトラックが④だ。スタン・ゲッツの名演「オ・グランジ・アモール」を彷彿とさせるテナーのイントロに続いてスルスルと滑り込んでくるクレモンティーヌのクールなスキャットがめちゃくちゃカッコイイ!!! メロディーに酔い、歌声に酔い、演奏に酔いしれているうちに3分40秒があっという間に過ぎ去っていく。大好きなクレモンティーヌの中でも三指に入る名唱だと言い切ってしまおう。エンディングも粋やねぇ... (≧▽≦)
 オシャレ路線の曲では彼女の代表曲の一つといえる①「ジェレミー」がいい。ジョディー・フォスターが出演したカフェラテ CM のバックに流れていたこの曲、「雨音はショパンの調べ」を思わせる、まさに洗練を絵に描いたようなフレンチ・ポップスだ。②「イッツ・ア・シェイム」(ヨーロッパ・ヴァージョン)は元々スピナーズがスティーヴィー・ワンダーの作曲・プロデュースでモータウン在籍時に発表したソウル・バラッドで、何度も聴くうちに心に沁み渡ってきて気がつけば病みつきになっているというタイプのスルメ・チューンだ。この曲は多くのアーティストによってカヴァーされているが、そんな中でもこのクレモンティーヌ・ヴァージョンは彼女の持ち味を活かした見事なアレンジで最上の作品に仕上がっていると思う。
 ドリス・デイで有名な⑦「ケ・セラ・セラ」はクレモンティーヌの声質にバッチリ合っており、まさに選曲の勝利といいたくなる1曲。低~く伸びるベースがサウンドをビシッと引き締めているところも◎だ。彼女の大好きなリッキー・リー・ジョーンズの⑨「イージー・マネー」はリッキー・リーと化したクレモンティーヌのヴォーカルと浮遊感溢れる不思議なバックのサウンド(←ここでも重低音ベースが効いてます!)が溶け合って実に快適なヴァージョンに仕上がっている。⑩「エル・マニセロ」は後にアルバム「クーラー・カフェ」でサンバっぽくテンポを上げて再演されることになるが、ここではミディアム・スローでゆったりと歌っており、絶妙なリラクセイションを生み出している。ホンマに気持ちが和むなぁ...(^o^)丿
 後半は自宅倉庫から発見されたという秘蔵ライヴ音源で、マイケル・フランクスの⑪「ダウン・イン・ブラジル」、アントニオ・カルロス・ジョビンの⑫「十字路」、ガーシュウィンの⑬「ス・ワンダフル」、セルジュ・ゲンスブールの⑭「クーラー・カフェ」、ベン・シドランの⑮「チャンセズ・アー」の5曲を収録。特にガーシュウィンの名曲をボッサ・アレンジで聴かせる⑬が実に斬新で、この路線で色々なスタンダードをボッサ化してくれたらエエのになぁと思わせる素晴らしいヴァージョンに仕上がっている。とまぁこのように名曲名演が一杯詰まった「アーリー・ベスト」、初期のクレモンティーヌは何はさておきこのアルバムから、と自信を持って言える1枚だ。

おいしい水


森永カフェラッテ ジョディ・フォスター

Continent Bleu / Clementine

2010-05-30 | World Music
 2002年のアルバム「30℃」以降はすっかり “オシャレ系フレンチ・ポップス” 路線が定着した感のあるクレモンティーヌだが、それ以前の彼女はライト感覚のジャズやボッサを取り上げた盤が多かった。特にデビューから90年代中盤までの彼女はジャジーな盤を次々とリリースしており、ベン・シドラン・プロデュースの「スプレッド・ユア・ウイングス」、「パリス・ウォーク」、「ソリータ」を始め、ジョニー・グリフィンをゲストに迎えた「コンティノン・ブルー」、ケニー・ドリュー・トリオと競演した「メ・ニュイ・メ・ジュール」、そして2000年以降でははアンリ・ルノー監修による「リル・ダーリン」など、かなりの数のジャズ・アルバムを出している。個人的には愛聴曲満載の「ソリータ」が断トツに好きなのだが、一番有名で世評も高いのは多分「コンティノン・ブルー」だろう。
 彼女のヴォーカルは強い吸引力で聴く者をグイグイと引きつけながらスイングするタイプではない。ジャズを歌う時はその柔らかい声質でアンニュイなムードを醸し出し、ヴォーカルをも含めたサウンド全体の雰囲気で勝負するスタイルだ。だから旋律が薄味だと私のような “曲聴き派” はちょっとツライものがある。
 私はジャズのスタンダード・ナンバーで “コレが入ってたら買う” レベルの愛聴曲が160曲ほどあるのだが、この盤にはそれらが1曲も入ってない。辛うじて②「イージー・リヴィング」と⑫「ガール・トーク」が “そこそこ好き” レベルで、マイルスの⑦「オール・ブルース」やコルトレーンの⑭「ジャイアント・ステップス」のようないわゆるひとつの “モード曲” はハッキリ言って苦手である。モードってどちらかというと “リスナーが聴くための曲” ではなく、 “ミュージシャンが演奏するための曲” という感じがして全然楽しめないのだ。
 しかしどんなに疎遠な曲だらけに見えても彼女のアルバムには “未知の名曲” が潜んでいることが多い。このアルバムにもそんな宝物のような曲があった。アントニオ・カルロス・ジョビンの④「オウトラ・ヴェズ」である。ボッサ・ファンの方には有名な曲なのかもしれないが、ボサノヴァをほとんど知らない私にとっては新鮮な出会いであり、この1曲が入っているだけで十分満足、と言いたくなる軽快なメロディーがめっちゃクールでカッコイイ(^o^)丿 名曲は名演を生む、の言葉通りのウキウキするようなグリフィンのテナー・ソロも絶品だ。
 このように、このアルバムのもう一つの魅力はバックのインストの素晴らしさにある。テナー・サックスの大御所ジョニー・グリフィンとピアノのパトリス・ガラスを中心に、ジミー・ウッディ(ベース) & ベン・ライリー(ドラムス)とニールス・ペデルセン(ベース & ボビー・ダーハム(ドラムス)という別のリズム・セクションを起用した2つのセッションでレコーディングされたこのアルバムは、時には主役のクレモンティーヌが霞んでしまうぐらい見事な演奏が楽しめるのだ。
 中でも弾むようにスイングする③「ライン・フォー・リヨン」(←“ライオンズ” っていう誤表記が多いけど、サファリ・パークじゃあるまいし...笑)なんかノリノリやし、スローに迫る②「イージー・リヴィング」も瀟洒なブラッシュに絶妙なピアノのオブリガート、歌心溢れるテナーに彼女の脱力系ウィスパー・ヴォイスが絡み合いってジャジーなムードが横溢しており、私的にはこの曲の名演トップ3に入れたい素晴らしさ。他のトラックもアンニュイで洗練された彼女の世界が展開されており、青緑色のタイトル文字が映えるシックなジャケット(←躍動感を感じさせる彼女の不思議なポーズが印象的だ...)と相まって、彼女を語る上で欠かせない1枚になっている。
 青山あたりのオシャレなカフェで流れていそうな(←あくまでもイメージです...笑)このアルバム、強烈なインパクトを持ったトラックが無い分、小音量で BGM として軽く聴き流すのにはかえって最適な1枚と言えるかもしれない。尚、この「コンティノン・ブルー」はソニーお得意の DSD マスタリングで高音質化された2000年の再発盤(SRCS-9628)の方が1989年に出た初盤(CSCS-5026)よりも断然狙い目だ。

オウトラ・ヴェズ

Soleil / Clementine

2010-05-29 | World Music
 私は CCCD (コピー・コントロールCD)が大嫌いで、このブログでも “アホバカCCCD” とか “ゴミ同然” とか言って徹底的にコキおろしてきたが、CDプレイヤーのピックアップ部を痛めて故障を引き起こすのだからゴミどころか有害物質扱いが妥当だろう。ビニールに貼ってあるシールには細かい字で “これはは音楽CD規格に準拠していない特殊ディスクで、音響機器での動作・音質を保証できません。再生できた場合でも、音響機器の寿命を縮める可能性があります。再生できなかった場合でも返品・交換はできません。音響機器の故障などの不具合が生じたとしても一切補償いたしません。” という趣旨のことが書かれている。例えるなら “この有毒ガソリンはエンジンを痛める可能性がありますが、車が壊れても一切責任は負えませんので自己責任で給油して下さい...” と言っているようなもの。消費者をナメとんのか!!!
 この音楽ソフト界最低最悪の詐欺商品は今では完全に駆逐されたようだが、2004年~2005年あたりにリリースされた作品の中には CCCD 汚染された盤が結構存在しており、中古で買う時なんかは特に注意が必要だ。この CCCD の爪痕はクレモンティーヌのディスコグラフィーの中にも唾棄すべき汚点として残っており、ファンにとっては頭の痛い問題になっている。具体的に言うと2004年にソニーから出た「ソレイユ」と2005年に東芝から出た「メイド・イン・フランス」がそれである。「メイド・イン・フランス」の方はeBayで中国盤 CD を $7 でゲット、コピー天国な中国に感謝感謝だ(^.^) 消費者無視のアホな日本のレコード会社なんか潰れたらエエねん!
 「ソレイユ」の方はアマゾンで調べると、不思議なことに CCCD と CD の両方が存在しており、どちらも2004年リリースとなっている。何なん、それ? 色々調べてみると、どうやらソニーは2004年7月に “レーベルゲート CD” という呼称で発売(←どっかの国のルーピー総理なみの姑息なやり方やねぇ...)した CCCD 版「ソレイユ」(ESCL-2563)を1年後の2005年7月に廃盤にし、その面替商品として CD 版(ESCL-2687)として再発したというのが事の顛末らしい。あまりのバカさ加減に笑うしかないが、アマゾンの中古価格が CD 版は2,100円なのに対し、CCCD 版は1円でも誰も買わないという事実がすべてを物語っている。私は状態の良い中古 CD を300円で買えて超ラッキーだった(^o^)丿
 ジャケットの右下隅に“No Cle, No Summer” とあるように、夏にピッタリの開放感溢れる10曲にボートラ2曲を加えた全12曲収録で、一般ピープル向けの目玉は TUBE のカヴァー①「シーズン・イン・ザ・サン」だろう。TUBE に何の興味もない私ですら CM か何かで聞いたことのある夏向け J-Pops をクレモンティーヌが歌うというだけで話題性は十分、といったところか。確かに面白いけれど私はすぐに飽きてしまった。ベン・シドランとのデュエット②「サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート」も悪くはないがあまりにも予定調和に過ぎるというか、聴く前に予想した通りのワン・パターンなアレンジで、この二人の組み合わせはマンネリ化してきているように思う。興味津々で聴いた⑦「ベサメ・ムーチョ」は何か喉を絞めるような歌い方で、この曲は彼女に合っていないと感じた。
 シャルル・トレネの名曲③「ラ・メール」はポール・マッカートニーの「カリコ・スカイズ」を想わせる爽やかなアレンジが夏の日の午後にピッタリ。夕暮れ時には「ショコラ・エ・スイーツ」収録のスロー・ヴァージョンがオススメだ。⑤「もしも」は彼女のウィスパー・ヴォイスとスインギーなバックのサウンドが巧く溶け合ったナンバーで、初期の彼女を想わせるようなジャジーな雰囲気が横溢だ。ミディアム・スローな⑧「みんなが言うの」はヴァイブが良い味を出しており、マッタリした気分が味わえる癒し系ナンバーだ。
 しかし私が一番気に入ったのは何と言っても⑨「Garasugoshi ni kieta natsu」である。何やコレ、ローマ字やん、と思って解読すると「ガラス越しに消えた夏」... 初めて聞くタイトル名だ。誰か日本人のカヴァーか書き下ろしかな...と思って YouTube 検索すると、鈴木雅之と大沢誉志幸という名前が出てきた。鈴木雅之って確かシャネルズのリーダーやん。大沢某は知らんけど、彼が作曲したらしい。中々エエ曲やとは思うが、クレモンティーヌはスローな原曲を一気に高速化することによって曲の魅力が倍増、実に軽快で爽やかなヴァージョンに仕上げている。もちろん歌詞はフランス語だが、唯一 “サヨナラ~♪” の部分を日本語で残したのは慧眼と言うべきだろう。言葉をサウンドの一部として捉えるセンスの良さに脱帽だ。パリのエスプリを感じさせるアレンジも絶品で、まさに洗練の極みと言えそうなこの1曲に出会えて大ラッキー。やっぱり祭りはオモロイなぁ...(^o^)丿

Garasugoshi ni kieta natsu

Lumiere / Clementine

2010-05-27 | World Music
 確か去年の今頃、901さんご紹介の映画「デス・プルーフ」をきっかけにエイプリル・マーチやマレーヴァといった “ネオ・フレンチ・イエイエ祭り” で盛り上がっていたが、速いものであれからちょうど1年が経ち、今度は “クレモンティーヌのフレンチ・カヴァー祭り” である。この時期にフレンチにハマるのは単なる偶然なのだが、爽やかな風が吹き抜けていくようなクレモンティーヌのフレンチ・ボッサは確かにこれからの季節にピッタリだ。
 ジャズの正統派スタンダード・ナンバーからトンガリ系アシッドジャズ、そしてフレンチ・ボッサに至るまで様々な顔を見せてきたクレモンティーヌの作品で私が一番好きなのがポップスのフレンチ・カヴァーである。何故かは知らないがネットで色々調べてみても彼女のディスコグラフィーで完全・正確なものが見当たらなかったので(←ウィキペディアにもいくつか間違いがあったので要注意!)仕方なく自分で作り、カヴァーを中心に曲目をチェックしていて一番気になったのがこの「ルミエール」だった。
 何と言っても曲目が凄い。ビーチ・ボーイズの①「ココモ」に始まり、超有名スタンダード②「ムーン・リヴァー」、シンディー・ローパーの③「タイム・アフター・タイム」、ビー・ジーズの④「メロディ・フェア」、ビートルズの⑩「トゥ・オブ・アス」、シャンソンを代表する名曲⑪「愛の賛歌」と、とにかくめちゃくちゃ豪華なカヴァー集である。彼女の公式サイトには “クレモンティーヌが初めて挑む映画音楽カヴァー集” とある。なーるほどね、「カクテル」、「ティファニーで朝食を」、「小さな恋のメロディ」、「レット・イット・ビー」というワケか... でも「タイム・アフター・タイム」ってサントラやったっけ?
 クレモンティーヌは何を唄おうが確固たる自己の歌唱スタイルを確立しており決して期待を裏切るようなことはないので、とにかくアルバムに知ってる曲が一杯入っていればそれだけで買いである。このアルバムでも上記の名曲群が彼女のエレガントなヴォーカルで楽しめて言うことナシなのだが、特にアップテンポで軽やかに歌う④はリズム・ギターとハンド・クラッピングが実に効果的に使われており、音楽の愉しさがストレートに伝わってくる素晴らしいカヴァーに仕上がっている。①もリラクセイション溢れる曲想と彼女の優しく包み込むようなヴォーカルが絶妙にマッチしており、いきなりアルバムの冒頭からリゾート気分が全開だ(≧▽≦)
 ③は「ミルク・ボッサ」や「イン・ボッサ」シリーズで80'sポップスの名曲を次々とボッサ化しているブラジル・ボッサ界の重鎮ロベルト・メネスカルのプロデュース。ワン・テイクで完成したということだが、フレンチ・ブラジリアン・ボッサの逸品と言っていい出来栄えだ。生粋のパリ・ジェンヌ、クレモンティーヌが歌うシャンソン⑪には言葉の壁を越えた説得力があり、これにはもう平伏すしかない。
 未知の曲では⑦「ソング・オブ・ザ・ヴァガボンズ」が断トツに素晴らしい。このメロディーはどこかで聞いたことがあるなぁ... と思ってよくよく考えてみたら映画「蒲田行進曲」のテーマ・ソングにそっくりだ。ネットで調べると、1925年にオペレッタの曲として作られた「放浪者の唄」に日本語詞を付けてあの映画の主題歌にしたのだそうだ。なるほどね(^.^) このクレモンティーヌのヴァージョンはめっちゃクールなアレンジが施され、オペレッタの原曲とも映画の日本語ヴァージョンともまったく違う雰囲気の超カッコ良いキラー・チューンに仕上がっている。この1曲に出会えただけでも今回の “クレモンティーヌ祭り” をやった甲斐があったというものだ。下にアップしときましたので、興味のある方はぜひ聴いてみて下さいね。

ソング・オブ・ザ・ヴァガボンズ
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Chocolats et Sweets / Clementine

2010-05-25 | World Music
 先週クレモンティーヌの「ソリータ」を取り上げた時に書いたように、彼女のマッタリ・ヴォイスが今の気分にピッタリなので、これまで聴いたことのなかった彼女のアルバムをネット上で色々と試聴し、気に入った盤を通販で何枚か手に入れた。私の買い物はその殆どがアマゾンかヤフオクなのだが、日曜日は天気が悪くてずっと家にこもっていたので時間がたっぷりあり、地方のCD屋さんの通販リストなんかも丹念に見れて、めっちゃ良い買い物が出来た。
 まず「イパネマの娘」や「おいしい水」といった初期の傑作ボッサを集めた「アーリー・ベスト」が600円、レオン・ラッセルの「ディス・マスカレード」やバカラックの「雨にぬれても」、キャロル・キングの「イッツ・トゥー・レイト」といった正統派アメリカン・ポップスのカヴァーが光る「30℃」が320円、TUBE のフレンチ・カヴァーが面白い「ソレイユ」(←もちろんアホバカCCCDじゃない方の面替再発盤)が300円、バーシアの「クルージング・フォー・ブルージング」を彷彿とさせる名曲名唱「マリズィナ」1曲で買いの「イル・エ・エル」が200円と、4枚買って1,500円でお釣りがくるのだからもう笑いが止まらない(^o^)丿 というか、最近は1枚数百円のCDばかり買っている。ホンマにエエ時代になったものだ。
 そんな中、私が最も気に入ったのが2008年にリリースされた5曲入りミニ・アルバム「ショコラ・エ・スイーツ」である。これは新品未開封ということもあってさすがに780円もしたが、それだけの価値は十分にある素晴らしい内容だ。世間では J-Pops の槇原敬之書き下ろしのタイトル曲①が目玉らしく、どうやら日本語ヴァージョンまで制作されたらしい。確かに悪い曲ではないが、かと言って取り立てて騒ぐほどの名曲でもない。まぁ私のような J-Pops 嫌いはごくごく少数派で、大多数を占める一般ピープルに対しては “あのクレモンティーヌが J-Pops アーティストと夢のコラボ!” で十分話題作りになるのだろう。
 このアルバムの真の宝は②「ユーアー・マイ・サンシャイン」、コレである。私がこの曲を好きになったきっかけはTVシリーズ「スタートレック・ヴォイジャー」の中でセヴン役のジェリ・ライアンとドクター役のロバート・ピカードという二人の役者さんが聞かせてくれた見事なデュエットだった。聞いてて心がウキウキしそうなそのハモりはプロ顔負けの素晴らしさで、それ以降すっかりこの曲が気に入ってしまったのだ。ここではクレモンティーヌの軽やかな歌声が粋なムードを醸し出していて気持ちエエことこの上ないのだが、特に彼女の一人多重唱のパートなんかもう鳥肌モノだ。
 ③「ウララ」はまさにタイトル通りのウキウキワクワクするようなポップ・チューンで、これぞまさに正統派フレンチ・ポップス!と言いたくなるような佳曲に仕上がっている。④「愛の夢」は以前このブログでも紹介したマレーヴァ路線のチープなエレクトロ・ポップ・サウンドが楽しい “ヌーベル・イエイエ” ナンバーで、こういうのって案外クレモンティーヌの声とバッチリ合っているように思う。エンディングにもう一工夫欲しい気もするが、このトラックは結構気に入っている。⑤「ラ・メール」はシャルル・トレネが作ったシャンソンの名曲で、2004年のアルバム「ソレイユ」ではアップテンポなアレンジで処理されていたが、ここではテンポを落として演奏の重心を下げたのが大成功。寄せては返す波のようなリズムを刻むギターが心地良い。彼女の歌声を優しく包むヴァイブ、ストリングス、そしてバック・コーラスと、そのすべてが絶妙に溶け合ってレイド・バックした雰囲気を醸し出すサウンド・プロダクションが癒し効果抜群だ。
 “大切な人と過ごす至福の時間” をテーマにしたシリーズの第1弾としてリリースされたこのアルバム、ゆったり気分のドライヴやマッタリ過ごす午後のBGMにピッタリの爽やかな1枚だ。

ユーアー・マイ・サンシャイン
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Cle / Clementine

2010-05-23 | World Music
 昨日クレモンティーヌの「ソリータ」を聴きながら記事をアップした後、無性に他の盤も聴きたくなって(←よくあることです...)手持ちの残り2枚も聴きまくり、彼女のウィスパー・ヴォイスにすっかり萌えてしまった(笑) まぁ自分で仕掛けたワナに自分でハマるようなモンで、このブログを始めてからこういう “ミイラ取りがミイラに” パターンがやたらと多いのだが、それはそれで結構楽しい。ということで今日もクレモンティーヌである。
 彼女のスタイルは(1)アンニュイなライト・ジャズ→(2)打ち込みをメインにしたクラブ系アーバン・ヒップホップ→(3)アコースティックな味わいのフレンチ・ボッサ、という流れの中で変遷してきているように思えるが、ヒップホップ嫌いの私にとって(2)は論外、彼女の軽やかな歌声にはやはり(1)か(3)がピッタリだ。(1)ではテナーのジョニー・グリフィンが参加したアンニュイな雰囲気横溢のジャズ・ヴォーカル・アルバム「コンティノン・ブルー」(1989年)を持っているが、惜しいことに選曲が私の趣味とはかけ離れており(←「ジャイアント・ステップス」とか「オール・ブルース」とか...)、曲中心に音楽を聴く私にとっては “BGM として軽く聴き流す1枚” でしかない。やはり自分の好きな曲をクレモンティーヌのメロウな囁きヴォーカルで聴かせてくれる盤がいい。ということで今日は2003年にリリースされたアルバム「クレ」でいこう。
 私がこのアルバムを買ったのは一にも二にも中島みゆきのフレンチ・カヴァー④「悪女」が入っていたからである。私は昔から中島みゆきが大好きで、洋楽的な下地をあまり感じさせずに他の誰にも真似の出来ない日本的なメロディーを書くその作風は日本の音楽界の中でもある意味異端というか孤高の存在だと思うのだが、そんな彼女の代表曲の一つをオシャレなヨーロピアン・ポップスを得意とするクレモンティーヌが取り上げているのだからこれはもう興味津津だ。実際に聴いてみると原曲は見事に換骨堕胎され、軽やかなボッサ・アレンジによって洗練されたカフェー・ミュージック(←もちろん良い意味です!)へと生まれ変わっている。イースト・ミーツ・ウエストというか、私はこういうカヴァーが大好きだ。それにしてもこのマッタリ感、たまらんなぁ... (≧▽≦) 
 ②「男と女(グランディス・ミックス)」は1994年のアルバム「イル・エ・エル」に収録された大胆不敵なクラブ系サウンド・ヴァージョンをリメイクしたもので、オルガンバー・サバービア・テイストの強かったオリジナル(←ハッキリ言って苦手です...)よりはかなり聴き易くなっているようには思うが、クレモンティーヌ版「男と女」なら何と言っても2008年の「スウィート・ランデヴー」収録の “スウィート・ジャズ・ヴァージョン” がベスト。彼女の持ち味であるウィスパー・ヴォイスの魅力が存分に発揮された名演だと思う。
 ⑪「コム・ダビチュード(マイ・ウェイ)」は長い間シナトラがオリジナルだと信じて生きてきた(恥)のだが、ロック以外のジャンルも聴くようになって “フランス人のカヴァーがやたらと多いなぁ...” と不思議に思い(笑)調べてみるとオリジナルはフランスのクロード・フランソワという人で、それにポール・アンカが英語の詞を付け、シナトラで世界的に大ヒットしたとのこと。なーるほど、あの品格溢れる曲想はシャンソンからきたものだったのか!と納得したものだ。この⑪もそこはかとなく漂う哀愁に涙ちょちょぎれるヴァージョンに仕上がっており、絶妙なタイミングで入ってくるフルートも雰囲気抜群で言うことナシだ。
 これらの有名曲カヴァー以外ではゴンチチとのコラボがエエ感じの③「シュール・ル・クイーン・マリー」や⑥「アン・アヴリル」、ブリリアントな午後にピッタリのライトなボッサ⑤「マリアナ」、サウダージ感覚溢れる⑦「6 P.M.」、クレモンティーヌの歌声とバックの多重コーラスが溶け合って不思議な浮遊感覚を生み出す⑧「過ぎ去った恋」なんかが気に入っている。
 クレモンティーヌは基本的にどれを聴いても似たようなボッサ・スタイルがベースになっているので、世評とかに関係なく自分の好きな曲の入っている盤から入門するのが一番だ。特に私のような中島みゆきファンにはぜひともこのフレンチ版「悪女」を聴いてクレ(笑)と言いたい。

Akujyo

Solita / Clementine

2010-05-22 | World Music
 その名前だけは知っていても実際にはちゃんと聴く機会がないまま放置(?)してきたアーティストというのが私には何組もいる。1988年にデビューし、ジャズやボッサのアルバムを数多くリリースしてきたフランスの女性シンガー、クレモンティーヌも最近まではそんな一人だった。
 私が初めて彼女の存在を知ったのは1990年代後半のことで、何かの雑誌で “フランスのオシャレなライト・ジャズ・ヴォーカル” として紹介されているのを目にしたのが最初だったように思う。当時の私はペギー・リーやジュリー・ロンドンといった50年代の女性ヴォーカルにハマッており、このクレモンティーヌもどうせカフェバーあたりでタレ流されているエセ・ジャズ・ヴォーカルの類だろうと誤解し、それほど気にも留めなかった。だからその後ツタヤやゲオでレンタルするチャンスがあったにもかかわらず、いつもスルーしてしまっていたし、ごくたまにラジオか何かで耳にすることがあってもイマイチ馴染みのない曲ばかりであまり印象に残らなかった。
 そんな私が彼女に開眼したのが去年のこと(←遅いっ!!!)、超愛聴曲「サニー」をネット検索していると彼女のアルバム「ソリータ」が引っ掛かってきたのだ。 “へぇ~、あのクレモンティーヌが「サニー」歌ってるんかいな...” などと思いながらトラックリストを見ると、彼女の他のアルバムとは違って知っている曲、それも結構好きな曲が多い。彼女の場合ウィスパー系ということでヴォーカルそのものはかなり淡泊なので、曲が地味だとどれを聴いても単調でみな同じに聞こえてしまうのが難点だったが、好きな曲ならまったく問題ない。同じウィスパー系のベン・シドランとのコラボレーションになっているこの「ソリータ」、早速アマゾンで試聴してみると二人の持ち味がうまく溶け合っていて中々エエ感じ。値段を見ると中古で200円... ほとんど定価の9割オフである。というか、レンタルするよりも安いやん(笑)... これはもう買うしかない。
 収録曲は全部で14曲。この盤を知るきっかけとなった⑦「サニー」はクレモンティーヌならではのソフィスティケーションが新鮮に響く。こんなオシャレな「サニー」はちょっと他では聴けないだろう。超愛聴スタンダード・ナンバー②「ジーズ・フーリッシュ・シングス」は私の大好きなジャネット・サイデルがアルバム「コム・シ・コム・サ」の中で英語とフランス語を自在に切り替えながら歌っていたのが印象的だったが、このクレモンティーヌ版は何と完全フランス語ヴァージョンだ!言語が変わるだけで曲の雰囲気が微妙に変わるというのはこれまで何度も経験してきたが、何を言ってるのかサッパリ分からない「ジーズ・フーリッシュ・シングス」も中々オツなもの。彼女のコケティッシュなウィスパー・ヴォイスがマッタリした曲想と絶妙にマッチして実にエエ味を出している。
 リッキー・リー・ジョーンズの⑨「恋するチャック」はリッキー・リーとクレモンティーヌの声質の類似性を見抜いた選曲の勝利と言うべき1曲で、これもすべてフランス語で歌われており、オリジナルに勝るとも劣らない素晴らしいヴァージョンに仕上がっている。私的には②と並ぶキラー・チューンだ。③「ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームズ」は正直言って苦手な曲だったのだが、このクレモンティーヌとベン・シドランのデュエットは少しテンポを上げてポップなアレンジを施してあるせいか、実に聴き易くてすっかり気に入ってしまった。大嫌いなはずのフェンダー・ローズのエレピ音ですら全然気にならないのだから私的には凄いことなのだ(笑) ジャジーな雰囲気横溢の①「ドンチャ・ゴー・ウェイ・マッド」やノリノリの⑩「ユー・ガット・ホワット・イット・テイクス」で聴けるクレモンティーヌの萌え萌えヴォーカルも吸引力抜群だ。
 現時点で彼女の CD は3枚しか持っていないが、コレを書きながら聴き直してみて改めてその素晴らしさを再確認できた(^o^)丿 母国フランス以上に日本で人気者の彼女、CD は全部で20枚近く出しているようなので、好きな曲の入っている盤を狙ってみるとしよう。

ジーズ・フーリッシュ・シングス


サニー
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Del Pueblo Del Barrio

2009-06-02 | World Music
 今日はフォルクローレである。もちろん南米のアンデス地方に伝わる民俗音楽のことなのだが、アンデス地方と言われても私はチリとペルーの区別もつかないし、イメージとしては、サイモンとガーファンクルが歌い、ジリオラ・チンクエッティもカヴァーした「コンドルは飛んでいく」、同じくポール・サイモンがライブ盤で歌った「ダンカンの歌」、ユーミンの「帰愁」「輪舞曲(ロンド)」の4曲ぐらいしか頭に浮かばない。そもそも何でいきなりフォルクローレなん?と思われて当然だ。
 以前レッド・ゼッペリンの「天国への階段」のカヴァーを101ヴァージョン集めた驚異のサイト WFMU’s BEWARE of the BLOG を紹介したことがあった。このマニアックなサイトを見つけた時はもう大コーフンし、それこそ天にも昇るような気持ちで全曲ダウンロードさせていただいたのだが、そんな101ヴァージョン中、最も強いインパクトがあったのが Del Pueblo Del Barrio という未知のグループだった。デル・プエブロ・デル・バリオ??? プエブロって、プエブロ・インディアンのことかなぁ... などと考えながらネットで調べても日本語はおろか英語のサイトにも載っていない。スペイン語らしき南米系のサイトには色々と載っているのだが当然何のこっちゃである。音を聞いた限りではインディアンというよりは南米のフォルクローレをベースに、ジプシー・キングスみたいな情熱的なギターとヴォーカルで味付けしたコンテンポラリー・エスニック・ミュージックという感じである。やっとのことでタイトルが「Escalera Al Infierno」だということを突き止め、ようやくUSアマゾンでこの曲の入っているCD「Manco Inca No Manco」(←とてもカタカナでは書けません...)を発見、これですべて解決!と思っていたら世間はそんなに甘くなかった(>_<)
 届いたCDの8曲目に入っている「Escalera Al Infierno」を聴いたらいきなりイントロからして違う。あの風雲急を告げるようなテンションの高い演奏とは打って変わってテンポが遅く、全体的にユルいのである。それでいて間奏になるとハードなエレキ・ギター・ソロが炸裂するというワケのわからない展開だ。まぁこれはこれで悪くはないが、パンパイプの音とはどう聴いてもミスマッチだ。後でわかったのだが、私が手に入れたのは「Escalera Al Infierno ‘95」という “再演物” で、探している音源は85年に出たそのオリジナル。どうやら未CD化らしい。こーなったら意地でも手に入れてやるぞとコレクター魂に火がついた私はeBayに網を張って待つこと数週間、運良くピカピカ盤を15ドルで手に入れることができたのだった。
 届いたLPには CBS DISCOS DEL PERU とある。なるほど、ペルーのグループか。やっぱり最初に聴くのはB①「Escalera Al Infierno」だ。いやぁ~大音響で聴くフォルクローレもエエもんやねぇ... しかもメロディーのモチーフはゼッペリンの「階段」ときた。これ以上何を望めるというのだろう?(←出来れば24bitでCD化... するワケないよな) B②「A Papa」もそのままB①の勢いを受け継いだような曲で、コンドルも乱舞しそうなノリの良さがたまらない。B③「Jueves De Otono」は哀愁舞い散るフォルクローレの典型のようなキラー・チューンで心地良いリズムに乗ったロス・インディオスな旋律に涙ちょちょぎれる。
 A面ではタモリの空耳アワーのネタになりそうな①「Orgullo Aymara」、パンパイプの音を大きくフィーチャーしてフォルクローレの魅力全開の②「Posesiva De Mi」、切ない女性ヴォーカルが郷愁を誘う笛の音と絶妙なマッチングを見せる④「Gregorio」と、フォルクローレ初体験の私でも感動しまくりの名曲名演が目白押しだ。
 興味を引かれたのは「Escalera Al Infierno」のクレジットで、Page/Plant ではなく Agustin Bustos となっていたこと。どこをどう聴いても「階段」ラストの “And she's buying a stairway to heaven...” のメロディーなのだが、そのあたりは南米らしい大らかさというか、まぁエエやん!ということだろう(笑) そもそもこういうのを見つけるとすぐに「パクリや!」と鬼の首でも取ったかのように騒ぐ輩がいるが、そんなことを言い出したらロックもポップスもジャズも成り立たなくなってしまう。名曲のおいしいフレーズを基に曲想を膨らませて全く別の名曲が誕生する... 我々リスナーにとっては両方楽しめて非常にありがたいことである。 “似てる曲” を見つけてニヤリとする瞬間も又、音楽を聴く楽しみの一つだと思う今日この頃だ。

EsCaLeRa Al INfIernO_deL pUeBlO y dEl BaRrIo


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Birgit Lystager

2009-02-22 | World Music
 英語圏以外の人の名前というのは読みにくい。スウェーデンのジャズ・ヴォーカリスト Monica Zetterlund は「セッテルンド」か「ゼタールンド」かハッキリしないし、大好きなギタリスト Stochelo Rosenberg も「ストーシェロ」か「ストーケロ」か悩んだものだ(←別に悩むほどのことか!)。今回ご紹介するデンマークの歌姫 Birgit Lystager は「ビアギッテ・ルゥストゥエア」と読むらしい。何だか噛んでしまいそうな覚えづらい名前だが、アルバムには一度聴いたら忘れられないような素晴らしい音楽がギッシリ詰まっている。一言で言い表すと「北欧系ソフト・ボッサ」... いわゆるひとつのオルガンバー・サバービアというやつであり、その筋ではマニア垂涎の盤らしい。このアルバムは1970年の録音で、まず何と言ってもジャケットが素晴らしい。麗しの美女がチャーミングな笑顔を湛えながら佇んでいる姿は中身を知らなくても聴いてみたいなぁという気にさせるほど魅力的だし、実際に聴いてみるとジャケット通りの美しい歌声が流れくるのに驚かされる。「女性ヴォーカル盤はジャケットで買え!」という名言はここでも生きていた。内容は当時のヒット曲が非常に洗練されたボッサ・アレンジで歌われていて、彼女の優しい歌声と共にデンマークのジャズメンによる極上のサウンドも楽しめるという超お徳用盤なのだ。ブラジルのピアニスト、アントニオ・アドルフォ作の①「プリティー・ワールド」はイントロのボッサ・ギターからブラジリアン・テイスト全開で、ちょうどカーペンターズの「シング」のようなバックのサウンドに絡む彼女の透明感溢れる可憐な歌声がたまらない。コロコロ転がるような歌心溢れるピアノのプレイも絶品だ。②「フール・オン・ザ・ヒル」でも原曲の持つ哀愁を大切にしながら当時世界中で流行っていたセルジオ・メンデス&ブラジル66風の華麗なボッサ・アレンジが施され、リラクセイションに溢れるヴァージョンに仕上がっている。バカラックの③「クロース・トゥ・ユー」は彼女の伸びやかな温かみのある歌声が心に染みわたる。今やスタンダードともいえるカーペンターズのヴァージョンに比肩する素晴らしいトラックだ。④「ギミ・リトル・サイン」を取り上げているあたりにも1970年という時代性を強く感じさせるが、ブレントン・ウッドのソウル・クラシックを完全に自分の世界に引き込んで料理し、洗練された北欧系ソフト・ロックとして聴かせるあたり、タダモノではない。ボビー・ヘブの名曲⑤「サニー」は私の大好きな曲で、オルガンをフィーチャーしたジャジーなアレンジがキラリと光るグルーヴィーな演奏をバックに彼女のアーシーなヴォーカルが冴え渡る。⑥「ワイト・イズ・ワイト」はフランスのシンガー・ソングライター、ミッシェル・デルペッシュがワイト島フェスティバルにインスパイアされて作ったヒッピー賛歌で、彼女のゆったりとした寄せては返す波のような雄大な歌声はバックのストリングスと見事に調和し、アンプのヴォリュームを上げれば彼女の歌声に包まれ心が浄化されていくようで癒し効果も抜群だ。小野リサちっくな⑦「トリステーザ」は子供達と一緒に楽しげにコーラスする彼女の歌声が聴き手の頬を緩めさせる。静謐な⑧「メイク・イット・ウィズ・ユー」に続いて再びバカラックの⑨「恋よさようなら」... 彼女のクセのない歌声がこの曲の魅力を120%引き出しており、同曲の他ヴァージョンが一瞬にして砕け散るほど圧倒的に、超越的に素晴らしい。「ビアギッテ・ルゥストゥエア」... 一部のマニアだけに楽しませておくのは勿体ない、万人に愛されて然るべき美しいアルバムだ。

ビアギッテ・ルゥストゥエア
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Jambalaya - Bossa Americana - / 小野リサ

2008-11-29 | World Music
 日本でボサノヴァといえば小野リサである。彼女の歌はとってもナチュラルでリラクセイションに溢れており、まったりしたサウンドをバックにした彼女のウィスパー・ヴォイスは何を歌っても「小野リサ・ワールド」に染め上げてしまう不思議な魅力がある。この盤のタイトルは「ジャンバラヤ - ボッサ・アメリカーナ」で、ぶっちゃけて言えば「ボサノヴァ・ミーツ・アメリカン・トラディショナル」である。カントリー色のせいか普通のボサノヴァよりも明るいノリで、アメリカン・フォークあり、カントリーあり、民謡ありというバラエティーに富んだ内容になっている。①「ジャンバラヤ」は私の場合中学の時にカーペンターズのヴァージョンで刷り込みが完了しており、大人数で明るく楽しい野外パーティーといった感じのカーペンターズに比べると、小野リサ・ヴァージョンは親しい者が少人数で集まっての優雅な食事、といった趣きである。ボサノヴァの特徴はその抑えた歌い方にあり、メロディーがあまり動かずハーモニーが絶えず変化して動いていくのでかえって心にスーッと入ってくるのだろう。②「カントリー・ロード」は私の世代なら絶対オリビア・ニュートン・ジョンなのだが、小野リサのヴォーカルはあくまで自然体で、そのささやくような歌声で歌われると耳ダコのはずのあのメロディーが実に新鮮に響く。バックのソプラノ・サックスもでしゃばらずにエエ仕事してますな。③「ステイ・オール・ナイト」はギターとクラリネットが活躍する古き良きスイング・スタイルで演奏されており、ボサノヴァとの相性もバッチリだ。ロリンズも演っていた⑤「俺は老カウボーイ」は心地良いフルートがとっても印象的なナンバー。これめっちゃエエなぁ…(≧▽≦) ビートルズ・ナンバーの中でも5指に入る名曲⑧「夢の人」は流れるようなリズムに乗って必殺のウィスパー・ヴォイスが炸裂するキラー・チューン。CD後半は、優しく爪弾かれるギターと爽やかなヴォーカル・コーラスが快感を呼ぶ⑨「オールド・ファッションド・ラヴ~ユー・アー・マイ・サンシャイン」、軽快なリズムでウキウキするような⑩「リトル・キャビン・ホーム・オン・ザ・ヒル」、彼女の声で歌われて名曲度が更にアップした感じの⑪「黄色いリボン」と、ハッピー・ソング3連発に続く⑫「ダニー・ボーイ」が心に染み入ってくるニクイ演出。ナラ・レオンのコピーだという奴もいるが、それがどーしたの完成度がここにあるのだ。

小野リサ Take Me Home Country Roads

Isabelle Aubret

2008-11-17 | World Music
 大阪難波に EAST というレコード屋さんがある。ご主人の佐藤さんはとても温厚な方で足繁く通ううちに仲良くなり、「こんなん入ったけど気に入るんとちゃう?」と私の嗜好に合うレコードを色々と教えて下さるようになった。そんな1枚がこの盤で、Isabelle Aubret と書いてイザベル・オーブレと読む。フランス人の歌手である。実は EAST はその筋では結構有名で、あの小西康陽がわざわざ東京からネタを仕入れにくるほどのお店らしい。世間ではこの手の音楽を「オルガンバー / サバービア」というらしく、この盤もフロア受けしそうなDJネタが満載だ。常日頃シャンソンもボサノヴァも、ましてやサバービアも(笑)殆ど縁が無い私ですら、これを初めて聴いた時はそのあまりのカッコ良さにぶっ飛んでしまった(>_<)
 A面はブラジリアン・ボッサ・スタンダードのフレンチ・カヴァーでB面がフレンチ・オリジナルっぽい構成になっているのだが、聞き物は何といってもA面である。エドゥ・ロボの①「カザ・フォルテ」からいきなりフレンチ・テイスト全開で、彼女のクールなスキャットがたまらない。クラブやカフェで受けるのもわかる気がする。カルロス・ジョビンの②「フェリシダージ」、イントロからしてもう名演のオーラを放っており、包み込むような彼女のしっとりしたヴォーカルが滑り込んできたところで完全にKOされる。これ以上の名演があったら教えて欲しいくらいだ(≧▽≦) ジョルジ・ベンの③「マシュ・ケ・ナダ」、何とファンキーなノリだろう!とてもフランス人とは思えない。歌に絡むピアノもめちゃくちゃカッコ良くてスリリング。ルイス・ボンファの④「黒いオルフェ」、これもイントロが流れてきただけで部屋中にえも言われぬ哀愁感が漂う。こんなに品格滴り落ちる「オルフェ」は他ではちょっと味わえない。
 フレンチ・サイドのB面では、シャンタル・ゴヤあたりが歌いそうな4曲目のParce Que が気に入っている。ブラジルのボサノヴァとフランスのシャンソンが音楽的・有機的・必然的に結びつき、それらがイザベル・オーブレのクールでありながらキュートでどこか温かみのあるヴォーカルで歌われる快感... それこそがこの盤の魅力なのだと思う。セルジュ・ゲーンズブールの黄金期を支えたジャズ・ピアニスト、アラン・ゴラゲールの洒落たアレンジが冴えわたるこのレコード、「フレンチ・ブラジリアンの金字塔」の名に恥じない大名盤だ。

フェリシダージ
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The Very Best Of The Gipsy Kings

2008-11-16 | World Music
 以前友人とメキシコ料理を食べに行った時のこと、大好物のタコスを頬張っていると店内の有線放送でルンバ・フラメンカ・スタイルの「ホテル・カリフォルニア」が流れてきた。その哀愁舞い散るギターと「魂の叫び」といってもいい情熱的な歌声がめっちゃ気に入って「ジプシー・キングスみたいなサウンドやなぁ... 誰やろ?めっちゃ気になるなぁ」と思い、帰って調べてみると、「ジプキンみたい」じゃなくて「ジプキンそのもの」だった(笑) そういえば昔、新宿の八月社というレコード店へ行った時、感じの良いピアノトリオがかかってて「このピアノ誰ですか?エヴァンス派ですよね?」と店の人に尋ねたら「エヴァンスです!」と言われて赤っ恥をかいたのを思い出す(>_<) 話をジプキンに戻して、早速アマゾンで2枚組ベストを購入。やはりディスク1の1曲目は「麒麟淡麗のテーマ」こと、「ボラーレ」だ。彼らの音楽はちょっと聴いただけでも強烈なインパクトを残すので、わずか数十秒で勝負せねばならないCM曲にはうってつけなのだろう。とにかく日本では「ジプキン=麒麟淡麗」なのである。②「バンボレオ」、これもどこかで聞いたようなメロディーだ。確か空耳アワーでやってた... 「医者も手がすいちゃたまんねぇな」だ。そう思って聞くとホンマにそう聞こえるから不思議である(^_^) そしてついに出たかの④「ベン・ベン・マリア」、栄えある第1回空耳アワード受賞曲だ。「あんたがぁたぁ...ほれ見ぃやぁ...車ないかぁ...こりゃまじぃよぉ...」もう面白すぎて腹筋が痛い(>_<) しかしジプキンは決してCM曲と空耳アワーだけのグループではない。思わず腰が揺れる⑤「バイラ・メ」や魂を揺さぶる情熱のルンバ⑨「バーモス・ア・バイラール」など、この盤には隠れ名曲が一杯詰まっているのだ。中でも⑲「マイ・ウェイ」は哀愁のジプシー魂が全開で、聴く者の心の琴線をビンビン震わしてくれる。もう参ったというしかない名演だ。ディスク2では何と言っても「鬼平犯科帳のエンディング・テーマ」である⑪「インスピレイション」と上記の⑱「ホテル・カリフォルニア」が群を抜いて素晴らしい!アンプのヴォリュームを目一杯上げて聴きたい、躍動感と哀愁溢れる1枚だ。

空耳ジャンパー作品集その6
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