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shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Walls And Bridges」イスラエル盤

2022-12-08 | John Lennon
 先週久しぶりにB-SELSに行ってきた。これまでも辺境盤の比率は結構高かったが、改めて壁面を飾っているレコードを見回すと、グアテマラにニカラグアにモザンビーク(←なんかゲリラがいそうなイメージの国ばっかりな気が...)と、更に凄まじいことになっていた。今話題のコスタリカ(笑)盤も “どーだ、参ったか!” とばかりに壁の高いところから店内を睥睨している。ちょうど日本がスペインに勝った日だったので、“スペイン盤フェアとかやらないんですか?” とアホなことを訊いたらSさんに笑われてしまった。
 エサ箱をチェックした後、いつものように美味しいコーヒーをいただきながら “お店の中がワールドカップや~” と彦摩呂みたいなことを言ったらまたまたSさんに大笑いされてしまったが、冗談抜きでインド盤や南ア盤の存在が全く目立たないくらいに充実した各国盤の品揃えである。日本はおろか、世界中を探してもこれほどビートルズの各国盤を大量に在庫しているアナログ・レコード店は無いのではないか。そう言えば私がお店に居た時にたまたま外国人のお客さんが入ってこられたのだが、店内を見回してそのバラエティー溢れる品揃えに圧倒された様子で、お店を出られる時に “Good collection!” と感心されていた。極東の国のド田舎にまさかこんな凄いお店があるなんて、さぞや驚いたことだろう。
 で、ここからが今日の本題だ。去年から今年にかけて各国盤の中でも特に力を入れて集めてきたイスラエル盤のコレクションが充実してきて嬉しい限りなのだが、中でもジョンのソロをあるセラーから一気にドバーッと買えたのがめちゃくちゃデカい。稀少でありながら人気薄のイスラエル盤らしく、1枚平均 $12~$15で買えてラッキーラララだったが、そんな中で1枚だけ $20という高値だったのが「Walls And Bridges」だった。
 その理由はもちろん他国の盤とは一味も二味も違うディフ・ジャケにあることは火を見るよりも明らかだが、私の狙いはもちろんイスラエル盤ならではの低音の効いた音作りでこのアルバムを楽しむことで、ジャケットはオマケのようなモノだ。それに、他の各国盤と比べれば $20なんて最安盤の部類に入るだろう。イスラエルは送料も安いので大助かりだ。
 発送から3週間で届いたレコードはスパイン部にセロテープが貼ってあって表ジャケがやや汚れているのと裏ジャケの歌詞印刷の余白部に青ペンでワケのワカラン落書きがしてあるが、ジャケットの状態に拘らない私としては問題ない。てゆーか、イスラエルは何故かジャケットの状態の悪い盤が多いので、この程度なら余裕でOKだ。
 次に盤を取り出してまず目視チェック。見た限りでは良くも悪くもない典型的なVG盤だ。マトはA面が手書きの SW 1- 3416-Z5 に線を引いて消してあってその横に “✳ MCR” と刻まれており、センター・レーベルギリギリの所に機械打ちで YEX 937-Z5、B面も同様に手書きの SW 2- 3416-Z6 に線を引いて消してあるが、それに続くのは “✳”のみで “MCR” は無い。
 盤に針を落として聴き始めたところ、いきなりA①「Going Down On Love」の途中で針飛びしてビックリ(゜o゜)  しかも複雑骨折よろしく数ヶ所飛びまくったので慌てて針を上げてよくよく見ると、確かにヤバそうな横キズが数ヶ所確認できた。あちゃー(>_<) と凹みながら試聴を再開したところ、A②「Whatever Gets You Thru The Night」でも盛大に針飛びしてさすがの私もブチギレ。即座にセラーに “アンタもプロやったら針飛びせぇへん「Walls And Bridges」を見つけて送ってこんかい!” と怒りのメールをしたところ、向こうは “全額返金するから勘弁してm(__)m” と平謝り。まぁ無いモンはしゃあないので、それで手打ちにすることにした。
 針飛びするレコードなんか聴く気になれないのでそれからしばらくの間は放置していたのだが、ダメ元でB-SELSのSさんに診てもらおうと思い付き、お店に持って行って入院させることにした。Sさんはお忙しいのに嫌な顔一つせずに引き受けて下さり、その次に伺った時にはちゃーんと針飛びが直っていたのだからもうさすがとしか言いようがない。Sさん、いつも助けて下さってホンマにありがとうございます。感謝感謝です。
 ということで無事針飛びが直った「Walls And Bridges」、盤質は所々チリパチが入るVG~VG+ レベルで、鑑賞に特に問題はない。音作りの傾向としては基本的にUK盤と同じで、イスラエル盤ならではのベースの響きとか、低音の太さとかは感じられない。まぁイスラエル盤の全部が全部、あの「Abbey Road」や「A Hard Day's Night」、「Help!」みたいなえげつない爆音で鳴るワケがないので、まぁこんなモンかという感じだ。
 さっきeBayで見たらこのレコードには $50の値が付けられており、再発のPortraitレーベル盤ですら $40もしていてちょっとビックリ。音はホンマに普通なので(←決して悪い意味ではなく、突出した特徴がないということです...)、やはりこのディフ・ジャケに人気があるのだろう。まぁ私としては一度は諦めた針飛び盤がSさんのお蔭で生き返り、結果としてタダで手に入ったことになるので万々歳と言える。Sさんホンマにありがとうございました!

【御礼】12/1付のB-SELSの「日記」に登場する東京の104(とし)さんからバターガレットをいただき恐縮しております。お会いしたこともない私なんかにお土産をくださって、何とお礼を言って良いかかわりません。ホンマにありがとうございました。ご覧のとおり思いっ切り好みの偏ったブログですが、これからも出来るだけ続けていこうと思いますので楽しんでいただければ嬉しいです。

「Shaved Fish」ペルー盤

2022-10-23 | John Lennon
 無能な日本政府と日銀のせいで円安に歯止めがかからず、ついに$1が150円を突破したこともあって、海外から好き放題にレコードを買おうという気はさすがに失せたが、それでもまだ未入手の各国盤に関しては細々とeBayでチェックを続けている。これまで1日に数回は見ていたのが最近では数日に1回のチェックで済ますあたりにヤル気のなさが表れているが、この前久々に “おぉ、これは!” と思える盤が出品された。それがこの「Shaved Fish」のペルー盤である。
 「Shaved Fish」はビートルズ解散からハウス・ハズバンドとしてセミ・リタイアするまでの70年代前半のジョンの代表曲を集めたベスト盤だが、私の知る限りではビートルズ・ファンはジョンのソロというと「ジョンたま」か「イマジン」一辺倒で、このアルバムなんか完全に黙殺されている印象が強い。それはおそらく “ベスト盤”、つまりは所詮 “寄せ集め”盤 ということでオリジナル・アルバムよりも1段も2段も下に見られているせいではないかと思うのだが、他の凡百のアーティストたちの、それこそヒット曲を寄せ集めただけのベスト盤とは違い、ジョンのこのアルバムに限って言えば、曲の配置が絶妙なせいか、前後の曲が有機的につながって大きな流れのようなものを生み出し、ある種トータル・アルバム感覚で一気通聴できてしまう “一味も二味も違うベスト盤” なのだ。私にとってこんな凄いベスト・アルバムはビートルズの「赤盤」とこの「Shaved Fish」だけである。
 というワケで大好きなこのアルバムを各国盤の様々な音作りで楽しみたいと思って色々探しているのだが、このレコードに限らずジョンのソロ・アルバムはイスラエルとウルグアイを除けば超入手困難で、滅多に市場に出てこない。いや、そもそもリリースされたのかすらも怪しいぐらい手掛かり・痕跡がないのだ。
 各国盤の中でも私が特に力を入れているペルー盤に関しては、「Rock 'N' Roll」「Double Fantasy」「Live In NYC」しか持っていなかったので、今回この盤をeBayで見つけた時は久々にコーフンし、即決で BUY IT NOWした。ドルではなくユーロ仕立てで、たまたまその時の為替レートが €1=139円だった(→今はもう145円で草も生えない...)のもラッキーだったし、スペインのセラーから買ったおかげで送料がたったの €16ですんで大助かり。ペルーのセラーから買ったら送料だけで軽く$40~$50は取られるからだ。ペルー盤はスペインやポルトガルあたりのセラーが狙い目かもしれない。
 盤質表記は VG+で細かい説明は一切なかったのでちょっと不安だったが、届いたレコードはB面のセンターレーベルが破れている以外は特に問題はなく一安心。デッドワックスを確認すると、UK盤の倍ぐらいある大きなフォントで YEX 949 C / YEX 950 C とエッチングされた独自マトで期待が膨らむ。いつものようにハミングルの超音波クリーナーで丁寧にクリーニングしてかけてみると、盤はほぼノイズレスのNM状態で大喜び\(^o^)/ 音はUKオリジナル盤よりも遥かにヌケが良く、クリアーで溌剌とした印象だ。音圧も十分で音場も雄大そのもの。私的にはUK盤やUS盤の音は真っ当すぎるというか、いまいち大人し目に思えるので、ペルー盤のはっちゃけた音作りの方が好きだ。
 そんなペルー盤「Shaved Fish」で聴くジョンの70年代の名曲の数々はまるで新しい生命を吹き込まれたかのように活き活きと躍動し、私の心に訴えかけてくる。「Rock 'N' Roll」もそうだったが、ジョンのペルー盤ってホンマにヤバいですわ(≧▽≦)

「Double Fantasy」ペルー盤

2021-10-11 | John Lennon
 最近B-SELSで買ったレコードのことばかり書いているような気がするが、Discogs はセンター・レーベルの違いすら分からないアホバカ・セラー(←マトリクスやスタンパーの話が通じない...)が跋扈するロシアン・ルーレット状態だし、eBay もここのところコレ!というような魅力のあるブツが中々出てこず、売れ残ったしょーもない盤の見本市と化している。そんな中で私の好みを見透かしたかのようにSさんがペルー盤をガンガン出してくるものだから、私のレコード購入記録であるこのブログもついつい B-SELS 専になってしまうのだ。
 この前もポールの「Wings Greatest」の激レア・ペルー盤を B-SELS の「日記」で取り上げられた翌日にゲットしてその骨太なサウンドを満喫していたのも束の間、今度は激レア度では引けを取らないジョンの「Double Fantasy」のペルー盤が出品されたのだ。やはり秘密の南米コネクションでも持っておられるのだろうか...(笑) 私は “うわぁ、又ペルー盤かよ... ” と嬉しい悲鳴を上げながらSさんの説明を読んだ。
 まず “超レア! ペルー盤のスゴイ音” というタイトルに注目。本文にも “1曲目の STARTING OVER からベースの音が腹にズドンと突き刺さる。これもスゴイ音だ。” とべた褒めだ。Sさんが使われる形容詞にはいくつかのパターンがあり、その中でも私が最上位と考えているのが “最高の” “理想的な” “大迫力”、そして “スゴイ” なんである。ペルー盤の音で聴くジョンのヴォーカルの凄さは前回の「Rock And Roll」で思い知らされたばかり。盤質も “B4にコキズ、B6-B7の内周に少しサーノイズが出る。いずれもヨーコさんの曲だ。ジョンの曲はすこぶる良い。” とのことで、ヨーコのトラックなど一切聴かない私にとってはまさに理想的なレコードと言える。これは是が非でも手に入れたい... と思った私は早速その翌日に B-SELS に直行した。

 私:今日は聴きたいレコードが一杯あるんですが、まず最初に「Double Fantasy」のペルー盤を聴かせて下さい。
 Sさん:わかりました。
 私:わがまま言って申し訳ないんですけど、ヨーコは飛ばしてジョンの曲だけ聴かせてもらえます?
 Sさん:(笑いながら)いいですよ。(A①「Just Like Starting Over」がかかる...)どうですか?
 私:うわぁ、音が飛び出してきますねぇ!!!
 Sさん:期待を裏切りませんでしたか?
 私:いやいや、期待以上ですよ。ペルー盤で聴くジョンの声は絶品です。“水も滴る” とはこういう声をいうんですね。
 Sさん:確かに。こないだの「Rock And Roll」もそうでしたけど、ペルーとジョンの相性は抜群ですね。A③「Cleanup Time」がこれまたエエんですよ。
 私:グイグイきますね。まるで「Double Fantasy」のラウドカットを聴いてるかのようですよ、これ。
 Sさん:引き締まった音ですね。
 私:実にパワフルで骨太な音作りです。ユンケルとかレッドブルみたいなエナジー・ドリンクを飲んで力が漲ってる、そんな感じですね。
 Sさん:ハハハ...
 私:このB③「Woman」めっちゃいい... (≧▽≦)
 Sさん:リズムがカッコ良いんですよね。
 私:リズムが要所要所をキリリと引き締めてるんで決して甘さに流れないですね。
 Sさん:そうですね。
 私:バックの力強い演奏がジョンの声を引き立ててます。これはタマランですよ。
 Sさん:気に入っていただけて良かったです。
 私:これ、いただきます。
 Sさん:ありがとうございます。
 私:ジョンのペルー盤ってホンマに出てこないんですよ。今日はエエ日になりましたわ(^.^)

「Rock And Roll」ペルー盤

2021-10-07 | John Lennon
 ジョンの「Rock And Roll」のペルー盤を手に入れた。ビートルズのペルー盤というのは中々市場に出てこないので集めるのは結構骨が折れるのだが、それがメンバーのソロとなると入手はさらに難しく、特にポール以外の3人のソロは激レアと言ってもいい。だからこのレコードをわずか$20で見つけた時は大コーフンして即買いを決めた。
 各国盤が届いたらまずは盤面チェック、続いてデッドワックスのマトリクスを確認するのだが、この「Rock And Roll」は手書きの独自マトでペルーならではのユニークな音作りが楽しめそうだ。実際にレコードに針を落とすといきなりA①「Be-Bop-A-Lula」の “ウェ~♪” から明らかにUK盤やUS盤とは違う濃厚な音がスピーカーから飛び出してきて思わずのけぞってしまった(≧▽≦)  これは是非ともSさんに聴いていただかねばならない。何といっても私にペルー盤の素晴らしさを教えて下さった(or ペルー盤地獄に引きずり込んだ???)張本人なのだから...

 私:今日はSさんに是非ともお聞かせしたいレコードを持ってきましたで。
 Sさん:何ですか?
 私:当ててみて下さい。
 Sさん:えぇ... 何やろ? ひょっとして又ペルー盤ですか?
 私:はい、その “ひょっとして” です(笑)
 Sさん:何かなぁ... 「Revolver」ですか?
 私:ハズレです。これですよ。
 Sさん:えぇ~、ペルー盤の「Rock And Roll」ですやん。こんなんもう最高でしょ!
 私:では早速お願いします。
 Sさん:(A①「Be-Bop-A-Lula」が店内に響きわたる...)これは凄いですね!
 私:でしょ?
 Sさん:真空管の音ですね。もう鳴り方が全然違います。カッティングと「Rock And Roll」の曲がばっちり合ってるんですね。ペルーのカッティング・エンジニアがまさしくこのアルバムのための音作りをしたという感じです。
 私:チューブ・カッティングで聴くジョンの声ってホンマにゾクゾクしますね。
 Sさん:ペルーは凄いなぁ...(としみじみ)
 私:この音はヤバいです。
 Sさん:(A面を聴き終えて)フフフ... (^.^)
 私:笑っちゃうでしょ?
 Sさん:何かこう、チカラで押し切っているような感じですね。
 私:これぞまさしく “ペルーの音” ですよ。
 Sさん:向かうところ敵なしな音です。
 私:B面はA面より盤質が落ちて VG+ なんですが、そんなハンデをものともせずにサーフェス・ノイズを蹴散らすような豪快な音で鳴ってます。古き良きロックンロールはやっぱりこういう音で聴きたいですね。
 Sさん:UK盤の 1U も良い音なんですけど、これはまさに “このレコードのためにペルー盤がある” みたいな、そんなカッティングです。
 私:この「Rock And Roll」というアルバムとペルー盤の音作りの相性が抜群だということですね。これは自分史上最高の「Rock And Roll」ですわ。

「(Just Like) Starting Over」トルコ盤プロモ12”シングル

2021-06-20 | John Lennon
 トルコ盤を買い始めてから約3ヶ月が経ったが、ジョン・レノンのソロ・アルバムには滅多にお目にかかれない。どのアルバムがリリースされているのかさえも正確には分からないのだが、とにかく市場に出てこないのだ。やっぱり辺境盤の蒐集は一筋縄ではいかんなぁ... などと考えながら持久戦を覚悟し始めていた時、Discogs に「Double Fantasy」のトルコ盤が出品された。私は “おぉ、ついにきたか...” と小躍りしながら即決。盤質VG++で$20だった。
 2週間後に届いたアルバムを早速チェック。ジャケットは“Contains the Hit Song: (Just Like) Starting Over”というシールを貼った原盤をカラーコピーした薄っぺらいもの。盤を見るとめっちゃデッドワックス部分が広くて、不思議に思いながらセンター・レーベルを確認したところ、真ん中上部にデカデカとYOKO ONOの文字が...(゜o゜)  え~っ、まさか中身違いでヨーコのレコードが入ってるんじゃあるまいな... と焦りながら裏面を見ると今度は JOHN LENNON と書いてある。 “おぉ、これってひょっとしてオリジナルの「Double Fantasy」を解体してジョンのトラックをA面に、不要なヨーコのトラックをB面に分けてくれてるんか??? さすがはトルコ、最高やん(^.^)” と一瞬喜んだ(←アホ)のも束の間、よくよく見るとA面が「Starting Over」でB面が「Kiss Kiss Kiss」となっている。これはつまり2トラックの12”シングルが中身違いで入っていたということだ。
 すぐに “ちゃんとした中身を送らんかい!” とセラーにメールをすると相手は“中身違いに気が付かなくてごめんなさい。代替品がないのですぐに返金します。レコードはそちらで処分して下さい。” と平謝り。Discogsセラーのレベルの低さに慣れっこになっている私はぬか喜びして損したという気持ちをグッと抑え、タダで稀少なトルコ盤プロモ12”シングルが手に入ったと前向きに考えることにした。
 そこでとりあえず手持ちのUS盤12”シングルとの聴き比べを敢行、マトもデッドワックスの幅も違うので当然音作りも違う。これは面白そうやな... と思った私はついでにインド盤(アルバム)とUK盤(7”シングル)をB-SELSへ持って行きSさんと一緒に聴き比べをすることにした。

 Sさん:今日はポールの誕生日なんで朝からずーっと「Band On The Run」を何回も聴いてたんですよ。やっぱりポールのレコード持ってこられたんですか?
 私:いや、持って来たのはジョンなんです...
 Sさん:えーっ、何でまた...
 私:最近手に入れたレコードはこれだけなもんで...
 Sさん:ポールの誕生日にジョン・レノンとは...(笑) で、レコードは何ですか?
 私:これです。(と言ってレコードを見せ、中身違い云々の経緯を説明する)
 Sさん:なるほど。このジャケなら確かに間違いますよ。(と言いながらレコードをかける)中々良いじゃないですか。
 私:いかにもトルコ盤、っていう感じの武骨な音でしょう。
 Sさん:ええ。じゃあ今度は同じ12インチのUS盤いきましょうか。
 私:トルコは独自カッティングでしたけど、このUS盤は音もかなり違うでしょ?
 Sさん:確かに。音圧もこっちの方が高いですし、いかにもプロモ盤っぽい音ですね。
 私:溝の幅もUS盤の方が広いです。
 Sさん:同じ33回転でも盤面を贅沢に使ってるせいか音の迫力が違います。
 私:でもトルコの方が聴き疲れしない音ですね。
 Sさん:じゃあ次、インドいってみましょか。
 私:音が小さいですね。
 Sさん:プロモ盤はどうしても音圧が高めなので聴き比べる時はこっちのヴォリュームを上げてやらんといけませんね。もう一度かけましょう。
 私:おぉ、かなり印象が変わりましたね。これはいい(^.^) US盤はちょっとシャープすぎて損してるかな。
 Sさん: 元々そういう音作りなんでしょう。インドは音量上げても全然うるさくないですね。
 私:3ヶ国それぞれ個性があって面白いですね。ついでにUKの7インチも聴きましょか。
 Sさん:ええ、いいですよ。
 私:う~ん、やっぱりこれが一番聴き慣れた音ですね。デフォルトというか...
 Sさん:ビートルズ関連の7インチでは確かこのレコードだけ基本的に全世界同一音質のはずです。ほら、ここを見て下さい。日本盤にも同じ刻印が入ってました。
 私:へぇ~、知らんかったです。勉強になりました。今日聴いた中ではどれが一番良かったですか?
 Sさん:インド盤です。ヴォリューム上げた時の音、凄く良かったです。
 私:私も同じです。ホンマにエエ音してましたね。
 Sさん:それにしてもトルコがわざわざ12インチのプロモ盤作ったということ自体が不思議です。一体何のためにこのプロモ盤を作ったんでしょうね? その意図が分からないです。わざわざ独自カッティングまでして...
 私:確かに。まぁ神秘の国トルコらしいじゃないですか(笑)
 Sさん:ハハハ...
 私:しかし「Starting Over」1曲でこれだけ盛り上がれるとは...
 Sさん:それもよりにもよってポールの誕生日に...
 私:すみませんねぇ、空気読まずに...(笑)
 Sさん:あっ、そうそう、例の映画「Get Back」が劇場公開せずに6時間モノのドキュメンタリーとして11月にディズニー・プラスで配信になるってニュース、聞きましたか?
 私:えぇ~っ(゜o゜)、ホンマですか???
 Sさん:コロナのせいで劇場公開しても集客が見込めへん可能性があるからディズニーが配信に切り替えるらしいって書いてあったんですよ。
 私:配信だけって何じゃいそれは!!! せやからディズニー嫌いやねん。スター・ウォーズもダメにしよったし、今度はビートルズまで...(怒)
 Sさん:もしも配信だけやったら全然盛り上がらないですよ。
 私:そんなもん、映画館の大画面と配信のショボい画面とでは月とスッポン以上の違いがありますやん。確かに6時間もあるのは嬉しいですけど、それはそれでディレクターズ・カット扱いにしてブルーレイのスーパーデラックス・エディションに入れてくれたらエエんですよ。そもそも配信なんて録画して好きな時に観ることもできひんし、画面が急に一時停止して観れんくなったりするし。せやからネット配信って大嫌いなんですよ。もうめっちゃショックですわ。ずーっと楽しみにしてたのに...
 Sさん:それに配信なんてファンしか観ないじゃないですか。
 私:そらそうですよ。もしホンマに映画なくなってしもうたら、あのクソネズミ会社は絶対に許さへん!!! ミッキーマウスの首を切り落として燃やしたりますわ。

ウルグアイ盤特集⑤「Mind Games」「Rock 'N' Roll」「Shaved Fish」

2020-12-08 | John Lennon
 チューブ・カットのウルグアイ盤で一番美味しい要素は何と言ってもヴォーカルだ。真空管ならではの太くねっとりした音で再生される人間の声の生々しさが何とも気持ちエエのである。で、ヴォーカルと言えばジョン・レノン! ということで今日はウルグアイ盤で聴くジョンのソロ3連発をいつものようにB-SELS店主Sさんとの会話形式でお届けします。
 Sさん:「Mind Games」の針飛び、直しておきましたので聴いて下さい。
 私:ありがとうございます。(お店のスピーカーからA①「Mind Game」の針飛びのあった箇所が流れる...)あれ? 飛ぶどころか、“ポン!” というポップ音すらしませんやん。一体どーなってますの?
 Sさん:何でもかんでもこうはいきませんけど、これはホンマに上手いこと直せたんですわ。会心の出来です。
 私:へぇ~、ビックリです。まるで魔法を見ているみたいですよ。ホンマにありがとうございました。
 Sさん:いえいえ、喜んでいただけるのが何より嬉しいです(^.^)
 私:それにしてもエエ音してますね。「Mind Games」ってこんなにええアルバムやったんかと思わされましたわ。
 Sさん:内容がこの音に合ってますよね。どこまでも伸びていく音というか...
 私:これはもう間違いなく真空管の音ですね。
 Sさん:A②「Tight A$」のギターの音が良いですねぇ... 「Mind Games」ってこんなにギターを聴かせるアルバムでしたっけ(笑)
 私:A⑤「Freda People」の音が分厚いですね。
 Sさん:何かもうたまりませんね。温かいですよね。(2人ともしばらく黙って音に聴き入る...)B③「Only People」で音が気持ち良いくらいにフワーッと広がりますね。
 私:B⑥「Meat City」 キター!!! これぞジョンのロックンロール!!!
 Sさん:ホンマにカッコ良いですね。アルバムの最後が「Meat City」で終わるところが良いんですよ。初期ビートルズの「Twist And Shout」や「Money」のように、最後をジョンの豪快なロックンロールでシメるというのがたまりません。
 私:コレ、実はアウターのビニール・カヴァーが無いせいか、たったの$18でしてん。じゃあ次は「Rock 'N' Roll」いきましょか。
 Sさん:UKマトですね... さて、音の方は、と...
 私:ガッツありますねぇ... (≧▽≦)
 Sさん:ウルグアイはUKマトの音も良いですねー
 私:プレスが良いというのもあるんでしょうね。
 Sさん:ダイナミックな音ですねぇ...(と感心しきりのご様子)。
 私:やっぱりUK盤と音が違いますね。
 Sさん:私もそう思います。ちゃーんとウルグアイの音になってますね。
 私:機材とかコード類で音が変わるんでしょうね。
 Sさん:同じUKマトなのに、不思議ですねぇ。
 私:この音でジョンのヴォーカルが聴ける喜びヽ(^o^)丿
 Sさん:この声は無形文化財ですからね。イギリスの人間国宝ですよ。
 私:B⑤「Ya Ya」、ドラムの響きが良いですねー(^.^)  ヴォーカルは言うまでもないですが、演奏もキリッと屹立して聞こえるので圧が凄いんですよね。
 Sさん:バスドラの音とか凄いです。音そのものはUKの方が洗練されてるんですけど、ウルグアイの方は何とも言えない手作り感があって、その何とも言えない温かみがジョンの声とめちゃくちゃ合ってるんですよね。
 私:「Rock 'N' Roll」の各国盤の中では一番のお気に入りです。じゃあ最後はこの「Shaved Fish」で。
 Sさん:おぉ、これはディフ・ジャケですね。
 私:カッコエエでしょ?
 Sさん:ええ、それに独自マトなんですね。変わったマトですねぇ...
 私: それと、センター・レーベルのリンゴの白い切り口の方がA面で、グリーンの方がB面なんですよ。最初はビックリしました。
 Sさん:ホンマですね。これは珍しい...
 私:これね、ウルグアイのセラーがNMやて言うから買ったら盤にシミがあって、最初鳴らした時はその部分で結構ノイズが出たんですよ。で、めっちゃ腹が立って、例の超音波洗浄機で盤を回転させずにシミの箇所を集中的に1時間ほど超音波攻撃したったんです(笑) そしたらほとんどノイズが出ぇへんようになりましたわ。
 Sさん:よかったですねぇ... 盤をクリーニングしてノイズが取れた時の嬉しさといったらないですもんね。
 私:そーなんですよ。じゃあ聴きましょか。音よろしいで...(^.^)
 Sさん:音の伸びが違いますね。スネアの音なんか最高ですよ。
 私:ジョンの声もエエでしょ?
 Sさん:音にチカラが漲ってますね。
 私:この音はB面の曲に特に合うんですよ。
 Sさん:音に隙間がないというか、聴いていてとても気持ちの良い音です。
 私:でしょ? 今日聴いた3枚共にジョン・ソロの各国盤の中では一番好きな音なんですよ。この3枚に出会えただけでもウルグアイ盤にハマった甲斐があったっちゅーモンですわ。

「Some Time In New York City」のアイルランド盤

2019-11-22 | John Lennon
 今年の2月にジョンの「ロックンロール」でアイルランド盤の音の良さを知ってからというもの、私はビートルズ関連レコードのアイルランド盤を狙うようになった。元々プレス枚数が極端に少ないので高音質が期待できるのと、ポールの「アイルランドに平和を」のアイリッシュ・プレスにおけるアグレッシヴな音作りに見られるような、イギリス人とは又違った感性を持ったアイルランド人エンジニアのカッティングが生み出すユニークなサウンドに魅かれたからだ。
 残念ながらビートルズ本体のアイルランド盤はまだ1枚も買えていないが、ソロ・アルバムの方は何枚かゲットできた。今回手に入れたのは「サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ」で、ジョンのアイルランド盤としては「ロックンロール」「ジョンの魂」「イマジン」に次いで4枚目である。このアルバムにはアイルランド問題を扱った歌が2曲も入っているので、果たしてどんな音作りがなされているのか興味があった。
 見つけたのは eBayで、€25スタートからどこまで上がるのか不安だったのだが、アイルランド盤なんて誰も注目していないのか、それともこのアルバム自体が不人気なのか、はたまたその両方なのか、結局ライバルは誰も現れずスタート価格のまま落札できた。送料込みでも4,000円ちょっとだから、まぁとりあえずはラッキーだ。
 届いたレコードは盤もジャケットもピッカピカで申し分なしのNM状態。センター・レーベルは例のジョンの顔がヨーコの顔に変わっていくUK盤やUS盤とは違い、ごく普通のシルバー・パーロフォンだ。マトは 1/2/2/1で、字体のサイズ(マト1は大きくマト2は小さい...)もフォントもUK盤と同じだ。
 このアルバムはジョンならではのロック魂を感じさせてくれる曲がいくつも入っていて大好きなのだが、「ダブル・ファンタジー」や「ミルク・アンド・ハニー」と同じくジョンとヨーコのトラックが混在しており、ヨーコの曲の前でいちいち針を上げるのが面倒くさいのが玉にキズ。だから先の2枚とこのアルバムに関してはLPではなくヨーコ曲だけカットした自家製CD-Rを聴くことが多いので(←ヨーコのトラックはホンマに邪魔...)、LPのアナログ・サウンドで聴くのは久しぶりだ。
 音の方は期待を裏切らないというか、アイルランド盤らしいガンガンくる音作りで、特にA⑤「New York City」なんかもうめっちゃアグレッシヴ。B-SELSのSさんにも聴いていただいたのだが、“パンクっぽいというか、尖がった感じがする音ですねー!” と驚いておられた。折角なのでその場でUK盤やUS盤とも聴き比べてみたのだが、ヴォーカルとバックの演奏がハッキリしていて聴きやすいUK盤やUS盤とは明らかに異質な、ラウドでパンキッシュなその音作りは “ロックなジョン” が好きな人にはたまらないと思う。私はこの「New York City」がジョンのソロ曲の中では三指に入るほど好きなので、このカッコイイ1曲のためだけでもアイルランド盤を買って良かったと思っている。
 B面は例の“血の日曜日事件”を扱ったB①「Sunday Bloody Sunday」がどんな音作りなのか興味津々だったが、こちらの予想の遥か斜め上を行く激しいサウンドで、特にドラムの音がめちゃくちゃデカくてビックリ。UKマト1盤と聴き比べても、こちらの方が音が立体的に屹立して眼前に迫ってくる感じが強い。ちょうどポールの「Give Ireland Back To The Irish」のアイルランド盤シングルにドラムがバン!バン!とまるでアイルランド人エンジニアの怒りが乗り移ったかのような強烈な音で入っていたのと同じである。それにしてもマト2でこの音は凄いわ... (≧▽≦)
 同じくアイルランド問題について歌ったB②「The Luck Of The Irish」は “歌詞を聴かせる” ことに重点を置いたメッセージ・ソングとしての音作りで、ギターを中心にフルートやピアノが一致団結してジョンのヴォーカルを引き立てているかのようだ。
 アイルランドに直接関係のないB③「John Sinclair」もB①②からの流れからか実にダイナミックなサウンド・プロダクションで、リゾネーター・ギターの突き抜けるようにクリアーな音が実に気持ちイイ(^o^)丿 この曲はB①②と違ってヨーコという異物が混入していないのが何よりも嬉しい。
 ライヴのC①「Cold Turkey」はジョージやクラプトン入りのプラスティック・オノ・バンドによる演奏。この曲は何故かモノラル録音でイマイチ音が良くないせいもあってかUK盤やUS盤との音の違いは感じられなかったが、怒涛の勢いのようなものだけは十分に伝わってきた。
 D①「Well(Baby Please Don't Go)」はフランク・ザッパ軍団との共演で、性懲りもなくキチガイみたいな奇声をあげるヨーコがめっちゃウザいが(←ヨーコの奇声をかき消すように大音量でギター・ソロをブチかますザッパにクッソワロタwww)、そんなマイナスポイントを差し引いてもお釣りがくるくらい素晴らしいのがジョンのヴォーカルで、このアイルランド盤はジョンの翳りのある太いシャウト・ヴォイスの魅力を存分に味あわせてくれる。いつか「Live Peace In Toronto 1969」とこのディスク2の “ヨーコ抜き” ミックスを出してくれへんかなぁ... 少々値段が高くても喜んで買いまっせ!
 D③「Scumbag」はテキトーにデッチあげたようなワケのわからない曲だが、バックの演奏が思いのほか素晴らしく、バンド全体が一体となってパワー全開で突っ走る疾走感がたまらない。ヨーコがわめきちらすライヴ音源ということで敬遠されがちなD面だが、心頭滅却して(←修行僧かよwww)ヨーコの奇声を無視し、ジョンとザッパ軍団が生み出すカッコ良いロックンロールに神経を集中すれば十分楽しめるレコードだと思う。

「Imagine」のインド盤3種聴き比べ③

2019-06-09 | John Lennon
 何やかんやでこの話もパート3まできてしまった。このブログの読者の中には “何でまた「Imagine」のインド盤にそこまで拘るねん?” と不思議がられる方もおられるかもしれない。私はビートルズに関する限り(もちろんソロも含めて)、少しでも良い音で聴きたいというその一念でレコードを集めており、最初に聴いたインド盤「Imagine」A面に完全 KOされ、インド盤が持つポテンシャルの凄まじさを身をもって体験した私としては、現存する3種類のインド盤「Imagine」を納得いくまで聴いて自分なりのオトシマエをつけようとしているだけなのだ。
それではここで改めてもう一度3種類のインド盤「Imagine」を整理してみよう。

タイプ①:マト枝番 -1U/-RiT1(に見える)、盤の重量は 191g、1stプレス?
 レーベル左側に“An EMI Recording”と 33 1/3(括線は水平)と Made in India、右側に Stereo と PAS 10004 と (YEX 865)と Side One。デッドワックスには手書きで PORKY(A面)と彫ってあるが、B面に PECKOは無し。

タイプ②:マト枝番 -1U/-1U-T1、盤の重量は 166g、2ndプレス?
 レーベル左側に MADE IN INDIA(大文字)と Stereo、右側に 33 1/3(括線は水平)。PASと18004の間にドットあり。デッドワックスには手書きで PORKY(A面)と彫ってあるが、B面に PECKOは無し。

タイプ③:マト枝番 -1/-1、盤の重量は 135g、3rdプレス?
 レーベル左側に STEREO(大文字)と 33 1/3 r.p.m. (括線は斜め)と Side One と “An EMI Recording”、右側に PAS 10004 と (YEX 865)があってその下に28-211という新型番あり。①②③とは違って Made in India表記なし。デッドワックスには機械で 28-211(A面)28-212(B面)と打ってあり、両面ともに PORKYも PECKOも無し。

 そういうワケで、私の調べた限りではインド盤「Imagine」には①② A面のポーキーさんしかおらず、B面のペコちゃんは結局1枚も見つからずだった。しかも B面はローカル・リカットばかりで、B面マト1Uの盤は見つからなかった。Discogsのデータも結構ええかげんやのぉ...(>_<) 
 尚、レーベルのジョンの人相に関して言うと、①はまだマシだが②なんかめっちゃ凶暴そうな顔つきに描かれているし(←殺人犯かよ...)、③に至っては目つきがヤバすぎて(←何となくサイコパスっぽい...)思わず笑ってしまう。そう言えばインド盤「ヘルプ」裏ジャケの “頬紅入りのジョン” も大概だったが、インド人のセンスってこちらの予想の遥か斜め上を行ってますな... 
 ということで、前回の時点では①だけ試聴済みだったが、その後③⇒②の順で無事我が家に到着したのでその感想を書いていこう。
 まず③だが、届いた荷物の梱包を解いてレコードを取り出してビックリ... 何じゃいこのピンク色のジャケットは??? そう言えば別のセラーによる商品説明に “misprinted sleeve colors... mostly in pink” とあったのだが、こういうことか...(>_<)  多分インクの不具合か何かだろうが、これで音が悪かったら最悪やな... と思いながら盤を取り出すと中身はピッカピカのNMで一安心。Discogsではマト枝番なしとなっていたが、この盤は -1/-1 とちゃーんと枝番が打ってある。一体どーなっとるんや??? 実際に聴いてみた感想は評判通りのキレイな音で、これならジャケットがピンクであろうが何色であろうが許せますわ(^.^) ただ、音圧は低めでパンチ力に欠けるので、チューブカット特有のあの濃厚な味わいを楽しみたければアンプのヴォリュームを上げてやる必要がある。どちらかというと冒険をせずに無難にまとめた音、という感じだ。尚、3枚中このレコードだけがコーティング有りだった。
 最後に届いたのは②で、ジャケットはペラペラで発色も薄く60年代キャピトル盤のように写真をペタッと貼り付けただけの簡素な作りになっている。B面のマトは A面とは違う字体でハッキリと YEX 866 - 1U - T1 と打ってあるので①とはやはり別モノのようだ。聴いてみた感想としては、A面は①とマトが同じにもかかわらずスタンパーの若さ(①がAで②がRL)や盤の重量(①が191gで②が166g)の違いが如実に音に影響しているのか、音質面で①より劣っている。一方ローカルリカットの B面はチューブカットの良さがハッキリと音に出ており、特にB③「ハウ・ドゥー・ユー・スリープ」なんかもうめちゃくちゃ粘っこくて説得力に溢れた音になっている。一緒に聴いていた Sさんが “音の重なり方がツェッペリンの「カシミール」みたいな感じですね。レイター・プレス③の方は「カシミール」じゃない。” と仰ったが実に上手い例えである。B面に限って言えば3種のインド盤「Imagine」の中でコレが一番良かった。
 ということでアルバム「Imagine」に関しては、インド盤タイプ①の A面と UK盤(1U PECKO)のB面を貼り合わせてハイブリッド重量盤(笑)を作るのが史上最強という結論に達した。やっぱりインド盤ってオモロイですわ(^_^)

「Imagine」のインド盤3種聴き比べ②

2019-06-05 | John Lennon
 私は Discogsに載っていたレーベル写真をそれぞれプリントアウトし、レコードと一緒に B-SELS に持ち込んだ。開口一番 “ジョンの「Imagine」のインド盤を手に入れたんですけど、興味あります?” と訊くと “そりゃあ、普通にあります(笑)” と Sさん。それではということで持参したレーベル写真をお見せすると “ほぅほぅほぅ...” と好奇心に火がついたご様子だ。次にレコード盤をお見せして私が読めなかった B面マト末尾のアルファベットの解読をお願いしたが “これはちょっと... どうなんでしょうねぇ...” と仰ったきりしばし無言。“Ri にも見えるし、そもそも活字が潰れてませんか、これ?” と私。結局解読不能ということで、今度は実際に音を聴いてもらうことにした。
 まずは A面。微動だにせずにじっと目をつむって聴いておられたが、A①②③と聴き進んで A④に入り、“これは良い音ですねぇ。音の響きがホントにキレイです。曲の途中で針を上げる気になりませんね...”と大絶賛された。 “でしょう? でも問題は B面なんですよ。ぜひ感想を聞かせて下さい。” と私。さぁ、いよいよ問題の B面に突入だ。
 B①「Give Me Some Truth」が始まってじっと無言で聴いておられた Sさんがしばらくして重い口を開かれた。 “あぁ、これはダメですね。音が濁ってる...”。B③「How Do You Sleep」では私がしたのと同様に盤面の埃をチェックされたのを見て “私も家で同じことしましてん。” と大笑い。更に B⑤「Oh Yoko」に至っては “エンジニアがよぉこんな音でOK出しましたね...” と呆れ顔。 “インド人もビックリですわ!”(←わかる人にはわかるネタ...)と私。尚、後日2回目に持っていった時はB面単独で聴いたせいか1回目の時よりはマシに聞こえたものの、それでもやはり平均点以下の音であることに変わりはない。
 両面を聴き終えたところで私が3枚の写真を指して “これ、どういう順番で出たんでしょうね?” と意見を求めると、お店にあったUK盤のレーベル・デザインと比較しながら “最初はUKマザーでしょうから 1U盤のどちらかが 1stプレスでしょうね。印字が潰れてる方の盤は、ひょっとすると予定より多くプレスしすぎたんとちゃいますか? それで音がビリついてるのかもしれませんね。で、最後がこの枝番なしの、新しい番号がついたヤツやと思います。ほら、33 & 1/3 の分数の表記方法がこれだけ違ってるでしょ?” とのこと。う~ん、確かに。さすがは何百枚何千枚というレーベルをチェックしてこられた “レコードのプロ” である。やっぱり目の付け所が違いますわ。
 ということで、プレスされた順番まではほぼ特定できたのだが、気になるのはそれぞれの音である。因みに「アナログ・ミステリー・ツアー」で音を絶賛されていたのは枝番なしのレイター・プレスだ。Sさんが残りの盤を指さされて “全部聴いてみないと何とも言えないですけどね。” と仰ったので “実は2枚とも、もうオーダー済みでして、ちょうど今頃日本に向かって海の上を飛んでるはずですわ。こーなったら徹底的に調べたろ、って思うとりますねん。” と言うと Sさんは目を輝かせながら “届いたら是非聴かせて下さい。” とのこと。そんなん言われんでも持って来ますがな(笑)
 結局この日の「Imagine」研究はこれにて一応終了。家に帰って例の分数の “括線” 表記について手持ちのインド盤を片っ端から調べていったところ、“横線”⇒“斜線” の分水嶺はジョンの「Shaved Fish」とジョージの「The Best Of George Harrison」だったので、上記のレイター・プレス盤はちょうどインド盤のレーベルがイエロー・パーロフォンに切り替わった1976年以降に作られたものだと推測できた。何だか考古学者にでもなったような気分だ(笑)
(つづく)

「Imagine」のインド盤3種聴き比べ①

2019-06-03 | John Lennon
 ジョン・レノン「Imagine」のインド盤といえば、ビートルズの各国盤コレクターならカッと熱くなる珍盤である。例のガイド本「アナログ・ミステリー・ツアー」の中に “インド盤の奥深い世界” というコラムがあって、そこで “レーベルのジョンの顔の人相が悪くなっているが、そんな見かけに反して音は大変に良い。インド盤の特徴である真空管カッティングの効果からか、アンビエンスの出方が他の国のプレスとは全く異なる。” と紹介されているのだ。コレを読んで “聴いてみたいな...” と思わなければビートルズ・ファンではない。
 ちょうどビートルズ・ソロの各国盤蒐集が面白くなってきたところだったので、私はこのインド盤「Imagine」を手に入れてやろうと決意。早速 Discogsで調べてみたのだが、そこでとんでもないことが判明した。何とこのレコードにはマトリクス№の組み合わせが何種類も存在し、しかもそれぞれレーベル・デザインが異なっているのだ。もちろんどれが1stプレスなのか、はたまたどれの一番音が良いのか全く分からない(>_<)
 私はとりあえずローカル・リカットされたマト末尾 “T1” の盤で盤質の良さそうなのを1枚オーダーして聴いてみることにした。本で紹介されたとはいえ、ソロ作品にまで手を伸ばそうという人はそれほどいないらしく、価格設定も全体的に低めで、たったの €5.99 で買うことができた。
 届いたレコードは60年代のインド盤とは違って分厚いカードボード・スリーヴに入っており、表ジャケは印刷の不具合か、インクの色が薄い。センター・レーベルは本に書いてあったようにジョンの人相が少し悪くなっている。う~ん、やっぱりインド盤は色々と面白い(^.^)  盤はずっしりと重く、デッドワックスに刻まれているマトは「-1U / -??T1」(←?? の部分は Ri に見えるのだが、字が潰れていてよく分からない...)で、更にA面にのみ手書きで「PORKY」と彫ってある。DiscogsではB面「PECKO」となっているが、私のレコードにはペコのペの字も無い。
 で、肝心の音の方だが、A面を聴き始めてビックリ(゜o゜)  めちゃくちゃ良い音ではないか! ラウドカットかと思わせるような音圧の高さもあるが、どの曲も1つ1つの楽器の音に温かみを感じるし、正直言って音質がどーのこーのと分析するのがアホらしくなるぐらい音楽に引き込まれてしまうのだ。A①「Imagine」なんかもう天上の世界のような美しさを湛えているし、A②「Crippled Inside」のダイナミック・レンジの広さやA③「Jealous Guy」の音の響きの素晴らしさも特筆モノ。“コレってひょっとすると UK盤よりエエんちゃうか?” と直感した私は B面に行く前に手持ちの UK 1stプレス(マト末尾1U)盤と聴き比べてみたところ、同じ「1U」「PORKY」なのにインド盤の音の方に魅了されたのだ。これはエライコッチャである。
 私は小躍りしながら再び盤をインド盤に取り替えて今度はB面を聴き始めたのだが、何たることか A面の魔法が消え去ってしまったかのようなガサツな音でビックリ(゜o゜)  音圧は高いものの、音場が狭いのが致命的で、例えるならゴミゴミしたインドの街中のようなむさくるしい音とでも言えばいいのか、とにかくデリカシーに欠ける音である。B③「How Do You Sleep」に至っては過大入力なのか音がビリつくような感じでガッカリ(>_<) 思わず盤に埃が付いているんじゃないかと確認したぐらいだ。A面とのこの落差は一体何なのだ? 念のため木工用ボンド・パックでクリーニングしてみたが全く変わらずで、万策尽きた私はいつものように “困った時の B-SELS頼み” ということで、この盤を Sさんに一緒に聴いてもらうことにした。
(つづく)

ジョンの「ロックンロール」各国盤バトルロイヤル

2019-04-21 | John Lennon
 ビートルズの各国盤蒐集という魔界にハマってかれこれ3年になるが、今回は初登場のアイルランド盤である。きっかけは各国盤蒐集のターゲットをビートルズのソロにまで広げたことで、とりあえず各メンバーのソロ作品で自分が一番気に入っているレコードに的を絞って収集を開始。ジョンでは何と言ってもヨーコ臭のない「ロックンロール」が一番好きなので、Discogsでどこの国のを買おうかと色々物色していた時に偶然目にしたのがアイルランド盤というわけだ。しかもこれがアップル・レーベルではなく何とシルバー・パーロフォン・レーベルなんである。値段を見ると NM盤にもかかわらず €12というお買い得価格で、送料込みでも2,500円程度だ。私は迷わず ORDER をクリックした。
 届いた盤は A面のマト枝番が UK盤と同じ -1U だったがB面は -3U ということでこちらの面は手持ちの UK盤とは違っている。つまり枝番 -1U/ -3Uというレアな組み合わせの盤なのだ。聴いてみたところ、-1Uの A面はめちゃくちゃ良い音で、例えるなら音の細部まで見えるような感じ。UK 1stプレス盤とも聴き比べてみたが、アイルランド盤の絶妙なステレオ感は UK盤をも凌駕していた。
 しかし -3UマトのB面はというと、音がやや硬くて -1U マトの A面とは微妙に違う感じ。両面 -1U マトのアイルランド盤があったら最強やろなぁ... などと無い物ねだりな妄想をしながら、ものはついでと「ロックンロール」の US盤と NZ盤を引っ張り出してきて聴き比べてみた。
 まず US盤だが、実に骨太で芯のあるサウンドで、そのゴツゴツした質感はまさにラフなロックンロールにピッタリだ。アイルランド盤とはまた違った意味での “良い音” で、ちょうど「レッド・ゼッペリンⅡ」の UK盤と US盤の音の違いに感じが似ている。60年代に多いエコーまみれの US盤はゴミ以下だが、70年代(←特に前~中盤のビートルズ・ソロとゼップ)の US盤に関してはイケイケのロックなサウンドが聴けるので要チェックだ。
 続いてかけたのが NZ盤で、私としては UK、US、アイルランドと四つ巴の戦いを期待していたのだが、スピーカーから出てきた音はめちゃくちゃショボくてガッカリ。音圧は低いし、音像もこじんまりしていて脆弱。これは断じてロックンロールの音ではない。この盤が届いた時は埃やカビでノイズが酷かったので木工用ボンドでクリーニングしたのだが、クリーニング後のチェックではノイズの有無に神経を集中したせいか、プアーな音質に気付かなかったようだ。とにかくこの NZ盤は論ずるに値しない軟弱サウンド盤だった。
 NZ盤が予想外の惨敗だったので、“ほんなら OZ盤はどうなんやろ?” と考えた私はすぐに Discogsで盤質の良さそうなのを見つけて即オーダー、15オーストラリア・ドル(約1,200円)で送料込みでも2,500円弱という安値で買えてラッキーだ。届いた盤を聴いてみたところ、NZ盤とは異次元の素晴らしい音だったので喜び勇んで B-SELSに持ち込み、Sさんにも聴いていただいたのだが、“バスドラの音が強烈で、ほとんどハードロックのサウンドになってますねぇ... いやぁビックリしました...” と驚かれたご様子。“これだけドラムの音が大きいのにヴォーカルがそれに負けてないところが凄いですよね。ブラスが鳴り響くところなんかもまるでジミー・ペイジの歪ませたギターに近い音で鳴ってますし... ほら、「カスタード・パイ」のイントロのあの感じですよ、コレ。” と感心しきりで、二人してジョンの大ロックンロール大会を満喫した。
 ということで私なりの「ロックンロール」音質格付けは アイルランド盤A面1U = OZ盤(10点)> US盤(9.8点)> UK盤 1U/1U(9.5点)> アイルランド盤B面3U(9.2点)>>>>> NZ盤(5点) となった。こうなってくると、“アイルランド盤が良かったからデンマーク盤やスウェーデン盤といった北欧勢もエエんちゃうやろか?” とか “「ロックンロール」以外のレコードも OZ盤で集めたろか...” とかいう風に好奇心が疼いてたまらない。これやから各国盤蒐集はやめられまへんわ...(^.^)

【追記】今回の各国盤対決で惨敗した NZ盤さん、どーしたものかと考えた挙句モノラル再生専用盤として(←さすがにオルトフォンのモノ針でかけたらごっつい音で鳴りよったわ...笑)華麗に転身させました。モノラルのド迫力サウンドで聴くジョンの「ロックンロール」... これはたまりませんで(^o^)丿

Roots / John Lennon

2019-03-12 | John Lennon
 ジョン・レノンの「ルーツ」というアルバムは、ジョンがフィル・スペクターをプロデューサーに迎えてレコーディングしたロックンロール・オールディーズ・カヴァー・アルバムのラフ・ミックス・マスター・コピーを当時「カム・トゥゲザー」の盗作騒動で揉めていたモーリス・レヴィという人物に(多分お詫びのしるしとして)あげてしまったものをレヴィが自分の通販レーベル “アダムⅧ” から勝手にリリースし、これに激怒したキャピトル・レコードがすぐに販売差し止め訴訟を起こして勝訴、結局短期間(←たったの3日間らしい...)だけ市場に出回った(←3,000枚という説が有力だが裁判所の公式記録では1,270枚とのこと)「ルーツ」は法外なプレミア付きで取り引きされているというのが現状だ。
 私が持っているのは中学生の時にこのレコードに関するややこしい諸事情など全く知らずに大阪ミナミにあった「ウッドストック」という輸入レコード屋で買ったもので(←多分1,800円ぐらいやったと思う...)、市場に出回っている盤のほとんどがカウンターフィット盤、すなわち偽物であるという無慈悲な現実を知ったのはそれからずっと後のことだった。自分としては本物であろうが偽物であろうがジョンが歌う炎のロックンロールが聴けるだけで十分だったが、その後更に高音質なブートCDを手に入れたこともあっていつしかこの盤はレコード棚の奥で埃をかぶるようになっていた。
 で、つい先日レコード棚を整理していた時のこと、ブートレッグ盤のコーナーに入れてあったこのレコードに目が留まり、久々に聴いてみようという気になった。しかし “まぁカウンターフィット盤やから大したことなかろう...” という私の予想に反し、A①「ビー・バップ・ア・ルーラ」の出だしでジョンの “ウェ~♪” がスピーカーから怒涛の勢いで飛び出してきたのにはビックリ。パチもん(←関西でイミテーションのこと)の分際でえらい生意気な音しとるやんけ...と思いながら聴き進めていったのだが、どの曲も実に生々しいサウンドで、調子に乗ってヴォリュームを上げていくと、リスニングルームはまさに音壁ワンダーランド、ロックンロール名曲絵巻、掟破りの盗作騒動、究極のロック・ヴォーカル数え歌、アックスボンバー三つ又の槍(←何じゃそりゃ)と化したのである。盤起こしでこの音はありえない。
 A面を聴き終えた私がすぐにデッドワックスをチェックしたところ、そこには何と Bell Sound の刻印が...(゜o゜)  いくら何でもベル・サウンドがカウンターフィット盤作っとるはずないし(笑)、まさか本物ちゃうやろな???とワケが分からなくなってきた私はすぐにネットで本物と偽物の識別法を調べてみた。
 Discogsによると、偽物の特徴は以下の9つ:
①スパイン(背表紙)の表記が GREAT ではなく GREATEST になっている
②ジャケットが(60年代キャピトル盤仕様の)貼り付け式になっている
③ジャケットのジョンの左肩部分に薄いピンク色の部分が見えていない
④ジャケット右下のSTEREOの文字がそれぞれくっついている
⑤裏ジャケの SOUL TRAIN SUPER TRACKS の広告の文字が不鮮明で読めない
⑥レコード盤が異常に分厚い
⑦センター・レーベルが異常にデカい
⑧デッドワックス部分に機械打ちの Bell Sound 刻印が無い(ただし、刻印ありのカウンターフィット盤の存在も確認されているとのこと)
⑨本物のマトリクス№は「A 8018 A / A 8018 B」だが偽物には両面とも最初の A が無い
 私の盤は①②③④⑥⑦⑨はクリアしているが⑤に関しては微妙で、老眼が進んでいるせいか私には虫眼鏡が必要だ(笑) ⑧に関しては何とも言いようがないので、“困った時の B-SELS 頼み” の私は信頼する Sさんに鑑定を依頼することにした。
 その週末に B-SELS にこのレコードを持ち込み Sさんに手渡すと、“私も本物は見たことがないので鑑定はできませんが、Bell Sound の刻印やったら分かります。” とのこと。Sさんによると US盤の「レット・イット・ビー」は偽物が多く出回っているので、しっかりと識別するためにわざわざカウンターフィット盤を何種類も買って研究したというから凄い。そんな Sさんがルーペを使ってデッドワックス部分に刻まれた Bell Sound 刻印を、お店にあった本物「レット・イット・ビー」の刻印とも見比べながらじっくりと時間をかけて鑑定。結果は “本物で間違いありません。” とのこと。早速お店のプレーヤーでかけてもらったのだが、やはり Bell Sound カッティングならではの Hi-Fi サウンドが爆裂、二人して大盛り上がりしたのは言うまでもない(笑)
 ということで私の持っている「ルーツ」は限りなく本物に近いということが分かったのだが(←少なくとも盤に関しては本物やと思う...)、まだ少しだけ疑ってる自分がいるのも確か。これはあくまでも私の推測だが、もっともっと売りまくるつもりでプレスしていたのが裁判で負けてしまい、デッドストックとなってしまった盤をレヴィが横流ししたものがたまたま日本に入ってきたのではないか。まぁ真相は薮の中だが、本物であれよくできた偽物であれ、自分としてはこれを売る気はさらさらないので別にプレミアの高値が付こうが付こうまいがどうでもいい。先に書いたようにオリジナル盤ならではの骨太なサウンド(←ここ重要!)でジョンのロックンロールが聴けるだけで大満足なのだから。

The John Lennon Video Collection

2018-12-07 | John Lennon
 今年も12月8日がやってきた。おそらくビートルズ・ファンが1年で一番落ち込む日だと思うが、毎年この日が近づくとファンは在りし日のジョンに思いを馳せながら、気に入っているレコードやCDを引っ張り出してきて、その素晴らしい歌声に酔いしれるのである。
 しかし私のような人間がジョン・レノンのソロ作品を楽しむ時は注意が必要だ。何故かって? 1968年以降のジョンにはオノ・ヨーコという背後霊が付きまとっているからである。クラプトンと共演したトロントでのライヴ盤などその最たるものだと思うが(←ヨーコの奇声をキレイさっぱり消し去った「トロント・ライヴ」を出してくれたら1万円でも買いまっせ!)、いくらジョンが素晴らしくてもヨーコの奇声を聞かされるぐらいなら(←ホンマに気持ち悪ぅてブツブツ出るわ...)他の盤を聴いた方がエエな... となり、ヨーコ臭の無い「ロックンロール」ばかりがターンテーブルに乗ることになる。
 それは映像関連でも全く同じで、例えばジョンのソロ・イヤーズのビデオ・クリップを集めた「ジョン・レノン・ビデオ・コレクション」を見ようと思っても、ほとんどの作品にヨーコが出てくるので、結局「スリッピン・アンド・スライディン」と「スタンド・バイ・ミー」しか見れないのが困りもの。それにしてもこの2曲、まさに水を得た魚のように活き活きと躍動するジョンが最高ではないか! 裏を返せば、ヨーコの呪縛から解放されたジョン・レノンがいかに凄いかをこの2曲が雄弁に物語っているとも言えるワケで、オリジナルであろうがカヴァーであろうがジョンにはヨーコと決別してひたすらロックンロール路線を極めてほしかったと思う。
Slippin' and Slidin' - John Lennon

"stand by me" john lennon live 1975


 私が持っている「ビデオ・コレクション」はライトハウス(←西新宿のブート屋さん)が廃盤レーザーディスクをデジタル化したギフトDVD-Rで(←こういう企画はめっちゃありがたい...)、これにはメインとなるオフィシャル映像集の他に、死の当日に行われたインタビュー(←音声だけやけどコレがめっちゃ泣けます...)と、1972年にジョンが出演したTV番組「マイク・ダグラス・ショー」の映像もボーナス収録されているのだが、見どころは何と言ってもジョンとチャック・ベリーが共演する「メンフィス・テネシー」と「ジョニー・ビー・グッド」の2曲。特に冒頭でジョンが “「チャック・ベリー」はロックンロールの別名。50年代、彼の音楽は全世代に愛された。メッセージは「ロックンロール万歳」”とチャック・ベリーを紹介するシーンが超カッコイイ(^o^)丿
Chuck Berry & John Lennon (1972) HQ


 ただ、この素晴らしい共演に水を差したのがヨーコで、サルのおもちゃみたいに太鼓だけ叩いていればいいものを、何をトチ狂ったか(←まぁいつも狂ってるけど...)身の程知らずにも例の奇声をブチかましてせっかくの名演を壊しにかかるという暴挙に出たのだ(>_<)  その瞬間のチャック・ベリーの表情をスローで捉えた映像がコレ↓ う~ん、わかりやすい...(笑) 
INCREDIBLE! Chuck Berry and John Lennon REACTION to the senseless screams of YOKO ONO


 しかし “幸いなことに、危険を察知したサウンド・エンジニアがヨーコのマイク音声をオフにした” とテロップにあるように、2曲目の「ジョニー・ビー・グッド」ではヨーコの奇声に邪魔されずに2人のロック・レジェンドの共演を心ゆくまで楽しむことが出来てメデタシメデタシ。ヨーコ抜きのジョンの音楽をもっともっと聴きたかったなぁ...

Be-Bop-A-Lula / John lennon

2016-02-21 | John Lennon
 ジョンのUKシングル盤を制覇した後、US盤も何枚か手に入れてUK盤や国内盤と聴き比べながらその音質の違いを楽しんでいたのだが、そこでふと気になったのがイギリスでもアメリカでも出ていない、日本独自のシングル・カット曲「ビー・バップ・ア・ルーラ」の存在だ。東芝EMIでビートルズを手掛けたプロデューサーの石坂敬一が書いたアルバム「ロックンロール」のレビューに “ジョンは我が日本のためだけにこの曲のシングル・カットを指定してきた” とあったのを鵜呑みにしててっきり日本だけでリリースされたシングルだと思い込んでいたのだが、このブログでも取り上げた「マインド・ゲームズ」のフランス盤シングルを45回転盤専門サイトの “45cat” で調べていた時に偶然この「ビー・バップ・ア・ルーラ」がフランスでもリリースされていたことを発見。今までは国内盤シングルのショボイ音で我慢してきたが、名盤「ロックンロール」の冒頭を飾るジョン屈指の名唱がパワフルな45回転サウンドで聴けるかも、と思うと居ても立っても居られない。
 慌てて eBayで検索してみると、何とフランス盤以外にもドイツ盤やスペイン盤、デンマーク盤にアルゼンチン盤まで出ているではないか! 南米盤は音が悪いので論外として、フランス、ドイツ、スペイン、デンマークのどれにするか迷ったが、ジャケットのカッコ良さとB面曲がこれまた大好きな「ムーヴ・オーヴァー・ミズ・L」なこともあってフランス盤(2C 004-05.899)に決定! 英米のセラーは大体$25~$50ぐらいの値付けだったが、international sellers 枠を見ると、1人のフランス人セラーがNMコンディションの極上盤を€7.20(約900円)で出している。送料もヨーロッパからということで€6.60(約830円)とアメリカからの約半値だ。私は迷わず BUY IT NOW をクリックした。
 届いた盤はジャケット・盤共にピッカピカの美麗盤で、ワクワクしながらレコードに針を落とすといきなりジョンの “ウェ~ッ♪” という掛け声が勢いよくスピーカーから飛び出してくる。その音圧は国内盤など足元にも及ばない凄まじさで、マトリクス-1UのUKオリジ初版LPと聴き比べてみても断然こっちの方が良い。一番の違いは躍動感で、それぞれの楽器が元気に自己主張しながらも一体となって音楽を前へ前へと押し進めていく様は圧巻だし、ジョンの歌声もまるで目の前で歌っているかのような生々しさだ(≧▽≦)  これは私がこれまで耳にしてきた中で最強の「ビー・バップ・ア・ルーラ」と言っても過言ではない。最近はアホの一つ覚えのようにシングル盤ばかり買っているのだが、こういう轟音盤を聴いてしまうとますますこの “45回転盤桃源郷” から抜け出せなくなりそうだ(^.^)
John Lennon - Be Bop A Lula


 B面の「ムーヴ・オーヴァー・ミズ・L」はジョンがキース・ムーンに贈った乱痴気騒ぎ系(?)ロックンロール。ヨーコの呪縛から解放され、水を得た魚のように活き活きしたヴォーカルで疾走するジョンが最高だ。やっぱりジョンにはこういう竹を割ったようなイケイケのロックンロールがよく似合う... (≧▽≦) 因みにこの曲には「ようこそレノン夫人」という間抜けな邦題が付けられているが、“move over” は “脇へどく、場所を譲る” という意味だから、要するにこれは「ちょっとどいてくれ」と言っているのであって、一体どこをどう解釈すれば「ようこそ」になるのだろう? 「ノルウェーの森」(←文脈完全無視)といい、「冷たい七面鳥」(←アホ丸出しの直訳)といい、東芝EMIの洋楽制作チームはいつも笑いのネタを提供してくれますな...(笑)
John Lennon - Move Over Ms. L (2010 Remastered Single)


           
 折角なので、オリジナルのジーン・ヴィンセント盤(Capitol:F3450)も取り上げよう。このレコードは去年の9月にオールディーズのオリジナル・シングルをアメリカのレコ屋から大量購入した時に買ったもので、VG+で$5.00という破格の安さ(^o^)丿 それまでジーン・ヴィンセントのCDもLPも持っていなかったのでスピーカーに対峙してちゃーんと聴くのはその時が初めてだったが、第一印象は “うわー、ジョンのヴァージョンにソックリや...(゜o゜)” というもの。これはつまりジョンがジーン・ヴィンセントのオリジナルを完全に自家薬籠中のものとしていたことを意味しており、ジョンの50年代ロックンロールに対する深~い造詣と愛情を再認識させられる。そういえばジョンがポールと初めて会った日にステージで演奏していたのがこの曲だった。若き日のジョン・レノンが憧れた気持ちがよくわかるカッコイイ歌と演奏だ。
Gene Vincent - Be-Bop-A-Lula

ジョンのシングル盤特集 ~英米対決3番勝負~

2016-02-14 | John Lennon
 私はビートルズに関する限りガチガチのUK盤至上主義者で、アメリカ編集の「マジカル・ミステリー・ツアー」や「ヘイ・ジュード」ですらUK盤で揃えるくらいUS盤を忌み嫌っている。中学生の時に何も分からずに買った「セカンド・アルバム」や「ビートルズ'65」の、まるで風呂場の中で聴いているかのようなエコーまみれのミックスがトラウマになっているのだ。60年代のキャピトル・レコードはデュオフォニックという独自の疑似ステレオ技術を売りにしていたようだが、あんな気持ち悪い音の一体どこがいいのかサッパリ分からない。
 だからビートルズ解散後のソロ作品に関してもアルバム、シングルを問わずUK盤を買ってきた。ポール、ジョージ(←ワーナー盤はUS盤の音が良かったけど...)、リンゴに関してはそれで何の問題も無いと思っているが、唯一気になっていたのがジョンのNY移住以降の作品群(「イマジン」が分水嶺か...)だ。
 私がUK盤に拘るのは何もアメリカが嫌いというわけではなく(笑)、ただ単にそのアーティストが活動の拠点としている国でリリースされた盤が一番マスターテープに近いという意味で鮮度の高い音が楽しめるからというだけのことで、例えばイーグルスはUS盤で、フランス・ギャルはフランス盤で集めている。もちろん盤によって例外もあるにはあるが、私の知る限りでは「ホテル・カリフォルニア」はUS盤が一番鮮烈な音がするし、「夢見るシャンソン人形」はフランス盤の音が一番生々しい。
 ということで昨年の11月に一念発起してジョンのシングル盤を他のビートルたちと同様にUK盤で買い揃えてはみたものの、US盤の音への興味は捨てきれなかった。私は去年の夏以降アメリカのレコ屋からオールディーズのシングル盤を大量に一括購入していて一回の取り引きで20~30枚まとめて送ってもらっているのだが(←ウチのおかんが “何か鉛みたいな荷物届いてるでー” ってメールしてきよった...笑)、ある時ふと閃いてリストを見てみるとジョンのシングル盤もちゃーんと載っていたのだ。それが「インスタント・カーマ」「パワー・トゥ・ザ・ピープル」「イマジン」の3枚で、どれもみな盤質VG++で$2.50という超お手頃価格だったので即オーダー、届いてすぐに手持ちのUK盤と比較聴きしてみた。

①Instant Karma (1818)
 前にもこのブログで書いたようにUK盤シングルはジョンの指示でまだスペクターが最終OKを出していないミックスが使われたのに対し、US盤シングルの方はスペクターがロスのスタジオにこもってジョン抜きでじっくりと仕上げたミックスが使われている。実際に聴き比べてみると両者とも音圧は同じくらいだが、UK盤の方はあくまでもジョンが主役でヴォーカルがアグレッシヴに前面に出てきてでカッコイイのに対し、US盤ではヴォーカルとバックの演奏が横一線に並んでいる感じでUK盤に比べるといまいちスリルに欠ける。ひょっとするとスペクターはジョンの声も楽器の一つとして捉えていたのかもしれないが、ジョンの声は唯一無比であり、私的には迷うことなくUK盤に軍配を上げたい。
Instant Karma


②Power To The People (1830)
 UK盤のランオフには手書きでPORKY刻印が、US盤には機械打ちでBell Sound刻印があって聴く前から興味津々。音圧は両者とも甲乙付け難いレベルの高さで、音の塊がスピーカーから迸り出てくるのがたまらない。普通に聴いている分にはそれほど大きな差はないが、US盤の方がエコーが深くかかっており、音の切れ込みも鋭く、全体的な音作りとしてはUK盤よりも派手な印象を受ける。一方UK盤は中低域が充実しており、ベースがズンズンと腹にくる感じ。私としてはその時の気分によってUK盤を聴くかUS盤を聴くかを選ぶ贅沢を享受できてラッキーだ。ということでこの曲に関しては引き分けですな。
Power To The People


③Imagine (1840)
 この曲のUS盤のカッティング・レベルはUK盤の気持ち2割増しぐらい高く、ジョンのヴォーカルを包み込むようなストリングスが左右にフワーッと広がって気持ちイイったらない(^.^)  この音場の広さはクセになる。一方UK盤の方はヴォーカルもバックの演奏もこじんまりとセンターにまとまっている感じで、US盤を聴いた後に続けて聴くと力のないモノラルみたいに聞こえてしまう。UK盤はUS盤に遅れること4年(!)の1975年発売ということなのでハッキリ言って再発盤みたいなモンだからこの違いも仕方ないが、1971年にリリースされたUKオリジのマト1LPと聴き比べてもやはりこのUS盤シングルの方が音が良いように思う。ということで「イマジン」に関してはUS盤の圧勝だ。尚、初期プレスはレーベル面のリンゴが薄茶色で、1975年以降のプレスでは薄緑色になり、レーベル下面に Unauthorized duplication is a violation... の文言が入るようだ。
Imagine


【おまけ】
少し前にYouTubeでめっちゃオモロイ放送事故の映像を発見、久々に大笑いさせてもらったんで貼っときます。もガチャピンが気になって肝心の天気が全然アタマに入ってこない...(^_^) そう言えばガチャピンのトレードマークであるタレ目はポールがモデルっていう話があったけどホンマかいな???
ガチャピンが消える放送事故 SOLiVE24 2016.2.5