shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズのイタリア盤特集②「Hey Jude」聴き比べ

2018-04-29 | The Beatles
 「ガーデン・カヴァー」のジャケット・デザインが気に入った私はビートルズのイタリア盤を集めようと決意した。しかし困ったことに頼みの綱である横野さんのレコード・コレクションHPには「プリーズ・プリーズ・ミー」から「ヘルプ!」までしか載っておらず、「ラバー・ソウル」以降の各タイトルの1stプレス盤については何がどーなっているのかサッパリわからない。まさに道なき道である。
 こーなったら自力で調べるしかないと思った私は、Discogsで「ラバー・ソウル」から「レット・イット・ビー」までの各タイトルに関して60年代プレスのイタリア盤のページをすべてプリントアウトし、レーベル写真やマトリクス№を比べながら自分なりに整理していった。その甲斐あって、イタリアにおけるビートルズLPのレーベル変遷の概要をほぼつかむことができた。大雑把に言うと、「プリーズ・プリーズ・ミー」から「ザ・ビートルズ・イン・イタリー」までが “赤パーロフォン”、「ヘルプ!」から「サージェント・ペパーズ」までが “黒パーロフォン”、そして「ホワイト・アルバム」以降が英米独仏と同じく “アップル”レーベルが1stプレスということになる。
 しかしややこしいことに Discogsに載っているイタリア盤のアップル・レーベルにはいくつかのバリエーションがあって、どれが初回盤なのかがハッキリと明記されていない。具体的に言うと、センターレーベル面右側の2段重ねのブラケット内に STEREO / MONO のダブル表記がしてあるものと、単に STEREO 表記しかないものに分かれるのだ。普通に考えれば MONO 表記がある方が古いはずなのだが、eBay で見るとSTEREO 表記しかないものを 1stプレスとしているセラーも少なくないので困ってしまう。同じお金を払うなら少しでも良い音で聴きたいというのが私のポリシーなので、音の薄っぺらいリイシュー盤をつかまされるのだけは何としても避けたい。
 そうやって迷っていた時に eBay にイタリア盤「ヘイ・ジュード」の STEREO 表記盤が出品された。商品説明には“rare 1st press ... wow ...EX top audio” の文字が躍っている(笑) 値段も$20とお手頃だ。ホンマは MONO とのダブル表記盤が欲しいとこやけどまぁエエか、と “top audio” の殺し文句に負けた私は BUY IT NOW で即ゲットした。
 届いたレコードはノンラミネート仕様でジャケット写真は手持ちのイスラエル盤と同じく印刷が粗い。盤も取り出して手に持った瞬間に “軽っ!” と思ってしまうくらい薄っぺらく、重さを量ってみるとたったの129gしかない。“あちゃー、ハズレや...” と思ったが後の祭り(>_<)  スピーカーから出てきた音は確かにオーディオマニアが喜びそうなキレイキレイなサウンドで “top audio” という表現もあながちデタラメというワケではないが、ハイ上がりで中域が薄くガッツに欠けるヘタレなサウンドだ。私の経験から言うとこれは典型的な70年代プレスの再発盤の音であり、断じて 1stプレスのそれではない。
 どうしても 1stプレス盤が欲しかった私はいつものように Discogs でこのレコードを出品しているセラーに片っ端からメールして STEREO / MONO のダブル表記盤を探し出し、 €25でゲット。今度のレコードは先の盤と隅々まで全く同じデザインながらちゃーんとラミネート仕様になっており、写真の印刷も綺麗だ。何より驚いたのは盤の重量で、手に持った時のズッシリ感が全然違う。量ってみると何と175gもあってビックリしたが、音の方もその重量に比例するかのような分厚さで、押し出し感の違いは歴然だ。これはどう考えてもこちらが 1stプレスだろう。
 そういうわけで結局アルバム「ヘイ・ジュード」のイタリア盤を2枚買う羽目になってしまったが、おかげでイタリア盤アップル・レーベルの識別法とその音の特徴を知ることができ、私としては有意義な買い物だったと思っている。ビートルズ以外でも昔のアナログ盤を蒐集していると “どっちが 1stプレスやねん???” と迷ってしまうケースがたまにあるが、実際に自分の耳で確かめて納得するというのもまたアナログレコード・マニアの楽しみの一つではないかと思うのだ。

ビートルズのイタリア盤特集①「I favolosi Beatles」【Garden Cover】

2018-04-22 | The Beatles
 私は自分が狙っているレコードのおおよその相場を知るためにオークション・サイトだけでなく色んなレコ屋の価格入り在庫リストを調べて情報収集をしており、中でもディスクユニオンの「ビートルズ廃盤アナログセール」のリストには必ず目を通すようにしている。特に“○○カヴァー”と称される独自ジャケ盤が大好きな私はいつも “ジャケ” “カヴァー” といった単語でページ全体を検索していくのだが、ある時 “奇跡的極上コンディションのブッチャー・カヴァー” やら “RCAプレスのホワイト・アルバム” やらといった稀少盤が目白押しの“注目アイテム”コーナーの中に “花壇ジャケット” というのを見つけた。何じゃいコレは?と思いながら説明を読むと「I Favolosi」というタイトルのイタリア盤で、赤銀レーベルと書いてある。知らんなぁ... と思いながら値段を見ると、何と84,000円だ。ビックリして“beatles 花壇ジャケット”でググってみたところ、別のユニオンのリストにヒットし、そこでも89,000円の高値が付いていた。どっちにせよ尋常な値段ではない。
 そんな高値が付く “花壇ジャケット” って一体どんなデザインなんやろ?と興味をひかれ、 I Favolosi Beatles で画像検索してみると、出てきたのは花壇の周りでポーズをとる4人の珍しい写真をあしらったジャケットで、公園のグリーンと花のピンク、そして緑地に白抜きのタイトル文字のコントラストがさすがはイタリア、という感じのシックなデザイン(←何故かジョン・レノンがバリバリの金髪にされているのには笑えるが...)になっている。後で知ったことだが、このジャケットは “花壇ジャケット” よりも “ガーデン・カヴァー” の愛称で呼ばれることの方が多いらしい。“〇〇カヴァー”コレクターの私としては手に入れたいのは山々だが、いくらなんでも8万とか9万とかいうのは論外だ。
 しかも困ったことにイタリア盤というのは例の「アナログ・ミステリー・ツアー」にも載っておらず、私がそれまで検索すらしたことがなかった未知の世界で、各アルバムの落札相場も全く知らないし、 “赤銀レーベル”というのがナンボのモンかも分からない。藁にもすがる思いで例の横野さんのレコード・コレクションHPを覗いてみると、さすがは世界レベルの超一流コレクター、ちゃーんとイタリア盤のページがあった(^.^)  いつものことながらホンマに凄い人ですわ。
 解説によるとイタリア盤は1965年にイタリアで独自発売された5thアルバム「ザ・ビートルズ・イン・イタリー」まで “赤銀レーベル” が初版で、しかも驚いたことにその赤色も dark red ⇒ purple red ⇒ light red というようにプレス時期によって3種類存在するとのこと。フェラーリの国イタリアだけあって赤に対する拘りようはハンパない(笑) 私が見つけた “ガーデン・カヴァー” というのは2ndアルバムの「ウィズ・ザ・ビートルズ」のことで、ジャケットには例のモノクロ・ハーフ・シャドウ写真の代わりにイタリア独自の “花壇写真” が使われているとういうワケだ。
 Discogsで調べてみると赤レーベルでVG+以上の盤は最低でも€200はするようで、最初期プレスのdark red レーベルになると軽く€300を超えてしまう。私はジャケットの状態が良くて生々しい音が聴けさえすればそれで十分なので、入手困難な “ガーデン・カヴァー” を少しでも安く手に入れるために初版の中でもプレス時期が遅い light redレーベル狙いで網を張ってみた。
 このレコードはだいたい月に1~2枚のペースで出品されるのだが、いざ狙ってみると落札価格が高すぎて全く太刀打ちできない。私は3回連続でアウトビッドされ、“やっぱりみんな狙っとるんやなぁ... 2万円以下で手に入れるのはちょっと無理か...” とほぼ諦めかけていた。そんな時にふとイーベイのイタリア国内向けローカル・オークション・サイトである eBay.itで調べてみようと思いついてチェックしてみたところ、インターナショナル版イーベイには出ていない「I Favolosi Beatles」の赤レーベル盤が2枚も出品されているではないか! イタリア語のオークション・サイトということもあってかライバル数が少なく、しかもラッキーなことにビッドが2枚に分散したおかげで結局 €103で落札することができた。ユニオンでの販売価格を考えるとまさにマンマミーア(^o^)丿である。
 私が手に入れたのは赤銀レーベルの中の4版目にあたるlight red ヴァージョンで、レーベル左側に BIEM と MECOLICO ロゴが入った盤。マトリクス№は “YEX 447 1 4 2 64” となっているので、1964年の2月4日にイタリアでローカル・カッティングされたということだろう。セラーの盤質表示はVG++ だったがウチの装置で実際にかけてみたプレイ・グレードはEX+ でちょっと得した気分だ。音の傾向はバリバリにドライで、竹を割ったようなストレートなサウンドがスピーカーから飛び出してくる。もちろん音圧も十分で、さすがにUK盤1stプレスの生々しさには敵わないものの、ラウドなロックンロールを楽しむのにはピッタリの音作りだ。
 しかしこのレコードの一番の魅力はやはりジャケットの素晴らしさに尽きるだろう。再発盤ではタイトル文字まわりに安っぽい感じの緑色が使われているが、この初回盤では花壇や公園の植物の色と絶妙にマッチする渋~い草色になっており、そのカラー・バランスの妙はイタリア盤ならではと言うべきだろう。又、初回盤のジャケ左上にあるスリムな Dischi PARLOPHONロゴに比べると再発盤のデカいEMIロゴがダサく見えてしまうのだが、コレばっかりはしゃあないか。とにかく目で楽しめ、耳でも楽しめるイタリア盤... これは蒐集のし甲斐がありそうだ。

「Relaxin'」のイタリア盤とオランダ盤 ~寛ぐ美女たち~

2018-04-15 | Jazz
 私はネットオークションを始める前はレコ屋の通販でレコードを買っていた。関西のレコ屋巡りだけでは滅多に手に入れることができないような稀少盤が載っているリストを見るのが楽しくて色んなレコ屋のHPを覗いていたが、そこで偶然目にしたのがマイルス・デイヴィスの名盤「リラクシン」のイタリア盤とオランダ盤の “ディフ・ジャケ” 2枚で、どちらも寛いだ美女が寝そべっているアートワークがオリジナルUS盤とは一味違う妖艶な魅力を湛えていた。その時は他に欲しい盤がいっぱいあったこともあって “へぇ~、こんな盤もあるんか... ” と感心しただけだったが、その2枚の存在は “美女ジャケ好き” の私の脳裏にしっかりと刻み込まれた。
 昨年ビートルズの各国盤蒐集が一段落した時にたまたまこの2枚のことを思い出して Discogs を覗いてみたところ、イタリア盤の方は$600というボッタクリ価格のが1枚出ているだけで論外だったがオランダ盤の方で盤・ジャケ状態共にVG+で €60という出物を発見。“Sleeve is very nice, just a small writing on the front...” と書いてあったので念のためにセラーにメールして写真を送ってもらったところ、問題なさそうだったので即ゲットした。
 このレコード(PPR 075)はUSオリジナル盤から8年遅れの1966年にオランダでリリースされたモノラル盤で、ジャケットは綺麗にコーティングされたフリップバック仕様だ。ソファーに横たわって寛ぐ女性(←地べたにワイン置くんか...)についつい目がいってしまうが、さりげなく手前のテーブル上に置かれたトランペットがジャジーな雰囲気を醸し出している。ジャケット右上に青ペンでMBと書かれているのが玉にキズだが部屋の壁の落書きと考えれば(笑)ほとんど気にならない。ランアウト部分にはUSオリジナル盤と同じく機械打ちでRVGの刻印が刻まれているので、ひょっとするとオリジナルと同じ原盤から作られたスタンパーを使ってオランダでプレスしたのかもしれない。盤質はVG+そのもので微かなサーフェス・ノイズはあるものの、普通に聴く分には全く問題のないレベルだ。
 首尾よく「リラクシン」のオランダ盤を手に入れた私は今度はイタリア盤に的を絞り、MAX €150まで出す覚悟でネット上に網を張ってみたのだが、こちらの方は中々出てこない。試しにpopsikeで調べてみると、過去10年間でオランダ盤15枚に対してイタリア盤はわずか4枚という激レア盤だった。これはちょっと時間がかかりそうやなぁ... と思いながら毎日ネットでチェックすること約1年、ビートルズのイタリア盤狙いでこまめにチェックしていた eBayイタリアのオークションに何とこの「リラクシン」イタリア盤が出品されたのだ。ビートルズの網にマイルスが引っ掛かってくるとは...
 “イタリアのローカル・サイトやからあんまり激しい競争にはならんやろ...”という私の甘い予想を裏切って €12.99からスタートしたオークションには12人がビッド、結局 €124で辛くも落札できたが、自分みたいな “美女ジャケ好き” コレクターは世界中におるんやということがよーく分かった。まぁレコード・コレクターなんてほとんど男ばっかりなんやから、“美女ジャケ” にビッドが集中するのは当然と言えば当然ですな(^.^)
 それにしてもこのイタリア盤「リラクシン」(LPM 2059)のジャケットは現物で見るとネット上の小さな写真で見る何十倍も素晴らしい。オランダ盤も良かったが、私的にはこっちの方が好み(^.^)  ハンモックで寛ぐセクシーな女性が醸し出すえもいわれぬ開放感がたまらんのですわ。大袈裟ではなく、この魅惑のジャケットだけで €100以上の価値があると思う。ジャケットの作りはフリップバック仕様のペラジャケで、盤のランアウト部分にはオランダ盤と同様に機械打ちでRVGの刻印が刻まれている。盤そのものはバリバリのNMコンディションだ。
 で、実際に3枚の音を聴き比べてみるとイタリア盤もオランダ盤もかなり良い音では鳴るが、やはり音の鮮度の点でUSオリジナル盤がアタマ一つ抜けている。一番顕著なのが重低音で、US盤はA①「イフ・アイ・ワー・ア・ベル」やA③「アイ・クッド・ライト・ア・ブック」で躍動するポール・チェンバースのベースの音が凄まじく、まるでヘビー級ボクサーのボディー・ブローをガンガン受けているような感じなのだ。ただ、イタリア盤はプレス時期がUS盤とほぼ同じ1958年ということもあってかモノラル盤ならではのゴツゴツした武骨な音が愉しめるし、オランダ盤も60年代中期プレスということを考えればコレはコレでかなりエエ線いっていると思う。US盤を10点とするとイタリア盤は9点、オランダ盤は8点という感じ。因みに盤の重さはUS盤174g、イタリア盤169g、オランダ盤134gだった。まぁこの2枚に関してはジャケット目当てで買ったので音を云々してもしゃあないのだが...
Miles Davis - I Could Write A Book

ビートルズ・カヴァーのライヴ名演集

2018-04-08 | The Beatles
①While My Guitar Gently Weeps / Prince
 プリンスが主導したいわゆるひとつの “ミネアポリス・ファンク” は私にはイマイチその良さが分からないが、彼の並外れたギター・テクニックとキャッチーなメロディー・センスには常に注目していた。この「ホワイル・マイ・ギター...」のカヴァーは2004年の Rock and Roll Hall of Fame 式典におけるジョージへの追悼ライヴの映像で、演奏メンバーの中にジェフ・リンやトム・ペティに混じってプリンスの名前を見つけた時は一瞬 “何でプリンス???” と違和感を覚えたが、実際に観てみると 3:28あたりから登場して入魂のソロを聴かせるプリンスに目が釘付けとなり、大袈裟ではなく全身に電流が走るような衝撃を受けた。持てるテクニックを惜しげもなく投入し、秘術の限りを尽くして歌心溢れるソロを聴かせるプリンス... まさに空前にして絶後といえる圧巻のギター・ソロだ。最後にギターを頭上に放り投げてステージから去っていく姿もめっちゃクールでカッコエエわ...(^.^)
Prince, Tom Petty, Steve Winwood, Jeff Lynne and others -- "While My Guitar Gently Weeps"


②Here Comes The Sun / Jon Bon Jovi & Richie Sambora
 ジョージが亡くなって3日後の2001年12月2日に行われたアメリカの音楽専門チャンネルVH-1が主催する音楽アワードの授賞式で、そのオープニング・パフォーマンスとしてジョン・ボン・ジョヴィとリッチー・サンボラが2人のチェロ奏者を従えてプレイしたのがこの「ヒア・カムズ・ザ・サン」だ。巨大スクリーンに映し出された在りし日のジョージの映像をバックにこの名曲を切々と歌い上げるジョンとそれに寄り添うようにハモるリッチーのビートルズ愛溢れるパフォーマンスが観る者の心の琴線を激しく震わせる。歌い終わった後の “Miss you, George.” というジョンの一言に目頭が熱くなるビートルズ・ファンは私だけではないだろう(T_T)
Jon Bon Jovi & Richie Sambora Here Comes The Sun Live, Vh1 Music Awards 2001


③Tell Me What You See / Brian May & Kerry Ellis
 この「テル・ミー・ホワット・ユー・シー」という曲はアルバム「ヘルプ」の中でB面4曲目という中途半端な位置(?)に置かれた比較的地味な存在のスルメ・チューンなのだが、シンプルなメロディーの繰り返しが耳に残る “ダイアモンドの原石” みたいなこの曲を丹念に磨き上げて美しい光沢を放つ名曲に昇華させたのが元クイーンのブライアン・メイとミュージカル「ウィー・ウィル・ロック・ユー」に出演して脚光を浴びた歌姫ケリー・エリスのコラボだ。ブライアンのハートウォーミングなギターと彼女の透明感溢れる歌声が生み出すケミストリーによって曲の髄を極限にまで引き出した、知る人ぞ知る“隠れ名演”だ。
Brian May and Kerry Ellis Tell Me What You See live at Liverpool Philharmonic Hall 23 June 2013


④Oh Darling / B'z
 60's~70'sの洋楽を聴いて育った私にとって、邦楽で聴くに値するロックバンドはB'zとイエロー・モンキーしかいない。彼らの素晴らしいところは自らのルーツを明確にしているところで、決してぶれることがない。これは2008年9月に横浜の日産スタジアムに7万人を集めたライヴの時のもので、B'zの2人が出会って最初にセッションした曲だという「オー・ダーリン」を松本さんのギターのみをバックに稲葉さんが歌ったお宝映像だ。大雨の中、アコースティック・セットで炸裂する稲葉さんのスクリームが胸にグッとくる、ファン必見の1曲だ。
oh darling


⑤I Saw Her Standing There ~ Twist And Shout / The Who
 ビートルズのデビュー・アルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」の冒頭を飾るポールの「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」とラストを締めるジョンの「ツイスト・アンド・シャウト」の2曲は共に初期ビートルズの魅力を凝縮したようなロックンロール・ナンバーだが、その2曲を立て続けに演奏して怒涛のパフォーマンスを聴かせてくれたのがザ・フーだ。これはビートルズゆかりの地であるシェア・スタジアムでのライヴ映像で、嬉々としてビートルズ・ナンバーを演奏する4人の姿が微笑ましい。特に「ツイスト・アンド・シャウト」でロジャーとピートが1本のマイクに2人で寄り添いながらハモるところなんかもう最高(^.^)  もちろんピートの風車奏法(4:45)やロジャーのマイクぶん回し(6:05)も見れて、ファンとしては大満足の映像だ。
The Who Beatles Medley 82


【おまけ】Please Please Me ~ From Me To You / Led Zeppelin
 今や伝説と化した感のある1971年のレッド・ゼッペリン初来日公演だが、その4日目にあたる大阪フェスティヴァル・ホールでのライヴ(通称928)でのこと、当時はまだ新曲扱い(!)だった「天国への階段」が終わった後、大人しく聴いている観客を盛り上げようとしたのか、プラントが突然歌い始めたのがこの「プリーズ・プリーズ・ミー」だ。続く「フロム・ミー・トゥ・ユー」も併せてわずか1分そこそこの “断片” で、とても “歌” と呼べる代物ではないが、私の知る限りゼップ史上唯一のビートルズ・カヴァーが日本公演だったというのが嬉しい。ノリノリで手拍子をする観客が羨ましいなぁ...
Please Please Me From Me to You

Cocktail For Three / Georges Arvanitas

2018-04-01 | Jazz
 ジャズの世界には同じアーティストの作品で演奏の内容もジャケット・デザインの佇まいも似通った、いわゆるひとつの “双子盤” レコードが存在する。クリス・コナーの「シングス・ララバイズ・オブ・バードランド」と「シングス・ララバイズ・フォー・ラヴァーズ」(ベツレヘム)、ジョニー・スミスの「イン・ア・メロウ・ムード」と「イン・ア・センチメンタル・ムード」(ルースト)、リー・コニッツの「海岸のコニッツ」と「蔦のコニッツ」(ストーリービル)など挙げていけばキリがないが、困るのは運良く片方を手に入れてしまうとどうしてももう片方も欲しくなってしまうことである。これはレコード・コレクターの悲しい性というべきかもしれない。
 念願叶ってジョルジュ・アルヴァニタスの「3 a.m.」を手に入れた話は前回書いたが、私は同じレーベルから出ている「カクテル・フォー・スリー」の方も欲しくなってしまった。どちらもモダン・ジャズの王道を行く正統派ピアノトリオでジャケット・デザインの雰囲気も似ており、仲間内ではその色の違いから「3 a.m.」を“赤盤”、「カクテル...」を“青盤” と呼ばれていた、まさに絵に描いたような双子盤である。
私は早速 eBayやDiscogsで最重点アイテムの1枚としてこの盤を追いかけ始めたのだが、これほどのメガレア盤がそう簡単に手に入るはずがない。結局去年は1回だけ eBay で勝負したがモノの見事にアウトビッドされ(←どうやら日本人の転売屋に競り負けたようで、2週間ほど経ってからヤフオクで全く同じブツを見つけたのだが、eBay落札額に2万円ほど上乗せしとった...)、Discogs にも €600というボッタクリ価格のブツしかなくて万事休す...(>_<)  オリジナル盤コレクターの道は厳しいのう... と途方に暮れていた。
 だがしかし、待てば海路の日和ありとはよくぞ言ったもので、ついに念願叶う時がやってきた。今回もきっかけは「3 a.m.」の時と同じ Discogs の “1 New Item For Sale In Your Wantlist” というお知らせメール。ちょうど午前中の退屈な仕事が終わって “あ~鬱陶しかった...(>_<)” と辟易しながらパソコンを開いたところ、Discogs から “ウォントリストに入れてるアイテム出品されたよ~ (^.^)” というメールが来てて “どのレコードやろ???” と思いながら確認すると、何と「カクテル・フォー・スリー」がわずか €100 で出ているではないか! これはエライコッチャである。さっきまでの仕事の不満などどこかへ消し飛び、一気にテンションMAXへ急上昇だ。
 大コーフンしながら詳細を確認すると、盤質がVGでジャケットがVG+ というコンディション表記だが、“Cover looks great, a bit used all around. Record plays great with little surface noise. Absolute French gem!” とのことで思い切って即決。入手困難なヨーロッパのマイナー・レーベル盤が送料込みで15,000円なら御の字だ。
 届いたレコードは何故か「3 a.m.」とは違ってコーティング・ジャケットでもフリップバック仕様でもなく一瞬リイシュー盤をつかまされたのかと焦ったが、ジャケットも中袋も経年劣化でかなりくたびれているし、盤もフラット・ディスクの重量盤なので多分1st プレスで間違いなさそうだ。まぁこのレコードに限ったことではないが、本物と見分けがつかないほど精巧に作られたリイシュー盤の存在は私のようなオリジナル盤至上主義者にとっては迷惑以外の何物でもなく、特にデータの少ないヨーロッパ盤の場合は紛らわしいので要注意だ(>_<)
 中身の方はバリバリのハードバップ・ピアノトリオ。ベースがジーン・テイラー、ドラムスがルイ・ヘイズということで「3 a.m.」のダグ・ワトキンス+アート・テイラーという重量級リズム・セクションよりも格落ちな感は否めないが、リズムが軽めな分リーダーのアルヴァニタスが目立っており、まさに獅子奮迅といった感じでトリオをグイグイ引っ張っている。A①「カクテル・フォー・スリー」なんかその最たるもので、バド・パウエル直系のアップテンポで軽やかにスイングする気持ちの良いピアノトリオ・ジャズが愉しめる。A③「アルゴ・ブエノ」はディジー・ガレスピーの「ウッディン・ユー」のスペイン語タイトルで、A①同様にスピード感溢れる小気味よいピアノがスピーカーから飛び出してきて何とも言えない心地良さ(^.^)  つんのめるように滑って行く爽快感がたまらない。やっぱりピアノトリオはパウエル系がよろしいな...
Cocktail For Three - Georges Arvanitas

Algo Bueno


 B面に入ってもトリオの勢いは衰えず、ロリンズのB①「エアジン」でいきなりガツン!とやられる。ピアノ、ベース、ドラムスの三者が組んずほぐれつしながら疾走する様は痛快無比のカッコ良さだ。ミディアムでスイングするB②「ミーン・トゥ・ミー」で一息ついた後は再び急速調のB③「チューン・アップ」でアグレッシヴにガンガン攻めまくる。そしてラストはタイトル通りのブルース・フィーリング溢れる演奏が白眉のB④「ブルージー・ブルース」... トリオが一体となって生み出す圧倒的なグルーヴがめっちゃ気持ち良い(^o^)丿 センター・レーベルを見るとスピンドル・マークが盛大に付いていて高音域がビリつくところがあるのが玉にキズだが、それを差し引いてもこのド迫力サウンドを聴けば大枚を叩いて良かったぁ... と思ってしまう。ピアノ・トリオ・ジャズの鑑とでも言うべきアルヴァニタス盤を2枚とも手に入れることが出来てウッキウキなのだ(^.^)
Airegin - Georges Arvanitas

Bluesy Blues - Georges Arvanitas