shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Meet The Beatles

2016-10-29 | The Beatles
 一部の例外を除いて私はUS盤にあまり良い印象を持っていない。若い頃に聴いたキャピトル盤「ビートルズ’65」に入っていた「アイ・フィール・ファイン」と「シーズ・ア・ウーマン」の、まるで風呂場か教会の中で聞いているかのような過剰なエコーがかけられた音が気持ち悪くてトラウマになり、それ以来 “US盤は音が変!”(←音が “悪い” じゃなくて “変” としか言いようがない...)という偏見を抱きながら生きてきた。だから「マジカル・ミステリー・ツアー」「ヘイ・ジュード」「レット・イット・ビー」「アット・ザ・ハリウッド・ボウル」の4枚を除けばアナログのUS盤は1枚も持っていなかったし、CDで「キャピトル・ボックス」や「USボックス」が出た時も買おうという気は全く起こらなかった。
 そんな “キャピトル嫌い” の私でも、アメリカでのデビュー・アルバム「ミート・ザ・ビートルズ」にだけは一目置いていて、“一体どんな音してるんやろ???” と少なからぬ興味すら抱いていた。少し前に手に入れた同タイトルのオデオン赤盤が国内盤にしては結構生意気な音で鳴ったこともあって(←モノラル盤のくせに何故かモノ針よりもステレオ丸針の方がエエ音してたのが謎... 針との相性がシビアなのか?)、「ミート・ザ・ビートルズ」でも各国盤聴き比べをやってみようと思いついたのだ。
 私はエコーまみれの危険性が高いキャピトルのステレオ盤は絶対に要らんけど、モノラル盤なら大丈夫かも... と考えて軽~い気持ちでeBay検索してみたところ、なんとレインボー・レーベルだけでも150枚ぐらい出品されているではないか! さすがはアメリカ、規模が桁違いである。もちろん値段の方もピンキリで、下は $5 から上は $2,000 というからビックリなのだが、どうせ買うなら1stプレス盤を聴いてみたいというのが人情というもの。UK盤とは違いUSオリジナル盤に関しては何の知識もなかったのでネットで調べてみたところ、東海岸と西海岸のプレス工場によって盤やジャケットに様々なヴァリエーションがあるらしい。
 解説によると、表ジャケのBEATLESの文字色の微妙な違い(←ダークブラウン、タン、オリーヴグリーン...)だとか、裏ジャケ左下の produced by George Martin という表記の有無だとか、RIAAマーク横の数字だとか色んな要素が複雑に絡み合っており、US盤に何の思い入れも無い私としては面倒くさくてそこまで厳密にチェックする気にはなれない。
 そんな私でも簡単に見分けがつく識別法の一つがセンター・レーベル面の曲目表記で、キャピトル・レコードがビートルズ訪米前に何としても彼らのファースト・アルバムを発売しようと急いだがために曲の著作権管理会社が不明のままリリースされたので、各曲目の後にBMIや ASCAPといった表示が無いのが最初期プレスだというのだ(←ただしこれは東海岸プレスに限ったことだそうだが...)。なるほどね。このエピソードにコレクター心をくすぐられた私は、とりあえず BMI / ASCAP 表示の無い盤を探してみることにした。
 この " NO BMI/ASCAP"盤 というのは思いのほか少なくて、オークションに出ていたのはたったの4枚だったが、その中で一番安かった盤(←"first press no credits no BMI no ASCAP" と書いてある...)を$42 でゲット。盤質も良さそうだし他の3枚の値付けは$80~$150だったのでめっちゃ良い買い物をしたような気がする。
 収録曲は日本盤ともUK盤とも違うアメリカ独自のもので、大ヒット・シングル「抱きしめたい」に「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」(USでの B面)と「ジス・ボーイ」(UKでの B面)の2曲、更にUKにおけるその時点での最新アルバム「ウィズ・ザ・ビートルズ」からの9曲(←「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」以外はすべてオリジナル曲で、R&B色の強い残り5曲は「セカンド・アルバム」に回されたようだ...)を加えた全12曲という構成だ。
 レコード盤の材質も私が見慣れたUKパーロフォン盤よりもクオリティーが低そうなパリパリのビニールを使っているせいなのか、それともアメリカ人の音の好みの問題なのか、全体的に高域寄りのドライなサウンドになっている。乱暴な例えだが、CD黎明期のデジタル・サウンドっぽい音とでも言えばいいのか。もちろんキモいエコーなんかかかっていない(笑) 因みに東芝赤盤の方はまるでステレオ・マスターをモノラル化したかのようにこじんまりとまとまった感じに聞こえるが、基本的にはUS盤と同傾向の華やかなサウンドだ。
 一方UK盤「ウィズ・ザ・ビートルズ」で同じ曲を聴き比べてみると、さすがと言うべきか US盤や赤盤とは次元の違うダイナミックなサウンドに圧倒される。眼前にすっくと屹立するヴォーカルの存在感といい、音楽を前へ前へと押し進めていくリズム隊のドライヴ感といい、スピーカーから飛び出してくるハンドクラッピングの生々しさといい、“ビートルズはやっぱりこの音でなくっちゃ(^o^)丿” との思いを強くした次第。
 ということでUK盤には敵わなかったものの、今回買った「ミート・ザ・ビートルズ」も決して悪い音ではなかったので、私のUS盤に対する不信感も少しは払拭できたように思う。さすがにUK盤のようにモノラルとステレオで全部揃えようなどという気は全くないが、US盤「ミート・ザ・ビートルズ」を聴きながらNYのケネディ空港に降り立った4人に思いを馳せるのは大いにアリだと思った。 音そのものだけでなく “思い入れ” 一発で聴くレコードがあってもよいのではないかと思う今日この頃だ。
Meet The Beatles! 1964 MONO LP Full Side 1

Meet The Beatles! 1964 MONO LP Full Side 2

Help! / The Beatles【Shell Cover】

2016-10-22 | The Beatles
 前回の “エスキモー・カヴァー” に続いてゲットしたのが通称 “シェル・カヴァー” と呼ばれるオランダ盤「ヘルプ!」だ。ここのところ鎖を解き放たれた犬のような勢いで垂涎盤をガンガン買いまくっているのだが、よくよく考えてみれば私はレコード以外にはほとんどお金を使わない。酒も飲まないし洋服にも全くお金をかけない。海外旅行でもすればウン十万円が一気に飛んでいくことを考えると、この程度の散財で楽しく過ごせるのなら安いものだ。カード会社のCMキャッチコピーじゃないが、ビートルズのオリジナル盤を手にする喜び=priceless なんである。
 このアルバムはプロモーションの一環として1979年にオランダとスウェーデンのシェル石油従業員のために作られたもので、一般の店頭では販売されず、しかもわずか2,000枚しかプレスされなかった(オランダ・プレスとスウェーデン・プレスがそれぞれ1,000枚ずつ)という超稀少盤なのだ。
 しかしこのアルバムの真の魅力は稀少性にではなく、一にも二にもそのジャケット・デザインの素晴らしさにある。シェル石油のド派手な貝殻マークがビートルズの4人よりも遥かに目立っているのが笑えるが、ジャケット・デザインとして見た場合、なぜか実にしっくりくるから不思議なものだ。CD時代に入ってからは全世界統一規格になってしまったが、レコードの時代にはこのように国によって独自のデザインでリリースされることも多く、そのおかげで私のようなアナログ・コレクターは気に入ったデザインのジャケットを眺めながらビートルズを聴くという僥倖にあずかることができるのだ。
 「シェル・カヴァー」は再発カラーレコードやブートレッグ(リム周りのオランダ語の文言無し)の類はよく見かける(←約$30~$40)が、買うならやはり本物に限る。eBay にこのレコードが出ているのを見つけたのはちょうど “エスキモー・カヴァー” を落札して頭に血が上っていた時(笑)のこと。オランダ・オリジナル盤の中古市場での相場は大体 €200~€400というところなので15,000円前後で買えれば御の字なのだが、リザーヴなしの $1スタートということもあって残り3日でも表示価格は$41とまだまだ低く、ダメ元で $150スナイプを敢行したところ、何と$131で落札出来てビックリ(゜o゜)  終了3秒前にビッドして画面に緑色の数字が表示された瞬間のあの快感は一度味わうと病み付きになるが、今回のように予想よりも安く買えた時の喜びは格別なのだ。
 届いた盤は商品説明通りのNM盤で、ジャケットも盤もピッカピカだ(^o^)丿  シェルの貝殻マークの赤/黄の発色も実に鮮やかで、やっぱり本物はエエなぁ... と悦に入りながらレコードを取り出す。さすがに盤はペラペラで重さもたったの105gしかないが、70年代後半にプレスされたLPなんてそんなモンだろう。実際に聴いてみた感想を一言でいうと “入ってる音は全部出してしまおう” という感じの、まるでウチのガラード401がリンのLP12に変わったかのようなハイファイ志向の音作りで(←この手の音が好きなオーディオマニアをリン病と言うらしい...笑)、中低域の音が分厚い黄パロ盤とは全く異なる傾向のサウンドだ。何ていうか、音の細部までキメ細やかに再現されるような感じで、A②「ザ・ナイト・ビフォア」のキーボードやA⑥「ユア・ゴナ・ルーズ・ザット・ガール」のボンゴなど、隠し味的に使われている楽器の音までめっちゃクリアに再生されるのが新鮮だった。ただし、A⑦「ティケット・トゥ・ライド」で音揺れのようなものを感じるのは気のせいか。それともオランダ・パーロフォンのマスターテープがヘタってるのかな?? まぁこのレコードの場合、ジャケットがメインで盤はオマケみたいなモンなので大きな問題ではないのだが...
 ということで憧れの「エスキモー・カヴァー」に続いてついに「シェル・カヴァー」にまで手を出してしまった私。この前コレクター仲間と電話で話した時に “次はいよいよ金パロのステレオ盤ですか?” と言われたが、さすがにそれはない(笑)  「ブッチャー・カヴァー」も特に欲しいとは思わないので、この何ヶ月か続いた狂乱の “ビートルズ垂涎盤・爆買いフィーバー” も一段落、となりそうなものだが、果たしてどうなることやら...(^.^)

【おまけ】どうせならブッチャーなんかよりもこっち↓が欲しい... eBayで£1,500(20万円!)か... 宝くじでも当たったら買おうかな(笑)
The Beatles - Help (Parlophone 78 rpm / Indian Pressing - 1965)

The Beatles' Hottest Hits【Eskimo Cover】

2016-10-15 | The Beatles
 キタ━━━(゜∀゜)━━━!!!  いきなり冒頭から大コーフン状態で恐縮なのだが、ついにあの「エスキモー・カヴァー」を手に入れた(^o^)丿 6月に戦線に復帰して以来、「レット・イット・ビー」のボックスや「ヘイ・ジュード」のUKエクスポート盤のように “入手をほぼ諦めかけていた盤” を立て続けにゲット出来たので “もう一丁いったれ” と調子こいてビッドしたのだが、まさかビートルズLPコレクションの中でも最難関といわれる超稀少盤を取れるとは夢にも思わなんだ…(≧▽≦)  ということで今日は「エスキモー・カヴァー」入手の顛末を書いていきたい。
 ビートルズのレコードにはオリジナルLP以外にも、レコード・ジャケットに魅かれて欲しくなるような盤がいくつも存在する。世間でいうところの「〇〇カヴァー」というヤツだ。ビートルズに限らず私がアナログLPを好きな理由の第1はもちろんその音の良さにあるが、ただ音を楽しむだけではなく、素晴らしいデザインのジャケットを眺めながら聴くことによって感性が刺激され、より素晴らしい音楽体験ができるというのもレコードの大きな魅力だ。
 このように “ジャケットを聴く” という発想はアナログ・レコード・ファンに共通のものらしく、ジャケット・デザインが魅力的な盤はジャンルを問わず引っ張りだこの人気盤と化す傾向があるが、それがプレス枚数の少ない稀少盤となると更に競争は激しくなり、中古市場価格も怒涛の勢いでハネ上がってしまう。例えば通称「ホース・カヴァー」と呼ばれるフランス盤「Dans Leurs 14 Plus Grands Succes」なんか、内容的には普通のコンピレーション物なのにそのジャケット写真と色合いの素晴らしさのせいでコレクターに人気があり、だいたい£300~£500ぐらいの高値で取り引きされている。
 今回私が手に入れた「ビートルズ・ホッテスト・ヒッツ」はデンマーク・パーロフォンの独自編集によるコンピレーション盤で、そのジャケット写真からマニアの間で通称「エスキモー・カヴァー」と呼ばれているレコードだ。収録曲は上記のフランス盤「ホース・カヴァー」とUS盤「セカンド・アルバム」を足して2で割ったような感じで、ビートルズがアイドルとして最も輝いていた時期(←ちょうど「ウィズ・ザ・ビートルズ」と「フォー・セール」の間あたりか...)のLP未収録シングルAB面曲が並んでいて超お買い得だし、エスキモーの格好をしたビートルズをフィーチャーしたジャケット写真がとってもチャーミングで、ファンならもうそれだけで手元に置いておきたくなるような逸品だ。しかもわずか3,028枚だけしかプレスされず、どういうワケかリリース後2~3週間してすぐに回収され市場から姿を消してしまったということでコレクターの間で “幻の名盤” 化していることもあり、“ジャケット良し、選曲良し、レア度(?)良し” と三拍子揃った超人気盤になったというワケだ。
 このレコードがeBayに出品されているのを偶然見つけた時は “おぉ、「エスキモー・カヴァー」出とるやん... 欲しいなぁ...” と思っただけで、とてもじゃないが実際にビッドしようなんて考えもしなかった。しかし商品説明欄に“VERY LOUD PRESSING... RECORD PLAYS GREAT WITH THE MUSIC OVERPOWERING MOST CRACKLE... AND IS STILL VERY ENJOYABLE!! PLAYS MUCH BETTER THAN IT LOOKS!!!”(めっちゃデカい音で入ってるよ... 音圧が高く少々の傷なんて笑い飛ばしてしまうほどの大迫力サウンド... 楽しめること間違いなし!! 見た目よりもずっと良い音がするよ!!!) と書いてあるのを見て、 VERY LOUD PRESSING という言葉に敏感に反応してしまった(笑)というワケだ。
 更に“PLAYS SURPRISINGLY GREAT WITH LIGHT OCCASIONAL CRACKLE AND A COUPLE OF CLICKS”(時々軽いチリパチ音は入るけど、ビックリするくらいエエ音で鳴るよ)という補足説明はあるものの、盤自体のコンディション表記はVG-というコンサバ・グレーディングにしてくれたおかげで(←サンプルとして聴けるサウンド・クリップを聞いた限りでは全然OKで私なら迷わずVG+を付けるレベル)由緒正しいコレクター諸氏は敬遠する可能性が高い。ジャケット・コンディションもVG-~VGと自虐的なくらいの低評価なのだが、私の目から見れば50年前のレコードとしては平均的な部類に入る。それで美麗盤コレクターが撤退してくれれば、これはひょっとするとひょっとするかもしれない。私は体中のアドレナリンがドバーッと出まくるのを感じた(笑)
 オークション〆切はラッキーなことに祝日の午前6時過ぎということで、当日は早朝の5時半ぐらいから起きてスナイプに備えたのだが、待ってる間に為替レートを見てみると何と前日の103円から3円近く下がって100円台に突入しているではないか! 国際経済で何があったのかは知らないが、私はこの急な円高で一気に眠気が吹き飛んだ(笑) まさに天は我に味方せり、である。結局スナイプは無事成功し、夢にまで見た垂涎盤を$300で手に入れることが出来た。因みにユニオンでの買い取り価格は14万円(!)とのことなので、送料込みでも3万円少々でゲットできたというのは大ラッキーと言えるだろう\(^o^)/
 届いたレコードは看板に偽りナシのラウドカット盤(もちろんモノラル!)で、強烈無比なエネルギーの塊が鼓膜をビンビン直撃する。それは爆音好きの私でも思わずのけぞってしまうほどの凄まじさで、まるでビートルズのロックンロールを風圧で身体に浴びているような感覚だ。もちろん哀愁舞い散る「ディス・ボーイ」にも涙ちょちょぎれるが、やっぱり初期ビートルズは「シー・ラヴズ・ユー」や「ロング・トール・サリー」のような疾走系ロックンロールをドデカい音で聴くのが最高だ。「シーズ・ア・ウーマン」のイントロのギターが切っ先鋭いナイフのように耳に突き刺さってくるし、「マッチボックス」のリンゴのヴォーカルがこんなに不良っぽく聞こえたのは初めてだ。ジャケットも十分良い状態で、“思い切って買ってよかったぁー(^o^)丿” とルンルン気分だ。
 このレコード以外にもここのところビートルズのアナログ盤をガンガン買いまくっているので来月のカード支払い日がちょっとコワいが、気にしたら負け(笑)と自分に言い聞かせている。私にとってビートルズのレコードは一生モノであり、これからもずーっとこの盤を聴いていけると考えれば安い買い物だったと言えるだろう。

シェア・スタジアム公演の私的名場面特集

2016-10-10 | The Beatles
 映画の封切り以降、週末の夜になると橿原くんだりまでのこのこ出かけて行って映画館の大画面で躍動するビートルズを堪能している。昨日で計3回観たことになる(笑)のだが、この映画は何度観ても新しい発見があって全然飽きない(^o^)丿 ということで今日は「エイト・デイズ・ア・ウィーク」のスピンオフ企画としてシェア・スタジアム公演映像の中から個人的に強く印象に残っている名(迷?)場面を特集してみようと思う。

①私が初めてシェア・スタジアムのライヴ映像を観た時に一番印象に残ったのが「アイム・ダウン」で嬉々として右肘でオルガンをグリグリ弾きまくるジョンの姿で、今でもこのシーンがシェア・スタジアムのハイライトだと思っている。 “見て見て!”みたいな感じでジョージにちょっかいを出すジョンの底抜けに楽しそうな表情が最高だ。


②「ア・ハード・デイズ・ナイト」にはジョンからポールへとヴォーカルが入れ替わるパート(←“ウェナンホ~♪” のところ)が2ヶ所あるのだが、シェア・スタジアム・ライヴではその2回とも自分のパートを歌い終わったジョンが “ハイ、次ポール!” みたいな感じで右手で合図するシーン(←2回目はジョンの左足にも注目!)がバッチリ映っている。ホンマにさり気ない動作なのだが、ファンとしては何度観ても萌えてしまう名シーンだ(≧▽≦) 


③ビートルズのライヴは “絵になる” シーンが満載だが、そんな中でも私が “く~ッ、たまらん!!!” と萌えてしまうのがジョンとポールが顔を近づけて1本のマイクでハモるところ。シェア・スタジアム・ライヴでは「ティケット・トゥ・ライド」と「ベイビーズ・イン・ブラック」の2曲でこれが観れるのだが、マイクを挟んでの2人のドアップが映画館の大画面に映し出された時のゾクゾク感がたまらない(≧▽≦)  それにしてもこの頃はまだ2人ともホンマに楽しそうやなぁ...


④「ティケット・トゥ・ライド」の曲紹介でポールが“1つ前に出たレコードからの曲” と言いながら時を遡るようなしぐさで腕を回すとすかさずジョンが茶目っ気たっぷりにそのしぐさを真似るシーンがあるが、この時期の二人の仲の良さを如実に物語るようなツー・ショットに心が和む。こういうシーンがあるから、数あるビートルズ・ライヴ映像の中でもこのシェア・スタジアムが私的№1なのだ。


⑤「ヘルプ!」の曲紹介の時にポールがふざけて場内のブーイング(←制止を振り切りステージに向かってダッシュした少女を警備員が取り押さえたことに対するものらしい...)を真似て“Boo... boo...” とやった時(←当然ながら映画ではバッサリとカットされてたけど...)、慌ててジョンが駆け寄ってきて“オマエ、アタマ大丈夫か?” みたいな表情をするところは必見! ヘラヘラして上機嫌だったジョンがこの日で唯一真顔を見せた貴重なシーンだ。


【番外編】史上初の野球場コンサートということでこの日のカメラはステージだけではなく観客席の様子も克明に捉えており様々な人達が画面に映っているが、一番インパクトがあったのが「ヘルプ!」のリズムに合わせてノリまくる陽気な兄ちゃんだ。まるで身体が勝手に動いてしまうといわんばかりの盛り上がり様は見ているこっちまでウキウキした気分になってくる。又、彼に続いてカメラが捉えた母娘の姿も絶叫/失神する女の子たちの中でひときわ異彩を放っており、まるで “あれがビートルズよ。ステキでしょ?” と娘に話しかけているかのようなママさんとビートルズよりもアイスが気になって仕方がない少女のあどけない表情のコントラストが妙に印象に残るのだ。


 ココに上げた以外にも、“ステージ袖で首を振りながら上機嫌で演奏を聴いているエプスタイン”や“ハイになってるジョンの意味不明なデタラメMC”、“莫大なお金をかけて地球の反対側から今夜のために連れてきました... とリンゴを紹介するポール(←珍獣かよ!)”、“まるでアメフトのようにステージに向かって全力疾走するファンと警備員の追いかけっこ”など、とにかく見どころツッコミどころ満載のこのライヴ映像、まだ見てない人は急いで映画館へGO!!!

「エイト・デイズ・ア・ウィーク」を観に行ってきた(^o^)丿

2016-10-02 | The Beatles
 映画「エイト・デイズ・ア・ウィーク」を観に行ってきた。特典のロゴ入りコットンバッグが欲しかったので前売り券を買おうと思ったらムビチケカードとかいうワケの分からん予約システムになっていて面食らったが(←映画館で映画を観るなんて何十年ぶり???)何とかクリアして、奈良県でこの映画を観れる唯一の映画館であるTOHOシネマズ橿原まで出かけて行った。
 上映時間は朝一かレイトショーかの2択だったので迷わず夜の部を選択したため夜の渋滞にハマったが何とか1時間で到着、上映開始までまだ30分もあったので同じ階のヴィレッジ・ヴァンガードに時間つぶしに入ったら奥の方に海外雑貨のコーナーがあり、そこでマジカル・ミステリー・ツアーのキーホルダーを見つけ衝動買い(笑)、680円と安くゲットできたので映画に向けてテンション↑だ(^o^)丿 そろそろ上映時間が迫ってきたのでビレバンを出て映画館に戻る。それにしてもイオンモールの一角にあるこのTOHOシネマズ橿原ってだだっ広いフードコートみたいなスペースの一角にあって、私の知っている昔ながらの “映画館” のイメージとはかけ離れている。何だかどんどん時代に取り残されていくようだ(笑) ゲートを入って通路を進み、目指すSCREEN 8へと向かう。予約しておいたのはD9というど真ん中の席で、通路で前が広く開いており思い切り足を延ばせてラクチンだ。
 映画開始から最初の10分ほどクソしょーもない宣伝の連続攻撃に耐えた後(←“DVDやったらこんなん全部スッ飛ばせるのに...”と思いながら見てた...)いよいよ本編がスタート、やっぱり映画館の大画面で観るビートルズは迫力があってエエわ(^.^)  ということで、とりあえず映画を観た感想をいくつか書いてみようと思う。

・この映画には色んな人のインタビューが出てきたが、私的にはエンタープライズのガイナンこと、ウーピー・ゴールドバーグの “彼らが現れて世界が突然輝いた...” というビートルズ愛溢れるコメントが嬉しかった。彼女のお母さんがお金を工面してサプライズでシェア・スタジアム公演のチケットを買っておいてくれたというエピソードもエエ話や…
Whoopi Goldberg's Favorite Beatles Memory: Eight Days A Week – The Touring Years • Hulu


・サッカー・スタジアムでリヴァプールFCファンの大観衆が合唱する「シー・ラヴズ・ユー」はもう鳥肌モノ。見渡す限り男、男、男で、女の子たちの黄色い嬌声に慣れている耳には野郎どもの野太い声で歌われるビートルズはある意味めっちゃ新鮮に響く。映画の中で “ビートルズはサッカーの優勝チームと同じ” とコステロが言っていたが、イギリス人にとってプレミア・リーグとビートルズってホンマに特別な存在なんやなぁと改めて実感させられる映像だ。
She loves you - by Boys of Liverpool's Kop curve (1964)


・観客の肌の色によって座席を分けていたフロリダ・ジャクソンビルのゲイター・ボウルという会場での演奏を “受け入れがたい”“馬鹿げてる” と言ってビートルズが断固拒否した話のパートは多分ロン・ハワード監督がこの映画の中で一番伝えたかったエピソードの一つだろう。エプスタインは大変だったろうが、筋の通らないことには絶対に迎合しないビートルズがカッコエエわ!
How The Beatles Fought Segregation: Eight Days A Week – The Touring Years • Hulu


・63年マンチェスターABCシネマ公演の映像にハリウッド・ボウル・ライヴのリマスター音声を被せてあるのを聞いて、やっぱり今回のCD発売は77年LPの初CD化というよりは映画のサントラとしての意味合いが濃いんやなぁと再認識させられた。最後のシェア・スタジアムのエンド・ロールのバックもハリウッド・ボウルの「シーズ・ア・ウーマン」だったし、まずは映画ありきのリマスターだったということ。ファンとしてはこの調子で「ザ・スタジオ・イヤーズ」みたいな続編もお願いしたいものだ。

・エルヴィス・コステロが “「ラバー・ソウル」を初めて聴いた時、「抱きしめたい」とは別世界のあまりの変わりようについていけず好きになれなかったが、6週間後には病み付きになっていた...” と言うのを聴いて大いに納得。当時のティーンエイジャーにとってあの変化は衝撃的やったやろな...

・66年ドイツでの記者会見でビートルズに向かって「偉そうですよね」としつこく聞いてくる女ジャーナリストに胸糞が悪くなったが、“悪質な質問に良い反応は出来ない。当然の反応だ。” というポールの見事な切り返しに会場全体から拍手が起こったシーンは痛快だった(^.^)  洋の東西を問わずマスコミってホンマに最低の人種やな...
THE BEATLES: EIGHT DAYS A WEEK - Horrid Snobby - Yours to own now


・武道館公演のパートでは写真家の浅井慎平氏のインタビューが流れたのだが、この人の日本語自体が意味不明でハッキリ言って何を言ってるのかサッパリ分からなかった。まともな日本語を喋る人間連れてこいよ、ホンマに。それにしてもこの部分の英語字幕スーパーを作った人はさぞかし大変やったやろな...
THE BEATLES: EIGHT DAYS A WEEK - The Beatles In Japan - Yours to own on now


・その武道館公演は6/30のブラック・スーツ・デイの演奏(←「ノーウェア・マン」)が使われていたのだが、何故か画質がイマイチで、3ヶ月前に手に入れたHMC版を見慣れている自分には???だった。

・映画のサブ・タイトルが「ザ・ツアリング・イヤーズ」だったこともあってキャンドルスティク・パーク公演のシーンの後、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」の“ガ~ン!”でてっきり映画が終わるのかと思ったが、何とその後にルーフトップ・コンサートから「ドント・レット・ミー・ダウン」と「アイヴ・ガット・ア・フィーリング」2曲メドレーの嬉しいサプライズ! しかも別アングルっぽい映像だ。これは「レット・イット・ビー」オフィシャルDVD発売への布石なのか... とますます期待は膨らむばかりだ。

・映画本編が終わってエンドロールが流れている間も、ビートルズがイギリスのファンクラブ会員向けに配布していたソノシートの63年クリスマス・メッセージが聞けたので全然退屈しなかった。
The Beatles - Christmas Record 1963


・本編終了後すぐに4Kリマスター編集されたシェア・スタジアム公演が始まるが、さすがに最新テクノロジーを使ってデジタル・レストアされているだけあって映画館の大画面で見ても十分楽しめるキレイな映像で、視覚的には大満足だ。“劇場限定” だなんてセコイこと言わずにこの映画のブルーレイ/DVD発売時に “デラックス・エディション” でも何でもエエからボーナス・ディスクとして付けてほしいと思った。

・ただし音声トラックに関しては編集意図がイマイチ良く分からない謎ミックスだった。差し替えだらけのオリジナル映画のヴァージョンを使うのか、ネイキッドな生音をベースにしたヴァージョンなのか、コレを観る前から興味津々だったので、「アクト・ナチュラリー」と「ヘルプ」に注目していたが(←もっと素直に映画を楽しまなアカンよな...)、いきなり「ツイスト・アンド・シャウト」からヴォーカル・トラックがレコードのものに差し替えてあってビックリ。他の曲も色々いじってあるみたいで色々と分析するだけで思いっ切り疲れそうなので、何も考えずに大画面に映るビートルズを鑑賞することにした。

 とまぁ思いつくままに列挙してみたが、ライヴ映像がメインになるのではという私の予想とは正反対の “裏アンソロジー” 的な編集になっており、初めて見る映像が満載の興味深い映画だった。大コーフン状態で家に帰り、真夜中にもかかわらずHMCシェア・スタジアムのブルーレイを観始めたのだが、同じ映像をほんの1時間前に映画館の巨大スクリーンで観たせいか家庭用46インチTVで観ても気の抜けたコーラを飲んでるみたいで全然物足りない。映画館でやってるうちにもう1回観に行くことにしよう。
The Beatles: Eight Days A Week – The Touring Years Trailer 2 • Hulu