shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Led ZeppelinⅡ

2018-06-23 | Led Zeppelin
 “レッド・ゼッペリン・オリジナル盤祭り” の第2弾は彼らの人気を決定づけたセカンド・アルバム「Led Zeppelin Ⅱ」だ。私が彼らのオリジナル盤を買い始めたのはもう15年ほど前のことで、ちょうどビートルズ関連の盤を一通り UK盤で手に入れ、次のターゲットとなったのが他でもないレッド・ゼッペリンだった。当時は “ゼップはイギリスのバンドやからUK盤が一番音がエエやろ...” という考え方に何の疑問も抱かずに、eBay で状態の良い UK 1stプレス盤をコツコツと落としていった。
 今持っている「Led Zeppelin Ⅱ」の UK盤もその時買った1枚で、£15という今では考えられないような安い値段で手に入れることができた。もちろん red/plumレーベルでマトリクスは A▽2 / B▽2、レーベル面でB②の曲名が「Living Loving Wreck」とミス表記されており(←パープルの曲とごっちゃになっとるやん...)、A③「The Lemon Song」のクレジットがちゃーんと“Page/Bonham/Plant/Jones” になっているという、真正1stプレスである。当時はまだゼップの初回盤識別法を知らずにセラーの説明を鵜呑みにして買っていたので、本物の 1stプレス盤を獲れたのは今にして思えばラッキー以外の何物でもなかった。
 で、“どんな凄い音がするんやろ?” とワクワクしながら届いた盤を聴いてみたところ、これぞブリティッシュ・ロック!!!という感じの重厚で深みのある骨太な音が聴けて大感激(^o^)丿 中でも目からウロコだったのがジョーンジーのベース・サウンドで、ザ・フーのジョン・エントウィッスルを想わせるヘヴィーなベースがうねりまくるのを聴いて “ジョーンジーって地味な存在やと思っとったけどこんなに巧かったんや... (≧▽≦)” と彼の凄さを再認識したものだったし、ボンゾの爆裂ドラミングの凄まじさにも大袈裟ではなく腰が抜けそうになり、ビートルズに次いでゼップでも私のオリジナル盤志向に拍車がかかっていった。
 そんなこんなでゼップの「Ⅱ」に関してはコレで決まり!と思っていたのだが、今から5年ほど前に Kentの HPでブートを物色していた時に「Led Zeppelin Ⅱ RL Cutting Edition」というタイトルのCDを目にし、“RL” って何やろ???と思いながらインフォを読んでみると次のようなことが書いてあった。抜粋すると “近年注目され人気が高騰しているのがマトリックス部分に『RL』刻印がある米初版...『RL』盤とは Robert Ludwig によるカッティングされた「Ⅱ」のことで、ゼップの最大の魅力であるデカイ音にこだわってカッティングされたレコード... しかもデカイだけではなく、心地よくズ太い低音、奥行きのある音... 例えば1曲目の「Whole Lotta Love 」でギターにベースが絡んできた途端に今までの「Ⅱ」は何だったのか!と思わせる爆音が右へ左へ後ろへ前へと暴れまくる... そのこだわりのカッテイングの為に針飛びが頻発し、はかなくも回収の憂き目にあったという... 現在入手するにはオークションで覚悟を決めるか、中古盤屋さんを探しても100枚に1枚あるかどうか?といった確率の稀少盤で、ジミー・ペイジ氏からも“素晴らしい音質” ということで帰国後にリクエストされた程の高音質盤。” とのこと。え?それって「ラバー・ソウル」のラウドカット盤と同じやん... これはエライコッチャである。
 私はすぐにこのブートCDを購入して実際に聴いてみたところ、確かに豪快な音でゼップの破天荒なエネルギーが手持ちのリマスターCDよりもダイレクトに伝わってくる感じがして超気持ちイイ。とにかく熱いのだ! “針起こし”CDでこれやったらオリジナルのアナログ盤はもっと凄いんちゃうか... と考えた私は早速 eBayで検索、驚いたことに “Led Zeppelin Ⅱ RL”やら“Led Zeppelin Ⅱ Ludwig”、はたまた“Led Zeppelin Ⅱ Hot Mix” といったタイトルで何枚かアップされており、そのどれもが他のノーマル・ミックス盤よりも高値でビッドが集中している。
 私は以前スティーヴ・ホフマンのフォーラムでゼップのUS盤の音質はプレス工場によってかなり差があると書いてあったのを思い出し、改めて確認すると「RL」盤に関しては PR(プレズウェル)プレスが一番音が良いとのことだったので、インフォにあったように “覚悟を決めて” 入札し、何とか $82で落札!!! 手に入れた盤はマト末尾が A の最初期プレスで、いやが上にも期待が高まる。
 実際に聴いてみるとフォーラムのレポート通りの凄まじいサウンドで、スピーカーから怒涛の勢いで飛び出してくる音のダイナミズムに圧倒される(≧▽≦)  こんなごっつい音が $82で聴けるのだから、私にとってこの「RL」盤は安い買い物だったと言えるだろう。巨匠ボブ・ラドウィッグの最高傑作と言っても過言ではないこの盤は UK初回盤と十分にタメを張れる、いや、凌駕しているとさえ言っても過言ではない轟音盤だった。
 ということで何枚かある手持ちの「Led Zeppelin Ⅱ」では、音の深さとベースの重さ が際立つ UK初回盤と、絵に描いたようなラウドカットでパンチのある音が快感を呼ぶ RLカッティングのPRプレス US盤の2枚が最強、という結論に達した。因みに現在 Discogsには “RLカッティングの白プロモ” とかいう空恐ろしい盤が1枚出ているのだが、さすがに €1,000(132,000円)では手も足も出ませんわ(>_<)
Mastering Shootout: The Mighty Blimp II - A Six Version Throwdown

George Wallington Quintet at the Bohemia

2018-06-16 | Jazz
 先日、仕事の関係で久々に神戸に行く機会があった。仕事といってもただクライアントを三宮まで連れて行き、用事が済めば連れて帰ってくるだけというラクチンなミッションで、しかもありがたいことに3時間ほどの自由時間があったので、これ幸いとばかりにレコ屋巡りをすることにした。
 神戸のレコ屋と言えば何はさておきハックルベリーである。このお店では過去に何度も掘り出し物を見つけてオイシイ思いをしているし、値段設定も極めて良心的なので秘かに期待していたのだが、残念ながら今回は目ぼしいブツは無し。以前と比べると店内在庫における国内盤の比率が高くなっているようだ。やはり今の時代、オリジナル盤が欲しければネットオークションで手に入れるしかないのだろうか?
 一番期待していたハックルベリーで収穫が無かったので、他に予定していたワイルドハニーパイやりずむぼっくすも多分アカンのちゃうかという不安が頭をよぎる。脚を棒にして雨の中を歩き回って収穫ゼロではやりきれない。しかし時間はまだ2時間ほど残っている。そこで “ほんならいっそのこと梅田まで足を延ばしてディスクユニオン行ったろか...” という大胆なアイデア(笑)が思い浮かんだ。もし何かのアクシデントがあって2時間以内に戻ってこれなければエライことになるが(←一応仕事で来てるのでね...)不測の事態が起きなければ往復1時間半を差し引いてもギリギリ間に合う計算だ。ユニオン行ったら何かあるんちゃうか... という直感に背中を押されるように私は梅田行きの特急に飛び乗った。
 電車を降りて降りしきる雨の中を急ぎ足で歩き、ディスクユニオン大阪店に到着。最近ネットでしかレコードを買ってないのでここにくるのはホンマに久しぶりだ。まずビートルズのコーナーに直行するが、ハッキリ言ってロクなものがない。稀少盤は“ビートルズ廃盤セール”のために取ってあるんかな... などと考えながら他のロックの棚も見てみたがやはりダメ(>_<)  せっかく梅田くんだりまで来たのに収穫なしか... と半ば諦めモードに入りなりながら、最後に一番奥のジャズのコーナーに足を踏み入れた。
 壁にはマイルスの「クッキン」やガーランドの「グルーヴィー」といったモダンジャズのオリジナル盤が所狭しと飾られており、 “ネットの時代になってもやっぱりユニオンだけはオリジナル盤天国やなぁ...” などと感心していたのだが、そんな中の1枚に私の目は釘付けになってしまった。それが「ジョージ・ウォーリントン・クインテット・アット・ザ・ボヘミア」で、もちろん赤白プログレッシヴ・レーベルのオリジナル盤。ずーっと欲しかったけど値段が高くて手が出なかったこのレコードが何と44,000円の値札を付けて目の前の壁に掛かっているのだ!
 ウォーリントンの「ボヘミア」はプログレッシヴというマイナー・レーベルのせいで “幻の名盤” 扱いされており、EX盤ならeBayで $500以上、ヤフオクでも7万円前後で取り引きされている超稀少盤である。ネットオークションにはだいたい年に数回ぐらいの頻度で出品されており、そのたびにウォッチリストに入れてはみるものの、ラスト数分のビッドの応酬による値段の爆上げに毎回戦意喪失して苦汁をなめ続けてきた恨めしい盤なのだ。そんな垂涎盤が今、“私を手に取って! ” とばかりに抗しがたいオーラを放ちながら誘惑してくるのだからこれでコーフンしない方がおかしい。
 状態は“中古品B”で、“ジャケ傷み、盤スレキズ(チリノイズ箇所有り)”となっているが、ジャケットの方は右上隅の部分がわずかに傷んでいるぐらいで全く気にならない。問題は盤質、それも見た目のヴィジュアル・グレードではなく実際に音を鳴らした時のプレイ・グレードだ。私はチリノイズの程度を知りたかったので早速試聴コーナーで盤質をチェック。確かにそこかしこに軽いスリキズはあるが、実際に聴いてみると微かにチリパチいう程度で、一般的なコンディション表記なら VG++ か EX− といったところ。先月ゼップの青ロゴ盤を購入して緊縮財政を余儀なくされてはいるものの、この千載一遇のチャンスを逃せば次は無いかもと考えた私は “カード2回払い” という伝家の宝刀を抜き(←手数料ゼロやもんね...)、ついにこのレコードを手に入れることができた。リスクを冒して梅田まで来た甲斐があったというものだ(^.^)
 その日の晩、ルンルン気分で仕事を済ませて帰宅した私は、シャワーも晩メシも後回しでレコードをターンテーブルに乗せた。スピーカーから飛び出してきたサウンドは、さすがはルディ・ヴァンゲルダー録音!と言いたくなるような野太い音で、ユニオンの試聴用ヘッドフォンでは気付かなかった中低域の張り出しがライヴ会場にいるようなリアリティーを感じさせてくれる。とにかく今まで聴いてきたCDの「ボヘミア」とは激しく一線を画す、臨場感溢れるダイナミックなサウンドが気持ち良くて、これなら44,000円の価値は十分にあると思った。
 このレコードの一番の魅力は何と言ってもジャッキー・マクリーンのせっつくようなアルトのプレイだろう。中でも特に気に入っているのがB②の「ジェイ・マックス・クリブ」で、原曲の「朝日のように爽やかに」を絶妙にひねった旋律を “ペック奏法” で一気呵成に吹き切るその哀愁舞い散るプレイに涙ちょちょぎれる。続くB③「ボヘミア・アフター・ダーク」でドナルド・バードと繰り広げる二管ジャズのお手本のようなノリノリのプレイも聴き応え十分! ソニー・クラークの「クール・ストラッティン」と同じく、マクリーンの存在こそがこのレコードをハードバップの名盤たらしめているのだ。
 このレコードはブルーを基調としたジャケットも素晴らしく、ワシントン広場の凱旋門の下にクインテットのメンバーが佇んでいる写真が雰囲気抜群だ。見ただけで音が聞こえてきそうなジャケットとはこういうのを言うのだろう。ウォーリントンの顔のアップ写真(←それも目ぇ瞑っとるで...)を使った初CD化時のジャケは私的にはNGだ。モダン・ジャズのオリジナル盤は色使いや構図も含めてジャケット・アートとして愉しめるところが良いのであり、オリジナル・デザインを改悪したり差し替えたりした再発盤の偽物ジャケは作品に対する冒涜以外の何物でもない。
 ウォーリントンの代表作というとプレスティッジの「ジャズ・フォー・ザ・キャリッジ・トレード」を挙げているジャズ・ガイド本が多いように思うが、お上品なウエストコースト・ジャズみたいにカチッとまとまったアンサンブルが鼻につく「キャリッジ・トレード」なんかよりもライヴの熱気溢れるこの「ボヘミア」の方が断然カッコ良いと思う。ジャズはハードバップ、そしてハードバップは “熱盛!” に限るのである。
George Wallington Quintet at the Cafe Bohemia - Jay Mac's Crib

George Wallington Quintet at the Cafe Bohemia - Bohemia After Dark

Led ZeppelinⅠ ~UK 1stプレスと2ndプレスの聴き比べ~

2018-06-09 | Led Zeppelin
 私は昔から何事においても“広く浅く”というのが無理で好き嫌いがハッキリしており、興味の対象はひたすら “狭く深く...” というワケで、一度ハマったら自分が納得するまで徹底的に極めないと気がすまない。約2年間にわたるビートルズ各国盤祭りが一段落し、今はレッド・ゼッペリン・オリジナル盤祭りで一人盛り上がっている。先日もスーパーで買い物をしていてたまたま「ZEPPINカレー」のパッケージが目に入り、思わずドキリとしてしまった(笑) そーいえば昔JBLのスピーカーが欲しくて欲しくてたまらなかった時に街を歩いていてJCBカードの看板を見て同じようにコーフンしていた記憶があるが、あの頃から全然進歩してへんな...(>_<)
 そんなこんなでゼップの青ロゴ盤を買った話の続きである。出品者が日本のセラーだったこともあってわずか2日で到着。ドキドキしながら梱包を解き、そーっとレコードを取り出すとまごうことなき青ロゴ盤だ(←当たり前やろ!)。高嶺の花と諦めていた青ロゴ盤の本物を実際に目にしただけで一気にテンションはMAXまで急上昇! これってどんな音がするんやろか... と思うともういてもたってもいられなくなる。確かにジャケ左下のウォーター・ダメージは痛々しいが、金パロや青ロゴ・クラスのオリジナル盤ともなるとこれはもう一種の美術品であり、腕の無いミロのヴィーナスがそれでもなお素晴らしいのと同様に、多少のダメージがあろうが十分に価値がある。しかもこのレコードの場合はジャケットはダメージ有りでも盤質は素晴らしく、それはつまり無修正マトの真正オリジナル盤を良い音で聴けるということを意味しているのだ。
 レーベルは Red/Plum で、レーベル面のソング・クレジット表記はAB両面共に“Superhype Music” と “Jewel Music”。マトリクス№は “588171 A//1” と “588171 B//1”だ。これが2ndプレス盤になるとソング・クレジット表記が“Superhype Music”から“Warner Bros./7. Arts.” へと変わり、機械打ちのマト番 “588171” の8が斜線で消されてその上に手書きで 8 と修正される。こういった重箱の隅をつつくような分析はビートルズやモダンジャズのオリジナル盤で何百回とやってきたので慣れてはいるが、大雑把な性格の私の私としては “青ロゴ・ジャケでエエ音が聴ければそれでエエやん!” というのが正直なところだ(笑)
 で、その音質だがこれがもう予想を遥かに上回る素晴らしさ!!!!! あまりの凄さに思わず ! を5つも並べてしまったが、とにかく音が生々しくて4人のプレイがキレッキレなのだ。A①「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」のイントロでボンゾのドラムスが超近距離で爆裂する快感を何と表現しよう? ジョーンジーの地を這うようなベースも腹にズンズンきてめっちゃ気持ちいい(^o^)丿 A②「ベイブ・アイム・ゴナ・リーヴ・ユー」ではこれまで聴いたことがない類の深みのある音に驚かされたし(←おそらくこのトラックが最も違いが分かりやすいと思う...)、A③「ユー・シュック・ミー」のグルーヴも大きなうねりとなって纏わりついてくる感じだ。A④「デイズド・アンド・コンフューズド」のイントロのベースなんてもう生々しすぎてゾクゾクしてしまうし、バンドが一体となって疾走する後半部のパートなんかもう鳥肌モノだ。
 濃厚一発官能二発という感じのA面を聴き終わり早くも放心状態の私(笑)  そのせいかB面前半はA面の衝撃を引きずっていて印象が薄いが、B③「コミュニケイション・ブレイクダウン」の破天荒なプレイでまたまたガツン!とやられて目が覚める。切っ先鋭いナイフのようなペイジのギターが超カッコイイ、まさに “火の玉ストレート” と呼ぶしかないゴリゴリのハードロックだ。続くB④「アイ・キャント・クイット・ユー・ベイビー」のブルージーなプレイもグイグイ迫ってくる感じで涙ちょちょぎれるし、私的ベスト・トラックB⑤「ハウ・メニー・モア・タイムズ」でゴムまりのように弾むジョーンジーのベースと縦横無尽に駆け巡るペイジのギター、楽器と化して(?)シャウトするプラントの金属的なハイトーン・ヴォイス、そしてそんなフロントの3人を煽りまくるボンゾの超強力爆裂ドラムが一体となって生み出す圧倒的なグルーヴの前には言葉を失う。この爆発的なエネルギーの奔流を大音量で全身に浴びる快感... priceless (≧▽≦)
 試しに修正マトリクスのUK 2ndプレス(←昔 $53で買ったヤツ)と聴き比べてみたのだが、青ロゴ無修正マトの 1stプレス盤の方が中域が分厚く低域も下の下の方まで出ており、眼前に屹立する音像が大きくて近い。このように音の重心が低くてリアルに迫ってくる 1stプレス盤に対し、2ndプレス盤になるとこのアルバムのキモである泥臭さは一歩も二歩も後退し、その分万人向けに聴きやすくなっているような印象を受けた。2ndプレス単体で聴けばこれはこれで十分に良い音なのだが、青ロゴ盤は他では味わえないリアリティーを誇るダイナミックなサウンドで、正直こんなに違いがあるとは思わなかった。
 とにかくこの音は一日中繰り返し聴いていても飽きない自信がある(←届いた日だけで5回も聴いてしまった...笑)。そんなスーパーウルトラ高音質盤が8万円を切る値段で手に入ったのだからもう嬉しくて嬉しくてたまらない。一生モノのお宝としてこれから大切に聴いていきたいと思う。
Led Zeppelin - I - 1969 LP Review And Comparison What Version Is The Best

Led ZeppelinⅠ【Turquoise Logo】

2018-06-02 | Led Zeppelin
 “緊急報告” である。あろうことか、貧乏コレクターの私がレッド・ゼッペリン UK ファースト・アルバムのターコイズ・ロゴ、通称 “青ロゴ盤” を買ってしまったのだ。しかもマトリクス無修正の最初期ファースト・プレスである。これは私にとってビートルズの金パロ以来の大きな買い物であり、猟盤の備忘録である当ブログに書かないワケにはいかない。
 実を言うと今年に入ってから LH ギフトの「ハウ・ザ・ウエスト・ワズ・リダン 2018 リマスター」をきっかけにゼップ熱が再燃し、先月まで手当たり次第にライヴ・ブートを買い漁っていたのだが、それも一段落して次なるターゲットとして浮上してきたのが未入手の 1stプレス盤だ。実を言うとゼップの LP に関しては UK 盤で一通り持ってはいたが、そのうちの約半分は 2ndプレスでお茶を濁していたし、彼らの場合ビートルズとは違って US 盤の音も侮れないので、今回は気合いを入れて英米両方の盤での完全制覇を狙うことにした。
 そこで私がまず目を付けたのが最難関である UK 1stプレスの「レッド・ゼッペリンⅠ」ターコイズ・ロゴ盤だった。いきなり本丸を攻めて敵(?)の大将を狙うという、実に大胆不敵というか、無謀な作戦である。早速 Discogsを見てみると10アイテム出品されており、“約2000枚しかプレスされなかった... ” なんて通説は絶対にデタラメやろ!と思ってしまう。ビックリしたのがその価格で、最安でも $2,000(約22万円)、最高値の盤になるとミント・コンディションとはいえ €11,000(約145万円)という現実離れした値段が付けられており、ハッキリ言って論外だ。
 eBayを見ると「ジャケットは青ロゴで盤は修正マトリクスの 2ndプレス」という中途半端な組み合わせのアイテムが出ていたが、「修正マト 2ndプレス」の盤自体は既にオレンジ・ロゴのジャケットで持っているので、いくら青ロゴとはいえさすがにジャケットだけのために何万円も出す気にはなれない。それでも結局終わってみれば12万円近い落札価格なのだから青ロゴの神通力は凄まじい。
 そしてその1週間ほど後に、今度は「青ロゴジャケ+無修正マトリクス」という正真正銘の 1stプレス盤が出品されたのだが、惜しいことにA面で1か所針飛びするとのこと。私は試しに£350という腰の引けた額(笑)で入札してみたが軽くアウトビッドされ、あえなく撃沈。こんな針飛び盤ですら結局£520(約8万円)で落札されたのだから青ロゴ恐るべしである。まぁ盤もジャケットもそれなりの状態ならディスクユニオンでの買い取り価格が18万円とのことなので、最低でも20万円以上出さないとまともな盤は買えないのかもしれない。
 そんなこんなで “やっぱり青ロゴ盤はちょっと無理か... ”と諦めかけていた時にまた別の青ロゴ盤が Discogs に出品された(←稀少盤の割りにはホンマにボコボコ出てくるなぁ...)。それもセット・プライス78,000円という、私にとって何とか手の届くギリギリの値段である。何でこんなに安いんやろ???と思ってコンディションを見てみるとやはりワケありで、スリーヴ・コンディションが G+だ。説明を読むと“Cover has water damage on the bottom left.” とある。やっぱりなぁ... そんな旨い話があるわけないわなぁ。しかし盤の方は無修正マトの真正 1stプレスでしかも great condition とある。う~ん... これは悩ましい(>_<) これを逃したら青ロゴの UK 1stプレス・無修正マト盤なんて手に入れるチャンスはもう二度と巡ってこないかもしれない。そう考えるといてもたってもいられなくなり、とりあえずダメージ部分の写真をメールで送ってもらうことにした。
 届いた写真はセラーの説明通りで、水に濡れた部分が茶色く変色しているのが気になったが、それさえ我慢すれば盤質の良い 1stプレス盤が聴けるのだ。勝負するか、それとも撤退するか、ここはひとつ腹を決めなければならない。私はしばらく頭を冷やしてよーく考え、それでも気になるようだったら買おう... と心に決めた。
 それから1週間が経ち、心の迷いは吹っ切れた。“ボロジャケ+ピカピカ盤”と“ピカピカジャケ+ボロ盤”のどちらを取るかといえば私は間違いなく前者を選ぶ。結局レコードは聴いてナンボなのだ。確かに高額な買い物だが、その分他のレコードを買うのを我慢すればいいだけの話。というワケで私はこの “ワケあり”青ロゴ盤の購入を決意... 久々の高い買い物なのでちょっとドキドキしながら Place Order をクリックした。 (つづく)
Led Zeppelin (Debut) album 1st UK Turquoise Cover 'Babe I'm Gonna Leave You'