shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Led Zeppelin Medley / 大橋純子

2013-02-27 | Led Zeppelin
 去年の暮れにレッド・ゼッペリン祭りを始めてから早いものでもう2ヶ月が経つが、このように一つのアーティストを徹底特集していると自ずとYouTubeやグーグルで検索する回数が増え、思わぬ新発見をすることが少なくない。「カシミール」繋がりで出会ったエスカーラなんかその最たるものだったが、やはりロック以外のジャンルのアーティストによるカヴァーはどうしても盲点になりやすいし、その意外性という点からも驚きが大きい。
 つい先日のことになるが、王様の「深紫伝説 ~ディープ・パープル日本語直訳メドレー~」を聴いていて、ふと “そういえばゼップのメドレーって無いんかな?” という素朴な疑問が浮かんだ。少なくとも私の知る限りでは日本が世界に誇るゼップのコピバン、シナモンの2nd と 3rd ぐらいしか思い浮かばない。スターズ・オンやジャイヴ・バニーetcのメドレー物が大好きな私は他に何かあらへんのかなぁと思い “レッド・ツェッペリン・メドレー” で早速ググってみると、タワレコ・オンラインのページで “大橋純子/ジェイセレクション” というのを発見! 大橋純子って、70年代後半から80年代初めにかけて抜群の歌唱力で大向こうを唸らせ、「シルエット・ロマンス」や「たそがれマイ・ラブ」etcのヒットを飛ばした、あの大橋純子なのか??? 彼女がゼップを歌ってるとしたらコレはエライコッチャである。
シルエット ロマンス-大橋 純子

大橋純子--たそがれマイ・ラブ


 半信半疑でその「ゼップ・メドレー」が入っているという94年のアルバム「J'selection Vol. 1」をアマゾンで調べるてみると、確かに③「レッド・ツェッペリン・メドレー」というタイトルで「胸いっぱいの愛を」~「ブラック・ドッグ」~「ロックンロール」~「天国への階段」~「胸いっぱいの愛を」をメドレーでやっている。しかもそれ以外の収録曲もすべて洋楽のカヴァーで、ドゥービーズの①「チャイナ・グローヴ」、ポールの②「マイ・ラヴ」、パープルの④「ブラック・ナイト」、ストーンズの⑤「ホンキー・トンク・ウイミン」、クラプトンの⑥「ティアーズ・イン・ヘヴン」ときたもんだ。試聴できるサイトはなかったが、コレは聴かねば... と猛烈に好奇心をそそられた私は即買いを決めた。
 届いたCDはめっちゃ地味なジャケットで、ブックレットには “デビュー20周年を迎え、何かを始めたいと思った。ライフワークとして、ずっと続けられる何か。そこで J-セレクション という企画を思いついた。以前から興味はあったけれど、チャンスがなかったカバーのアルバムである。毎年1枚づつ、ひとつのジャンルにこだわったアルバムのシリーズ化... オリジナルのアルバムとは違って、大いに趣味の域を出したいと思っている。音楽に関しては、本当に気の多い別の私を楽しんでもらいたい。シリーズ1作目はスタートということもあって、私の音楽基盤でもあるロックに挑戦した。「こう見えて、実はアマチュア時代、ハードロックのリードヴォーカルだったの...」” という本人のコメントが載っている。へぇ~、大橋純子って元々ハードロックを歌ってたんか...
 アルバムは全6曲で34分と少し短いが、つまらんオリジナルを延々80分近く聞かされるよりはずっといい。一気通聴してみた第一印象は、とにかく歌が上手いなぁということ。伸びやかで艶があり、パワフルなその歌声は歌謡曲を歌おうがロックを歌おうが関係なしで、特にポールの②のようなスロー・バラッドでは余裕すら感じさせるその豊かな声量と確かな歌唱力で朗々と歌い上げており、まさに水を得た魚といった感じだし、同じスロー曲⑥では繊細な一面ものぞかせており、まさに向かうところ敵なしの無双状態だ。
マイ・ラブ


 お目当てのゼップ・メドレー③でも持ち前の伸びやかなハイトーン・ヴォイスでゼップの代表曲を次から次へと10分以上にわたって熱唱しており、続くパープル・カヴァー④と共に、力強くエネルギーに満ち溢れた歌声でハードロックの名曲を見事に歌いこなしているのだからコレはもう黙って聴くしかない。ただ、彼女の場合、クリアーに響き渡るタイプの歌声なので、ゴリゴリのロックを歌う時はもう少しザラついた感じの不良性が加われば鬼に金棒だろう。
 この「J'selection」は世間的にはあまり知られていないアルバムだと思うが(←それともただ単に私が知らなかっただけなのか???)、日本を代表する実力派シンガーが歌う洋楽カヴァー・アルバムとして十分傾聴に値する隠れ名盤だと思う。
レッド・ゼッペリン・メドレー

ブラックナイト

「ブラック・ドッグ」カヴァー特集

2013-02-23 | Led Zeppelin
 「天国への階段」、「カシミール」に続くゼップ・カヴァー特集第3弾は「ブラック・ドッグ」のカヴァーを集めてみました。

①王様
 「深紫伝説」を始め、「カブトムシ外伝」や「浜っ子伝説」、「転石伝説」といった直訳ロックで我々を大いに楽しませてくれる “古き良き洋楽ロックの伝道師”、王様のゼップ・カヴァー盤「鉛の飛行船伝説」に入っていたのがこの「黒い犬」だ。そのユニークな日本語直訳(←さすがは上智大出身だけあって技アリの見事な直訳になってる...)やコスプレ・ロッカーというスタイルのためについついキワモノ視されがちだが、そのユーモアのセンスに溢れた訳詞と確かなテクニックに裏打ちされた演奏は聴き応え十分で、私としては王様こそ “色物の仮面をかぶった真正ロック” だと断言したい。この「黒い犬」でもリフからソロに至るまでオリジナルの雰囲気が見事に再現されており、王様のゼップへの深い愛情が伝わってきて嬉しくなってしまう。敢えてbaby を “ネェちゃん” ではなく “赤ちゃん” とベタな直訳にするによってかなりエロい内容の歌詞を笑いのオブラートに包んで提示する手法も見事という他ない。真のロック好きを大爆笑の渦に叩き込む、遊び心に溢れた「黒犬」だ。
黒い犬


②New City Rockers
 このニュー・シティ・ロッカーズはいかにも80'sという感じのメロディアスなロックが身上のバンドで、ストーン・フューリーを想わせる親しみやすいサウンドがエエ感じなのだが、残念なことにヒット曲に恵まれずアルバム1枚を残したのみで消滅してしまった知る人ぞ知る存在だ。1987年の4月にリリースされたこのゼップ・カヴァー・シングルも全米チャートで最高80位までしか上がらずラジオ・エアプレイも少なかったようだが、私はたまたまトップ40か何かの “注目の新曲コーナー” でコレを聴いてすぐに気に入り、急いでタワレコへ走って首尾よく12インチ・シングルを手に入れることができた。80年代の煌びやかなヒット曲たちの中に埋もれてしまいがちなこういうマイナーなシングルとの出会いもリアルタイムでチャート番組を追っかけていたからこそ可能だったのだろう。ロバート・プラント信者のレニー・ウルフ(ストーン・フューリ→キングダム・カム)を彷彿とさせるハイトーン・ヴォイスで聴く、80年代ならではのダンサブルな “黒犬” だ。
Newcity Rockers Black Dog (Music Video)


③The Boys From County Nashville
 レッド・ゼッペリンほどの大物になるとブルーグラスからクラシックに至るまでハードロック以外のジャンルのアーティストによるトリビュート盤も色々出ているが、残念ながらゼップの知名度を利用して売ってやろうという魂胆が透けて見えるような、原曲への理解も愛情も感じられないナンジャラホイ盤も少なくない。そんな玉石混交のゼップ・トリビュート盤の中で “大当たり” だったのがこの「ザ・ケルティック・トリビュート・トゥ・レッド・ゼッペリン ~ロング・アゴー・アンド・ファー・アウェイ~」という CD で、ゼップのルーツの一つであるケルト音楽によるカヴァー集だけあって実に完成度の高いアルバムになっており、この「ブラック・ドッグ」も大胆にして絶妙なケルティック・アレンジによって換骨奪胎され、繊細でありながらほのぼのとしてどこか温か味を感じさせるヴァージョンに生まれ変わっている。ケルト音楽が印象的だったディズニー映画「メリダとおそろしの森」なんかにもぴったりハマりそうな、北欧民族音楽の薫りが色濃く立ち込める「黒犬」だ。
Boys From County Nashville - Black Dog


④West 52nd Street Buddha Lounge Ensemble
 ビートルズの場合と同様に、ゼップのジャズ・カヴァーにもロクなモノがない。モード・ジャズだか何だか知らないが、アレンジをこねくり回し過ぎて原曲の良さを殺してしまうケースがほとんどだ。そんな中で “コレは凄い!” と唸ってしまったのがこの「ブッダ・ラウンジ・レンディションズ・オブ・レッド・ゼッペリン」というCDに入っていた「ブラック・ドッグ」だ。瀟洒なブラッシュが刻む軽快なフォービートに乗って涼しげなヴァイブとギターが奏でるメロディーがめっちゃ耳に心地良くって、こんなにスイングする「ブラック・ドッグ」も大いにアリやなぁと思ってしまう。やっぱりジャズは分かりやすいのが一番!ということを再認識させてくれる粋でオシャレな「黒犬」だ。
ブッダ・ラウンジ・ツェッペリン


⑤Keith Emerson
 大物ミュージシャン達によるゼップ・カヴァーばかりを集めたコンピ盤「ジ・アルティメット・レッド・ゼッペリン・トリビュート ~レッド・ボックス~」という2枚組アルバムに収録されていたのが何とあのキース・エマーソンによる「ブラック・ドッグ」で、往年のELPサウンドを彷彿とさせるフレーズが至る所に出てくる面白いカヴァーになっている。特に最初の1分ほどのインスト・パートなんかキース節が全開で、シンセのメロディー・ラインを追っているだけで楽しい。首を絞められてのたうち回るアクセル・ローズみたいなマイケル・ホワイトの下衆なヴォーカルはキースの演奏と全然合っていないように思えるが、それもこれもひっくるめて摩訶不思議なサウンドが妙に耳に残るプログレ風「黒犬」だ。
Keith Emerson (ELP) - Black Dog ( Led Zeppelin Cover )


【おまけ】心の広~いゼップ・ファン限定で、バンバンバザールのウクレレ演奏による脱力系「黒犬」をどーぞ。
ブラックドッグ

Alive In Seattle DVD / Heart

2013-02-19 | Led Zeppelin
 今日はレッド・ゼッペリン・カヴァーの最高峰、ハートである。私と彼女達との出会いは中学3年の時にラジオでかかった「バラクーダ」だから、もうかれこれ35年以上の付き合いということになる。特に80年代中盤以降のハート黄金期にリリースされた「ハート」「バッド・アニマルズ」「ブリゲイド」の “産業ロック3部作”(笑)はホンマによく聴いたものだったが、90年代に入ってグランジ/オルタナ・ロックに汚染された洋楽と絶縁したせいもあって、それ以降はハートも含めたロック・ミュージック全般の動向に疎くなっていた。
 そんな私が再びハートの音楽と再会したのは5年ほど前のことで、ちょうどゼップのカヴァーを色々と探していてたまたま見つけたのがこの「ハート・アライヴ・イン・シアトル」という2002年のライヴ DVD だった。ハートのゼップ・カヴァーといえば「グレイテスト・ヒッツ」収録の「ロックンロール」しか知らなかったので、新たに2曲も聴ける(見れる!)とワクワクしながら YouTube でチェックしてみるとこれがもうめちゃくちゃ素晴らしい!!! やっぱりハートのゼップ・カヴァーは年季が違うわいと小躍りしながらこの DVD を購入した。
 このDVDにはオリジナルからカヴァーまで新旧取り混ぜて全19曲が収録されているが、まずは何と言っても⑱「ブラック・ドッグ」である。この曲はカヴァーが難しいゼップ・ナンバーの中では比較的被カヴァー率は高い方だと思うのだが、これほど真正面から正々堂々と取り組んで小細工なしにこの曲のグルーヴを見事に再現した例を私は他に知らない。衰えを知らないアンのパワフルなシャウトはさすがという他ないし、ナンシーを筆頭に水を得た魚のように嬉々としてこの曲をプレイするバンドの面々の演奏も非の打ちどころがないぐらい素晴らしい。まさにゼップ・カヴァーの王道を行くハートの面目躍如たるヴァージョンと言っていいと思う。
Heart - Black Dog (live in Seattle, 2002)


 もう1曲のゼップ・カヴァー⑩「バトル・オブ・エヴァーモア」も負けず劣らず素晴らしい。カヴァーの難易度、希少性から言って「ブラック・ドッグ」よりもむしろこちらの方が私的にはインパクトが強かったのだが、ウィルソン姉妹の絶妙なハーモニーとマンドリンの響きが原曲の持つ幻想的な雰囲気を巧く表現しているところが◎。「フォー・シンボルズ」のアルバムで「ロックンロール」と「天国への階段」に挟まれて一般的には地味な存在と言えるこの隠れ名曲に目を付け、それを完璧にステージで再現したウィルソン姉妹のテクニックとその筋金入りのゼップ・フリークぶりに脱帽だ。
Heart 04 Battle of Evermore


 ゼップ・カヴァー以外で気に入っているのは、初期を代表する疾走系ロックンロール・チューンの①「クレイジー・オン・ユー」だ。イントロでアコギを激しくかき鳴らしながら左ハイキック(笑)をブチかますナンシーがめっちゃワイルドでカッコイイ(≧▽≦) アンの巨体から発せられるハイトーン・ヴォイスも絶好調で、さすがは “女性版ロバート・プラント” の異名を取るだけのことはある。この曲はアコギを巧く使いながら激しくロックするという点でゼップの影響が色濃く反映された作風になっている。又、①と並ぶ初期の大名曲⑯「バラクーダ」もノリノリの演奏をバックにアンの突き抜けるようなハイトーンが楽しめて言うことなし(^o^)  とにかくこの2曲は “激しくてエモーショナルでメロディアスでグルーヴィー” という、70年代ハートの魅力を濃縮還元したようなカッコイイ演奏だ。
Heart - Crazy On You (Alive In Seattle)

Heart - Barracuda (live in Seattle, 2002)


 80年代のレパートリーの中ではアンプラグドな⑦「アローン」が感動的。これを聴けばアンが豊かな声量を活かしたパワー・シャウターであるだけでなく、バラッドでの表現力も超一流であることがよく分かるだろう。寄り添うようにハーモニーを付けるナンシーもめっちゃエエ感じだ(^o^)丿 
 21世紀に入ってからの彼女達はこれ以外にも「ライヴ」(←これはアンの調子がいまひとつな気がする...)、「ドリームボート・アニー・ライヴ」(←「ミスティー・マウンテン・ホップ」を演ってる!)、「ナイト・アット・スカイ・チャーチ」(←ゼップ・カヴァーは入ってないけどナンシーの美魔女っぷりが堪能できます... )と3枚のライヴDVDを出しているが、ゼップ云々を抜きにしても選曲のバランス、アンの歌唱、そしてバンド演奏のまとまりと、全ての面でこの「アライヴ・イン・シアトル」が断トツに素晴らしいと思う。
Heart - Alone (Alive in Seattle 2003)
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「カシミール」カヴァー特集

2013-02-15 | Led Zeppelin
 エスカーラ、ボンドと連続して「カシミール」を取り上げたので、今日はそれ以外の「カシミール」カヴァーを集めてみました。

①Lucia Micarelli
 ルシア・ミカレリというこの女性ヴァイオリニストの存在は「カシミール」のカヴァーを色々集めていた時に YouTube で見て初めて知った。何でもクラシック界期待の若手らしいが、ステージで「ボヘミアン・ラプソディー」やこの「カシミール」を演るなど、ジャンルの枠に縛られない新感覚派のアーティストのようだ。同じ「カシミール」では彼女がジェスロ・タルと共演したヴァージョンもアップされていてそれも悪くはないのだが、中途半端にイアン・アンダーソンのヘタレなフルート(笑)が絡むよりはソロでガンガン弾きまくっている演奏の方が遥かに好きだ。
 ここに貼り付けたのは2007年にジョッシュ・グローバンという歌手のコンサートに客演してソロ・パフォーマンスを披露した時の映像なのだが、前半のアヴァンギャルドなインプロヴィゼイション・パートから一転して「カシミール」のイントロが始まった瞬間(←2分45秒あたり)が鳥肌モノで、私のようなクラシックに何の興味も無いロック・ファンとしては干天の慈雨というか、ネコにカツオ節というか、まさにキタ━━━(゜∀゜)━━━!!! という感じ。何かに憑りつかれたかのように髪を振り乱しながら(←しかも裸足やん!)スリリングなプレイを聴かせる彼女は凡百のロック・ギタリスト達よりも遥かにカッコイイと思う。
 それにしても、エスカーラ、ボンド、そしてこのルシア・ミカレリと、クラシック界の美人アーティスト達を次々と魅了するこの「カシミール」という楽曲の底知れぬパワーを見るにつけ、改めてレッド・ゼッペリンというバンドの偉大さを痛感せずにはいられない。
Lucia Micarelli Aurora-Kashmir


②Lana Lane
 シンフォニック・ロックの女王、ラナ・レーンはカヴァーのセンスが抜群で、私なんかオリジナルよりもカヴァー曲目当てで彼女のCDを買ってしまう。特に「ヨーロピアン・ツアー2001・スーベニアCD」に入っていた「クリムゾン・キングの宮殿」と「バラード・コレクション」に入っていた「アクロス・ザ・ユニヴァース」なんかは大傑作だと思っているが、そんな彼女がハードロックの名曲ばかりをカヴァーしたアルバムが「カヴァーズ・コレクション」だ。この「カシミール」は彼女独特のエモーショナルな歌声で、曲を愛でるように丁寧に歌っているところが◎。このカシミールは心に沁みる(笑)。レインボーの「スターゲイザー」カヴァーと並ぶ、このアルバム中で最高のトラックだ。
Lana Lane - Kashmir


③Luxt
 このラクスト(って読むのかな?)というグループはゲイリー・ニューマン風の無機質な打ち込みビートとノイジーなシンセ・サウンドが特徴的なエレクトロニカ・インダストリアル・ロック・バンド。「レイジング・エデン」というアルバムに収録されたこの「カシミール」は、アンナ・クリスティンという紅一点女性ヴォーカリストの妖しげな歌声と原曲のミステリアスな雰囲気が絶妙に溶け合って、この手の音楽があまり得意ではない私でも十分楽しめる摩訶不思議なヴァージョンに仕上がっている。
Luxt - Kashmir


④Never The Bride
 この前ご紹介したネヴァー・ザ・ブライドが例のブリティッシュ・ロック・シンフォニー・コンサートの中で演っているのは「階段」ともう1曲... この「カシミール」だ。ゼップの楽曲中でも超大作と言える2曲を取り上げるあたりにジャニス、じゃなかったニッキ・ランボーンのヴォーカリストとしての絶対的な自信が窺える。特にこの「カシミール」における圧倒的なグルーヴ感の表出はもうお見事という他ない。
Never The Bride - Kashmir (British Rock Symphony)


⑤Page & Plant
 「カシミール」特集の最後を飾るのはペープラが1994年にリリースした「ノー・クォーター」に収録されていたセルフ・カヴァーだ。いわゆるひとつの “本人歌唱” ヴァージョンなのだが、同じヴォーカル&ギタリストで同じ曲を演っているのに、アレンジが違うとこうも曲の雰囲気が変わるものかと驚かされる。オリジナルの持っていた中近東風のエスニックな部分を徹底的に煮詰めて民俗音楽色の濃いサウンドに仕上げてあるのが面白い。ヘビ使いとベリー・ダンサー(笑)を連想してしまいそうなパートはさすがにやりすぎだと思うが、「ブラック・ドッグ」が憑依する後半部(10分を過ぎたあたり)のスリリングな展開はめっちゃカッコイイ(^o^)丿
Jimmy Page & Robert Plant - Kashmir (Live, The Awesome oriental version)
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Kashmir / Bond

2013-02-11 | Led Zeppelin
 今日は前回取り上げたエスカーラの “美形ストリング・カルテットでクラシック以外のジャンルの曲を演奏する” というコンセプトの元になったボンドでいってみよう。彼女達は2000年にデビューして、弦楽器(エスカーラと同じヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロという構成)とノリノリのダンス・ビートを融合させた斬新なスタイルで “クラシカル・クロスオーヴァー界のスパイス・ガールズ” とも呼ばれているグループだ。
 そんなボンドが2002年にリリースした2nd アルバム「シャイン」の中で一際異彩を放っていたのがゼップをカヴァーしたこの⑦「カシミール」だ。ボンドの音楽は基本的に煌びやかで軽快なものが多いのでこの重厚なサウンドには驚かされるが、エスカーラのヴァージョンに比べてオリジナルにより忠実なアレンジで、原曲の持つ独特なエキゾチシズムをストリングスで巧く表現している。エスカーラが「カシミール」を取り上げたのは当然このボンド・ヴァージョンを意識してのことだろうが(←メンバーがインタビューで “ボンドに強い影響を受けた” とリスペクトを口にしていた...)、同じストリング・カルテットでどこがどう違うのか聴き比べをして愉しむのも一興だ。
Bond - Kashmir (Led Zeppelin classical cover)


 このアルバム「シャイン」の1曲目に収録されているのは①「アレグレット」というナンバーなのだが、コレが何とエスカーラの代表曲「パラディオ」とタイトルは違えど全く同じ曲なんである。どちらもクレジット上はカール・ジェンキンスの作となっているので何らかの大人の事情があるのかもしれないが、先の「カシミール」のこともあってネット上ではコピーキャット論争が喧しいようだ。まぁ私としては目の保養にもなる美脚女性グループは多いに越したことはないので(笑)堅い事を言わずに両方愉しめばいいのに、と思ってしまう。
Bond - Allegretto


 上記の2曲以外ではデビュー・シングル「ヴィクトリー」の流れを汲む痛快な疾走系チューン③「フエゴ」が好き。この2曲はエスニックな薫りが立ち込める雰囲気が何となく似てるなぁと思ってクレジットを見るとどちらもクロアチアの作曲家トンチ・ハルジックの作品ということで大いに納得なのだが、やっぱりボンドにはこの手のエキゾチックでパッショネートなナンバーが一番良く似合う。ついでにこの路線で「踊る大捜査線」のテーマ曲とか演ってくれたらピッタリハマると思うのは私だけかな?
Bond - Fuego


 彼女達の楽曲には他にもクラシック調からユーロビート調まで様々なアレンジのものがあるがそういうのは正直言って願い下げなので、1枚のアルバム中で私が楽しめるのは残念ながら2~3曲しかなく、全4枚の中から好きな曲だけをCD-Rに編集して聴いている。折角なので「シャイン」以外のアルバムで気に入った曲もついでに取り上げよう。
 私がボンドの曲を聴いた時にすぐに頭に浮かぶのはルイス・クラーク指揮のロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラによる「フックト・オン・クラシックス」で、どちらもキャッチーなメロディーとノリの良い演奏のせいかクラシックが苦手な私でも何の違和感もなく楽しむことが出来る。最初にそれを感じたのが 1st アルバムの1曲目に入っていた「ヴィクトリー」で、アップテンポでありながらそこはかとなく哀愁を感じさせるメロディーの魅力をストリング・カルテットというフォーマットで実に巧く引き出しているなぁと感心させられた。
Bond - Victory


 3rd アルバム「クラシファイド」はプロデューサーが変わったせいか彼女達の持ち味である弦の音よりも打ち込み音が勝っていてボンドが演る必然性があまり感じられない単なるダンス・ミュージックへと堕しているトラックが多いのが悲しいが、そんな中で十分傾聴に値するのが「ヴィクトリー」「フエゴ」と同じトンチ・ハルジック作の「エクスプローシヴ」で、ボンドの魅力炸裂の哀愁舞い散るカッコ良いナンバーだと思う。PV では少しだけだが彼女達の美脚も拝めて言うことナシだ(^o^)丿
Bond - Explosive


 4thアルバム「プレイ」では何と言っても「パンプ・イット」が断トツに素晴らしい。最初に曲名を見た時はわからなかったが、曲を聴いてみてビックリ... これってディック・デイルの「ミザルー」ではないか! 映画「タクシー」や「パルプ・フィクション」で使われ、ピーター・アーツの入場曲としても知られるサーフ・ロックのスタンダード・ナンバーに目を付けた慧眼はさすがという他ないし、この曲の持つ中近東風な旋律をしっかりと消化してオリジナリティー溢れるボンド・ミュージックへと昇華させた彼女達の演奏力の高さも特筆モノだ。前作を聴いた時は正直言ってボンドもこれで終わりかと思ったが、この「パンプ・イット」で華麗に復活!!! アルバム単位では「シャイン」が一番だと思うが、曲単体では間違いなく「パンプ・イット」が彼女達の最高傑作だろう。エスカーラの時にも書いたように、この手のグループは選曲とアレンジが成否の決め手なのであり、そういう意味でも次作はプロデューサーをも含めた制作サイドの音楽センスが大いに問われるのではないかと思う。
BOND - Pump It

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Kashmir / Escala

2013-02-07 | Led Zeppelin
 2週間ほど前のことだったと思うか、YouTube でゼップの「カシミール」再生後に表示された関連動画の中に女性グループが写っている画像があって興味をそそられクリックしたところ、いきなり透明な電子弦楽器(ヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロ)を抱えた若いオネーチャン4人組が登場し、ボディコン&ミニスカで美脚も露わに「カシミール」を演奏し出したのだ。女性の弦楽カルテットでロック/ポップスをカヴァーするというコンセプトは目新しいものではないが、このエスカーラというグループの「カシミール」はクラシック臭さが希薄でアグレッシヴなところが斬新だったし、何よりもスラリと伸びた長い脚を武器に “魅せるステージ・パフォーマンス” で楽しませてくれるところが嬉しい。脚フェチの私は YouTube でこのグループの他の動画も見まくってめっちゃ気に入り、即CDをオーダーした。
 彼女達は元々2008年に Britain's Got Talent という人気オーディション番組(←イギリス版 “スター誕生” みたいなモンか...)に出場して脚光を浴びたグループで、予選ラウンドではカール・ジェンキンスの②「パラディオ」を演奏、ちょうど鹿賀丈史が主宰で出ていた「料理の鉄人」のオープニング・テーマを想わせる壮大にして勇壮なこの曲は決勝でも演奏しており、さながら彼女達のテーマ曲と言ってもいいぐらいの堂々としたパフォーマンス。オーディエンスもスタンディング・オベーションの嵐で、辛口審査員の面々からも incredible!!!, phenomenal!!!, amazingly talented!!!... と大絶賛されていた。
Escala - Britain's Got Talent ITV


 更に準決勝では何とポール&ウイングスの⑥「死ぬのは奴らだ」を披露、同じ女性ストリング・カルテットの先輩格であるボンドを意識したのか、あるいはイギリスということで自分達をボンド・ガールになぞらえての選曲なのかは知らないが、振り付けも実にカッコ良くキメたエンターテイニングなパフォーマンスで、これまたジャッジとオーディエンスの圧倒的な支持を得て決勝進出を決めたのだった。
Escala - Britain's Got Talent Season 2 - Semis


 決勝では惜しくも優勝を逃したものの(←ネタ切れなのか余程自信があったのか、予選と同じ曲を演ったがために衝撃度が薄れたのではないかと勝手に推測...)、彼女達はこれがきっかけで一気にブレイクし、トレヴァー・ホーンのプロデュースでデビュー・アルバムを制作。その中に入っていたのがこの③「カシミール」というわけで、何とあのスラッシュが参加してエスカーラとのコラボでゼップの名曲を新たな解釈で聞かせてくれるのだ。下に張り付けた動画は前年のファイナリストとして 2009年に同番組に凱旋ゲスト出演した時のもので、1年前にはまだ初々しい雰囲気を湛えていた4人がすっかり垢抜け、より洗練されたショーマンシップ溢れるパフォーマンスを披露している。4人そろった脚のアクションはもちろんのこと、身体全体のキレが実にシャープでカッコイイのだ(^o^)丿
Escala Performing Kashmir with Slash 2009


 このアルバムは11曲入りなのだが、やはりこの②③⑥が断トツに素晴らしく、他は私的にはイマイチ愉しめない(>_<)  クラシックの薫りが強いトラックはどうしても面白みに欠けるのだ。出来ることならT.レックスとかキング・クリムゾンとかクイーンとか、ロック色の濃い曲をどんどん取り上げて楽しませてほしいものだ。例えばこんな感じで↓
Lucia Micarelli Bohemian Rhapsody


 とにかくエスカーラのようなグループは一にも二にも選曲が勝負なので、彼女達が生き残れるかどうかは如何にしてこの弦楽カルテットという演奏フォーマットで映えるポピュラー・ソングを探してくるかにかかっているように思う。そういう意味でも私は彼女達の 2nd アルバムが今から楽しみでならない。
Get to Know Escala 10: Today
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「天国への階段」カヴァー特集⑦ ~王道カヴァー編~

2013-02-03 | Led Zeppelin
 「階段」特集最終回の今日は正統派ロッカーによる小細工なしの “王道カヴァー編” です。

①Never The Bride
 フル・オーケストラとゴスペル・コーラス隊をバックに、有名ヴォーカリスト達がビートルズ、ストーンズ、ザ・フー、そしてレッド・ゼッペリンといった数々のブリティッシュ・ロックの名曲を聴かせてくれるトリビュート・プロジェクト「ブリティッシュ・ロック・シンフォニー」ツアーのDVD は名曲名演の宝庫だが、その中でもインパクト絶大だったのがネヴァー・ザ・ブライドのニッキ・ランボーンという女性ヴォーカリストが歌う「階段」だ。まるでジャニス・ジョップリンが憑依したかのようなその歌声は聴く者の魂を激しく揺さぶる凄まじさで、4分を過ぎたあたりからの入魂のヴォーカルはまさに圧巻の一言に尽きる。ドラムスのザック・スターキーやサイド・ギターのサイモン・タウンゼンド(ザ・フーのピートの弟です!)など、バックを固めるミュージシャンの好演も楽しめて言うことナシの1枚だ。
Never The Bride - Stairway To Heaven (British Rock Symphony)


②Ann Wilson
 ゼップ・カヴァーの第一人者と言えばこれはもうアン&ナンシー姉妹率いるハートしかない。彼女らは70年代からライヴでゼップの曲を取り上げており、ヴォーカルのアンは “女性版プラント” と呼ばれてきたし、何よりもゼップの3人やオバマ大統領夫妻を前にして行われた例のケネディー・センターでの式典パフォーマンスでトリを任されたことがすべてを物語っているだろう。そんなハートの「階段」カヴァーはアルバム「リトル・クイーン」にボートラで収録されているライヴ・ヴァージョンが有名だが、アンがソロ名義で参加した1999年リリースのコンピ盤「ブリティッシュ・ロック・シンフォニー」(←上記プロジェクトのスタジオ録音版CDで、参加メンバーも違います...)収録のヴァージョンも甲乙付け難い素晴らしい出来なので今日はそちらをご紹介。ケネディー・センター・ライヴでプラントの涙腺を緩ませたアン・ウィルソン全身全霊のヴォーカルをご堪能ください。
Ann Wilson - Stairway to heaven


③Great White
 ゼップ・カヴァーにおいてハートと並んで双璧といえるバンドがこのグレイト・ホワイトだ。ブルース・ロックを基盤とする彼らは筋金入りのゼップ・ファンで、特にヴォーカルのジャック・ラッセル(←もちろん犬ぢゃありません...)はロバート・プラントそっくりの声・唱法で有名なのだが、そんな彼らが1998年にリリースした全編ゼップ・カヴァーという痛快無比なアルバム「グレイト・ゼッペリン」のラストを締めくくっていたのがこの「階段」だ。初めて聴いた時はあのキングダム・カム以来の衝撃(笑)で、その見事なまでのコピーぶりにまるで本物のゼップが蘇えったかのような錯覚を覚えたものだ。それにしてもホンマによぉ似とるなぁ...(^.^)
GREAT ZEPPELIN


④Far Corporation
 ファー・コーポレイションはボニーMのプロデューサー、フランク・ファリアンがTOTOのメンバーであるボビー・キンボール、デヴィッド・ペイチ、スティーヴ・ルカサーの3人にロビン・マッコリーやサイモン・フィリップスといった錚々たる顔ぶれを集めて作ったユニットで、アルバム「ディヴィジョン・ワン」からシングル・カットされたこの「階段」カヴァーが1985年10月にUKチャートの8位まで上がるスマッシュ・ヒットを記録。ゼップのカヴァー、しかもよりにもよってあの「階段」をカヴァーしてそれをシングルとして切ってくるという大胆不敵な発想にビックリ(゜o゜)  当時まだ心の狭いゼップ・ファンだった私は後半部のディスコチックなノリに “何じゃいコレは!” と歯牙にもかけなかったのだが、今の耳で聴いてみるとコレが結構面白い。前半部はまだオリジナルに忠実なアレンジながら、4分15秒を過ぎたあたりから一気に80'sモードに突入、TOTOの「アフリカ」へと傾きかけるも何とか土俵際で踏みとどまってゴスペル風コーラスとくんずほぐれつしているうちにルカサーの鬼気迫るギター・ソロが乱入してきて大いに盛り上がり、最後は大団円を迎えるという怒涛の展開が実に楽しい。しかし TOTO のサウンドってホンマに80年代そのものやねぇ...(^.^)
Far Corporation - Stairway To Heaven [1985] ReWorked


⑤Jimmy Page [Solo]
 長々と続けてきた「階段」祭りの最後はやや反則技ながら、“3大ギタリスト夢の競演” ということで話題になったアームズ・コンサートにジミー・ペイジが出演した時のインスト・ヴァージョンでシメたい。これは元スモール・フェイセズのロニー・レインの呼びかけで1983年9月にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われたチャリティー・コンサートの時の映像で、3人が競演した “超高速レイラ” と並ぶお気に入りのトラックがペイジのソロによるこのインスト版「階段」だ。ゼップ解散以降第一線から身を引いていたペイジはとても本調子とはいえない感じで、まるでオリの中のクマのように落ち着きなくフラフラと動き回っているが(←クスリかアルコールのせい???)、それでも聴かせてしまうあたりは超一流の貫禄というべきだろう。
Jimmy Page Solo - Stairway To Heaven (Royal Albert Hall, 9/20/1983)

 ただ、同年12月に行われたアメリカ公演では傍目にもラリッているのが明らかで(←カウ・パレスの方はまだマシだが、MSGの方はかなりキツい...)、音を外しまくるペイジを見かねたのか(?)クラプトンとベックがステージに登場、奇しくも三者の競演による豪華な「階段」が実現している。 “オマエ、ホンマに大丈夫か?” という感じでペイジを気遣う二人の表情にご注目ください。
Jeff Beck, Eric Clapton & Jimmy Page Solo - Stairway To Heaven (Cow Palace, 12/2/1983)

Jimmy Page-Stairway to Heaven-ARMS Concert (MSG, 12/8/1983)