shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ワインカラーの少女 & ヴィーナス・アンド・マース~ロック・ショー / ポール・マッカートニー

2013-05-29 | Paul McCartney
 今日は私が最初に買ったポールのアルバム「ヴィーナス・アンド・マース」からのシングルで「ロック・ショウ」でも演奏されていた「ワイン・カラーの少女」と「ヴィーナス・アンド・マース~ロック・ショー」の2曲で明日届く予定の「ロック・ショウ」前夜祭だ。

①Letting Go
 ポール&ウイングス絶頂期の名作アルバム「ヴィーナス・アンド・マース」から全米№1シングル「あの娘におせっかい」(←この邦題は何回聞いても笑えるわ...)に続くセカンド・シングルとしてカットされたのがこの「ワイン・カラーの少女」だ。私は先にアルバムを買っていたこともあって最初はこのシングル盤を買う気はサラサラなかったのだが、ラジオでこのシングル・ヴァージョンを聴いてビックリ(・o・)  アルバムに入っているヴァージョンとは一聴して分かるほどミックスが異なっていたのだ。まずイントロからしてオルガンが大きくフィーチャーされていてかなり印象が違うし、全体的にエコーを抑えた生々しいサウンドが新鮮で、コレはエライコッチャとばかりにこのシングルを買いにレコード屋へと走ったのを覚えている。
 ジャケットもかなりエエ感じで、邦題にある “ワイン・カラー” をバックにまるで英国貴族のような高貴な(?)雰囲気を醸し出しながらこちらをじっと見つめるポールのアップ写真が何ともカッコイイ。この「ワイン・カラー...」という邦題は歌詞の “She tastes like wine♪” から取られたものだが、この曲を初めて聴いた時の私はまだ世間知らずでアホな中学1年生だったので、原題「Letting Go」がなぜ「ワイン・カラーの少女」になっているのか深く考えもせず “Letting Go でワインカラーっていう意味になるんか... 辞書引いても載ってへんけど(←当たり前やろが!)英語ってホンマに不思議なコトバやなぁ...” と思っていたのだからオメデタイとしか言いようがない。
 それにしてもこの曲、新加入のジミーの影響だろうがポールにしては異色とも言えるブルージーなナンバーで、あの「レット・ミー・ロール・イット」さえも凌駕するヘヴィーネスが横溢... よくまぁコレをシングルとして切ったもんだと感心してしまう。“ポップの極み” とでも言うべき作風だった前シングル「あの娘におせっかい」とこのブルージーな「ワイン・カラーの少女」の重々しさとの落差はハンパないし、軽~いサウンドが幅をきかせていた当時の音楽界の状況を考えるとラジオ・エアプレイ向きとはお世辞にも言い難い。そのせいか、全米39位、全英41位が最高という惨憺たるチャート成績だったのだが、私はこの曲が大好きなのだ(^.^)
 まず何と言ってもポールの重低音ベースがズシリ、ズシリとまるで軍隊の行進のように響きわたって気持ちエエことこの上ないし、ブラス・アレンジも絶妙にして秀逸、そこにジミーの歌心溢れるブルージーなギターが絡んでいくのだから言うことナシ。そして個人的にツボなのがリンダのバック・コーラスで、 “I want to put her on the radio, one day and there you are, Ladies and Gentlemen – a brand new star♪” のラインにおけるコンマ何秒かのタイミングのズレが原曲の持つ “揺れるブルース感覚” を増幅しており聴いててめちゃくちゃ気持ちイイ(^o^)丿 とゆーことで、スマッシュ・ヒットにはならなかったが、私にとってはこのアルバム中で三指に入る愛聴曲なのだ。
Wings: Letting Go (Single Version)


②Venus And Mars ~ Rock Show
 この「ヴィーナス・アンド・マース~ロック・ショー」は同名アルバムからの第3弾シングルで、曲単体で言えば名曲名演がゴロゴロしている70年代ポールの作品中でも1、2を争う超愛聴曲... リアルタイムで聴いた衝撃度、思い入れ等を考えれば恐らく一番好きかもしれない(←アルバム単位では「ラム」が断トツの№1)。
 この曲は “スポーツ・アリーナのスタンドに座ってショーが始まるのを待っている~♪” という出だしで始まる「ヴィーナス・アンド・マース」がそれに続く「ロック・ショー」の序曲的な役割を果たしており、「ロック・ショー」との “静と動” のコントラストが絶妙だ。
 その「ロック・ショー」は前回取り上げた「ハイ・ハイ・ハイ」や「ジュニアズ・ファーム」の系統に属するキャッチーなロックンロール・ナンバーで、この時期のポールがコンポーザーとしても、ベーシストとしても、そしてシンガーとしても絶好調だったことをうかがわせる極めつきの名曲名演だ。とにかくこのライヴ感バリバリのソリッドなサウンドはポール史上最強ではないか? 特にポールのうねるようなベースラインがかなり太い音で入っており、ちょうどシェア・スタジアム公演での「ディジー・ミス・リジー」を想わせるようなドライヴ感抜群のプレイが楽しめる。
 それと、イエロー・キャット・レーベルから出ている「ヴィーナス・アンド・マース・セッションズ」というブート盤に1975年2月と3月のセッションからこの曲の初期テイク2ヴァージョンが収録されているのだが、ちょうどビートルズの「アンソロジー」みたいに舞台裏とも言える制作途中の段階が聴けてコレが中々面白い。YouTube にアップされてたので興味のある方はどーぞ↓
Wings: "Venus and Mars / Rock Show" Rough Mixes #1st & 2nd Compilations - Feb./Mar. 1975#


 この曲のもう一つの大きな魅力はその歌詞だ。 “コンセルトヘボウ” や “マディソン・スクエア”、 “ハリウッド・ボウル” といったコンサート会場名が次から次へと登場するだけでもうワクワクするし、“It looks a lot like the one used by Jimmy Page♪” と歌詞の中にジミー・ペイジが登場するのもインパクト大。多分ポールは70年代ロックの象徴をゼップだと考え、この「ロック・ショー」の中にペイジの名前を引用することによって彼らに敬意を表したのではないかと思うのだが、この a relic from a different age ってやっぱり例のダブルネックのことなんかな... などと考えながら聴くのも一興だ。とにかくそんな歌詞も含めてこれほどロック・コンサートのオープニング・ナンバーに相応しい曲を私は他に知らない。
 このシングルは全米チャートで12位まで上がったのだが、アルバムでは2曲メドレーで6分51秒なのに対しシングル・ヴァージョンは3分46秒と、インスト・パートを大幅に削って約半分の長さに編集してあるため、この曲の最大の魅力である “ロックのダイナミズム” も一緒に削られたようで物足りないこと甚だしい。ベスト盤「ウイングスパン」にもこの中途半端なシングル・エディット・ヴァージョンが入っていたが、この曲はやはりアルバムに入っている7分近いコンプリート・ヴァージョンに限ると思う。
PAUL McCARTNEY & WINGS - LIVE 1976 - "Venus & Mars / Rock Show"
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ハイ・ハイ・ハイ & ジュニアズ・ファーム / ポール・マッカートニー

2013-05-25 | Paul McCartney
 今日は「ハイ・ハイ・ハイ」と「ジュニアズ・ファーム」という70'sポール屈指のイケイケ・ロックンロール2連発だ。

①Hi Hi Hi
 「メアリーの小羊」に続くウイングスの第3弾シングル「ハイ・ハイ・ハイ」は全米で10位、全英で5位まで上がったヒット曲で、76年の「USAライヴ」でも「ソイリー」との連続コンボでコンサートのクロージング・ナンバーとして欠かせない存在だった “メジャー曲” なのだが、オリジナル・アルバム未収録ということで気にせず紹介。 “ロックなポール” が三度の飯よりも好きな私としては初期ウイングスを代表するこの痛快無比なロック・ナンバーを取り上げないワケにはいかない。
 この「ハイ・ハイ・ハイ」は1972年7月から始まるウイングスのヨーロッパ・ツアーに向けて “ライヴでウケそうなノリノリのロック曲” が必要と考えたポールが、ツアーの前にスペインに休暇に出かけた時に書いた曲で、当初は同時期に作られた「ソイリー」や「ザ・メス」路線のストレートなロックンロールだった。夏のツアーで演奏された時の音源を聴くと、いかにも “ノリ一発!” という感じの荒削りなアレンジで、後にシングルとして発売されたヴァージョンとはテンポやリズムもかなり違っているのだ。ポールによると “シングル盤用にするためにシャッフルのリズムを使ってアレンジし直し、もっとバンプにしたんだ。” とのこと。YouTube に8/20のオランダ・ハーグ公演の模様がアップされてるので聴き比べてみると “曲の進化” が垣間見れて面白い。
Paul McCartney & Wings - Hi Hi Hi [Live, The Hague - 20th August 1972]


 “キャッチーなロック曲”のお手本のようなカッコ良さを誇るこの曲のもう一つの特徴は “歌詞がめちゃくちゃエロい” ということ。“極めて卑猥”(笑)という理由でBBCはこの曲を放送禁止にしたのだが、確かに当時まだ中学生だった私が見ても “いくら何でもこれはアカンやろ...” と思うぐらい赤裸々なセックス描写が並んでいた。中でも一番強烈だったのが “I want you to lie on the bed, get you ready for my body gun♪” のラインで、“君をベッドに横たえて僕のボディー・ガンを受け入れさせたい...” ってそのものズバリやん(笑)  それに続く歌詞が “I'm gonna do it to ya, gonna do ya sweet banana♪”(君にスウィート・バナナをしてあげる)で、シメが “We're gonna get hi, hi, hi♪”(僕らはだんだんいい気持になる)とくれば、これはもう弁解の余地なしのセックス・ソングだ。ポールは “あれはbody gunじゃなくってpolygon(多角形)なのに出版社が間違えたんだ...” などと苦しい言い訳をしていたが...(笑)
 この「ハイ・ハイ・ハイ」というシングルは裏面の「Cムーン」と共に“ダブルAサイド”、つまり両A面扱いでリリースされたのだが、ポールはきっと「ハイ・ハイ・ハイ」が放送禁止を食らうことを予測してそういう措置を取ったのだろう。「アイルランド...」の前科もあることだし...(笑)  尚、日本盤シングルのファースト・プレスはジャケットに裏焼き写真を使ってしまい、ポールが右利きでベースを弾いているという珍盤になっている(←上にアップしたのは私が買った修正版)。
Paul McCartney & Wings - Hi,Hi,Hi [High Quality]


②Junior's Farm
 私がビートルズを聴き始めた1970年代半ば頃というのは “ジョンはロックでポールはバラッド” というアホな俗説が世間に蔓延しており、ポールと言えばすぐに「イエスタデイ」だ、「レット・イット・ビー」だ、「マイ・ラヴ」だと喧伝されていたように思うのだが、私にとっては “キャッチーでありながらバリバリにロックする” という一見誰にでも出来そうで実際には中々出来ないことをサラッとやってのけるところがポール最大の魅力であり、甘~いバラッドよりも「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」や「バック・イン・ザ・USSR」、「レディ・マドンナ」に「バースデー」といったノリノリのロックンロール・ナンバーを歌うポールが一番好きだった。
 そういう意味でもこの「ジュニアズ・ファーム」はポールのソロ・キャリアにおいて上記の「ハイ・ハイ・ハイ」や「ジェット」、「ロック・ショー」etcと並ぶスーパー・ウルトラ愛聴曲なのだが、なぜか世間での評価は信じられないぐらい低い。まぁ全英チャートでは16位までしか上がらなかったし、全米チャートでも最高3位と健闘はしたものの、ヘレン・レディやバリー・マニロウ、スリー・ディグリーズといった軟弱な音楽(←ファンの方、ゴメンなさい...)が主流だった当時のアメリカ音楽界に風穴を開けるほどのヒットにはならなかったので、世間的にほとんどスルー状態なのもしゃあないが...(>_<)
 この曲はポール、リンダ、デニーの3人編成だったウイングスに新たにギタリストのジミー・マッカロクと空手家ドラマー、ジェフ・ブリットン(←「ワン・ハンド・クラッピング」では空手着でドラムを叩いてる姿が笑えた...)を加えてナッシュビルでレコーディングしたもので、「バンド・オン・ザ・ラン」と「ヴィーナス・アンド・マース」の谷間を埋めるかのように1974年末にリリースされたのだが結局オリジナル・アルバムには収録されず(←確かに「ヴィーナス・アンド・マース」の中にこの曲の居場所は無いわな...)、そのこともこの曲の過小評価に繋がっているのかもしれないが、私は自分の感性だけを信じて音楽を聴いているせいか、この曲の不当なまでの低評価が納得いかない(>_<) こんなウキウキワクワクするようなロック・チューンにはそう簡単にお目にかかれないと思うのだがどうだろう? 軽快なビートを刻んでバンドを根底からロックさせるジェフとキラリと光るメロディアスなフレーズを連発するジミーの魅力(←ポールの “Take me down, Jimmy!” に続いてジミーがソロに入るタイミングが最高!)が全開のソリッドなロックンロール... 最高ではないか!
 そんな二人に触発されたのかポールも気合い十分で、“ハッ!” という掛け声を連発しながらノリノリのヴォーカルを聴かせてくれて気持ちエエことこの上ないし、彼お得意の “よく歌うベースライン” も思う存分堪能できて言うことナシ。まさに “絶好調!” という感じのポールがここにいるのだ。又、ウイングスならではの “追っかけコーラス” を巧く使ったコーラス・アレンジもこの曲の名演度アップに拍車をかけている。そもそもリンダってアホバカ・クリティックどもからボロクソに言われていたが、彼女のバック・コーラスはウイングスに欠かせない大きな魅力だと思う。この曲のビデオではちょっと白塗り化粧が濃すぎるけど...(笑)
 歌詞に関しては取り立てて意味のない凡庸なものだが、唐突にエスキモーが出てくる歌詞が当時中学生だった私にはインパクトがあったし(笑)、 ParliamentとPresidentを始めとする強烈な韻の踏み方も実に面白かった。それと、この曲に関する個人的な思い出なのだが、大学を受験した時の英作文の問題で “以前より物価が上がったので人々は云々...” というのが出題されたのだが、私は迷わずに “The price is higher than the time before...♪” とこの曲の歌詞の一部をそのまま借用して見事合格できたことが今でも忘れられない。 “学校の英語の授業はクソやけどビートルズの英語はホンマに役に立つわ(^o^)丿” と大喜びした18歳の春だった。
Paul McCartney - Junior's Farm
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アイルランドに平和を & メアリーの小羊 / ポール・マッカートニー

2013-05-21 | Paul McCartney
 ポール・マッカートニーは “アルバムとシングルは別物” と考えているフシがあり、特に70年代の作品には “シングル曲でありながらアルバム未収録のために不遇を嘆いている名曲” も少なくない。ということで今日からしばらく “70'sポールの隠れ名曲” 特集をやりたいと思う。まずはA面編パート1として1972年リリースの2枚のシングルからいってみたい。

①Give Ireland Back To The Irish
 1972年にリリースされたこの「アイルランドに平和を」はウイングスにとっての記念すべきデビュー・シングルであるにもかかわらず、その過激な歌詞のせいでBBCを始めとするイギリスの電波媒体から放送禁止を食らい、その後のベスト盤からもことごとく外される憂き目にあってきたが(←「ウイングスパン」のUK盤に収録予定だったが結局ボツになっとった...)、中学生の頃なけなしの小遣いを叩いてポールのシングル盤を1枚また1枚と買っていた私にとっては盤が擦り切れるくらい聴いた思い出の1曲だ。
 1972年1月30日に北アイルランドのデリーでカトリック教徒のデモ隊に向かってイギリス軍のパラシュート部隊が発砲して一般市民13人が虐殺された “血の日曜日事件” に激怒したポール(←マッカートニーのMcはアイルランド系のしるし)が事件のあった日の夜から翌日にかけてこの曲を一気に書き上げ、翌2月1日のスタジオを押さえて1日でレコーディングしたという。同じアイルランド系のジョンもこの事件を題材にして「ザ・ラック・オブ・ジ・アイリッシュ」や「サンデー・ブラッディ・サンデー」(←U2にも同じタイトルの曲がありましたね...)を書いていることもあって、政治に無関心な私もさすがにこの事件だけは結構詳しく調べたものだ。
 曲調はミディアム・テンポのロックンロールで、当時のウイングスらしい荒削りでタイトなバンド・サウンドが楽しめる。中でも新加入のヘンリー・マッカロック(←この人はコテコテのアイルランド人!)の切っ先鋭いリード・ギターは実にスリリングで、イントロからハイ・テンションなプレイを連発しているし、ポールのヴォーカルも最初はおとなし目だが徐々に盛り上げて行って後半はシャウトを連発する “本気モード” に突入、特に “should he lie down, do nothin', should he give in, or go mad?(何もせずに堪え忍び屈服しろということか、それとも狂ってしまえというのか!)” とたたみかけるあたりの高揚感はハンパない。ポールの気持ちがストレートに伝わってくる “熱い” ヴォーカルだ。
 しかもそんな過激なメッセージ・ソングにあっても、絶妙なタイミングで挿入されるハンド・クラッピングや幾重にも重ねられたリズム・ギターなど、随所にポールらしいアレンジが施されており、私としてはこの曲はもっと評価されて然るべき佳作だと思う。
 因みにシングルB面には同曲のインスト・ヴァージョンが収められているのだが、これは単にA面からヴォーカルを抜いただけのカラオケではなく全くの別録音で、ヘンリーのハードボイルドなギターの代わりにノーテンキなリコーダーを大きくフィーチャーした脱力系サウンドになっているところが面白い。A面の歌入りヴァージョンはCD「ワイルド・ライフ」のボートラでのみ入手可能だが、B面のインスト・ヴァージョンはそのボートラにすら収録されておらず、アナログ・シングル盤でしか聴けない。いや、今の時代なら YouTube で手軽に聴けるか...(笑)
Sir Paul McCartney & Wings - Give Ireland Back To The Irish [New Master Exp.] [HD]

Give Ireland Back To the Irish (Version) - Wings


②Mary Had A Little Lamb
 上記の「アイルランドに平和を」に続くウイングスのセカンド・シングルがこの「メアリーの小羊」だ。政治的に超過激な歌詞で放送禁止を食らった「アイルランド...」の次がこのほのぼのムードの童謡調「メアリー...」で、更に次が卑猥な歌詞で再び放送禁止を食らうロックンロール「ハイ・ハイ・ハイ」と、まさにやりたい放題なポールがたまらなくカッコイイ(^o^)丿
 それにしてもこの「メアリー...」、一体どういう風の吹き回しなのだろうか? 「アイルランド...」への批判をかわすためとか、逆に批判した連中への当てつけとか、世間では色んな説があるようだが、ひょっとするとリンダとの間に出来た初めての子供メアリーが可愛くて可愛くて、そんな愛娘のために曲を書いてシングルで出したかっただけなのかもしれない。その証拠に、リンダを始めヘザーやメアリーまでバック・コーラスに参加して “ラ~ラッ、ラ~ラッ、ラ~ララ、ララ~ラ~♪” と家族みんなで楽しそうに歌っているではないか。因みにポールはこの曲を “人々を幸福にさせる春の歌” だと言っており、ザ・フーのピート・タウンゼンドも娘にせがまれてこのシングルを買ったという(笑)
 歌詞は取り立ててどうということのない童謡そのものだが、曲はいかにもポールらしい親しみやすいメロディーを持った子守唄風のスローなカリプソで、私は初めて聴いた時からこの曲が大好き(^.^)  ギスギスした日常の中で鬱陶しいことがあっても、この曲を聴いたらアレコレ悩むのがアホらしくなってきて、何かめっちゃ癒されるのだ。バリバリのロックンロールから夢見るような美しいバラッド、そしてこんなほのぼのムードの童謡まで作れてしまうポールの音楽家としての懐の深さは凄いの一言。やっぱりポールは天才やね!
 この曲のプロモ・ビデオは3種類ほど存在するのだが、私はウイングスの面々が納屋の中で動物たちに囲まれて歌い演奏するヴァージョンが一番気に入っている。いかにも動物好きのポール&リンダ夫妻らしいビデオなのだが、これに付き合わされるウイングスのメンバーがちょっと気の毒な気も...(笑)  ピアノに張り付くバッタ軍団も面白かったが、ピアノの上に乗っかったニワトリに向かって歌うポールというのも笑わしてくれる。最近 YouTube で見つけたレアなロング・ヴァージョンも一緒に貼っときますのでマッタリと愉しんでくださいな。
Paul McCartney and The Wings - Mary Had A Little Lamb-Official Video

Wings-Mary Had A Little Lamb-RARE LONG VERSION!
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Paul McCartney's "Out There! Tour" 2013

2013-05-16 | Paul McCartney
 最近すっかりポール・マッカートニー三昧の日々が続いているが、昨日YouTubeのポールのチャンネルに面白い動画がアップされているのを見つけた。この5月に入ってポールは “2013アウト・ゼア・ツアー” をスタートさせたのだが、6日にブラジルのゴイアニアで行われたコンサートに突如バッタの大群が来襲、ステージ上はバッタだらけとなり楽器やマイク、そしてポール自身にも無数のバッタが張り付いているというお宝モンの映像だ。
 普通なら気が散って歌や演奏に集中できなさそうなもんだが、ポールは腕にとまったバッタを “ハロルド” と名付け、 “さぁハロルド、みなさんにご挨拶しなさい!” と余裕のMCで会場を爆笑の渦に巻き込む。又、ネットの記事によると「ヘイ・ジュード」の “The movement you need is on your shoulder...”(君に必要な動きは君の肩にかかってるんだ)のところで咄嗟に “it certainly is now...♪” (確かに今、僕の肩にかかってるよね~♪)とアドリブをかましたというから相変わらず茶目っ気たっぷりだ。まぁこれがもしバッタじゃなくカブトムシの大群だったら “ビートルの競演” というオチがついたのだが... それにしてもこの映像は何回見てもオモロイな(^.^)
Paul McCartney "Out There" - GoiCnia Grasshopper Stage Invasion!


 今回のツアーの特徴はポールがこれまでのライヴであまり演ってない曲が数多くセットリストに加えられていることで、オープニング・ナンバーの「エイト・デイズ・ア・ウイーク」を始め、「ラヴリー・リタ」や「ユア・マザー・シュッド・ノウ」に「オール・トゥゲザー・ナウ」、珍しいところではジョンの「ミスター・カイト」なんかも取り上げている。
Paul McCartney 2013 - Being For The Benefit Of Mr Kite! [GoiCnia 6/5/13; OUT THERE! BRAZIL]

Paul McCartney - Lovely Rita (Belo Horizonte, Brasil, 2013)

Paul McCartney 2013 - Your Mother Should Know [Fortaleza 9/5/13; OUT THERE! BRAZIL]

Paul McCartney 2013 - All Together Now [GoiCnia 6/5/13; OUT THERE! BRAZIL]


 又、「ロック・ショウ」や「ウイングス・オーヴァー・アメリカ」の発売を意識したのか、今回のツアーではウイングス時代の曲も積極的に取り上げており、「ジュニアズ・ファーム」や「リスン・トゥ・ホワット・ザ・マン・セッド」、「ナインティーン・ハンドレッド・アンド・エイティ・ファイヴ」(←エンディングでオーディエンスが “Band on the run, band on the run...♪” と楽しげにコーラスしてる!)といった私のスーパーウルトラ愛聴曲をガンガン演ってくれているのが嬉しい。70歳を過ぎてますます元気なポール・マッカートニー... 何とかもう一回日本に来てくれへんかなぁ...
Paul McCartney "Eight Days a Week" e "Junior´s Farm"- MineirIo- Out There Tour 2013

Paul Mccartney - Listen to what the man said (HD) - MineirIo 04/05/2013

Paul McCartney 2013 - Nineteen Hundred And Eighty Five [Fortaleza 9/5/13; OUT THERE! BRAZIL]
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Wings Over America Ⅱ / Paul McCartney & Wings

2013-05-12 | Paul McCartney
 前回のポール特集の時に当ブログ最高顧問のみながわさんから「ウイングス・オーヴァー・アメリカ Ⅱ」というブート盤を教えていただいた。 “オーディエンス録音の面白さの見本のような盤” で “「ソイリー」がカッコイイ!” と言われては、“ハードにシャウトするロックなポール”が大好きな私としては何としても聴きたくなってくる。すぐにヤフオクや eBay で探してみたが残念ながらどこにも出ていない。そこでオークションがダメならCD通販があるわいいとグーグルの画像検索で探してみると、運良く浜松の音楽萬屋kentというお店に在庫があることが分かり即オーダー。2,800円だった。
 しかし最近の私はホンマにツイてない。水曜日に仕事から帰ってくるとブツが届いていたので早速聴こうと思いディスクを取り出そうとしたところ、あろうことかCDがパリッと真っ二つに割れてしまったのだ。まるでせんべいが割れるようにである。一瞬何が起こったのか分からず茫然とする私...(・o・)  ブートも含めCDは何千枚と聞いてきたが、SPじゃあるまいしCDが割れるなんて初めての経験だ。我に返って割れた2枚の断片を合わせてみると熱か乾燥のために(?)盤が変質して反っている。期待が大きかった分、奈落の底に突き落とされたような気分だ。
 納得がいかないのでクレームのメールを入れたところ翌日すぐに返信がきて “ご迷惑をおかけして申しあけありませんm(__)m” と平謝りされ、“もう1枚在庫があるからすぐに送ります” とのこと。シカトされたり開き直られたりしたらムカつくなぁ...と思っていただけに(←最近鬱陶しいこと続きでめちゃくちゃマイナス思考に陥ってるもんで...)この迅速かつ誠実な対応は嬉しかったし、何よりも諦めかけていた音源が聴けるようになった喜びが大きく、木・金曜はただもうそれだけを心の支えに(←大袈裟な...)過ごしていたようなものだった。
 そして土曜日、メール便でディスク1が届いた。大喜びでディスクをそーっと(笑)取り出すと、レーベル面に印刷されているタイトルは「Wings Over America II」ではなく「BLACK BIRD / The Answer is Here」となっており、曲目も全然違うものばかり。“え~、間違って全然違う盤を送ってきよったんか???” と焦りながらCDをかけてみると大歓声に続いて「ヴィーナス・アンド・マース」のイントロが聞こえてくる。念のためディスク2も確認してみたらディスク1と同じデタラメなレーベル表記だ。まぁ中身が正しければ文句はないのだが、それにしてもビックリしたなぁ...
 この「オーヴァー・アメリカⅡ」はウイングスのUSツアー最終日(6/23)にあたるロスのフォーラムでのコンサートの模様を完全収録したブート盤で、サウンドボード録音をも凌駕するといわれるぐらいに高音質なオーディエンス録音で名を馳せたマイク・ミラードというテーパー(←録音機を偽装するために車椅子を利用していたというプロ中のプロ!)が隠密録音した “ミラード音源” を使用したものらしい。ポールのブンブン唸るベース音が大きく入っていてしかもツアー中のベスト・テイクを選りすぐって “ライヴ・ヴァージョンによって構成されたベスト盤” 的な性格の強い正規盤とは違い、みながわさんがおっしゃるように “かぶりつきの客席で聴いているような臨場感” を感じさせるサウンドが実に新鮮だ。当然ながら曲間のポールのおしゃべりもノーカットで入っているし、正規盤にはなかった「レディ・マドンナ」のリプライズ演奏も愉しめて言うことナシだ。
 音が極端に右チャンネルに偏っているのが難点と言えば難点だが、2・3曲聴けば耳のイコライザーが働いて慣れてしまうし、「ヴィーナス・アンド・マース」と「マグネット・アンド・チタニウム・マン」の曲の途中で音がふらつくところがあるが、演奏に引き込まれて聴いているうちに気がついたらちゃんと元に戻っている(笑)ので問題ない。それより何よりサウンドボード録音とは又違った生々しい音が聴けて大満足だ。特に「バンド・オン・ザ・ラン」~「ハイ・ハイ・ハイ」~「ソイリー」と凄まじいノリでたたみかけるように迫ってくるラスト3連発の圧倒的な臨場感には言葉を失う。コレはホンマに病み付きになる生々しさである。CDが割れるという災難はあったが(笑)、大騒ぎして手に入れた甲斐があったというものだ。
 「ウイングス・オーヴァー・アメリカ」に関してUKアナログ盤の音で自己完結していた私にオーディエンス録音ブート盤の魅力を改めて教えてくれたこの「オーヴァー・アメリカⅡ」... みながわさん、エエ盤を教えて下さり本当にありがとうございました(^o^)丿
Wings Over Los Angeles (←必聴の「Soily」は2:05:00あたりから)
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祝!「Rock Show」DVD化 & 「Wings Over America」リマスター

2013-05-04 | Paul McCartney
 やっとゴールデン・ウイークになった。先月はマジでお祓いでもしてもらおうかと思ったぐらい鬱陶しいことだらけの日々だったのだが、そんな私に生きる力を与えてくれたのが(←大袈裟な...)ポール・マッカートニー&ウイングスの絶頂期の姿を捉えた名作ライヴ・フィルム “ロック・ショウ” 完全版のDVD化と、ポールの “アーカイヴ・コレクション・シリーズ” 第5弾となる “ウイングス・オーヴァー・アメリカ” リリース決定のニュースだった。どちらも5月末の発売ということなのでそろそろ予約を入れねばならない。幸いGWで仕事から解放されて一息つけたこともあり、じっくりと情報を整理してベストな選択をしたい。そういうワケで、今日から “レッド・ゼッペリン祭り” をしばらくお休みして “ポール・マッカートニー前夜祭” だ。
 まずは「ロック・ショウ」DVDの方だが、これはブルーレイとDVDの2種リリース(当初はそれぞれTシャツ付きも含めた計4種リリース予定だったが、Tシャツ付き盤は “アーティスト側の意向により発売中止” になったようだ...)なのでブルーレイ・プレイヤーを持っていない私としては迷うことなくDVDをチョイス。リージョン・コードやNTSC/PALの問題があるのでDVDに関しては国内盤が無難だろう。アマゾンで3,497円なら許容範囲だ。
 この「ロック・ショウ」は日本公開時に映画館で見て(←上にアップした写真はその時に買った思い出のパンフレットです)リッケン・ベースを弾きながら歌うポールの姿に痺れまくったものだったが、今回のDVD化では当時日本以外ではカットされていた7曲を含む全28曲収録の完全版になっているとのこと。しかもオリジナルの35ミリ・フィルムからレストアされたハイ・クオリティーな映像が楽しめるというのだから今から発売日が待ちきれない(^o^)丿
Rockshow / Paul McCartney & Wings(Trailer/full ver.) - ロックショウ / ポール・マッカートニー&ウイングス -


 「ウイングス・オーヴァー・アメリカ」は2枚組CDの通常盤 “スタンダード・エディション” と3CD+1DVD+豪華ブックレットの “デラックス・エディション”(←日本のレコード会社だけが “スーパー・デラックス・エディション” って呼んでる...笑)の2種リリースなのだが、ここで問題になってくるのは果たしてどちらを買うべきか、ということだ。ボックス・セットの額が額だけに私と同じように迷っているポール・ファンは結構多いのではないかと思う。私としてはこういう箱ものはどれもこれもディスクの出し入れが面倒臭くて好きではないし(←ディスクユニオン特典のCD棚収納ボックスみたいなのを本来ならレコード会社が付けるべきやと思うけど...)、何でもかんでも詰め込んで値段を釣り上げる “箱詰め商法” にも抵抗を覚えるのだが、惚れた弱みというべきか、ポール・マッカートニーという名前の前ではそのような好き嫌いはすべて些細なことに過ぎない。
 で、まず “スタンダード・エディション” の方だが、輸入盤が日英米のアマゾンで大体2,200円前後で買えるのに対し日本盤は3,800円というふざけた価格設定で、コレには開いた口が塞がらない。SHMか何だか知らないが、あの程度の音質で差別化を図ろうとするなどちゃんちゃら可笑しい。やらずボッタクリにもほどがあるというものだ。とゆーことで、“スタンダード・エディション” なら迷わず輸入盤で決まりだろう。
 一方、“デラックス・エディション” の方は日本盤が定価18,000円で、アマゾンではDVD付きということで3,500円近く値引きして5/3現在で14.604円。これでも結構な額なので普通なら安価な輸入盤にいきたいところだが、今回ばかりはいつもと勝手が違う。というのも “デラックス・エディション” の輸入盤がアマゾンで何とも不可解な値動きをしているのだ。まず4月当初は31,000円台という “一体誰が買うねん?”価格で登場、それが4月半ばに25,000円台、そして4月末には17,000円台へと下落してきて5/3現在で14,293円になっている。何なん、このキナ臭い感じは? これって日本盤を売るための価格調整なんか? 因みにamazon USでは156.68ドル(送料込みで約15,729円)、amazon UK でも103.23ポンド(送料込みで約15,654円)なので、1年前ならともかく円安の今は海外サイトで買うと日本盤よりも高くついてしまうのだから困ったものだ。結局、300円しか違わないのならDVDに字幕が付いてる日本盤の方がお買い得感が高い。
 後は “スタンダード・エディション” 輸入盤と “デラックス・エディション” 日本盤の12,400円の差をどう考えるかだが、大きな違いは ①サンフランシスコのカウ・パレス公演でのライヴ・テイク8曲を収録したボーナスCD、②米CBSテレビ制作の特番「Wings Over The World」のDVD、③ツアー・プログラムやフォトブックといった豪華なメモラビリア、④本編28曲+ボートラ8曲の計36曲を24bit/96khzのハイレゾ音源でダウンロード可能、の4点だ。
 ①は別公演とはいえ曲目が本編と全曲ダブっており、しかもたったの8曲とくればイマイチ魅力薄に感じられるのも仕方ないだろう。私は同じ曲でも別ヴァージョンで微妙な違いを愉しめて嬉しいが、それでも8曲とはちょっと少なすぎる。せめてCD収録時間ギリギリまで目一杯詰め込むとか、いっそのことボートラCDも2枚にして “カウ・パレス公演コンプリート” にすればインパクトも全然違ったように思うのだが...(>_<)
 ②はYouTubeに抜粋版がアップされており、ファンとしてはその全貌をぜひとも見てみたい貴重な映像なのだが、今回同時発売される「ロック・ショウ」DVDと似通った内容であることも事実で、そういう意味では販売戦略を少し誤ったような気がする。熱狂的なポール・マニア以外は「ロック・ショウ」+「通常盤」で十分かもしれない。
Wings - 'Wings Over The World' Extract


 ③に関しては基本的に音楽とは関係のない “記念品” の類なので、これはもうポールへの思い入れ次第ということになるだろう。問題なのは④である。実は今の私が一番興味を持っているのがこの “ハイレゾ音源” という分野で、ネットの記事で“ハイレゾ音源は凄い!!!” という記事を目にするたびに “一度ウチのオーディオで聴いてみたいなぁ...” と羨ましく思ったものだった。一応「ラム」のハイレゾ音源はダウンロードしてハードディスクに入れてあるが、残念ながらちゃんとした再生環境がなく仕方なしにパソコンにイヤフォンを繋いで聴いている “宝の持ち腐れ” 状態だ。この “ウイングス・オーヴァー・アメリカ” で弾みをつけて一気にD/Aコンバーターを買うところまで突き進むかどうか、正直迷っているところ。今の気持ちは7:3で “デラックス・エディション” に傾いているが(←今月は自動車税に51,000円も払わなアカンのでちょっと弱気です...)、とりあえずはアマゾンで “デラックス・エディション” 日本盤と “スタンダード・エディション” 輸入盤の両方を予約しておいてもう少しじっくり考え、5/20を過ぎたら片方をキャンセルするとしよう。
Wings 'Wings Over America' - Deluxe Edition #27th / 28th May 2013#

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