shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ウルグアイ盤特集⑨「Love Songs」

2021-03-28 | The Beatles
 ウルグアイ盤を色々買い漁っているうちに “どうやら70年代半ば以降にプレスされた盤は音が良いらしい” ということがわかってきた。各メンバーのソロ・アルバムは言うまでもなく、以前ここで取り上げた「Rock ‘n’ Roll Music」や「At the Hollywood Bowl」といった盤の音の良さが私にそのことを確信させた。そこで私が目を付けたのが1978年にリリースされた編集盤の「Love Songs」である。
 そもそも私はこの「Love Songs」というアルバムを持ってすらいなかった。私にはどうも編集盤を軽く見る悪いクセがあって、オリジナル・アルバムはマトやスタンパーが違うというだけで何枚も買うくせに、編集盤となるとどんなに安かろうが状態が良かろうが購入対象にすらならない。しかしビートルズの名曲名演の数々を他では聴けないような真空管カッティングの濃厚なサウンドで楽しめるとなると話は別。私は70年代にプレスされたビートルズ関連の盤は全部買ってやろうと心に決め、早速「Love Songs」が俎上に上がったというわけだ。
 状態が良くて手頃な値段の盤を色々探した結果、Discogsに$35で出ていたVG+盤が良さそうに思えた。VG+ながら詳細説明欄に“Beautiful shape” とあったのと、セラーのグレーディングに対するフィードバックが絶賛の嵐だったからだ。実際、届いた盤はピッカピカで、ウルグアイ盤は傷が多いという私の偏見を木端微塵に打ち砕いた。よくよく考えてみればアメリカのセラーから買った盤にウルグアイの細かい砂による傷がついているわけがない。実際にかけてみたところ、私の予想を遥かに上回る凄い音がスピーカーから飛び出してきてビックリ。私は大喜びでこのレコードをB-SELSに持ち込んだ。

 私:今日は「Love Songs」持ってきましたで。実はこれ、ウルグアイじゃなくてアメリカのセラーから買ったんですが、ほぼミント状態やったんです。細かい砂の傷とか全然無いので安心して聴けますよ。
 Sさん:ホンマにキレイな盤ですね。
 私:ただ、中央のスピンドル・ホールが小さすぎて入らんかったんで、リーマーっていう加工用工具を買ってきて穴を広げたんですが、切れ味が良すぎて穴がちょっと大きくなりすぎたんです(笑)
 Sさん:ホンマですね(笑) まぁこれくらいでしたら大丈夫でしょう。(早速レコードをかける...)おぉ、このA①「Yesterday」はパーフェクトですね。
 私:ウソみたいに盤質良いでしょ?
 Sさん:これはもうミントと言っていいですね。A②「I’ll Follow The Sun」も素晴らしいですし、A③「I Need You」がこんなに良い音で聴けるなんて...
 私:奇跡のミント盤さまさまです。
 Sさん:ジャケットもキレイですし、盤も聴かれた形跡が無いですね。
 私:デッドストックみたいな感じかな...
 Sさん:ウルグアイ盤ということでだけにも聴かれずに40年以上眠ってたんですかね?
 私:で、ついに目覚めた...
 Sさん:レコードも喜んでるでしょう。
 私:しかも大絶賛されて。
 Sさん:レコード冥利に尽きるでしょうね。
 私:それもこれも元をただせばSさんが日記に書かれたからですよ。極東のレコ屋のHPにウルグアイ盤の記事が載ったおかげでこのレコードが日の目を見たと...
 Sさん:で、極東のレコード・コレクターがそれを買ったと...(笑)
 私:ハハハ...
 Sさん:この音圧の高さに加えて真空管効果ということでこの凄い音が聴けるんですね。
 私:「Love Songs」というアルバム自体があんまり人気ないですし、私自身UK盤すら持ってなくてこのウルグアイ盤が初めてなんですけど、この音やったら聴きたくなりますね。
 Sさん:私は一応持ってはいますけど、わざわざ聴こうとは思わないですから。このA⑦「Here There And Everywhere」なんかめっちゃ音圧高いですね(とニッコリ)。
 私:聴かせますよねー。編集盤という感じじゃなくてしっかりと聴かせてくれますよね。
 Sさん:凄いなぁ、ウルグアイ...
 私:デッドストックから生き返ったんですよ。
 Sさん:よぉ奈良に来たなぁ...
 私:しょぼいカッティングなら甘口に流れるところをコレは全然甘くない。キリっと辛口のバラッドとして屹立してます。
 Sさん:これ、「Love Songs」の音じゃないですよ(と大笑い)。
 私:「Love Songs」のラウドカットですね。
 Sさん:いやぁ、まさにそうですね。一体誰が「Love Songs」がこんなラウドな音で鳴ると思います? B③「If I Fell」も凄いですね。
 私:ホンマにバリバリのラウドカットやわ(笑)
 Sさん:こんな音で鳴るB⑥「Yes It Is」なんてちょっと他では考えられませんよ。
 私:70年代プレス、特にベージュに赤EMIレーベルのウルグアイ盤の音にハズレ無しですね。まさに羊の皮をかぶった狼ですよ。

ウルグアイ盤特集⑧「All The Best」

2021-03-21 | Paul McCartney
 ポールの「All The Best」ウルグアイ盤を手に入れた。70年代に出たウルグアイ盤は真空管を使った独自カットのおかげでUKやUSのオリジナル盤では味わえない濃厚なサウンドが楽しめることが多いが、このレコードがリリースされたのは1987年ということで、80年代後半のウルグアイ盤の音ってどうなんやろ...??? という好奇心から是非とも手に入れて聴いてみたいと思っていたアルバムだ。
 このレコードはかなりレアらしくeBayではカスリもせず。Discogsには去年から1枚だけ€150のNM盤が出ていたのだが、バカ高い送料を入れて2万円オーバーではとてもじゃないが手が出ない。仕方がないのでいつものように“お気に入り”に登録して毎日チェックしていたところ、別のセラーからVG+ながらほぼ半額に近い$80の盤が出品され、しかもオファー可ということだったのでダメ元で $72でオファーしてみたところラッキーなことに即OKが出て、結局送料込み$100ポッキリで念願の「All The Best」を手に入れることが出来たのだ(^o^)丿 まさに待てば海路の日和あり... である。レコードが届いた翌日、私は早速B-SELSにこのレコードを持ち込んだ。
 私:「All The Best」のウルグアイ盤が手に入ったんで持って来ました。
 Sさん:おぉ、マトのPMTVが手書きですね。これは楽しみです。
 私:どうですか?
 Sさん:音が濃いですね。
 私:でしょ? 派手さはないんですけど、音の密度がめっちゃ濃いんです。
 Sさん:このA④「Ebony And Ivory」、音の奥行きが違いますね。
 私:確かにUK盤やUS盤では聴けない音です。
 Sさん:B①「No More Lonely Nights」のギター・ソロが何とも良い音してますね。
 私:たまらんですよ、コレは。それとB②「Silly Love Songs」のベースも良い音してますやろ?
 Sさん:とってもタイトですね。
 私:余計な贅肉を削ぎ落としたような、そんなベースの音です。
 Sさん:いやぁ、素晴らしいですねぇ...
 私:B③「Let 'Em In」のドラムの音、エエでしょ?
 Sさん:気持ち良いですねぇ。あれ?このB④「C Moon」だけ音が違いますね。
 私:そうなんですよ。ここまでの3曲がめちゃくちゃ音が良かったせいもありますけど、急にガクン!と落ちたような感じで落差が激しいんです。一体どーゆーことなんでしょうね???
 Sさん:不思議ですね。
 私:今日はこの後用事があるので続きは次来た時でエエですか?
 Sさん:もちろんです。
 私:何なら置いて帰りますからお時間のある時に聴いてみますか?
 Sさん:エエんですか? それは嬉しいです。UK盤とじっくり聴き比べてみます。

ということで「All The Best」をSさんに預けた私は1週間ほどしてから再び B-SELSを訪れた。
 私:UK盤と聴き比べてみて何か収穫はありましたか?
 Sさん:ええ、例の「C Moon」の謎が解けました。
 私:エーッ、ホンマに??? 凄いですやん!!!
 Sさん:実はUK盤と見比べてみたらウルグアイ盤の方がかなりデッドワックスの幅が狭くなってるんですよ... ほらね。で、「C Moon」の溝の位置がかなり違うでしょ?
 私:なるほど、ホンマですね。
 Sさん:つまり最初の3曲でかなり溝幅を贅沢に使いすぎたんじゃないでしょうか。
 私:なるほど、で、途中まで来て慌てたと...(笑)
 Sさん:そうそう...
 私:レースで言うたら燃費も考えずに前半飛ばし過ぎて、後半になってガス欠やばい... みたいな感じですかね(笑)
 Sさん:ハハハ... まぁそんなところでしょうね。
 私:なるほど、それなら辻褄が合いますね。いかにも大らかなウルグアイらしい話ですわ。
 Sさん:あくまでも私の想像ですけど...
 私:いや、その仮説当たってると思いますよ。とにかくこれでスッキリしました。
 Sさん:謎が解けたところで、続きを聴きましょうか。
 私:C②「Another Day」のアコギの音がめっちゃ気持ち良いですね。
 Sさん:C③「Maybe I'm Amazed」のギターの音もすごく良いです。
 私:C⑤「Once Upon A Long Ago」、音の世界がとっても雄大ですね。
 Sさん:この曲、UK盤と聴き比べてみませんか?
 私:是非お願いします。
 Sさん:UK盤もかなり良い音してますが、ウルグアイ盤はその上を行く感じです。
 私:音の種類がちょっと違うという感じですね。
 Sさん:もう一度ウルグアイの方を...
 私:これはもう、のっけから全然違いますよ。ウルグアイの方はヴォーカルを引き立てて活かす音作りになってますね。ヴォーカルとバックの演奏とのバランスが絶妙と言うか...
 Sさん:UKの方が音作りが派手なのに対し、ウルグアイの方は何とも懐かしい音になってますね。
 私:じゃあSide-4いきましょか。
 Sさん:D③「My Love」のエンディングで感動してるところにいきなりD④「We All Stand Together」のイントロ...
 私:いかにもポールらしいセンスですよ。多分アメリカ人には理解できないでしょうけど。てゆーか、US盤は選曲違いでそもそもDラス2曲は入っていなかったっけ(笑)
 Sさん:このD⑤「Mull Of Kintyre」のイントロ、たまりませんね~(≧▽≦)
 私:ホンマに... もう鳥肌モンですよ、これは。ポールのソロ名曲の数々をこうしてエエ音で聴けるっちゅーのは最高ですね。買うて良かったですわ。

TOTO Ⅳ

2021-03-17 | Rock & Pops (80's)
 「TOTOⅠ」の翌年にリリースされた彼らの2ndアルバム「Hydra」はプロコル・ハルムとスティーリー・ダンを足して2で割ったようなすかしたサウンドで、1st っぽいメリハリの効いた音を期待していた私は肩透かしを食らいガッカリ(*_*)  コレ!と言えるキャッチーなアッパー・チューンが無くてアルバム全体が単調に聞こえるのだ。例えるならセナもプロストもマンセルもピケもいない80年代後半のF1を見ているような感じ... といえば分かりやすいかも。
 その2年後にリリースされた3rdアルバム「Turn Back」は「Hydra」のヨーロッパ・プログレ路線から方向転換してスティーヴ・ルカサーのギンギンのギターを大きくフィーチャーしたアメリカン・ハード全振りの内容だったが、いかんせん収録曲のクオリティーが低くてキャッチーさに欠ける曲が多かったのでまたまたガッカリ(*_*) そんな中で1曲だけ断トツに素晴らしかったのがシングル・カットされた「Goodbye Elenore」だ。縦横無尽に暴れまくるジェフ・ポーカロのドラミングがこの曲の疾走感に拍車をかけ、ボビー・キンボールのハイ・トーンが炸裂、ノリの権化と化したスティーヴ・ルカサーの波打つギターと、まさに非の打ちどころのないアメリカン・ロックに仕上がっている。TOTOの「Turn Back」に関してはこの愛聴曲「Goodbye Elenore」と、例の案山子の落書きのような脱力系 “へのへのもへじ” ジャケット(笑)しか頭に浮かんでこない。
 さすがに2作連続でハズレ(←あくまでも私見ですが...)だったこともあってTOTOもうアカンのかな... と思い始めていた矢先にリリースされたのが、全米だけでトリプル・ミリオンを達成し、彼らにとって最大のヒット・アルバムとなった「TOTO Ⅳ」だ。1stシングルのA①「Rosana」がポールの「Ebony And Ivory」やヒューマンリーグの「Don't You Want Me」と全米1位を争っている(←5週連続2位で結局1位にはなれんかったけど...)のを見て “おぉ、TOTO復活したやん...” と感心したものだが、驚いたのはその半年後に3rdシングル「Africa」が予想外の(←失礼!)全米1位を記録したこと。80年代のアルバムはマイケルの「Thriller」やデフレパの「Hysteria」など、2ndシングルや3rdシングルの大ヒットによってアルバムが長期間売れ続け、総売り上げ枚数が飛躍的に伸びる傾向が強かったのだが、この「TOTO Ⅳ」もリリースから半年たってチャートを下降していたのが「Africa」のシングル・チャート1位で再び息を吹き返し、凄まじい勢いで売れ出したのを覚えている。
 それにしてもこの「Africa」という曲、“メロディー良し・演奏良し・アレンジ良しと三拍子揃ったキラー・チューンの鑑のような曲である。ジェフ・ポーカロが刻む軽やかなサンバのリズムに乗ったゆったりとしたメロディーが美しい前半部分が徐々に盛り上がっていき、サビに入って一気にたたみかけるところが大好きで、“I bless the rains down in Africa♪” のリフレインは何度聴いても感動的(≧▽≦) 雄大なアフリカの大草原のイメージを音楽で完璧に表現しているところが何よりも凄い。それまでのTOTOにはなかったタイプの楽曲だが、TOTO史上、いや80's洋楽史上屈指の名曲と言っていいと思う。
TOTO Africa アフリカ / 歌詞


 このアルバムは「TOTOⅠ」同様名曲の宝庫だが、私的には1stシングルになった「Rosana」(←モロにMTVを意識した軽薄なPVのイメージが染み付いてしまった...)よりもB面冒頭に置かれたB①「Afraid Of Love」とB②「Lovers In The Night」のハード・ポップ連続コンボが一番のお気に入り。B①はヴァン・ヘイレンが後に「Top Of The World」でパクったカッコ良いギター・リフが生み出すハードなドライヴ感がたまらないし、間髪を入れずに始まるB②ではまるでエイジアの1stアルバムを聴いているかのようなスリリングな緊張感を味わえる。
TOTO - Afraid of Love / Lovers in the Night ( 1982 )


 この「TOTO IV」は超の付く愛聴盤なのでUS盤とUK盤の両方を持っていたが、つい最近かなり珍しいインド盤を入手。ジャケットの赤色がちょっとくすんだ感じがカッコイイ。3枚ともマトが違うので聴き比べてみたところ、TML刻印入りのUS盤が中域のスピード感に優れ高域のヌケが良いのに対し、UK盤は中低域が分厚く音の重心が低い印象。特にドラムの一発一発の重みが凄まじい。インド盤はハイ上がりのキレッキレのサウンドがスピーカーからドバーッと迸り出てきて、まるでバリバリのハードロックを聴いているようだ。とにかく三者三様という感じで甲乙付け難い、実に面白い聴き比べだった。しかしこんなことしとったらますます各国盤聴き比べの深みにハマっていきそうでちょっとヤバいかも...

【おまけ】
 TOTOをYouTubeで検索していて関連動画の中に面白いのを見つけた。TOTOの演奏をバックに幼い少女が信じられないような超絶ドラミングを披露しているのだ。素晴らしい音楽はこのようにして次の世代へと引き継がれていくのだなぁと改めて感じ入った。まだあどけなさの残るその表情からは想像できないようなワイルドでダイナミックな彼女のプレイは圧巻だ。
TOTO『Goodbye Elenore』叩いてみました。

TOTO Ⅰ

2021-03-13 | Rock & Pops (70's)
 少し前の話になるが、昔録画した映画を観ていた時にたまたま渡辺謙が出ているスズキ・ワゴンRのCMが流れた。おぉ、こんなんあったなぁ~と懐かしがりながらも私の耳はバックで流れるメロディーに吸い寄せられた。演奏はヴァイオリン奏者デヴィッド・ギャレットによる「子供の凱歌」のカヴァー・ヴァージョンだったが、映画の本編に戻ってからも私の頭の中ではTOTOのオリジナル・ヴァージョンが鳴り出して映画どころではなくなってしまった(笑)
 結局、映画鑑賞を途中で切り上げて2Fのオーディオ・ルームへと駆け上がり、レコード棚からTOTOの1stアルバム「宇宙の騎士」(←この邦題なんとかならんかったんか...)を取り出してターンテーブルに乗せた。う~ん、素晴らしい!!! 久々に、本当に久々に(←5年ぶりくらいか...)TOTOを聴いたがやっぱりエエわぁ...(≧▽≦) 彼らはアホなロックジャーナリズムによってフォリナーやジャーニー、ボストンらと共に “産業ロック” と揶揄されてきたが、私はこれらのバンドはみんな大好き(^.^)  キャッチーなメロディーをギンギンのロックに仕立て上げるなんて最高ではないか! そういう意味でも80年代の洋楽黄金時代において重要な役割を果たしたTOTOというグループはもっとリスペクトされていいと思う。
 そもそも70年代に登場した新人バンドのデビュー・アルバムの中で衝撃の大きかった私的TOP3がヴァン・ヘイレン、ボストン、そしてこのTOTOだった。彼らの1stシングル「Hold The Line」を初めて聴いたのは高1の時だったが、パーカッシヴなピアノの連打と唸りを上げるギターの咆哮が織りなすオリジナリティー溢れるそのユニークなサウンドがとても新鮮に聞こえ、すぐにアルバムを買いに走ったのを覚えている。
Toto - Hold The Line (Official Video)


 アルバムを買ってきてレコードに針を落としていきなり聞こえてきたのがA①「Child's Anthem」だった。おぉ、この風雲急を告げるようなイントロ、めっちゃカッコエエやん!!! たたみかけるようなジェフ・ポーカロの驚異のドラミングの前に理性など吹っ飛んでしまい、アドレナリンがドバーっと出まくる。血湧き肉躍るとはまさにこのこと。そういえば昔テレビのスポーツ番組を見ていてBGMでこの曲がかかった時は担当ディレクターの選曲センスに唸ったものだ。
Toto - Child's Anthem


2ndシングルのA②「I’ll Supply The Love」は後半部分の盛り上がりが何といっても素晴らしい。このサウンドを換骨奪胎してジョン・ウェットンの翳りのあるヴォーカルが醸し出すウエットな要素を付け加えて大仰に飾り立てるとエイジアになる... と言ったら言い過ぎか(笑)
 B面では1曲目に置かれたB①「Girl Goodbye」がカッコイイ! 3rdアルバム「Turn Back」に入っている名曲「Goodbye Elenore」(←なんか Goodbye 多いな...)に繋がるような歯切れのよいアッパー・チューンで、ジェフ・ポーカロが繰り出す変幻自在なリズムに乗ってボビー・キンボールのエモーショナルなヴォーカルが炸裂する。全開で突っ走るスティーヴ・ルカサーのギター(←この人、「ハード・デイズ・ナイト」が自分の音楽の原点だと公言してるガチのビートルズ・ファンです...)もたまらんたまらん!
Toto - Girl Goodbye


 とまぁこのようにこのアルバムはシングル曲以外にもヒット・ポテンシャルの高いナンバーが数多く収録されており、彼らのキャリアの中で一番売れた「Ⅳ」と並ぶ最高傑作と言っていいと思う。極端な言い方をすれば、80'sロックとして究極の完成度を誇る「Ⅳ」に対し、クオリティーの高いデビュー作としての衝撃性に圧倒される「Ⅰ」... という感じか。
 因みにこのレコードのUS盤を買った当時はまだオリジナル盤云々の知識が皆無で、何も知らずに2ndプレス盤(PCナンバー)を買ってしまいUS盤にしては音がイマイチやなぁと思っていたのだが、それから何年か経って1stプレス(JCナンバー)に買い直して聴いてみたところ、これぞ TOTO とでも言うべき元気ハツラツなサウンドが聴けて大満足ヽ(^o^)丿  デッドワックス部分を見ると両面共に TML-M の刻印があり、これはつまり The Mastering Lab でマスタリングされたことを示している。どうりで音のヌケが良いわけだ。Discogsで調べてみるとこのアルバムのUSオリジナル盤は他にも色んなヴァージョンが出ているようなので注意が必要だ。
 それともう一つ、つい最近ビートルズ関連のウルグアイ盤を買った時に追加送料なしであと2枚送れますよとのことだったので、モノのついでにとこの「TOTO Ⅰ」($15)を買ってみたところ、独自カットでUS盤とは又違った味わいの音が楽しめたのだが、面白かったのは、A③「Georgy Porgy」のエンディングの2回リフレインをあろうことか1回目で終わったものと勘違いしてフェイド・アウトしてしまい、間違いに気付いたエンジニアが慌てて2回目のリフレインを途中からフェイド・インしていること。ちょうどビートルズのイタリア盤「Abbey Road」でAラスの「I Want You」が強制フェイド・アウトする(笑)のと同じようなアクシデントだと思われるが、こちらは明らかにミスに気付いているわけで、それでも “まぁエエか...” とばかりにそのまんま商品化してしまうところが細かい事に拘らないウルグアイらしくて可笑しかった。

John Wick Chapter 1-3

2021-03-06 | TV, 映画, サントラ etc
 今の職場に転勤してからちょうど1年になる。仲良くなった同僚とは趣味の話をして仕事のストレスを解消しているのだが、中でも席が隣りのNちゃんとは特にウマが合う。先日、アクション映画の話題で大いに盛り上がった時に “オススメの映画教えてよ。” と言うと “激しいアクション物が好きなら「ジョン・ウィック」がエエですよ。” と言われたので早速その日にゲオに寄って「ジョン・ウィック1」と「ジョン・ウィック2」を借りて帰った。私は映画に関してはアクション物しか観ない人間で、洋画なら「スター・ウォーズ」や「スター・トレック」のようなSF物と「007」や「ミッション・インポッシブル」シリーズのようなスパイ物、邦画は任侠ヤクザVシネ一本やりだ。要するに “ドンパチ” が大好きなんである。
 そんな私にとって「ジョン・ウィック」はまさに “どストライク” の映画だった。引退した伝説の殺し屋がロシアンマフィアのボスのバカ息子に車を盗まれ愛犬を惨殺されたことにブチ切れ、復讐鬼と化して親父のマフィア組織そのものまで壊滅させてしまうという単純明快なストーリーなのだが、小難しいコンセプトなど一切なく、とにかく全編銃撃シーンのオンパレード! 私はこれまでこれほど銃をぶっ放しまくる映画を観たことがない(笑)
 主演のキアヌ・リーブスは映画「マトリックス」のネオのイメージしかなったが、この「ジョン・ウィック」はまさにハマリ役と言ってよく、殺人マシーンと化して華麗なガンさばきで敵を次から次へと撃ち殺していく姿がめちゃくちゃカッコイイ(^o^)丿 弾をブチ込んでダウンした相手の眉間にトドメの一撃を入れるところなんかもうたまらんたまらん(≧▽≦)
John Wick Club Scene full scene

John Wick (8/10) Movie CLIP - John Gets Revenge (2014) HD


 「ジョン・ウィック1」でロシアンマフィアを壊滅させたジョン・ウィックが「ジョン・ウィック2」で戦う相手はイタリアンマフィアだ。自分を利用した挙句裏切ったマフィアのボスに700万ドルの懸賞金をかけられて追われる立場となったジョン・ウィックが逆にそのボスを追い詰めていって最後に一発で仕留めるという胸アツな展開が痛快そのものだ。
ジョン・ウィックチャプター2美術館での無双シーン


 それと、「ジョン・ウィック」を語る上で欠かせないのが「エンピツ」だ。ロシアンマフィアのボスが “ある時奴はバーで3人を殺した... たった1本のエンピツでだ... 誰にそんなマネができる?” とジョン・ウィックの恐ろしさを語るシーンが「1」にも「2」にもあったが、「2」の後半には駅の構内で自分を襲ってきた敵をエンピツを使って返り討ちにするシーンがあり、私的には血湧き肉躍るフェイヴァリット・シーンの一つになっている。
John Wick: Chapter 2 (2017) - Pencil Kill Scene (6/10) | Movieclips

John Wick: Chapter 2 (2017) - With a Pencil Scene (1/10) | Movieclips


 こうして私はすっかり「ジョン・ウィック」にハマったわけだが、ラッキーなことにたまたまその翌日にスター・チャンネルで「ジョン・ウィック・チャプター3 ~パラべラム~」をやっており、2日間で「ジョン・ウィック」シリーズを3本一気に観るることができた(^.^)  この「チャプター3」も基本的には「1」「2」の路線を踏襲した “大ドンパチ大会” なのだが、銃火器だけでなくナイフやカンフーを使った戦闘のヴァリエーションがより多彩になっており(←図書館で本を使って敵を殺すシーンまであった...)、この手のアクション物が好きな人間にとってはたまらん映画なんである。個人的に面白かったのは馬や犬(←助演のハル・ベリーが超カッコイイ!)といった動物までも操って敵を倒すところで、特にホース・キックを受けた敵が吹っ飛ぶシーンには大笑いしてしまった。
"He shot my dog, - I get it." scene (John Wick Chapter 3 - Parabellum)

John Wick: Chapter 3 - Parabellum (2019) - Horse Stable Fight Scene (2/12) | Movieclips


 この「ジョン・ウィック」シリーズでもう一つ私が気に入っているのがシンプルでありながらパンチの効いたセリフの妙である。例えば倒された相手が今わの際にジョンに向かって言う “Be seeing you.” という言葉(←I'll be seeng you.の省略形)。吹替えでは直訳っぽく “また会おう” となっていたが、死にゆく者、しかも裏社会に生きる同業者の言葉という点を鑑みれば “地獄で会おうぜ” に近いだろう。これは「1」のロシアンマフィアのボス、「2」のイタリアンマフィアの女用心棒の死に際のシーンで出てくるが、他にも度々登場するお気に入りのセリフなので、仕事終わりでオフィスを出る時にNちゃんに “ビー・シーンニュ!” と声をかけて帰るようになった(笑)
 それと、敵が送り込んできた武装グループとの戦闘の前にコンチネンタル・ホテルの支配人ウィンストンとジョンの間で交わされた会話 “What do you need?(何が必要かな?)--- Guns. Lots of guns.(銃だ。それも大量の。)” は映画「マトリックス」でのタンクとネオのやり取りと全く同じだったのにもニヤリとさせられた。このシリーズの脚本はこういう遊び心が随所に見られて実に楽しい。
 この他にも相手のセリフをおうむ返しに繰り返したり、マフィアがめったやたらに fuckin' を多用したり(笑)とか、とにかくセリフ回しがめちゃくちゃ面白い。残念なことに日本盤のブルーレイにもDVDにも英語字幕が入っていないので輸入盤を購入しようとアマゾンで探してみると、ラッキーなことにシリーズ3作品のブルーレイとDVDをセットにした6枚組を発見。これで3,900円なら安いものだ。DVDはリージョン1でそのままでは観れないので(←リージョンってホンマに鬱陶しいシステムやわ... 考えたヤツは地獄へ落ちろ!!!)リージョン・コードを外してDVD-Rに焼く必要があるし、ブルーレイも何故か読み込みにめっちゃ時間がかかるのだが、それさえ我慢すれば史上最強のガンアクション映画3部作を激安で手に入れられるのだからエエ買い物をしたと喜んでいる。来年5月に公開予定の「ジョン・ウィック4」が今から楽しみでしかたがない(^o^)丿
John Wick: Chapter 3 - Parabellum (2019) Official BTS “Training for John Wick” – Keanu Reeves