shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Ska Flavor loves ジブリ Songs / 美吉田月

2011-01-29 | TV, 映画, サントラ etc
 “ジブリ・カヴァー祭り” 第3弾は何とスカである。スカと言っても別に “スカを食わされた” という意味の、ネガティヴ・ワードのスカではなく、音楽の1ジャンルとしての “スカ” のことだ。
 私が初めてスカと出会ったのは1979~80年頃だった。降って湧いたように突如出現したこの音楽を当時の音楽雑誌が軒並み大絶賛し始め、素直で影響されやすい性格だった私は流行に乗り遅れまいとして、世評の高かったスペシャルズというバンドのデビュー・アルバムをエアチェックして多大なる期待を持って聴いてみた。ところがビートルズとハードロックばかり聴いていた当時の私(←今でも同じようなモンだが...)にとって、スペシャルズのアルバムはただリズム・パターンが変わっているだけの単調な音楽にしか聞こえず、 “スカ、スカって大騒ぎしてるけど、こんなモンか...” とそれ以降しばらくはスカを敬遠していた。
 そんな私がスカに瞠目したのはその2~3年後のこと、それもヒット曲やアルバムではなくテレビの CM からだった。ホンダ・シティの CM にマッドネスというスカ・バンドが起用され、“ホンダ・ホンダ・ホンダ・ホンダ....♪”という脳内リフレイン確実のキャッチフレーズや楽しさ溢れるムカデダンスでお茶の間に大ブームを起こしたのだ。そこで使われていた彼らのヒット曲「シティ・イン・シティ」を聴いて私のスカに対する偏見は木端微塵に吹き飛んだ。今にして思えば、スカのあのユニークなリズムというのは、分かりやすいメロディーを持った楽しい曲と一体となって初めて活きるのだろう。私は早速マッドネスのアルバムを買ってきて愛聴したが、やがて80年代初めの “ツートーン・スカ” のブームが去ると、私もスカを耳にすることはなくなっていた。
 それから約30年が経ち、今年に入って “ジブリ・カヴァーの名演” を色々漁っている時に偶然出会ったのがこの「Ska Flavor loves ジブリ Songs」というアルバムだ。最初アルバム・タイトルを目にした時は “ジブリをスカで演るんか? いくら何でもそれは悪ふざけが過ぎるやろ...” と眉に唾をつけて疑いの目で見たものだし、現にスカの親戚筋(?)にあたるレゲエでジブリをカヴァーした「ジブリ・レゲエ」がイマイチだったこともあって、あまり期待せずにとりあえず試聴してみたのだが、コレが結構面白い。こういう突飛な企画は大当たりか大外れかのどちらかなのだが、コレは最高に “当たった” のである。試聴を終えた私は迷うことなく買いを決めた。
 届いた CD をプレーヤーにセットしてプレイボタンを押すと、スピーカーから弾けんばかりの勢いで飛び出してきたのは例のスカ・ビートによって換骨堕胎され生き生きと躍動するジブリの名曲の数々だった。アップテンポで2・4拍目を強調した裏打ちを特徴とするスカ・ビートが珠玉のジブリ・メロディーと見事に融合しているのである。しかも女性ヴォーカルは変なクセがなく耳に心地良い癒し系ときたモンだ。コレ、めっちゃエエわ!
 とにかく全11曲、捨てトラックなしの素晴らしさなのだが、中でもスカの楽しさ全開で迫る⑤「ナウシカ・レクイエム」は目からウロコの面白さ。 “ウパ、ウパ、ウパ” という具合にリズムに裏から乗っていくことによって生み出されるたたみかけるようなスリルとスピード感が気持ちいい(^.^) 間奏のオルガンもめっちゃグルーヴィーで、オームの群れも怒りを忘れてみんなでムカデダンスしそうな(←するかそんなもん!)ノリノリのヴァージョンになっている。⑨「人生のメリーゴーランド」も⑤と同じインスト・ヴァージョンで、静謐な原曲のイメージからは想像もつかないような粘着質のビートに腰も砕ける。とにかくこの2曲は聴いてて思わず身体が揺れてしまうような強烈なグルーヴが圧巻だ。
 ②「となりのトトロ」や⑪「崖の上のポニョ」といった楽しさ溢れるジブリの定番曲は更に楽しく、心に沁みるメロディーがたまらない①「いつも何度でも」や③「君をのせて」、⑩「アリエッティズ・ソング」はアップテンポのスカにアレンジされてまったく別の表情を見せているが、これがもう実に斬新と言うか新鮮な感覚で、いつも何度でもリピートしたくなるようなカッコ良いヴァージョンに仕上がっている。
 ベット・ミドラーの「ザ・ローズ」やオリビア・ニュートン・ジョンの「カントリー・ロード」をスカ・アレンジ・ヴァージョンで聴けるのもこのアルバムの楽しみのひとつ。絵に描いたようなスロー・バラッドの大名曲「ザ・ローズ」が原曲の④「愛は花、君はその種子」は大胆不敵なアレンジでアップテンポなスカ・ヴァージョンになっているが、ホンワカ・ムードの女性ヴォーカルが絶妙にマッチしていて違和感は微塵も感じられない。⑧「カントリー・ロード」も出だしの透明感溢れる “カントリ~ロ~♪” と歌い上げるパートはごくフツーの雰囲気なのだが、ヤクザなギターが切り込んできて弾むようなスカ・ビートが炸裂すると、そこはもうコテコテのツートーンな別世界。コレ、めっちゃ好きやわ(^o^)丿 
 ユーミンの⑥「やさしさに包まれたなら」と細野晴臣の⑦「風の谷のナウシカ」は共にミディアム・スロー・テンポで料理されており、スカというよりはレゲエっぽい印象なのだが、このゆったりまったり感が何とも言えず耳に心地良く、ここでも美吉田月の癒し系ヴォーカルが実に良い味を出している。このシンガーのことは何も知らないが、 “日本のジャネット・サイデル” と呼びたいくらい良い雰囲気の歌声の持ち主だ。
 ジブリの名曲をスカ・ビートに乗せてその新たな魅力を引き出したこの「Ska Flavor loves ジブリ Songs」は聴く者をスカッとした気分にしてくれる痛快無比なアルバムで、ドライヴの BGM としても最高だ。私の知る限りイケイケ・オラオラ系のジブリ・カヴァーでは 6% is MINE の「ジブリティック・パンク・カヴァーズ」と並ぶ大傑作だと思う。みなさんも騙されたと思って一度聴いてみられたらどうでスカ?

Ska Flavor loves ジブリ Songs


ナウスカ・レクイエム


カントリー・ロード


【おまけ】めっちゃ懐かしいわぁ~ (^o^)丿
HONDA CITY CF(Japan)
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ジブリ・ミーツ・ボサノヴァ

2011-01-26 | TV, 映画, サントラ etc
 またまたジブリである。一昨年のビートルズで味をしめて以来、このブログでは祭りと称して本能の趣くままに特定のアーティストや楽曲、テーマを集中して取り上げてきたが、2011年最初のお祭りは、様々なカヴァー盤が粗製濫造されているジブリ・ミュージックの中から私が特に愛聴している盤を特集したい。ということで、ジブリの名曲をピアノ・トリオで見事にジャズ化した前回の「ジブリ・ミーツ・ジャズ」に続く “ジブリ・カヴァー祭り” 第2弾はボサノヴァである。
 ネットで調べてみたらジブリのボサノヴァ・カヴァー盤は何種類か出ており、色々試聴してみると正に玉石混交と言っていい状態で、タイトルが似ているだけに一歩間違うととんでもないカスをつかまされるハメになる。特に酷かったのは「ジブリBOSSA」という盤で、これのどこがボッサやねん!と怒鳴りたくなるようなハウス・ミックス系の軽薄ダンス・ミュージックのオンパレード。 “渋谷系” だか何だか知らないが、何でもかんでも「ジャズ」とか「ボッサ」というタイトルを付けて堅気の衆を騙すのは一種の詐欺行為に近い。ジブリに関して言えばジャケットにオシャレな女性のイラストがアップで描かれているような盤は要注意だ。
 そんな偽物が横行するジブリ・ボッサ盤の中で私が気に入ったのがこの「ジブリ・ミーツ・ボサノヴァ」というコンビ盤である。ジャケットに写っている耳が大きくて目がクリクリした可愛い動物は、ナウシカのペットの “キツネリス” のモデルになったと言われるフェネック。やはりジブリのジャケットはこうでなくてはいけない。
  ボサノヴァという音楽は本来、クラシック・ギターを指でつま弾きながら抑揚に乏しいメロディーを呟くように歌うというスタイルだったものが、世界的に広まるにつれて徐々にその形態も変化していき、今ではゆる~いヴォーカルをフィーチャーした心地良い脱力系サウンドの総称として広義に解釈されている。このアルバムも大半はそのような “新感覚ボッサ” で、メロディーの分かり易いジブリ・ナンバーを洗練されたラウンジ・ミュージックに仕上げている。
 収録曲は8曲とやや少なめだがそのサウンドはゆったりまったりで快適そのもの。私はボサノヴァに関しては門外漢なので参加しているアーティストは一人も知らなかったのだが、実際に聴いてみるとどのトラックも実に工夫を凝らしたアレンジでボッサ化されており、そのセンスの良さに唸ってしまう。
 中塚 武 with 土岐麻子の①「となりのトトロ」、viola with Kaori Okano の②「君をのせて」と、親しみやすいオシャレなボッサが続く。 Jazztronik の③「崖の上のポニョ」は Ponyo Nova Arrangement という副題が付いているだけあって、サンバを想わせるような軽快なリズムに乗ってノリノリのボッサに仕上がっている。涼しげな雰囲気を演出するフルートや弾むようなハンド・クラッピングなど、実に秀逸なアレンジだ。 COJIROU with カコイミクの④「さんぽ」もその脱力系ヴォーカルが曲想とバッチリ合っていてめっちゃ和めてしまう。このラフでレイドバックした感覚こそがボサノヴァの本質ではないか。
 大橋トリオによる⑤「風の谷のナウシカ」はこのアルバム中唯一の男性ヴォーカル・ボッサ。やる気があるのか無いのかワカランような朴訥とした歌い方はボッサ・マイスターの 901 さんが聴かせて下さる本場ブラジルのボサノヴァを想わせるもので、正統派ボッサの風格が漂うそのサウンドはオシャレなクラブやカフェで映えそうな女性ヴォーカル群の中で異彩を放っている。付かず離れず寄り添う女性バック・コーラスとのハモりも絶品で、これこそまさに聴けば聴くほど味が出るスルメ・チューンの典型と言えるだろう。
 私がこのアルバムで一番好きなトラックが wyolica という2人組ユニットの⑥「もののけ姫」で、女性ヴォーカルの声質と唱法がボッサ化されたバックのサウンドと絶妙に溶け合い、原曲に潜む神秘性を見事に引き出している。一度聴いたらずっと耳に残りそうなカッコ良いヴァージョンだ。 Lumiere with ellie の⑦「いつも何度でも」も大好きなトラックで、囁き系のソフト・フォーカスなヴォーカルが聴く者の心を優しく包み、ほんわかした気分にさせてくれる。ここまでくると歌唱力がどうとかアレンジがこうとかいう問題ではなく、ただただその美しいメロディーに酔い、そしていつの間にかその歌声に酔いしれているという、そんな稀有な名曲名演だ。
 ジブリの音楽はアニソンというジャンルを軽く超越して、日本が生んだスタンダード・ソングという次元で語られるべきものである。天才的なメロディー・メーカー、久石譲氏の名曲の数々を軽やかなボッサ・アレンジで楽しめるこのアルバムはすべてのジブリ・ファンに自信を持ってオススメできる逸品だ。

もののけ姫(Bossa Nova version)wyolica


Lumiere with ellie


大橋トリオ

ジブリ・ミーツ・ジャズ

2011-01-22 | TV, 映画, サントラ etc
 私にとって YouTube と共に欠かせない音楽情報源がアマゾンである。先日、ジブリ・カヴァーの最愛聴盤である 6% Is Mine を聴いていて、ふと “他にもジブリのカヴァー盤でエエの出てへんかな?” と思い付き、早速アマゾン検索してみると驚いたことに292件もヒット、改めてジブリ音楽の需要の高さに驚かされた。確かにジブリの音楽は作品のクオリティが高くて国民的認知度も抜群という超優良コンテンツであり、カヴァー作の中にはレゲエや和太鼓、それに二胡を使った中国音楽みたいな盤まであってまさに何でもアリの状況だが、多いのはクラシックやオルゴール、それにデジタル臭いダンス・ミュージックの盤で、いくらジブリが好きと言ってもそんなんまで聴きたいとは思わない。
 ジャズ・アレンジの盤も少数ながら出ていたので片っ端から試聴してみたが、正統派モダンジャズとは程遠い、無機質な打ち込みドラムで軽佻浮薄な女性ヴォーカル入りの似非ジャズ盤ばかりでガッカリ(>_<) “ジャズ” というタイトルを付けてちょっとオシャレっぽいジャケットにすれば売れるだろうという魂胆がミエミエなのだが、どこをどう聴いてもカフェバー向けの使い捨てダンス・ミュージックだ。そんな有象無象盤の中で唯一 “おぉ、これは!” と思ったのが立石一海トリオの「ジブリ・ミーツ・ジャズ」だった。
 演奏はピアノ、ベース、ドラムスというオーソドックスなフォーマットで、耳に心地良いジブリ・メロディを親しみやすく料理した、万人受けしそうなピアノ・トリオ・ジャズ。その温かみ溢れるサウンドはまさにジブリの世界にピッタリで、方向性としては80年代にアルファ・ジャズ・レーベルから出ていたケニー・ドリュー・トリオみたいな感じなのだが、その芯にあるのは50年代ピアノ・トリオのエッセンス満載の王道を行くプレイだ。
 ①「いつも何度でも」、②「となりのトトロ」と、心にポッと暖かい灯がともる様な癒し系ジャズが続く。原曲のメロディを慈しむように優しいタッチで弾いているところが素晴らしい。③「崖の上のポニョ」では意表を突いてファンキーなイントロからサビ→Aメロと展開し、Bメロに入ると(1分16秒)アップテンポに転じて奮然とスイングを開始、1分57秒からドスドスと切り込んでくるベースといい、2分15秒からのトリオが一体となってノリノリで疾走するインプロヴィゼイション・パートといい、ジブリ・ソングスの中でも特にお子様志向が強い「ポニョ」がこんなスインギーなジャズになるとは思わなんだ。私の知る限り最高の “ポニョ・カヴァー” である。
 スインギーと言えば⑤「海の見える街」も負けてはいない。スイングの根底をキッチリ支える安定感抜群のリズム・セクションに鼓舞されて気持ち良く弾むピアノがたまらない。インプロヴィゼイション・パートも聴き応え十分で、めちゃくちゃカッコ良いピアノ・トリオ・ジャズが展開されていく。ジブリだと言われなければ “50年代ジャズ・ピアノ・トリオ屈指の名演” で十分通用しそうなキラー・チューンで、私がこのアルバム中で一番好きなトラックだ。
 ④「アリエッティズ・ソング」では静謐で叙情味溢れるトリオ・プレイに唸ってしまうし、⑧「君をのせて」はデューク・ピアソンを彷彿とさせるような品格したたり落ちるジャズ・ボッサに仕上がっている。⑪「風の伝説」ではベースの佐藤忍さんがスコット・ラファロばりのアグレッシヴなプレイでグイグイ煽りまくるスリリングな展開が楽しめるし、瀟洒なブラッシュがたまらない⑬「カントリー・ロード」でもスイングするピアノ・トリオのお手本のようなプレイが堪能できる。ドラムスの鈴木麻緒さんが⑮「テルーの唄」で聞かせる妖艶なブラッシュ・ワークはエヴァンス・トリオのヴィレッジ・ヴァンガード・ライヴにおけるポール・モチアンの如き吸引力だ。
 「さくらんぼの実る頃」は⑥ノーマル・ヴァージョンに加えて⑯レトロ・ヴァージョンがボートラとして収録されているが、私は50'sっぽい音作りの⑯の方が好き。まるでプレスティッジのレッド・ガーランド・トリオを聴いているような感じで、左手のコードが作り出すテンションがゆったりとしたスイング感を生んでいる。絶妙なタイミングで切り込んでくるブラッシュの “シュパッ!” という一撃にもゾクゾクしてしまう。
 老若男女に愛される人懐こいジブリ・メロディを見事な音楽センスでフォービート・ジャズ化したこのアルバム、まさに “大人のためのジブリ・ミュージック” と言うに相応しい大傑作で、メロディ良しスイング良し歌心良しと三拍子揃ったジブリ・カヴァーの金字塔的な1枚だ。

いつも何度でも


崖の上のポニョ


海の見える街


君をのせて

Metal Elvis

2011-01-18 | Cover Songs
 またまた YouTube で面白いモノを見つけた。大好きなヘビメタ関係の映像をチェックしていた時のこと、ページの右側に出る “関連動画” の中に「METAL ELVIS」というのを発見。メタル・エルヴィス?何かめっちゃ面白そうやん!早速「Suspicious Minds / Enter Sandman」というののをクリックしてみると、メタリカの「エンター・サンドマン」のリフからエルヴィスの「サスピシャス・マインド」がスタート、エルヴィスのソックリさんがバックにスラッシュ(ガンズ・アンド・ローゼズ)、ニッキー・シックス(モトリー・クルー)、ピーター・クリス(キッス)のソックリさんを従えて熱唱しているのだ!こーゆーの、大好きやわ(^o^)丿
 すっかり嬉しくなった私は YouTube にアップされてた MetalElvis動画を根こそぎチェック、どれもみなオバカ全開の面白さである。要するに有名なヘビメタ・ナンバーのリフとエルヴィスのヒット曲を合体させてエルヴィス・ライクに歌うという、言ってみれば「演歌メタル」のアメリカ版という感じで、とにかくヴォーカリストが声質から歌い方まで本物のエルヴィスにそっくりなのにはビックリ(゜o゜) アメリカにはこんなソックリさんがゴロゴロいそうだが、そんな中でもかなりエエ線いってると思う。「エンター・サスピシャス・マインド(?)」の他には...
・「That’s Alright Mama」+「Welcome To The Jungle」(Guns N’ Roses)
・「All Shook Up」+「Paradise City」(Guns N’ Roses)
・「Love Me Tender」+「Kickstart My Heart」(Motley Crue)
・「Teddy Bear」+「Live Wire」(Motley Crue)
・「Heartbreak Hotel」+「Looks That Kill」(Motley Crue)
・「See See Rider」+「You Really Got Me」(Van Halen)
・「Blue Suede Shoes」+「Hot For Teacher」(Van Halen)
・「Viva Las Vegas」+「Wanton Song」(Led Zeppelin)
・「A Little Less Conversation」+「Heartbreaker」(Led Zeppelin)
・「Can’t Help Falling In Love」+「Talk Dirty To Me」(Poison)
・「Little Sister」+「To Whom The Bell Tolls」(Metallica)
・「Burning Love」+「Paranoid」(Black Sabbath)
・「Trouble」+「Say What You Will」(Fastway)
とよくもまぁここまでやってくれるわという感じで、コレはもう実際に見て聴いて笑い転げるしかないのだが、何よりもその斬新な発想そのものが素晴らしい!
 合体のパターンとしては、イントロ部分だけメタル曲で歌の部分はエルヴィス曲という、アタマと胴体を無理やりくっ付けたような、笑い飯もビックリの “鳥人型(サンタウロス型?)” と、もう一つは1曲丸ごとメタル曲にエルヴィスのヒット曲の歌詞を巧く乗せた “リアル・マッシュアップ型” の2タイプがあり、特に後者の完成度の高さには唸ってしまう。どちらにせよ、エルヴィス・ファンにもメタル・ファンにも大ウケすることだけは間違いない。私のように両方好きな人間にとってはマスト・バイである。
 CD は出てへんのかなぁと思い USアマゾンや eBay をチェックするが影も形もないし、インディー系に強い CD Baby にも出ていない。そこで試しに「Metal Elvis」でググってみると、ありましたがな、彼らのオフィシャルHP が...(^.^)  結局 CD はネットでのダイレクト通販のみということで、送料込みで$16.00だった。
 そして先週、待ちに待った CD が届いた。もちろん既に YouTube から MP3 に落としてヘビロテ中だったが、ライヴ音源は音がこもってイマイチだったし、アップされてなかった曲も入っているのでめっちゃ嬉しい。ひょっとして手作り感溢れる CD-R かな?(笑)とも思っていたが、意外や意外、盤はちゃんとしたプレス盤だった。
 収録曲は全部で10曲、ボートラとして⑪「メタル・エルヴィス・プロモ」という約1分のラジオ・スポットと⑫「ハートブレイク・ホテル」のライヴ・ヴァージョン(←イントロだけクワイエット・ライオットの「バング・ユア・ヘッド」)が追加されている。①「ザッツ・オールライト・ママ」、②「バーニング・ラヴ」、④「サスピシャス・マインド」、⑥「リトル・シスター」、⑩「ビバ・ラスベガス」の5曲は YouTube で既出のモノと同一、初登場は⑦「ジェイルハウス・ロックンロール」(キッスの「ロックンロール・オールナイト」のイントロで始まったと思ったらいつの間にかエルヴィスの「監獄ロック」に変わってる...笑)と⑨「マイ・ウェイ・アトミック・パンク」(ヴァン・ヘイレンの「アトミック・パンク」のサウンドに「マイ・ウェイ」の歌詞が乗っかるマッシュアップ)の2曲で、どちらも期待を裏切らない面白さである。
 残る3曲は③「スウィート・キャロライン」、⑤「ネヴァー・ビーン・トゥ・スペイン」、⑧「ウォーク・ア・クレイジー・マイル・イン・マイ・シューズ」で、これらは70年代にエルヴィスがカヴァーした曲ということだが、合体ワザの妙味ナシにそんなん聴かされても中途半端で面白くも何ともない。偽物が本物と同じ土俵で勝負してどないすんねん! ここはひとつオバカに徹して上記の「シー・シー・ライダー」や「好きにならずにいられない」(←この2曲が一番オモロイわ!)といった傑作合体ネタをもっと収録してほしかった。ひょっとして2nd アルバム用に温存してるんかな?
 ビートルズをメタリ化した “ビータリカ” にネタ切れ感が漂う中、偶然見つけたこの“メタル・エルヴィス” はそのコンセプトの楽しさといい、エルヴィスのソックリさん度といい、これからも面白いネタでガンガン楽しませてくれそうだ。

METAL ELVIS - "Suspicious Minds / Enter Sandman"


METAL ELVIS - "That's Alright Mama / Welcome To The Jungle" - 2005


METAL ELVIS - "Can't Help Falling In Love / Talk Dirty To Me"


METAL ELVIS - "See See Rider / You Really Got Me"


METAL ELVIS - "Burning Love / Paranoid" - 2005

君微笑めば 【パート2】/ 矢野沙織

2011-01-16 | Standard Songs
 調子に乗って今日も「君微笑めば」の続編である。私は “この曲が入ってたら買う!” と決めている超愛聴スタンダードが数十曲あって、この曲もその一つ。手持ちの盤をチェックしてみたら何と17ヴァージョンもあった。前回はその中から超メジャーな王道系ヴァージョンを取り上げたので、今回は “ちょっとマイナーやけど結構エエやん” と思える隠れ名演をセレクトしてみた;

①矢野沙織
 チャーリー・パーカー直系のビバップなプレイで2003年に衝撃のデビューを飾ったアルト・サックス奏者、矢野沙織。レコーディング当時はまだ16歳だったというから、街で見かけるアホバカ高校生の姿を考えるととても同じ人類とは思えない。その太くて逞しいトーンといい、速射砲のように繰り出されるパーカー・フレーズの連続攻撃といい、まるでベテラン・アーティストのプレイを聴いたような満足感を味わえる。日本チャーリーパーカー協会の辻バード氏が言うように、彼女にはその有り余る才能をモード・ジャズなんかに浪費せずに、この曲のような良質のスタンダード・ナンバーをパーカー憑依状態でストレートに吹く、という道を極めてほしいものだ。
君微笑めば


②バンバンバザール
 これまでビートルズやジブリの “ウクレレ・コンピCD・シリーズ” で何度か取り上げてきたバンバンバザール。アコースティックな音作りに拘りながら、ハワイアン、フォークロック、ジャズ、カントリーといった様々なジャンルのエッセンスのごった煮のようなユニークな音楽を聞かせてくれる貴重な存在だ。この曲でも吸引力抜群のハスキーなヴォーカルに思わず身体が揺れるようなウクレレのスイング感と、彼らの魅力が全開だ。
君微笑めば(When You're Smiling)~バンバンバザール


③熊田千穂
 熊田千穂は銀座キラ星カルテットを率いて古き良き昭和のジャズ・ソングやディキシーランド・ジャズを中心に歌うジャズ・ヴォーカリスト。歯切れの良いリズムを刻むバンジョー、しなやかにスイングするテナー、そしてベースラインをしっかり支える管バスのスーザフォンが生み出す “上海バンスキングな” サウンドに乗って気持ち良さそうにスイングするノスタルジックな歌声が、小難しい理屈抜きで音楽の楽しさを再認識させてくれる。やっぱり古い音楽は心に響くなぁ...
When You're Smiling@熊田千穂と銀座キラ星カルテット


④真梨邑ケイ
 本格的にジャズを聴き始めるずっと前の1980年代、私にとってのジャズ・ヴォーカルのイメージはこの真梨邑ケイだった。テレビの深夜番組で彼女が「素敵なあなた」を歌っているのを見てその大人の女性の気だるい色香を感じさせる洗練された雰囲気に魅かれ、いっぺんにファンになった。彼女のような “ジャジーな” 美人ヴォーカルを硬派なジャズファンはバカにする傾向があるが、イイ女がイイジャズを歌う... それで十分ではないかと思う。雰囲気に酔う女性ジャズ・ヴォーカルというのも中々エエものだ(^.^)
When You're Smiling / 真梨邑 ケイ


⑤Carol Welsman
 キャロル・ウェルスマンはカナダ出身の女性ジャズ・ヴォーカリストで、ピアノを弾きながら歌うそのスタイルは同郷のダイアナ・クラールを想わせるが、ダイアナがドスの効いたヴォーカルでハスキーに迫るのに対し、キャロルの方はしっとりと落ち着いた歌声で、私的にはキャロルのクセのないナチュラルな唱法が好き。この曲は彼女の最新アルバム「アイ・ライク・メン~リフレクションズ・オブ・ミス・ペギー・リー」に収められていたもので、イントロからコンテンポラリー感覚の “大人のジャズ” が展開される。ただ、ケン・ペプロウスキーのクラリネットが出しゃばりすぎで、まるでハエや蚊のようにキャロルのヴォーカルにまとわりついてうるさいのが玉にキズ(>_<)
キャロル・ウェルスマン

君微笑めば / ビリー・ホリデイ with レスター・ヤング

2011-01-13 | Standard Songs
 私は色んな音楽ブログを愛読しているが、その選曲センスの見事さにいつも唸らされるのが shoppgirl 姐さんの ☆★My Willful Diary★☆ である。今年のお正月も新年早々ドリス・デイの「君微笑めば」を取り上げられているのを見て “さすが姐さん、目の付けどころが違うわ!” と感心してしまった。この曲には「枯葉」や「スターダスト」、「サマータイム」のような超有名スタンダードには無い “小品の良さ” があって、私はそれが大好きなんである。これまでも「タミー」、「ラヴァーズ・コンチェルト」、「マイ・ロマンス」と、姐さんのブログに刺激されて後追い特集を組んできた経緯があるので、今回も早速便乗させていただくことにした。姐さん、thanks a lot です(^o^)丿
 この曲は1928年に作られ、翌29年にルイ・アームストロングがレコーディングして有名になり、その後多くの歌手に取り上げられるようになったとのこと。 “君が微笑めば世界中が微笑む。でも君が泣けば雨が降り出す。だから溜息をつかないでもう一度微笑んで。” という内容の、凹んだ時なんかに聴くとめっちゃ元気になれる歌で(←ちゃんとした対訳は shoppgirl 姐さんのブログでどうぞ!)、特にレスター・ヤング屈指の名演が聴けるビリー・ホリディ盤は究極の名演だ。ということで、今日はこの曲の代表的名演をセレクトしてみた;

①Billie Holiday with Lester Young
 ビリー・ホリディというとどうしても陰々滅々たる雰囲気のコモドア盤「奇妙な果実」のイメージが強くて敬遠されがちだが、若かりし頃のこの愛らしい歌声を聴けばそんな偏見も木端微塵に吹き飛ぶだろう。それまでインスト・ナンバーとして聴いていたこの曲の歌詞を “エエなぁ... (≧▽≦)” と実感させてくれたのがコレだ。バックの演奏も素晴らしく、2:06からスルスルと滑り込んでくるレスター・ヤングの歌心溢れるテナーといい、テディ・ウィルソンのコロコロ転がるようにスイングするピアノといい、まさに絵に描いたような名曲名演だ。
When You're Smiling(君微笑むとき) - Billie Holiday


②Ruby Braff
 スイング・トランペットの名手と言えばこの人、ルビー・ブラフ。彼の美しい演奏はベツレヘム・レーベルに数多く残されているが、そんな中でもダントツに好きなのがコレ。懐かしさ溢れるペットの音色、エリス・ラーキンスの上品なピアノ、名手ボビー・ドナルドソンのツボを心得たドラミングと、いいことずくめのキラー・チューンで、特に上記①のレスターのソロを再現したサックス・アンサンブルはまさに50年代の “スーパー・サックス” と言っても過言ではない心地良さだ。
ルビー・ブラフ


③Art Pepper
 私が最初にこの曲を好きになったのはアート・ペッパーの「モダン・アート」、通称 “イントロのペッパー” がきっかけだった。リー・コニッツにも一脈通じるような “抑制の美” とでも言えばいいのか、聴く者に緊張感を強いるような演奏が続く中、ホッと一息つかせてくれたのがこの曲で、その軽妙にして洒脱な語り口に耳が吸い付く。 “クールに、軽やかに、粋にスウィング” のお手本のようなヴァージョンだ。
Art Pepper Quartet 1957 ~ When You're Smiling


④Frank Sinatra
 この曲の男性ヴォーカル物と言えば何はさておきフランク・シナトラのこのヴァージョン。心にポッと温かい灯がともるような柔らかな歌声を聞かせるビリーに対し、こちらは男性的な包容力を感じさせるゴージャスでリッチなシナトラ節が炸裂だ。バックの演奏も当意即妙といった感じでシナトラをがっちりサポート。スインギーな男性ヴォーカルを腹一杯聴きたい時はシナトラに限りますな(^.^)
Frank Sinatra When you're smiling


⑤Louis Armstrong
 滋味溢れるヴォーカルが魅力のルイ・アームストロング。昔はその良さがサッパリ分からなかったが、最近ようやくその酸いも甘いもかみ分けたような歌声の魅力が分かってきた。 “古き良きアメリカ”を感じさせるその枯れた味わいはまさに “ザ・ワン・アンド・オンリー” だ。尚、この曲は日本でも iPhone 4 のCMで使われていたが、私は YouTube で見つけたアメリカ版の CM が好きだ。
Apple - iPhone 4(Louis Armstrong - When You're Smiling)

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Tokyo Jukebox / Marty Friedman

2011-01-10 | Cover Songs
 私は昭和歌謡は大好きだが、ここ10年ぐらいの J-POP には何の魅力も感じない。 B'z 、桑田師匠、まりや姐さんを別格として、それ以外は聴くに値しないとすら思っている。ツタヤでレンタルする DVD を物色しているといつも “ヒットシングル・トップ10” みたいなのが否応なしに耳に飛び込んでくるのだが、どれもこれもツマラン曲ばかりでメロディーも希薄、リズムも似たり寄ったりで私には皆同じに聞こえてしまう。要するに、今の無味乾燥な J-POP は私の嗜好には合わないのだ。
 しかしそんな J-POP を “いーじゃん!” と絶賛し、ついには活動の拠点をアメリカから日本に移してしまった世界的アーティストがいる。元メガデスのスーパー・ギタリストで最近では空耳アワー・スペシャルのゲストとしてもお馴染みのマーティ・フリードマンだ。そこで彼が2009年にリリースした J-POP のギター・インスト・カヴァー・アルバム「Tokyo Jukebox」で、メタル魂溢れるマーティがヘタレな J-POP を一体どう料理しているのか聴いてみることにした。
 収録曲は①「爪爪爪」(マキシマム・ザ・ホルモン)、②「Gift」(Mr.Children)、③「天城越え」(石川さゆり)、④「Story」(AI)、⑤「ポリリズム」(Perfume)、⑥「帰りたくなったよ」(いきものがかり)、⑦「TSUNAMI」(サザンオールスターズ)、⑧「雪の華」(中島美嘉)、⑨「駅」(竹内まりや)、⑩「世界に一つだけの花」(SMAP)、⑪「ロマンスの神様」(広瀬香美)、⑫「明日への賛歌」(alan) の全12曲で、原曲をよく知っているのは③⑦⑨⑩⑪のみ。私の中では石川さゆりは演歌だし、サザンと竹内まりやはそれ自体が独立したジャンルみたいなモンで有象無象の J-POP とは別モノだと思っているが、アメリカ人のマーティにとっては邦楽はすべて J-POP なのだろう。
 そもそも①マキシマム・ザ・ホルモンなんて焼肉みたいな名前初めて聞いたし、②ミスチルはロック魂に溢れていた90年代の曲しか知らない。④AIはその読み方すら分からないし(←アイ?エーアイ?)、⑤Perfume は辛うじて名前だけは知っているが曲は知らない。⑥は確かポッキーの CM ソングが良いって plinco さんが褒めてたグループだと思うが、それ以外の事は何も知らない。⑧中島といえば “みゆき” だし、⑫アランとくれば “プロスト” だ。要するに半分以上はオリジナルを知らずに聴くカヴァー・アルバムなんである。
 で、アルバムを聴き終えての第一印象は “めちゃくちゃいーじゃん!”(笑) 一番気に入ったのは③で、やっぱり演歌とメタルは相性抜群だ。以前「演歌メタル」を取り上げた時に一緒に貼り付けた “石川さゆり本人の歌唱 vs マーティのロックギター vs 異彩を放つ琵琶” というスリリングな三つ巴バトルの映像は圧巻だったが、このヴァージョンもマーティの “「天城越え」と Zep の「ブラック・ドッグ」は似てるんだよ!” 発言が強い説得力を持って迫ってくるようなカッコイイ演奏で、ロックギターで演歌の “コブシ” を見事に表現しきったエモーショナルなプレイがめっちゃスリリング。 “戻れなくても もういいの~♪” のラインなんかもう鳥肌モノだ。楽器を通して “うた” を歌うというのはこういうプレイを言うのだろう。マーティには是非とも “オール演歌” のメタル化カヴァー・アルバムを作って欲しいものだ。
 ゴリゴリのメタル・リフに度肝を抜かれるイントロから一気に畳み掛ける展開に圧倒される⑩もめちゃくちゃカッコイイ(^o^)丿 演奏が凄いのはもちろんだが、SMAPが歌った草食系 J-POP をイケイケのメタル・チューンにまで昇華させたマーティのアレンジ能力の高さにはもう唸るしかない。まさに “メタル魂注入” のお手本のようなキラー・チューンだ。
 サザン最大のヒット曲⑦は、99年鈴鹿のF1日本グランプリで B'z の松本さんが弾いた「君が代」を想わせる壮大な展開を見せる前半部(波の音は余計やと思うけど...)から遊び心溢れる軽快なフレーズが楽しい中間部を経て大団円に持っていくスケールのデカい曲想が凄い。これもマーティの音楽家としての懐の深さというか、抜群のセンスを如実に示す名アレンジだと思う。
 まりや姐さんの⑨、意表を突いたゴリゴリにメタリックなイントロに続いて聞きなれたあのマイナー・メロディーが出てきた時の何とも言えない心地良さをどう表現しよう?私のようなロック好きのまりやファンにとってこれ以上のカヴァーは考えられない。オリジナルに対する深い理解と愛情が伝わってくるヴァージョンだ。
 意表を突く大胆な解釈にビックリしたのが広瀬香美の⑪で、オリジナルが元気印全開のポップ・ソングだっただけに聴く前はイケイケの疾走系ハードロックを予想していたのだが、いざふたを開けてみると静謐なピアノのイントロから始まる美しいスロー・バラッドとして料理されており、マーティの歌心溢れるアコギ・プレイに涙ちょちょぎれる。これはもう参りましたと平伏すしかない。
 未知の曲の中では、爽やかにに疾走する感じがたまらない②、ノリノリのパワーロックなアレンジにウキウキワクワクさせられる⑥、マイナー・メロディを泣きのギターで哀愁舞い散る歌謡メタルに仕上げた⑧あたりが特に好き。どれもマーティの変幻自在なプレイにロックな衝動がこみ上げてくるトラックで、血湧き肉躍るとはまさにこのことだ。(因みにこの後 YouTube でオリジナルを聴いてみたのだが、どれもこれもみんなかったるい歌と演奏ばかり。やっぱり今時の J-POP は自分には合わんわ...)
 J-POP にメタル魂を注入してバリバリのロック・ナンバーに生まれ変わらせた “歌の錬金術師” マーティ・フリードマン、神田川俊郎風に言えば “J-POP ちょっとの工夫で このウマさ” である。次はどんな魔法を見せてくれるのか大いに楽しみだ。

マーティ・フリードマン 「天城越え~雪の華」2009-Sep ←マーティの「激辛」ギターに注目!


Marty Friedman - Kaeritakunattayo


Marty Friedman - Sekai Ni Hitotsu Dake No Hana


【おまけ】仲良しのポール・ギルバートと共に弾きまくるマーティ。この2人、凄すぎる...
Paul Gilbert with Marty Friedman GIG part 2

うた ~by 60 sixty 歌謡曲編 / サエラ

2011-01-07 | 昭和歌謡
 曲コレクションの醍醐味の一つは未知のアーティストとの出会いである。特にそのアーティストがまだ無名のマイナーな存在で、曲の解釈やアルバムの選曲が自分の嗜好にピッタリ合っていたりするともう嬉しくって仕方がない。音楽ファン冥利に尽きるとは正にこのことだ。
 昨年末の「さすらいのギター」祭りに向けてネットで色々調べていた時、偶然見つけたのがこのサエラの「うた ~by 60 sixty 歌謡曲編」というアルバムだった。「さすらいのギター」探しも大事だが、私は敢えて “歌謡曲編” と謳っているところに興味を引かれ、アルバムの詳細を調べてみることにした。
 曲目を見ると、お目当ての「さすギタ」以外にも竹内まりや、沢田研二、西田佐知子、山口百恵、ユーミン、そしてマージョリー・ノエルなんかもカヴァーしており、何とあの伝説の名曲「ヨイトマケの唄」までやっている。もう北斗百烈拳の如く私の経絡秘孔突きまくりの選曲だ。私はこの時点で買いを決めたのだが、サエラというユニットのことをもっと知りたくなって YouTube で検索してみた。すると驚いたことに、ジュリーの「時の過ぎゆくままに」から久保田早紀の「異邦人」まで、懐かしい歌謡曲の名曲の数々が出るわ出るわのワンコソバ状態だ。
 中でも気に入ったのが “「歌謡曲メドレー」サエラ、富士・ケルンコンサート” というライヴ映像で、オーディエンスも手拍子全開、アップされた方の解説にあるように、そのノリはまるで宴会である。メドレーは「五番街のマリーへ」~「恋のしずく」~「涙のかわくまで」~「虹色の湖」~「あなたの心に」~「人形の家」~「北国行きで」~「恋の季節」という実にニクイ選曲で、 “自分もこの場に居たかったなぁ...” と思わせるアット・ホームなコンサートだ。何よりも自分たちが大好きな歌を心の底から楽しみながら歌っているというのがダイレクトに伝わってくるところが良い。サエラの YouTube 映像はすべて見たが、彼女らには大ホールのステージよりもこういう小さなジャズ・クラブでの、オーディエンスとの距離が近いインティメットな雰囲気のライヴが合っているように思う。
 そんなこんなですっかりサエラのファンになった私は早速上記の CD をネットで最安値チェック、まだそれほど売れていないのか、内容が良すぎて誰も手放さないのか、ヤフオクにもアマゾンにも中古盤が出ていなかったので、貯まりに貯まったジョーシンのポイント1,300円分を使って新品を1,200円で購入、何かちょっと得した気分だ(^o^)丿
 サエラは1993年にママさんコーラスで知り合った女性2人が結成したヴォーカルとピアノのデュオで、17年間地元青森で活動していたが、去年ついにメジャー・デビューとなったらしい。グループ名の ca et la はフランス語であちらこちらという意味で、文字通り歌謡曲から民謡までジャンルを超えて “古くて良い歌” を現代に蘇らせてくれる伝承者的な存在なのだ。
 アルバムは全15曲で、⑤と⑪以外は全部知っている懐かしい歌ばかりである。アルバム冒頭を飾るのは竹内まりやの①「人生の扉」... 決して万人が知っている類の大ヒット曲ではないが、五十路を迎えたまりや姐さん入魂の隠れ名曲だ。特に英語詞部分で “I say it's fun to be 20, you say it's great to be 30, and they say it's lovely to be 40...” とたたみかけ、ラストを “But I feel it's nice to be 50.” と逆接でビシッとシメる構成力はもう見事という他ない。やはりこの曲にはまりや姐さんの唯一無比な歌声がベスト・マッチングだが、コレを1曲目に持ってくるあたり、50代の2人にとって思い入れの強い歌なのだろう。
 アルバムを一気通聴してみて思ったのは⑨「そよ風にのって」や⑭「さすらいのギター」のようなアップテンポのトラックももちろん素晴らしいのだが、ヴォーカルの菊池さんの透明感あふれる伸びやかな歌声はミディアムからややスローな曲でより威力を発揮するのではないかということ。そういう意味で西田佐知子の、いや昭和歌謡の大名曲③「涙のかわくまで」なんかもうコワいくらいハマッているし、岩崎宏美の⑮「思秋期」もオリジナルに迫る名唱だと思う。
 そんな中で私的ベスト・トラックは⑩「ヨイトマケの唄」。美輪明宏1966年のヒット曲だが、歌詞中の “土方” が差別用語ということで言葉狩りにあい、その後長い間放送禁止扱いになっていたという曰くつきのナンバーだ。私にはどこをどう聴いても母親の息子への限りなき愛情とそんな母への深い感謝の気持ちを綴った “親子愛の歌” にしか聞こえないのだが、この歌詞の一体どこが差別を助長するというのだろう?頭の硬直した民放連のバカさ加減には開いた口が塞がらない。桑田師匠の「音楽寅さん」で初めてこの歌を聴いた時の魂が震えるような感動は今でも忘れられない。サエラの菊池さんもその抜群の歌唱力で説得力溢れるヴァージョンに仕上げているが、何と言っても楽曲への感情移入が圧倒的に素晴らしい!ハートで歌うというのはこういうのを言うのだろう。
 ということでこの CD には大満足だったのだが、 YouTube の映像を見た後ではどうしても本物のライヴを体験したくなってくる。あの宴会のような手拍子が無いと何となく物足りなく感じてしまうのだ。古き良き昭和に思いを馳せながらサエラの歌声に酔う... コレって歌謡曲ファンにとって至福のひとときではないだろうか?

「歌謡曲メドレー」サエラ、富士・ケルンコンサート


人生の扉


ヨイトマケの唄


【おまけ】桑田師匠屈指の名唱...究極のブルースです
桑田佳祐 ヨイトマケの唄(美輪明宏のカバー)
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1976 ダコタ・ハウスにて・・・

2011-01-05 | Beatles Tribute
 私は暑さ寒さにメチャクチャ弱い。だからこの年末から正月にかけては家に籠って大好きなヤクザ映画からジブリまで(←何ちゅー落差や!) DVD 三昧で過ごしていたのだが、そんな中でダントツに良かったのがこの「1976 ダコタ・ハウスにて・・・」だった。
 コレは VH1 という音楽専門のケーブルテレビ局が制作したTV映画で、ポールがアメリカツアー中にお忍びでジョンに会いに行った1日を克明に描いたドラマなのだが、監督が映画「レット・イット・ビー」のマイケル・リンゼイ・ホッグでしかもストーリーの根幹が実話に基づいているとなれば、ビートルズ・ファンとしては見逃がすワケにはいかない。残念なことに日本盤 DVD は出ておらず、字幕付き VHS はレンタル落ち中古でも 16,000円というプレミア価格なので、仕方なくアメリカ盤の DVD を980円で購入。字幕が無いのはしんどいしリージョン変更するのも面倒くさいが、15,000円の差はあまりにも大きい。
 基本的にはジョンとポールのソックリさんが演じる室内劇的な二人芝居なので映画の出来は役者さんの演技次第という側面があるのだが、ジョン役のジャレッド・ハリスもポール役のエイダン・クインも仕草や喋り方が本物にソックリ!特にポールのリヴァプール訛りなんかめちゃくちゃ似ていて(←モノマネ選手権に出たら優勝できそうなレベル!)、その役作りの巧さに感心してしまった。ビートルズ・ファンならニヤリとさせられるネタが随所に散りばめられているのも嬉しい。
 ストーリーは1976年にウイングスでブイブイいわしてたポールが主夫業に専念していたジョンのアパートを不意に訪れるところからスタート、ヨーコはカリフォルニアまで牛を買いに(!)行って留守ということで部屋には2人きり。最初は微妙な緊張感が漂いお互いぎこちなかった2人が口論しながらも徐々にかつての友情を取り戻していき、マリファナですっかりハイになって変装してセントラルパークを散歩したり、イタリアン・カフェでお茶したり。上機嫌でダコタに戻り屋上へと向かうが、そこでジョンが両親へのトラウマを激白、わだかまりを捨て、分かり合えた2人が部屋へ戻るとTVでビートルズ再結成話をやっている。面白そうだから2人でスタジオに乱入しようぜという流れになったところへヨーコから電話が入り、ポールが空気を読んでその場を立ち去る、というもの。事実は小説より奇なりというが、どこまでが実話でどこからが脚色なのか実に興味深いところだ。
 映画の前半では、再結成を話題を持ち出すポールにジョンが “君がいつまでも「ハード・デイズ・ナイト」を歌っていたいならそうしろよ!” とブチ切れるシーン(19:40)、2人でピアノを弾きながら楽しそうに歌うシーン(30:55~)なんかがグッときたが、中でもビートルズ解散時の確執について2人が口論するシーン(38:40~)は正に迫真の演技で、ビートルズ・ファンの私にとってインパクト特大。 “「ジョンとヨーコ」がすべてで、「ジョン」は捨てたのか!” となじるポールに “君は自分の思い通りにゲームを続けたかっただけじゃないか!” と言い返すジョン。 “僕は必死になって解散を食い止めようとしてたのに、君はヨーコにベッタリだった。僕は親友を失ったような感じだったんだ。” “親友って誰だい?” “君だよ。” “親友なんかじゃなかった...” めっちゃリアルやわ、この辺のやり取り。 “傲慢で嘘つきの愚か者め。僕がどんな気持ちでここへ来たと思ってるんだ!”と涙目で言うポールに対して “もうリヴァプール時代とは違うんだぞ!” と切って捨てるジョン。この後ポールが部屋を飛び出していくところも迫真モンやけど、思い直して戻ってきたらジョンも靴を履いてポールを追いかけようとしてたところにジョンらしさが出ていて何かホロリとさせられた。
 2人が変装してセントラル・パークを散歩するシーンでは、マリファナがバレそうになってイカれたドイツ人のふりをして騎馬警官をやりすごすところが笑えたし、カフェでマッタリお茶するシーンは何だか離婚した夫婦が久しぶりに再会したかのような(?)雰囲気だ。「心のラヴ・ソング」をバカにしていたジョンが、「バンド・オン・ザ・ラン」を “great album だ” と褒めた時のポールの “Excuse me?” にはワロタ。寄ってきたファンをジョンがからかうシーンも可笑しかったし、 “イエスタディを歌って下さいませんか” とジョンに頼みに来た老夫婦に向かって “奥さんのカツラをかぶってひざまずいて俺のナニをくわえたらやってやるよ” と毒ずくところなんかジョンらしさが出ていて面白かった。カフェを出た後の2人、お互いに友情を再確認出来たような感じでめっちゃエエ雰囲気だ。
 ダコタの屋上へ上がるエレベーターの中でジョンがふざけてポールにキスするシーンでポールが言った“Is my name Brian?” には大爆笑。こーゆーウィットに富んだセリフをさりげなく入れるあたり、さすがはリンゼイ・ホッグと唸ってしまう。屋上でジョンがポールに腹の内をさらけ出して泣くシーンはかなりへヴィーだが、人間臭いジョン・レノンを見事に描き切っていると思うし、そんなジョンにかけるポールの言葉の一言一言に溢れる優しさにジーンとさせられる(1:18:00~)。エエなぁ、このシーン...
 部屋に戻り一緒にソファーに寝転がって「サタデー・ナイト・ライヴ」を見ているとキャスターが “ビートルズがスタジオに来て3曲歌ってくれたら$3,000出します” (←安っ!!!)というギャグをかまして観客に大ウケしてるのを見て “今から2人で行って世界中をビックリさせてやろうぜ!” と盛り上がるジョンに “本気かい?” と返すポールのやり取り、見ていて思わず頬が緩んでしまう。ポールが車に置いてあるギターを取りに行ったところへ何とヨーコから電話が...(>_<) もちろんドラマだと分かってはいるが、ヨーコってやることなすことビートルズ・ファンにとっては天敵のような存在だと思わざるを得ない。何も知らないポールが意気揚々と戻ってくるとそこには背中を丸めて電話でヨーコと話すジョンの姿、それを見た時のポールの何ともいえない表情(1:26:05)がめちゃくちゃやるせない。夢のような時間から一瞬にして現実に引き戻されたようなこの感じはとても言葉では言い表せない。邪魔しないように小さな声で “じゃあ帰るわ” と言うポールに対してヨーコと電話しながら軽く手を振るジョン...この別れ方、何かめっちゃ切ない。
 ドラマのエンディングは車の中からリンダに電話するポール。淋しい時って愛する人の声が聞きたくなるんよね。この時のポール気持ち、痛いほど分かるわぁ。 “Linda, I love you.” と言って電話を切った時のポールの表情がたまらない(1:27:45)。ポール役のエイダン、ホンマに名演技やわ(≧▽≦)
 ポールは心底ジョンが好きやったんやなぁ...と実感させてくれるこのドラマ、原題の「Two Of Us」は簡潔にしてこれ以上ないと思える絶妙なタイトルだ。緻密に練り上げられた脚本、きめ細やかな演出、そして何と言っても役者さんの演技が圧倒的に素晴らしいこのドラマ、ビートルズを深く知ってれば知ってるほど楽しめると思うし、自分がこれまで見たビートルズ関係の映画の中では間違いなく最上位に位置する大傑作だ。日本盤 DVD 出してくれへんかな~

Two of Us 5 (2人が口論するシーン)


Two of Us 7 (カフェでマッタリするシーン)


Two of Us 8 (カフェ~屋上のシーン)


Two of Us 9 (屋上~ソファーでリラックスのシーン)


Two of Us 10 (切ないエンディングのシーン)
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ノルウェーの森 / 1966 カルテット

2011-01-03 | Beatles Tribute
 1ヶ月ほど前のこと、私はパソコン好きの友人の付き添いで日本橋まで出かけて行った。パソコンのパーツ専門店というのはマニアにとってはパラダイスらしいが、何の関心もないド素人にとっては退屈極まりない所。友人は怪しげなパーツを手に熟考中だ。私は30分ぐらい我慢していたのだが、手持ち無沙汰で待っているのについに耐えきれなくなり、近くにある CDショップのジョーシン・ディスクピアで待つことにした。このお店は在庫数膨大で売り場面積も広いので時間つぶしには最適なのだ。
 2Fのロック・ポップス売り場は人が多くて鬱陶しいのでパス。客数が少なくていつも閑散としている3Fのジャズ・クラシック売り場へ行く。予想通りガラガラである。嬉しくなった私はジャズの CD を片っ端から見ていくが、どれもこれも過去の名盤のリマスター盤や廉価盤ばかりで何の新鮮味もない。しょーもないなぁ...と思いながら店内をぶらついていると、いきなり目に飛び込んできたのがこのモノクロ・ハーフシャドウのジャケット。言わずと知れた「ウィズ・ザ・ビートルズ」のパロジャケである。そこはジャズではなく私が足を踏み入れたことのないクラシックのコーナーだった。
 興味を引かれた私が CD を手に取ってみると写っていたのはうら若き女性4人。左上にはパーロフォンの代わりに日本コロムビアのデンオン・マーク、右上にはご丁寧に stereo の文字が踊っている。これで面白そうだと思わなければビートルズ・ファンではない。タイトルは「ノルウェーの森 ~ザ・ビートルズ・クラシックス」となっており、1966カルテットという、ヴァイオリン2台にチェロ、ピアノの女性4人組クラシカル・ユニットによる演奏だ。曲目を見ると、いかにもクラシック・ファンが好みそうなバラッドの定番曲に混じって③「抱きしめたい」や⑫「ア・ハード・デイズ・ナイト」、そして④「ラヴ・ミー・ドゥ」~⑤「プリーズ・プリーズ・ミー」~⑥「フロム・ミー・トゥ・ユー」~⑦「シー・ラヴズ・ユー」(←メドレーになってます)といった初期のシングル曲なんかも演っている。
 私は元来この手の “ビートルズをクラシックで” みたいな盤は苦手なのだが、このアルバムはジャケットの拘りようといい(←裏ジャケの4人のシルエットはビートルズというよりラモーンズっぽいけど...笑)、一味も二味も違う選曲といい、 “ちょっと違う感” が濃厚に漂う。 “欲しいなぁ...” と思ったが、いくら何でも CD1枚に3,000円も出す気にはなれない。日本の CD の値段はどう考えても高すぎる。結局、帰ってネットで探して運良く中古盤を発見、11月に出たばかりの新譜で1,800円ならラッキーラララである。
 実際に聴いてみての感想だが、クラシックにありがちな長尺の組曲風ではなくて1曲1曲が3~4分で完結しているのでロック/ポップス・ファンの私でも違和感なく楽しめる。何よりも感心したのは、あくまでもオリジナルに忠実に、それでいてヴァイオリンやチェロ、ピアノといったクラシック楽器の良さを巧く活かしたアレンジがなされているところで、そういった楽器の音色が珠玉のビートルズ・ナンバーの魅力を見事に引き出しているように思う。アレンジャーは加藤真一郎という国際的に活躍している新進気鋭のピアニストの方らしいが、マニアックな視点から言わせてもらえば、ジョージ・マーティン以外の人物がストリングス・アレンジをした「シーズ・リーヴィング・ホーム」を彼がどう料理するか聴いてみたかったところだ。
 とにかくどのトラックもハズレ無しの出来なのだが、特に気に入ってるのは変幻自在な器楽アレンジに耳が吸い付く⑪「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」と⑰「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウイープス」。コレをクラシック・ファンだけに独占させておくのは勿体ない。アップテンポでノリの良い演奏が楽しめる③④⑤⑥⑦⑫のような初期ビートルズ・ナンバーのクラシック・ヴァージョンも中々エエ感じだし(←特に⑤「プリーズ・プリーズ・ミー」のチェロがカッコイイ!)、聴く前から音が聞こえてきそうな②「イエスタデイ」や⑯「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」、⑲「グッド・ナイト」なんかもオリジナルへのリスペクトと歌心に溢れた演奏で、私のようにクラシックが苦手なビートルズ・ファンでも十分楽しめる内容だ。
 日本におけるビートルズ初代担当ディレクター、高嶋弘之氏がプロデュースしたこのアルバムは、オシャレな喫茶店の BGM なんかに使うとぴったりハマりそうな気もするが、単なる BGM として終わらせるにはもったいないクオリティーの高さを誇っている。やはり高嶋氏を始めとする制作者サイドのビートルズ愛の賜物か、クラシック畑のアーティストが “ちょっとビートルズ演ってみました” というような有象無象の “似非トリビュートもの” とは激しく一線を画す、清々しさ溢れる1枚だ。

ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー


ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウイープス


初期ビートルズ・シングル・メドレー
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琴・ビートルズ

2011-01-01 | Beatles Tribute
 新年あけましておめでとうございます♪ 何やかんやでこのブログも3回目のお正月を迎えることができました。今年もこれまでと同様ノリノリのロックンロール、萌え萌えの女性ヴォーカル、古き良き昭和歌謡、ノスタルジックなスタンダード・ソング中心の、独断に満ちた極私的音楽ブログでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

 私は音楽を聴くのは三度の飯よりも好きだが自分で歌うのは大の苦手なので、この十何年かカラオケに行っていない。たとえ行ったとしても大好きな B'z はキーが高すぎて歌えないし、ワケのわからん J-Pops を延々聞かされて作り笑顔で耐えるのも鬱陶しいだけだからだ。ところが先月、我が朋友のサムから “カレシトカラオケイクンダケド、イッショニイカナイ?” とお誘いを受けた。 “カラオケに行くって... 英語の歌あるんか?” と訊くと “タクサン アリマス。ラモーンズもアルヨ!イコウヨ!” と言われ、話のネタに面白そうなので行ってみることにした。
 当日は土曜の夕方ということもあって大渋滞を避けるためにバスと電車で行こうとしたのだが、待てど暮らせど肝心ののバスが来ず、結局待ち合わせの時間に20分以上遅れるハメに(>_<) 心優しい二人は笑顔で迎えてくれたのだが、奈良交通への怒りで頭が一杯で “ジョー・ペシ憑依状態” だった私は思わず “So sorry to have kept you waitin'. The fuckin' bus came 20 minutes late!” と口走ってしまったのだ。後でサムから聞いた話だと、彼氏のデイヴィッド(←偶然やけどこのカップル、“サム&デイヴ” なんよね...)はめっちゃシャイな性格で私と会うのにかなり緊張していたらしいが、初対面の日本人がいきなり fuckin' を連発するのを聞いて一気に緊張感が吹き飛んだらしい。おかげですっかりリラックスして音楽の話で盛り上がったのだが、聞くところによると彼は今、琴を猛練習中だという。彼の人柄が気に入った私は、自分のコレクション中唯一の琴CDを焼いて彼に進呈することにした。それがこの「琴・ビートルズ」である。
 この盤を買ったのはCD1枚がまだ3,500円もしていた1984年頃だったと思うが、当時からビートルズと名の付く盤には何でもかんでも見境なく手を出していたようだ(笑) 内容は読んで字の如く、ビートルズの名曲の数々を琴で演奏したもので、いかにもユピテル・レコードらしい企画である。当時は興味本位で買って聴いていたのだが、すぐに飽きてそれ以来ずっと CD 棚の奥深く眠っていたものだ。
 で、今回約25年ぶりに聴いたのだが、今の耳で聴くとコレが結構面白い。演奏はすべて琴4面(4台とは言わないらしい...)で構成された “琴アンサンブル” で、リードギターならぬリード琴(?)は白根きぬ子という人。この名前どっかで聞いたことあるなぁとネットで調べてみたら、何とあの和ジャズ名盤「祭りの幻想」(白木秀雄)のタイトル曲のアタマで琴ソロを弾いていた人ではないか!音楽の世界はジャンルの垣根を越えて意外なところで繋がっているところが面白い。
 アルバムは全16曲収録で、すべてのトラックが3分前後の演奏だ。取り上げられている曲も⑨「イエスタデイ」や⑩「ミッシェル」、⑭「サムシング」といったビートルズ・バラッドの定番から⑤「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」や⑦「ノー・リプライ」、⑪「デイ・トリッパー」のような “一体コレをどーやって琴で演奏するねん!” と言いたくなるような意外なナンバーまで、ヴァラエティーに富んだ選曲になっている。しかもどのトラックもこの手の盤にありがちなやっつけ仕事的な演奏ではなく、曲に合わせて演奏パターンやアレンジに工夫が凝らされており、単なる色物盤として片付けてしまうには惜しい内容だ。
 特に印象に残ったのは①「ヒア・カムズ・ザ・サン」のギター・アルペジオや②「イン・マイ・ライフ」の間奏のバロック風ピアノ、⑧「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」のオーケストレーション・パートを見事に琴で表現しているところ。⑯「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」における繊細な琴アレンジも素晴らしい。まぁこの盤は個々の演奏についてどうこう言うよりも、日本の古典楽器である琴独特の音色でビートルズの名曲の旋律を楽しむ、ということで良いのかもしれない。お正月に琴で聴くビートルズっていうのも中々味があってよろしいで(^o^)丿

ヒア・カムズ・ザ・サン


イン・マイ・ライフ


【おまけ】ジョー・ペシをご存じない方はコレ↓をご覧下さい。映画「カジノ」のワンシーンですが、新年早々 fxxk ネタですんません...
Joe Pesci Owns Robert De Niro in Casino 22 Fucks in 2:22
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