shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Out There Japan Tour 2015 [SNE BD-R] / Paul McCartney

2015-08-29 | Paul McCartney
 今回のポールのジャパン・ツアーにおいて、オーディエンス録音CDに関しては様々な高音質盤が生み出されてきたが、その一方でDVDやブルーレイなどの映像作品に関してはスカパーのプロショット盤を除けばリリース数も少なく、内容的にも帯に短しタスキに長しといった感じで、これぞ!という決定版は存在しなかった。ただ、SNEレーベルから出た武道館ライヴCDにボーナス・ディスクとして付属していた「レット・ミー・ロール・イット」の超クロース・ショット映像が衝撃的だったので、この1曲だけでなく武道館ライヴの完全版があったらエエのになぁ...と秘かに期待していた。
 そんなSNEレーベルからブルーレイが出ると知ったのはスカパー放送直後の7月半ばで、“何でもっと早く出さんかったんやろ...???” と不思議に思いながらインフォを読むと、“日本武道館公演映像アイテムと一緒に楽しんで頂きたく思い、2015年度版のROCK SHOWを目指すべく この作品を精鋭編集、当レーベルのポール2015日本ツアー・アーカイブから厳選した特選映像のライブベスト作品。” とのこと。 “先日放送された武道館公演とは異なる映像編集で本作品の価値を下げないことを命題としてセットリスト順に各地の映像を収録することで、より完璧なライブ・ベスト&ロード・ムービー的なドキュメンタリーが完成” とある。要するにストレートにライヴを楽しみたければスカパーで、総集編的なツアー・ドキュメンタリーなら本作で、ということらしい。スカパーのプロショットとは一味違うオーディエンスの超接写映像で武道館ライヴの完全版を期待していた私としては正直言ってガッカリな商品コンセプトだが、武道館であれドームであれ、例のボーナス・ディスクのようなポールのドアップが観れるならまぁエエか...と思い、買いを決めた。
 収録されているのはジャパン・ツアーから15曲で、30曲を超えるレギュラー・フォーマットのセトリを考えるとその半分にも満たない。内訳は私が参戦した4/21京セラドームから①「マジカル・ミステリー・ツアー」、②「セイヴ・アス」、⑦「ブラックバード」、⑫「ハイ・ハイ・ハイ」の4曲、4/23東京初日から③「ジェット」、⑥「ホープ・フォー・ザ・フューチャー」、⑧「オブラディ・オブラダ」、⑮「アビーロード・メドレー」の4曲、何故か4/25東京2日目の映像は無くて、4/27東京3日目から⑪「ヘイ・ジュード」(←例の “ハウリングでポール激おこ”事件の全容がバッチリ見れます...)、⑬「イエスタデイ」、⑭「ヘルター・スケルター」の3曲、そして4/28武道館公演から④「レット・ミー・ロール・イット」、⑤「メイビー・アイム・アメイズド」、⑨「レット・イット・ビー」、⑩「リヴ・アンド・レット・ダイ」の4曲だ。ボーナス・トラックとして5月23日にロンドンのO2アリーナで行われたライヴ(←画面上ではなぜか “23 April 2015” ってなってるけど...笑)から「テンポラリー・セクレタリー」や「アナザー・ガール」など5曲が追加収録されているが、私的にはボートラは要らんからもっと武道館の接写映像を収録して欲しかったところ。ハッキリ言って本編の収録曲数の少なさをごまかすための “蛇足” 的な印象は否めない。
 収録されている映像はどれも期待を裏切らない素晴らしさで、15曲だけとはいえ、そのどれもがスーパー・ショットの連続なのだからファンとしてはたまらない(≧▽≦)  特に京セラと武道館の映像は圧巻で、曲によってはスカパーのプロショットすら凌駕する真正面からのアップ映像が楽しめるのだ(^o^)丿 ハレーションによる顔面白光りも一切なく、ポールの表情や目線までもがリアルに捉えられた超美麗映像はまなにファン必見といえるもので、画面にグイグイ魅き込まれてしまうこと間違いなしだ。





ハウリングでポールの表情が一変した瞬間↓

 
 このように映像の面では100点満点を献上したいぐらい素晴らしいこのブルーレイ盤だが、唯一不満な点は、“ポール日本ツアーの総集編” というコンセプトを意識し過ぎたのか、あれもこれもと余計な映像までゴテゴテ詰め込み過ぎなところ。ライヴに浸っている時にいきなり関係のない映像が挿入されるパターン(←オフィシャルの「赤の広場ライヴ」とか...)は私の最も忌み嫌うところだが、ここでも⑧「オブラディ・オブラダ」が終わった直後に関空到着やドーム入り、それに武道館開演前のウエーヴの様子など、ライヴに関係のない映像が数分間挿入され(BGMはペニー・レイン)、その後いきなり⑨「レット・イット・ビー」が始まるというワケのワカラン構成になっている(>_<)
 更に酷いことに、⑩「リヴ・アンド・レット・ダイ」の後にもファンのインタビュー(←こんなん要らんわ!)や武道館1曲目の「キャント・バイ・ミー・ラヴ」のプロショット映像(←何故ここに入れる???)、その後いきなり “マタ アイマショウ” が挿入されてから(笑)「ヘイ・ジュード」が始まるという、アタマおかしいんとちゃうかと言いたくなるような時系列完全無視のアホバカ編集がなされているのだ。これだけ素晴らしい映像が揃っているのだから、余計な事をせずにシンプルな編集にすればよかったのに...(>_<)  Dark McKnight だか誰だか知らないが、人間、策を弄しすぎるとロクなことはない。
 とまぁこのように不満な点もあるにはあるが、それらを帳消しにしてお釣りがくるぐらい素晴らしいクロース・ショットの数々が楽しめるこのブルーレイ盤... 恥ずかしながら “See No Evil” なんてレーベルは半年前まではその存在すら知らなかったが、一連の高音質CDをも含め、今回のポール・ジャパン・ツアーにおけるSNE諸作品の充実ぶりは特筆に値すると思う。
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One Night At Judo Arena 2015 HD / Paul McCartney

2015-08-16 | Paul McCartney
 ここ数回にわたってポールのポスト・ジャパン・ツアーを特集してきたが、今日は久々に武道館アイテム、それもスカパー音源をリマスターした究極音質SBD録音が楽しめるルビジウム・マスター盤を取り上げよう。
 昨年3月のスカパー放送直後に色んなメーカーからSBD盤がリリースされた時、私は1,000円という安さにつられてすぐにグリーンアップル盤を買ったのだが、高音がキツくて長時間聴いていると耳が疲れるなぁと思っていたところにルビジウム盤の存在を知り、物は試しと買い求めてgA盤と聞き比べてみたところ、同じSBD盤にもかかわらず耳に優しいナチュラルな音質に感銘を受け、一聴してすぐにルビジウム信者になったという次第。そういうワケで、今回のスカパー音源SBDに関しては最初からルビジウム盤一点狙いで、BIG EGGやらBROAD DISK NETWORK やらといった得体の知れないレーベルからリリースされるスカパー盤には目もくれず、一日千秋の思いでひたすらルビジウム盤のリリースを待っていた。
 そして7月も終わりに近づいたある日のお昼休みのこと、いつものように弁当を食べながらネットで色々ブート情報をチェックをしていたところ、宝盤レコードのHPでこのルビジウム盤を発見。まさに キタ━━━(゜∀゜)━━━!!! という感じである。しかも “在庫数1” ということはアップされてから半日足らずで9枚売れた(←このお店は10枚単位で仕入れて残り在庫枚数が表示される仕組みになっている)ということか...(゜o゜)  前作が好評だったせいか約1,000円アップの4,860円という強気の価格設定だが、個性豊かな音の違いが楽しめるオーディエンス録音盤とは違い、SBD盤に関しては最高音質盤が1枚あればそれでいいと考えているので、私は大慌てで残りの1枚を予約。SOLD OUT表示を見て “最後の1枚に間に合ってよかったー(^o^)丿” と大喜びしたが、まだまだ “ご予約受付中” ということで、翌日には再び “在庫数10” に戻っていた(笑)
 約1週間後に届いた盤は前作同様CD2枚とBD-R1枚の計3枚セット。スカパーを録画してある私にとってBD-Rはオマケみたいなもんで、お目当ては当然ルビジウムCDの方だ。ワクワクしながらプライマーCDプレイヤーのターンテーブルに乗せる。いよいよ待ちに待ったルビジウム武道館が聴けるのだ(^.^)
スピーカーから飛び出してきた音は文句なしの極上サウンドで、一言で言い表すとすれば “豊潤な音”。とにかく音に潤いがあって瑞々しいのだ。これはもう低音がどーのとか、音圧がどーのとか、そういうミクロ的な次元で語るべき音ではない。もちろんウチのオーディオ・システムとの相性も抜群なのだろうが、車の中で聴いても圧倒的な高音質だったので、難しい技術的な事は良く分からないが、これはやはりルビジウム効果なのだろう。ポールのライヴ史上に燦然と輝くあの伝説の一夜をこのようなチョースバラシイ音で聴けてこれ以上の幸せはない。
Can't Buy Me Love [Rubidium]


 ボーナスBD-Rの方は当然録画したスカパー放送と同じ超美麗画質。2年前にそれまで長年使っていたテレビが壊れて買い替えを余儀なくされた時は仕方なしにハイビジョンを導入した私だが、今こーやってポールの最新ライヴを鮮明な画質で観ることができ、ブルーレイ・レコーダーを買っといてホンマに良かったと思う。DVDかブルーレイかで迷っている人にはブルーレイを強くオススメします。
 尚、画面右上のスカパー・ロゴはオープニングのブルーの武道館画像で巧妙に隠してあり、視聴する上で全く違和感はない。また、番組最後に流れるエンドロール中の日本人スタッフ名は映るとヤバいのか、その部分だけは下のような静止画像のスライドショーに差し替えてある。ブート屋さんも色々大変ですな(笑)




 ということで価格アップだけが玉にキズだが、それ以外は期待を裏切らないスーパーウルトラ高音質でポールの武道館ライヴが楽しめるこのルビジウム盤... 5月から長々と続けてきた当ブログの “武道館祭り” の最後を飾るのにふさわしい、極めつけの家宝アイテムだ。
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ポールのシャーロッツビル・ライヴ聴き比べ

2015-08-10 | Paul McCartney
 ポールのポスト・ジャパン・ツアー特集も何やかんやでいよいよ最終回だ。ポールはフランス公演と北欧ツアーの間に1週間だけアメリカをまわっているのだが、今日はそんな2015アウト・ゼア・ツアー北米レグの中から6月23日にシャーロッツビルで行われたライヴを収録した2種類の盤の聴き比べをやってみたい。
 このシャーロッツビルというのはアメリカ東海岸にある田舎町なのだが、総人口約4万人のこの町で行われたライヴに約1万4千人が集まったというのだから、コンサート当日は町中がポール一色に染まっていたことだろう。コンサートが行われた会場の名前がこれまた変わっていて、何とジョン・ポール・ジョーンズ・アリーナというらしい。ひょっとすると他にもジミー・ペイジ・アリーナとかロバート・プラント・スタジアムとかあったりして....(←ないない...笑)。
 今日取り上げる盤の1枚目は7月の初めに LH がネット音源をプレス化リリースした「アウト・ゼア・シャーロッツビル2015」だ。バーミンガム盤やマルセイユ盤ですっかり味をしめていた私は、インフォの “その極上の音質ときたら、各種日本公演に並ぶビッグ3へ格付けしたくなるほど見事な録音状態。オンな音像は当たり前、さらに2015年のポール・ライブ音源の中でも際立つウォーミーな質感。その聴き心地は掛け値なしに絶品...” という煽り文句に乗せられ、迷うことなく即オーダーしたのだった。
 届いた盤は看板に偽りナシの高音質盤で、インフォには “シャーロッツビルの観客は全然盛り上がっていません... なんでこんなに淡泊なんでしょうか... はっきり言って日本公演の足元にも及びません” とあったが、私にはシャーロッツビルのお客さんたちもそれなりにライヴを楽しんで盛り上がっているように思える。あの武道館の凄まじいばかりの盛り上がりを体験してしまうと他のライヴ盤がどれもみな淡泊に聞こえてしまうのはしゃーないわ...(-。-)y-゜゜゜
 私としては “盛り上がってない” というよりはむしろ “奇声の類が少ない” ため、非常に気持ち良く音楽に聴き入ることが出来るというのが率直な印象だ。田舎町でのライヴだからなのかもしれないが、お客さんたちの行儀が良くて耳障りなオーディエンス・ノイズがほとんどないのが嬉しい。元々高音質な上に私が蛇蝎の如く嫌っているホーホーやアウアウが皆無なのだから、コレはもう大当たり盤である。
 それと、あまり変わり映えのしないセトリにもかかわらず私が同ツアーの色んな音源を嬉々として買っている理由の一つは、ローカル色豊かなポールのMCにある。ポールの大阪弁MCが楽しい京セラドーム公演や “ブ・ド・カ・ン!” 連呼に涙ちょちょぎれる武道館公演はもちろんのこと、客席にいるお孫さん達の前で “いつもソファーで寛いでるおじいちゃんが実はロックスター(笑)” と語って大ウケしていたバーミンガム公演など、ご当地に合わせたポールのMCを聞いているだけでもめちゃくちゃ楽しい。
 ここシャーロッツビル公演で面白かったのは “Sign my butt, and I'll make it a tattoo.”(私のお尻にサインして!タトゥーにするわ。)ネタでお馴染みの “Don't read the signs” MCのコーナー(?)で、“Paul, name our dog!”(ポール、ウチのワンちゃんの名付け親になって!)に対してポールが “Penny Lane or Abbey Road?” と提案、結局オーディエンスの拍手の大きさで犬の名前は「アビー・ロード」に決定したのだが(笑)、ポールは “Here, Abbey! Come on, Abbey!” と茶目っ気たっぷりのMCで観客を笑わせていた。エエなぁ、このマッタリとしたのどかな雰囲気... (≧▽≦)
I've Just Seen A Face Charlottesville


 とまぁこのように愛聴盤となったこの「アウト・ゼア・シャーロッツビル2015」だが、驚いたことにLHはその2週間後に別音源のシャーロッツビル・ライヴ盤をリリースした。題して「デフィニティヴ(決定版)・シャーロッツビル2015」。 “武道館じゃあるまいし、何でまた同じ場所のライヴを出すんやろ???” と訝しく思ったが、インフォによると “新たに登場したオルタネイト・レコーディングで、前回のリリースよりもさらに音圧を増した音像とクリアネスを前にして迷わず今回のリリースを決定” したとのこと。あれよりも音が良いってどんな凄い音やねん!と思いながら読み進むと “とにかく今回のは音像が近い。それでいて広がりのあるクリアネス。ラスティのギターがまるでサウンドボードのようなリアルさを持って迫ります!” だとぉ? うーん、コレは聴かねばならぬ。ということですっかりLHの思うツボにはまった私は2枚目のシャーロッツビル盤を買ってしまった(笑)
 実際に聴いてみた印象は、とにかく “切れ味鋭いハイ上がりな音”。確かにクリアネスは抜群だが私の耳にはちょっとキツ過ぎる感じで、ギターの音がキンキンというか、かなり金属的に聞こえるのだ。そこで物は試しと聴き慣れた先行盤との聴き比べをやってみることにした。2台のCDプレーヤーにそれぞれの盤をセットして同時にプレイし、プリアンプの切り替えスイッチで両者の違いを確かめようというものだが、やってみると単体で聴いている以上に2枚の違いが露わになった。
 先行盤の方は中低域に厚みがあり高域はややおとなしめ、後発盤の方はブリリアントな高域が耳につきすぎて中低域がやや薄っぺらく感じられたのだ。例えるなら前者がT&J的な音作り、後者がピカデリー的な音作りと言えば分りやすいと思うが、LHインフォにも “ウォーミー派には「Out There Charlottesville 2015」を、クリアネス派には「Definitive Charlottesville 2015」をおすすめ” とあったように、これは音の優劣の問題ではなく好みの問題だろう。私はどうやら “ウォーミー派”(←形容詞warmに –yを付けたwarmy なんて言葉、実際の英語にはないLHの造語なのだが、アナログ・テイストな温かみのあるサウンドを形容する言葉としてはこれ以上しっくりくるものはない...)らしく前者の音が好みなのだが、みなさんはどうですか?
Eight Days A Week Charlottesville

Eight Days A Week Definitive Charlottesville
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ポールの2015 ヨーロッパ・ツアー特集 ~Marseille & Oslo~

2015-08-04 | Paul McCartney
 ロンドン、バーミンガム、リヴァプールと、母国イギリスで4公演を行った後、ポールはフランス→オランダ→フランス→アメリカ→北欧という風にヨーロッパと北米を行き来しながら精力的にツアーをこなしているのだが、今日取り上げるのはフランスのマルセイユ公演とノルウェーのオスロ公演。どちらもネットに上がった音源をLHがギフト化したものだ。

①Out There Marseille 2015
 イギリスを離れてまずポールが向かったのがフランスのマルセイユで、6月5日にスタッド・ヴェロドロームという屋外競技場で行われたライヴの模様を収めたのがこの「アウト・ゼア・マルセイユ2015」だ。LHのインフォには “巨大屋外会場らしいマイルドな音質” “臨場感豊かな録音ですが、総合的に大変良く出来た仕上がり” “巨大屋外会場録音ゆえ、決してベストな音質ではありませんが、間違い無く水準以上のサウンド” と、かなり控え目な表現が並んでおり、“それって要するに音が遠いんちゃうの?” と早合点した私は、短いながらも「オン・ザ・ラン・ロッテルダム」以来の「イエロー・サブマリン」が聴けるもう1枚のフランス公演盤「アウト・ゼア・パリス2015」の方をギフトで選んだ。
 ところがこのパリ盤が大ハズレ(>_<)  音質はめっちゃ不安定やしチャットはガンガン拾ってるしで(←よりにもよって「ミッシェル」の最中にペチャクチャ喋るなよ、このクソ女!)、聴いてて結構ストレスが溜まるのだ。アウト・ゼア・ツアーで「ミッシェル」が聴けるのはフランス公演だけなのでコレはいかんと思い、慌てて翌週にこのマルセイユ盤をオーダーした次第。
 盤が届いて恐る恐る聴いてみるとこれが実にゆったりまったりした開放感を感じさせる気持ちの良い音で、私的には十分満足。確かにLHが標榜する “オンな音像と圧倒的なクリアネス”(笑)というのとはかなり違う音だが、このように悠揚迫らない雄大なサウンドというのも大いにアリだと思う。前回紹介したバーミンガム盤といい、このマルセイユ盤といい、ポールのポスト・ジャパン・ツアーは色んな音のオーディエンス録音盤を生み出していて、ファンとしては楽しくて仕方がない。
 ポールによるフランス語のMCは「ボンソワー」と「メルシーボクー」ぐらいしか分からないが、この数ヶ月の間ポールのカタコト日本語ばかり聴き続けてきた私にとってはかえって新鮮に響く。オーディエンスの盛り上がりもハンパなく、フランス人ってどこか乙に澄ましているというイメージを勝手に抱いていたのでこれにはちょっとビックリ。特に「ブラックバード」後半で自然発生的に湧き起こる手拍子がめっちゃエエ感じだ。もちろんフランス公演に欠かせない「ミッシェル」も文句なしに素晴らしい。ウィックスのアコーディオンが醸し出すフランス特有のエスプリがたまらんたまらん(≧▽≦)
 それともう一つ特筆すべきは「死ぬのは奴らだ」で、屋外会場ということもあって大花火大会と相成ったワケだが、まるでB29の爆撃でも始まったのかと勘違いするような(笑)凄まじい爆発音にビックリ(゜o゜) 最近武道館やドームといった屋内ライヴばかり聴いている私の耳にこの音は衝撃的だった。去年もし大阪の長居スタジアムでのライヴが実現していたらこんな感じやったんかなぁと思うと何か複雑な思いだ。次の来日公演はぜひとも屋外会場でやってもらってこのスーパー花火大会を楽しみたいものだ。
Paul McCartney - Blackbird / Here Today (Marseille Out There 2015)

Paul McCartney Marseille 2015 - Michelle

Paul McCartney Live and Let Live Marseille 05-06-2015


②Out There Oslo 2015
 6月後半に1週間ほどの短い北米レグを済ませ、次にポールが向かったのが北欧だ。7月初旬にデンマーク、ノルウェー、スウェーデンでそれぞれ1回ずつライヴを行っているのだが、その中でネット上にフルでアップされたのが7月7日にノルウェーのオスロにあるテレノール・アリーナで行われたコンサートの音源で、例によってLHがそれに目を付け音盤化したのがこの「アウト・ゼア・オスロ2015」なのだ。
 インフォによると “とてつもなくダイレクトでクリアー、海外公演録音でここまで凄いのは聴いたことが無い程で、「だったらプレスCDでリリースすれば?」と思われるのは当然であり、当初はそのつもりで「これは凄い・・・」と聴き入っていたのですが、この音源、悲しい欠点があるのです。” とのこと。その “悲しい欠点”というのが “マイクの右に派手なクラップをする人がいて、たまにそれがラウドに入ってくる” “しかもテンポがずれてる” ということで、特に「Nineteen Hundred and Eighty-Five」「I've Just Seen a Face」「We Can Work It Out」「Another Day」が酷いという。音は良いのに調子っぱずれのラウドな手拍子のせいでLHが泣く泣く(?)プレス・リリースを諦めたというこの “ギフトに最適な「訳あり」超高音質盤”... そうまで言われたら逆に聴いてみたくなるのがファン心理というものだろう。
 実際に聴いてみた感想だが、私はこの程度の手拍子なら全然気にならない。アウアウやホーホーの方が何十倍も不愉快だ。アウアウと言えば、この音源の所々に武道館と同じような “アーゥ!” が聞かれるのだが(←下に貼り付けたYouTubeで言うと41分35秒、43分25秒あたりの雄叫びなんか武道館そっくり!)、まさかわざわざノルウェーまで日本の恥を晒しに行ったのではあるまいな...(笑)
 冗談はさておき、この音は確かに魅力的だ。一言で言い表すとするなら “端正な音”。豊かな低音域とクリアーでソリッドな中高音域のバランスの取れた、派手さはないけどどっしりとした重心の低いサウンドなのだ。しかもこの日は4曲目に激レアな「グッド・デイ・サンシャイン」をやっており、「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」との連続コンボで聴けるというのもリヴォルヴァー好きの私としてはたまらなく嬉しい。更にアンコール・パート1での「アナザー・ガール」「バースデー」(←7月7日はリンゴの誕生日!)「キャント・バイ・ミー・ラヴ」という “武道館チューン3連発” にも涙ちょちょぎれる。とまぁこのように聴き所満載のこのギフト、下のYouTubeを試聴して手拍子が気にならない人は今のうちに手に入れておきましょう。
Paul Mccartney - Oslo, Norway on July 7, 2015 (Full Show - Audio)
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