「風のささやき」という曲は元々スティーブ・マックイーン主演の映画「華麗なる賭け」の主題歌としてミシェル・ルグランが書き、ノエル・ハリソンが歌ったものがオリジナルとのことだが、映画を見ない私はまったく知るよしもなかった。そんな私が初めてこの曲を知ったのはその約30年後のこと(←遅っ!)、ダスティ・スプリングフィールドのベストCDに入っていた彼女のカヴァーを聴いて “めっちゃエエ曲や!” と感動し、それ以降この曲が入っていると必ず買ってしまう(←いつものパターンです...)ようになった。と言うことで今回は、選ばれし名曲だけが持つ風格に溢れたドラマチックな曲想が素晴らしいこの曲の愛聴ヴァージョンをご紹介:
①Dusty Springfield
ダスティ・スプリングフィールドというと彼女最大のヒット曲「この胸のときめきを」を思い浮かべる人が多いと思うが、私はベイ・シティ・ローラーズの「二人だけのデート」から遡って彼女を知ったクチ(←結構多いと思うけどな...)である。で、「二人...」目当てに買ったベスト盤に入っていたこの曲にすっかりKOされてしまったというわけ。キメ細やかな女の情感を見事に表現した彼女のソウルフルなヴォーカルにグイグイ惹き込まれ、3分53秒がアッという間に過ぎ去っていく。
風のささやき(訳詞付) - Dusty Springfield
②ザ・ピーナッツ
このブログでは毎度おなじみのザ・ピーナッツ。彼女らが私の超愛聴曲をレコーディングしていることが多いのは偶然ではなく、多分宮川先生の音楽の趣味が私と近いということだろう。伝説のさよなら公演ではなかにし礼氏が作った日本語詞で歌っていたが、初出にあたる1971年の「華麗なるフランシス・レイ・サウンド」に収録されたこのヴァージョンでは何と終始スキャットで歌い通しているのだ。当時の邦楽の状況を考えれば実に斬新かつ大胆な発想だ。透明感溢れるハーモニーを活かし切った宮川アレンジが素晴らしい。
華麗なるフランシス・レイ・サウンド
③Phil Woods
私はジャズを聴き始めた頃、ジャズ・ミュージシャンがオーケストラと共演した、いわゆる “ウィズ・ストリングスもの” に対して偏見を持っていて、“あんな軟弱な音楽は年寄りが聴くもんや!” と決めつけ、バリバリのハードバップばかり聴いていきがっていた。それから数年後、ブヒバヒ吹きまくるパーカー派アルト・サックスの急先鋒であるフィル・ウッズがミシェル・ルグラン・オーケストラと共演したこのヴァージョンを聴いてそのアホな考え方を木っ端微塵に吹き飛ばされた。音楽はスタイルじゃない、歌心なんだということを痛感させてくれたこのレコードは私にとっては忘れられない大切な1枚なのだ。
風のささやき
④竹内まりや
私が一番好きな日本人女性歌手、竹内まりやが2003年にリリースした全編オールディーズ・カヴァー・アルバム「ロングタイム・フェイヴァリッツ」に入っていたのがこのヴァージョン。まりや版「ナウ・アンド・ゼン」と言えるこの大傑作アルバムの中でも抜群の存在感を誇っていたこの曲、彼女の言葉を借りれば “イギリスの女性歌手の中で一番好きなダスティの足元にも及ばないことはわかっているものの、どうしても歌ってみたかった” とのこと。いやいやどうして、その艶のある歌声といい、あくまでも自然体で歌うスタイルといい、ダスティに迫る名唱ですよ、まりやさん!
風のささやき
⑤Connie Evingson
コンテンポラリー女性ヴォーカリストの中で私の大のお気に入りがこのコニーちゃん。彼女の魅力は一にも二にもその “声” にある。ちょっと鼻にかかったようでいてシルクのように滑らかなその歌声だ。初めて彼女を聴いた時に、一瞬にして “あっ、この声だ!” と天啓のごとく好きになった。彼女の声に惚れ込んだのだ。理屈ではない。溢れんばかりの歌心も素晴らしい。そんな彼女がホット・クラブ・オブ・スウェーデンのジプシー・スウィングな演奏をバックにパリのエスプリ薫るこの曲を切々と歌うこのヴァージョン、哀愁舞い散る屈指の名演だと思う。
コニー・エヴィンソン
①Dusty Springfield
ダスティ・スプリングフィールドというと彼女最大のヒット曲「この胸のときめきを」を思い浮かべる人が多いと思うが、私はベイ・シティ・ローラーズの「二人だけのデート」から遡って彼女を知ったクチ(←結構多いと思うけどな...)である。で、「二人...」目当てに買ったベスト盤に入っていたこの曲にすっかりKOされてしまったというわけ。キメ細やかな女の情感を見事に表現した彼女のソウルフルなヴォーカルにグイグイ惹き込まれ、3分53秒がアッという間に過ぎ去っていく。
風のささやき(訳詞付) - Dusty Springfield
②ザ・ピーナッツ
このブログでは毎度おなじみのザ・ピーナッツ。彼女らが私の超愛聴曲をレコーディングしていることが多いのは偶然ではなく、多分宮川先生の音楽の趣味が私と近いということだろう。伝説のさよなら公演ではなかにし礼氏が作った日本語詞で歌っていたが、初出にあたる1971年の「華麗なるフランシス・レイ・サウンド」に収録されたこのヴァージョンでは何と終始スキャットで歌い通しているのだ。当時の邦楽の状況を考えれば実に斬新かつ大胆な発想だ。透明感溢れるハーモニーを活かし切った宮川アレンジが素晴らしい。
華麗なるフランシス・レイ・サウンド
③Phil Woods
私はジャズを聴き始めた頃、ジャズ・ミュージシャンがオーケストラと共演した、いわゆる “ウィズ・ストリングスもの” に対して偏見を持っていて、“あんな軟弱な音楽は年寄りが聴くもんや!” と決めつけ、バリバリのハードバップばかり聴いていきがっていた。それから数年後、ブヒバヒ吹きまくるパーカー派アルト・サックスの急先鋒であるフィル・ウッズがミシェル・ルグラン・オーケストラと共演したこのヴァージョンを聴いてそのアホな考え方を木っ端微塵に吹き飛ばされた。音楽はスタイルじゃない、歌心なんだということを痛感させてくれたこのレコードは私にとっては忘れられない大切な1枚なのだ。
風のささやき
④竹内まりや
私が一番好きな日本人女性歌手、竹内まりやが2003年にリリースした全編オールディーズ・カヴァー・アルバム「ロングタイム・フェイヴァリッツ」に入っていたのがこのヴァージョン。まりや版「ナウ・アンド・ゼン」と言えるこの大傑作アルバムの中でも抜群の存在感を誇っていたこの曲、彼女の言葉を借りれば “イギリスの女性歌手の中で一番好きなダスティの足元にも及ばないことはわかっているものの、どうしても歌ってみたかった” とのこと。いやいやどうして、その艶のある歌声といい、あくまでも自然体で歌うスタイルといい、ダスティに迫る名唱ですよ、まりやさん!
風のささやき
⑤Connie Evingson
コンテンポラリー女性ヴォーカリストの中で私の大のお気に入りがこのコニーちゃん。彼女の魅力は一にも二にもその “声” にある。ちょっと鼻にかかったようでいてシルクのように滑らかなその歌声だ。初めて彼女を聴いた時に、一瞬にして “あっ、この声だ!” と天啓のごとく好きになった。彼女の声に惚れ込んだのだ。理屈ではない。溢れんばかりの歌心も素晴らしい。そんな彼女がホット・クラブ・オブ・スウェーデンのジプシー・スウィングな演奏をバックにパリのエスプリ薫るこの曲を切々と歌うこのヴァージョン、哀愁舞い散る屈指の名演だと思う。
コニー・エヴィンソン