shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Live At The Hollywood Bowl / The Beatles

2016-12-27 | The Beatles
 早いもので2016年も残すところあと僅か、この時期になるといつもその年のベスト・バイなど音楽面での収穫を振り返るのがお約束なのだが、今年は久々に大物を何枚もゲットできた実り多い1年だった。特に秋以降はコレクター魂に火がつき怒涛の勢いでビートルズの各国盤を買いまくり、ここもすっかりB4一色になってしまったが、そのきっかけとなったのが9月にリリースされた「ハリウッドボウル・ライヴ」のリマスター盤であり、ほぼ同時に封切られた映画「エイト・デイズ・ア・ウィーク」だった。
 この映画は本編に加えてシェア・スタジアム公演のリマスター映像が大画面で見れるということもあって3回も映画館に通ったが、予約しておいたBlu-ray盤が先週届いたこともあってこの1週間ほどは「ハリウッドボウル・ライヴ」と「エイト・デイズ・ア・ウィーク」熱が再発、毎日飽きもせずにCD・LP・Blu-rayを取っ換え引っ換えしながら楽しんでいる。そういうワケで今年のシメは「エイト・デイズ・ア・ウィーク」関連のアイテムを取り上げたい。
 まずCDだが、あのジャイルズ・マーティンが最新のテクノロジーを駆使してリミックスを施したということでお父さんがプロデュースした77年のオリジナルLPとどれくらい音が違うのか、聴く前から興味津々だった。初めて聴いた時のインパクトは強烈で、“うわ~、同じ音源やのに音の聞こえ方が全然違うやん!!!” とビックリ(゜o゜)  音が格段にクリアーになって演奏やMCの細部までもハッキリと聞き取れ、ジェット・スクリームと呼ばれる大歓声も鑑賞の邪魔にならないレベルまで抑えてあるのにも感心したが、それより何より音が立体的に聞こえ、各楽器の音像があるべき位置に屹立しているのが凄いと思った。まるでハリウッドボウルのステージど真ん中にマイクスタンドを固定して録音したかのように、ジョン・ポール、ジョージ、リンゴがスピーカーとスピーカーの間に盛大に4つの音の噴水を噴き上げながら熱演しているのである。15歳の時からこのレコードを聴いていて音質は熟知しているつもりだったが、こういう音の出方で鳴るとは知らなんだ(≧▽≦)  まさにテクノロジーの進化恐るべしである。この分だとあと数十年もすれば自宅に居ながらにしてビートルズのライヴをホログラム映像で楽しめる夢のような時代が来るかもしれない。
 このアルバムはLPでもリリースされるとのことだったので、送料込みで一番安いアマゾンUK(£22.74)で予約、CDリリースよりも約2ヶ月遅れの11/18発送で11/29に我が家に到着した。CDではあまり気にならなかったが、LPサイズになるとやっぱり “このダサいジャケットはないよなぁ...” と思ってしまう。映画のプロモーションの一環として今回の初CD化が実現したようなモンなのでこのジャケットもしゃあないといえばしゃあないのだが、ハリウッドボウルとは何の関係も無いシアトルの空港での写真を使うというのは余りにもジャケットというものを軽視し過ぎではないか。アナログ時代からのファンとしては「アット・ザ・ハリウッドボウル」を名乗るならオリジナルと同じジャケットにしてもらいたかったというのが正直なところだ。
 しかし音の方は文句なしに素晴らしい。CDと比べるとアナログらしい温かみと深みのある音に仕上がっており、特に高域のキツさが上手く抑えられているのでヴォリュームを思いっ切り上げていっても耳が痛くならないのが何よりも嬉しい。 “ライヴ盤は大音量で音の洪水の中に身を委ねるようにして聴く” というのが私の信条なので、これはLPも買って大正解だった。CDは車の中で鳴らすとめっちゃエエ音してたので、そちらで活躍してもらうことにしよう(^.^)
The Beatles Live Hollywood Bowl 2016 Remastered Full Album (Available in some countries only)

ビートルズのデンマーク盤特集③

2016-12-20 | The Beatles
 デンマーク盤蒐集もいよいよ佳境に入ってきた。とにかく10月から11月にかけては “寝ても覚めてもDK盤” 状態でこまめにeBayをチェックする毎日だったが、“コンプリートまで残り数枚” になってからしばらくは足踏み状態が続いた。小国デンマークの人口なんて微々たるものなので(←調べてみたら北海道や兵庫県よりも少ないらしい...)UK盤やドイツ盤とは違って元々タマ数そのものが少ないし、そんな中から盤質良好なブツを見つけ出して安く買おうというのだからそう簡単にいくわけがなく、ひたすら忍の一字で出物を待つのみだった。
 そんなこんなで3週間ほど経ち、ついに「ヘルプ」(マト2モノ)と「ラバー・ソウル」(←何とマト1モノのラウドカット盤!)が同じセラーから2枚同時に出品された。「ヘルプ」が£45で「ラバー・ソウル」が£55ということで単体なら少し予算オーバーになるが同梱で送料1枚分チャラになるし、どちらの盤もEXということで状態も良さそうだ。為替レートもあの時はまだ£1=127円で今より20円も安く底打ち感があったのでこのチャンスを逃す手はない。一旦イクと決めた以上、ぐずぐずしていてライバルに先を越されるわけにはいかないのだ。
 私は早速2枚をバスケットに入れてRequest total from seller をクリックしたのだが、どういうワケか This seller does not offer combined shipping という表示が出てそこから先へ進めない(>_<)  そこで私はとりあえず「ヘルプ」をBUY IT NOWで買い、“「ラバー・ソウル」も買うから送料を再計算してinvoiceを送ってくれ” とセラーにメールして返事を待った。
 1時間ほどして返事が来たのだが、何と驚いたことに「ラバー・ソウル」が£55→£75に、送料も£13.50→£17.95 に変えられているではないか! 何という鬼畜なセラーだヽ(`Д´)ノ 私が “1時間前と価格も送料も変えられているようだが、ひょっとしてアンタは私のメールを見てから値段を吊り上げたのか? もしそうなら私はこの取り引きをキャンセルしてカスタマーサポートに報告させてもらうが、どーする?” とメールするとさすがにビビったのか、“私は何も変えていない。きっとシステムエラーか何かだろう。価格も送料もあなたの言う通りでOKなのですぐに新しい invoiceを送るから...” という返事が来た。商品ページを再チェックすると確かに元に戻っているが、ちゃーんとキャッシュに証拠が残っとるで...(笑) コイツは全く信用に値しない糞セラーだが(←IDは rare_records_0です)DK盤2枚ゲットのチャンスを逃したくはなかったし、万が一トラブってもeBay には Buyer Protection があるので、当初の予定通り2枚とも買うことにした。
 無事届いたパッケージからレコードを取り出してまず驚いたのはその重さだ。60年代DKプレス盤の重さに関しては折に触れてこのブログでも取り上げてきたが、特にこの「ヘルプ」は 盤の重量が178gとUK盤よりも17gも重く、他のDK盤と比べても断トツの重さである。早速レコードに針を落としてみると、盤自体に傷はないのだが溝に細かい埃が付着しているようでチリチリとノイズが入って気持ち良く聴けない。そこで久しぶりにコニシの木工用ボンドで盤をパック、完璧にクリーニングしてから再度針を落とすと今度はクリアーな音で再生できて大満足(^o^)丿  特にA②「ザ・ナイト・ビフォア」のまるで目の前でポールが歌っているかのような生々しさには唖然とさせられたし、A③「ユーヴ・ガット・トゥ・ハイド・ユア・ラヴ・アウェイ」なんてこんな重低音が入っていたのかとビックリ(゜o゜)  B⑦「ディジー・ミス・リジー」のジョンのヤクザなヴォーカルもドスが効いていて実に気持ちいい。やっぱりレコード・パックはコニシのボンドに限るわ(^.^)
 「ラバー・ソウル」の方は166gだが、それでもUK初回盤よりやはり17g重い。大好きなラウド・カットのレコードを重量盤で聴ける喜びを何と表現しよう? 特にB面曲ではポールのベースがまるで地の底から響いてくるようにグゥ~ンと下まで伸びた重い音を響かせて私を喜ばせる。A④「ノーウェア・マン」での一糸乱れぬコーラス・ワークやB②「ガール」におけるジョンの説得力溢れるヴォーカルも圧巻だ。ピカピカのラウド・カット盤を大音量で聴く喜びは筆舌に尽くし難い(^o^)丿
 次に手に入れたDK盤は「プリーズ・プリーズ・ミー」だ。このレコードのDKファースト・プレスのレーベル・デザインは前々回取り上げた「ハード・デイズ・ナイト」と同じ 8 star "shadowed" Parlophone なのだが文字色はUK盤と同じゴールドという “金パロ” 盤で、そのせいかDK盤で唯一£100オーバーという高値が付いている。私としては金パロはUK盤1枚で十分なので、同デザインで銀文字のセカンド・プレス盤に狙いを定め首尾よくゲット。セカンド・プレスということで人気がないのか、それとも“盤質VG / ジャケットG”の表記にコレクター諸氏も二の足を踏んだのか、この盤は予想を遥かに下回る低レベルの競争で(笑)たったの$24で落とすことが出来た。
 聴いてみた印象だが、さすがに超ド迫力のUK金パロには少し及ばないものの、同じセカンド・プレスであるUK黄パロ盤と同レベルの素晴らしいサウンドで、発売期間が短くてすぐにこの銀パロに切り替わったというDK金パロも含めて考えてもコスパで言えばDKセカンド・プレスの圧勝だろう。因みにこのDK銀パロの重量はUK金パロと同じ170gだ。
 「プリーズ・プリーズ・ミー」に次いで網にかかったのが「マジカル・ミステリー・ツアー」だ。60年代のデンマーク国内におけるビートルズのレコード・リリースは「エスキモー・カヴァー」を除けば基本的にイギリスに倣っているので「マジカル・ミステリー・ツアー」もリアルタイムではEP2枚組で発売されただけだったが、70年代に入るとデンマーク独自のリリースが目立つようになった。LPフォーマットで初めてリリースされたこの「マジカル・ミステリー・ツアー」もそんな1枚で、ショッキングピンクのジャケットとジャケ左上の HOR ZUマークから考えて、ドイツでカッティングして作られたマザーをデンマークに持ち込んでスタンパーを作ったもののようだ。
 気になってネットで調べてみるとやはりその通りで、いつも参考にしている Steve Hoffman Music Forums によると、71年に出たドイツ初版(マトA1/B1)はBラス3曲が疑似ステなのに対し、同年リリースのセカンド・プレス(マトA1/B3)では世界初のリアル・ステレオ・ミックスで収録されており、現存するステレオ盤としてはベストなサウンドが聴けるとのこと。そしてデンマーク盤はその音の良いジャーマン・セカンド・プレス盤と同じマザーから作られているというのだからこれは絶対的に “買い” である。ラッキーなことにDiscogsに1枚だけEX盤が出品されていたので速攻ゲット、€26でMMT史上最高のステレオ・ミックスが手に入ったのが嬉しくてたまらない(≧▽≦)
 届いた盤は看板に偽りナシのスーパーウルトラ高音質で、大袈裟ではなく私が今まで聴いた中でベストのMMTだ。低音がスベッたとか高音がコロんだとかいう以前に、何よりもまず音楽が活き活きと躍動し、この時期のビートルズならではの万華鏡のようなポップ・ワールドを見事に音溝に刻み込んでいる。やはりデンマーク・プレスの盤にハズレ無しだ(^o^)丿

ビートルズのデンマーク盤特集②

2016-12-11 | The Beatles
 お試しセットとして買った4枚のレコードを聴いてデンマーク・プレス盤の音がすっかり気に入った私は他のアルバムも欲しくなって(←いつもの悪いパターン...)デンマーク盤のディスコグラフィーのようなものをネットで探してみたのだが残念ながら見つからない。どうやらデンマークというのはビートルズ各国盤の中でもかなりマイナーな存在のようだ。
 ディスコグラフィーが無いのなら自分で調べるしかないわいとpopsikeで "Beatles Danish LP" を検索して過去10年間に亘るデータを基に自家製ディスコグラフィーを作ってみた。私の調査によると、デンマークのモノラル盤は「プリーズ・プリーズ・ミー」から「リヴォルヴァー」までで、「サージェント・ペパーズ」以降の盤にモノ盤は存在せず、一方ステレオ盤のリリースは「ビートルズ・フォー・セール」からで、初期3枚のステレオ盤の存在は確認できなかった。
 センター・レーベルに関しては、「プリーズ・プリーズ・ミー」から「ハード・デイズ・ナイト」までが 8 star "shadowed" Parlophone、「フォー・セール」から「サージェント・ペパーズ」までが unboxed Parlophone、そして「ホワイト・アルバム」から「レット・イット・ビー」までが dark green Apple のようだ。
 大雑把ではあるが何とか全体像がつかめたので早速eBayで検索を開始、予算は1枚につき5,000円以内だ。まず最初に網にかかったのが「リヴォルヴァー」のステレオ盤で、珍しいことにアメリカのセラーが出している。ビートルズのデンマーク盤の9割以上が地元デンマークかイギリスのセラーの出品だからだ。スタート価格は$9.99で結局ライバル2人という低競争率のおかげもあって$15.50で落札。ビッドが集中するUK盤とは違い、マイナーなデンマーク盤は取るのがラクだ。
 ジャケットはUK盤と同じものを流用しているが盤の方は161gとUK盤よりも更に6g重い。マトリクスは -1/-1 でUK初回盤と同じマザーを使用していることもあって音が良いのは当たり前なのだが、このレコードは盤質がNMなこともあって、ほぼノイズレスの高音質で「リヴォルヴァー」を堪能できるのが何よりも嬉しい。
 次に手に入れたのが「フォー・セール」のモノ盤だ。デンマーク盤では何故かこのレコードだけセンター・レーベルが紫色で(←ステレオ盤は黒色らしいが私は持ってない...)重量は166gと重い。しかし私が入手した盤はマトが-4N/-3Nなせいか(←UK初版は-3N/-3N)、それとも状態がイマイチのVG盤だったせいかは分からないが、UK盤と比べるとイマイチ音がシャキッとしない。特にUK盤の「アイル・フォロー・ザ・サン」が3次元的にリアルな響きを聞かせるのに対し、このDK盤では平面的にしか聞こえないのが残念だ。まぁ全部が全部当たりというワケにはいかないのがアナログ・レコードの奥の深さなのだろう。
 「イエロー・サブマリン」はA面しか聴かない(でしょ?)ので取るかどうか一瞬迷ったが、手持ちのUK盤が "Sold in UK" リマーク無しのセカンド・プレス盤(マトは -3/-1)ということもあってマト -1/-1 のデンマーク盤と聴き比べてみたいと思い BUY IT NOW で購入。€16でピカピカ盤をゲットしたのだが、私にとっては大好きな「ヘイ・ブルドッグ」1曲だけでも何千円も払う価値は十分あるのだ。
 聴いてみた感想としてはとにかく音が良くてビックリ(゜o゜)  盤質がほぼミント状態ということもあるのかもしれないが、とにかくシャープ&クリスプな音で、「オール・トゥゲザー・ナウ」のアコギの生々しさにはゾクゾクさせられたし、「ヘイ・ブルドッグ」の有無を言わせぬへヴィネスなんかもう圧巻の一言(≧▽≦)  UKセカンド・プレス盤の音がややハイ上がりなのに対し、こちらのDKプレス盤の方は音のバランスも最高だ。買う前は迷ったが、コレは買って大正解だった(^.^)
 €26で買った「アビー・ロード」(マト-2/-1)は商品説明に "play as new" とあったので届くのが待ちきれないほど楽しみだったが、届いた盤を実際に手に取ってみると傷一つないピカピカ盤で、上記の「イエサブ」同様にノイズの無い素晴らしい音がスピーカーから飛び出してくる。一言で言うなら“豊潤な音” という表現がピッタリで、「カム・トゥゲザー」のベースなんてもう大地を揺るがさんばかりにズンズン響いてくるし、「オー・ダーリン」ではポールがヴォーカルだけでなく闊達なベースでもメロディストぶりを発揮、まさに“楽器を通して歌を歌う” という天才ぶりを存分に発揮しているのがハッキリと聞き取れる。「ヒア・カムズ・ザ・サン」のギターの美しさには耳が吸い付くし、「ジ・エンド」のギター・バトルも高音質なせいか実にグルーヴィーに聞こえ、“楽器奏者としてのビートルズ” を思う存分堪能できるのだ。やっぱりDK盤って凄いわ...(^.^)

ビートルズのデンマーク盤特集①

2016-12-04 | The Beatles
 血糖値を下げるためにとにかく歩きなさい!と医者から言われた母親へのクリスマス・プレゼントとして買った電動ウォーカーが今日届いた。面白そうなので自分もやってみようとマシンに乗り、退屈しないようにテレビをつけてから歩き始めたのだが、その時たまたまCSのミュージック・エアでビートルズの「青盤ドキュメンタリー」をやっており、何の気なしに曲のテンポに合わせて歩いてみたところ、これが思いのほか面白い。「オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ」が通常歩行に一番ピッタリで、「レヴォリューション」でペースを上げ、最後は「レット・イット・ビー」でクールダウン... という感じ。結局30分間やって70キロカロリーの消費に成功した。コレ、家でビートルズを観ながら運動不足も解消できるってめっちゃエエやん! 明日はポールの武道館ライヴを観ながらやってみよう(^.^)
 さて、ブログの方は相も変わらずの各国盤シリーズだ。ここ何年かで色んな国のビートルズ・レコードを買ってきたが、そんな中でも音質的に一番気に入ったのがデンマーク盤である。私の好奇心に火つけたのは以前ここでも取り上げた「ヘイ・ジュード」のDK(デンマーク)盤の音の良さで、カートリッジが同じデンマーク製のオルトフォンだから相性が良いのかもしれないが、とにかくUKオリジナル盤に勝るとも劣らぬ高音質にビックリ(゜o゜)  そしてそんな私のデンマーク熱に更なる燃料を投下したのが例の「エスキモー・カヴァー」だ。175gもある分厚いビニールに刻み込まれたラウドでクリスプなサウンドにすっかり魅せられた私は “ひょっとして他のレギュラー・アルバムも重量盤やったら聴いてみたいなぁ...” と思い立ち、eBayで60年代プレスのビートルズのデンマーク盤を検索してみた。
 すると運よくイギリスのセラーが何枚もデンマーク盤を出しているのを発見、商品説明には “173 gram vinyl!” みたいな感じで各盤ごとに重量が書いてあり、ご丁寧にも “Old thick vinyl seldom let you down.(昔の分厚い盤はあなたの期待を裏切りませんよ~)” という殺し文句まで添えられている。弱いところを突いてくるなぁ...(笑) 慌てて手持ちのUK黄パロ盤の重さを量ってみると大体みんな140~160gぐらいだ。重量盤信仰が抜けきらない私は試しにこのセラーから安くて盤質が良くて重たいの(笑)を何枚か買ってみることにした。それから10日ほどたってから届いたのが「ウィズ・ザ・ビートルズ」「ハード・デイズ・ナイト」「オールディーズ」「ホワイト・アルバム」の4枚だ。
 いの一番にターンテーブルに乗せたのが「ウィズ・ザ・ビートルズ」(マト枝番:-1N/-1N)だ。UK盤が156gなのに対しこちらは164gもあり手に持った感触もずっしり重い。早速聴いてみるとラウドカットのUKオリジ盤に勝るとも劣らない轟音で(←特にA①のド迫力には思わずのけぞってしまった...)、値段を考えるとコスパは抜群に高い。しかもレーベルはUK黄パロとは違うデンマーク独自のもので、8 star "shadowed" Parlophone と呼ばれるカッコ良いデザインだ。ただしジャケットはUK盤のものをそのまま流用しているようで、Garrod & Lofthouse のフリップバック式コーティング・ジャケが使われている。
 「ハード・デイズ・ナイト」(マト枝番:-3N/-3N)も同じくBlack/Silver 8 star "shadowed" Parlophone Label なのだが、こちらは更に重くて173gもある(←UK盤は166g)。音の方は言わずもがなの爆音で、アルバム・タイトル曲A①のイントロの “ジャーン!” の衝撃は強烈無比だし、A⑥「テル・ミー・ホワイ」やB①「エニー・タイム・アット・オール」のジョンのヴォーカルの押し出し感も凄まじいものがある。B③「シングス・ウィー・セッド・トゥデイ」やB⑥「アイル・ビー・バック」のアコギのストローク音の力強さなんかもう快感の一言だ。セラーの煽り文句の通り、昔の分厚い盤は期待を裏切らへんね(^_^)
 「オールディーズ」(マト枝番:-1G/-1G)は60年代中頃のプレスのためか上記の2枚より軽い152gだが、それでも同タイトルUK盤の141gに比べると10g以上重い。音の方はステレオということもあって(←UKモノラル盤の音の悪さはショッキングだった...)実にクリアーでクリスプなサウンドが楽しめる。重量が効いているのか低音域の贅肉を削ぎ落としたかのようなサウンドで、A⑥「ミッシェル」のポールのベースがUK盤では量感豊かに響く感じなのに対し、DK盤の方はキリッと引き締まって聞こえた。
 「ホワイト・アルバム」(マト枝番:-1/-1/-1/-1)はUK初盤と同じトップ・ローディング方式ジャケのアーリー・プレス盤ながら、143g / 138g とUK盤の149g / 143g よりもやや軽い。しかし音の方は素晴らしく、躍動感溢れるA①「バック・イン・ザ・USSR」、鬼気迫るリンゴのドラミングが炸裂するA③「グラス・オニオン」、ギター・ソロの説得力がハンパないA⑦「ホワイル・マイ・ギター...」、地を這うようなポールのベースにゾクゾクさせられるC①「バースデー」、アコギの響きのあまりの美しさに耳が吸い付くC③「マザー・ネイチャーズ・サン」など、UKオリジナル盤に勝るとも劣らない生々しいサウンドがスピーカーから飛び出してくる。D①「レヴォリューション1」のグルーヴは圧巻だし、C④「エヴリバディーズ・ゴット・サムシング...」でのジョンとジョージのギターもキレッキレだ(^.^) 
 ということでパワーと繊細さを高い次元で見事に両立させたデンマーク・プレスの音がすっかり気に入った私は他のアルバムもその音で聴いてみたいと思い、eBayやDiscogsを駆使してビートルズのデンマーク盤を探し始めた。 (つづく)